特許第6872534号(P6872534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872534弁及びエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを備える嵌合具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872534
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】弁及びエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを備える嵌合具
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   B65D33/38
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-514360(P2018-514360)
(86)(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公表番号】特表2018-529589(P2018-529589A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】US2016052903
(87)【国際公開番号】WO2017058613
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月17日
(31)【優先権主張番号】14/871,129
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マルコス・ピー・フランカ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・アール・ペレイラ
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06273307(US,B1)
【文献】 特開2015−034021(JP,A)
【文献】 特開2013−144803(JP,A)
【文献】 特許第5203260(JP,B2)
【文献】 特開2010−076793(JP,A)
【文献】 特開2011−105315(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181522(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0051189(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)頂部と、
(ii)基部と、前記頂部および前記基部を貫いて延在して流動性材料が通過するようになっているチャネルと、
(iii)前記チャネルを横切って延在し、且つこの弁を通って流れるのを可能にするための開いた細隙を有する可撓性弁
を含む嵌合具であって、
前記基部が、前記チャネルの周囲に延在し且つ反対端にて一体的に結合している、一対の対向する側壁を備え、
前記嵌合具は、前記側壁に沿って延在している少なくとも1つのシーリングリブをさらに含み、
前記頂部、前記基部、前記可撓性弁、および前記少なくとも1つのシーリングリブは、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される一体型の構成要素を形成する、前記嵌合具。
【請求項2】
底平面図から見たときに、前記側壁によりカヌー形状が画定されている、請求項に記載の嵌合具。
【請求項3】
オーバーモールド構成要素をさらに含み、
前記可撓性弁が前記オーバーモールド構成要素の一要素である、請求項1に記載の嵌合具。
【請求項4】
記オーバーモールド構成要素が、前記側壁に付着した少なくとも1つのシーリングリブを更に含み、且つ前記シーリングリブが前記エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを含む、請求項に記載の嵌合具。
【請求項5】
前記オーバーモールド構成要素がそれぞれ各側壁端部から延在する対向するウィングレットを更に含み、且つ前記ウィングレットが前記エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを含む、請求項に記載の嵌合具。
【請求項6】
剛性構成要素をさらに含み、
前記頂部および前記基部が前記剛性構成要素の要素である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の嵌合具。
【請求項7】
第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムであって、各多層フィルムがシール層を含み、シール層が互いに対向し且つ前記第2の多層フィルムが前記第1の多層フィルム上に重畳されるように前記多層フィルムが配置された、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムと、
前記第1の多層フィルムと前記第2の多層フィルムとの間に挟持された嵌合具と、
を含む可撓性容器であって
前記嵌合具が、
(i)頂部と、
(ii)基部と、前記頂部および前記基部を貫いて延在して流動性材料が通過するようになっているチャネルと、
(iii)前記チャネルを横切って延在し、この弁を通って流れるのを可能にするように開いた細隙を有する可撓性弁と、
を含み、
前記基部が、前記第1の多層フィルムおよび前記第2の多層フィルムにシールされており、
前記基部が、前記チャネルの周囲に延在し且つ反対端にて一体的に結合している、一対の対向する側壁を備え、
前記嵌合具は、前記側壁に沿って延在している少なくとも1つのシーリングリブをさらに含み、
前記頂部、前記基部、前記可撓性弁、および前記少なくとも1つのシーリングリブは、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される一体型の構成要素を形成する、前記可撓性容器。
【請求項8】
前記容器内の閾値内圧に応答して、前記細隙が開いて流れを可能にする、請求項に記載の可撓性容器。
【請求項9】
オーバーモールド構成要素をさらに含み、
前記可撓性弁が前記オーバーモールド構成要素の一要素である、請求項7または8に記載の可撓性容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可撓性容器用の嵌合具に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性パウチとしては、嵌合具を具備したものが公知である。嵌合具は、可撓性容器または可撓性パウチから流動性材料を送達するための、剛性の注ぎ口である。そのようなパウチは、しばしば「詰替パウチ(pour−pouches)」と呼ばれている。
【0003】
可撓性容器としては、流量制御弁付き嵌合具を有するものが公知である。ごく一般的なのは、例えば、シリコンまたはブチルゴムなどの架橋エラストマー膜から製造される、流量制御弁付き剛性嵌合具である。弁のエラストマー膜が、嵌合具とは独立に製造された後、剛性嵌合具に嵌合され、且つ組み立てられる。部品数が多いことから材料コストが割高となり、これら複数部品からなる嵌合具に必要な組立工程が多いことから、生産コストおよびリソースもまた増大している。そのため、従来の流量制御弁付き剛性嵌合具は高価であり、多くの場合、嵌合具は、残りの包装およびその内容物に比べてコストが嵩むものとなっている。これらの制約によって、この種の嵌合具に対応した包装用途の数が制限される。
【0004】
したがって、部品数および生産工程を節減した流量制御弁付き可撓性容器用の嵌合具に対するニーズが存在する。コストの割安な可撓性包装用途に使用される流量制御弁付き嵌合具に対するニーズが更に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される可撓性弁を備える嵌合具を提供する。エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、シリコンおよび/またはブチルゴムなどの従来の架橋エラストマー弁(膜)と比較して同程度またはそれ以上の性能を流量制御弁に付与するための十分な弾性を有する。
【0006】
本開示は、嵌合具を提供するものである。或る実施形態では、嵌合具が提供されている。本嵌合具は、頂部と、基部と、頂部および基部を貫いて延在しているチャネルとを具備し、流動性材料が通過するようになっている。本嵌合具は、チャネルを横切って延在する可撓性弁を具備する。本可撓性弁は、この弁を通って流れるのを可能にするための、開いた細隙を有する。本可撓性弁は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを含む。
【0007】
本開示は、可撓性容器を提供するものである。或る実施形態では、可撓性容器が提供されていて、この可撓性容器は第1の多層フィルムと第2の多層フィルムとを備える。各多層フィルムは、シール層を備える。多層フィルムは、シール層同士が互いに対向し且つ第2の多層フィルムが第1の多層フィルム上に重畳されるように、配置されている。可撓性容器は、第1の多層フィルムと第2の多層フィルムとの間に挟持された嵌合具を備える。嵌合具は、頂部と、基部と、頂部および基部を貫いて延在しているチャネルと、を具備する。流動性材料は、このチャネルを介することによって、頂部および基部を通過することができる。本嵌合具は、チャネルを横切って延在する可撓性弁を具備する。本可撓性弁は、この弁を通って流れるのを可能にするための、開いた細隙を有する。本可撓性弁は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを含む。基部は、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムにシールされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態による、嵌合具の上面斜視図である。
図2図2は、図1の嵌合具の斜視図である。
図3図3は、図1の嵌合具の底平面図である。
図4図4は、本開示の実施形態による、嵌合具の上面斜視図である。
図5図5は、図4の嵌合具の斜視図である。
図6図6は、図4の嵌合具の底平面図である。
図7図7は、本開示の実施形態による、嵌合具付き可撓性容器の斜視図である。
図8図8は、本開示の実施形態による、嵌合具付き可撓性容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本明細書において元素周期表に言及した場合は常に、CRC Press, Inc.が2003年に発行し且つ版権を保有する元素周期表を指すものとする。また、族に対する如何なる参照も、この元素周期表において族に付番するためlUPAC系を使用して反映された族に対する参照とする。そうでない旨が記述されていない場合、文脈から暗黙的に示唆されない場合、または当該技術分野における慣例ではない場合、全ての成分およびパーセントは重量基準である。米国特許実務に適合するように、特に、当該技術分野における合成技法、(本明細書中に記載されている任意の定義と矛盾しない限度において)定義、および一般知識の開示に関し、本明細書中に参照されている任意の特許、特許出願または公報の全容は、本明細書において参照により援用されている(あるいは、これらの等価な米国バージョンが、同様に参照により援用されている)。
【0010】
本明細書において開示されている数値範囲には、下限値および上限値を含めた全ての値が包含される。明示的な値を含む範囲(例えば、1もしくは2、または3〜5、または6もしくは7)には、任意の2つの明示的な値の間の副範囲(例えば、1〜2;2〜6;5〜7;3〜7;5〜6など)が包含される。
【0011】
そうでない旨が記述されていない場合、文脈から暗黙的に示唆されない場合、または当該技術分野における慣例ではない場合、全ての構成成分およびパーセントは重量基準であり、且つ全ての試験方法は本開示の出願日時点における最新版である。
【0012】
本明細書において「組成物」という用語は、本組成物と、本組成物の材料から形成される反応生成物と、分解生成物と、を含む材料の混合物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「具備する(including)」、「有する(having)」という用語およびこれらの派生語は、同一物が具体的に開示されているかどうかには関係なく、付加的な如何なる構成要素、工程または手順の存在も排除することを意図するものではない。誤解を生じないよう念の為に記すと、そうでない旨が記述されていない限り、「含む(comprising)」という用語を使用して請求された全ての組成物は、高分子であるかまたはそれ以外のものかを問わず、任意の追加的な添加剤、補助剤または化合物を包含しうる。対照的に、「から実質的になる(consisting essentially of)」という用語は、以降の何らかの詳説から、他の任意の構成要素、工程または手順(但し、実施可能性にとって不可欠でないものを除く)を除外するものである。「からなる(consisting of)」という用語は、構成要素、工程または手順のうち、具体的に詳述または掲示されていないものを全て排除する。
【0014】
密度は、ASTM D 792に準じて測定される。
【0015】
弾性回復率は、以下のようにして測定される。単軸引張における応力歪み挙動は、Instron(商標)万能試験機を使用して、300%min−1の変形速度にて21℃で測定される。ASTM D 1708に準ずる微小試験片を使用して、300%の歪みを生ずるまでの除荷サイクル後の荷重から、300%の弾性回復率を定量する。全ての実験に対する回復率は、除荷サイクル後に、荷重がベースラインに戻った時点における歪みを使用して計算される。この回復率は、次式のように定義される。
回復率(%)=100*(Ef−Es)/Ef
式中、Efは、繰り返し荷重に対してかかる歪みであり、Esは、除荷サイクル後に荷重がベースラインに戻るときの歪みである。
【0016】
本明細書において「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量を基準にして)50mol%超の重合エチレンモノマーを含有し、且つ任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有しうるポリマーである。
【0017】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238、すなわち280℃/2.16kg(g/10分)の条件に準じて測定される。
【0018】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D 1238、すなわち190℃/2.16kg(g/10分)の条件に準じて測定される。
【0019】
ショアA硬度は、ASTM D 2240に準じて測定される。
【0020】
本明細書においてTmまたは「融点」(また、プロットされたDSC曲線の形状に準ずる溶解ピークとも呼ばれる)は、米国特許第5,783,638号に記載されているように、ポリオレフィン類融点またはピークを測定するDSC(示差走査熱量計法)技法により測定されるのが一般的である。ここで留意すべき点は、2種以上のポリオレフィン類を含むブレンドの多くは2つ以上の融点またはピークを有するのに対し、個々のポリオレフィン類の多くは融点またはピークを1つだけ含むことである。
【0021】
本明細書において「オレフィン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量を基準にして)50mol%超の重合オレフィンモノマーを含有し、且つ任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有しうるポリマーである。オレフィン系ポリマーの例としては、限定されないが、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0022】
「ポリマー」とは、モノマー(モノマーの種類が同じであるかそれとも異なるかを問わない)の重合によって調製され、重合形態において、ポリマーを構成する複数のおよび/または繰り返し「単位」もしくは「マー(mer)単位」を提供する、化合物である。ゆえに、「ポリマー」という総称には、モノマー1種類のみから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語と、少なくとも2種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「コポリマー」という用語とが包含される。また、「コポリマー」という用語には、全ての形態(例えば、ランダム、ブロックなど)のコポリマーが包含される。「エチレン/αオレフィンポリマー」および「プロピレン/αオレフィンポリマー」という用語は、上述されているように、エチレンまたはプロピレンの各々、および1種以上の追加的な重合性αオレフィンモノマーを重合することによって調製されたコポリマーを示す。なお、ポリマーは、多くの場合、1種以上の所定のモノマー「から製造される(made of)」、所定のモノマーまたはモノマータイプ「を主成分とする(based on)」、所定のモノマー含有量「を含む(containing)」などと言われるが、この文脈において「モノマー」という用語は、未重合種を指すのではなく、所定のモノマーの残部(remnant)の重合物を指すものとして理解される。概して、本明細書においてポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」を基準とするものと言われている。
【0023】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量を基準にして)50mol%超の重合プロピレンモノマーを含有し、且つ任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有しうるポリマーである。
【0024】
本開示は、嵌合具を提供する。或る実施形態では嵌合具が提供されている。この嵌合具は(i)頂部と(ii)基部とを具備し、その頂部および基部をチャネルが貫いて延在することによって、流動性材料が通過するようになっている。嵌合具は、(iii)チャネルを横切って延在する可撓性弁を、更に具備する。本可撓性弁は、この弁を通って流れるのを可能にするための、開いた細隙を有する。可撓性弁は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される。
【0025】
1.嵌合具
或る実施形態では、図1図3に示すような嵌合具10が提供されている。嵌合具10は、頂部12と基部14とを有する。嵌合具10は、高分子材料の1種以上の(すなわち、ブレンド)から構成される。好適な高分子材料の例としては、限定されないが、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。基部14は、対向する可撓性フィルム間に配置され且つシールされて、以下に詳述するような可撓性容器を形成するように構造化されている。密閉部を頂部に固着するためのねじ山16または他の構造を、頂部12に具備させることもできる。
【0026】
基部14は、一対の対向する側壁を具備する。(底平面図から嵌合具を見たとき)側壁により形成される好適な形状の例としては、限定されないが、円、楕円、多角形および正多角形(三角形、正方形、五角形、六角形、七角形、八角形など)が挙げられる。
【0027】
チャネル18は、頂部12および基部14を貫いて延在する。このチャネル18を介して、流動性材料が、嵌合具10を通過することもできるし、あるいはさもなければこの嵌合具を経由して流出できるようにもなっている。可撓性弁19はチャネル18を横切って延在している。可撓性弁19は、チャネル18の長さ方向に沿った任意の場所に配置された任意の場所に位置しうる。
【0028】
或る実施形態において、可撓性弁19は、頂部12に位置する。代替的に、可撓性弁19は、基部14に位置する。
【0029】
可撓性弁19は、以下に詳述するような、チャネル18を介した流動性材料の流れを制御している。可撓性弁19の形状は、扁平、凸状、または凹状でありうる。可撓性弁19の厚さは、0.1mm、または0.2mm、または0.3mm、または0.4mm、または0.5mm〜0.6mm、または0.7mm、または0.8mm、または0.9mm、または1.0mm未満、または1.0mmである。
【0030】
可撓性弁19は、この弁を通って流れるのを可能にするように開いた細隙21を備える。図1および図3には、4つのフラップ23a〜23dを有する細隙21を示してあるが、細隙21は2、または3、または4、または5〜6、または7、または8、または9、または10以上のフラップを有しうることが理解される。
【0031】
可撓性弁19は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成されるか、あるいはさもなければエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから形成される。
【0032】
「エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー」という用語は、エチレンと、重合形態の1種以上の共重合性αオレフィンコモノマーと、を含むコポリマーであり、化学的もしくは物理的な特性の異なる2つ以上の重合モノマー単位からなる複数のブロックまたはセグメントにより特徴付けられる。「エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー」という用語は、2つのブロック(ジブロック)および2つ以上のブロック(マルチブロック)を備えるブロックコポリマーを含む。本明細書において、「インターポリマー」および「コポリマー」という用語は、同義に使用されている。コポリマー中の「エチレン」または「コモノマー」の量に言及した場合、これらの重合単位を意味することが了解される。一部の実施形態において、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、次式で表すことができる。
(AB)
【0033】
式中、nは、少なくとも1つの、好ましくは、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100もしくはそれ以上などの、1より大きい整数である。「A」は硬質ブロックまたはセグメントを表し、且つ「B」は軟質ブロックまたはセグメントを表す。AおよびBは、(実質的に分岐状または実質的に星形であるのとは対照的に)実質的に線状に、もしくは線状に、連結あるいは共有結合することが好ましい。他の実施形態において、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分散される。換言すれば、ブロックコポリマーは通常、以下の構造を有さない。
AAA−AA−BBB−BB
【0034】
更に他の実施形態において、ブロックコポリマーは通常、異なるコモノマーを含む第3の種類のブロックを有さない。なお更に他の実施形態において、ブロックAおよびブロックBの各々は、実質的に無作為にブロックの内部に分散されたモノマーまたはコモノマーを有する。換言すれば、ブロックAおよびブロックBはいずれも、独特の組成を有し、且つ残りのブロックとは組成が実質的に異なる、2つ以上の副セグメントもしくは副サブブロック(先端セグメントなど)を含まない。
【0035】
ブロックコポリマー全体のうちの過半数のモル分率をエチレンが占める(すなわち、ポリマーの総量の少なくとも50mol%をエチレンが占める)ことが好ましい。少なくとも60mol%、少なくとも70mol%、または少なくとも80mol%をエチレンが占め、そのポリマー全体のうちの実質的残部を、少なくとも1つの他のコモノマー(好ましくは炭素原子数が3以上もしくは4以上であるαオレフィン)が占めることが、より好ましい。一部の実施形態において、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、エチレン50mol%〜90mol%、またはエチレン60mol%〜85mol%、またはエチレン65mol%〜80mol%を含む場合がある。エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーの多くは、本組成物のエチレン含有量が、ポリマー全体の80mol%超で、オクテン含有量がポリマーの総量の10〜15mol%、または15〜20mol%である。
【0036】
エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、様々な量の「硬質」セグメントおよび「軟質」セグメントを含む。「硬質」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量を基準にして90重量%超、または95重量%、または95重量%超、または98重量%超、最高100重量%までの量で存在する、重合単位のブロックである。換言すれば、硬質セグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマー含有量)は、ポリマーの重量を基準にして10重量%未満、または5重量%、または5重量%未満、または2重量%未満であり、ゼロにまでなる場合もある。一部の実施形態において、硬質セグメントは、エチレンから誘導された全てまたは実質的に全ての単位を含む。「軟質」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマー含有量)が、ポリマーの重量を基準にして5重量%超、または8重量%超、10重量%超、または15重量%超である、重合単位のブロックである。一部の実施形態において、軟質セグメント内のコモノマー含有量は、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超、50重量%超、または60重量%超であり、最高100重量%までとなる場合もある。
【0037】
軟質セグメントは、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー中に、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーの総重量の1重量%〜99重量%存在する場合もあれば、あるいはエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーの総重量の5重量%〜95重量%、10重量%〜90重量%、15重量%〜85重量%、20重量%〜80重量%、25重量%〜75重量%、30重量%〜70重量%、35重量%〜65重量%、40重量%〜60重量%、または45重量%〜55重量%存在する場合もある。逆に、硬質セグメントが同様な範囲で存在する場合もある。軟質セグメントの重量百分率および硬質セグメント重量百分率は、DSCまたはNMRから得られたデータに基づいて計算することも可能である。そのような方法および計算は、例えば、2006年3月15日にColin L. P. Shan、Lonnie Hazlittらの名前で出願された「Ethylene/α−Olefin Block Inter−polymers」と題する米国特許第7,608,668号(Dow Global Technologies Inc.に付与)において開示されており、本開示の全容は本明細書において参照により援用されている。特に、硬質セグメントおよび軟質セグメント重量百分率、ならびにコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57段落〜第63段落に記載されている方法で、定量することが可能である。
【0038】
エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、2つ以上の化学的に独特の領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれるもの)を含み、好ましくは、直線的に結合(または共有結合されている)ポリマー(つまり、ペンダントまたはグラフト化された様式ではなく寧ろ、重合エチレン性官能基に関して末端同士で結合されている化学的に分化した単位を含む、ポリマー)である。或る実施形態において、ブロック同士は、組み込まれているコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶化度の量、クリスタライト、そのような組成物のポリマーに起因するサイズ、立体規則性のタイプまたは度合い(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、レジオ規則性またはレジオ非規則性分岐の量(長鎖分岐もしくはハイパー分岐を含む)、同質性または他の何らかの化学的もしくは物理的特性が相違する。或る実施形態では、モノマーの逐次付加、流動触媒またはアニオン性重合技法によって生成されるインターポリマー類を含めた先行技術のブロックインターポリマー類と比較して、本エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、それらの調製に使用される複数の触媒と組み合わせたシャトリング剤の作用に起因するポリマー多分散性(PDIまたはMw/MnもしくはMWD)、多分散ブロック長さ分布、および/または多分散ブロック数分布の両方の固有の分布により特徴付けられる。
【0039】
或る実施形態において、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、連続プロセスで生成され、且つ多分散指数(Mw/Mn)1.7〜3.5、または1.8〜3、または1.8〜2.5、または1.8〜2.2を有する。回分プロセスまたは半回分プロセスで生成された場合、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、Mw/Mnが1.0〜3.5、または1.3〜3、または1.4〜2.5、または1.4〜2である。
【0040】
加えて、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなく寧ろシュルツ・フローリー分布に適合するPDI(またはMw/Mn)を有する。本エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、多分散ブロック分布とブロックサイズの多分散分布の両方を有する。この結果、ポリマー製品が形成され、且つ識別可能な物理的特性が改善される。多分散ブロック分布の理論的な便益は、以前にモデリングされており、且つPotemkin, Physical Review E (1998) 57 (6), pp. 6902−6912, and Dobrynin, J. Chem.Phvs. (1997) 107 (21), pp 9234−9238に記載されている。
【0041】
或る実施形態において、本エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、最確のブロック長分布を有する。
【0042】
更なる実施形態において、本開示のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー(特に、連続的な溶液重合反応器内で製造されるもの)は、最確のブロック長分布を有する。本開示の一実施形態において、エチレンマルチブロックインターポリマーは、以下を有するものとして定義されている。
【0043】
(A) Mw/Mn:約1.7〜約3.5、少なくとも1つの融点(Tm):摂氏度数)、および密度(d):グラム/cmである。ここで、Tmおよびdの数値は下記の関係に対応する。
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、且つ/あるいは、
(B) Mw/Mn:約1.7〜約3.5。融解熱(ΔH):J/g、およびデルタ量(ΔT):摂氏度数により特徴付けられ、最高のDSCピークと最高の結晶分析分画(「CRYSTAF」)のピークとの間の温度差として定義され、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有する。
ΔT>−0.1299 ΔH+62.81(ΔHがゼロより大きく、且つ最高130J/gである場合)
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gより大きい場合)
ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して定量され、このポリマーの5パーセント未満が、識別可能なCRYSTAFピークである場合、CRYSTAF温度は30℃であり、且つ/あるいは、
(C) エチレン/αオレフィンのインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定したときの、歪み300パーセントおよび1サイクルでの弾性回復率(Re):パーセント単位、ならびに密度(d):グラム/cmである。ここで、エチレン/αオレフィンのインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、Reおよびdの数値は、下記の関係を満たす。
Re>1481−1629(d);且つ/あるいは、
(D) TREFを使用して精留したときに40℃〜130℃の間で溶出する分子量分画を有する。この分画のモルコモノマー含有量は、同じ温度の間で溶離する同等なランダムエチレンインターポリマー画分のモルコモノマー含有量と比べて少なくとも5パーセント高い。前記同等なランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、そのメルトインデックス、密度およびモルコモノマー含有量は、(ポリマーの総量を基準にして)エチレン/αオレフィンのインターポリマーの10パーセント以内であることを特徴とし;且つ/あるいは、
(E) G’(25℃)対G’(100℃)の比率を約1:1〜約9:1の範囲内とした場合の、25℃、G’(25℃)での貯蔵弾性率、および100℃、G’(100℃)での貯蔵弾性率を有する。
【0044】
エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーはまた、以下を有しうる。
【0045】
(F) TREFを使用して精留したときに40℃〜130℃の間で溶出する分子量分画である。この分子量分画は、ブロック指数が少なくとも0.5、最高約1、分子量分布(Mw/Mn)が約1.3よりも大きいことを特徴とし;且つ/あるいは、
(G) 平均ブロック指数:ゼロより大きく且つ最高約1.0。および分子量分布(Mw/Mn):約1.3超。
【0046】
本エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを調製するのに使用される好適なモノマーには、エチレン、およびエチレン以外の1種以上の付加重合性モノマーが包含される。好適なコモノマーの例としては、炭素原子数が3〜30個、または3〜20個、または4〜12個の直鎖または分岐状αオレフィン類(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4〜メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセン);炭素原子数が3〜30個、または3〜20個のシクロオレフィン類(例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、および2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン);ジオレフィンおよびポリオレフィン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4〜メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4〜ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4〜エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、および5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン;および3−フェニルプロペン、4〜フェニルプロペン、1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、および3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンが挙げられる。
【0047】
或る実施形態において、コモノマーは、ブテン、ヘキセン、およびオクテンから選択される。
【0048】
エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、本明細書において参照により援用されている米国特許第7,858,706号に記載されているような連鎖シャトリングプロセスを介して生成できる。特に、好適な連鎖シャトリング剤および関連情報は、第16段落の第39行〜第19段落の第44行に掲示されている。好適な触媒は、第19段落の第45行〜第46段落の第19行に記載されており、好適な助触媒は、第46段落の第20行〜第51段落の第28行に記載されている。このプロセスは、本文献全体を通して、特に、第51段落の第29行〜第54段落の第56行に記載されている。このプロセスは、また、例えば、米国特許第7,608,668号、米国特許第7,893,166号、および米国特許第7,947,793号に記載されている。
【0049】
或る実施形態において、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、硬質セグメントおよび軟質セグメントを有しており、以下を有するものとして定義されている。
【0050】
Mw/Mn:1.7〜3.5、少なくとも1つの融点(Tm):摂氏度数、および密度(d):グラム/cmである。ここで、Tmおよびdの数値は、下記の関係に対応する。
Tm<−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
式中、dは0.86g/cc、または0.87g/cc、または0.88g/cc〜0.89g/ccであり;
且つ
Tmは、80℃、または85℃、または90℃〜95℃、または99℃、または100℃、または105℃〜110℃、または115℃、または120℃、または125℃である。
【0051】
或る実施形態において、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーであり、下記特性(i)〜(ix)のうちの1つ、幾つか、一部ないし全部の組み合わせを有する。
【0052】
(i) 溶融温度(Tm):80℃、または85℃、または90℃〜95℃、または99℃、または100℃、または105℃〜110℃、または115℃、または120℃、または125℃;
(ii) 密度:0.86g/cc、または0.87g/cc、または0.88g/cc〜0.89g/cc;
(iii) 軟質セグメント:50〜85重量%および硬質セグメント:40〜15重量%;
(iv) 軟質セグメント中のオクテン:10mol%、または13mol%、または14mol%、または15mol%〜16mol%、または17mol%、または18mol%、または19mol%、または20mol%;
(v) 硬質セグメント中のオクテン:0.5mol%、または1.0mol%、または2.0mol%、または3.0mol%〜4.0mol%、または5mol%、または6mol%、または7mol%、または9mol%;
(vi) メルトインデックス(MI):1g/10min、または2g/10min、または5g/10min、または7g/10min〜10g/10min、または15g/10min、または20g/10min、または25g/10min、または30g/10min;
(vii) ショアA硬度:65、または70、または71、または72〜73、または74、または75、または77、または79(最大値80);
(viii) ASTM D 1708に準じて300%min−1変形速度にて21℃で測定したときの、弾性回復率(Re):50%、または60%〜70%、または80%、または90%;ならびに
(ix) ブロックの多分散分布およびブロックサイズの多分散分布。
【0053】
或る実施形態において、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーである。
【0054】
本エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、本明細書において開示されている2つ以上の実施形態を含む場合がある。
【0055】
エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、唯一の成分である場合もあれば、あるいは他のオレフィン系ポリマーとブレンドされる場合もある。ブレンド成分として好適なオレフィン系ポリマーの例としては、限定されないが、プロピレン系ポリマー、LDPE、LLDPE、HDPE、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
或る実施形態において、エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(米国ミシガン州ミッドランド)から入手可能なINFUSE(商標)という商品名で販売されているものである。更なる実施形態において、エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーは、INFUSE(商標)9817である。
【0057】
或る実施形態において、エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーは、INFUSE(商標)9500である。
【0058】
或る実施形態において、エチレン/オクテンのマルチブロックコポリマーは、INFUSE(商標)9507である。
【0059】
或る実施形態において、頂部12、基部14、および可撓性弁19は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される一体型の構成要素を形成する。更なる実施形態において、頂部12、基部14、および可撓性弁19の一体型の構成要素は、単一のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される1つの単片である。
【0060】
或る実施形態では、図3に示すように、(底平面図から嵌合具を見たときに)カヌー形状を画定する対向する側壁20,22が、基部14に具備されている。側壁20,22は、チャネル18の反対側の周囲に延在し且つ一体的に結合して、反対端24,26を形成している。嵌合具10の基部14が、2つの対向する可撓性フィルム間にシールされている場合、側壁20,22の形状および端部24,26の形状は、対向する可撓性フィルムから基部14の直径中心28への緩トランジションを可能にする。
【0061】
或る実施形態において、少なくとも1つのシーリングリブ30(以下、「シーリングリブ」と呼ぶ)は、側壁20,22に沿って延在している。シーリングリブ30は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを含む。
【0062】
或る実施形態において、シーリングリブは、半円形、台形、半楕円形、多角形および矩形から選択される断面形状をしている。
【0063】
或る実施形態では、図1に示すように、複数のシーリングリブ30は側壁20,22の周囲に延在している。各シーリングリブ30は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを具備する。
【0064】
或る実施形態において、基部14は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを含有するか、あるいはさもなければエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから形成される。基部14のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、シーリングリブのエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーと同じである場合もあれば、または異なる場合もある。
【0065】
或る実施形態において、基部は、シーリングリブに一体化されている。基部およびシーリングリブは、同じエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される。更なる実施形態において、基部およびシーリングリブは、単一のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーのみから構成されている。
【0066】
或る実施形態において、図1図3に示すように、嵌合具10は一体型の構成要素である。嵌合具10はその全体が、(全体的にまたは部分的に)エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから形成される。頂部12、基部14、可撓性弁19、およびシーリングリブ30に含有されるエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、同じである場合もあれば、または異なる場合もある。更なる実施形態において、頂部12、基部14、可撓性弁19、およびシーリングリブ30はそれぞれ同じエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される。なお更なる実施形態において、頂部12、基部14、可撓性弁19、およびシーリングリブ30はそれぞれ、単一のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーである同じエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーのみから構成されている。
【0067】
更なる実施形態において、嵌合具10は、一体型の構成要素であり、頂部12、基部14、可撓性弁19、およびシーリングリブ30はそれぞれ、単一のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーのみから構成されている。
【0068】
或る実施形態において、各側壁20,22の壁厚A(図3)は、0.2mm、または0.4mm、または0.6mm、または0.8mm、または1.0mm、または1.5mm〜2.0mm、または2.5mm、または3.0mmであり、且つ各シーリングリブ30の厚さ(またはリブ高さ)は、厚さAの1%または10%、または25%、または50%、または75%〜100%、または110%、または125%、または150%、または175%、または200%である。
【0069】
2.オーバーモールド構成要素
或る実施形態では、図4図6に示すような嵌合具50が提供されている。嵌合具50には剛性構成要素51とオーバーモールド構成要素53とが具備されていて、剛性構成要素51には、相互に一体化された頂部52と基部54とが具備されている。頂部52および基部54は、剛性高分子材料から構成されるか、あるいはさもなければ、剛性高分子材料から形成される。剛性高分子材料に好適な材料の例としては、限定されないが、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
或る実施形態において、剛性構成要素51は、高密度ポリエチレン(HDPE)、プロピレンホモポリマー、プロピレン/エチレンコポリマー(例えば、VERSIFYという商標名で販売されているもの)、プロピレンインパクトコポリマー、およびこれらの組み合わせから選択される高分子材料から構成されるか、あるいはさもなければその高分子材料から形成される。
【0071】
剛性構成要素51はまた、ねじ山56とチャネル58とを備える。側壁60,62は、チャネル58の反対側の周囲に延在し且つ一体的に結合して、反対端64,66を形成している。底平面図から見たときに、側壁60および62の形態は、図6に示すようなカヌー形状を形成している。基部54の直径中心68は、チャネル58内にある。
【0072】
嵌合具50は、オーバーモールド構成要素53を具備する。「オーバーモールディング」または「オーバーモールド構成要素」という用語は、2つ以上の材料を組み合わせて単一の構成要素を生成する成形プロセスを介して形成された構成要素を指す。オーバーモールディングプロセスでは、剛性の高分子材料をエラストマー材料にバインドするのがごく一般的であるが、他の高分子材料をオーバーモールドすることも可能である。構成要素をオーバーモールドするには、初めに、剛性の熱可塑性基材を成形する。次いで、この剛性の熱可塑性基材上に熱可塑性エラストマー(TPE)を成形(すなわち、「オーバーモールド」)し、それにより、このTPEを剛性の熱可塑性基材にバインドする。
【0073】
オーバーモールディングに好適なプロセスの例としては、限定されないが、インサート成形およびマルチショット成形が挙げられる。インサート成形は、二工程プロセスである。最初に、剛性基材を成形してから、他の射出成形機で型穴内に配置し、TPEを基材上に直接噴射する。対照的に、単一操作で複数の材料を噴射する射出成形プレスに対して、マルチショット成形を実行する。これにより、基材の成形の直後に、TPEをオーバーモールドすることが可能になる。
【0074】
或る実施形態において、1種以上のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーは、剛性構成要素51上にオーバーモールドされる。剛性構成要素51(オリフィス、または穴など)は、溶融エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを受容するように構成されている。オーバーモールディングプロセスでは、溶融エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを剛性構成要素51内に射出するか、あるいはさもなければ導入して、可撓性弁59を生成する。オーバーモールドされた可撓性弁59は、剛性構成要素51に付着するか、あるいはさもなければこの剛性構成要素51にバインドする。オーバーモールド可撓性弁59は、いったん射出された後、固化し、チャネル58を横切って延在する。
【0075】
或る実施形態において、オーバーモールディングプロセスで、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーに付着するか、あるいはさもなければ、同様に、このエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを基部54上にバインドする。オーバーモールド53構成要素は、側壁60および62にバインドするシーリングリブ70を備える。このシーリングリブ70は、基部54から外側へ放射状に延在している。また、シーリングリブ70と一体化されたウィングレット72および74も、オーバーモールド構成要素53に具備されている。ウィングレット72および74は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成されていて、それぞれの端部64,66にある基部54に付着されているか、あるいはさもなければバインドされている。
【0076】
或る実施形態において、剛性構成要素51は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを排除するものであるか、あるいはさもなければ、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーを全く含まない。更なる実施形態において、オーバーモールド構成要素53は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーのみから構成されている。なお更なる実施形態において、オーバーモールド構成要素53は、単一のエチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーのみから構成されている。
【0077】
或る実施形態において、各側壁60,62は、壁厚B(図6)が0.2mm、または0.4mm、または0.6mm、または0.8mm、または1.0mm、または1.5mm〜2.0mm、または2.5mm、または3.0mmであり;且つ各シーリングリブ70の厚さ(またはリブ高さ)は、0.4mm、または0.6mm、または0.8mm、または1.0mm、または1.2,mm、または1.4mm、または1.6mm、または1.8mm〜2.0mm、または2.2mm、または2.4mm、または2.6mm、または2.8mm、または3.0mmである。
【0078】
或る実施形態において、各側壁60,62は、壁厚Bが0.2mm、または0.4mm、または0.6mm、または0.8mm、または1.0mm、または1.5mm〜2.0mm、または2.5mm、または3.0mmであり、且つ各シーリングリブ70の厚さ(またはリブ高さ)は、厚さBの1%、または10%、または25%、または50%、または75%〜100%、または110%、または125%、または150%、または175%、または200%である。
【0079】
或る実施形態において、嵌合具は、(i)HDPEおよびプロピレン系ポリマーならびにこれらの組み合わせから選択される材料から構成される内側部と、(ii)エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される外側部と、を備える剛性構成要素を具備する。嵌合具はまた、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーのみから構成されたオーバーモールド構成要素を備える。
【0080】
剛性構成要素とオーバーモールド構成要素とを備えてなる嵌合具は、剛性構成要素を介して支持を強固にし、オーバーモールド構成要素によりシーリング性能を向上させ、且つフィルムシーリングプロセス中の故障率を低減するものであれば、好都合である。
【0081】
3.可撓性容器
本開示は、可撓性容器を提供するものである。或る実施形態では、可撓性容器が提供されていて、この可撓性容器は第1の多層フィルムと第2の多層フィルムとを備える。各多層フィルムは、シール層を備える。多層フィルムは、シール層が互いに対向し且つ第2の多層フィルムが第1の多層フィルム上に重畳されるように、配置されている。可撓性容器は、第1の多層フィルムと第2の多層フィルムとの間に挟持された嵌合具を具備する。本明細書中に上述されているように、嵌合具は、嵌合具10、嵌合具50といったような任意の嵌合具とすることができる。嵌合具は(i)頂部と(ii)基部とを具備し、その頂部および基部をチャネルが貫いて延在し、流動性材料が通過するようになっている。嵌合具はまた、(iii)チャネルを横切って延在する可撓性弁を具備する。可撓性弁は、この弁を通って流れるのを可能にするための、開いた細隙を有する。可撓性弁は、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される。嵌合具の基部は、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムにシールされている。
【0082】
可撓性容器は、第1の多層フィルムと第2の多層フィルムとを具備する。可撓性容器は、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上の多層フィルムを備える場合があることが了解される。各多層フィルムは可撓性であり、少なくとも2つまたは少なくとも3つの層を有する。可撓性多層フィルムは、弾性、可撓性、変形性、および柔軟性を兼備する。各多層フィルムの構造および組成物は、同じである場合もあれば、または異なる場合もある。例えば、2つの対向する多層フィルムはそれぞれ別個のウェブから作られる場合があり、各ウェブは、固有の構造および/または固有の組成、仕上げ加工、または印刷を有する。代替的に、各多層フィルムは、構造および組成が同じありうる。
【0083】
或る実施形態において、各多層フィルムは、構造および組成が同じ可撓性多層フィルムである。
【0084】
各可撓性多層フィルムは、(i)共押出しされた多層構造もしくは(ii)ラミネート、または(iii)、(i)と(ii)との組み合わせでありうる。或る実施形態において、各可撓性多層フィルムは、シール層と、外層と、これらの層の間の結合層の、少なくとも3つの層を有する。結合層によって、シール層が外層に接合される。シール層と外層との間に配設された1種以上の任意選択的な内層が、可撓性多層フィルムに備わっている場合もある。
【0085】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、共押出しフィルムは、少なくとも2、または3、または4、または5、または6、または7ないし8、または9、または10、または11以上の層を有する。フィルムの構築に使用される幾つかの方法は、例えば、キャスト共押出法またはブローン共押出法、接着ラミネーション、押出ラミネーション、ヒートラミネーション、および蒸着等のコーティングによるものである。これらの方法の組み合わせもまた、可能である。フィルム層は、高分子材料以外にも、包装産業においてよく用いられる安定剤、滑剤、粘着防止剤、加工助剤、清澄剤、成核剤、色素または着色剤、充填材および補強剤などの添加剤、ならびにこれらに類するものを含む場合がある。特に有用なのは、好適な感覚刺激および/または光学特性を有する添加剤、ならびに高分子材料を選択することである。
【0086】
シール層用の好適な高分子材料の例としては、限定されないが、オレフィン系ポリマー(例えば、任意のエチレン/C−C10αオレフィンの線状コポリマーもしくは分岐状コポリマー);プロピレン系ポリマー(例えば、プラストマーおよびエラストマー;ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマーおよびプロピレンインパクトコポリマー);エチレン系ポリマー(例えば、プラストマーおよびエラストマー、高密度ポリエチレン(「HDPE」);低密度ポリエチレン(「LDPE」);低密度の線状ポリエチレン(「LLDPE」);中密度ポリエチレン(「MDPE」);エチレンアクリル酸またはエチレンメタクリル酸;ならびにこれらのイオノマー類で、亜鉛、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム塩類、エチレン酢酸ビニルコポリマー類およびこれらのブレンドを含むものが挙げられる。
【0087】
外層に好適な高分子材料の例としては、限定されないが、ラミネーション用の二軸方向または単軸延伸フィルム、および共押出しフィルムの製造に使用されるものが挙げられる。幾つかの高分子材料の例としては、限定されないが、二軸延伸テレフタル酸ポリエチレン(OPET)、単軸延伸ナイロン(MON)、二軸延伸ナイロン(BON)、および二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)挙げられる。構造上の便益をもたらすフィルム層を構築するのに有用な他の高分子材料は、ポリプロピレン類(例えば、プロピレンホモポリマー、ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンインパクトコポリマー、熱可塑性ポリプロピレン(TPO)およびこれらに類するもの;プロピレン系プラストマー(VERSIFY(商標)もしくはVISTAMAX(商標)など);ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,66、ナイロン6,12、ナイロン12など);ポリエチレンノルボルネン、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリエステル類、コポリエステル類(PETGなど);セルロースエステル類、ポリエチレン、およびエチレンコポリマー類(例えば、エチレンオクテンコポリマーを主成分とするLLDPE(DOWLEX(商標)など)、これらのブレンド、ならびにこれらの多層の組み合わせである。
【0088】
結合層に好適な高分子材料の例としては、限定されないが、エチレンアクリル酸ビニル(「EVA」)などの官能化エチレン系ポリマー類;無水マレイン酸でポリオレフィンにグラフト化したポリマー類(例えば、任意のポリエチレン、エチレンコポリマーまたはポリプロピレン);およびエチレンアクリル酸メチル(「EMA」)などのアクリル酸エチレンコポリマー類;エチレンコポリマー類を含有するグリシジル;プロピレンおよびエチレン系オレフィンブロックコポリマー類(OBC)(例えば、INTUNE(商標)(PP−OBC)およびINFUSE(商標)(PE−OBC);両方ともザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能)、ならびにこれらのブレンドが挙げられる。
【0089】
可撓性多層フィルムは、構造的完全性に寄与しうるまたは特定の特性を提供しうる、付加的な層を備える場合がある。付加的な層は、直接的な手段により、あるいは適切な結合層を使用して、隣接するポリマー層に追加することが可能である。剛性もしくは不透明性などの付加的な機械的/光学性能を提供しうるポリマー、およびガスバリア特性または耐薬品性を提供しうるポリマーを、構造に追加してもよい。
【0090】
任意選択的なバリア層に好適な材料の例としては、限定されないが、塩化ビニリデンとアクリル酸メチルとのコポリマー、メタクリル酸メチルまたは塩化ビニル(例えば、SARAN(商標)樹脂類(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能);ビニルエチレンビニルアルコール(EVOH)、金属箔(例えば、アルミニウム箔)が挙げられる。代替的に、BON、OPET、またはOPPなどのフィルム上に蒸着されたアルミニウム酸化物またはシリコン酸化物などの、改質高分子フィルムを使用することにより、(ラミネート多層フィルム中に使用した場合)バリア特性を得ることも可能である。
【0091】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、DOWLEX(商標)(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)という商標名で販売されているLLDPE;シングルサイトLLDPE(実質的に線状もしくは線状のオレフィンポリマー類(例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製AFFINITY(商標)もしくはELITE(商標)という商標名で販売されているポリマー類(例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンアクリル酸エチル(EEA)、プロピレン系プラストマー類もしくはエラストマー類(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製VERSIFY(商標)など);グラフト化オレフィン系ポリマー(MAHグラフト)、およびこれらのブレンドから選択される、シール層を備える。任意選択的な結合層は、エチレン系オレフィンブロックコポリマーPE−OBC(INFUSE(商標)として販売されているもの)、またはプロピレン系オレフィンブロックコポリマーPP−OBC(INTUNE(商標)として販売されているもの)のいずれかから選択される。外層は、樹脂50重量%超を含み、融点(Tm)がシール層内のポリマーの融点よりも25℃〜30℃高いか、または40℃もしくはそれ以上高く、外層ポリマーが、AFFINITY(商標)、LLDPE(DOWLEX(商標)、VERSIFY(商標)もしくはVISTAMAX、ELITE(商標)、MDPE、HDPE、またはプロピレン系ポリマー(例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレンインパクトコポリマーもしくはTPO)などの樹脂類から選択される。
【0092】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは共押し出しされる。
【0093】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、LLDPE(DOWLEX(商標)(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)という商標名で販売されているもの);シングルサイトLLDPE(実質的に線状もしくは線状のオレフィンポリマー類(例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製AFFINITY(商標)もしくはELITE(商標))という商標名で販売されているポリマー類(例えば、プロピレン系プラストマーまたはエラストマー(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製VERSIFY(商標)など)、グラフト化オレフィン系ポリマー(MAHグラフト)、およびこれらのブレンドから選択される、シール層を備える。可撓性多層フィルムはまた、ポリアミドである外層を備える。
【0094】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、共押出しフィルムおよび/またはラミネートフィルムであり、シール層は、エチレンとαオレフィンモノマー(例えば、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン)とのエチレン系ポリマー(線状もしくは実質的に線状のポリマー、またはシングルサイト触媒による線状もしくは実質的に線状のポリマーなど)から構成され、このエチレン系ポリマーのTmは、55℃〜115℃、および密度0.865〜0.925g/cm、または0.875〜0.910g/cm、または0.888〜0.900g/cmである。外層は、LLDPE、OPET、OPP(延伸ポリプロピレン)、BOPP、ポリアミド、およびこれらの組み合わせから選択される材料から構成される。
【0095】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、少なくとも5つの層を有する共押出しフィルムおよび/またはラミネートフィルムである。この共押出しフィルムは、エチレンとαオレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセンもしくは1−オクテン)とのコモノマーからなるエチレン系ポリマー(例えば、線状もしくは実質的に線状のポリマー、またはシングルサイト触媒による線状もしくは実質的に線状のポリマー)から構成されるシール層を有する。このエチレン系ポリマーは、Tmが55℃〜115℃であり、密度が0.865〜0.925g/cm、または0.875〜0.910g/cm、または0.888〜0.900g/cmであり、LLDPE、OPET、OPP(延伸ポリプロピレン)、BOPP、ポリアミドおよびにこれらの組み合わせから選択される材料で構成される最外層を有する。
【0096】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、共押出しフィルムおよび/またはラミネートフィルムは、少なくとも7つの層を有する。シール層は、エチレンとαオレフィンコモノマー(例えば、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン)とのエチレン系ポリマー(線状もしくは実質的に線状のポリマー、またはシングルサイト触媒による線状もしくは実質的に線状のポリマーなど)から構成される、このエチレン系ポリマーは、Tmが55℃〜115℃および密度0.865〜0.925g/cm、または0.875〜0.910g/cm、または0.888〜0.900g/cmである。外層は、LLDPE、OPET、OPP(延伸ポリプロピレン)、BOPP、ポリアミド、およびこれらの組み合わせから選択される材料から構成される。
【0097】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、エチレン系ポリマーを含有する少なくとも2つの層を有する、共押出し(もしくはラミネート)5層フィルムまたは共押出し(もしくはラミネート)7層フィルムである。各層において、エチレン系ポリマーは同じである場合もあれば、または異なる場合もある。
【0098】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、LLDPE、OPET、OPP(延伸ポリプロピレン)、BOPPおよびポリアミドから選択される材料を含有する少なくとも1つの層を有する、共押出しおよび/またはラミネート5層、あるいは共押出し(もしくはラミネート)7層フィルムである。
【0099】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、OPETまたはOPPを含有する少なくとも1つの層を有する、共押出しおよび/またはラミネート5層、あるいは共押出し(もしくはラミネート)7層フィルムである。
【0100】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、ポリアミドを含有する少なくとも1つの層を有する、共押出し(またはラミネート)5層、あるいは共押出し(もしくはラミネート)7層フィルムである。
【0101】
或る実施形態において、可撓性多層フィルムは、7層共押出し(もしくはラミネート)フィルムであり、エチレンとαオレフィンモノマー(例えば、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン)とのエチレン系ポリマー(または線状もしくは実質的に線状のポリマー、またはシングルサイト触媒による線状もしくは実質的に線状のポリマー)から構成されるシール層を有する。このエチレン系ポリマーのTmは、90℃〜106℃である。外層は、Tmが170℃〜270℃のポリアミドである。フィルムのΔTm(ΔTm=Tm−Tm)は、40℃〜200℃である。フィルムは、シール層内のエチレン系ポリマーとは異なる第2のエチレン系ポリマーから構成される内層(第1の内層)を有する。フィルムは、外層内のポリアミドと同じまたは異なるポリアミドから構成される内層(第2の内層)を有する。7層フィルムの厚さは、100マイクロメートル〜250マイクロメートルである。
【0102】
或る実施形態では、図7および図8に示すような、可撓性容器90が提供されている。可撓性容器90は、2つの対向する多層フィルム間に挟持されているか、あるいはさもなければ配置されている嵌合具92を具備する。多層フィルムは、本明細書中に既に開示されている、任意の可撓性多層フィルムでありうる。嵌合具92は、本明細書において既に開示されている嵌合具10または嵌合具50のいずれかである可能性があり、この嵌合具92は、基部94と、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーから構成される少なくとも1つのシーリングリブ96と、を具備する。基部94は、対向する多層フィルムのそれぞれのシール層の間に挟持されているか、あるいはさもなければこれらのシール層の間に位置付けられている。図7図8に、第1の多層フィルム98a(前面層)と第2の多層フィルム98b(背面層)とガセットパネル98cとを備える可撓性容器90を示すが、この可撓性容器90は異なる構造および異なる構成を有する場合があることが、了解される。第2の多層フィルム98bは、第1の多層フィルム上に重畳される。各多層フィルムは、オレフィン系ポリマーを含有するそれぞれのシール層を有する。それぞれのシール層は、基部94に接触している。
【0103】
対向する多層フィルムは、(それら多層フィルム間に嵌合具の基部が配置された状態で)共通の周辺縁端100の周囲にシールされている。可撓性容器90は、少なくとも周辺縁端100部分に沿って位置する嵌合具シール102を具備する。嵌合具シール102は、前面多層フィルム98aと背面多層フィルム98bとの間に挟持された基部94を備える。
【0104】
嵌合具シール102は、ヒートシールプロセスにより形成される。本明細書において「ヒートシールプロセス」または「ヒートシーリング」という用語は、対向するヒートシールバー同士の間に2つ以上の高分子材料製フィルムを配置し、これらのヒートシールバーを互いに近づけて、フィルムを挟持し、フィルムに熱および圧力を印加することによって、対向するフィルム内表面(シール層)を接触させ溶融してヒートシールを形成するか、あるいは溶接してフィルムを相互に付着させる行為である。ヒートシーリングは、ヒートシーリング手順を実行するにあたって、シールバー同士を互いに近づくように、および互いに離れるように移動させるための、好適な構造ならびに機序を備える。
【0105】
嵌合具シール102は、(i)エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー(シーリングリブ由来)、(ii)オレフィン系ポリマー(シール層由来)、または(iii)、(i)と(ii)との組み合わせから構成されるか、あるいはさもなければそれらから形成される。本エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマーで構成されるシーリングリブを有する本嵌合具92(嵌合具10または嵌合具50のいずれか)は、ヒートシールプロセス中に変形し、ヒートシールプロセス完了後に元どおりに回復(反動)し、それにより、基部とフィルムとの間のシールが改善される。このことは、出願人による驚異的な発見であった。嵌合具シール102内での漏れの発生は、本嵌合具によって低減される。
【0106】
或る実施形態において、嵌合具シール102は、気密シールである。
【0107】
或る実施形態において、嵌合具シール102は、硬質シールである。本明細書において「硬質シール」は、フィルムを破壊しない限り手動では分離しづらいヒートシールであり、この点で、硬質シールは易壊シールとは相違する。本明細書において「易壊シール」は、フィルムを破壊する必要なしに手動で分離(または剥離)し易いヒートシールである。概して、易壊シールは、このシールに指部または手部で圧力を印加することによって分離または開くことができるように設計されているのに対して、硬質シールは、このシールに指部または手部で圧力を印加することによって無傷のままの状態を維持するように設計されている。
【0108】
可撓性容器90は、嵌合具92を具備する。嵌合具92は、本明細書において既に開示されている、任意の嵌合具(嵌合具10または嵌合具50)でありうる。或る実施形態では、図7および図8に示すように、嵌合具92は、可撓性弁104と細隙106とを備える。可撓性弁104に閾値内圧を印加しない限り、細隙106は閉じたままの状態に維持される。可撓性容器に対し、例えば人の手部による圧搾などの閾値圧力を超える圧力が印加された場合、可撓性容器中の液体内容物(すなわち、流動性材料)によって強引に細隙106がこじ開けられ、これにより、流動性材料内容物が、容器内部から嵌合具92を経由して流出することが可能になる。
【0109】
このようにして、図7に示すように、可撓性容器が逆さの位置にある場合(例えば、嵌合具92が下方向に向いているとき)でさえも、流動性材料内容物は、可撓性弁104を介して、可撓性容器90の内部に保持される。細隙106を開いて可撓性容器90の内部から流動性材料110を排出するのに必要な閾値圧力を付与するには、例えば、人の手部108で圧搾力を印加すれば十分な場合がある(図8)。
【0110】
或る実施形態において、可撓性弁は、嵌合具92の頂部に位置する。可撓性弁が嵌合具の頂部に位置するときは、ヒートシーリングプロセス中に可撓性弁が損傷するリスクが低減あるいは排除される。
【0111】
本可撓性容器90は、ボックスパウチ、ピローパウチ、スパウトkシールドパウチ、スパウトサイドガセットパウチでありうる。可撓性容器内に嵌合具が取り付けられる位置は、2つの対向するフィルム間のシールが存在する任意の位置(すなわち、底部ガセットから前面パネルまでの位置、例えば、シール内の頂部、側部、または更には底部である場合さえありうる。換言すれば、嵌合具シール102は、2つ以上のフィルムが合流し、且つ一体的にヒートシールされる任意の場所にある可撓性容器上に位置する場合もあれば、またはさもなければその可撓性容器上に形成される場合もある。嵌合具シール102の好適な位置の例としては、限定されないが、可撓性容器の頂部、底部、側部、隅部、ガセット区域が挙げられる。
【0112】
本可撓性容器は、取っ手付きで形成される場合もあれば、あるいは取っ手無しで形成される場合もある。
【0113】
或る実施形態において、本可撓性容器90は、自立型パウチ(SUP)である。自立型パウチはガセットパネル98cを具備し、ガセットパネル98cはガセット周縁112を備える。ガセットパネル98cは、多層フィルムと同じ構造および組成を有する多層フィルムから作られ、このガセットパネル98cは(1)SUPおよびその内容物を漏れ出さないように支持する構造的完全性、および(2)SUPが転倒することなしに直立するための安定性(すなわち、水平表面もしくは実質的に水平表面等の支持表面上の基部)を備える。この意味で、このパウチは「自立型」パウチである。
【0114】
或る実施形態において、ガセットパネル98cは、多層フィルムの一方または両方の拡張部分である。このガセットパネルは、褶曲手順によって多層フィルムの一方または両方から形成される。
【0115】
SUPの設置面積は、ガセット周縁112により画定されている。設置面積は多様な形状を有する場合がある。設置面積に好適な形状の例としては、限定されないが、円形、正方形、長方形、三角形、卵形、楕円体、眼の形状および涙形が挙げられる。更なる実施形態において、設置面積は楕円体の形状である。
【0116】
或る実施形態において、本可撓性容器は密閉部を備える。図1図2図4図5、および図7図8に、ねじ式の密閉部の(嵌着したねじ式キャップで使用される)ねじ山を示す。了解されるように、嵌合具92(すなわち、嵌合具10または嵌合具50)によって、他の密閉系を具現することが可能である。好適な密閉部の例としては、限定されないが、ねじ式キャップ、引上げ蓋式キャップ、スナップキャップ、液体もしくは飲料分取用の嵌合具(止水栓またはサムプランジャー)、コールダー(Colder)嵌合具コネクタ、不正開封明示機構付き注ぎ口、垂直ツイストキャップ、水平ツイストキャップ、無菌キャップ、バイトップ(vitop)プレス、プレスタップ、プッシュオンタップ、レバーキャップ、コンロ(conro)嵌合具コネクタ、および他の型式の脱着自在の(且つ任意選択的に、再密閉可能な)密閉部が挙げられる。密閉部および/または嵌合具は、ガスケット付きのものもあれば、あるいはガスケット無しのものもある。
【0117】
或る実施形態において、可撓性容器90の容積は、0.05リットル(L)、または0.1L、または0.25L、または0.5L、または0.75L、または1.0L、または1.5L、または2.5L、または3L、または3.5L、または4.0L、または4.5L、または5.0L〜6.0L、または7.0L、または8.0L、または9.0L、または10.0L、または20L、または30Lである。
【0118】
或る実施形態において、本可撓性容器は、エチレン系ポリマー90重量%〜100重量%から製造される。重量%は可撓性容器(内容物を除く)の総重量を基準とする。エチレン系ポリマー90重量%〜100重量%で製造された可撓性容器は、容易に再利用できる点で、好都合である。
【0119】
本可撓性容器は、液体食品(例えば、飲料)、オイル、塗料、グリース、化学物質、固形物を液体に溶かした懸濁液、および固体粒子状物質(粉末、粒体、顆粒状固形物)を含むがこれらに限定されない、流動性物質の保存に好適である。好適な液体類の例としては、限定されないが、シャンプー、コンディショナー、液体石鹸、ローション、ジェル、クリーム、香膏(balm)および日焼け止めなどの液状パーソナルケア製品が挙げられる。他の好適な液体類としては、家事用/洗浄製品および自動車整備用製品が挙げられる。他の液体には、調味料(ケチャップ、マスタード、マヨネーズ)および離乳食などの液状食品が挙げられる。
【0120】
本可撓性容器は、容器に圧搾力を印加して排出させる必要のある、粘度の高い流動性物質を貯蔵するのに好適である。そのような圧搾可能な物質および流動性物質の例としては、限定されないが、グリース、バター、マーガリン、石鹸、シャンプー、動物飼料、ソースおよび離乳食が挙げられる。
【0121】
例としては、限定されないが、本開示の実施例が提供されている。
【実施例】
【0122】
実施例1
ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能なInfuse(商標)9817(エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー:密度0.875g/ccおよびMI15g/10min(190℃にて2.16Kg))を、非粘着性シート間に200℃にて3Barの圧力で5分間押圧して、エチレン/αオレフィンのマルチブロックコポリマー製ペレットの扁平シートを作製する。結果として得られたシートは、厚さ0.8mmのものである。
【0123】
直径12mmの円形部分をシートから切断して、可撓性弁を形成した。細隙を横引きして、可撓性弁用のフラップを形成するためのセクションを得る。次いで、カヌー形状の基部を有する予備成形済み標準嵌合具のチャネルに、可撓性弁を挿入する。嵌合具のチャネルに、可撓性弁を挿入して、接着剤で取り付ける。
【0124】
嵌合具の基部(カヌー形状の基部)を、500mlの可撓性ポリエチレン製の可撓性パウチにヒートシールする。可撓性パウチに水を満杯になるまで充填し、上下逆にしてぶら下げる。約1分後に可撓性弁を通過したのは水数滴だけであり、このことから、パッケージに圧力が印加されない限り、可撓性弁が流体を保持できることが明らかにされた。
【0125】
可撓性パウチに手部圧力を印加すると、可撓性パウチの内容液全部が、可撓性弁を通して吐出される。
【0126】
本開示は、本明細書中に記載されている本実施形態および例証だけに限定されるものではなく寧ろ、これらの実施形態の修正形態(本実施形態および様々な実施形態の要素の組み合わせのうち下記「特許請求の範囲」の範囲内に包含される部分を含む)を包含することを特に意図したものである。
図1
図2
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図6
図7
図8