(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記挟持片は、前記毛先を挟持する方向の最大幅W1と、前記高さ方向の最大幅W2との比であるW1/W2が0.5以上であることを特徴とする請求項1記載の毛抜き方法。
前記第2移動工程で前記複数の挟持片と前記ヘッド部との相対移動速度に応じた回転速度で前記複数の挟持片を前記軸線周りに回転させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の毛抜き方法。
前記抜き取り工程の後に、少なくとも前記所定高さから飛び出した前記不良毛の有無を再検出する工程を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の毛抜き方法。
前記挟持片は、前記毛先を挟持する方向の最大幅W1と、前記高さ方向の最大幅W2との比であるW1/W2が0.5以上であることを特徴とする請求項7記載の毛抜き装置。
前記駆動制御部は、前記挟持片の外周面に前記不良毛を巻き付けさせる際に、記複数の挟持片を前記軸線周りに1/2回転以上回転させることを特徴とする請求項7または8記載の毛抜き装置。
前記駆動制御部は、前記毛先を挟持した前記複数の挟持片を前記第1位置から前記第2位置に配置する間に、前記複数の挟持片と前記ヘッド部との相対移動速度に応じた回転速度で前記複数の挟持片を前記軸線周りに回転させることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の毛抜き装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、品質不良およびコスト増を抑制できる毛抜き方法、毛抜き装置、歯ブラシ製造方法および歯ブラシ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、ヘッド部の植毛面に所定高さでテーパー毛の毛束が平線を用いて植毛された歯ブラシにおける前記所定高さよりも飛び出した不良毛の毛抜き方法であって、前記所定高さから飛び出した前記不良毛における毛先の前記高さ方向の位置及び前記ヘッド部の長さ方向の位置を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した毛先の位置に基づいて、前記ヘッド部の幅方向に前記植毛面と平行に延在し、前記ヘッド部の幅よりも長く設けられ、離間した複数の挟持片と前記ヘッド部とを相対移動させ、離間した複数の挟持片の間に前記毛先を配置する第1移動工程と、前記複数の挟持片の少なくとも一つを移動させて前記複数の挟持片により前記毛先を前記高さ方向の第1位置で挟持させる挟持工程と、前記毛先を挟持した前記複数の挟持片と前記ヘッド部とを相対移動させ、前記第1位置よりも前記植毛面に近い第2位置に前記毛先を挟持した前記複数の挟持片を配置する第2移動工程と、前記毛先を挟持した前記複数の挟持片を前記第1位置よりも前記植毛面に近い位置で前記高さ方向と交差する軸線周りに回転させて、前記挟持片の外周面に前記不良毛を巻き付ける巻き付け工程と、前記不良毛を巻き付けた前記複数の挟持片と前記ヘッド部とを相対移動させ、前記不良毛を巻き付けた前記複数の挟持片を前記第1位置よりも前記植毛面から離れた第3位置に配置する工程と、を含むことを特徴とする毛抜き方法が提供される。
【0008】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き方法において、前記挟持片は、前記毛先を挟持する方向の最大幅W1と、前記高さ方向の最大幅W2との比であるW1/W2が0.5以上であることを特徴とする。
【0009】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き方法において、前記巻き付け工程においては、前記複数の挟持片を前記軸線周りに1/2回転以上回転させることを特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き方法において、前記第2移動工程で前記複数の挟持片と前記ヘッド部との相対移動速度に応じた回転速度で前記複数の挟持片を前記軸線周りに回転させることを特徴とする。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き方法において、前記抜き取り工程の後に、少なくとも前記所定高さから飛び出した前記不良毛の有無を再検出する工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様に従えば、ヘッド部の植毛面に所定高さでテーパー毛の毛束を平線を用いて植毛する植毛工程と、前記植毛工程で植毛された前記テーパー毛を検査する検査工程と、前記所定高さから飛び出した不良毛を、本発明の第1の態様の毛抜き方法で抜き取る工程とを含むことを特徴とする歯ブラシ製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第3の態様に従えば、ヘッド部の植毛面に所定高さでテーパー毛の毛束が平線を用いて植毛された歯ブラシにおける前記所定高さよりも飛び出した不良毛の毛抜き装置であって、前記所定高さから飛び出した前記不良毛における毛先の位置を検出する検出部と、前記毛先を挟持可能な複数の挟持片と、前記毛先を挟持する位置と、前記毛先の挟持を解放した位置との間で前記複数の挟持片の少なくとも一つを駆動する第1駆動部と、前記複数の挟持片と前記ヘッド部とを前記植毛面と平行な方向および前記高さ方向に相対駆動する第2駆動部と、前記複数の挟持片を前記高さ方向と交差する軸線周りに回転駆動して前記挟持片の外周面に前記不良毛を巻き付けさせる第3駆動部と、前記検出部の検出結果に応じて前記第1駆動部、前記第2駆動部および前記第3駆動部を制御して、離間した複数の挟持片と前記ヘッド部とを相対移動させ、離間した複数の挟持片の間に前記毛先を配置した後に、前記複数の挟持片により前記毛先を前記高さ方向の第1位置で挟持させ、前記毛先を挟持した前記複数の挟持片をその後に前記第1位置よりも前記植毛面に近い第2位置に配置し、前記第1位置よりも前記植毛面に近い位置で前記高さ方向と交差する軸線周りに回転させて前記挟持片の外周面に前記不良毛を巻き付けさせ、前記不良毛を巻き付けた前記複数の挟持片を前記第1位置よりも前記植毛面から離れた第3位置に配置する駆動制御部と、を備えることを特徴とする毛抜き装置が提供される。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き装置において、前記挟持片は、前記毛先を挟持する方向の最大幅W1と、前記高さ方向の最大幅W2との比であるW1/W2が0.5以上であることを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き装置において、前記駆動制御部は、前記挟持片の外周面に前記不良毛を巻き付けさせる際に、記複数の挟持片を前記軸線周りに1/2回転以上回転させることを特徴とする。
【0016】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き装置において、前記毛先を挟持した前記複数の挟持片を前記第1位置から前記第2位置に配置する間に、前記複数の挟持片と前記ヘッド部との相対移動速度に応じた回転速度で前記複数の挟持片を前記軸線周りに回転させることを特徴とする。
【0017】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き装置において、前記複数の挟持片は、前記ヘッド部の幅方向に前記植毛面と平行に延在し、前記ヘッド部の幅よりも長く設けられ、前記検出部は、前記毛先の前記高さ方向の位置および前記ヘッド部の長さ方向の位置を検出することを特徴とする。
【0018】
また、上記本発明の一態様に係る毛抜き装置において、前記複数の挟持片は、接合したときに互いに噛み合う凹凸形状をそれぞれ有することを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の態様に従えば、ヘッド部の植毛面に所定高さでテーパー毛の毛束を平線を用いて植毛する植毛装置と、前記植毛装置で植毛された前記テーパー毛を検査する検査装置と、前記所定高さから飛び出した不良毛を抜き取る本発明の第3の態様の毛抜き装置とを備えることを特徴とする歯ブラシ製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、品質不良およびコスト増を抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の毛抜き方法、毛抜き装置、歯ブラシ製造方法および歯ブラシ製造装置の実施の形態を、
図1ないし
図10を参照して説明する。以下においては、ヘッド部にテーパー毛が植毛された歯ブラシに対して本発明を適用する場合について説明する。
【0023】
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0024】
[毛抜き方法および毛抜き装置]
毛抜き装置について、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1(a)は、歯ブラシ1の上方に毛抜き装置30の挟持片31が配置された正面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の右側面図である。
なお、
図1においては、一例として、歯ブラシ1の上方に毛抜き装置30の挟持片31が配置された構成を例示しているが、歯ブラシ1の下方に挟持片31が配置された構成であってもよい。
【0025】
以下の説明においては、歯ブラシ1の長さ方向をX方向とし、歯ブラシ1の幅方向をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(歯ブラシ1の厚さ方向)をZ方向として適宜用いる。
【0026】
まず、毛抜き装置30による毛抜き対象となる歯ブラシ(ブラシ)1について簡単に説明する。歯ブラシ1は、ハンドル体10と、ハンドル体10に植設された複数の毛束12で形成されるブラシ部22とを備えている。ハンドル体10は、棒状のハンドル部(
図1では図示せず)と、ハンドル部の先端に延設され、ハンドル部よりも細いネック部17と、ネック部17の先端に設けられ、複数の毛束12が植設されるヘッド部18と、を備えている。複数の毛束12は、ヘッド部18の植毛面18aに植設されている。
【0027】
ハンドル体10の材質は、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレートなどの硬質樹脂が用いられる。ハンドル体10の全長は、100〜200mm程度である。ヘッド部18は、4つの頂部が曲線で隅切りされた略四角形の平板状に形成されている。ヘッド部18の寸法は、幅が5〜16mm程度、長さが10〜33mm程度、厚さが3〜5mm程度である。
【0028】
植毛穴18aの数は、一例として10〜60個である。植毛穴18aの直径は、一例として、1〜3mmである。植毛穴18aの平面形状は、円形、四角形など多角形でもよく、配列パターンは格子状、千鳥状などがある。
【0029】
図2は、歯ブラシ1のヘッド部18における1つの毛束近傍を拡大した断面図である。毛束12は、複数のテーパー毛20が束ねられて形成されている。毛束12は、平線式植毛法により植毛面18aに植設されている。具体的には、
図2に示すように、両端部にテーパー部21が設けられた複数のテーパー毛20が束ねられて金属片である平線24で二つ折りにされ、ヘッド部18の植毛面18aに形成された植毛穴23に打ち込まれることで、植毛面18aから高さ(所定高さ)Hで毛束12が植設されている。
【0030】
テーパー毛20は、ストレート部19よりも先端側の部分に、先端に向かうにつれて縮径するテーパー部21が設けられている。テーパー毛20の材質は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成樹脂があるが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が多く用いられている。テーパー部21の加工方法としては、PBT製のモノフィラメントの毛先を強アルカリで化学的に処理する方法が一般に用いられている。モノフィラメントの一例としては、円柱状であり全長が31mm、中央部の太さが6〜8mil(1mil=0.025mm)程度である。
【0031】
植毛穴23に二つ折りに打ち込まれ固定されたときのテーパー毛20の毛丈(植毛面18aから毛先までの長さ)Hは、例えば、10〜12mm程度である。歯ブラシ1に使用される代表的なテーパー毛20は、毛先径が0.02mm、テーパー長(毛先からテーパー形状の開始位置までの長さ)Lは8mm程度で、毛先から1mmの位置の直径は0.05〜0.07mm、3mmの位置での直径は0.11〜0.14mmと先鋭である。そのため、植毛不良で生じた長さ1〜3mmの長毛を引き抜く際に掴む位置は非常に細く、掴んで引き抜く際に千切れてしまうことになる。
【0032】
なお、歯ブラシ1における毛束12の植毛強度(毛止め強度)はJIS S3016で定められており、引っ張り試験機によって引っ張り得た最大引張力を測定し、8[N]以上と規定されている。歯ブラシ1においては、一定以上の毛止め強度が必要であり、より高い強度を持つ方が好ましい。そのため、上述したテーパー毛20の長毛を抜くのはさらに困難となる。
【0033】
図1に戻り、毛抜き装置30は、
図1(a)、(b)に示されるように、挟持片31、検出部32、駆動部群33、歯ブラシ1のヘッド部18を植毛面18aとは逆側の面から保持するヘッド保持部(図示略)および駆動制御部CONTを備えている。挟持片31は、ブラシ部22の+Z側に配置されている。挟持片31は、ヘッド部18の幅方向であり植毛面18aと平行なY方向に延在しておりX方向に対向して対で設けられている。各挟持片31は、平面部を互いに対向させた半円柱形状に形成されている。挟持片31は、平面部で接合されたときに、一例として、直径3.0mmの円柱形状となる。挟持片31は、ヘッド部18の幅よりも長く、且つ、幅方向においてヘッド部18が設けられる範囲をカバーするように配置されている。例えば、ヘッド部18の最大幅を15mmとすると、挟持片31の長さは約30mmに設定されている。挟持片31は、例えば、高硬度のクロムモリブデン鋼で形成されている。
【0034】
挟持片31は、少なくとも一方が接近する方向に移動して上記平面部が接合可能な挟持位置(
図5(a)参照)および少なくとも一方が離間する方向に移動した解放位置(
図1(a)、
図4(a)参照)との間を同期して移動可能である。本実施形態では、各挟持片31は、互いに接近する方向および互いに離間する方向に移動可能である構成として説明するが、いずれか一方が他方に対して接近する方向および離間する方向に移動する構成であってもよい。一対の挟持片31は、平面部にて当接したとき、すなわち挟持位置に移動したときに円柱形状に形成されている。挟持片31としては、片持ち支持または両端支持のいずれでも構わないが、より強固に挟持するためには、両端支持の構成を採ることが好ましい。
【0035】
図3は、挟持片31の駆動に係るブロック図である。駆動部群33は、挟持駆動部(第1駆動部)41、水平駆動部(第2駆動部)42、回転駆動部(第3駆動部)43および高さ駆動部(第2駆動部)44を含む。駆動部群33は、駆動制御部CONTによって統括的に制御される。
【0036】
挟持駆動部41は、一対の挟持片31を上記の挟持位置と解放位置との間でX方向に沿って同期して移動させる。水平駆動部42は、一対の挟持片31とヘッド部18(歯ブラシ1)とをX方向に相対移動させる。
【0037】
回転駆動部43は、一対の挟持片31を挟持位置の状態または解放位置の状態で、円柱形状の中心軸線を中心として回転させる。高さ駆動部44は、一対の挟持片31とヘッド部18(歯ブラシ1)とをZ方向(毛束12の高さ方向)に相対移動させる。
【0038】
本実施形態では、水平駆動部42の駆動により一対の挟持片31がX方向に移動し、高さ駆動部44の駆動により一対の挟持片31がZ方向に移動する構成について説明するが、水平駆動部42の駆動によりヘッド部18(歯ブラシ1)がX方向に移動し、高さ駆動部44の駆動によりヘッド部18(歯ブラシ1)がZ方向に移動する構成や、水平駆動部42の駆動により一対の挟持片31とヘッド部18(歯ブラシ1)の双方がX方向に移動し、高さ駆動部44の駆動により一対の挟持片31とヘッド部18(歯ブラシ1)の双方がZ方向に移動する構成であってもよい。
【0039】
検出部32は、テーパー毛20のうち、所定高さから所定長さを超えて飛び出したテーパー毛20(以下、不良毛20Aと称する)における毛先の飛び出し量と、毛先の位置とを検出する。不良毛20Aとなる飛び出し長さ基準は、一例として、1mm以上である。検出部32は、
図1(b)に示されるように、一例として、+Y側から不良毛20Aの検出を行い、飛び出し長さ基準を超えた不良毛20Aの毛先のX方向の位置およびZ方向の位置を検出する。検出部32による位置検出方法としては、例えば、ブラシ部22を撮像した像を画像処理した結果に応じて検出する方法や、ブラシ部22に向けて検知光による走査を行った結果(反射光の有無や所定位置での受光の有無等)に応じて不良毛20AのX方向の位置およびZ方向の位置を検出する。検出部32の検出結果は、駆動制御部CONTに出力される。
【0040】
次に、上記の毛抜き装置30による不良毛20Aの毛抜き方法について、
図4乃至
図8を参照して説明する。なお、
図4乃至
図8においては、検出部32、駆動部群33および駆動制御部CONTの図示を省略している。
【0041】
まず、ヘッド保持部によって歯ブラシ1(ヘッド部18)を保持させた後に、保持されたブラシ部22に対して検出部32が撮像処理や検知光走査処理を行って高さHから飛び出し長さ基準を超えて飛び出した不良毛20Aの検知処理を実施する。不良毛20Aが検出された場合、検出部32は、不良毛20Aの毛先のX方向の位置を駆動制御部CONTに出力する。
【0042】
駆動制御部CONTは、不良毛20Aの毛先のX方向の位置およびZ方向の位置が入力されると、挟持駆動部41を制御して一対の挟持片31を解放位置に移動させるとともに、不良毛20Aの毛先よりも高いZ方向の位置(以下、Z位置と称する)で、一対の挟持片31の中心位置が不良毛20Aの毛先のX方向の位置(以下、X位置と称する)と一致するように挟持片31を移動させた後に、
図4(a)、(b)に示されるように、高さ駆動部44を制御して、飛び出した毛先が一対の挟持片31の間に位置するように挟持片31を植毛面18aに接近する方向に移動させる(第1移動工程)。このときの挟持片31の中心のZ位置は、飛び出した不良毛20Aとは別のテーパー毛20と接触しないように高さHよりも高く設定されている。
【0043】
次いで、駆動制御部CONTは、挟持駆動部41を制御して、
図5(a)、(b)に示すように、一対の挟持片31を挟持位置に移動させる。これにより、不良毛20Aの毛先は、高さHよりも高い第1位置において一対の挟持片31の間で挟持される(挟持工程)。
【0044】
次に、駆動制御部CONTは、高さ駆動部44を制御して、
図6(a)、(b)に示すように、不良毛20Aの毛先を挟持した一対の挟持片31を、上記第1位置よりも植毛面18に近い第2位置に移動させる(第2移動工程)。一対の挟持片31が挟持する毛先は、上述したように細い箇所であるため、後述するように、一対の挟持片31が回転して外周面に不良毛20Aを巻き付ける際に、回転初期の1/4回転(90度)までに毛先に過度な張力が加わらないように、外周面の周長の90度を超えた角度、例えば、1/2回転(180度)に対応する長さの撓みが不良毛20Aに生じる位置を第2位置に設定する。
【0045】
次に、駆動制御部CONTは、回転駆動部43を制御して、
図7(a)、(b)に示すように、第2位置において毛先を挟持する一対の挟持片31を円柱形状の中心軸線を中心として回転させ、一対の挟持片31の外周面に不良毛20Aを巻き付ける(巻き付け工程)。一対の挟持片31の回転量としては、1/2回転以上が好ましく、3/4回転以上がさらに好ましい。一対の挟持片31の回転量が上記の下限値を下回ると、外周面に巻き付けられていない不良毛20Aの最小径が細く、一対の挟持片31の回転に伴って生じる張力で不良毛20Aが千切れる可能性がある。
【0046】
例えば、テーパー長Lが8mm、不良毛20Aの飛び出し長さが1mmで、一対の挟持片31の周長が3×πの場合、一対の挟持片31の回転量が1/2回転であると、テーパー長の約70%が外周面に巻き付けられる。また、一対の挟持片31の回転量が3/4回転であると、テーパー長のほぼ100%が外周面に巻き付けられる。そのため、外周面に巻き付けられていない不良毛20Aの最小径は、毛先径と比較して不良毛20Aの中央部の直径に近い値となる。
【0047】
なお、回転量が多すぎると、第2移動工程における一対の挟持片31の移動距離が長くなるため生産性に悪影響を与える可能性がある。また、一対の挟持片31の直径が大きくなると、第2移動工程における一対の挟持片31の移動距離が長くなることで第2位置が植毛面18aに近くなるため、不良毛以外の毛束12を押しつぶしたり、挟持片31が植毛面18aに接触する可能性がある。
【0048】
そのため、一対の挟持片31は、不良毛20Aの毛先を挟持した際の強度、不良毛20Aを外周面に巻き付ける際の強度が確保できる範囲で細いことが好ましい。また、一対の挟持片31の回転量は、不良毛20Aのテーパー長Lを考慮して設定することが好ましい。
【0049】
一対の挟持片31の外周面に所定角度で不良毛20Aを巻き付けると、駆動制御部CONTは、高さ駆動部44を制御して、
図8(a)、(b)に示すように、挟持片31をヘッド部18に対して上記第1位置よりも植毛面18aから離れ高さHよりも高い第3位置まで移動させる(第3移動工程)。挟持片31の上昇により、挟持片31の外周面に巻き取られていた不良毛20Aは、二つ折りにされて平線24を挟んで逆側に配置された箇所も含めてヘッド部18から抜き取られる。
【0050】
第3移動工程における一対の挟持片31の移動速度が遅い場合は生産性が低下し、移動速度が速い場合は、不良毛20Aが千切れる可能性があるため、不良毛20Aが千切れない範囲で最速の移動速度に設定することが好ましい。
【0051】
以上のように、本実施形態の毛抜き装置30では、植毛後に所定の高さHから飛び出した不良毛20Aが生じた場合でも、人手に頼ることなく、また、毛先部分で千切れてしまうことなく、植毛不良となる不良毛20Aを抜き取ることができる。そのため、本実施形態の毛抜き装置30では、コスト増および品質不良を生じさせることなく不良毛20Aを抜き取ることが可能になる。
【0052】
また、本実施形態の毛抜き装置30では、一対の挟持片31が挟持位置に移動したときに外周面にエッジがない円柱状に形成されているため、外周面に巻き取られた不良毛20Aに応力が集中して破断する(千切れる)ことを抑制できる。また、本実施形態の毛抜き装置30では、挟持片31がヘッド部18の幅方向に植毛面18aと平行に延在し、ヘッド部18の幅よりも長く設けられているため、ヘッド部18の幅方向については、不良毛20Aの位置に応じて挟持片31の位置を調整する必要がなくなり、毛抜き処理の効率を高めることができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、第2移動工程が完了した後に巻き付け工程を実施する手順を例示したが、第2移動工程の一部で巻き付け工程を実施する手順としてもよい。例えば、第1位置で一対の挟持片31により不良毛20Aの毛先を挟持した後に、毛先に過度の張力が加わらないように、一対の挟持片31を第2位置に向けて所定距離移動させて不良毛20Aに撓みを形成した後に、一対の挟持片31の第2位置への移動と、一対の挟持片31の回転による外周面への不良毛20Aの巻き付けとを並行して実施してもよい。
【0054】
この場合、一対の挟持片31が第2位置へ移動することにより生じる不良毛20Aの撓み長さに対して、一対の挟持片31の回転による外周面への不良毛20Aの巻き付け長さが短くなるように一対の挟持片31の回転速度を設定することにより、不良毛20Aに過度の張力が加わることを回避できる。
【0055】
具体的には、円柱状の挟持片31の直径をD(mm)、回転駆動部43の作動による挟持片31の回転速度(すなわち、不良毛20Aの巻き取り速度)をR(回転/sec)、円周率をπ、高さ駆動部44の作動による挟持片31の下降速度V(mm/sec)とすると、単位時間あたりに生じる不良毛20Aの撓み長さと、単位時間あたりに外周面へ巻き付けられる不良毛20Aの長さとの関係は下記の式(1)を満足することが好ましい。
V≧π・R・D …(1)
式(1)から挟持片31の回転速度は下記の式(2)で示される値に設定することが好ましい。
R≦V/(π・D) …(2)
【0056】
また、生産性を考慮した場合には、挟持片31が第2位置に達したときに、挟持片31の外周面への不良毛20Aの巻き付けが完了することが好ましい。そのため、挟持片31の回転を開始する高さ方向の位置と第2位置との間の距離をL1(mm)とし、不良毛20Aを外周面に巻き付ける一対の挟持片31の回転量をN回転とすると、挟持片31の第2位置への移動時間と、不良毛20Aを挟持片31の外周面に巻き付ける時間との関係は下記の式(3)で表される。
R・(L1/V)=N …(3)
【0057】
従って、下記の式(4)で表される回転速度Rで挟持片31を回転させることにより、挟持片31の外周面に不良毛20Aを巻き付ける時間を別途設ける必要がなくなる。
R=N・(V/L1) …(4)
例えば、上述したように、外周面に不良毛20Aを巻き付ける一対の挟持片31の回転量が1/2回転である場合には、式(4)から回転速度RをV/(2×L1)に設定すればよい。
【0058】
このように、第2移動工程で挟持片31の外周面に不良毛20Aを巻き付ける工程を並行して実施することにより生産性を向上させることが可能になる。特に、式(4)を満足する回転速度Rで挟持片31を回転させることにより、挟持片31の外周面に不良毛20Aを巻き付ける時間を別途設ける必要がなくなり、生産性を一層向上させることができる。
【0059】
[歯ブラシ製造方法および歯ブラシ製造装置]
続いて、歯ブラシ製造方法および歯ブラシ製造装置について、
図9を参照して説明する。
図9は、歯ブラシ製造装置50の概略的な構成図である。
【0060】
歯ブラシ製造装置50は、植毛装置60、搬送装置70および上記の毛抜き装置30を備えている。植毛装置60は、ヘッド保持部に保持されたヘッド部18の植毛穴23に、所定本数のテーパー毛20の毛束と平線24とを植毛針によって打ち込むことにより、テーパー毛20を平線24で二つ折りにして植毛穴23に植設する。また、植毛装置60は、ヘッド部18を複数の植毛穴23の配列に適応して移動させることにより、各植毛穴23にテーパー毛20の毛束を順次植設する。
【0061】
植毛装置60によってテーパー毛20の毛束が植設された歯ブラシ1は、搬送装置70によって毛抜き装置30に搬送される。毛抜き装置30に搬送された歯ブラシ1は、上述したように、ヘッド部18から飛び出した不良毛20Aの検出および抜取りが行われる。このように、本実施形態の歯ブラシ製造装置50においては、植毛装置60によって植設されたテーパー毛20に、所定高さHよりも飛び出した不良毛20Aが生じた場合でも、人手に頼ることなく検査および毛抜きを実施することが可能となり、品質不良の抑制およびコスト低減を実現できる。
【0062】
なお、植毛装置60から毛抜き装置30への歯ブラシ1の搬送には、植毛装置60においてヘッド部18を保持した状態のヘッド保持部を搬送し、毛抜き装置30におけるヘッド保持部として用い検査・毛抜きを実施してもよいし、植毛装置60におけるヘッド保持部から外した歯ブラシ1を毛抜き装置30に搬送し、搬送された歯ブラシ1を毛抜き装置30におけるヘッド保持部に保持させて検査・毛抜きを実施してもよい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、挟持片31の対向面(挟持面)が平面である構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、
図10に示すように、挟持位置において互いに噛み合う凹凸形状をそれぞれ有する構成であってもよい。挟持片31がこの構成を有する場合には、挟持片31同士の挟持方向と、各挟持片31における挟持面同士の挟持方向とが異なる箇所が存在するため、不良毛20Aをより強固に挟持することが可能になる。
【0065】
また、上記実施形態では、外周面で不良毛20Aを巻き取った挟持片31を、不良毛20Aの基端部近辺の第2位置から上昇させることにより、ヘッド部18から不良毛20Aを抜き取る手順を例示したが、これに限定されない。例えば、駆動制御部CONTが高さ駆動部44を制御して挟持片31を第2位置で停止させた状態で、回転駆動部43を制御して、不良毛20Aの巻取り方向に挟持片31を回転させてヘッド部18に対して不良毛20Aを抜き取る手順としてもよい。
【0066】
この手順を採ることにより、平線24が打ち込まれたZ方向に対して、不良毛20Aの抜き取り方向が傾斜するため、抜き取り時における平線24による抵抗を低減することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、挟持片31が第2位置に移動しながら不良毛20Aを巻き取る構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、挟持片31が不良毛20Aを挟持した後にそのまま第2位置に移動し、その後に回転して外周面で不良毛20Aを巻き取る構成であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、複数の挟持片31として一対(二つ)の挟持片31によって不良毛20Aを挟持して抜き取る構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、三つ以上の挟持片を用いる構成であってもよい。例えば、
図11に示すように、挟持位置において円柱を120°間隔で分割した三つの挟持片31を用いて不良毛20Aを挟持して抜き取る構成であってもよい。また、三つ以上の挟持片31を用いる場合についても、上述したように、挟持位置において互いに噛み合う凹凸形状をそれぞれ有する構成としてもよい。上記複数の挟持片31のいずれの構成についても、挟持性を高めるために挟持合わせ面をブラスト加工等の粗面化処理を行って表面積を増大させ滑りにくくする構成としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、挟持位置において挟持片31が円柱形状に形成される構成を例示したが、この構成の他に、例えば角柱形状に形成される構成としてもよい。
図12には、挟持位置において四角柱形状に形成される挟持片31の例を示す。挟持片31を角柱形状とする場合には、巻き取り時における不良毛20Aの破断を防止するために挟持片31のコーナー部に円弧形状等の曲面を形成することが好ましい。
【0070】
また、一対の挟持片31は、毛先を挟持したときに、挟持した位置が互いに離間する方向に反りが生じる場合がある。この反りは、高硬度のクロムモリブデン鋼により挟持片31が形成されている場合にも生じる。そのため、一対の挟持片31の断面形状としては、
図13に示すように、毛先の挟持方向の最大幅W1が、高さ方向の最大幅W2よりも大きいことが好ましい。最大幅W2よりも最大幅W1を大きくすることにより、外周面の周長を大幅に長くすることなく、毛先を挟持したときに生じる反り(撓み)を小さくすることが可能となる。
【0071】
挟持片31の高さ方向の最大幅W2は、1〜3mmが好ましい。挟持片31の挟持方向の最大幅W1と高さ方向の最大幅W2との比(W1/W2)は、0.5以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上である。接合された一対の挟持片31の外周面の周長は、14mm以下であることが好ましく、より好ましくは12mm以下、さらには、10mm以下であることが好ましい。
上述したように、毛丈Hが10〜12mm程度、テーパー長Lが8mm程度であるときに、挟持片31の挟持方向の最大幅W1および高さ方向の最大幅W2を上記の範囲に設定することにより、外周面に不良毛20Aを巻き付ける際の挟持片31の回転数を1/2回転以上、好ましくは3/4回転以上とすることができる。
【0072】
一対の挟持片31の外周面は、エッジが形成されないように、例えば、挟持方向を長径とする楕円形状や長円形状等のオーバル形状であることが好ましい。
【0073】
また、上記実施形態では、挟持片31が歯ブラシ1に対して水平方向および高さ方向に移動する構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、ヘッド保持部を介して歯ブラシ1が挟持片31に対して水平方向および高さ方向に移動する構成であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、本発明に係る毛抜き装置30により歯ブラシ1に植設された不良毛20Aを抜き取る構成を例示したが、適用対象は歯ブラシ1に限られず、テーパー毛、あるいはテーパー毛のように毛先が縮径した細い刷毛を用いるブラシ、例えば、刷子や筆、あるいは化粧ブラシ等の検査・製造に広く用いることが可能である。