【文献】
J. Infect. Dis. (1994) vol.170, issue 4, p.834-840
【文献】
Clin. Vaccine Immunol. (2014) vol.21, no.7, p.930-939
【文献】
FEMS Microbiol. Rev. (2006) vol.30, issue 3, p.382-403
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1濃度の大腸菌O25B抗原多糖と、第2濃度の、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖のそれぞれとを含む組成物であって、ここで、第1濃度:第2濃度の比は2:1であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒された緑膿菌外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合しており、第1濃度は10〜36μg/mlである、組成物。
大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を2:1:1:1の重量比で含み、前記第1濃度が10、16、24、32又は36μg/mlである、請求項1に記載の組成物。
5〜18μgの第1用量の大腸菌O25B抗原多糖と、それぞれ独立して第1用量の50%である用量の大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖とを含む多価免疫組成物であって、ここで、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒された緑膿菌外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合している、多価免疫組成物。
大腸菌O25B抗原多糖、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖を一緒にして組成物を得ることを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
種々の刊行物、論文および特許が「背景技術」および本明細書の全体にわたって引用または記載されている。これらの参考文献のそれぞれの全体を参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書に含まれている文書、法律、材料、装置、物品などの記載は、本発明の状況を示すことを目的としたものである。そのような記載は、これらの事項のいずれか又はすべてが、開示または特許請求されているいずれの発明に関しても先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0022】
特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書中で言及されている或る用語は、本明細書に記載されているとおりの意味を有する。本明細書中で引用されている全ての特許、公開特許出願および刊行物を、本明細書に完全に記載されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる単数形は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数形対象物を含むことに留意しなければならない。
【0023】
本明細書中で用いる「O多糖」、「O抗原」、「O抗原」、「O抗原多糖」、「O多糖抗原」なる語および「OPS」なる略語は全て、グラム陰性菌のO抗原を意味し、これはリポ多糖(LPS)の成分であり、グラム陰性菌の各血清型または血清(亜)型に特異的である。O抗原は、通常、2〜7個の糖残基の反復単位(RU)を含有する。本明細書中で用いるRUは生物学的反復単位(BRU)と同等に設定される。BRUは、インビボで合成された場合のO抗原のRUを示す。
【0024】
本明細書中で用いる「コンジュゲート」および「複合糖質」なる語は全て、担体タンパク質に共有結合している大腸菌O抗原を含有する結合生成物を意味する。コンジュゲートは、宿主細胞において製造された結合生成物であるバイオコンジュゲートであることが可能であり、この場合、宿主細胞装置がO抗原および担体タンパク質を産生し、O抗原を、例えばN連結により、担体タンパク質に連結する。コンジュゲートは、他の手段、タンパク質と糖抗原との化学結合によっても製造されうる。
【0025】
本発明の実施形態による方法において対象にO抗原を投与する状況における、本明細書中で用いる「有効量」なる語は、所望の免疫効果または免疫応答を対象において誘導するのに十分なO抗原の量を意味する。ある実施形態においては、「有効量」は、対象において以下の効果の1以上を達成するために、対象において免疫を生成するのに十分なO抗原の量を意味する:(i)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患、またはそれに関連した症状の発生または開始を予防すること;(ii)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患、またはそれに関連した症状の再発を予防すること;(iii)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患、またはそれに関連した症状の重症度を予防、軽減または改善すること;(iv)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患、またはそれに関連した症状の持続時間を減少させること;(v)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患、またはそれに関連した症状の進行を予防すること;(vi)ExPEC感染またはそれに関連した症状の後退を引き起こすこと;(vii)ExPEC感染に伴う臓器不全を予防または軽減すること;(viii)ExPEC感染を有する対象の入院の可能性または頻度を減少させること:(ix)ExPEC感染を有する対象の入院期間を短縮すること;(x)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患を有する対象の生存度を増加させること;(xi)ExPEC感染、好ましくは侵襲性ExPEC疾患を排除すること;(xii)ExPEC複製を抑制または低減すること;および/または(xiii)別の療法の予防効果または治療効果を増強または改善すること。
【0026】
「有効量」は、対象の身体状態、年齢、体重、健康状態など;経口または非経口のような投与経路;投与される組成物、例えば標的O抗原、他の共投与O抗原、アジュバントなど;および免疫が望まれる個々の疾患のような種々の要因に応じて変動しうる。O抗原がタンパク質担体に共有結合している場合、O抗原の有効量は、コンジュゲートにおけるO抗原多糖部分のみに基づいて計算される。
【0027】
対象への2以上のO抗原または組成物の投与の状況における、本明細書中で用いる「組合せ」なる語は、O抗原または組成物が対象に投与される順序を限定するものではない。例えば、第1組成物は対象への第2組成物の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間前)に、該投与と同時に、または該投与の後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間後)に投与されうる。
【0028】
本明細書中で用いる「対象」は、本発明の実施形態による方法または組成物によりワクチン接種される又はワクチン接種された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書中で用いる「哺乳動物(哺乳類)」なる語は任意の哺乳動物を含む。哺乳動物の例には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなど、最も好ましくはヒトが含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態においては、対象はヒト乳児である。もう1つの実施形態においては、対象はヒト小児である。もう1つの実施形態においては、対象は成人である。特定の実施形態においては、対象は、リスク保有成人である。もう1つの実施形態においては、対象は高齢のヒトである。もう1つの実施形態においては、対象は、ヒト早産児および正期産ヒト乳児を含むヒト乳児である。もう1つの実施形態においては、対象はヒト幼児である。「対象」および「患者」なる語は本明細書においては互換的に用いられうる。
【0029】
本明細書中で用いる「ヒト早産児」なる語は、37週未満の妊娠期間で生まれたヒト乳児を意味する。
【0030】
本明細書中で用いる「ヒト乳児」なる語は新生児から1歳までのヒトを意味する。
【0031】
本明細書中で用いる「ヒト幼児」なる語は1歳〜3歳のヒトを意味する。
【0032】
本明細書中で用いる「ヒト小児(ヒト子供)」なる語は1歳〜18歳のヒトを意味する。
【0033】
本明細書中で用いる「成人(ヒト成体)」なる語は18歳以上のヒトを意味する。
【0034】
本明細書中で用いる「リスク保有成人」なる語は、平均的な成人集団よりExPEC感染を受けやすい18歳以上のヒトを意味する。「リスク保有成人」の例には、高齢者、入院患者、免疫不全者、妊娠女性、糖尿病または創傷を有する者、手術を最近受けた又は手術を受ける予定の者などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書中で用いる「高齢者」なる語は、55歳以上、好ましくは60歳以上、より好ましくは65歳以上のヒトを意味する。
【0036】
本明細書中で用いる「侵襲性ExPEC疾患」は、細菌感染に合致する急性疾患を示す対象において、通常は無菌の身体部位からExPECが分離され同定されることと定義される。
【0037】
本明細書中で用いる、抗原または組成物に対する「免疫学的応答」または「免疫応答」は、該抗原に対する又は該組成物中に存在する抗原に対する、対象における体液性および/または細胞性免疫応答の発生を意味する。
【0038】
驚くべきことに、EPA担体タンパク質に結合した大腸菌(E.coli)O25B抗原は、EPA担体タンパク質に結合したその他の大腸菌O抗原(例えば、O1A、O2およびO6A)より低い免疫原性を有するらしいことが、本発明において見出された。この知見は多価ワクチンにおける大腸菌O25B抗原の投与量および種々の大腸菌O抗原の投与量比に関する更なる研究につながり、したがって、O25B血清型およびExPECの他の血清型に対する免疫応答を改善するための大腸菌O抗原に基づく多価ワクチンおよび免疫方法の開発につながる。
【0039】
疫学
ExPEC疾患を引き起こす大腸菌の血清型分布に関する研究は、10個の優勢なO血清型がExPEC感染の推定60〜80%を占めうる(小さな割合の型決定不能株が含まれることを想定している)ことを示している。例えば、以下の表1A〜1Cを参照されたい。UTIおよび菌血症標的集団の両方において、血清型O1、O2、O6およびO25が4つの最も優勢な大腸菌血清型として同定され、そのうち血清型O25が菌血症における最も優勢な大腸菌血清型であった。また、異なるが構造的および抗原的に関連している亜型から構成されるO抗原血清型に関しては、臨床分離体のなかでとりわけ1つの血清型がより優勢でありうることが判明した。例えば、より最近の分析臨床株または分離体のうち、O1、O6およびO25に関しては、それぞれ、O1A、O6AおよびO25B抗原がより頻繁に見られる亜型であると判定された。国際特許出願番号PCT/EP2015/053739(その開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)における疫学研究に関する関連開示を参照されたい。
【0041】
病院施設から分離された大腸菌において、新規O25凝集性クローンが最近出現し、これはO25Bと称される。O血清型O25に関して、PCRによる亜型分類分析を用いて、大部分が実際にO25B亜型のものであることが判明した(O25凝集陽性表現型を有する24個の試験された臨床分離体の研究において、20個がO25B亜型に帰属され、残りの4個はO25A亜型に帰属され、その後研究された菌血症集団において、研究されたO25血清型分離体57個中56個がO25Bとして分類可能であった)。自己抗血清は自己抗原を非自己抗原より良好に認識することが確認されており、したがって、ワクチンへのO25B抗原の配合は、O25A抗原の配合の場合よりも、O25群の優勢なO25B臨床株に対して良好な防御をもたらしうる(例えば、国際特許出願番号PCT/EP2015/053739を参照されたい)。O25Bワクチンは、O25A抗原と交差反応する血清を生成して、O25A血清型に対する免疫応答をももたらしうることを、結果は示した(同誌)。本発明の実施形態による組成物は、EPA担体タンパク質に結合した大腸菌O25B抗原、およびEPA担体タンパク質に結合した他の大腸菌O抗原を含む。
【0042】
大腸菌O抗原コンジュゲートを含む組成物
1つの一般的な態様において、本発明は、大腸菌臨床分離体において優勢に見出されるO抗原血清型を含有する多価ワクチンに関するものであり、これは、該ワクチン中に含有されるO抗原血清型を有するExPECにより引き起こされる疾患の予防のための能動免疫化をもたらすために使用されうる。1つの実施形態においては、本発明は、8〜48μg/mlの第1濃度の大腸菌O25B抗原と、第1濃度の10%〜100%である第2濃度の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原とを含む組成物に関するものであり、ここで、大腸菌O25B抗原および前記の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合している。
【0043】
好ましくは、本発明の1つの実施形態による組成物において使用される前記の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原は大腸菌臨床分離体において一般的なものである。そのような追加的O抗原の例には、大腸菌O1、O2、O4、O6、O7、O8、O15、O16、O18、O21、O73、O75およびO153抗原が含まれる。必要に応じて、該組成物は、大腸菌O25B血清型に加えて複数の大腸菌血清型に対する免疫防御をもたらすための2以上の追加的大腸菌O抗原、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9個の追加的大腸菌O抗原を含みうる。好ましい実施形態においては、追加的大腸菌O抗原は、大腸菌O1、O2およびO6抗原からなる群から選択される。より好ましくは、追加的大腸菌O抗原は、大腸菌O1A、O2およびO6A抗原からなる群から選択される。
【0044】
1つの実施形態においては、本発明の組成物は、10〜36μg/mlの第1濃度の大腸菌O25B抗原と、第1濃度の10%〜100%である濃度を独立してそれぞれが有する大腸菌O1A、O2およびO6A抗原とを含む組成物に関するものであり、ここで、大腸菌O25B抗原および追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合している。好ましい実施形態においては、大腸菌O1A、O2およびO6A抗原のそれぞれは、独立して、少なくとも5μg/mlの濃度、より好ましくは少なくとも8μg/mlの濃度で存在する。
【0045】
本発明の1つの実施形態による組成物は、該組成物中の追加的O抗原のいずれかの濃度と同じ又はそれより高い濃度の大腸菌O25B抗原を含有する。例えば、該組成物は、例えば10、16、24、32または36μg/mlの第1濃度の大腸菌O25B抗原と、例えば第1濃度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%である濃度をそれぞれが有する1以上の追加的大腸菌O抗原とを含有しうる。該組成物が2以上の追加的O抗原を含有する場合、追加的O抗原の全ては、該組成物における大腸菌O25B抗原濃度の10〜100%である同じ濃度を有しうる。あるいは、追加的O抗原は、異なる濃度を有することも可能であり、それらのそれぞれは、独立して、大腸菌O25B抗原濃度の10〜100%である。好ましくは、該組成物は32μg/mlの大腸菌O25B抗原と、独立してそれぞれ16〜32μg/mlの前記の1以上の追加的O抗原とを含み、ここで、大腸菌O25B抗原および追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合している。もう1つの好ましい実施形態においては、該組成物は16μg/mlの大腸菌O25B抗原と、独立してそれぞれ8μg/ml〜16μg/mlの前記の1以上の追加的O抗原とを含み、ここで、大腸菌O25B抗原および追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合している。
【0046】
1つの好ましい実施形態においては、本発明は、10〜36μg/mlの第1濃度の大腸菌O25B抗原と、それぞれ第2濃度の大腸菌O1A抗原、大腸菌O2抗原および大腸菌O6A抗原とを含む組成物に関するものであり、ここで、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合しており、第1濃度:第2濃度の比は1:1〜2:1である。
【0047】
好ましくは、該組成物は1:1:1:1または2:1:1:1の重量比で大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原を含み、該組成物は32μg/mlのO25B抗原を含み、ここで、O抗原のそれぞれはEPA担体タンパク質に共有結合している。もう1つの好ましい実施形態においては、該組成物は1:1:1:1または2:1:1:1の重量比で大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原を含み、該組成物は16μg/mlの大腸菌O25B抗原を含み、ここで、O抗原のそれぞれはEPA担体タンパク質に共有結合している。より好ましくは、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原のそれぞれは、独立して、配列番号1のアミノ酸配列を有するEPA担体タンパク質に共有結合しており、O抗原およびEPA担体タンパク質コンジュゲートのそれぞれは細胞内で産生される、すなわち、バイオコンジュゲートである。最も好ましくは、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原は、それぞれ、後記の式O25B'、式O1A'、式O2'および式O6A'の構造を含む。
【0048】
本明細書に記載されている組成物はExPECによる対象(例えば、ヒト対象)の感染の治療および予防において有用である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は、EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O抗原を含むことに加えて、医薬上許容される担体を含む。本明細書中で用いる「医薬上許容される」なる語は、動物、より詳しくはヒトにおける使用に関して、連邦政府もしくは州政府の規制機関によって承認されていること、または米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。医薬上許容される担体の文脈において本明細書中で用いる「担体」なる語は、医薬組成物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを意味する。生理食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、液体担体として、特に注射溶液用の液体担体として使用されうる。適当な賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアラート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。適当な医薬担体の例はEW Martinによる“Remington's Pharmaceutical Sciences”に記載されている。
【0049】
特定の実施形態においては、EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原と、EPA担体タンパク質にそれぞれが共有結合している1以上の追加的大腸菌O抗原とを含む組成物を本発明において提供する。
【0050】
もう1つの特定の実施形態では、(i)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原を含むバイオコンジュゲートと、(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O1A抗原を含むバイオコンジュゲートとを含む組成物を本発明において提供する。
【0051】
もう1つの特定の実施形態では、(i)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原を含むバイオコンジュゲートと、(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O2抗原を含むバイオコンジュゲートとを含む組成物を本発明において提供する。
【0052】
もう1つの特定の実施形態では、(i)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原を含むバイオコンジュゲートと、(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O6A抗原を含むバイオコンジュゲートとを含む組成物を本発明において提供する。
【0053】
もう1つの特定の実施形態においては、EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原を含む大腸菌O25Bバイオコンジュゲートと、(i)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O1A抗原を含む大腸菌O1Aバイオコンジュゲート、(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O2抗原を含む大腸菌O2バイオコンジュゲート、および(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O6A抗原を含む大腸菌O6Aバイオコンジュゲートからなる群から選択される2以上のバイオコンジュゲートとを含む組成物を本発明において提供する。
【0054】
もう1つの特定の実施形態においては、本発明において提供する組成物は、(i)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原を含む大腸菌O25Bバイオコンジュゲート、(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O1A抗原を含む大腸菌O1Aバイオコンジュゲート、(iii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O2抗原を含む大腸菌O2バイオコンジュゲート、および(iv)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O6A抗原を含む大腸菌O6Aバイオコンジュゲートを含み、ここで、(i)、(ii)、(iii)および(iv)は単一製剤中に製剤化されている。
【0055】
もう1つの特定の実施形態においては、本発明において提供する組成物は、(i)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原を含む大腸菌O25Bバイオコンジュゲート、(ii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O1A抗原を含む大腸菌O1Aバイオコンジュゲート、(iii)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O2抗原を含む大腸菌O2バイオコンジュゲート、および(iv)EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O6A抗原を含む大腸菌O6Aバイオコンジュゲートを含み、ここで、(i)、(ii)、(iii)および(iv)は、本発明の1つの実施形態の方法に従い組合せて投与される個々の組成物中に製剤化されている。
【0056】
ある実施形態においては、前記組成物は、所望により、大腸菌O1A、O2、O6AおよびO25B以外の大腸菌O抗原に共有結合しているEPA担体タンパク質を含みうる。他の大腸菌O抗原には、前記の表1A〜1Cに列挙されている追加的O抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本発明において提供する組成物は、該組成物が投与される宿主において免疫応答を惹起するために使用可能である、すなわち、免疫原性である。したがって、本明細書に記載されている組成物はExPEC感染に対するワクチンとして使用可能であり、ワクチンにおける使用に適した任意の追加的成分を含みうる。特定の実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は多価製剤であり、例えば、O25B、O1A、O6AおよびO2血清型/血清亜型の大腸菌O抗原のバイオコンジュゲートを含む少なくとも4価の製剤である。
【0058】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は更に、保存剤、例えば水銀誘導体チメロサールを含む。特定の実施形態においては、本明細書に記載されている医薬組成物は0.001%〜0.01%のチメロサールを含む。他の実施形態においては、本明細書に記載されている医薬組成物は保存剤を含まない。
【0059】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(例えば、免疫原性組成物)はアジュバントを含み、またはアジュバントと組合せて投与される。本明細書に記載されている組成物との組合せ投与のためのアジュバントは該組成物の投与の前、該投与と同時に、または該投与の後で投与されうる。幾つかの実施形態においては、「アジュバント」なる語は、本明細書に記載されている組成物と共に又はその一部として投与された場合にはバイオコンジュゲートに対する免疫応答を増強、増大および/または強化するが、アジュバント化合物が単独で投与された場合にはバイオコンジュゲートに対する免疫応答を生成しない化合物を意味する。幾つかの実施形態においては、アジュバントはポリ・バイオコンジュゲート・ペプチドに対する免疫応答を生成し、アレルギーまたは他の有害な反応を生成しない。アジュバントは、例えばをリンパ球リクルートメント、Bおよび/またはT細胞の刺激ならびにマクロファージの刺激を含む幾つかのメカニズムにより免疫応答を増強しうる。ある好ましい実施形態においては、本明細書に記載されている組成物はバイオコンジュゲート以外のアジュバントを含まず、および/またはバイオコンジュゲート以外のアジュバントと共には投与されない(バイオコンジュゲートが幾つかの本質的なアジュバント特性を含む場合、これらは無視され、これらの実施形態においては外的アジュバントは添加されないであろう)。
【0060】
アジュバントの具体例には、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウム)、3脱O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(英国特許第GB2220211号を参照されたい)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween80; ICL Americas, Inc.)、イミダゾピリジン化合物(国際公開番号WO2007/109812として公開された国際出願番号PCT/US2007/064857を参照されたい)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開番号WO2007/109813として公開された国際出願番号PCT/US2007/064858を参照されたい)、およびサポニン、例えばQS21(Kensilら, Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach (Powell&Newman編, Plenum Press, NY, 1995); 米国特許第5,057,540号)が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態においては、アジュバントはフロイントアジュバント(完全または不完全)である。他のアジュバントは水中油型エマルション(例えば、スクアレンまたはラッカセイ油)であり、これは、所望により、免疫刺激物質、例えばモノホスホリルリピドA(Stouteら, 1997, N. Engl. J. Med. 336, 86-91)と組合されうる。もう1つのアジュバントはCpGである(Bioworld Today, Nov. 15, 1998)。
【0061】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は、対象への意図される投与経路に適したものとなるように製剤化される。例えば、本明細書に記載されている組成物は、皮下、非経口、経口、皮内、経皮、結腸直腸、腹腔内および直腸投与に適したものとなるように製剤化されうる。特定の実施形態においては、該医薬組成物は静脈内、経口、腹腔内、鼻腔内、気管内、皮下、筋肉内、局所、皮内、経皮または肺投与用に製剤化されうる。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は筋肉内注射により投与される。
【0062】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は更に、1以上のバッファー、例えばトリス緩衝食塩水、リン酸バッファーおよびスクロースリン酸グルタミン酸バッファーを含む。
【0063】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は更に、1以上の塩、例えばトリス-塩酸塩、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウムおよびアルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン(カリウムアルミニウムスルファート)またはそのようなアルミニウム塩の混合物)を含む。1つの実施形態においては、本発明の組成物は、トリス緩衝食塩水(TBS)(pH 7.4)(例えば、トリス、NaClおよびKClを例えばそれぞれ25mM、137mMおよび2.7mMで含有するもの)中に、本明細書に記載されているバイオコンジュゲートを含む。
【0064】
本明細書に記載されている組成物は、投与のための説明と共に、容器、パックまたはディスペンサー内に含まれうる。
【0065】
本明細書に記載されている組成物は使用前に保存可能であり、例えば、該組成物は(例えば、約-20℃または約-70℃で)凍結保存されることが可能であり、冷蔵条件(例えば、約4℃)で保存可能であり、または室温で保存可能である。
【0066】
方法/用途
もう1つの一般的な態様においては、本発明は、ExPECに対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法に関する。好ましくは、該免疫応答は、ExPECに関連した疾患を、その予防または治療を要する対象において予防または治療するのに有効である。該方法は、投与当たり4〜24μgの第1有効量の大腸菌O25B抗原と、第1有効量の10%〜100%である第2有効量の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原とを対象に投与することを含み、ここで、大腸菌O25B抗原および前記の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合しており、該組成物は、大腸菌O25B抗原および前記の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導するのに有効である。
【0067】
好ましくは、本発明の方法および使用において使用される前記の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原は大腸菌臨床分離体において一般的なものである。そのような追加的O抗原の例には、大腸菌O1、O2、O4、O6、O7、O8、O15、O16、O18、O21、O73、O75およびO153抗原が含まれる。必要に応じて、大腸菌O25B血清型に加えて複数の大腸菌血清型に対する免疫防御をもたらすために、2以上の追加的大腸菌O抗原、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9個の追加的大腸菌O抗原が投与されうる。
【0068】
好ましい実施形態においては、本発明の方法は、ExPEC血清型O25、ならびに大腸菌O1、O2およびO6抗原からなる群から選択される1以上の追加的大腸菌O抗原に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する。好ましくは、本発明の方法は、ExPEC血清型O25B、ならびに大腸菌O1A、O2およびO6A抗原からなる群から選択される1以上の追加的大腸菌O抗原に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する。該方法は、投与当たり5〜18μgの第1有効量の大腸菌O25B抗原と、独立してそれぞれ第1有効量の10%〜100%である有効量の大腸菌O1A、O2およびO6A抗原とを、それらを要する対象に投与することを含み、ここで、大腸菌O25B抗原および追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合している。好ましい実施形態においては、大腸菌O1A、O2およびO6A抗原のそれぞれは、独立して、投与当たり少なくとも3μgの有効量、より好ましくは、投与当たり少なくとも4μgの有効量で投与される。
【0069】
本発明の1つの実施形態による方法においては、大腸菌O25B抗原の投与有効量は追加的O抗原のいずれかの投与有効量と同じである、またはそれより多い。例えば、大腸菌O25B抗原は投与当たり4〜24μgの第1有効量で投与され、前記の少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原は、例えば第1有効量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%である第2有効量で投与される。2以上の追加的O抗原が組合せて投与される場合、該追加的O抗原の全ては、大腸菌O25B抗原に関する第1有効量の10〜100%である同じ有効量で投与されうる。追加的O抗原は、異なる有効量で投与されることも可能であり、それらのそれぞれは、独立して、大腸菌O25B抗原に関する第1有効量の10〜100%である。好ましくは、大腸菌O25B抗原は5μg〜18μgの第1有効量で投与され、前記の少なくとも1つの追加的O抗原は、独立して第1有効量の50%〜100%である第2有効量で投与される。
【0070】
本発明の1つの実施形態においては、ExPECに対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法は、投与当たり例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16μgの第1有効量の大腸菌O25B抗原と、独立してそれぞれ第1有効量の例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%である有効量の大腸菌O1A、O2およびO6A抗原とを対象に投与することを含み、ここで、大腸菌O25B抗原および追加的大腸菌O抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合している。
【0071】
1つの好ましい実施形態においては、本発明は、投与当たり5〜18μgの第1有効量の大腸菌O25B抗原と、大腸菌O1A抗原、大腸菌O2抗原および大腸菌O6A抗原のそれぞれの第2有効量とを対象に投与することを含む、ExPECに対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法に関するものであり、ここで、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原のそれぞれは、独立して、EPA担体タンパク質に共有結合しており、第1有効量:第2有効量の比は1:1〜2:1である。好ましくは、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原は1:1:1:1または2:1:1:1の投与量比で対象に投与され、大腸菌O25B抗原は投与当たり5μg、8μgまたは16μgで投与される。また、好ましくは、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原は1つの組成物として対象に投与される。
【0072】
EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原と、EPA担体タンパク質に共有結合している少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原とを対象に投与することを含む、ExPECに対する免疫応答を、それを要する対象において誘導するための本発明の組成物の方法および使用を、本発明において提供する。特定の実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は、ヒト対象のExPEC感染に対する防御免疫を誘導するために、ヒト対象にワクチン接種するために使用される。
【0073】
更に、EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原と、EPA担体タンパク質に共有結合している少なくとも1つの追加的大腸菌O抗原とを対象に投与することを含む、ExPECに対するオプソニン化抗体を、それを要する対象において誘導する方法を、本発明において提供する。
【0074】
1つの実施形態においては、該対象は投与時にExPEC感染を有する。もう1つの実施形態においては、該対象は投与時にExPEC感染を有さない。ExPECにより引き起こされる感染の例には、尿路感染、手術部位感染、菌血症、腹部または骨盤感染、肺炎、院内肺炎、骨髄炎、蜂巣炎、腎盂腎炎、創傷感染、髄膜炎、新生児髄膜炎、腹膜炎、胆管炎、軟部組織感染、化膿性筋炎、敗血症性関節炎および敗血症が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ExPECにより引き起こされる感染は、本発明の実施形態による組成物または方法に抗原が含まれているExPEC血清型により引き起こされる侵襲性ExPEC疾患である。
【0075】
本明細書に記載されている対象において免疫応答を誘導する方法は、組成物中にO抗原が存在するExPEC株による感染に対する対象のワクチン接種をもたらす。O抗原亜型を使用する場合、本発明の方法は、類似抗原性を有する別のO抗原亜型に対する免疫応答をも誘導しうる。
【0076】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、O25血清型の大腸菌により引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。特定の実施形態においては、該O25血清型はO25Bである。もう1つの特定の実施形態においては、該O25血清型はO25Aである。
【0077】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、O25血清型、例えばO25B血清型、およびO1血清型、例えばO1A血清型の大腸菌により引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。
【0078】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、O25血清型、例えばO25B血清型、およびO2血清型の大腸菌により引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。
【0079】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、O25血清型、例えばO25B血清型、およびO6血清型、例えばO6A血清型の大腸菌により引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。
【0080】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、O25血清型(例えば、O25Bおよび/またはO25A)、ならびに以下の大腸菌血清型、すなわち、O1(例えば、O1A、O1Bおよび/またはO1C)、O2および/またはO6(例えば、O6Aおよび/またはO6GlcNAc)の2以上の大腸菌により引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。
【0081】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、以下の大腸菌血清型、すなわち、O25血清型(例えば、O25Bおよび/またはO25A)、O1(例えば、O1A、O1Bおよび/またはO1C)、O2およびO6(例えば、O6Aおよび/またはO6GlcNAc)のそれぞれにより引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。
【0082】
特定の実施形態においては、本明細書に記載されている方法または組成物により誘導される免疫応答は、O25血清型、例えばO25B血清型、および表1A〜1Cに列挙されている追加的O血清型(これらに限定されるものではない)を含む、O1、O2、O6またはO25以外の大腸菌血清型の大腸菌により引き起こされる感染を予防および/または治療するのに有効である。
【0083】
ExPEC感染に対して対象を免疫化するために、本明細書に記載されている単一組成物を対象に投与することが可能であり、ここで、該組成物は大腸菌O25B抗原および本明細書に記載されている1、2、3、4個またはそれ以上の追加的大腸菌O抗原(それぞれはEPA担体タンパク質に共有結合している)を含む。あるいは、ExPEC感染を有する対象を治療し、またはExPEC感染に対して対象を免疫化するために、本明細書に記載されている複数の組成物を組合せて対象に投与することが可能である。例えば、EPA担体タンパク質に結合した大腸菌O25B抗原を含む組成物を、本発明の実施形態による追加的O抗原コンジュゲートを含む2、3、4個またはそれ以上の組成物の投与と組合せて、対象に投与することが可能である。
【0084】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物の投与の後で対象において誘導される免疫応答は、該組成物が投与された対象の好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、例えば少なくとも50%において、ExPEC感染から生じる症状を予防または軽減するのに有効である。ExPEC感染の症状は感染の性質に応じて様々である可能性があり、排尿障害、頻尿または尿意切迫、膿尿、血尿、背部痛、骨盤痛、排尿中の痛み、発熱、悪寒および/または悪心(例えば、ExPECにより引き起こされる尿路感染症を有する対象において);高熱、頭痛、項硬直、悪心、嘔吐、発作、眠気および/または羞明(例えば、ExPECにより引き起こされる髄膜炎を有する対象において);発熱、心拍数増加、呼吸数増加、尿量減少、血小板数減少、腹痛、呼吸困難および/または心臓能異常(例えば、ExPECにより引き起こされる敗血症を有する対象において)を含みうるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物の投与の後で対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染に罹患している対象の入院の可能性を減少させるのに有効である。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物の投与の後で対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染に罹患している対象の入院期間を短縮させるのに有効である。
【0086】
大腸菌O抗原
本発明の幾つかの実施形態は、大腸菌O25B抗原および1以上の追加的大腸菌O抗原に関連した組成物および方法に関する。好ましくは、該追加的O抗原は大腸菌の臨床分離体において一般的なものである。本発明において使用されうる大腸菌抗原の例には、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
本明細書中で用いる「大腸菌O25B抗原」は大腸菌O25B血清型に特異的なO抗原を意味する。1つの実施形態においては、大腸菌O25B抗原は式O25B:
【0088】
【化1】
の構造を含み、好ましくは、大腸菌O25B抗原は式O25B':
【0090】
(式中、式O25Bまたは式O25B'におけるnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20の整数である)の構造を含む。本発明の1つの実施形態においては、式O25Bまたは式O25B'におけるnは10〜20の整数である。
【0091】
好ましくは、式O25B、より好ましくは式O25B'の構造を有する大腸菌O25B抗原の集団を本発明の実施形態による組成物および方法において用い、ここで、該集団における大腸菌O25B抗原の少なくとも80%のnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20の整数である。本発明の1つの実施形態においては、該集団における大腸菌O25B抗原の少なくとも80%のnは10〜20の整数である。
【0092】
本明細書中で用いる「大腸菌O1抗原」は、大腸菌O1血清型に特異的なO抗原を意味する。1つの実施形態においては、大腸菌O1抗原は大腸菌O1A抗原である。
本明細書中で用いる「大腸菌O1A抗原」は、大腸菌O1A血清型に特異的なO抗原を意味する。1つの実施形態においては、大腸菌O1A抗原は式O1A:
【0093】
【化3】
の構造を含み、好ましくは、大腸菌O1A抗原は式O1A':
【0095】
(式中、式O1Aまたは式O1A'におけるnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20の整数である)の構造を含む。1つの実施形態においては、式O1Aまたは式O1A'におけるnは7〜15の整数である。
【0096】
好ましくは、式O1A、より好ましくは式O1A'の構造を有する大腸菌O1A抗原の集団を本発明の実施形態による組成物および方法において用い、ここで、該集団における大腸菌O1A抗原の少なくとも80%のnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20のものである。1つの実施形態においては、該集団における大腸菌O1A抗原の少なくとも80%のnは5〜15の整数である。
本明細書中で用いる「大腸菌O2抗原」は、大腸菌O2血清型に特異的なO抗原を意味する。1つの実施形態においては、大腸菌O2抗原は式O2:
【0097】
【化5】
の構造を含み、好ましくは、大腸菌O2抗原は式O2':
【0099】
(式中、式O2または式O2'におけるnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20の整数である)の構造を含む。1つの実施形態においては、式O2または式O2'におけるnは8〜16の整数である。
【0100】
好ましくは、式O2、より好ましくは式O2'の構造を有する大腸菌O2抗原の集団を本発明の実施形態による組成物および方法において用い、ここで、該集団における大腸菌O2抗原の少なくとも80%のnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20のものである。1つの実施形態においては、該集団における大腸菌O2抗原の少なくとも80%のnは5〜20の整数である。
【0101】
本明細書中で用いる「大腸菌O6抗原」は、大腸菌O6血清型に特異的なO抗原を意味する。1つの実施形態においては、大腸菌O6抗原は大腸菌O6Aである。
【0102】
本明細書中で用いる「大腸菌O6A抗原」は「大腸菌O6K2抗原」または「大腸菌O6Glc抗原」とも称され、大腸菌O6A血清型に特異的なO抗原を意味する。1つの実施形態においては、大腸菌O6A抗原は式O6A:
【0103】
【化7】
の構造を含み、好ましくは、大腸菌O6A抗原は式O6A':
【0105】
(式中、β1,2結合はβ2結合とも称され、式O6Aまたは式O6A'におけるnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20の整数である)の構造を含む。1つの実施形態においては、式O6Aまたは式O6A'におけるnは8〜18の整数である。
【0106】
好ましくは、式O6A、より好ましくは式O6A'の構造を有する大腸菌O6A抗原の集団を本発明の実施形態による組成物および方法において用い、ここで、該集団における大腸菌O6A抗原の少なくとも80%のnは1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、10〜30、15〜30、20〜30、25〜30、5〜25、10〜25、15〜25、20〜25、10〜20、または15〜20のものである。1つの実施形態においては、該集団における大腸菌O6A抗原の少なくとも80%のnは5〜20の整数である。
【0107】
好ましい実施形態においては、本発明の組成物は、式O25B'(ここで、該集団における大腸菌O25B抗原の少なくとも80%のnは10〜20の整数である)の構造を有する大腸菌O25B抗原、式O1A'(ここで、該集団における大腸菌O1A抗原の少なくとも80%のnは5〜15の整数である)の構造を有する大腸菌O1A抗原、式O2'(ここで、該集団における大腸菌O2抗原の少なくとも80%のnは5〜20の整数である)の構造を有する大腸菌O2抗原、および式O6A'(ここで、該集団における大腸菌O6A抗原の少なくとも80%のnは5〜20の整数である)の構造を有する大腸菌O6A抗原を含み、ここで、O抗原のそれぞれは、配列番号1のアミノ酸配列を有するEPA担体タンパク質に共有結合している。
【0108】
本発明において有用な大腸菌O抗原は、本開示を考慮して、当技術分野で公知の方法により製造されうる。例えば、それらは、細胞、好ましくは、O抗原の生合成に関して最適化された組換え細胞から製造されうる。例えば、WO 2006/119987、WO 2009/104074、国際特許出願番号PCT/EP2015/053739、Ihssenら, 2010, Microbial Cell Factories 9, 61(それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)における、大腸菌O抗原生合成に関する核酸、タンパク質、宿主細胞、製造方法などについての関連開示を参照されたい。
【0109】
EPA担体タンパク質
本発明の実施形態においては、各大腸菌O抗原はEPA担体タンパク質に共有結合している(Ihssenら, 2010, Microbial Cell Factories 9, 61)。種々の解毒EPA変異体が文献に記載されており、本明細書に記載されているコンジュゲートにおけるEPA担体タンパク質として使用されうる。
【0110】
ある実施形態においては、本明細書に記載されているコンジュゲートにおけるEPA担体タンパク質は、タンパク質がより低毒性となるように及び/又はグリコシル化に対して、より感受性となるように修飾されたEPAである。例えば、解毒は、触媒に必須な残基の突然変異および欠失(例えば、Lukacら, Infect Immun, 56: 3095-3098, 1988およびHoら, Hum Vaccin, 2:89-98, 2006によるL552VおよびΔE553)により達成されうる。特定の実施形態においては、本明細書に記載されているコンジュゲートの製造に使用される担体タンパク質は、例えば免疫原性組成物における、投与されるタンパク質の、そのバイオコンジュゲート形態での、より低い濃度を可能にする様態で、担体タンパク質におけるグリコシル化部位の数が最適化されるように修飾されたEPAである。
【0111】
ある実施形態においては、EPA担体タンパク質は、該担体タンパク質に通常伴っているより(例えば、天然/自然状態、例えば「野生型」状態の担体タンパク質に伴うグリコシル化部位の数と比較して)1、2、3、4、5、6,7、8、9、10個またはそれ以上多いグリコシル化部位を含むように修飾されたEPAである。特定の実施形態においては、グリコシル化部位の導入は、EPAタンパク質一次構造におけるいずれかの位置へのグリコシル化コンセンサス配列[例えば、Asn-X-Ser(Thr)(ここで、XはPro以外の任意のアミノ酸でありうる)(配列番号2)、または好ましくはAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(ここで、XおよびZは、独立して、Pro以外の任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号3)(WO 2006/119987を参照されたい)]の挿入により達成される。1つの特定の実施形態においては、EPA担体タンパク質は4個のコンセンサスグリコシル化配列Asp/Glu-X-Asn-Z-Ser/Thr(配列番号3)を含み、配列番号1に記載されているアミノ酸配列を有する。
【0112】
ある実施形態においては、EPA担体タンパク質は、該担体タンパク質を発現する宿主細胞のペリプラズム間隙に該担体タンパク質を標的化するシグナル配列(例えば、大腸菌DsbA、大腸菌外膜ポーリンA(OmpA)、大腸菌マルトース結合タンパク質(MalE)などのシグナルペプチド)と共に産生されうる。また、EPA担体タンパク質は「タグ」(すなわち、該担体タンパク質の単離および/または特定を可能にするアミノ酸の配列)へと修飾されうる。
【0113】
本発明において有用なEPA担体タンパク質は、本開示を考慮して、当技術分野で公知の方法により製造されうる。例えば、Ihssenら, 2010, Microbial Cell Factories 9, 61ならびにWO 2006/119987、WO 2009/104074および国際特許出願番号PCT/EP2015/053739(それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)における関連開示を参照されたい。
【0114】
コンジュゲート
ある実施形態においては、宿主細胞は大腸菌O抗原およびEPA担体タンパク質を産生し、EPA担体タンパク質に該O抗原を共有結合させて、バイオコンジュゲートを形成しうる。例えば、Ihssenら, 2010, Microbial Cell Factories 9, 61ならびにWO 2006/119987、WO 2009/104074および国際特許出願番号PCT/ EP2015/053739(それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)における関連開示を参照されたい。
【0115】
あるいは、複合糖質(グリココンジュゲート)は化学合成により製造可能であり、すなわち、宿主細胞の外部(インビトロ)で製造可能である。例えば、タンパク質担体および多糖/オリゴ糖における活性化反応性基の使用を含む当業者に公知の方法を用いて、本明細書に記載されている大腸菌O抗原、例えばO25B抗原を、担体タンパク質に結合させることが可能である。例えば、Pawlowskiら, 2000, Vaccine 18:1873-1885およびRobbinsら, 2009, Proc Natl Acad Sci USA 106:7974-7978(それらの開示を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。そのようなアプローチは、宿主細胞からの抗原性多糖/オリゴ糖の抽出、多糖/オリゴ糖の精製、多糖/オリゴ糖の化学的活性化および担体タンパク質への多糖/オリゴ糖の結合(コンジュゲート化)を含む。
【0116】
バイオコンジュゲートは、インビトロで製造された複合糖質と比べて有利な特性を有する。例えば、バイオコンジュゲートは製造において化合物をより少量しか必要とせず、得られる最終産物に関して、より一貫しており均質である。したがって、バイオコンジュゲートは、化学的に製造された複合糖質より好ましい。
【0117】
特定の実施形態においては、EPA担体タンパク質は、本発明において有用な大腸菌O抗原にN結合している。例えば、大腸菌O抗原は、担体タンパク質のグリコシル化配列、例えばAsn-X-Ser(Thr)(ここで、XはPro以外の任意のアミノ酸でありうる)(配列番号2)、好ましくはAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(ここで、XおよびZは、独立して、Pro以外の任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号3)において、Asn残基に結合している。
【0118】
本明細書に記載されているコンジュゲートは、タンパク質の精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アニオン交換、アフィニティおよびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準技術により精製されうる。例えば、Saraswatら, 2013, Biomed. Res. Int. ID#312709 (p. 1-18)を参照されたい。また、WO 2009/104074に記載されている方法も参照されたい。個々のコンジュゲートを精製するために用いる実際の条件は、部分的には、合成戦略(例えば、合成的製造なのか組換え的製造なのか)、ならびにバイオコンジュゲートの正味電荷、疎水性および/または親水性のような要因に左右され、当業者に明らかであろう。
【0119】
併用療法
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物は、1以上の他の療法(例えば、抗細菌または免疫調節療法)と組合せて対象に投与される。前記の1以上の他の療法はExPEC感染の治療または予防において有益でありうる、あるいはExPEC感染に関連した症状または状態を改善しうる。幾つかの実施形態においては、前記の1以上の他の療法は鎮痛薬または解熱薬の投与である。ある実施形態においては、該療法は5分未満の間隔ないし1週間未満の間隔で投与される。当業者に公知の任意の抗細菌剤(例えば、抗生物質)は、本明細書に記載されている組成物と組合せて使用されうる。
【0120】
患者集団
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は無感作(ナイーブ)対象、すなわち、ExPEC感染を有さない又はExPEC感染を過去に有したことがない対象に投与(または適用)される。1つの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は、ExPEC感染を受けるリスクを有する無感作対象に投与(または適用)される。
【0121】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は、ExPEC感染を有すると診断されている又は過去に診断された対象に投与(または適用)される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている方法(または方法)は、症状が現れる前または症状が重篤になる前(例えば、患者が入院を要する前)にExPECに感染している対象に投与(または適用)される。
【0122】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は、尿路病原性大腸菌(UPEC)感染を有すると診断されている対象に投与(または適用)される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は、再発性尿路感染に罹患している対象に投与(または適用)される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は、再発性尿路感染に罹患しているが治療時には健康である対象に投与(または適用)される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)は、菌血症もしくは敗血症を有する又はそれらに罹患するリスクを有する対象に投与(または適用)される。
【0123】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は動物である。ある実施形態においては、動物はイヌである。ある実施形態においては、動物はネコである。ある実施形態においては、動物はウマである。ある実施形態においては、動物はウシである。ある実施形態において、動物は哺乳動物、例えばウマ、ブタ、ウサギ、マウスまたは霊長類である。好ましい実施形態においては、対象はヒトである。
【0124】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象はヒト対象、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患を有するリスクのあるヒト対象である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は50歳を超える成人である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は55歳を超える、60歳を超える、または65歳を超える成人である。
【0125】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象はヒト小児である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象はヒト小児である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、ヒト早産児を含むヒト乳児である。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象はヒト幼児である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は6月齢未満の乳児ではない。
【0126】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、妊娠している個体である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、1、2、3、4、5、6、7または8週間早く出産した女性である。
【0127】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、ExPECのリスクが増加した個体、例えば、免疫無防備状態または免疫不全の個体、手術予定の又は手術を最近受けた個体、創傷を有する個体、集中治療室(ICU)またはクリティカル・ケア・ユニット(CCU)の患者などである。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、ExPEC感染を有する又はExPEC感染のリスクが増加した個体と密接に接触している個体である。
【0128】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は医療従事者である。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は免疫無防備状態(例えば、HIV感染に罹患している)または免疫抑制状態である。
【0129】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は糖尿病を有する。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は多発性硬化症を有する。
【0130】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、尿道カテーテルなどのカテーテルの使用を要する状態を有する。ある実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は脊髄損傷を有する。
【0131】
ある実施形態においては、対象は、前立腺生検を受ける予定である又は既に受けた男性である。
【0132】
好ましい実施形態においては、本明細書に記載されている組成物(または方法)が投与(または適用)される対象は、ExPEC血清型O1A、O2、O6AおよびO25Bにより引き起こされる侵襲性ExPEC疾患の予防のための免疫化を要するリスク保有成人である。リスク保有ヒトの例には、前記のものが含まれるが、それらに限定されるものではない。リスク保有ヒトの他の例には、例えば、再発性尿路性敗血症または前立腺針生検(TRUS-PNB)を伴う経直腸超音波検査を受けた個体、長期ケア施設(LTCF)の居住者、長期ケア(LTAC)介助生活者、手術前患者(尿生殖器/腹部手術の予定の患者を含むが、これに限定されるものではない)、透析前の患者、透析前の者などが含まれる。
【0133】
投与量および投与頻度
O抗原とEPA担体タンパク質とのコンジュゲートおよび/またはその組成物の投与は、臨床家に公知の種々の経路、例えば皮下、非経口、静脈内、筋肉内、局所、経口、皮内、経皮、鼻腔内経路などにより行われうる。1つの実施形態においては、投与は筋肉内注射によるものである。
【0134】
本発明の実施形態においては、大腸菌O25B抗原の投与量レベルは、本発明の組成物または方法において使用されるその他の大腸菌O抗原の投与量レベルと同等であり、好ましくはそれより高く、ここで、大腸菌O抗原のそれぞれはEPA担体タンパク質に共有結合している。該製剤および方法において用いられる厳密な投与量は投与経路および感染の重症度に左右され、臨床家の判断およびそれぞれの対象の状況に応じて決定されるべきである。
【0135】
本発明の或る実施形態においては、大腸菌O25B抗原の典型的な投与量は投与当たりのO25B抗原4〜24μgの範囲であり、大腸菌O25B抗原と組合せて使用される追加的大腸菌O抗原のそれぞれに関する典型的な投与量は大腸菌O25B抗原の投与量の10%〜100%の範囲であり、ここで、大腸菌O抗原のそれぞれはEPA担体タンパク質に共有結合している。ある実施形態においては、大腸菌O25B複合糖質の典型的な投与量は、例えば、投与当たりO25B抗原4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24μgであり、大腸菌O25B複合糖質と組合せて使用されるもう1つの大腸菌O複合糖質の典型的な投与量は、例えば、大腸菌O25B複合糖質の投与量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%であり、ここで、投与量は投与当たりのO複合糖質におけるO抗原の量により計算される。
【0136】
本発明の或る実施形態においては、それを要する対象に本発明の組成物0.5mlを投与する。
【0137】
ある実施形態においては、ヒト対象への投与当たりの典型的な投与量は、EPA担体タンパク質に共有結合している大腸菌O25B抗原の第1濃度約8〜48μg/mL、例えば約8、12、16、20、24、28、32、36、40、44または48μg/mL、およびEPA担体タンパク質に結合した1以上の追加的大腸菌O抗原の、該第1濃度の10%〜100%の濃度に対応する。
【0138】
ある実施形態においては、ヒト対象への投与当たりの典型的な投与量は、EPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O25B抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約8μg/mLの濃度の大腸菌O1A抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約8μg/mLの濃度の大腸菌O2抗原、およびEPA担体タンパク質に共有結合している約8μg/mLの濃度の大腸菌O6A抗原を含有する組成物0.5mlに対応する。
【0139】
ある実施形態においては、ヒト対象への投与当たりの典型的な投与量は、EPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O25B抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O1A抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O2抗原、およびEPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O6A抗原を含有する組成物0.5mlに対応する。
【0140】
ある実施形態においては、ヒト対象への投与当たりの典型的な投与量は、EPA担体タンパク質に共有結合している約32μg/mLの濃度の大腸菌O25B抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O1A抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O2抗原、およびEPA担体タンパク質に共有結合している約16μg/mLの濃度の大腸菌O6A抗原を含有する組成物0.5mlに対応する。
【0141】
ある実施形態においては、ヒト対象への投与当たりの典型的な投与量は、EPA担体タンパク質に共有結合している約32μg/mLの濃度の大腸菌O25B抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約32μg/mLの濃度の大腸菌O1A抗原、EPA担体タンパク質に共有結合している約32μg/mLの濃度の大腸菌O2抗原、およびEPA担体タンパク質に共有結合している約32μg/mLの濃度の大腸菌O6A抗原を含有する組成物0.5mlに対応する。
【0142】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている大腸菌O抗原コンジュゲート、好ましくはバイオコンジュゲート、または本明細書に記載されている組成物は、単一用量(1回量)として1回、対象に投与される。ある実施形態においては、本明細書に記載されている大腸菌O抗原コンジュゲート、好ましくはバイオコンジュゲート、または本明細書に記載されている組成物は、単一用量およびその3〜6週間後の第2用量として、対象に投与される。これらの実施形態においては、追加(ブースター)接種は第2接種後6〜24カ月間隔で対象に投与されうる。ある実施形態においては、追加接種は、異なる大腸菌O抗原、バイオコンジュゲートまたは組成物を使用することが可能である。幾つかの実施形態においては、同じ大腸菌O抗原コンジュゲートまたは組成物の投与が反復可能であり、それらの投与は少なくとも1日、2日、3日、5日、7日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月または少なくとも6カ月隔てられうる。ある実施形態においては、本明細書に記載されている大腸菌O抗原コンジュゲートまたは本明細書に記載されている組成物は、単一用量として1年に1回、対象に投与される。ある実施形態においては、本明細書に記載されている大腸菌O抗原コンジュゲートまたは本明細書に記載されている組成物は、単一用量としてn年(nは例えば約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15または20年である)に1回、対象に投与される。
【0143】
ある実施形態においては、本明細書に記載されている大腸菌O抗原コンジュゲートまたは本明細書に記載されている組成物は、2、3、4、5用量またはそれ以上の用量として、2週間、3週間、4週間、5週間または6週間間隔で対象に投与される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている大腸菌O抗原コンジュゲートまたは本明細書に記載されている組成物の2、3、4、5用量またはそれ以上の用量が2、3、4、5または6週間間隔で対象に投与される。ある実施形態においては、投与される大腸菌O抗原コンジュゲートまたは組成物は毎回同じである。ある実施形態においては、投与される大腸菌O抗原コンジュゲートまたは組成物は毎回異なる。
【0144】
アッセイ
本明細書に記載されているコンジュゲート/組成物が対象において免疫応答を生成する能力は、本開示を考慮して、当業者に公知の任意のアプローチを用いて評価されうる。
【0145】
免疫応答を誘導するバイオコンジュゲートの能力を評価するためのアッセイ
幾つかの実施形態においては、対象において免疫応答を生成するバイオコンジュゲートの能力は、対象(例えば、マウス)または対象の集団をバイオコンジュゲートで免疫化し、追加的対象(例えば、マウス)または対象の集団を対照(例えば、プラセボ)で免疫化することにより評価されうる。ついで対象または対象の集団はExPECでチャレンジされることが可能であり、対象または対象の集団において疾患(例えば、UTI)を引き起こすExPECの能力が決定されうる。対照で免疫化された対象または対象の集団はExPECでのチャレンジの後で疾患に罹患したが、本明細書に記載されているバイオコンジュゲートまたはその組成物で免疫化された対象または対象の集団は疾患にそれほどは罹患しなかった又は疾患に罹患しなかった場合、該バイオコンジュゲートは対象において免疫応答を生成しうる、と当業者は認識するであろう。本明細書に記載されているバイオコンジュゲートまたはその組成物が、ExPECからのO抗原と交差反応する抗血清を誘導する能力は、例えばイムノアッセイ、例えばELISAにより試験されうる。
【0146】
インビトロ殺細菌アッセイ
本明細書に記載されているコンジュゲート/組成物が対象において免疫応答を生成する能力は、血清殺菌力試験(SBA)またはオプソニン貪食性死滅アッセイ(OPK)を用いて評価可能であり、これらは、複合糖質に基づくワクチンの承認を得るために用いられている確立された許容されている方法に相当する。そのようなアッセイは当技術分野でよく知られており、簡潔に説明すると、関心対象(例えば、大腸菌のO抗原、例えばO25B)に対する抗体を、そのような抗体を誘導する化合物を対象(例えば、マウス)に投与することにより産生させ、単離する工程を含む。ついで、例えば、問題の細菌(例えば、関連血清型の大腸菌)を該抗体および補体ならびにアッセイによっては好中球の存在下で培養し、例えば標準的な微生物学的アプローチを用いて、該抗体が該細菌を殺しおよび/または中和する能力をアッセイすることにより、該抗体の殺細菌能を評価することが可能である。
【0147】
キット
本明細書に記載されている組成物の成分(例えば、1以上の大腸菌O抗原、および/または本発明の実施形態に従い共有結合している大腸菌O抗原のコンジュゲート)の1以上で満たされた容器を含むパックまたはキットを本発明において提供する。所望により、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形態の通知または説明がそのような容器に付随していてもよく、そのような通知は、ヒトへの投与のための製造、使用または販売の、機関による承認を示す。本発明に含まれるキットは対象の治療および免疫化の前記方法において使用されうる。
【0148】
本発明の以下の実施例は本発明の性質を更に例示するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により決定されると理解されるべきである。
【0149】
実施形態
実施形態1は、大腸菌O25B抗原多糖の第1濃度と、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖のそれぞれの第2濃度とを含む組成物であって、ここで、第1濃度:第2濃度の比は1:1〜2:1であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合しており、第1濃度は10〜36μg/mlである、組成物である。
【0150】
実施形態2は、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を1:1:1:1の重量比で含む、実施形態1に記載の組成物である。
【0151】
実施形態3は、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を2:1:1:1の重量比で含む、実施形態1に記載の組成物である。
【0152】
実施形態4は、16μg/mlのO25B抗原多糖を含む、実施形態1〜3のいずれか1項に記載の組成物である。
【0153】
実施形態5は、32μg/mlのO25B抗原多糖を含む、実施形態1〜3のいずれか1項に記載の組成物である。
【0154】
実施形態6は、5〜18μgの第1用量の大腸菌O25B抗原多糖と、それぞれ独立して第1用量の50%〜100%である用量の大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖とを含む多価免疫組成物であって、ここで、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合している、多価免疫組成物である。
【0155】
実施形態7は、式O25B':
【化9】
の構造を有する大腸菌O25B抗原多糖、式O1A':
【化10】
の構造を有する大腸菌O1A抗原多糖、式O2':
【化11】
の構造を有する大腸菌O2抗原多糖、および式O6A':
【化12】
の構造を有する大腸菌O6A抗原多糖を含む多価免疫組成物であって、ここで、nは、独立して、5〜25の整数であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、配列番号1のアミノ酸配列を有する担体タンパク質に共有結合しており、該組成物中の大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖の濃度は、それぞれ、16:8:8:8μg/ml、16:16:16:16μg/ml、32:16:16:16μg/mlまたは32:32:32:32μg/mlである、多価免疫組成物である。
【0156】
実施形態8は、実施形態1〜7のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、腸外病原性大腸菌(ExPEC)に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法である。
【0157】
実施形態9は、大腸菌O25B抗原多糖の第1有効量と、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖のそれぞれの第2有効量とを対象に投与することを含む、腸外病原性大腸菌(ExPEC)に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法であって、ここで、第1有効量:第2有効量の比は1:1〜2:1であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合しており、第1有効量は投与当たり5〜18μgである、方法である。
【0158】
実施形態10は、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を1:1:1:1の投与量比で投与する、実施形態9に記載の方法である。
【0159】
実施形態11は、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を2:1:1:1の投与量比で投与する、実施形態9に記載の方法である。
【0160】
実施形態12は、投与当たり8μgのO25B抗原多糖を投与する、実施形態8〜11のいずれか1項に記載の方法である。
【0161】
実施形態13は、投与当たり16μgのO25B抗原多糖を投与する、実施形態8〜11のいずれか1項に記載の方法である。
【0162】
実施形態14は、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を1つの組成物において一緒に投与する、実施形態8〜13のいずれか1項に記載の方法である。
【0163】
実施形態15は、式O25B':
【化13】
の構造を有する大腸菌O25B抗原多糖、式O1A':
【化14】
の構造を有する大腸菌O1A抗原多糖、式O2':
【化15】
の構造を有する大腸菌O2抗原多糖、および式O6A':
【化16】
の構造を有する大腸菌O6A抗原多糖を対象に投与することを含む、腸外病原性大腸菌(ExPEC)に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法であって、ここで、nは、独立して、5〜25の整数であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、配列番号1のアミノ酸配列を有する担体タンパク質に共有結合しており、該組成物中の大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を投与当たり8:4:4:4μg、8:8:8:8μg、16:8:8:8μgまたは16:16:16:16μgで投与する、方法である。
【0164】
実施形態16は、免疫応答が、リスク保有ヒト対象においてExPEC血清型O1A、O2およびO6AおよびO25Bにより引き起こされる侵襲性ExPEC疾患の重症度を抑制し、または該疾患を予防する、実施形態8〜15のいずれか1項に記載の方法である。
【0165】
実施形態17は、成人対象が、尿路感染、手術部位感染、腹部または骨盤感染、肺炎、院内肺炎、骨髄炎、蜂巣炎、敗血症、菌血症、創傷感染、腎盂腎炎、髄膜炎、新生児髄膜炎、腹膜炎、胆管炎、軟部組織感染、化膿性筋炎および敗血症性関節炎からなる群から選択される侵襲性ExPEC疾患を有する、または該疾患のリスクを有する、実施形態16に記載の方法である。
【0166】
実施形態18は、大腸菌O25B抗原多糖、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖を一緒にして組成物を得ることを含む、実施形態1〜7のいずれか1項に記載の組成物の製造方法である。
(実施例)
【0167】
O抗原バイオコンジュゲート
EPAタンパク質担体のグリコシル化部位に共有結合している大腸菌O1A、O2、O6AおよびO25Bをそれぞれ含有するO1A-EPA、O2-EPA、O6A-EPAおよびO25B-EPAバイオコンジュゲートを、例えばIhssenら, 2010, Microbial Cell Factories 9, 61ならびにWO 2006/119987、WO 2009/104074および国際特許出願番号PCT/ EP2015/053739(それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているとおりに製造し、精製し、特徴づけした。該バイオコンジュゲートは、オリゴ糖転移酵素PglBおよびタンパク質担体(EPA)の存在下、種々のO血清型の多糖合成酵素を発現する組換え大腸菌細胞を使用して合成される。このアプローチにおいては、
図1および
図2に図示されている生化学的プロセスにより、複合糖質ワクチンを大腸菌のペリプラズム内で発現させ、抽出し、精製することが可能である。表2は、本発明の1つの実施形態によるコンジュゲートの製造に使用される宿主株を示す。
【0169】
例えば、O25B-EPAの製造のために、ゲノム的に組込まれたO25Bクラスターを含有する株であるW3110ΔwaaLΔgtrABSΔrfbO16::rfb(upec138)を構築し、これをプラスミドpGVXN1076(これは、配列番号1のアミノ酸配列を有するEPAを発現する)およびpGVXN970(これはオリゴサッカリルトランスフェラーゼPelBを発現した)で形質転換した(WO/2009/104074)。この株はDatsenkoおよびWanner(2000, Proc Natl Acad Sci U S A 97: 6640-6645)の方法ならびに細菌染色体内への大きなインサートの部位特異的組込みのための相同組換え技術(WO 2014/057109を参照されたい)により株W3110から構築した。O25B抗原に関連したrfbクラスターを、O25Bに関して陽性である大腸菌株upec138からクローニングした。該組換え宿主細胞はO25B/EPAバイオコンジュゲートをペリプラズム内で産生した。得られたO25Bバイオコンジュゲートを、標準的な遊離および特徴づけアッセイを用いて特徴づけした。2つの連続的なアニオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィー工程を用いてバイオコンジュゲートを精製して、98.1%の純度のO25Bバイオコンジュゲート調製物を得た。
【0170】
同様に、O1A-EPA、O2-EPAおよびO6A-EPAの組換え製造のための宿主株を構築した(表2)。これらの株は、それぞれ大腸菌株upec032、upec116およびCCUG11309からクローニングされたO1A、O2およびO6Aに関連したrfbクラスターを含む。O1A-EPA、O2-EPAおよびO6A-EPAのバイオコンジュゲートをこれらの組換え宿主から産生させ、本開示を考慮して、当技術分野で公知の方法を用いて精製した。
【0171】
純度分析のためにSDA PAGE定量を用いた。タンパク質濃度に関するBCAアッセイおよびアントロンアッセイ(LaurentinおよびEdwards, 2003, Anal Biochem 315, 143-145を参照されたい)による糖定量に基づいて糖対タンパク質比を計算した。分析用サイズ排除クロマトグラフィーは、結合したグリカン鎖を有するEPAの予想流体力学的半径と一致する粒子の単量体状態を示した。
【0172】
バイオコンジュゲートおよび非グリコシル化EPA参照標準体を、マルチアングル光散乱(SEC-MALS)を伴うサイズ排除クロマトグラフィーにより分析して、個々のバイオコンジュゲートのモノグリコシル化およびジグリコシル化の程度を定量し、タンパク質担体およびそれに結合したO-PSの分子量(MW)を決定した。サンプルをリン酸バッファー(pH7.0; 50mM NaCl, 150mMリン酸ナトリウム)中、TSKgel-G3000 SWx1カラム上で分離し、UV(214および280nm)、屈折率(RI)およびマルチアングル光散乱(MALS)によりモニターした。
【0173】
ワクチン組成物
この実施例は、本発明に有用なワクチン組成物を例示する。
【0175】
前記例示液体ワクチン組成物のそれぞれは、注射にそのまま使用されるバイアル内にパッケージングされる。ワクチン製品は+2℃〜+8℃で保存されるべきである。
【0176】
ワクチン組成物中の活性物質はグリコシル化タンパク質(大腸菌O抗原多糖に共有結合しているEPAタンパク質担体から構成されるバイオコンジュゲート)であり、用量は、多糖部分(O抗原)のみの含量に基づいて計算される。
【0177】
EPA担体タンパク質の用量は多糖対タンパク質比に左右される。推定多糖対タンパク質比は、O抗原血清型に応じて15%〜50%であった。すなわち、コンジュゲート中の多糖の重量はコンジュゲート中のEPAタンパク質担体の重量の約15%〜50%である。ExPEC4Vにおける各血清型に関して、多糖対タンパク質比を定量した。例えば、多糖(O抗原)の量をアントロンアッセイ(LaurentinおよびEdwards, 2003, Anal Biochem 315, 143-145を参照されたい)により測定し、ビシンコニン酸(BCA)アッセイを用いてタンパク質濃度を測定した。産物1-3における各血清型に関しては、表3-1および表3-2に示されているEPAの値は、ExPEC4Vからの分析結果に基づく予想値である。
【0178】
4価ワクチン組成物(O25B、O1A、O2およびO6バイオコンジュゲート)の安定性を3カ月以上にわたって試験した。この研究は、分解経路を特定するための加速およびストレス保存条件を含むものであった。これらの研究は、活性物質および4価ワクチン組成物が少なくとも3カ月間安定であり、したがって安定性に関して適切なワクチン組成物であることを示している。
【0179】
ラットにおける反復投与毒性研究
第1日および第14日における2回の筋肉内(i.m.)注射(大腿四頭筋)の後のワクチン組成物の毒性および局所耐性を評価するために、14日間の回復期間を伴う優良試験所基準(GLP)毒性研究をSprague-Dawleyラットにおいて行った。14日間の回復期間の後(すなわち、第28日に)、可逆性、持続性およびいずれかの変化の遅延発生を評価した。該ラットにおける第1相可能反復投与毒性試験の設計の概要を表4に示す。
【0181】
この研究においてはExPEC4VのO抗原多糖(PS)当たり4μgの用量(16μgの総PS用量)を試験した。この用量は、後記の第1相臨床試験で評価された最大用量と同等である。したがって、第1相で使用された全ヒト用量をラットGLP毒性試験において投与した。第1相臨床試験において使用されたバッチを代表する非臨床バッチを使用して試験を行った。
【0182】
試験中に死亡は観察されず、また、いずれの処理関連臨床徴候(体温を含む)も眼科的観察も認められなかった。更に、体重、体重増加、食物消費または血液学、臨床化学、凝固および尿検査パラメーターに対する毒物学的関連有害作用は認められなかった。処理の終了時(第14日)および回復期間の終了時(第28日)において、被検物質関連巨視的所見も臓器重量の差も認められなかった。
【0183】
有害な被検物質関連巨視的所見は認められなかった。ビヒクル群および処理群の両方において、処理期間の終了時に大腿四頭筋における注射部位に、有害ではない極微ないし軽度の顕微鏡的所見(間質性炎症、筋線維の変性/壊死および混合炎症性細胞浸潤)が認められた。したがって、これらの所見は被検物質の投与に関連したものではなく、投与方法(すなわち、i.m.注射)の影響によるものだとみなされた。回復期間の終了時には、第1日の注射部位の筋肉は既に回復していたが、第14日の注射部位には、残存する極微混合細胞炎症/浸潤が筋肉において認められ、このことは、ビヒクルおよび処理動物の両方において回復が進行中であることを示唆している。総合すると、該ワクチンは良好な耐容性を示し、有害な治療関連効果は認められなかった。
【0184】
ワクチンの免疫原性は確認されており、製剤化バッファーのみの投与を受けたビヒクルと比較して、ワクチン接種群においては、4つのO抗原に対する、より高い血清免疫グロブリンG(IgG)力価が誘導された。
【0185】
ウサギにおける反復投与毒性試験
2週間間隔で行われる3回のi.m.注射(第0日、第14日および第28日)の後のExPEC4Vの毒性および局所耐性を評価するために、3週間の回復期間を伴うGLP反復投与毒性試験をNZWウサギ(TOX11163、報告書案)において行った。第28日の3回目の注射の後の3週間の無処理期間の後、すなわち第49日に、可逆性、持続性およびいずれかの変化の遅延発生を評価した。該ウサギにおける第2相可能反復投与毒性試験の設計が表5において見出されうる。
【0187】
この研究においてはExPEC4VのO抗原PS当たり16μgの最大用量(64μgの総PS用量; 218μgのEPA担体タンパク質を伴う)を試験した。この用量は、ラットにおける第1相可能GLP毒性試験において既に試験された最大用量より4倍多く、後記の第2相臨床試験において評価される最大PS(およびEPA)と同等である。したがって、第2相で使用される全(最大)ヒト用量をこのウサギGLP毒性試験において投与した。
【0188】
該試験は、後記の第1相臨床試験において使用されたExPEC4V(32μg/mLの全PSを含有する)を使用して行った。このバッチは、後記の第2相臨床試験において使用されるワクチン組成物(128μg/mLの全PSを含有する)を代表するものとみなされる。なぜなら、両方のワクチン組成物に関して同じ薬物が使用されるからである。
【0189】
試験中に死亡は観察されなかった。体温、体重、体重増加、食物消費、眼科学、皮膚評価(ドレーズ評価)、臨床化学およびC反応性タンパク質に対する影響は認められなかった。
【0190】
64μgのExPEC4Vの投与を受けた雌は処理および回復期間の終了時にヘモグロビンレベルの有害でない最低限度の減少を示し、回復期間の終了時に総赤血球数およびヘマトクリットの最低限度の減少を示した。フィブリノーゲンは雌において1回目の注射の1週間後および処理期間の終了時に最低限度で減少したが、無処理(回復)期間の終了時にはそれ以上の変化は観察されなかった。
【0191】
投与直後、ExPEC4V投与群の幾つかの動物においては皮下組織の暗い変色が認められ、これは、剖検時(第30日)に全群(対照群を含む)において第28日に注射された部位で見られた病巣/変色領域と相関した。回復期間の終了時に異常は認められなかった。ExPEC4V投与動物においては、主に第28日の注射の部位に、混合炎症性細胞浸潤(極微ないし軽度)の組織病理学的に複数の病巣が見られた。回復期間の終了時(第49日)に、高用量群における1頭の雌のみが第28日の注射部位に混合炎症性細胞浸潤を示し、これは(進行中)の回復を示している。
【0192】
流入領域内側腸骨リンパ節内で、処理期間の終了時に、リンパ芽球細胞の産生(胚中心におけるもの)および隔離がExPEC4V投与ウサギの傍皮質および/または髄索内で見られ、これは全体的な細胞充実性の増加をもたらした。更に、雌雄の両方においてリンパ節はより大きく、これは雌においては体重増加と相関した。これらの所見は回復期間の終了時には見られなかった。胚中心の数の増加が、処理および回復期間の終了時に、処理された雄および雌の脾臓において認められ、処理期間の終了時に雌雄の両方において脾臓重量の増加を伴っていた。
【0193】
これらの所見は、有害ではなく、ワクチン投与に対する免疫応答に関連しているとみなされる。
【0194】
4つ全てのO抗原血清型およびEPAに対する血清IgGレベルが雄および雌において上昇したため、該ワクチンの免疫原性が証明された。
【0195】
総合すると、64μgまでの全PSを含有するExPEC4V用量でのウサギのワクチン接種(2週間間隔の3回のi.m.注射)は安全であり、良好な耐容性を示した。観察された全ての処理関連効果は、ワクチン投与により誘導される有害でない正常な応答を反映しているとみなされる。
【0196】
ラットにおいてワクチンにより誘導される抗体応答の機能性
O25B、O1A、O2およびO6Aバイオコンジュゲートのワクチン誘導抗体応答の機能活性を評価するために、O25B、O1A、O2およびO6A EPAバイオコンジュゲート(それぞれ単独であるか又は組合されている)を含有する1価または4価ワクチンを接種したラットからの血清を、細菌、例えば大腸菌の死滅ならびにインビトロ補体および抗体依存性食作用を測定するオプソニン食作用死滅(OPK)アッセイを用いて分析した。OPKアッセイは、種々の大腸菌血清型のオプソニン食作用および死滅を促進する血清の能力を測定する。96ウェルプレートにおいて、一定希釈度のサンプル血清を、各ウェルにおいて、4つのワクチン特異的大腸菌血清型の1つからの細菌、一定量のHL60細胞および乳児ウサギ補体と共にインキュベートした。インキュベーション後、該混合物の一部をトリプシンダイズ寒天(TSA)上にスポットし、細菌コロニーの数を数えた。該抗体が該細菌細胞に結合し、該補体の沈着を活性化し、HL60細胞による該細菌の取り込みおよび死滅を媒介する能力をオプソニン力価として表した。オプソニン力価またはオプソニン化指数(OI)は、細菌細胞の50%を殺す血清の希釈度に対応する。免疫前血清および免疫後血清のオプソニン化指数が示されている。免疫前から免疫後までのOIの少なくとも4倍の増加が有意とみなされる。
【0197】
大腸菌を、ワクチン接種ラットからの血清希釈液でプレオプソニン化し、補体および食細胞(分化HL60細胞)と共にインキュベートし、コロニー形成単位(CFU)を決定した。ついで、最大死滅率(%)およびオプソニン化指数(OI:大腸菌の50%を死滅させる血清希釈度)を計算した。OPK試験のために選択された大腸菌はOC24453(血清型O2)、OC24781(血清型O6A)およびOC24176(血清型O25B)であった。
【0198】
図3A〜3Cに示されている結果により示されるとおり、O2-EPA、O6A-EPAおよびO25B-EPAを含有する1価ワクチンはラットにおいて頑強な抗体応答を誘導し、そのような抗体応答は、これらの血清型からの大腸菌の死滅において機能的である。
【0199】
表6は、O抗原当たり0.4または4μgのいずれかの4価ワクチンで免疫化されたラットからのO抗原O2、O6AおよびO25Bに関する総OI力価を示す。該力価は2つの別々の実験において決定された。0.4μgの用量は、O2およびO6A血清型に関して、全ての動物において有意なOIを誘導した。O25Bに関しては、8匹中3匹の動物が0.4μg用量での免疫化の後でOIの有意な増加を示した。0.4μgの用量と比較して、4μgの用量は、全ての動物において、O2に関して、より低いOIの増加を誘導した。4μg用量群からの血清をO25B大腸菌に関して試験した場合、8匹中3匹の動物がOIの増加を示した。
【0200】
該データは、4価ワクチンが動物においてO2、O6AおよびO25Bに対するO抗原特異的オプソニン抗体を誘導しうることを証明しており、これは、本明細書に記載されているワクチン組成物が、該ワクチンに含まれるO抗原に対応する大腸菌血清型に対する抗体応答を誘導すること、およびそのような抗体応答がこれらの血清型からの大腸菌の死滅において機能的であることを実証している。
【0202】
ヒトにおける効果 - 第I相試験
合計194名の被験者が登録したヒト初回第1相試験においてExPEC4Vを試験した。この第1相試験はランダム化プラセボ対照多施設試験である。該試験は一重盲検法で行われ、研究者および研究スタッフは被験者のランダム化群を知っていたが、被験者は常に自分らのランダム化群に関して秘匿化されていることが要求された。
【0203】
このヒト初回試験の目的は、再発性尿路感染症(rUTI)の病歴を有する18歳以上70歳以下の健康な女性における候補ワクチンの安全性、免疫原性および有効性を評価することであった。この試験の第1の目的は、ExPEC4Vの投与を受けた被験者とプラセボの投与を受けた被験者との間の、自発的(solicited)および非自発的有害事象(AE)ならびに重篤有害事象(SAE)の比較であった。主要な第2の目的は、免疫原性パラメータ、大腸菌ワクチン血清型により引き起こされる症候性UTIエピソードの数、ならびにワクチン血清型特異的大腸菌UTIの発生率および臨床症状を含むものであった。
【0204】
適格被験者は、過去12カ月間の少なくとも3つの独立したUTIエピソードまたは過去6カ月間の少なくとも2つの独立したUTIエピソードを有することが要求され、そのような独立したUTIエピソードの少なくとも1つは、培養により確認された大腸菌感染によるものでなければならなかった。合計194名の被験者が登録され、0.5mLの単一i.m.用量のExPEC4Vまたはプラセボにランダム化された(表7を参照されたい)。登録は、次の段階に進む前に第14日の安全性データを評価するためのスタガード(staggered)アプローチで行った。
1.最初の8名の被験者は1μgの用量の各PSまたはプラセボにランダム化された(3:1)。
2.それに続く8名の被験者は4μgの用量の各PSまたはプラセボにランダム化された(3:1)。
3.残りの178名の被験者は4μgの用量の各PSまたはプラセボにランダム化された(1:1)。
【0206】
最初の訪問時に、インフォームド・コンセントを示した適格被験者が選別され、包含/除外基準に関する遵守が確認された。血液を採取し、尿を採取した。2回目の訪問時(第1日)に、各被験者は三角筋内に0.5mlの溶液(ExPEC4Vまたはプラセボ)の1回の筋肉内注射を受けた。候補ワクチンの減少用量は1μgの各多糖(合計4μgの多糖)を含有していた。候補ワクチンの目標用量は4μgの各多糖(合計16μgの多糖)を含有していた。
【0207】
ワクチン接種後第1日から第7日までに日誌に収集された自発的な局所性(注射部位における疼痛、紅斑および腫脹)および全身性(発熱、すなわち、38以上の体温)AEならびに第270日(試験のための最終訪問)までに収集されたAEおよびSAEに基づいて、安全性を評価した。第1日のワクチン接種前ならびに第30日および第270日のワクチン接種後に採取された血液サンプルからの血清を使用する適切な酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)およびオプソニン食作用死滅(OPK)アッセイにより、免疫原性を評価した。
【0208】
記述統計量(連続変数に関してはn、平均値、標準偏差、中央値および範囲、カテゴリ変数に関しては頻度および百分率)が処理群(治療群)および/または訪問(適用可能な場合)ごとに示されている。全てのデータは被験者、治療群、および適用可能な場合には訪問ごとに挙げられている。プラセボの投与を受けたB群の全ての被験者を一緒にしてプラセボ処理群を形成している。
【0209】
安全性
現在のところ、第1相試験(これは尚も継続中である)からは以下のうちのいずれもが確認されていない:有害薬物反応、有意な臨床検査上の異常、心臓血管、肺、中枢神経系、腎臓または他の有意な副作用、過剰投与。有害事象および重篤な有害事象の発生はプラセボ群とワクチン接種群との間で同等であった。
【0210】
免疫原性 - 全抗体価
ワクチン成分の免疫原性を評価するために、臨床試験に参加している女性から血清を得、ELISAにより分析して、4価ワクチンに含まれる4つの異なるO抗原(大腸菌O1、大腸菌O2、E大腸菌O6、および大腸菌O25B)に対するIgGを提供した。精製された血清型特異的O抗原を一次アッセイ抗原として使用して、各血清型分離体に関して最適化された適切なELISAにより、全体的な第1日(ワクチン接種前)および第30日の血清IgG抗体価を評価した。サンプルごとに半最大有効濃度(EC
50)値を決定するために、4パラメーターロジスティック曲線フィットを用いて、血清型ごとの全IgG抗体価を計算した。
【0211】
ExPEC4Vにおける血清型当たり1μgの多糖(N=6)
6名の被験者に血清型当たり1μgのPS(合計4μgのPS)のExPEC4V用量を投与した。第30日までのこれらの被験者の血清型特異的免疫応答の分析は、血清型当たりの全抗体における2倍以上の増加を示す被験者の割合が50%(血清型O1A)、83%(血清型O2)、50%(血清型O6A)、67%(血清型O25B)であることを示した。抗体価における4倍以上の増加を示す被験者の割合はより低く、すなわち、17%(血清型O6A)、33%(血清型1A)、33%(血清型2)および50%(血清型O25B)であった。
【0212】
血清型用量群当たり1μgのPSの応答の分析は4つの血清型にわたって同様の大きさの増加を示した。第30日を第1日と比較した場合、血清型O1A、O2、O6AおよびO25Bに関しては、抗体価の中央値増加倍数は、それぞれ、2.5、3.7、2.2および4.1であった。個々の被験者の増加倍数は血清型O1AおよびO2に関しては1〜6、血清型O6Aに関しては1〜7、および血清型O25Bに関しては1〜11の範囲であった。第30日の幾何平均力価(GMT)値は4つの血清型に関してそれぞれ4,053、13,768、1,236および227であり(表8)、これらは第1日のGMT値と比較して約2.2〜3.5倍の増加に相当する。
【0214】
血清型ExPEC4V当たり4μの多糖(N = 93)
血清型当たり1μgのPS(合計4μgのPS)を含有する用量と比較して、血清型当たり4μgのPS(合計16μgのPS)のExPEC4V用量の投与はより頑強な免疫応答をもたらした。第30日までのこれらの被験者の分析は、血清型当たりの全抗体における2倍以上の増加を示す被験者の割合が81%(血清型O1A)、92%(血清型O2)、80%(血清型O6A)および82%(血清型O25B)であることを示した。抗体価における4倍以上の増加を示す被験者の割合は57%(血清型O1AおよびO6A)〜80%(血清型O2)の範囲であり、これは2倍の増加の割合より低いが、血清型当たり1μgのPSを含有する用量で観察されるものより顕著に高い。
図4も参照されたい。O1A、O2、O6AおよびO25Bのそれぞれに対する頑強な免疫応答が観察され、注射前(注射の30日後)と注射前(第1日)との間のELISA力価の有意な増加はワクチン接種群においてのみ認められ(V
第30日対V
第1日)、プラセボ群においては認められなかった(P
第30日対P
第1日)。
【0215】
血清型群当たり4μgのPSの応答の分析は、血清型投与群当たり1μgのPSの場合より大きな、中央値増加倍数を示した。第30日を第1日と比較した場合、血清型O1A、O2、O6AおよびO25Bに関しては、EC50中央値増加倍数は、それぞれ、4.6、9.4、4.9および5.9であった。増加倍数の大きさおよび変動性は、この投与群では、より大きく、血清型O1Aに関しては1〜96、血清型O2に関しては1〜165、血清型O6Aに関しては0〜61、および血清型O25Bに関しては1〜579の範囲であった。第30日のGMT値はそれぞれの4つの血清型(表8)に関して9,460、27,973、4,475および2,164であり、第1日のGMT値と比較して約4.9〜9.8倍の増加に相当した。
【0216】
結論
これらの中間結果は、血清型ExPEC4V用量当たり1μgのPSが投与された健常被験者におけるワクチン特異的免疫応答を示しており、血清型ExPEC4V用量当たり4μgのより高いPSでは、30日間の観察期間にわたって、免疫応答の比較的より大きな増強を示している。この期間にプラセボ群の95名の被験者の抗体価における関連変化がないことは、ExPEC4V被投与者における抗体応答がワクチン媒介性であり、ExPEC細菌への環境暴露によるものではないことを示唆している。
【0217】
これらのデータは、血清型用量当たり1μgのPSと比較して、血清型当たり4μgのより高いPSに関連した抗体価の全体的な増加を示している。これらの結果は、該低用量群と比較して、該高用量群の力価に関連した、より大きな変動性を示唆しているが、被験体用量当たり1μgの被験者の数が少ないため、観察された差異の解釈が制限される。また、血清型当たりの相対的IgG力価において、各用量群内で差異が観察され、O25B抗原に対する抗体の力価が最低であった(表8)。
【0218】
機能的抗体応答
臨床試験に参加している女性の機能的抗体応答を評価するために、OPKアッセイを用いた。研究参加者から血清を採取した。大腸菌を、ワクチン接種した女性からの血清の希釈液でプレオプソナイズし、補体および食細胞(分化HL60細胞)と共にインキュベートし、残りのコロニー形成単位(CFU)を決定した。ついで死滅率およびオプソニン化指数(OI:大腸菌の50%を殺す血清希釈度)の最大比率を計算した。OPK試験のために選択した大腸菌はOC24452(血清型O1A)、OC24453(血清型O2)、OC24454(血清型O6A)およびOC24176(血清型O25B)であった。
【0219】
ヒト補体およびHL60食細胞と共に、選択された血清型O1A、O2、O6AまたはO25B ExPEC株を使用して最適化されたOPKアッセイにより、第1日および第30日の血清を、機能的抗体(オプソニン化指数[OI]、すなわち、大腸菌コロニー形成単位における50%の減少をもたらす血清濃度として測定される)に関して評価した。血清型O25Bの機能的抗体価は、力価精度および再現性の予備評価に基づく中間分析に含まれている。全ての血清型に関して、機能的抗体価は、U.S. National Institute of Standards and Technologyにより開発されたNICEプログラムおよびUniversity of Alabamaにより開発されライセンス供与されたOpsititer3プログラムを使用する大腸菌オプソニン食作用媒介性死滅の測定から決定される。中間分析のために、プラセボの投与を受けた95名の被験者、ExPEC4V 1μg PS(血清型当たり)ワクチンの投与を受けた6名の被験者およびExPEC4V 4μg PS(血清型当たり)ワクチンの投与を受けた93名の被験者を含む194名の被験者に関して、OPK力価を決定した。
【0220】
プラセボ被投与者(N = 95)
ELISA試験で観察されたとおり、プラセボ被投与者(95名の被験者)は、第1日および第30日の血清対ExPEC4V血清型に関して、類似したOPK応答を示し、ほとんどのそれぞれの被験者当たりのOPK力価値に対する変化はほとんど又は全く観察されなかった。これらの結果は、ほとんど又は全てのプラセボ被験者に関して、この期間にわたる安定した機能的抗体価を示している。
【0221】
血清型ExPEC4V当たり1μgの多糖(N = 6)
6名の被験者に血清型当たり1μのPS(合計4μgのPS)のExPEC4V用量を投与した。第30日までのこれらの被験者の血清型特異的免疫応答の分析は、血清型当たりの全抗体における2倍以上の増加を示す被験者の割合が33%(血清型O1A)、67%(血清型O2)および0%(血清型O6AおよびO25B)であることを示した。血清型O1AおよびO2に関しては、抗体価における4倍以上の増加を示す被験者の割合は、それぞれ、17%および50%に低下した。
【0222】
第30日を第1日と比較した場合、血清型O1A、O2、O6AおよびO25Bに関しては、抗体価の中央値増加倍数は、それぞれ、1.0、4.8、0.9および1.0であった。個々の被験者の増加倍数は血清型O1に関しては0.6〜8.1、血清型O2に関しては0.3〜9.5、血清型O6Aに関しては0.8〜1.3、および血清型O25Bに関しては0.5〜1.5の範囲であった。第30日の幾何平均力価(GMT)値はそれぞれの4つの血清型に関して429、1834、1,136および51であり、これらは第1日のGMT値に対する約1.0〜2.8倍の増加に相当する。
【0223】
血清型ExPEC4V当たり4μの多糖(N = 93)
血清型当たり4μgのPS(合計16μgのPS)のExPEC4V用量の投与は全てのExPEC4V血清型に関して機能的免疫応答をもたらした。第30日までのこれらの被験者の分析は、血清型当たりのOI値における2倍以上の増加を示す被験者の割合が63%(血清型O1A)、90%(血清型O2)、33%(血清型O6A)および55%(血清型O25B)であることを示した。OI価における4倍以上の増加を示す被験者の割合は20%(血清型O6A)〜82%(血清型O2)の範囲であり、予想どおり、これらの割合は、2倍以上の増加に関して観察されたものより、一貫して低かった。
【0224】
第30日を第1日と比較した場合、血清型O1A、O2、O6AおよびO25Bに関しては、OI中央値OPK力価増加倍数は、それぞれ、3.5、14.7、1.4および2.5であった。この投与群における被験者当たりの増加倍数の大きさは血清型O1AおよびO2に関しては0.5〜> 292、血清型O6Aに関しては0.3〜26.4、および血清型O25Bに関しては0.1〜272.8の範囲であった。
図5A〜5Dに示されているとおり、O1A、O2、O6AおよびO25Bのそれぞれに対する頑強な機能的免疫応答が観察され、注射後と注射前との間のOIの有意な増加はワクチン接種群においてのみ観察され、プラセボ群においては観察されなかった。
【0225】
第30日におけるGMT値はそれぞれの4つの血清型(表9)に関して950.5、4,132、1,542および414.7であり、これらは第1日のGMT値に対する約2〜14倍の増加に相当する。これらのデータは、全てのExPEC4V血清型にわたる、血清型用量当たり4μgのPSに関連した第30日の機能的抗体価の全体的な増加を示している。
【0227】
結論
これらの中間結果は、30日間の観察期間にわたる、血清型ExPEC4V用量当たり4μgのPSが投与された健常被験者におけるワクチン特異的免疫応答を示している。この期間にプラセボ群の95名の被験者の抗体価における有意な変化がないこと(
図5A〜5Dおよび表9)はELISAの結果と一致しており、ワクチン接種に対する抗体応答が4つのExPEC血清型にわたって実証されたという結論を支持している。
【0228】
第1相試験からの中間的な免疫原性の結果は、全体的(ELISA)および機能的(OPK)な両方の抗体価に関して、血清型ExPEC4V用量当たり1μgのPSが投与された健常被験者におけるワクチン特異的免疫応答を示しており、血清型ExPEC4V用量あたり4μgのより高いPSの場合の、30日間の観察期間にわたる免疫応答における比較的大きな増加を示している。ELISA試験で観察された血清型特異的増加倍数と比較して、OPKアッセイはどちらのアッセイについても血清型O1AおよびO2に関しては類似した応答レベルを示したが、血清型O6AおよびO25Bに関しては被験者のOPK応答率(%)の幾らか低いレベルを示した。血清型O6AおよびO25Bに関する幾人かの被験者のOPK応答における選択的減少は現在研究中である。
【0229】
注目すべきことに、O25B抗原に関する、OPKで決定された機能的抗体価のGMT値は、その他の抗原(O1A、O2およびO6A)に関するものより低い。OPKアッセイは、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)に対するPSコンジュゲートワクチン(Prevenar(登録商標))により誘導される免疫防御に関する、より良好な代替アッセイとして受け入れられている。なぜなら、ELISAは非防御性低アビディティ抗体を防御性高アビディティ抗体から識別できないからである(Kimら, Clin Diagn Lab Immunol. 2003 10(4):616-21)。
【0230】
ヒトにおける効果 - 第II相試験
第I相試験からの中間結果に基づいて、第II相試験が行われるであろう。このランダム化二重盲検プラセボ対照多施設試験は、年齢によって層化(18歳以上50歳未満(N = 275)および50歳以上(N = 560))された安定な健康状態の男性および女性における5つの異なる用量の安全性、耐容性および免疫原性を評価するように計画されている。
【0231】
ExPEC4Vにおいて使用されたものと同じ活性物質を使用して、2つの異なる多糖濃度を有する2つのワクチン組成物、すなわち、表3-2に示されている産物1および2が第II相試験において使用される。より詳細には、組成物1製剤は大腸菌血清型O1A、O2、O6AおよびO25BのO抗原多糖(PS)当たりそれぞれ32、32、32、32μg/mlをアジュバント非存在下で含有する。組成物2製剤は大腸菌血清型O1A、O2、O6AおよびO25BのO抗原(PS)当たりそれぞれ16、16、16、32μg/mlをアジュバント非存在下で含有する。
【0232】
活性物質の種々の投与量および比率が第II相試験において試験される。より詳細には、登録された被験者はランダム化され、6つの部門、すなわち、(i〜v)の5つの異なる用量の候補ワクチンおよび(vi)プラセボに分類される。各被験者は組成物1、組成物2またはプラセボの単一i.m.用量の投与を受ける。組成物1または2の注射当たりの大腸菌O抗原O1A:O2:O6A:O25Bの目標用量は4:4:4:4μg(すなわち、前記の第I相試験で使用された最高用量と同じ)、4:4:4:8、8:8:8:8、8:8:8:16および16:16:16:16μgである。該試験の目的は、4価大腸菌バイオコンジュゲートワクチンの5つの異なる用量の安全性、免疫原性および有効性を評価することである。
【0234】
本明細書に記載されている実施形態は単なる例示であると意図され、当業者は、本明細書に記載されている特定の手順の多数の均等物を認識し、通常の実験のみを用いて該均等物を確認することが可能である。全てのそのような均等物は本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【0235】
本明細書に引用されている全ての参考文献(特許出願、特許および刊行物を含む)を、それらの全体において及び全ての目的において、各個の刊行物または特許または特許出願がその全体において全ての目的において参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
【0236】
参考文献
(1) Johnson et al., J Lab Clin Med. 2002;139(3):155-162
(2) Kohler et al., Int J Med Microbiol. 2011;301(8):642-647
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(4) Russo et al., Microbes Infect. 2003;5(5):449-456
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(12) Lipsitch, Emerging Infectious Diseases; 1999, 5:336-345
(13) WO 2006/119987
(14) WO 2009/104074
(15) 国際特許出願番号PCT/EP2015/053739 (WO 2015/124769として公開)
(16) Ihssen et al., 2010, Microbial Cell Factories 9, 61
(17) Lukac et al., Infect Immun, 56: 3095-3098, 1988
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(20) Robbins et al., 2009, Proc Natl Acad Sci USA 106:7974-7978
(21) Saraswat et al., 2013, Biomed. Res. Int. ID#312709 (p. 1-18)
(22) WO/2009/104074
(23) Datsenko and Wanner (2000) Proc Natl Acad Sci U S A 97: 6640-6645
(24) WO 2014/057109
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(26) Kim et al., Clin Diagn Lab Immunol. 2003 10(4): 616-21
本発明は以下の実施形態を包含する。
[1] 第1濃度の大腸菌O25B抗原多糖と、第2濃度の、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖のそれぞれとを含む組成物であって、ここで、第1濃度:第2濃度の比は1:1〜2:1であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒された緑膿菌外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合しており、第1濃度は10〜36μg/mlである、組成物。
[2] 大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を1:1:1:1の重量比で含む、実施形態1に記載の組成物。
[3] 大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を2:1:1:1の重量比で含む、実施形態1に記載の組成物。
[4] 16μg/mlのO25B抗原多糖を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の組成物。
[5] 32μg/mlのO25B抗原多糖を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の組成物。
[6] 5〜18μgの第1用量の大腸菌O25B抗原多糖と、それぞれ独立して第1用量の50%〜100%である用量の大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖とを含む多価免疫組成物であって、ここで、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒された緑膿菌外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合している、多価免疫組成物。
[7] 式O25B':
【化17】
の構造を有する大腸菌O25B抗原多糖、
式O1A':
【化18】
の構造を有する大腸菌O1A抗原多糖、
式O2':
【化19】
の構造を有する大腸菌O2抗原多糖、および
式O6A':
【化20】
の構造を有する大腸菌O6A抗原多糖を含む多価免疫組成物であって、ここで、nは、独立して、5〜25の整数であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、配列番号1のアミノ酸配列を有する担体タンパク質に共有結合しており、該組成物中の大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖の濃度は、それぞれ、16:8:8:8μg/ml、16:16:16:16μg/ml、32:16:16:16μg/mlまたは32:32:32:32μg/mlである、多価免疫組成物。
[8] 実施形態1〜7のいずれかに記載の組成物を対象に投与することを含む、腸外病原性大腸菌(ExPEC)に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法。
[9] 大腸菌O25B抗原多糖の第1有効量と、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖のそれぞれの第2有効量とを対象に投与することを含む、腸外病原性大腸菌(ExPEC)に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法であって、ここで、第1有効量:第2有効量の比は1:1〜2:1であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、解毒された緑膿菌外毒素A(EPA)担体タンパク質に共有結合しており、第1有効量は投与当たり5〜18μgである、方法。
[10] 大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を1:1:1:1の投与量比で投与する、実施形態9に記載の方法。
[11] 大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を2:1:1:1の投与量比で投与する、実施形態9に記載の方法。
[12] 投与当たり8μgのO25B抗原多糖を投与する、実施形態8〜11のいずれかに記載の方法。
[13] 投与当たり16μgのO25B抗原多糖を投与する、実施形態8〜11のいずれかに記載の方法。
[14] 大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を1つの組成物において一緒に投与する、実施形態8〜13のいずれかに記載の方法。
[15] 式O25B':
【化21】
の構造を有する大腸菌O25B抗原多糖、
式O1A':
【化22】
の構造を有する大腸菌O1A抗原多糖、
式O2':
【化23】
の構造を有する大腸菌O2抗原多糖、および
式O6A':
【化24】
の構造を有する大腸菌O6A抗原多糖を対象に投与することを含む、腸外病原性大腸菌(ExPEC)に対する免疫応答を、それを要する対象において誘導する方法であって、ここで、nは、独立して、5〜25の整数であり、大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖のそれぞれは、独立して、配列番号1のアミノ酸配列を有する担体タンパク質に共有結合しており、該組成物中の大腸菌O25B、O1A、O2およびO6A抗原多糖を投与当たり8:4:4:4μg、8:8:8:8μg、16:8:8:8μgまたは16:16:16:16μgで投与する、方法。
[16] 免疫応答が、リスク保有ヒト対象においてExPEC血清型O1A、O2およびO6AおよびO25Bにより引き起こされる侵襲性ExPEC疾患の重症度を抑制し、または該疾患を予防する、実施形態8〜15のいずれかに記載の方法。
[17] 成人対象が、尿路感染、手術部位感染、腹部または骨盤感染、肺炎、院内肺炎、骨髄炎、蜂巣炎、敗血症、菌血症、創傷感染、腎盂腎炎、髄膜炎、新生児髄膜炎、腹膜炎、胆管炎、軟部組織感染、化膿性筋炎および敗血症性関節炎からなる群から選択される侵襲性ExPEC疾患を有する、または該疾患のリスクを有する、実施形態16に記載の方法。
[18] 大腸菌O25B抗原多糖、大腸菌O1A抗原多糖、大腸菌O2抗原多糖および大腸菌O6A抗原多糖を一緒にして組成物を得ることを含む、実施形態1〜7のいずれかに記載の組成物の製造方法。