特許第6872523号(P6872523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872523
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ハードコート
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/04 20060101AFI20210510BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20210510BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20210510BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20210510BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210510BHJP
   C08J 7/046 20200101ALI20210510BHJP
【FI】
   B05D7/04
   C09D4/00
   C09D7/20
   C09D7/63
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302T
   B05D7/24 302Y
   B05D7/24 303E
   C08J7/046 A
   C08J7/046 Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-233506(P2018-233506)
(22)【出願日】2018年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-111527(P2019-111527A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年1月18日
(31)【優先権主張番号】62/608,314
(32)【優先日】2017年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ムルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ジェチアン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・カオ
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−112599(JP,A)
【文献】 特開2013−222125(JP,A)
【文献】 国際公開第03/026881(WO,A1)
【文献】 特開平11−255923(JP,A)
【文献】 特開平02−242806(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0185926(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102006004834(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05D 1/00− 7/26
B32B 1/00− 43/00
C08J 7/04− 7/06
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、(a)可撓性基板を提供することと、(b)前記可撓性基板上にコーティング組成物の層を配置すること、とを含み、前記可撓性基板が、≧1Hの鉛筆硬度、<2%のヘイズ値、および<6の黄色度指数を有し、前記可撓性基板が、ポリイミドであり、前記コーティング組成物が、(1)1つ以上の硬化性オリゴマー類と、(2)2,4−ジメチル−3−ペンタノン、およびメチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエートから選択される、少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、を含む、方法。
【請求項2】
前記コーティング組成物が、前記有機コーティング溶媒とは異なる1つ以上の二次有機溶媒を、有機溶媒の総重量に基づいて1〜49.5重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化性オリゴマーが、(メタ)アクリレートオリゴマー類、ウレタンオリゴマー類、(メタ)アクリレート−ウレタンオリゴマー類、シロキサンオリゴマー類、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング組成物が、ナノ粒子、カチオン性光開始剤、少なくとも2つのエポキシシクロヘキサン基または少なくとも2つのオキセタン環を含む反応性改質剤、レベリング剤、およびそれらの混合物のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
方法であって、(a)可撓性基板を提供することと、(b)前記可撓性基板上にコーティング組成物の層を配置すること、とを含み、前記可撓性基板が、≧1Hの鉛筆硬度、<2%のヘイズ値、および<6の黄色度指数を有し、前記可撓性基板がポリイミドであり、前記コーティング組成物が、(1)1つ以上の硬化性シロキサンオリゴマー類と、(2)2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、およびメチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエートから選択される、少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、(3)ナノ粒子と、を含む、方法
【請求項6】
前記有機コーティング溶媒とは異なる1つ以上の二次有機溶媒をさらに含む、請求項に記載の方法
【請求項7】
前記硬化性シロキサンオリゴマーが、式RSi(OR4−m−nの重合単位を含み、式中、Rは、脂環式環に縮合したオキシラン環を含むC5−20脂肪族基であり、Rは、C1−20アルキル基、C6−30アリール基または1つ以上のヘテロ原子を有するC5−20脂肪族基であり、Rは、C1−4アルキル基またはC1−4アシル基であり、mは、0.1〜2.0であり、nは、0〜2.0である、請求項に記載の方法
【請求項8】
カチオン性光開始剤、少なくとも2つのエポキシシクロヘキサン基または少なくとも2つのオキセタン環を含む反応性改質剤、レベリング剤、およびそれらの混合物の1つ以上をさらに含む、請求項に記載の方法
【請求項9】
前記ナノ粒子が、5〜50nmの平均粒径を有する非多孔質ナノ粒子である、請求項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的用途のプラスチック基板に適用することができる液状硬化性ハードコーティング配合物に関する。
【0002】
ディスプレイ業界は、紙のように曲げる、折り畳む、または巻くことができる、可撓性装置に興味を有する。そのような可撓性ディスプレイ装置は、プラスチック基板がガラス基板よりも可撓性であり、破損しにくいため、従来のディスプレイに使用されるガラス基板の代わりにプラスチック基板を使用することが想定されている。ディスプレイ基板として使用するのに好適なプラスチックは、十分な光学的透明性も有していなければならない。1つの好適なプラスチックは、ポリイミドである。
【0003】
プラスチックは、可撓性基板に必要とされる特長の多くを有するが、プラスチックは、ディスプレイ用途によって要求される十分に高い表面硬度を有しない。ハードコーティング組成物が、表面硬度を増加させる目的で、プラスチック基板の表面にハードコートを堆積するために使用されている。そのようなハードコーティング組成物は、有機溶媒を含有し、典型的には、液体コーティング技術を用いて堆積される。好適なハードコーティング組成物は、米国特許公開第2015/0159044A1号に開示されているような有機溶媒中の硬化性シロキサンポリマーを含んでもよい。硬化すると、米国特許公開第2015/0159044A1号に開示されたそのようなハードコート組成物は、そのようなコーティングのないプラスチック基板と比較して、表面硬度を増加させると言われている。このようなハードコーティング組成物は、多くのプラスチック基板に好適であるが、このようなハードコーティング組成物に使用される有機溶媒は、無色のポリイミド基板などの光学的に透明な可撓性基板の光学的透明性および機械的特性に悪影響を与える。コーティングプロセス中溶媒は基板に接触し、基板の特性を大きく改変する可能性があり、インデンテーション弾性率や硬度などの基板の機械的特性の低下、光学的透明性の低下、結果として得られるハードコート−基板積層体の全体的な鉛筆硬度が低下、および機械的曲げ耐久性が低下を招く。可撓性基板の光学的透明性および/または機械的特性に悪影響を及ぼすことなく硬度を増加させるハードコーティング組成物が業界において必要とされている。
【0004】
本発明は、(a)可撓性基板を提供することと、(b)可撓性基板上にコーティング組成物の層を配置することと、を含み、可撓性基板が、≧1Hの鉛筆硬度、<2%のヘイズ値、および<6の黄色度指数を有し、コーティング組成物が、(1)1つ以上の硬化性オリゴマー類と、(2)2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、メチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート、酢酸イソプロピル、および酢酸イソアミルから選択される、少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、を含む。
【0005】
また、本発明によって提供されるものは、(1)1つ以上の硬化性シロキサンオリゴマー類と、(2)2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、およびメチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエートから選択される、少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、を含む、組成物である。
【0006】
本明細書全体にわたって使用される場合、以下の略語は、文脈上他に明確に示さない限り、以下の意味を有するものとする:℃=摂氏、g=グラム、mg=ミリグラム、L=リットル、mL=ミリリットル、GPa=ギガパスカル、cm=センチメートル、nm=ナノメートル、mN=ミリニュートン、kgf=重量キログラム、fpm=フィート毎分、ca.=約、mW=ミリワット、およびDa=ダルトン。特に明記しない限り、すべての量は、重量パーセント(「wt%」)であり、すべての比は、モル比である。そのような数値範囲が合計100%になるように制限されることが明らかである場合を除き、すべての数値範囲は、包括的であり、任意の順序で組み合わせ可能である。「a」、「an」、および「the」という冠詞は、単数形および複数形を指す。「アルキル」は、特に明記しない限り、直鎖、分枝および環状アルキルを指す。「アルキル」は、アルカンラジカルを指し、アルカンモノラジカル、ジラジカル(アルキレン)、およびそれ以上のラジカルを含む。「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。要素が別の要素の「上に」あると言及される場合、それは、直接、他の要素上にあり得るか、または介在要素がその間に存在してもよい。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言及される場合、介在要素は、存在しない。「オリゴマー」という用語は、ダイマー、トリマー、テトラマー、およびさらなる硬化が可能な他の比較的低分子量のポリマー材料を指す。本明細書で使用される場合、「オリゴマー」という用語は、2〜200、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも7、好ましくは175以下、好ましくは150以下の重合モノマー単位を有する分子を指す。「硬化」という用語は、本発明のオリゴマーの全分子量を増加させる、重合または縮合などの任意のプロセスを意味する。「硬化性」は、ある条件下で硬化されることが可能な任意の材料を指す。本明細書に記載される材料の状態が「液体」、「固体」、または「気体」と言及される場合、そのような言及は、特に指定されない限り、室温および大気圧における材料の状態になされる。
【0007】
平均粒径は、走査型電子顕微鏡法およびZetasizer Nano Zシステムによって決定される算術平均である。表面積は、BET表面積分析器を使用して決定され、算術平均として報告される。OmiSEC 4.6ソフトウェアを用いたViscotek TDA 305 SECシステムを用いて、分子量分布およびポリスチレン換算分子量を測定した。Agilent PLgel Mixed Eカラム(シリーズで2、5μm粒径、30cmLX7.6mm IDカラム)とテトラヒドロフラン(THF)を、分離と試料調製(0.25重量%)のために使用した。カラム温度は、分析中40℃に、および流速は、0.7mL/分に設定した。較正のために、Agilent EasiCal PS2キットを使用した。コーティングは、それが380〜700nmの波長範囲にわたって少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%の平均光透過率を呈する場合、光学的に透明である。
【0008】
本発明者らは、特定の溶媒を含有するハードコーティング組成物が、プラスチック基板に使用するためのコーティング組成物で通常使用される溶媒と比較して、可撓性基板、特にポリイミドの光学的および機械的特性に著しい悪影響を有しないことを見出した。したがって、本発明は、方法であって、(a)可撓性基板を提供することと、(b)可撓性基板上にコーティング組成物の層を配置することと、を含み、可撓性基板が、≧1Hの鉛筆硬度、<2%のヘイズ値、および<4の黄色度指数を有し、コーティング組成物が、(1)1つ以上の硬化性オリゴマー類と、(2)2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチルペンタン−3−オン、2,6−ジメチルヘプタン−4−オン、メチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート、酢酸イソプロピル、および酢酸イソアミルのうちから選択される、少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、を含む、方法を提供する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「可撓性基板」という用語は、破壊、永久変形、折り目形成、破断、亀裂形成などを伴わずに、≦2mmの半径の周りで多数回曲げられ、または成形されることが可能な基板を指す。可撓性基板に対する好適な試験の1つは、基板が約半径1mmで≧50,000回の屈曲サイクルに耐えられるかどうかである。例示的な可撓性基板は、これらに限定されないが、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板、ポリエチレンナフタレート基板、ポリカーボネート基板、ポリスルフィド基板、ポリエチレン基板、ポリプロピレン基板、およびそれらの組み合わせを含む。可撓性基板はポリイミドであることが好ましく、無色ポリイミドであることがより好ましい。本明細書で使用される「無色ポリイミド」という用語は、≧1H(0.75kgf)、好ましくは、≧2Hの鉛筆硬度、<2%、好ましくは<1%のヘイズ値、<6、好ましくは、<4の黄色度指数を有するポリイミドを指し、各々は、本明細書に記載の技術に従って決定される。好ましくは、黄色度指数は<4、より好ましくは<3、さらにより好ましくは<2である。好ましくは、本発明で使用される可撓性基板は90%以上の透過率を有する。ポリイミドポリマー、例えば無色ポリイミドポリマーは当該技術分野において周知であり、様々な供給源、例えば、なかでも、E.I.DuPont de Nemours(Wilmington,Delaware)およびKolon Industries,Inc.(Korea)から入手可能である。可撓性ディスプレイ用途に有用なポリイミド基板、特に無色ポリイミド基板、すなわち可撓性ディスプレイ装置を形成するために折り畳む、曲げる、巻く、または他の方法で操作することが可能である基板が好ましい。このような可撓性基板は、意図された用途に応じて、任意の好適な厚さを有することができる。例えば、そのような基板は、25〜250μm、好ましくは25〜100μmの範囲の厚さを有してもよい。
【0010】
任意の好適なハードコート組成物を本発明の方法において使用することができるが、ただし、それが、少なくとも1つの硬化性オリゴマーと、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、メチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート、酢酸イソプロピル、および酢酸イソアミルから選択される少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、を含むことを条件とする。好適な硬化性オリゴマー類は、硬化するとハードコート層を形成する任意のものである。本明細書で使用される場合、「ハードコート」という用語は、基板より高い鉛筆硬度を有する、硬化時にフィルムを形成する基板上の材料、コーティング、または層を指す。このようなハードコート層は、下にある基板を機械的磨滅および磨耗から保護し、任意に表面の自己クリーニング特性を向上させる。
【0011】
本発明のハードコート組成物において有用な好適な硬化性オリゴマー類としては、(メタ)アクリレートオリゴマー類、ウレタンオリゴマー類、(メタ)アクリレート−ウレタンオリゴマー類、シロキサンオリゴマー類、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。液体硬化性オリゴマーが好ましい。好適な(メタ)アクリレートオリゴマー類としては、限定されないが、脂肪族一官能性(メタ)アクリレートモノマー類および脂肪族多官能性(メタ)アクリレートモノマー類から選択される、1つ以上の(メタ)アクリレートモノマー類を重合単位として含むオリゴマー類が挙げられる。例示的な(メタ)アクリレート−ウレタンオリゴマー類および重合単位として1つ以上の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートモノマー類を含むもの。好適なアクリレートオリゴマー類およびウレタンオリゴマー類は、1,000〜20,000Da、好ましくは1,500〜10,000Daの式分子量を有するものである。本発明の硬化性オリゴマーは、(メタ)アクリレートオリゴマー類、(メタ)アクリレート−ウレタンオリゴマー類、シロキサンオリゴマー類、およびそれらの組み合わせから選択されることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリレート−ウレタンオリゴマー類およびシロキサンオリゴマー、さらにより好ましくは、硬化性オリゴマーは、シロキサンオリゴマーであり、なおさらに好ましくは液状シロキサンオリゴマーである。
【0012】
好適なシロキサンオリゴマー類は、米国公開特許出願第2015/0159044号、および米国特許第7,790,347号および第6,391,999号、ならびに同時係属中の米国特許出願第15/602,196号に開示されているものである。一実施形態では、好ましい硬化性オリゴマー類は、式RSi(OR4−m−nの重合単位を含み、式中、Rは、脂環式環に縮合したオキシラン環を含むC5−20脂肪族基であり、Rは、C1−20アルキル基、C6−30アリール基または1つ以上のヘテロ原子を有するC5−20脂肪族基であり、Rは、C1−4アルキル基またはC1−4アシル基であり、mは、0.1〜2.0であり、nは、0〜2.0である。シロキサンオリゴマーが同一ではないシロキサン単位を含有する場合、mおよびnは、モル平均値である。Rは、少なくとも6つの炭素原子、好ましくは15つ以下、好ましくは12以下、好ましくは10以下の炭素原子を含有することが好ましい。好ましくは、Rは、5つまたは6つ、好ましくは6つの炭素原子を有する脂環式環に縮合したオキシラン環、より好ましくはシクロヘキサン環を含む。好ましくは、Rは、炭素、水素および酸素以外の元素を含有しない。Rは、(CH−基(ここで、jは1〜6、好ましくは1〜4)によってケイ素に結合したエポキシシクロヘキシル基(すなわち、シクロヘキセンオキシド)基であることが好ましい。好ましくは、Rがアルキルであるとき、それは15以下の炭素原子、より好ましくは12以下、なお好ましくは10以下の炭素原子を含有する。Rがアリール基である場合、好ましくは25以下の炭素原子、より好ましくは20以下、さらに好ましくは16以下の炭素原子を含有する。「1つ以上のヘテロ原子を有するC5−20脂肪族基」という用語は、フッ素のようなハロゲン、アクリレート基、メタクリレート基、フマレート基、マレエート基などのエステル基、ウレタン基、およびビニルエーテル基のうちの1つ以上を有するC5−20脂肪族基を指す。RはC1−20のアルキル基またはC6−30のアリール基が好ましく、C1−20のアルキル基がより好ましい。別の好ましい実施形態において、Rは、1つ以上のヘテロ原子、より好ましくはC1−20アルキルを有するC1−20アルキルまたはC5−20脂肪族基である。好ましくは、Rがアルキルである場合、それはメチルまたはエチルであり、より好ましくはメチルである。Rがアシルである場合、それは好ましくはホルミルまたはアセチルである。好ましくは、mは、少なくとも0.2、より好ましくは少なくとも0.5であり、好ましくは1.75以下、より好ましくは1.5以下である。好ましくは、nは、1.5以下、より好ましくは1.0以下、なお好ましくは0.8以下、さらに好ましくは、nは、ゼロである。好適な硬化性シロキサンオリゴマー類は、Polyset Company(Mechanicville、New York)から入手可能である。
【0013】
本発明のハードコート組成物は、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、メチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、およびこれらの混合物から選択される有機コーティング溶媒を含み、好ましくは、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、メチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート、酢酸イソアミル、およびそれらの混合物から選択される有機コーティング溶媒を含み、および好ましくは、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、およびメチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノエート、およびそれらの混合物から選択される有機コーティング溶媒を含む。
【0014】
任意に、本発明のハードコート組成物は、上記の1つ以上の有機コーティング溶媒に加えて、1つ以上の二次有機溶媒を含んでもよい。1つ以上の二次有機溶媒は、1つ以上の有機コーティング溶媒とは異なる。有機コーティング溶媒が大部分(溶媒混合物の>50重量%)であり、二次有機溶媒が少量である(溶媒混合物の<50重量%)ことを条件として、多種多様な有機溶媒を本発明の組成物中の二次有機溶媒として使用することができる。好適な二次有機溶媒は、3〜10の炭素原子を有し、脂肪族または芳香族であり得る。好ましくは、二次有機溶媒は、脂肪族であり、より好ましくは、1つ以上の酸素原子を有するC3−10脂肪族化合物である。例示的な二次有機溶媒としては、1−メトキシプロパン−2−オール(PGME)、1−エトキシプロパン−2−オール(PGEE)、1−メトキシ−2−メチルプロパン−2−オール、乳酸メチル、乳酸エチル、グリコレートメチル、1−メトキシ−プロパン−2−オン、ヒドロキシアセトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシプロパン、1−メトキシ−2−ブタノール、メチル2−メトキシアセテート、イソプロパノール、シクロペンタノール、2−メチルブタン−1−オール、4−メチルペンタン−2−オール、3−メチルブタン−2−オール、トルエン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
典型的には、1つ以上の硬化性オリゴマー類は、有機溶媒を除いた組成物の総重量に基づいて、25〜99重量%の量でハードコート組成物中に存在する。好ましくは、ハードコート組成物は、有機溶媒を除いた組成物の総重量に基づいて、少なくとも28重量%、好ましくは少なくとも29重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは99重量%以下、好ましくは65重量%以下の量のシロキサンオリゴマーを含む。硬化性オリゴマーがシロキサンである場合、シロキサンオリゴマーは、有機溶媒を除いた組成物の全重量に基づいて、25〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%を含むことが好ましい。好ましくは、本発明のハードコート組成物は、有機溶媒の総重量に基づいて、50.1〜100重量%の上記有機コーティング溶媒および0〜49.9重量%の1つ以上の二次有機溶媒を含む。1つ以上の二次有機溶媒が使用される場合、これらは、有機溶媒の総重量に基づいて、好ましくは1〜49.5重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%の量で存在する。
【0016】
任意に、反応性改質剤をハードコート組成物に添加して、性能向上のために配合を変更してもよい。このような反応性改質剤としては、限定はしないが、可撓性改質剤、硬度改質剤、粘度改質剤、光学的特性改質剤などが挙げられる。好ましくは、反応性改質剤は、樹脂組成物中に、有機溶媒を除いた組成物中の成分の総重量に基づいて、0〜20重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも8重量%、好ましくは17重量%以下、好ましくは15重量%以下で存在する。好ましくは、反応性改質剤は、少なくとも2つのエポキシシクロヘキサン基または少なくとも2つのオキセタン環、より好ましくは2つのエポキシシクロヘキサン基を含む。好ましい反応性改質剤は、以下に示され、それらの使用によって通常改良された特性にしたがってグループ化され、ここで、n、x、およびyは繰り返し単位の数を示し、n=1〜100であり、x=1〜100であり、y=1〜100である。
【0017】
[表]
【0018】
[表]
【0019】
[表]
【0020】
任意に、ハードコート組成物に1つ以上の一般に既知の他の添加剤を添加して、硬化したコーティングの特性をさらに改質することができる。そのような任意の添加剤としては、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、耐指紋添加剤、耐スクラッチ添加剤などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような任意の添加剤のうちの2つ以上の混合物が、本発明のハードコート組成物に使用されてもよい。これらの添加剤は、液体または固体の形態であってもよい。典型的には、各添加剤は、組成物の総重量に基づいて、0〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の量で使用されてもよい。耐スクラッチ添加剤は、組成物の総重量に基づいて、≦5重量%、好ましくは≦3重量%、より好ましくは≦1.5重量%の量で使用することができる。そのような耐スクラッチ添加剤の好適な量は、組成物の総重量に基づいて、0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%である。耐スクラッチ添加剤は、少量の無機粒子を含有することができる。
【0021】
本発明のハードコート組成物は、任意に、光硬化剤、熱硬化剤、またはそれらの組み合わせなどの硬化剤を含有する。好ましくは、ハードコート組成物は光硬化剤、より好ましくはカチオン光開始剤を含む。このような硬化剤は、ハードコート組成物中に、有機溶媒を除いた組成物の総重量に基づいて、0〜8重量%、好ましくは0.5〜7重量%の量で存在する。好ましくは、ハードコート組成物は、少なくとも1重量%のカチオン性光開始剤、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは6重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは4.5重量%以下を含む。好ましい開始剤には、例えば、ジアリールヨードニウム塩およびトリアリールスルホニウム塩が含まれる。このような硬化剤は、当業者に周知であり、一般に、様々な供給源から入手可能である。任意に、光増感剤を光硬化剤と組み合わせて使用することができる。当該技術分野で既知の任意の好適な光増感剤を使用することができる。光増感剤およびその使用量の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0022】
ナノ粒子は、任意に、および好ましくは本発明のハードコート組成物に添加されてもよい。好適なナノ粒子は、無機ナノ粒子および有機ナノ粒子である。本発明のハードコート組成物に無機粒子を用いる場合、それらは、有機溶剤を除いた組成物の全重量に基づいて、35〜66重量%の量で使用される。好ましくは、ハードコート組成物は、シリカ、金属酸化物、またはその混合物の少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも42重量%の非多孔質ナノ粒子、好ましくは65重量%以下、好ましくは64重量%以下、好ましくは63重量%以下を含む。有機ナノ粒子は、有機溶剤を除いた樹脂組成物の総重量に基づいて0〜10重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは6重量%までの量で硬化性組成物中に存在し得る。好ましくは、有機ナノ粒子は、ハードコート組成中に、有機溶媒を除いた組成物の全重量に基づいて、0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜6重量%の量で存在する。好適な無機ナノ粒子は、シリカ、金属酸化物、またはそれらの混合物から選択される非多孔質ナノ粒子である。好ましくは、非多孔質ナノ粒子は、シリカ、酸化ジルコニウム、またはそれらの混合物、好ましくはシリカである。好ましくは、非多孔質ナノ粒子の表面積は、少なくとも50m/g、好ましくは少なくとも60m/gであり、好ましくは500m/g以下、好ましくは400m/g以下である。一般に、シリカ、金属酸化物、またはそれらの混合物の非多孔質ナノ粒子であって、非多孔質ナノ粒子は、5〜50nmの平均粒径を有する。好ましくは、ナノ粒子の平均直径は、少なくとも10nm、好ましくは少なくとも15nmであり、好ましくは40nm以下、好ましくは35nm以下である。好ましくは、非多孔質ナノ粒子は、カチオン光硬化プロセスまたは熱硬化条件下で、エポキシ−シロキサンオリゴマーのエポキシ基と反応し得る置換基で官能化される。好ましい置換基には、例えば、エポキシ、アクリレート、アミノ、ビニルエーテルなどが含まれる。好適な有機ナノ粒子としては、限定されないが、コア−シェルゴム(CSR)ナノ粒子が挙げられる。任意のCSR有機ナノ粒子は、ゴム粒子コアとシェル層とを含み、そのようなCSR粒子は50〜250nmの平均直径を有する。CSRナノ粒子のシェル層は、ハードコート組成物との互換性を提供し、ハードコート組成物中のCSRナノ粒子の混合および分散を容易にするための制限された膨潤性を有する。好適なCSRナノ粒子は市販されており、下記の商標名で入手可能なものなどがある。Dow Chemical Companyから入手可能なParaloidEXL2650A、EXL2655、EXL2691A、またはKaneka CorporationからのKane Ace(登録商標)MXシリーズ、例えばMX120、MX125、MX130、MX136、MX551、またはMitsubishi Rayonから入手可能なMETABLEN SX−006、またはWacker Chemie AGからのGenioperl P52。
【0023】
混合物または有機ナノ粒子、非多孔質ナノ粒子の混合物、または混合物もしくは有機ナノ粒子および無機(非多孔質)ナノ粒子などの本発明の硬化性ハードコート組成物に、ナノ粒子の混合物を使用してもよいことが理解されよう。ナノ粒子の混合物の一例は、シリカと酸化ジルコニウムのナノ粒子の混合物のような2種類以上の異なる非多孔質ナノ粒子の混合物である。このようなナノ粒子の混合物は、20nmのシリカと20nmの酸化ジルコニウムの混合物のような、同一または類似の平均直径を有する2つ以上の異なる非多孔質ナノ粒子の混合物であってもよく、または10nmのシリカと50nmの酸化ジルコニウムとの混合物のような異なる平均直径を有する2つ以上の異なる非多孔質ナノ粒子の混合物であってもよい。ナノ粒子の混合物の別の例は、2つ以上の同一の非多孔質ナノ粒子であるが、平均直径が10nmの第1のシリカナノ粒子と平均直径が50nmの第2のシリカナノ粒子の混合物のような異なる平均直径を有する混合物である。本発明のハードコート組成物にシリカと金属酸化物のナノ粒子の混合物を使用する場合、ナノ粒子の総量は35〜66重量%である。好ましくは、樹脂組成物は、1つ以上のCSRナノ粒子、より好ましくはシリカと1つ以上のCSR有機ナノ粒子または酸化ジルコニウムと1つ以上のCSR有機ナノ粒子との混合物をさらに含む。
【0024】
本発明の好ましいハードコート組成物は、(1)1つ以上の硬化性シロキサンオリゴマー類と、(2)2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチルペンタン−3−オン、および2,6−ジメチルヘプタン−4−オンから選択される少なくとも1つの有機コーティング溶媒と、を含む。より好ましくは、ハードコート組成物は、有機コーティング溶媒とは異なる1つ以上の二次有機溶媒をさらに含む。さらにより好ましくは、硬化性オリゴマーは、式RSi(OR4−m−nの重合単位を含み、式中、Rは、脂環式環に縮合したオキシラン環を含むC5−20脂肪族基であり、Rは、C1−20アルキル基、C6−30アリール基または1つ以上のヘテロ原子を有するC5−20脂肪族基であり、Rは、C1−4アルキル基またはC1−4アシル基であり、mは、0.1〜2.0であり、nは、0〜2.0である。なおより好ましくは、ハードコート組成物は、ナノ粒子、カチオン性光開始剤、少なくとも2つのエポキシシクロヘキサン基または少なくとも2つのオキセタン環を含む反応性改質剤、レベリング剤、およびそれらの混合物のうちの1つ以上をさらに含む。
【0025】
使用時に、本発明のハードコート組成物は、ポリイミド基板上にハードコート組成物のコーティングを形成するために、当該技術分野で既知の任意の好適な手段によって可撓性基板の表面上に配置される。ハードコート組成物をコーティングするための好適な方法としては、とりわけ、スピンコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、ドクターブレード、バーコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、および蒸着が挙げられるが、これらに限定されない。次に、コーティングを焼成して、有機コーティング溶媒およびいかなる任意の二次有機溶媒も除去する。そのような焼成条件の選択は、当業者の能力の範囲内である。次に、コーティングは、例えば、加熱または化学線への曝露(光硬化)によって、好ましくはUV照射への曝露により硬化されて、可撓性基板の表面上にハードコートフィルムを形成する。
【0026】
本発明の利点は、ハードコート組成物に使用される有機コーティング溶媒が、可撓性の光学的または機械的特性を実質的に改変しないことである。「光学的特性を実質的に改変しない」という用語は、ハードコート組成物中に使用される溶媒が、目視検査によって決定されるように90℃で3分間接触すると可撓性基板上にヘイズを生じさせないことを意味する。「機械的特性を実質的に改変しない」という用語は、ハードコート組成物に使用される溶媒が可撓性基板のインデンテーション弾性率、特にポリイミド基板に対して5%を超えて、インデンテーション硬度は溶媒と接触する前の可撓性物と比較して10%を超えて、低下させないことを意味する。
【0027】
以下の一般的な手順が以下の実施例で使用された。
【0028】
鉛筆硬度。硬化コーティングの鉛筆硬度測定は、Mitsubishi UNI鉛筆を使用して、0.75kgfの垂直荷重でASTM規格D3363に従ってQualtech Product Industry Manual Pencil Hardness Testerを用いて行った。評価目的のために、コーティングを、清浄な0.5cm厚さのガラス板上に置いた。
【0029】
インデンテーション弾性率および硬度。iMicro(商標)ナノインデンタ(Nanomechanics、Inc.、Oak Ridge、Tennessee)を使用して、硬化したハードコーティングのインデンテーション弾性率および硬度を特徴付けた。ナノインデンタは、それぞれ6nNおよび0.04nmの荷重および変位の分解能を有していた。より良好な表面検出のためにインデンタ先端を2nmの振幅で連続的に振動させ、1回の測定からインデンテーション深さの関数として機械的特性を抽出して連続剛性モードで操作した。インデンテーション弾性率が72GPa±1GPaの溶融シリカ被検体に対して20〜25のインデンテーションを作ることにより、それらの投影接触面積機能が200〜2000nmのインデンテーション深さで校正された標準的なBerkovich先端を使用した。約54℃の融点を有するホットメルト接着剤(Crystal Bond(商標)555)を使用して試料を試料ホルダ上に取り付けた。試験システムが<0.1nm/秒の熱ドリフトに達したら、少なくとも10の異なる場所で、各々の試料に対して2000nmの深さのインデンテーションをつけた。ポアソン比0.3を仮定した。測定に続いて、溶融シリカ被検体に対して3〜5回のインデンテーションを行って、以前の較正を検証した。
【0030】
ハードコート配合物。配合物は、最初に所望の量の樹脂を所望の量のナノ粒子懸濁液と20mLのシンチレーションバイアル中で混合し、次に超音波処理(Fisher Scientific 浴槽超音波器)し、均質な混合物が得られるまで室温でボルテックス混合することにより調製した。ナノ粒子懸濁液を使用した場合、これをそのまま使用したか、または溶媒の約95%が、試料重量の損失によって判断されるように除去されるまで懸濁液を室温で真空濃縮した。次いで、指定のように新しい溶媒を添加し、混合物を超音波処理およびボルテックス混合の下で均質化した。最後に、所望の量の光酸発生剤(PAG)を溶液に添加した。フィルム成形の前に均質混合を確実にするために、最終配合物を室温で少なくとも12時間、回転混合機に残した。
【0031】
ハードコートフィルムの調製。透明ポリイミド(PI)基板上に調製された配合物を成形する際に、ハードコーディングのフィルム厚を制御するために、異なるギャップサイズを有する引き抜きバー(手動または機械操作)を使用した。キャストフィルムを、ヒュームフード内でホットプレート上で3分間90℃に直ちに加熱し、続いてUV硬化(Fusion D型バルブ、47fpmのベルト速度で4回通過)した。UV照射の平均値は、それぞれUVA、UVB、UVC、およびUVVレジームで、約3670、960、280、4360mW/cmであった。エネルギー密度の平均値は、それぞれUVA、UVB、UVC、およびUVVレジームで、480、120、40および570mJ/cmであった。最後に、フィルムをUV硬化後にオーブン中で87℃で2時間熱硬化させた。
【0032】
光学的特性。HP8453UV Vis分光光度計システムを使用して、ポリイミド基板および最終コーティング試料の黄色度指数を測定した。値は、ASTM規格E313に従って得た。BYKヘイズ測定システムを使用して、コーティング試料のヘイズを測定した。ヘイズ値は、ASTM規格D1003に従って得た。
【0033】
ポリイミド基板。以下の実施例で使用される市販のポリイミド基板を以下の表に記載し、ここで、PI1およびPI2は本発明の透明なポリイミド1および2を指し、Comparative PIは比較の透明なポリイミドを指す。
【0034】
[表]
【0035】
実施例1。平らな表面上に、ポリイミド基板の小さく清浄な被検体を置き、続いて、表1に報告した溶媒の各々を、被検体の表面の大部分が溶媒で覆われるように、ピペットで基板上に置いた。ホットプレート上で90℃で3分間静置した後、溶媒を基板から除去し、基板を、ヘイズおよびカールの変化を肉眼で検査した。変化が検出されなかった場合、溶媒の相溶性は「良好」と評価された。若干のまたは激しいヘイズが検出された場合、溶媒の相溶性は、それぞれ「許容可能」または「乏しい」と評価された。結果を表1に報告する。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例2。厚さ50μmのPI1基板の試料を、実施例1の手順に従って表2に記載の溶媒の各々と接触させた。溶媒を除去した後、基板のナノインデンテーション弾性率およびナノインデンテーション硬度の変化を評価した。結果を表2に報告する。
【0038】
【表2】
【0039】
表2のデータから分かるように、ハードコート組成物に使用される多くの一般的な溶剤は、PI1の機械的特性(ナノインデンテーション弾性率および硬度)に悪影響を与える。
【0040】
実施例3。PI1の代わりに厚さ30μmのPI2の試料を使用した以外は、実施例2と同様に行った。使用したナノインデンテーションデータおよび溶媒を、表3に報告する。表3のデータから分かるように、ハードコート組成物に使用される多くの一般的な溶剤は、PI2の機械的特性(ナノインデンテーション弾性率および硬度)に悪影響を与える。
【0041】
【表3】
【0042】
実施例4。表4に記載の成分を使用して、一般的手順に従って4つの配合物を調製し、ここで、24DP=2,4−ジメチル−3−ペンタノン、MIBK=メチルイソブチルケトン、HBM=2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸メチルである。各々の配合物に使用されるシロキサン樹脂は、市販のエポキシシロキサン(PC−2000HV、Polysetから入手可能)であった。各々の配合物は、光活性硬化剤として1.2重量%のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(プロピレンカーボネート中に50重量%)を含有していた。使用したナノ粒子は、表4に報告される溶媒中の懸濁液として25μmの平均粒径(Admatechsから入手可能)を有するSiOナノ粒子であった。次いで、各々の配合物の量を、PI1の別々の厚さ50μmの試料上に、上記の一般的な手順に従ってコーティングした。硬化後に各々のコーティングの鉛筆硬度を測定し、データを表4に報告した。
【0043】
【表4】
【0044】
実施例5。実施例4の手順を繰り返して、表5に示す量の成分を使用して配合物2〜5を調製する。PC−2003は、Polysetから入手可能なエポキシシロキサンオリゴマーである。SR399は、Sartomerから入手可能なジペンタエリスリトールペンタアクリレートである。KTO46は、Lambertiから入手可能な光増感剤である。ナノ粒子は、Admatechsから入手可能なメチルエチルケトン(MEK)中の(懸濁液として25μmの平均粒径を有するSiOナノ粒子である。略語26Dは、2,6−ジメチルシクロヘキサノンを意味する。
【0045】
【表5】