【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、望ましくない着色の低減および可能な改善された機械的性質を含む、改善された性質を示す、鉱物繊維、合成繊維および天然繊維、セルロース系粒子またはシート材料を含む、物質の集成体(assembly)を提供するものである。
【0004】
本発明の別の目的は、上記本明細書で規定される物質の集成体の調製のための方法を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、大量生産に適した、費用効果の大きい方法を提供することである。
【0006】
別の目的は、再生可能かつ/または持続可能な資源をベースとする改善された結合剤組成物を提供することである。
【0007】
さらに、本発明は、高強度結合剤に迅速に硬化する結合剤組成物を提供することを求める。
【0008】
ここで、本発明は、添付された特許請求の範囲による、産物、方法および結合剤組成物を提供する。
【0009】
本発明の産物は、単糖または多糖およびアゼチジニウム架橋剤を含む水性硬化性結合剤組成物を硬化条件に供することで得られる、結合剤により互いに結合した鉱物繊維、合成繊維または天然繊維、セルロース系粒子またはシート材料を含む、物質の集成体からなる。前記結合剤組成物は、糖とアゼチジニウム架橋剤との間の架橋から得られる反応生成物)をまた、含んでもよい。
【0010】
単糖は、炭素数5または6の単糖、好ましくはデキストロースであることが有利であり得る。多糖は、少なくとも2個、好ましくは少なくとも4個の糖単位および最大10
6個の糖単位、好ましくは最大10000個の糖単位、より好ましくは最大5000個あるいは3000個の糖単位を含む。多糖は、天然デンプンおよびデンプン誘導体から有利に選択され得る。デンプンは、D−グルコピラノース、アミロースおよびアミロペクチンの2つの異なるポリマーを含む。アミロースは直鎖状多糖であるのに対して、アミロペクチンは高分岐多糖である。アミロースは、グルコース単位1000〜10000個およびM
W>10
6g/molの範囲の重合度の比較的低い分子量を有するのに対して、アミロペクチンは、10
5個超およびM
W>10
7g/molの重合度を有する、より大きな分枝状多糖である。デンプン誘導体としては、限定されないが、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、カチオン性デンプン、両性デンプンなどのデンプンエーテル、デンプンアセテート、デンプンホスフェート、デンプンオクテニルサクシネート、酸修飾デンプン、オキシド修飾デンプン(oxide modified starch)などのデンプンエステル、および、限定されないがデキストリンを含む、部分的に加水分解されたデンプンが挙げられる。多糖は、セルロースまたはキチンのような天然もしくは合成供給源から誘導されてもよい。デンプン誘導体としては、2〜20個のグルコース単位を含む可変長鎖で連結されたD−グルコース単位から構成されたデキストリンおよびマルトデキストリンが挙げられる。
【0011】
アゼチジニウム架橋剤は当該技術分野において公知である。多官能性アゼチジニウム架橋剤は、少なくとも1つの置換または非置換4員窒素含有複素環を含有する、種々のカップリング剤およびアミン官能性モノマーを、種々の比率で使用して作製することができる。アゼチジニウム基は、ポリマー構造に組み込まれた1つまたは複数の非アゼチジニウムモノマー単位を含む、ホモポリマーまたはコポリマー鎖と化学結合する。使用に適した好ましいアゼチジニウム系材料は、少なくとも2つのアゼチジニウム基を鎖中に含む。本発明による好ましいアゼチジニウムポリマーは、以下の一般構造:
【化1】
(式中、nは整数であり、一般にn≧1であり、R
1はC
1〜C
25アルカンジイル、好ましくはC
1〜C
10アルカンジイルまたはC
1〜C
5アルカンジイルであり得、ヒドロキシル基、カルボキシル官能基もしくアミンで置換され得、
R
2は、独立にR1または−R
3−NH−C(O)−R4−であってよく、R
3およびR
4は、独立にC
1〜C
25アルカンジイル、好ましくはC
1〜C
10アルカンジイルもしくはC
1〜C
5アルカンジイルであってよく、
Y
1およびY
3は、HまたはC1〜C5アルキル基であり、場合によりヒドロキシル基、アミンもしくはカルボキシル基で置換され得、
Y2は、OHまたは独立にY1であり、
X
−は、ハロゲン対イオンである)を示す。
【0012】
アゼチジニウム官能化ポリマーは、最終産物の特性を改善することができ、カチオン性アゼチジニウム基の存在により抗菌活性をもたらすことができる、高反応性四級アンモニウム基を有する。アゼチジニウム官能基は、角歪により反応性であり、多数の求核試薬と反応し得る。アゼチジニウム架橋剤は、高温および/またはラジカル開始により重合し得る。
【0013】
有利な実施形態において、単糖および/または多糖とアゼチジニウム架橋剤との乾量基準での重量比は、99/1〜60/40の間、好ましくは98/2〜70/30の間、より好ましくは95/5〜75/25の間に含まれる。
【0014】
上記で規定されたような水性結合剤組成物をガラス繊維ベール(veil)に適用すると、硬化に際し高い結合強度を示し、屋外曝露後であっても高い結合強度を示すことが見いだされた。屋外曝露後の結合強度の低下は、先行技術による熱硬化性結合剤と比較して、有意に低減される。
【0015】
本発明の結合剤組成物により結合したベール産物の結合強度は、特により低い相対アゼチジニウム含有率で、組成物のpHにより、わずかに影響を受けることがある。より詳細には、結合剤組成物のアルカリpHは、結合強度(乾燥および湿潤)をわずかに低減させる傾向があるのに対して、酸性pHは、より高いデンプン/アゼチジニウム比において、結合強度を上昇させる。
【0016】
好ましい実施形態によれば、水性結合剤組成物は、アゼチジニウム架橋剤により架橋された単糖および/または多糖を含み、フリーラジカル重合を受けることができる架橋剤をさらに含む。そのような架橋剤は、ポリカルボン酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、アクリレート、アクリル酸およびそれらの塩、アクリロニトリル、ビスフェノールアクリル、炭水化物モノマー、フッ素化アクリル、マレイミド、多官能性アクリル、ならびにそれらの混合物から選択され得る。フリーラジカル重合がフリーラジカル開始剤により開始される場合、組成物は、糖残基と架橋剤との間でのさらなる架橋反応の開始のための1種または複数種のフリーラジカル開始剤をさらに含んでもよい。このような反応機構は当該技術分野において周知である。反応は、熱および/または適切な放射線を含むエネルギーの供給によって開始され得る。硬化に際し、このような結合剤組成物は、高度に架橋された樹脂を産生し、本発明による物質の集成体に対し、さらに改善された結合強度を与える。フリーラジカル重合からなる第2のステップを含む2段階重合は、高い重合密度を示す高度に重合した樹脂をもたらすことが見いだされた。そのような樹脂は、繊維およびセルロース系粒状物またはシート材料などの基材に高い結合強度を与える。
【0017】
本発明の結合剤組成物は、硬化によりほとんどまたは全く水が遊離せず、繊維とセルロース系粒状物またはシート材料とを結合し、従って、最終産物に含有される水の蒸発に必要なエネルギーを低減させるので、特に好適であると思われる。
【0018】
ポリカルボン酸は、モノマーおよびポリマーポリカルボン酸から有利に選択され得る。例示的に、モノマーポリカルボン酸は、ジカルボン酸であってもよく、限定されないが、不飽和脂肪族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、不飽和環状ジカルボン酸、飽和環状ジカルボン酸を含み、任意選択でヒドロキシ、ハロ、アミノ、アルキル、カルボキシ、アルコキシ、無水物、塩、エステルおよびこれらの混合物などで置換される。有利には、モノマーポリカルボン酸は、リンゴ酸、グルタミン酸、グルタコン酸、3−フマリルピルビン酸、2,5−フランジカルボン酸、メサコン酸、メソキサル酸、グルタル酸、ネドクロミル、4−(ガンマ−グルタミルアミノ)ブタン酸、ネオグルチル(neoglutyl)、およびコハク酸から選択される。その他の好適なポリカルボン酸は、限定されないが、アコニット酸、アジピン酸、アゼライン酸、ブタンテトラカルボン酸二水素化物、ブタントリカルボン酸、クロレンド酸、シトラコン酸、ジシクロペンタジエン−マレイン酸付加物、ジエチレントリアミン五酢酸、ジペンテンおよびマレイン酸の付加物、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、完全マレイン化ロジン(fully maleated rosin)、マレイン化トール油脂肪酸、フマル酸、グルタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、過酸化カリウムで酸化されてアルコールにされ、次いでカルボン酸にされたマレイン化ロジン、マレイン酸、リンゴ酸、メサコン酸、コルベ・シュミット反応を介して二酸化炭素と反応して3〜4個のカルボキシル基が導入されたビフェノールAまたはビスフェノールF、シュウ酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸等および無水物、ならびにこれらの組合せを含むことが企図される。例示的に、ポリマーポリカルボン酸は、酸であってもよく、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、および同等のポリマーポリカルボン酸、これらのコポリマー、これらの無水物、ならびにそれらの混合物であってもよい。市販されているポリアクリル酸の例は、AQUASET−529(Rohm & Haas、Philadelphia、PA、USA)、CRITERION 2000(Kemira、Helsinki、Finland、Europe)、NF1(H.B.Fuller、St.Paul、MN、USA)、および約4000の分子量を有する、アクリル酸とマレイン酸の水溶性ポリアクリルコポリマーである、SOKALAN(BASF、Ludwigshafen、Germany、Europe)を含む。AQUASET−529は、グリセロールにより架橋されたポリアクリル酸を含有し、触媒として次亜リン酸ナトリウムをも含有する、組成物である。CRITERION2000は、約2000の分子量を有する、ポリアクリル酸の部分塩の酸性溶液である。NF1に関しては、これはカルボン酸官能価およびヒドロキシ官能価、ならびにいずれの官能価も有さない単位を含有するコポリマーである。NF1は、次亜リン酸ナトリウムまたは有機ホスフェート触媒などの連鎖移動剤をも含有する。ポリマーポリカルボン酸は、必ずしも限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ケイ皮酸、2−メチルマロン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、α−メチレングルタル酸、β−メチレングルタル酸等を含む不飽和カルボン酸から調製された、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。あるいは、ポリマーポリカルボン酸は、必ずしも限定されないが、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物等、およびそれらの混合物を含む不飽和無水物から調製されてもよい。これらの酸および無水物を重合する方法は化学技術分野において周知である。ポリマーポリカルボン酸は、上記の不飽和カルボン酸または無水物の1つまたは複数と、必ずしも限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、グリジルメタクリレート、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル等を含む、1つまたは複数のビニル化合物との、コポリマーを追加的に含んでもよい。ポリマーポリカルボン酸、特にポリアクリル酸ポリマーの分子量は、10000ダルトン(Da)未満、5000Da未満、または約3000Daもしくはそれ未満であってよい。例えば、分子量は2000Daであってもよい。
【0019】
アクリルアミドおよびメタクリルアミドモノマーの好適な例は、アルキルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−ジフェニルメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタクリルアミド)、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−プロパ−2−エンアミド、N−(イソブトキシメチル)−アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその塩、3−(アクリルアミド)フェニルボロン酸、N−アクリロイルアミドエトキシエタノール、N−(トリフェニルメチル)−メタクリルアミドならびにN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミドを含む。
【0020】
好適なアクリレートモノマーの例は、4−アセトキシフェネチルアクリレート、4−アクリロイルモルホリン、ブチルアクリレート、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、ベンジル2−プロピルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ−/ヘキサ−アクリレート、エチルアクリレート、エチルcis−(β−シアノ)アクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、エチル2−エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチル2−プロピルアクリレート、エチル2−(トリメチルシリルメチル)アクリレート、ヘキシルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチル2−アセトアミドアクリレート、メチルアクリレート、メチル3−ヒドロキシ−2−メチレンブチレート、オクタデシルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、3−スルホプロピルアクリレートおよび塩、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−テトラヒドロピラニルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、10−ウンデセニルアクリレート、ならびにウレタンアクリレートメタクリレートを含む。
【0021】
好ましいメタクリレートモノマーは、アリルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−yl)−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ビス(2−メタクリロイル)オキシエチルジスルフィド、ビス(2−メタクリロイル)オキシエチルジスルフィド、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、カルバゾール−9−エチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジシクロペンタニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリコシルオキシエチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート類、2−ヒドロキシプロピル2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、2−ヒドロキシ−3−{3−[2,4,6,8−テトラメチル−4,6,8−トリス(プロピルグリシジルエーテル)−2−シクロテトラシロキサニル]プロポキシ}プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メタクリル酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、メチルメタクリレート、2−(メチルチオ)エチルメタクリレート、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネート、2−N−モルホリノエチルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチルメタクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、1,4−フェニレンジメタクリレート、フェニルメタクリレート、リン酸2−ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、プロピルメタクリレート、1−ピレンメチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレートおよび塩、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、(トリメチルシリル)メタクリレート、ウレタンアクリレートメタクリレート、ウレタンエポキシメタクリレートならびにビニルメタクリレートを含み得る。
【0022】
原則的に、多官能性アクリルが架橋剤として使用され、最も好ましい多官能性アクリル化合物は、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、1,3−または4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−または4−ブタンジオールジメタクリレート、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジウレタンジメタクリレート、N,N’−エチレンビス(アクリルアミド)、エチレングリコールジメタクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジイルビス[オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]ビスアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートビス[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノエート]、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリシクロ−デカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレートおよびトリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートから選択される。
【0023】
フリーラジカル重合を受けることができる架橋剤と、糖残基と架橋剤との間でのさらなる架橋反応を開始するためのフリーラジカル開始剤との乾量基準での重量比は、2/0.5〜20/1の間、好ましくは5/1〜10/1の間で変わり得る。結合剤組成物中の架橋剤の乾量基準での重量分率は、有利には、2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%で変わり得る。
【0024】
フリーラジカル開始剤は、過酸化水素もしくはペルオキソ二硫酸塩、例えばモノアルカリ金属もしくはジアルカリ金属、またはペルオキソ二硫酸のアンモニウム塩、例えばそれらのモノナトリウム塩およびジナトリウム塩ならびにアンモニウム塩から有利に選択される、無機ペルオキシドを含んでもよい。好ましい無機ペルオキシドは、アンモニウムもしくはナトリウムもしくはカリウム過硫酸塩またはそれらの混合物であってよい。
【0025】
フリーラジカル開始剤は、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ならびにジアルキルまたはジアリール、例えば、ジ−tert−ブチルまたはジクミルペルオキシド、ジーtert−アミルペルオキシド、ベンジルペルオキシド、ブタノンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシベンゼン、およびtert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネートから有利に選択される、有機ペルオキシドをさらに含んでもよい。
【0026】
アゾ化合物もまた、フリーラジカル開始剤として使用されてよく、アゾ化合物は、一般に、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA)から選択されてよい。
【0027】
レドックス開始剤のための好適な酸化剤は、上述のペルオキシドから選択されてよい。対応する還元剤は、低酸化状態のイオウ化合物、例えばアルカリ金属亜硫酸塩、例えば亜硫酸カリウムおよび/またはナトリウム、カリウムおよび/またはナトリウムなどのアルカリ金属の亜硫酸水素塩、カリウムおよび/またはナトリウムなどのアルカリ金属のメタ重亜硫酸塩、例えば、カリウムおよび/またはナトリウム、特に、脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩、特にカリウムおよび/またはナトリウム塩、およびアルカリ金属硫化水素塩、例えば硫化水素カリウムおよび/またはナトリウム、多価金属の塩、例えば硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、リン酸鉄(II)、および硝酸アンモニウムセリウムなどに由来するセリウムイオンから選択されてよい。
【0028】
本発明の結合剤組成物は、炭水化物系結合剤化学品で典型的である暗褐色の結合剤樹脂(例えば、シャンペン、タピオカ、バニラカスタード、パピルス、ヌード、ウィート等)を形成する、少ない傾向を示すことが見いだされた。
【0029】
好ましい実施形態によれば、水性結合剤組成物は、少なくとも2つのアゼチジニウム基を含むアゼチジニウム架橋剤により架橋した多糖を含み、ポリカルボン酸および糖残基とポリカルボン酸との間でのさらなる架橋反応を開始するためのフリーラジカル開始剤をさらに含む。硬化に際し、このような結合剤組成物は、さらに改善された結合強度を示す、高度に架橋された樹脂を生成する。
【0030】
本発明の結合剤組成物およびそれらから生成された結合剤は、本質的にホルムアルデヒドフリー(すなわち、組成物の重量に対して約1ppm未満のホルムアルデヒドを含む)であり、実質的なホルムアルデヒドを遊離しない。
【0031】
本発明の組成物は、明らかに、カップリング剤、染料、抗真菌剤、抗菌剤、疎水性物質および、適宜、そのような結合剤用途に関する当該技術分野において公知である他の添加剤をさらに含んでもよい。このような結合剤中には、典型的に、ケイ素含有カップリング剤が、一般に結合剤組成物の固形分に対して約0.1〜約1重量%の範囲で存在する。これらの添加剤は、結合剤の付着性とも、そのような結合剤組成物またはそれから生成された結合剤を含む最終産物の機械的性質およびその他の望ましい性質とも拮抗せず、厳格な環境および健康関連要件に有利に適合するように、確実に選択される。
【0032】
理論に拘束されるものではないが、硬化により、高度に架橋された高分子量ポリマーが生じると考えられる。これらの高分子量ポリマーは、分子量の決定を含む、当該技術分野において一般に公知の技術およびその他の公知技術により分析することができる。
【0033】
本発明によれば、用語「結合剤組成物」は、特に限定されず、一般に、それ自体で、または硬化に際し、粗密集成の物質を結合させることができる任意の組成物を含む。結合剤組成物は、関連出発材料の少なくとも一部ならびに場合により添加剤の反応または部分反応から生じる、熱硬化性結合剤樹脂および場合により反応産物を形成するための出発材料を含む、水性未硬化組成物であることが好ましい。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「水性」は、特に限定されず、一般に、溶媒としての水をベースとする溶液および/または分散液に関する。この用語は、水および1種または複数種の追加溶媒を含有する組成物または混合物をさらに含む。本発明の「水性結合剤組成物」は、前記結合剤成分の1種もしくは複数種の溶液もしくは部分溶液であってもよく、または分散液、例えば乳濁液もしくは懸濁液であってもよい。
【0035】
本発明の水性結合剤組成物の固形分は、全水性結合剤組成物の重量に対して、5〜95重量%、有利には8〜90重量%、好ましくは10〜85重量%の範囲であってよい。より具体的には、鉱物ウール断熱材の結合剤として使用される場合、水性結合剤組成物の固形分は、全水性結合剤組成物の重量に対して、5〜25重量%の範囲、好ましくは8〜20重量%の範囲、より好ましくは10〜20重量%、さらには12〜18重量%の範囲であってよい。合板、パーティクルボード、ファイバーボードなどの木材ボード中の結合剤として使用される場合、水性結合剤組成物の固形分は、全水性結合剤組成物の重量に対して、50〜95重量%の範囲、好ましくは50〜90重量%の範囲、より好ましくは55〜85重量%、さらには60〜80重量%の範囲であってよい。
【0036】
本発明の結合剤組成物は、金属酸化物、好ましくはMgO、CaO、Al
2O
3およびCaCO
4などの無機材料に由来するナノ粒子をさらに含んでよい。なおさらに、ナノクレイが結合剤配合物中に組み込まれてもよい。そのようなナノクレイは、限定されないが、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、ヘクトライト、とハロイサイトおよびその他の有機修飾ナノクレイ、ならびに/またはそれらの混合物を含む。このような無機材料は、組成物全体の固形分0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲の量で存在してよい。
【0037】
本発明の結合剤組成物の成分は、別々に運搬され、関連製造プラントでの使用の直前に合わされてもよい。結合剤組成物そのものを運搬することも可能である。あるいは、予備反応させた架橋デンプンが、さらなる架橋剤および場合によりフリーラジカル開始剤とは別に運搬され、本発明による使用の直前に関連成分が合わされてもよい。
【0038】
本発明の結合剤は、未集成または粗密集成の物質の集合体を結合させるために使用されてもよい。物質の集合体は、限定されないが、スラグウール繊維、石綿繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース繊維を含む鉱物繊維から選択される繊維を含む、任意の物質の集合体を含む。物質の集合体のさらなる例は、石炭などの粒状物、セルロース繊維、かんな屑、のこ屑、木材パルプ、砕木、木材チップ、木材ストランド、木材レイヤー、他の天然繊維、例えば、黄麻、亜麻、大麻、わら、単板、表面仕上材、および他の粒子、織成または不織材料を含む。本発明の特定の実施形態によれば、物質の集合体は、木材粒子および鉱物繊維から選択される。
【0039】
例示的な一実施形態において、本発明の結合剤組成物は、鉱物繊維を含む断熱材産物を作製するのに使用されてもよい。そのような用途において、繊維は、互いに結合されて繊維マット中で組織化され、その後、断熱材産物に加工されてもよい。そのような用途において、繊維は一般に70〜99重量%の範囲の量で存在する。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、結合剤は、セルロース粒子、例えばセルロース繊維、かんな屑、木材レイヤーまたはシート、木材パルプ、およびファイバーボード、パーティクルボード、配向性ストランドボード、合板などを含む、複合木材ボードを製造するために一般に使用される、他の材料を結合させるために使用されてよい。このような木材ボードは、6〜30mmの範囲の公称厚さおよび少なくとも約1000N/mm
2の弾性率、少なくとも約5N/mm
2の屈曲強さ、ならびに/または少なくとも0.10N/mm
2の内部結合強度を示す。このような用途では、最終木材ボード中の結合剤有率は、木材ボードの総重量に対して、約5〜30重量%、特に9〜20%の範囲であってよい。
【0041】
本発明によれば、水性結合剤組成物は、それ自体で公知である様式により、繊維もしくは粒状物またはシート材料に適用されてよい。結合剤組成物は、スプレー適用により適用されるのが好ましい場合がある。他の技法は、ロール適用、または物質の集合体と結合剤組成物との混合および/もしくはタンブリングを含む。水が蒸発する際、結合剤組成物は、以下で本明細書にさらに詳述するように、望ましい集成体に配列されたとき、粒状物材料を一緒に結合させるゲルを形成する。硬化の際、反応性結合剤成分は、反応して、本質的に水不溶性巨大分子結合剤樹脂を形成するようになる。従って、硬化は、未硬化の結合剤との比較で、付着性、耐久性および耐水性を増大させる。硬化は、周囲温度(約10〜25℃)と最大280℃との間の温度で行われ得る。
【0042】
別の態様によれば、本発明は、本発明による水性結合剤組成物の適用、硬化および水蒸発により、繊維状材料または粒状物もしくはシート材料の結合された集成体を調製する方法に及ぶ。得られた産物は次に、限定されないが断熱材産物または木材ボードを含む中間または最終産物を作製するために、好適な方法ステップにおいてさらに加工されてもよい。より具体的には、繊維またはセルロース粒子もしくはシートの集成体の製造方法は、(i)(a)単糖または多糖を提供すること、(ii)適量の(b)アゼチジニウム架橋剤を提供すること、(iii)繊維状またはセルロース系粒状物もしくはシート材料に対して、(a)および(b)を、
事によると(a)および(b)
そして事によると(b)により架橋された(a)を含む水性組成物として、逐次的または同時に適用して、樹脂加工材料を生成すること、ならびに(v)得られた樹脂加工材料を硬化条件に供し、余剰水を蒸発させることを含んでもよい。
【0043】
本発明の方法の特定の実施形態によれば、繊維状またはセルロース系粒状物もしくはシート材料の集成体の製造方法は、(b)により架橋された(a)ならびに(c)さらなる架橋剤および(d)フリーラジカル開始剤を含む水性組成物を、繊維状またはセルロース系粒状物もしくはシート材料に、
事によると単一の水性組成物として、逐次的または付随的に適用して、樹脂加工材料を生成し、架橋を生じさせ得、得られた水性組成物を硬化条件に供し、余剰水を蒸発させることを含んでもよい。
【0044】
モノマー(b)と(a)との共重合反応は、周囲温度(10℃と25℃との間)から200℃、好ましくは40〜95℃の範囲の温度で行われ得る。
事によると(d)の存在下での(c)によるさらなる架橋は、同一の温度範囲で行われ得る。重合反応は、上記と同じ温度範囲内で同時に行われてもよい。
【0045】
硬化は、90〜200℃の範囲、好ましくは140℃超、より好ましくは190℃未満、典型的には160℃と180℃との間の温度で行われ得る。木材ボードの製造では、材料を加圧しながら、硬化を行う。
【0046】
以下の実施例において添付図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。