特許第6872524号(P6872524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872524非腐食性高アルカリ性洗浄組成物である便器洗浄ゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872524
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】非腐食性高アルカリ性洗浄組成物である便器洗浄ゲル
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/72 20060101AFI20210510BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20210510BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20210510BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C11D1/72
   C11D3/30
   C11D3/37
   C11D1/00
【請求項の数】21
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-500923(P2018-500923)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公表番号】特表2018-522112(P2018-522112A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】US2016037489
(87)【国際公開番号】WO2017014868
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】15/171,541
(32)【優先日】2016年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/193,984
(32)【優先日】2015年7月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ホセ ゴンカルブズ ロドリゲス
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−520265(JP,A)
【文献】 特表2002−542381(JP,A)
【文献】 特表2015−518918(JP,A)
【文献】 特開2005−097496(JP,A)
【文献】 特開平09−040998(JP,A)
【文献】 特表2007−515164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器洗浄ゲルであって、
(a)平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C12〜C30アルコールを含むアルコキシル化アルコール、及び高分子アルキレン酸化物ブロック共重合体を含む粘着促進剤、
(b)アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤であって、少なくとも1種の界面活性剤の1種以上は全部又は一部が粘着促進剤として役立て得ること、
(c)ポリアルキレンポリアミン及び/又はポリエーテルアミンを含む塩基性製剤、及び
(d)水、を含み、
前記便器洗浄ゲルは、硬質表面への塗布時に自己粘着し、50〜90℃のゲル溶融温度を有し、25℃で少なくとも150,000センチポアズ(cP)の粘度を有するゲルであり、10重量%の前記便器洗浄ゲルと脱イオン水との平衡混合物は、少なくとも10のpHを有する、便器洗浄ゲル。
【請求項2】
前記粘着促進剤は、平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22アルコール及びエチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体を含む、請求項1に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項3】
前記塩基性製剤が、前記ポリアルキレンポリアミンを含む、請求項1又は2に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項4】
前記ポリアルキレンポリアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項3に記載の便器洗浄ゲル。
[化1]
N−(CHCHR−NH)−CHCHR−NH
(ここで、RはH又はMeであり、nは0又は1〜5の整数である)
【請求項5】
前記ポリアルキレンポリアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項3に記載の便器洗浄ゲル。
[化2]
N−(CHCHCH−NH)−CHCHCH−NH
(ここで、RはH又はMeであり、mは0又は1〜5の整数である)
【請求項6】
前記ポリアルキレンポリアミンが、トリエチレンテトラアミン(TETA)、及び/又はテトラエチレンペンタアミン(TEPA)を含む、請求項3に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項7】
前記塩基性製剤が、前記ポリエーテルアミンを含む、請求項1又は2に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項8】
前記ポリエーテルアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項7に記載の便器洗浄ゲル。
[化3]
N−CHMeCH−(OCHCHMe)−NH
(ここで、xは1〜10の整数である)
【請求項9】
前記ポリエーテルアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項7に記載の便器洗浄ゲル。
[化4]
N−CHMeCH−(OCHCHMe)−(OCHCH−(OCHCHMe)−NH
(ここで、z、x及びyは整数であり、zは平均で5〜15であり、x+yは2〜8であり、前記アミン化合物は400〜1,500の平均分子量を有する。)
【請求項10】
前記ポリエーテルアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項7に記載の便器洗浄ゲル。
[化5]
R’−(OCHCH−(OCHCHMe)−NH
(R’はC〜Cアルキルであり、tは1〜50の整数であり、qは1〜10の整数である。)
【請求項11】
前記ポリエーテルアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項7に記載の便器洗浄ゲル。
[化6]
N−CHMeCH−(OCHCHMe)−(OCHCH−(OCHCHMe)−NH
(ここで、xは1〜50の整数であり、zは1〜20の整数であり、yは0〜10の整数である。)
【請求項12】
前記ポリエーテルアミンが、下記式を有するアミン化合物を含む、請求項7に記載の便器洗浄ゲル。
[化7]
R”−(OCHCH−(OCHCHR)−NH
(ここで、RはH又はMeであり、R”はC〜Cアルキルであり、dは平均で3〜10であり、bは平均で20〜50であり、前記アミン化合物は1,000〜3,000の平均分子量を有する。)
【請求項13】
前記塩基性製剤がさらにアルカノールアミンを含む、請求項1又は2に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項14】
前記便器洗浄ゲルが、さらに
(e)ポリオール保湿剤、
(f)香料成分、
(g)一種以上の補助剤、及び
(h)各々炭素数8〜15の炭素鎖を含む1種以上の直鎖第1級アルコールの中の一つ以上を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項15】
前記粘着促進剤が、アルコキシル化ポリオール部分エステル及び/又はポリエチレングリコール更に含む、請求項1に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項16】
前記ゲルが25℃で300,000〜800,000センチポアズ(cP)の粘度を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項17】
前記ゲルが、少なくとも2,500Paのゲル降伏点硬度を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項18】
前記ゲルが、50〜80℃のゲル溶融温度を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項19】
前記粘着促進剤が、平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22アルコールを含み、前記少なくとも1種の界面活性剤は、平均5〜12個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化直鎖及び/又は分岐鎖C〜C15アルコールを含む、請求項1に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項20】
鉱油をさらに含む、請求項1に記載の便器洗浄ゲル。
【請求項21】
便器洗浄ゲルであって、
(a)アルコキシル化アルコール、アルコキシル化ポリオール部分エステル、ポリエチレングリコール、及び/又は高分子アルキレン酸化物ブロック共重合体を含む粘着促進剤、
(b)アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤であって、少なくとも1種の界面活性剤の1種以上は全部又は一部が粘着促進剤として役立て得ること、
(c)ポリアルキレンポリアミン及び/又はポリエーテルアミンを含む塩基性製剤、及び
(d)水、を含み、
前記便器洗浄ゲルは、硬質表面への塗布時に自己粘着し、50〜90℃のゲル溶融温度を有し、25℃で少なくとも150,000センチポアズ(cP)の粘度を有するゲルであり、10重量%の前記便器洗浄ゲルと脱イオン水との平衡混合物は、少なくとも10のpHを有し、
前記便器洗浄ゲルが、
平均15〜35個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C16〜C18アルコールを20〜35重量%、
平均2〜15個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C10〜C15アルコールを1〜5重量%、
ポリアルキレンポリアミン、及び/又はポリエーテルアミンを0.5〜5重量%、
ポリエチレングリコールを0.5〜5重量%、
鉱油を0.1〜2重量%、
グリセリンを2〜10重量%、
親水性ポリアクリル酸塩を0.1〜2重量%、
香料成分を2〜10重量%、及び
水を少なくとも40重量%、を含む、便器洗浄ゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非腐食性高アルカリ性洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズ又はチュロス生地(食品産業)及びコーキング物質などの高粘性製品を送達するために噴射ガスを使用するエアロゾルシステムが知られている。一般に、このような用途では、製品製剤及び噴射ガスは、袋のようなバリアによって物理的に分離されている。袋の外部に存在する噴射剤は、袋の内部に収容された物質を送達するためにエアロゾルアクチュエータを作用させた後に袋を押す。送達される製品は、エアロゾル缶体及び弁カップ部品から物理的に隔離されているため、該製品と鋼のような合金との間の不適合性又は腐食可能性は問題ではない。このような技術(一般に弁入りの袋(bag−in−valve)又は缶入りの袋(bag−in−can)として知られている)は、一部の製品に広く採用されているが、これらの非伝統的なエアロゾル構成要素は、実施的に伝統的なエアロゾルディスペンサよりも製造ラインで取り扱うのに非常に高価で扱いにくい。従って、加工及びコストを考慮すると、このような非伝統的なエアロゾルシステムは、浴室洗浄剤のような特定のカテゴリーの製品には適していないと考えられている。現在、他の利用可能な対案は、アルミニウムのような不活性金属及び合金からなるエアロゾル缶の使用である。しかし、袋ベースの技術と同様に、アルミニウム部品は従来の鋼系エアロゾルディスペンサより高価である。
【0003】
残念なことに、典型的に粘性エアロゾル物質用ディスペンサとして使用される錫メッキ鋼缶は、典型的な便器洗浄ゲルのpH(例えば、約4〜6のpH)を有する物質と接触する場合、容易に腐食する。水含有製剤のpHを増加させると、製剤と接触する鋼の腐食を低減させる可能性があるが、所与の製剤の物性に対する塩基性物質の添加の効果は不明である。pHを変えるために洗浄ゲル物質へ塩基性物質を添加することによる、このような製剤の変形効果は、洗浄ゲルのゲルレオロジー、感覚特性、送達特性、持続性、表面粘着性及び/又は乾燥特性を変化させることができる。そのpHを上昇させるために洗浄ゲル製剤に塩基性製剤を添加する場合、そのレオロジープロファイル(例えば、ゲル点、降伏応力など)、表面粘着特性、濡れ性、保湿性、(例えば、複数の便器洗い流しの後の)水性環境における耐久性/溶解性プロフィール及び芳香機能などのゲルの他の好ましい特性に悪影響を及ぼさないように行うことが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、一般に洗浄組成物の分野、特に、便器の内面のような硬質表面の洗浄に特に有用であり得る洗浄組成物に関する。本出願は、典型的には、硬質表面、例えば垂直又は傾斜した硬質表面への塗布時に自己粘着する洗浄組成物を提供する。組成物は一般にゲルであり、好ましくはエアロゾル形態で塗布され得る。洗浄組成物は、水と、塩基性製剤(即ち、組成物中でアルカリ性の供給源として役立て得る化合物)と、典型的には各々少なくとも1つの親水性基を含む1種以上の有機化合物を含む粘着促進剤とを含む。洗浄組成物はまた、組成物と接触する水が少なくとも約10のpHを有する(例えば、10重量%の組成物と脱イオン水との平衡混合物は少なくとも約10のpHを有する)ように十分な量の塩基性製剤を含む。一般に、洗浄組成物はまた、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤の群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含み、1種以上の界面活性剤は全部又は一部が粘着促進剤として役立ててもよい。
【0005】
本洗浄組成物では、粘着促進剤は、多糖類、親水性合成高分子及び/又は1つ以上の親水性ポリアルコキシ基を含む有機化合物を含んでもよい。1つ以上の親水性ポリアルコキシ基を含む有機化合物の適切な例には、ポリエチレングリコール、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化ポリオール部分エステル及び高分子アルキレン酸化物ブロック共重合体が含まれる。例えば、粘着促進剤は、エトキシル化アルコール、エトキシル化ポリオール部分エステル、ポリエチレングリコール及び/又はエチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体を含んでもよい。
【0006】
本発明の洗浄組成物は、好ましくは、約50〜90℃、より一般には約55〜80℃のゲル溶融温度を有する。いくつかの例では、本発明の洗浄ゲルは、好ましくは約60〜70℃のゲル溶融温度を有してもよい。かなり典型的には、本発明の洗浄組成物は、25℃で少なくとも約150,000mPa・s、そして多くの場合25℃で少なくとも約250,000〜800,000mPa・sの粘度を有する。いくつかの実施形態では、本発明の洗浄組成物は、25℃で約800,000mPa・s以下の粘度を有してもよい。多くの実施形態では、洗浄組成物は、25℃で約300,000〜600,000mPa・sの粘度を有するゲル形態である。本発明の洗浄組成物のより高粘度の形態として、例えば、25℃で少なくとも約500,000mPa・s、そして多くの場合25℃で約600,000〜800,000mPa・sの粘度を有するものは、好ましくは少なくとも約2,500Paのゲル降伏点を有する。多くの実施形態では、洗浄組成物は、約2,500〜4,500Pa、いくつかの例では、約3,000〜4,000Paのゲル降伏点を有するゲル形態である。
【0007】
腐食の影響を受けやすい鋼又は他の物質から製造された容器に本発明の洗浄組成物のエアロゾル形態を容易に包装するために、塩基性pHを有する洗浄ゲルを製剤化することが有利であり得る。電気化学的促進腐食試験(accelerated electrochemical corrosion test)によると、本発明の洗浄組成物が、従来のエアロゾル成分(例えば、錫メッキ鋼容器)内で典型的に直面する金属との長期間の接触に適していることを実証した。本発明の洗浄組成物は、好ましくは、10重量%の洗浄組成物と脱イオン水との平衡混合物が少なくとも約10、少なくとも約10.5、一般に約10.5〜12のpHを有するように十分な量の塩基性製剤を含む。
【0008】
本発明の洗浄組成物に含まれる塩基性製剤は、アミン化合物及び/又は無機塩基性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類水酸化物など)を含んでもよい。塩基性製剤がアミンである場合、最終ゲル製剤中のアミンの有効濃度は、通常約30重量%以下、一般に約10重量%以下、より一般には約0.5〜5重量%である。塩基性製剤は、ポリアルキレンポリアミン、アルカノールアミン及び/又はポリエーテルアミンなどのアミン化合物を含んでもよい。塩基性製剤がアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類水酸化物を含む場合、最終ゲル製剤は、通常、このような無機塩基性物質を約3重量%以下、典型的には約0.05〜0.5重量%含む。非常に一般的な無機塩基性物質には、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムが含まれる。
【0009】
一実施形態は、粘着促進剤、塩基性製剤及び水を含む硬質表面処理用洗浄組成物を提供する。粘着促進剤は、少なくとも1つの親水性基を有する有機化合物を含む。洗浄組成物は、典型的には、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性及び双性イオン性界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤をも含み、1種以上の界面活性剤は全部又は一部が粘着促進剤として役立て得る。一般に、該組成物は硬質表面への塗布時に自己粘着性である。洗浄組成物は、一般に、10重量%の組成物と脱イオン水との平衡混合物が少なくとも約10のpHを有するように十分な量の塩基性製剤を含有する。粘着促進剤の適切な例には、多糖類、親水性合成高分子及び/又は1つ以上の親水性ポリアルコキシ基を含む有機化合物が含まれる。洗浄組成物はまた、ポリオール湿潤剤(例えば、グリセリン)、香料成分、粘着促進剤とは異なる非イオン性界面活性剤、鉱油などの1種以上の追加成分を含んでもよく、また1種以上の追加の補助剤を含んでもよい。例えば、洗浄組成物はまた、香料、錯化剤、及び/又は漂白剤などの1種以上の補助剤を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、活性成分を便器又は他の硬質表面の比較的広い領域に送達する利益を消費者に提供し得る。いくつかの実施形態では、自己粘着性組成物の安定性は、自己粘着性組成物を、高分子アルキレン酸化物ブロック共重合体(例えば、エチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体)又は他の界面活性剤と共にエトキシル化アルコールの特定のブレンドの組成物中へ包含することによって改善され得る。多くの実施形態では、硬質表面(例えば、便器内面など)上の組成物の容量は、それぞれの水の定期的な流れ(例えば、便器の洗い流し)の間及びその後に部分的に溶解して湿潤膜を提供し、該湿潤膜が典型的には硬質表面上の組成物からあらゆる方向に生じる。上記硬質表面上の組成物の容量から生じる湿潤膜は、硬質表面の即時及び後処理(residual test)のために、組成物の活性成分(例えば、洗浄性界面活性剤及び/又はスケール可溶化剤などの洗浄剤)の送達ビヒクルを提供し得る。該組成物は、組成物中に存在する少なくとも1種の活性製剤を湿潤膜を介して、容量配置のための所定の位置から離れた硬質表面の拡張領域に送達するために使用され得る。
【0011】
一態様では、本明細書に記載された自己粘着性洗浄組成物を使用して硬質表面を処理する方法も提供される。本発明の方法は、典型的には、例えば、組成物のエアロゾル形態を硬質表面の所定の部分に散布することによって、処理すべき硬質表面上に自己粘着性組成物の容量を直接塗布することを含む。水が自己粘着性組成物及び硬質表面を通過すると、該自己粘着性組成物の容量上に流れる水中にその自己粘着性組成物の一部が放出される。流れる水中に放出される自己粘着性組成物の一部は、硬質表面の少なくとも一部上に湿潤膜を提供し得る。例えば、上記方法は、便器の内測を処理するために使用されてもよい。任意の容量の自己粘着性組成物を便器の内面に直接塗布してもよい。便器が洗い流されると、水が自己粘着性組成物の容量を通過して自己粘着性組成物の一部が便器を通って流れる水中に放出される。
【0012】
さらに、当業者であれば、計量ディスペンサと組み合わせて使用する場合、ディスペンサは、意図される用途に適した任意の容積及び/又はサイズで組成物の容量を提供し得ることを理解するであろう。同様に、ディスペンサの形状は、所望される任意の形状であってもよい。例えば、例示的な実施形態では、本発明のゲル組成物を散布するために、好ましくはエアロゾル塗布を介してディスペンサが使用される。このようなディスペンサは、意図された目的に好ましい様々な形状で組成物を散布可能である。断面形状の非限定的な例は、正方形、円、三角形、楕円形、星形、リング状などから選択してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】様々な第1級、第2級及び第3級アルカノールアミンについてのpKaに対するpH(脱イオン水中の指定アミンの5重量%溶液の場合)のプロットのグラフである。
図2】3重量%の指示されたアミン又は0.15重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)のいずれかを含有する製剤Bに基づくゲルについてのゲル点(℃)対30℃での粘度(kcP)のプロットのグラフである。
図3】3重量%の指示されたアミン又は0.15重量%のNaOHのいずれかを含有する製剤Bに基づくゲルについてのゲル点(℃)対80℃での粘度(kcP)のプロットのグラフである。
図4】3重量%の指示されたアミン又は0.15重量%のNaOHのいずれかを含有する製剤A、B又はCのいずれかに基づくゲルについてのゲル点(℃)対30℃での粘度(kcP)のプロットのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
使用中、本発明の組成物は、便器、シャワー又は浴室の囲い、排水口、窓などの処理(例えば、洗浄)すべき硬質表面上に直接エアロゾルを塗布してもよく、自己粘着性組成物及び表面を通過する水の複数の流れなど、例えば、洗い流し、シャワー、すすぎなどによって好ましく自己粘着されてる。水が組成物の上を流れるたびに、組成物の一部は組成物上を流れる水の中に放出される。水中に放出された組成物の一部は、表面に連続的な湿潤膜を提供して、その結果、組成物中に存在する活性剤によって、即時及び長期の洗浄及び/又は消毒及び/又は芳香又は他の表面処理を提供する。組成物、さらに組成物の活性剤は、表面に直接接触して最初の組成物配置から広がるか、又は最初の組成物配置から送達されて、表面上の拡張領域を連続的に被覆すると考えられる。湿潤膜は被膜として作用し、すすぎ水の流れに対する方向を含む組成物からあらゆる方向、即ち360度で自己粘着性組成物から生じてもよい。液体の表面の動きは、その表面下の流体の動きと結合されるため、液体の運動は、通常、表面応力を生じさせ、逆もまた同様である。上記組成物は、便器の水ラインの上及び水ラインの下の表面上に所望の活性剤の送達及び保持を可能にするため、便器の表面を処理する際に特に有用であり得る。
【0015】
一態様では、洗浄組成物は、硬質表面に自己粘着することができ、該物質の腐食性を低減するための塩基性製剤を含んでもよい。塩基性製剤は、10重量%の組成物と脱イオン水との平衡混合物が少なくとも約10、より一般には少なくとも約10.5のpHを有するように十分な量で添加されることが好ましい。アミンが塩基性製剤として含まれる場合、最終ゲル製剤は通常、約10重量%以下、より一般には約0.5〜5重量%のアミンを含む。いくつかの例では、最終ゲル製剤は、塩基性製剤として、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類水酸化物を、通常このような無機塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウム)の約1重量%以下、典型的には約0.1〜0.5重量%含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤はアルカノールアミンを含む。塩基性製剤として使用するのに適したアルカノールアミンの例としては、エタノールアミン及び/又はプロパノールアミンが含まれる。アルカノールアミンは、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン及び/又はジグリコールアミンであってもよい。例えば、塩基性製剤は、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)及び/又はトリエタノールアミン(TEA)を含んでもよい。塩基性製剤として使用するための適切なアルカノールアミンの他の例には、N、N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N−メチルジエタノールアミン(BHEMA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及びO−(2−ヒドロキシエチル)エタノールアミン(DGA)が含まれる。
【0017】
アルカノールアミンはまた、下記式を有する化合物を含んでもよい。
[化1]
R’−(O−CH−CHR)−N−(CH−CH−O)−H−(CH−CH−O)−H
ここで、x、z及びyは1〜5の整数であり、R’はC10〜C16脂肪族基である。x及びzが2又は3であり、yが2であり、R’がC14脂肪族基であるこのようなアルカノールアミンの一例は、Huntsman Corporationによって商品名Surfonic PEA−25として販売されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、ポリアルキレンポリアミンを含んでもよい。適切なポリアルキレンポリアミンの例には、下記式を有するポリアルキレンポリアミンを含む。
[化2]
N−(CH−CHR−NH)−CH−CHR−NH及び/又は
N−(CH−CH−CH−NH)−CH−CH−CH−NH
ここで、RはH又はMeであり、n及びmは、0又は1〜5の整数である。典型的には、ポリアルキレンポリアミンは、式:HN−(CH−CH−NH)−CH−CH−NHを有する。いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、好ましくは、ポリアルキレンポリアミンとしてトリエチレンテトラアミン(TETA、n=2)及び/又はテトラエチレンペンタアミン(TEPA、n=3)を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤はポリエーテルアミンを含んでもよい。適切な例には、少なくとも3モルのエーテルサブユニットを含む分岐鎖ポリエーテルアミンが含まれる。塩基性製剤としての使用に適したポリエーテルアミンの例には、下記式を有する化合物が含まれる。
[化3]
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−NH
R”−(O−CHCH−(O−CH−CHR)−NH
R”−(O−CHCH−(O−CH−CHMe)−NH及び/又は
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−(O−CHCH−(O−CH−CHMe)−NH
ここで、RはH又はMeであり、R”は低級(C〜C)アルキル、典型的にはメチル及び/又はエチルであり、xは1〜50の整数であってもよく、zは1〜20の整数であってもよく、yは0〜10の整数であってもよい。
【0020】
下記式を有する適切なポリエーテルアミンの例としては、zが平均で約3〜10(好適には5〜7)であり、xが平均で約20〜50(好適には30〜40)である化合物が含まれる。
[化4]
R”−(O−CHCH−(O−CH−CHR)−NH
典型的には、このようなポリエーテルアミンは、約1,000〜3,000の平均分子量を有する。1つの適切な例は、Huntsman Corporationによって販売されているJEFFAMINE(登録商標)M−2070ポリエーテルアミンである。このポリエーテルアミンは、zが6でありかつxが約35である代表的な構造によって示されるように、共重合体主鎖に基づくモノアミンであり、約2,000の平均分子量を有する一官能性第1級アミンである。プロピレン酸化物/エチレン酸化物(PO/EO)モル比は一般に約1/3であり、ここで、(EO)についてはRはHでり、(PO)についてはRはCHである。
【0021】
下記式を有する適切なポリエーテルアミンの例としては、zが平均で約5〜15であり、x+yが約2〜8である化合物が含まれる。
[化5]
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−(O−CHCH−(O−CH−CHMe)−NH
典型的には、このようなポリエーテルアミンは、約400〜1,500の平均分子量を有する。適切な例には、Huntsman Corporationによって販売されているJEFFAMINE(登録商標)ED−600及びJEFFAMINE(登録商標)ED−900ポリエーテルアミンが含まれる。JEFFAMINE(登録商標)ED−600ポリエーテルアミンは、水溶性液体であり、プロピレン酸化物でキャップされたポリエチレングリコールから誘導された脂肪族ポリエーテルジアミンであり、約600の分子量を有する。示された構造において、JEFFAMINE(登録商標)ED−600についてzが約9であり、(x+y)が約3.6である。JEFFAMINE(登録商標)ED−900ポリエーテルアミンは、類似の構造を有し、水溶性であり、約900の分子量及び室温付近の融点を有する。示されている構造では、JEFFAMINE(登録商標)ED−900ついてzが約12.5であり、(x+y)が約6である。
【0022】
下記式を有する適切なポリエーテルアミンの例としては、xが平均で約2〜5である化合物が含まれる。
[化6]
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−NH
典型的には、このようなポリエーテルアミンは、約200〜300の平均分子量を有する。適切な1つの例には、Huntsman Corporationによって販売されるJEFFAMINE(登録商標)D−230ポリエーテルアミンである。このポリエーテルアミンは、主鎖にオキシプロピレン繰り返し単位を有することを特徴であり約230の平均分子量を有する二官能性第1級アミンである(xの平均は約2.5である)。
【0023】
特定の態様では、本発明の洗浄組成物は、アルコキシル化アルコールのような粘着促進剤、塩基性製剤、ポリオール保湿剤、鉱油、ポリエチレングリコール及び水を含んでもよい。該組成物はまた、アニオン性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコール硫酸エステル及び/又はスルホン酸エステルなど)、香料及び/又はC10〜C15脂肪アルコールを含んでもよい。例えば、洗浄組成物は、エキシル化アルコール、塩基性製剤、アニオン性硫酸エステル(例えばラウレス硫酸ナトリウムなど)、グリセリン、鉱油、ポリエチレングリコール及び水を含んでもよい。例示的な実施形態では、洗浄組成物は、平均15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコールを約20〜35重量%、ラウレス硫酸ナトリウムを約10〜25重量%、グリセリンを約2〜10重量%、ポリエチレングリコールを約0.5〜5重量%、鉱油を約0.5〜3重量%、及び水を少なくとも約40重量%を含む水系ゲルである。このような水系組成物はまた、香料成分を約1〜10重量%を含んでもよい。これらの組成物は、典型的には、塩基性製剤としてアミン化合物を約0.5〜5重量%含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩基性製剤として無機塩基性物質、例えば水酸化ナトリウムを約0.05〜0.5重量%含んでもよい。
【0024】
特定の態様では、本発明の洗浄組成物は、アルコキシル化脂肪アルコールのような粘着促進剤、塩基性製剤、ポリオール保湿剤、親水性ポリアクリル酸塩共重合体、エトキシル化C10〜C15アルコール非イオン性界面活性剤及び水を含んでもよい。水系組成物はまた、香料、ポリエチレングリコール及び/又は鉱油を含んでもよい。例えば、洗浄組成物は、エキシル化アルコール(例えば、平均15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコール)、塩基性製剤、グリセリン、平均2〜5個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C10〜C15アルコール、ペンダント第4級アンモニウム基を含む両性ポリアクリル酸塩共重合体(例えば、Rhodiaから入手可能なMIRAPOL SURF S)、及び水を含んでもよい。例示的な実施形態では、水系組成物は、平均約15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコールを約20〜35重量%、エトキシル化C10〜C15アルコールを約1〜5重量%、グリセリンを約2〜10重量%、両性ポリアクリル酸塩共重合体を約0.5〜2重量%及び水を少なくとも約40重量%を含むゲルである。このような水系組成物はまた、香料成分を約1〜10重量%、ポリエチレングリコールを約0.5〜5重量%及び/又は鉱油を約0.5〜3重量%含んでもよい。これらの組成物は、典型的には、塩基性製剤としてアミン化合物を約0.5〜5重量%含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩基性製剤として無機塩基性物質、例えば水酸化ナトリウムを約0.05〜0.5重量%含んでもよい。
【0025】
特定の態様では、本発明の洗浄組成物は、アルコキシル化脂肪アルコールのような粘着促進剤、塩基性製剤、ポリオール保湿剤、鉱油、カチオン性界面活性剤、及び水を含んでもよい。このような水系組成物はまた、香料成分及び/又は他の添加剤を含んでもよい。例えば、洗浄組成物は、エキシル化アルコール(例えば、平均15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコール)と、塩基性製剤と、グリセリンと、鉱油と、ペンダント第4級アンモニウム基を有するアルキルポリグルコシド誘導体のようなカチオン性界面活性剤と、水とを含んでもよい。例示的な実施形態では、水系組成物は、約15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコールを約20〜35重量%、鉱油を約0.5〜3重量%、グリセリンを約2〜10重量%、アルキルポリグルコシド誘導体を約1〜5重量%、及び水を少なくとも約40重量%を含むゲル(噴射剤の非存在下)である。このような水系組成物はまた、香料成分を約1〜10重量%を含んでもよい。これらの組成物は、典型的には、塩基性製剤としてアミン化合物を約0.5〜5重量%含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩基性製剤として無機塩基性物質、例えば水酸化ナトリウムを約0.05〜0.5重量%含んでもよい。
【0026】
特定の態様では、本発明の洗浄組成物は、アルコキシル化脂肪アルコールのような粘着促進剤、塩基性製剤、アニオン性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコール硫酸エステル及び/又はスルホン酸エステル)、ポリオール保湿剤、鉱油、親水性ポリアクリル酸塩共重合体及び水を含んでもよい。水系組成物はまた、香料成分を含んでもよい。例えば、洗浄組成物は、エキシル化アルコール(例えば、平均15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコール)と、アニオン性硫酸エステル(例えば、ラウレス硫酸ナトリウム)と、グリセリンと、鉱油と、ペンダント第4級アンモニウム基を含む両性ポリアクリル酸塩共重合体(例えば、Rhodiaから入手可能なMIRAPOL SURF S)と、水とを含んでもよい。例示的な実施形態では、水系組成物は、約15〜40個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22脂肪アルコールを約20〜35重量%、ラウレス硫酸ナトリウムを約10〜25重量%、両性ポリアクリル酸塩共重合体を約0.1〜3重量%、グリセリンを約2〜10重量%、鉱油を約1〜3重量%、及び水を少なくとも約40重量%を含むゲル(噴射剤の非存在下)である。このような水系組成物はまた、香料成分を約1〜10重量%を含んでもよい。これらの組成物は、典型的には、塩基性製剤としてアミン化合物を約0.5〜5重量%含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩基性製剤として無機塩基性物質、例えば水酸化ナトリウムを約0.05〜0.5重量%含んでもよい。
【0027】
特定の態様では、洗浄組成物は、アルコキシル化アルコール(例えば、エトキシル化アルコール)、高分子アルキレン酸化物ブロック共重合体(例えば、エチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体)、塩基性製剤、鉱油及び水を含む。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、天然又は合成高分子樹脂、ポリオール湿潤剤(例えばグリセリン、ソルビトール及び/又は他の糖アルコールなど)、及び/又はアルコキシル化アルコールではないアニオン性及び/又は両性及び/又は非イオン性界面活性剤などの1種以上の追加成分を含んでもよい。任意に、洗浄組成物はまた、香料、錯化剤及び/又は漂白剤などの1種以上の補助剤を含んでもよい。アルコキシル化アルコール成分は、様々なエトキシル化度を有するエトキシル化アルコールの混合物を含んでもよい。例えば、エトキシル化アルコール成分は、平均約20〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C30アルコール及び平均約5〜15のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C〜C15アルコールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、このような組成物は、少なくとも約2,500Paのゲル降伏点及び/又は約50〜80℃のゲル溶融温度を有するゲルであってもよい。
【0028】
他の態様では、洗浄組成物は、粘着促進剤がエトキシル化アルコール、例えば平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C12〜C30アルコール、エチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体、塩基性製剤、鉱油、及び水を含む粘着性洗浄組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、平均20〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C30アルコールである第1級エトキシル化アルコールを約15〜40重量%、エチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体を約1〜15重量%、鉱油を約0.5〜10重量%、塩基性製剤及び水を含んでもよい。これらの組成物は、典型的には、塩基性製剤としてアミン化合物を約0.5〜5重量%含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩基性製剤として無機塩基性物質、例えば水酸化ナトリウムを約0.05〜0.5重量%含んでもよい。洗浄組成物は、多くの場合、平均約5〜15個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C〜C15アルコールも含んでもよい。
【0029】
本発明の組成物はまた、非イオン性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性及び/又は両性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される界面活性剤を含んでもよく、界面活性剤は粘着促進剤とは異なる。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を約20重量%以下、約0.1重量%〜15重量%、約0.5〜10重量%、約1〜約5重量%、又は約10〜20重量%を含んでもよい。界面活性剤は、粘着促進剤とは異なる1種以上のアルコキシル化アルコールを含んでもよい。アルコキシル化アルコールは、1種以上のエトキシル化アルコールを含んでもよい。エトキシル化アルコールは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、エトキシル化アルコールは、平均5〜15個のエチレン酸化物単位、より一般には5〜12個のエチレン酸化物単位を有するC〜C16アルコールを含んでもよい。典型的には、存在する場合、エトキシル化アルコールとしては、平均5〜12個のエチレン酸化物単位を有するC〜C15直鎖及び/又は分岐鎖アルコールが含まれる。非限定的な例としては、平均10個のエチレン酸化物単位を有する分枝鎖イソC13アルコールエトキシレートであるゲナポール(登録商標)X−100(CLARIANTから入手可能)である。
【0030】
本発明の洗浄組成物中に非イオン性界面活性剤として存在し得る他のエトキシル化アルコールとしては、平均4〜12個のエチレン酸化物単位を有するC〜C15アルコールを含む直鎖又は分岐鎖エトキシ化アルコールが含まれる。非限定的な例としては、平均6個のエチレン酸化物単位を有するC〜C11エトキシル化アルコールであるTomadol(登録商標)91−6、平均8個のエチレン酸化物単位を有する合成C13〜C15エトキシル化オキソアルコールであるLUTENSOL(登録商標)AO−8(BASFから入手可能)、平均7個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化ラウリルアルコールであるゲナポール(登録商標)LA 070S(CLARIANTから入手可能)、及び7個のエチレン酸化物単位を有する分岐鎖第2級エトキシル化アルコールであるTERGITOL(登録商標)15−S−7(DOW Chemicalから入手可能)が含まれる。適切なエトキシル化直鎖アルコールの他の例としては、例えば平均5〜12個のエチレン酸化物単位を有するC10〜C15 n−アルキル基を有するエトキシル化直鎖アルコールが含まれる。非限定的な例としては、平均10個のEO基を有するエトキシル化トリデシルアルコールであるLUTENSOL(登録商標)TDA 10(BASFから入手可能)が含まれる。
【0031】
存在し得る他の非イオン性界面活性剤としては、第2級エトキシル化アルコール、例えばC11〜C15第2級エトキシル化アルコールが含まれるが、これら限定されない。使用に適した第2級エトキシル化アルコールは、TERGITOL(登録商標)(Dow Chemicalから入手可能)の商品名で販売されている。例えば、TERGITOL(登録商標)15−S、より詳細にはTERGITOL(登録商標)15−S−12は、平均約12個のエチレン酸化物基を有するC11〜C15第2級エトキシレートアルコールである。
【0032】
他の例示的な有用な非イオン性界面活性剤としては、様々な公知の非イオン性界面活性剤化合物が含まれる。実際には、窒素に遊離水素が結合したカルボキシ、ヒドロキシ、アミド又はアミノ基を有する任意の疎水性化合物は、エチレン酸化物又はその多水化生成物、ポリエチレングリコールと縮合して、様々な水溶解度を有する非イオン性界面活性剤化合物を形成し、これは疎水性及び親水性ポリエチレンオキシ要素の相対的長さに依存する。例示的な非イオン性化合物には、アルキル芳香族ヒドロキシ化合物のポリオキシエチレンエーテル、例えばアルキル化ポリオキシエチレンフェノール、長鎖脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル(例えばエトキシル化アルコール)、疎水性プロピレン酸化物高分子のポリオキシエチレンエーテル及び高級アルキルアミン酸化物が含まれる。
【0033】
任意に洗浄組成物中に存在し得る更なる非イオン性界面活性剤はアルキルポリグリコシド(例えば、Glucopon(登録商標)425N)である。適切なアルキルポリグリコシドとしては、アルカリ性でありかつ電解質に安定な周知の非イオン性界面活性剤が含まれる。アルキルモノ及びポリグリコシドは、一般に、単糖類又は単糖類に加水分解可能な化合物を、酸性媒質中の脂肪アルコールのようなアルコールと反応させることによって調製される。脂肪アルコールは、約8〜30個、典型的には8〜18個の炭素原子を有してもよい。このようなアルキルグリコシドの例としては、50%C〜C11アルキルポリグリコシド(Henkel Corp、Ambler Paから市販されている)と報告されているAPG 325 CS GLYCOSIDEと50%C10〜C16アルキルポリグリコシドと報告されているGLUCOPON(登録商標)625 CSが含まれる。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、平均5〜12個のエチレン酸化物単位を有するアルキルポリグリコシド及び/又はエトキシル化C〜C15アルコールを含んでもよい。
【0034】
本発明の組成物に使用するのに適したアルキルポリグリコシドは、下記式であってもよい。
[化7]
RO−(R’O)−Z
ここで、Rは8〜20個の炭素原子を含む1価の脂肪族ラジカルであり(脂肪族基は直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和であってもよい)、R’は2〜4つの炭素原子を含む2価のアルキルラジカル、好ましくはエチレン又はプロピレンであり、xは平均値が約0〜約12の数であり、Zはグルコース、ガラクトース、グルコシル又はガラクトシル残基などの5又は6つの炭素原子を含む還元糖部分であり、nは平均値が約1〜約10の数である。いくつかの例示的なアルキルポリグリコシドは、GLUCOPON(登録商標)(ここで、Zはグルコース部分であり、xは0である)の名称で販売されている。
【0035】
更なる適切な非イオン性界面活性剤には、直鎖アルキルアミン酸化物が含まれる。典型的な直鎖アルキルアミン酸化物としては、式:R−N(R)(R)Oの水溶性アミン酸化物が含まれ、ここで、Rは典型的にはC〜C18アルキル部分であり、R及びR部分は典型的には水素、C〜Cアルキル基、及びC〜Cヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。多くの場合、RはC〜C18n−アルキルであり、R及びRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル及び/又は3−ヒドロキシプロピルである。直鎖アミン酸化物界面活性剤は、特に、直鎖C10〜C18アルキルジメチルアミン酸化物及び直鎖C〜C12アルコキシエチルジ(ヒドロキシエチル)アミン酸化物を含んでもよい。特に適切なアミン酸化物には、直鎖C10、直鎖C10〜C12、及び直鎖C12〜C14アルキルジメチルアミン酸化物が含まれる。アミン酸化物非イオン性界面活性剤の他の例としては、アルキルアミドプロピルアミン酸化物、例えばラウリル/ミリスチルアミドプロピルアミン酸化物(例えば、ラウリル/ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン酸化物)が含まれる。
【0036】
更なる適切な非イオン性界面活性剤には、ポリエトキシ化脂肪エステルが含まれる。これらには、例えば、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート及び/又はソルビタンモノステアレート、及びポリエトキシル化ヒマシ油が含まれる。このような界面活性剤の特定の例は、エチレン酸化物(例えば、10〜25モル)とソルビタンモノオレエートとの縮合生成物及びエチレン酸化物(例えば、20〜40モル)とヒマシ油との縮合生成物である。
【0037】
組成物は、鉱油、ポリオール保湿剤、及び補助剤の中の1つ以上をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、鉱油、ポリオール保湿剤、抗菌剤、及び香料成分の中の1つ以上をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、鉱油を約10重量%以下、約0.1〜5重量%、又は約0.2〜3重量%含んでもよい。
【0038】
適切なポリオール湿潤剤の例としては、グリセリン、グリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコールなど)、糖アルコール類(例えば、ソルビトール、キシリトール、及びマルチトールなど)、糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、又はグルコシル又はガラクトシル残基を有する化合物など)、及びこれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物はポリオール保湿剤を約20重量%以下、又はより一般には約1重量%〜10重量%含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、グリセリンを約1重量%〜10重量%又は約1重量%〜5重量%含んでもよい。
【0039】
本明細書で使用する補助剤としては、追加の機能性物質のような成分又は製剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、機能性物質は、洗浄組成物に所望の特性及び機能性を提供するために含まれ得る。この適用の目的上、用語「機能物質」は、濃縮液及び/又は使用溶液、例えば水溶液に分散又は溶解されたときに、特定の用途について有益な特性を提供する物質を含む。本発明の組成物は、任意に他の汚れ消化成分、界面活性剤、消毒剤、洗剤充填材、清浄剤、酸味料、錯化剤、殺生剤及び/又は殺菌剤、腐食防止剤、再付着防止剤、泡抑制剤、二酸化チタンのような不透明化剤、染料、漂白剤(過酸化水素及び他の過酸化物)、酵素、酵素安定化系、ビルダー、増粘剤又はゲル化剤、湿潤剤、分散剤、安定剤、分散剤高分子、洗浄化合物、pH調整剤(酸及びアルカリ剤)、汚れ防止剤、及び/又は香料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、香料成分を、約10重量%以下、約1重量%〜10重量%、又は約2重量%〜8重量%含んでもよい。
【0040】
一実施形態では、本技術による組成物は、単位容量を提供するディスペンサに提供されてもよい。特定の実施形態では、単位容量は、約4g/容量〜約10g/容量であってもよい。他の実施形態では、単位容量は、約5g/容量〜約9g/容量であってもよい。さらに他の実施形態では、ディスペンサは、約6/容量〜約8g/容量の単位容量を提供してもよい。いくつかの実施形態では、ディスペンサは、約3〜約12の単位容量を提供してもよい。いくつかの実施形態では、ディスペンサは、追加の組成物で再充填されてもよい。
【0041】
本明細書で使用される「組成物」とは、2つ以上の成分を有する任意の固体、ゲル及び/又はペースト物質を指す。
【0042】
本明細書で使用される、「自己粘着」又は「自己粘着剤」とは、別個の粘着剤又は他の補助装置を必要とせずに、硬質表面上に粘着する組成物の能力を指す。一実施形態では、自己粘着性組成物は、一端組成物が使い尽くされると、残存物又は他の物質(即ち、追加の粘着剤)を残さない。
【0043】
本明細書で使用される「ゲル」とは、非ゼロの降伏応力を有する相互に作用する粒子又は高分子の網を有する液体からなる不規則な固体を指す。
【0044】
本明細書で使用される「香料」とは、任意の香水、臭気除去剤、臭気マスキング剤など、及びそれらの組み合わせを指す。いくつかの実施形態では、香料は、消費者又はユーザの嗅覚に影響を及ぼす可能性がある物質である。
【0045】
本明細書で使用される「重量%」とは、全製剤中の成分の重量百分率を指す。例えば、市販されている製剤Xの商業的組成物は、70%の活性成分Xのみ含有してもよい。従って、10gの市販の組成物は、7gのXのみ含有する。10gの市販の組成物を90gの他の成分に添加すると、X量(重量%)はわずか最終製剤の7%である。
【0046】
本明細書で使用される「硬質表面」とは、任意の多孔質及び/又は非多孔質表面を指す。一実施形態では、硬質表面は、セラミック、ガラス、金属、高分子、石、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。この適用の目的上、硬質表面は、シリコンウェハ及び/又は他の半導体基板物質を含まない。セラミック表面の非限定的な例としては、便器、シンク、シャワー、タイルなど、及びそれらの組み合わせが含まれる。ガラス表面の非限定的な例としては、窓などが含まれる。金属表面の非限定的な例としては、排水管、シンクなどが含まれる。高分子表面の非限定的な例としては、PVC配管、ガラス繊維、アクリル、Corian(登録商標)などが含まれる。石の硬質表面の非限定的な例としては、花崗岩、大理石などが含まれる。
【0047】
硬質表面は、任意の形状、サイズ、又はその所望の目的に適した任意の配向を有してもよい。1つの非限定的な例では、硬質表面は、垂直構成に配向されてもよい。別の非限定的な例では、硬質表面は、セラミック便器のような曲面の表面であってもよい。さらに別の非限定的な例では、硬質表面は、垂直及び水平要素を有する管の内側であってもよく、湾曲要素を有してもよい。硬質表面の形状、サイズ及び/又は配向は、以下に記載する条件下における組成物の予想外に強い輸送特性のために、本発明の組成物に影響しないと考えられる。
【0048】
本明細書で使用される「界面活性剤」とは、液体、例えば水の表面張力を低下させる任意の製剤を指す。本発明の組成物と共に使用するのに適した例示的な界面活性剤は以下に記載されている。一実施形態では、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。一実施形態では、洗浄組成物は、カチオン性界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、アニオン界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。
【0049】
本明細書中で使用される「実質的に含まない」とは、約0.1重量%未満のを含むか、又は検出可能な量の成分を含まない組成物を指す。
【0050】
本明細書で使用される「ゲル溶融温度」とは、ゲル組成物がゲルの温度が上昇するにつれて約100cps未満の粘度に転移する温度を指す。測定は、750マイクロンの間隙、5℃/分の温度勾配、30℃〜80℃の温度範囲及び5s−1のせん断速度を有する4cmステンレス鋼平行板形状を使用するTA Instruments AR2000 Advanced Seriesレオメーターを使用して行われる。一実施形態では、ゲル溶融温度は、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、又は少なくとも約60℃であってもよい。他の実施形態では、ゲル溶融温度は、約80℃以下、約75℃以下、又は約70℃以下であってもよい。ゲル溶融温度は、約50℃〜80℃の範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、ゲル溶融温度は、約55℃〜75℃、又はより好ましくは約60℃〜70℃であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される「ゲル降伏点」とは、組成物が固体の弾性状態から粘性の流体状態に移行するのに必要な最小応力を指す。本明細書で言及されるように、ゲル降伏点は、750マイクロンの間隙、5℃/分の温度勾配、30℃〜80℃のの温度範囲、及び5s−1のせん断速度を有する4cmステンレス鋼平行板形状を使用するTA Instruments AR2000 Advanced Seriesレオメーターを使用して決定される。いくつかの実施形態では、本発明のゲル組成物は、約2,500〜4,500Pa、より好ましくは約3,000〜4,000Paの降伏点を有してもよい。
[実施例]
【0052】
以下の実施例は、上記の様々な実施形態による本発明の洗浄組成物をより具体的に説明することを意図している。これらの実施例は、決して本技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0053】
以下の表1は、本出願による非腐食性ゲルの多くの例示的製剤の組成を示す。製剤(A、B又はC)は、塩基性製剤として約1〜4重量%のアミン又は0.1〜0.3重量%のNaOHを添加して調製してもよい。任意の塩基性製剤を添加していない対応する製剤のゲル点及び粘度(30℃で単位kcP)を比較の目的で表に記載する。
【0054】
3重量%の種々のアミン又は0.15重量%のNaOHを含む製剤(B)の調製後にパターン化し、得られたゲルのゲル点及び粘度を測定した。種々のアルカノールアミン(MEA、TEA、DGA及びBHEMA)、ポリエーテルアミン(JEFFAMINE(登録商標)D−230、ED 600、ED 900及びM−2070)及びポリアルキレンポリアミン(TETA及びTEPA)を使用して例示的ゲルを調製した。図2は、ゲル点及び周辺温度粘度についてこれらの塩基性製剤を含むことの相対的効果を示す。アルカノールアミンMEA及びDGA、ポリエーテルアミンD−230、ED 600、ED 900及びM−2070及びポリアルキレンポリアミンTETA及びTEPAの添加は、塩基性製剤を添加しない対応する製剤に非常に類似したゲル点(例えば約62〜66℃のゲル点)を有するゲルを生成した。アルカノールアミンMEA、BHEMA及びDGA、ポリエーテルアミンD−230及びポリアルキレンポリアミンTETA及びTEPAの添加により、30℃で300〜700kcPの粘度を有するゲルが得られた。
【0055】
図3は、ゲルの(80℃での)高温粘度について製剤(B)中に種々の塩基性製剤を含むことの相対的効果を示す。このような温度でより低い粘度を有するゲルは、このようなゲルから形成される製品の製造プロセスを容易にし得る。図3は、製剤(B)に基づく種々のゲルについての80℃でのゲル点(℃)対粘度(cP)のプロットのグラフである。試験したゲルの大部分は、この高温で約250cP以下の粘度を示す。特に注目すべきは、アルカノールアミンMEA、BHEMA及びDGA、ポリエーテルアミンD−230、ED 600、ED 900及びM−2070、及びポリアルキレンポリアミンTETA及びTEPAの添加を含むゲルである。
【0056】
【表1】
【0057】
図4は、ゲルのゲル点及びゲルの周辺温度粘度に関する製剤(A)、(B)又は(C)における様々な塩基性製剤を含む相対的効果を示す。これらの特性を目的とする「理想的な領域」は、約55〜70℃のゲル点及び約300,000〜700,000cPの(30℃での)粘度である。多くの実施形態は、アルカノールアミンMEA、BHEMA又はDGAを含むか又はNaOHが添加された製剤(B)に基づくゲルを含むこれらの基準を満たす。NaOHが添加された製剤(A)及びアルカノールアミンMEA、BHEMA又はDGAを含むか又はNaOHが添加された製剤(C)に基づくゲルは、許容粘度の目標範囲(30℃で150,000cP超過)内でゲル点を示した。
[例示的な実施形態]
【0058】
以下では、本明細書に記載される主題の多くの例示的な実施形態が参照される。以下の実施形態は、本明細書に記載される主題の様々な特徴、特性、及び利点を含んでもよい例示的な実施形態を記載する。従って、以下の実施形態は、全ての可能な実施形態を網羅していると見なされるべきではなく、本明細書に記載の方法、物質及び組成物の範囲を制限するものではない。
【0059】
一実施形態は、少なくとも1つの親水性基を有する有機化合物を含む粘着促進剤、塩基性製剤及び水を含む硬質表面処理用洗浄組成物を提供する。洗浄組成物は、典型的には、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性及び双性イオン性界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤をも含み、1種以上の界面活性剤は全部又は一部が粘着促進剤として役立て得る。一般に、洗浄組成物は硬質表面への塗布時に自己粘着性である。洗浄組成物は、一般に、10重量%の組成物と脱イオン水との平衡混合物が少なくとも約10のpHを有するように十分な量の塩基性製剤を含有する。粘着促進剤の適切な例には、多糖類、親水性合成高分子及び/又は1つ以上の親水性ポリアルコキシ基を含む有機化合物が含まれる。例えば、粘着促進剤は、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンなどの親水性合成高分子を含んでもよい。いくつかの例では、粘着促進剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、寒天、ゼラチンガム、アカシアガム、イナゴマメ粉及び/又はグアーガムなどの多糖類を適切に含んでもよい。一般に、粘着促進剤は、少なくとも1つの親水性ポリアルコキシ基を含む有機化合物を含む。このような有機化合物の適切な例としては、ポリエチレングリコール、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化ポリオール部分エステル及び/又は高分子アルキレン酸化物ブロック共重合体が含まれる。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、鉱油、ナフテン油、及び/又はパラフィン油などの低蒸気圧、高引火点の炭化水素又は炭化水素混合物も含んでもよい。多くの実施形態では、洗浄組成物は、25℃で少なくとも約150,000mPa・s、より一般には25℃で約250,000〜600,000mPa・sの粘度を有するゲルである。
【0060】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、ポリアルキレンポリアミン、アルカノールアミン及び/又はポリエーテルアミンを含むアミン化合物を含む。洗浄組成物は、アミン化合物を約10重量%以下含んでもよい。適切には、洗浄組成物は、アミン化合物を約0.5〜10重量%、一般に約1〜5重量%含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類水酸化物を含む。洗浄組成物は、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類水酸化物を約3重量%以下含んでもよい。塩基性製剤がアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類水酸化物を含む場合、最終ゲル製剤は、通常、このような無機塩基性物質を約1重量%以下、典型的には約0.05〜0.5重量%含む。多くの場合、最終ゲル製剤は水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを約0.1〜0.3重量%含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤はアルカノールアミン、例えばモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン及び/又はジグリコールアミンを含む。適切なアルカノールアミンの例としては、エタノールアミン及び/又はプロパノールアミンが含まれる。適切なアルカノールアミンの他の例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N−メチルジエタノールアミン(BHEMA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び/又はO−2−ヒドロキシエチル)エタノールアミン(DGA)が含まれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、ポリアルキレンポリアミン、例えば、下記式を有するポリアルキレンポリアミンを含んでもよい。
[化8]
N−(CH−CHR−NH)−CH−CHR−NH及び/又は
N−(CH−CH−CH−NH)−CH−CH−CH−NH
ここで、RはH又はMeであり、n及びmは、0,1,2,3又は4である。典型的には、ポリアルキレンポリアミンは、式:HN−(CH−CH−NH)−CH−CH−NHを有する(ここで、nは1、2及び/又は3である)。
【0064】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、下記式を有するポリエーテルアミンを含んでもよい。
[化9]
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−NH
ここで、zは平均で約3〜10(好適には5〜7)であり、xは平均で約20〜50(好適には30〜40)である。このようなポリエーテルアミンは、約1,000〜3,000の平均分子量を有してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、下記式を有するポリエーテルアミンを含んでもよい。
[化10]
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−(O−CHCH−(O−CH−CHMe)−NH
ここで、zは平均で約5〜15であり、x+yは約2〜8である。このようなポリエーテルアミンは、約400〜1,500の平均分子量を有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、塩基性製剤は、下記式を有するポリエーテルアミンを含んでもよい。
[化11]
N−CHMe−CH−(O−CH−CHMe)−NH
ここで、xは平均で約2〜5であり、ポリエーテルアミンは典型的に約200〜300の平均分子量を有する。
【0067】
多くの実施形態では、洗浄組成物は、エトキシル化アルコール、エチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体及び/又はポリエチレングリコールを含む粘着促進剤を含む。例えば、粘着促進剤は、平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22アルコール及びエチレン酸化物−プロピレン酸化物ブロック共重合体を含んでもよい。このようなゲルはまた、一般に鉱油と、ポリオール保湿剤と、任意に香料成分とを含む。
【0068】
一実施形態では、洗浄組成物は、粘着促進剤として平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22アルコールを含むゲルである。該組成物はまた、ポリオール保湿剤と、親水性ポリアクリル酸塩と、各々炭素数8〜15の炭素鎖を含む平均2〜10個のエチレン酸化物単位を有する1種以上のエトキシル化直鎖第1級アルコールと、任意に香料成分とを含む。このようなゲルは、好ましくは、塩基性製剤としてDGA、MEA、BHEMA、TETA、TEPA及び/又はED 600を含んでもよい。
【0069】
一実施形態では、洗浄組成物は、ポリエチレングリコール及び平均15〜50個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C14〜C22アルコールを含み、また、ポリオール保湿剤と、親水性ポリアクリル酸塩と、各々炭素数8〜15の炭素鎖を含む1種以上の直鎖第1級アルコールと、アニオン界面活性剤と、任意に香料成分とを含むゲルである。このようなゲルは、好ましくは塩基性製剤としてアルカノールアミン、例えばDGA、MEA及び/又はBHEMAを含んでもよい。他の実施形態では、このようなゲルは、塩基性製剤としてポリアルキレンポリアミン、例えばトリエチレンテトラアミン(TETA)及び/又はテトラエチレンペンタアミン(TEPA)を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、粘着促進剤を含み、25℃での少なくとも約150,000cP、一般に約300,000〜800,000センチポアズ(cP)の粘度を有するゲルである。ゲルは、平均20〜35個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化直鎖C14〜C22第1級脂肪族アルコールを含む粘着促進剤を適切に含んでもよい。ゲルは、典型的には、約50〜80℃、より好ましくは約55〜70℃のゲル溶融温度を有する。いくつかの例では、ゲルは少なくとも約2,500Paのゲル降伏点を有してもよい。該組成物は、1種以上のポリオール保湿剤、香料成分、粘着促進剤とは異なる非イオン性界面活性剤、鉱油及び/又は1種以上の補助剤を含んでもよい。多くの例では、ゲルは、塩基性製剤として、DGA、MEA、DEA、TEA、BHEMA、TETA、TEPA、ED 600、ED 900、D230及び/又はM2070などのアミンを含むことが好ましい。塩基性製剤として、DGA、MEA、DEA、TEA、BHEMA、TETA及び/又はTEPAを含むこのようなゲルを形成することが特に有利であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、平均15〜35個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C16〜C18アルコールを約20〜35重量%、平均2〜15個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C10〜C15アルコールを約1〜5重量%、ポリアルキレンポリアミン、アルカノールアミン及び/又はポリエーテルアミンを含むアミン化合物を約0.5〜5重量%、ポリエチレングリコールを0〜約5重量%、鉱油を約0.1〜2重量%、グリセリンを約2〜10重量%、親水性ポリアクリル酸塩を約0.1〜2重量%、香料成分を約2〜10重量%、及び水を少なくとも約40重量%を含むゲルである。
【0072】
いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、平均15〜35個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C16〜C18アルコールを約20〜35重量%、平均2〜15個のエチレン酸化物単位を有するエトキシル化C10〜C15アルコールを約1〜5重量%、水酸化ナトリウムを約0.05〜0.5重量%、ポリエチレングリコールを0〜約5重量%、鉱油を約0.1〜2重量%、グリセリンを約2〜10重量%、親水性ポリアクリル酸塩を約0.1〜2重量%、香料成分を約2〜10重量%、及び水を少なくとも約40重量%を含むゲルである。
【0073】
(添付された)スキームAは、本発明の洗浄ゲルにおける使用に適した多くの例示的なアミン化合物の構造を示す。
【0074】
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示された方法及び組成物に様々な置換及び変更を施すことができることは、当業者には容易に明らかであろう。使用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、このような用語および表現の使用において、図示および説明された特徴の等価物またはその一部を除外することは意図されていないが、本発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。従って、本発明は、特定の実施形態及び任意の特徴によって例示されているが、本明細書に開示された概念の変更及び/又は変形は、当業者によって採用されてもよく、このような変更及び変形が本発明の範囲内にあると理解されるべきである。
【0075】
加えて、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群又は代替の他の集団に関して記載されている場合、当業者は、本発明がそれによってマーカッシュ群又は他の群中の部材の任意の個々の部材又は下位群に関して記載されることを認識するであろう。
【0076】
また、逆に示されない限り、様々な数値が実施形態に提供される場合、追加の実施形態は、任意の2つの異なる値を範囲の端点として取ることによって記載される。このような範囲も、記載された発明の範囲内である。
図1
図2
図3
図4