(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872547
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】可撓性円錐形状の膣内支持デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 6/12 20060101AFI20210510BHJP
A61F 2/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
A61F6/12
A61F2/00
【請求項の数】31
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-528215(P2018-528215)
(86)(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公表番号】特表2018-526169(P2018-526169A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016047859
(87)【国際公開番号】WO2017031456
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2019年8月19日
(31)【優先権主張番号】62/283,092
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/242,105
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518058409
【氏名又は名称】ワトキンス−コンティ プロダクツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コンティ, アリソン
【審査官】
望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/041353(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3177410(JP,U)
【文献】
米国特許第03845766(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0077097(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 6/12
A61F 2/00
A61F 6/08
A61F 6/14
A61F 5/37
A61F 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膣挿入デバイスであって、
上側部分であって、前記上側部分は、弾性かつ非吸収性の材料から作製され、円錐形状の本体を有し、前記上側部分の長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有し、前記上側部分の円周は、前記上側開放端から前記下側端へと減少し、前記上側部分の上側開放端は、挿入の間、前記膣挿入デバイスの最内部分であり、前記上側部分の壁は、前記膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、前記上側部分をよりコンパクトな形状にするように圧搾されるように構成され、前記壁は、前記挿入後、その元の形状に戻るように拡張する、上側部分と、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出する、外部リムであって、前記外部リムは、前記上側開放端に隣接する、外部リムと、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出する、複数の隆起であって、前記複数の隆起は、前記上側開放端から前記下側端まで離間されており、前記上側部分は、前記デバイスが挿入されると、前記外部リムおよび前記複数の隆起を用いて、前記膣挿入デバイスをしっかりと定位置に保持することにより、圧力を尿道括約筋にかけ、または骨盤臓器を支持し、または圧力を前記尿道括約筋にかけることと、骨盤臓器を支持することとの両方を行う、複数の隆起と、
前記上側部分の前記下側端から延在する除去部分であって、前記除去部分は、前記膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、前記膣の外部からアクセスされるように構成され、前記除去部分は、前記膣挿入デバイスの除去を補助する、除去部分と
を備え、
前記膣挿入デバイスは、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方を管理、改善、または排除し、または、前記膣挿入デバイスは、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するためである、膣挿入デバイス。
【請求項2】
前記材料は、生体適合性エラストマである、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項3】
前記材料は、シリコーンエラストマである、請求項2に記載の膣挿入デバイス。
【請求項4】
前記除去部分は、前記上側部分に取り付けられたストリングである、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項5】
前記除去部分は、前記上側部分に取り付けられたステムである、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項6】
前記上側部分および前記ステムは、前記弾性かつ非吸収性の材料から作製されている、一体型の1部品から成るデバイスを構成する、請求項5に記載の膣挿入デバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの換気開口部をさらに備える、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項8】
前記デバイスの前記挿入の際に使用されるアプリケータをさらに備え、前記アプリケータは、前記上側部分が前記よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも前記上側部分を格納するように構成され、前記アプリケータは、前記デバイスの前記挿入を補助する、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項9】
前記外部リムは、円形であり、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第2の区分を上回る距離を前記上側部分の壁の外部側から突出する、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項10】
前記膣挿入デバイスは、前記膣挿入デバイスが挿入されると、前記膣の内側と外側との間の空気圧を均衡化するように構成されている、請求項1に記載の膣挿入デバイス。
【請求項11】
骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するための膣挿入デバイスであって、
上側部分であって、前記上側部分は、弾性かつ非吸収性の材料から作製され、円錐形状の本体を有し、前記上側部分の長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有し、前記上側部分の円周は、前記上側開放端から前記下側端へと減少し、前記上側部分の上側開放端は、挿入の間、前記膣挿入デバイスの最内部分であり、前記上側部分の壁は、前記膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、前記上側部分をよりコンパクトな形状にするように圧搾されるように構成され、前記壁は、前記挿入後、その元の形状に戻るように拡張する、上側部分と、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出する、外部リムであって、前記外部リムは、前記上側開放端に隣接する、外部リムと、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出する、複数の隆起であって、前記複数の隆起は、前記上側開放端から前記下側端まで離間されており、前記複数の隆起は、前記上側部分の全長に沿って前記下側端から前記外部リムまで分布され、前記上側部分は、前記デバイスが挿入されると、前記外部リムおよび前記複数の隆起を用いて、前記膣挿入デバイスをしっかりと定位置に保持することにより、圧力を尿道括約筋にかけ、または骨盤臓器を支持し、または圧力を前記尿道括約筋にかけることと、骨盤臓器を支持することとの両方を行う、複数の隆起と、
前記上側部分の前記下側端から延在するステムであって、前記上側部分および前記ステムは、前記弾性かつ非吸収性の材料から作製されている、一体型の1部品から成るデバイスを構成し、前記ステムは、前記膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、前記膣の外部からアクセスされるように構成され、前記ステムは、前記膣挿入デバイスの除去を補助する、ステムと
を備える、膣挿入デバイス。
【請求項12】
前記材料は、生体適合性エラストマである、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項13】
前記材料は、シリコーンエラストマである、請求項12に記載の膣挿入デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つの換気開口部を前記上側部分の壁内にさらに備える、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項15】
前記上側部分の下側端と前記ステムが交差する点に位置する、換気開口部をさらに備える、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項16】
前記デバイスの前記挿入の際に使用されるアプリケータをさらに備え、前記アプリケータは、前記上側部分が前記よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも前記上側部分を格納するように構成され、前記アプリケータは、前記デバイスの前記挿入を補助する、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項17】
前記外部リムは、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第2の区分を上回る距離を前記上側部分の壁の外部側から突出する、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項18】
前記膣挿入デバイスは、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方を管理、改善、または排除する、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項19】
前記複数の隆起は、前記デバイスをしっかりと定位置に保持し、少なくとも1つの膣臓器に圧力をかける、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項20】
前記複数の隆起は、前記上側部分の前記下側端から前記上側部分の前記リムまで均一に分布されている、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項21】
前記外部リムは、円形である、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項22】
前記膣挿入デバイスは、前記膣挿入デバイスが挿入されると、前記膣の内側と外側との間の空気圧を均衡化するように構成されている、請求項11に記載の膣挿入デバイス。
【請求項23】
膣挿入デバイスであって、
上側部分であって、前記上側部分は、弾性かつ非吸収性かつ生体適合性のシリコーンエラストマ材料から作製され、円錐形状の本体を有し、前記上側部分の長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有し、前記上側部分の円周は、前記上側開放端から前記下側端へと減少し、前記上側部分の上側開放端は、挿入の間、前記膣挿入デバイスの最内部分であり、前記上側部分の壁は、前記膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、前記上側部分をよりコンパクトな形状にするように圧搾されるように構成され、前記壁は、前記挿入後、その元の形状に戻るように拡張する、上側部分と、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出する、外部リムであって、前記外部リムは、前記上側開放端に隣接する、外部リムと、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出する、複数の隆起であって、前記複数の隆起は、前記上側開放端から前記下側端まで離間されており、前記上側部分は、前記デバイスが挿入されると、前記外部リムおよび前記複数の隆起を用いて、前記膣挿入デバイスをしっかりと定位置に保持することにより、圧力を尿道括約筋にかけ、または骨盤臓器を支持し、または圧力を前記尿道括約筋にかけることと、骨盤臓器を支持することとの両方を行う、複数の隆起と、
前記上側部分の前記下側端から延在するステムであって、前記上側部分および前記ステムは、前記弾性かつ非吸収性かつ生体適合性のシリコーンエラストマ材料から作製されている、一体型の1部品から成るデバイスを構成し、前記ステムは、前記膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、前記膣の外部からアクセスされるように構成され、前記ステムは、前記膣挿入デバイスの除去を補助する、ステムと、
換気開口部と
を備え、
前記膣挿入デバイスは、前記膣挿入デバイスが挿入されると、前記膣の内側と外側との間の空気圧を均衡化するように構成され、
前記膣挿入デバイスは、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方を管理、改善、または排除し、または、前記膣挿入デバイスは、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するためである、膣挿入デバイス。
【請求項24】
前記上側部分の上側開放端の円周は、前記ステムの円周を上回る、請求項23に記載の膣挿入デバイス。
【請求項25】
前記上側部分の壁内に位置する前記換気開口部をさらに備える、請求項23に記載の膣挿入デバイス。
【請求項26】
前記換気開口部は、前記リム内に位置する、請求項25に記載の膣挿入デバイス。
【請求項27】
前記換気開口部は、約2.0mmの直径を有する、請求項25に記載の膣挿入デバイス。
【請求項28】
前記デバイスの前記挿入の際に使用されるアプリケータをさらに備え、前記アプリケータは、前記上側部分が前記よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも前記上側部分を格納するように構成され、前記アプリケータは、前記デバイスの前記挿入を補助する、請求項23に記載の膣挿入デバイス。
【請求項29】
前記外部リムは、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第2の区分を上回る距離を前記上側部分の壁の外部側から突出する、請求項23に記載の膣挿入デバイス。
【請求項30】
前記上側部分の下側端と前記ステムが交差する点に位置する、前記換気開口部をさらに備える、請求項23に記載の膣挿入デバイス。
【請求項31】
前記膣挿入デバイスは、流体収集なしに、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するために構成されている、請求項23に記載の膣挿入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本特許出願は、以前に、2015年8月20日に出願された米国仮特許出願第62/283,092号、および2016年8月19日に出願された米国非仮特許出願第15/242,105号に対して優先権を主張する。上記文献らの全ては、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、デバイスが挿入されると、骨盤臓器脱または尿失禁と関連付けられた症状を改善する際に使用するための可撓性かつ非吸収性の膣挿入デバイスに関し、より具体的には、挿入および除去がより容易な膣挿入デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
腹圧性尿失禁(SUI)および骨盤臓器脱(POP)は、ヘルスケアシステムに多額のコストを課すだけではなく、米国だけでも数万人の女性の生活の質を深刻に脅かしている、世界的に増加しつつある問題である。外科的解決策は、SUIおよびPOPと関連付けられた症状の寛解に成功を見せ得るが、外科手術は、リスクおよび合併症を必然的に伴い、患者を処置前よりも悪化した状況に曝す場合さえある。Huang W,Wang T,Zong H,Zhang Y,Efficacy and Safety of Tension−Free Vaginal Tape−Secure Mini−Sling Versus Standard Midurethral Slings for Female Stress Urinary Incontinence:A Systematic Review and Meta−Analysis,International Neurourology Journal,2015,19(4):246−58(参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。また、Ellington DR,Erekson EA,Richter HE,Outcomes of Surgery for Stress Urinary Incontinence in the Older Woman,Clin Geriatr Med.,2015,31(4):487−505(参照することによって本明細書に組み込まれる)も参照されたい。FDAは、POPおよびSUIを処置するために膣を通して留置される(経膣留置)外科用メッシュに関するいくつかの公衆衛生通知を発行している。FDAは、膣を通したメッシュ浸食、疼痛、感染症、出血、性交の際の不快感、臓器穿孔、泌尿器系の問題、脱再発、神経筋問題、膣瘢痕/収縮、および心の問題を含む、外科用メッシュに関する深刻かつ頻繁な合併症を識別している。大部分の外科用合併症は、医療上の付加的外科処置および入院を含む、介入を要求する。
【0004】
女性のPOPの管理のために最も一般に使用されているだけではなく、また、SUIのためにも使用されている、先行技術のペッサリは、SUIおよびPOPを処置するための実行可能な非外科的オプションを提示している。これらの先行技術のペッサリは、合併症および副作用が少ない。しかしながら、これらのデバイスは、従来、長期間にわたって膣内に留置される。それらはまた、不快であり得る。さらに、これらの先行技術のデバイスは、患者が挿入および除去することが困難であり、これらのデバイスの使用、挿入、および除去は、多くの場合、長年にわたって、医師による処置のために定期的診療所の訪問を要求する。Jones KA,Harmanli O,Pessary Use in Pelvic Organ Prolapse and Urinary Incontinence,Rev Obstet Gynecol,2010,3(1):3−9(参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。ペッサリの自己除去および挿入に関する難点、排便の際のペッサリの落下、ならびに快適性および利便性の欠如が、先行技術のデバイスの広範な使用を限定し得る。
【0005】
女性における腹圧性尿失禁(SUI)は、弱体した骨盤支持系および/または加齢、遺伝、または出産による膀胱にかかる圧力に起因する、無意識による尿漏れである。米国泌尿器科学会は、3人に1人の女性が、その寿命のある時点において、SUIを経験するであろうと推定している。腹圧性失禁、切迫性失禁、および混合失禁を含む、いくつかのタイプの尿失禁がある。全て、主に、結合組織の弛緩または膣もしくは支持靭帯の損傷に起因する。An Integral Theory and Its Method for the Diagnosis and Management of Female Urinary Incontinence,Petros PE,Ulmsten UI,Scand J Urol Nephrol Suppl,1993,153,1−93(参照することによって組み込まれる)を参照されたい。
図1は、子宮10、子宮頸部12、膀胱14、尿道16、膣18、および直腸20を図示する、正常な生体構造を伴う、女性の骨盤領域の断面である。
図2は、膀胱14にかかる腹圧または圧力24によって生じる尿失禁(すなわち、尿漏れ)22を図示する。無意識による尿漏れは、多くの場合、咳をする、笑う、くしゃみをする、物を持ち上げる、または運動する等の活動の際に生じる。
【0006】
膀胱、膣、および肛門直腸を含む、全3つの骨盤臓器を包含する、一体型の系の3つのゾーンへの結合組織損傷が、骨盤臓器脱(POP)およびこれらの臓器における機能不全の最終的原因である。
図3は、膀胱脱26を伴う、女性の骨盤領域の断面である。
図4は、直腸脱28を伴う、女性の骨盤領域の断面である。
図5は、子宮脱30を伴う、女性の骨盤領域の断面である。POPは、一般に、出産に起因するが、また、単に、遺伝および加齢プロセスによっても生じ得る。
【0007】
したがって、女性の失禁、POP、または失禁およびPOPの両方を管理、改善、もしくは排除する、ペッサリまたは他の膣挿入デバイスの必要がある。さらに、処方箋を要求せず、非吸収性であって、店頭で購入可能であって、便宜的であって、快適であって、かつ患者にとって挿入および除去することが容易であって、医師の介入を全く伴わない、または最小限に伴う、そのようなペッサリもしくは他の膣挿入デバイスの必要がある。好ましくは、そのような膣挿入デバイスはまた、再使用可能であろうが、また、使い捨てであることもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要約)
本開示の教示によると、先行技術のペッサリと関連付けられた不利点および問題が、実質的に低減または排除され得る。
【0009】
本開示の実施形態によると、骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するための膣挿入デバイスは、弾性かつ非吸収性の材料から作製され、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有する、上側部分を含むことができ、上側部分の円周は、上側開放端から下側端へと減少し、上側部分の上側開放端は、挿入の間、膣挿入デバイスの最内部分であり、上側部分の壁は、膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、上側部分をよりコンパクトにするように圧搾されることができ、壁は、挿入後、その元の形状に戻るように拡張する。そのような膣挿入デバイスはさらに、上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、上側開放端に隣接する、外部リムと、上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、上側開放端から下側端まで離間される、複数の隆起とを含むことができる。
【0010】
本開示のこれらおよび他の実施形態によると、膣挿入デバイスは、上側部分の下側端から延在する、除去部分を含むことができ、除去部分は、膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、膣の外部からアクセスされることができ、除去部分は、膣からの膣挿入デバイスの除去を補助する。除去部分は、ストリングまたはステムを備えることができる。除去部分がステムである実施形態では、ステムは、上側部分の下側端から延在することができ、上側部分およびステムは、弾性かつ非吸収性の材料から作製される、一体型の1部品から成るデバイスを備え、ステムは、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、壁、上側端、下側開放端、および中空内部を有し、ステムの円周は、上側端から下側開放端へと増加する。除去部分はまた、上側部分と同様に、複数の隆起を有することができる。
【0011】
本開示のこれらおよび他の実施形態によると、膣挿入デバイスは、1つ以上の換気開口部を含むことができる。換気孔は、上側部分の下側端とステムが交差する点に位置することができる。1つ以上の換気開口部はまた、上側部分上の壁内に位置することができる。
【0012】
本開示のこれらおよび他の実施形態によると、膣挿入デバイスは、円形であり、第1の区分および第2の区分を有する、外部リムを含むことができ、第1の区分は、第2の区分を上回る距離を上側部分の壁の外部側から突出する。
【0013】
本開示のこれらおよび他の実施形態によると、膣挿入デバイスは、デバイスの挿入の際に使用されるアプリケータを含むことができ、アプリケータは、よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも上側部分を含有することができ、アプリケータは、デバイスの挿入を補助する。
【0014】
本開示の医療上および他の利点は、本明細書に含まれる図、説明、および請求項から、容易に当業者に明白となり得る。実施形態の目的および利点は、特に、請求項に指摘される、少なくとも要素、特徴、ならびに組み合わせによって、実現および達成されるであろう。
【0015】
前述の概要および以下の発明を実施するための形態は両方とも、実施例ならびに説明であって、本開示に記載される請求項における制限ではないことを理解されたい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するための膣挿入デバイスであって、
弾性かつ非吸収性の材料から作製され、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有する、上側部分であって、前記上側部分の円周は、前記上側開放端から前記下側端へと減少し、前記上側部分の上側開放端は、挿入の間、前記膣挿入デバイスの最内部分であり、前記上側部分の壁は、前記膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、前記上側部分をよりコンパクトにするように圧搾されることができ、前記壁は、挿入後、その元の形状に戻るように拡張する、上側部分と、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、前記上側開放端に隣接する、外部リムと、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、前記上側開放端から前記下側端まで離間されている、複数の隆起であって、前記上側部分は、前記デバイスが挿入されると、前記リムおよび前記複数の隆起を用いて、前記膣挿入デバイスをしっかりと定位置に保持することにより、圧力を尿道括約筋にかけ、または骨盤臓器を支持し、または圧力を前記尿道括約筋にかけることと、骨盤臓器を支持することとの両方を行う、複数の隆起と、
前記上側部分の下側端から延在する除去部分であって、前記除去部分は、前記膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、前記膣の外部からアクセスされることができ、前記除去部分は、前記膣挿入デバイスの除去を補助する、除去部分と
を備える、膣挿入デバイス。
(項目2)
前記材料は、生体適合性エラストマである、項目1に記載の膣挿入デバイス。
(項目3)
前記材料は、シリコーンエラストマである、項目2に記載の膣挿入デバイス。
(項目4)
前記除去部分は、前記上側部分に取り付けられたストリングである、項目1に記載の膣挿入デバイス。
(項目5)
前記除去部分は、前記上側部分に取り付けられたステムである、項目1に記載の膣挿入デバイス。
(項目6)
前記上側部分および前記ステムは、前記弾性かつ非吸収性の材料から作製されている、一体型の1部品から成るデバイスを構成する、項目5に記載の膣挿入デバイス。
(項目7)
少なくとも1つの換気開口部を前記壁または前記上側部分の下側端内にさらに備える、項目1に記載の膣挿入デバイス。
(項目8)
骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するための膣挿入デバイスであって、
弾性かつ非吸収性の材料から作製され、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有する、上側部分であって、前記上側部分の円周は、前記上側開放端から前記下側端へと減少し、前記上側部分の上側開放端は、挿入の間、前記膣挿入デバイスの最内部分であり、前記上側部分の壁は、前記膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、前記上側部分をよりコンパクトにするように圧搾されることができ、前記壁は、挿入後、その元の形状に戻るように拡張する、上側部分と、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、前記上側開放端に隣接する、外部円形リムと、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、前記上側開放端から前記下側端まで離間されている、複数の隆起であって、前記上側部分は、前記デバイスが挿入されると、前記円形リムおよび前記複数の隆起を用いて、前記膣挿入デバイスをしっかりと定位置に保持することにより、圧力を尿道括約筋にかけ、または骨盤臓器を支持し、または圧力を前記尿道括約筋にかけることと、骨盤臓器を支持することとの両方を行う、複数の隆起と、
前記上側部分の下側端から延在するステムであって、前記上側部分および前記ステムは、前記弾性かつ非吸収性の材料から作製されている、一体型の1部品から成るデバイスを構成し、前記ステムは、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、壁、上側端、下側開放端、および中空内部を有し、前記ステムの円周は、前記上側端から前記下側開放端へと増加し、除去部分は、前記膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、前記膣の外部からアクセスされることができ、前記ステムは、前記膣挿入デバイスの除去を補助する、ステムと
を備える、膣挿入デバイス。
(項目9)
前記材料は、生体適合性エラストマである、項目8に記載の膣挿入デバイス。
(項目10)
前記材料は、シリコーンエラストマである、項目9に記載の膣挿入デバイス。
(項目11)
少なくとも1つの換気開口部を前記上側部分の壁内にさらに備える、項目8に記載の膣挿入デバイス。
(項目12)
前記上側部分の下側端と前記ステムが交差する点に位置する、換気開口部をさらに備える、項目8に記載の膣挿入デバイス。
(項目13)
骨盤臓器脱、尿失禁、または骨盤臓器脱および尿失禁の両方と関連付けられた症状を改善する際に使用するための膣挿入デバイスであって、
弾性、非吸収性、かつ生体適合性のシリコーンエラストマ材料から作製され、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側と外部側とを伴う壁、上側開放端、下側端、および中空内部を有する、上側部分であって、前記上側部分の円周は、前記上側開放端から前記下側端へと減少し、前記上側部分の上側開放端は、挿入の間、前記膣挿入デバイスの最内部分であり、前記上側部分の壁は、前記膣挿入デバイスのより容易な挿入のために、前記上側部分をよりコンパクトな形状にするように圧搾されることができ、前記壁は、挿入後、その元の形状に戻るように拡張する、上側部分と、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、前記上側開放端に隣接する、外部円形リムと、
前記上側部分の壁の外部側を囲繞し、そこから突出し、前記上側開放端から前記下側端まで離間されている、複数の隆起であって、前記上側部分は、前記デバイスが挿入されると、前記円形リムおよび前記複数の隆起を用いて、前記膣挿入デバイスをしっかりと定位置に保持することにより、圧力を尿道括約筋にかけ、または骨盤臓器を支持し、または圧力を前記尿道括約筋にかけることと、骨盤臓器を支持することとの両方を行う、複数の隆起と、
前記上側部分の下側端から延在するステムであって、前記上側部分および前記ステムは、前記シリコーンから作製されている、一体型の1部品から成るデバイスを構成し、前記ステムは、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、壁、上側端、下側開放端、および中空内部を有し、前記ステムの円周は、前記上側端から前記下側開放端へと増加し、除去部分は、前記膣挿入デバイスが膣内に挿入されると、前記膣の外部からアクセスされることができ、前記ステムは、前記膣挿入デバイスの除去を補助する、ステムと、
前記上側部分の下側端と前記ステムが交差する点に位置する、換気開口部と
を備える、膣挿入デバイス。
(項目14)
少なくとも1つの換気開口部を前記上側部分の壁内にさらに備える、項目13に記載の膣挿入デバイス。
(項目15)
前記上側部分の上側開放端の円周は、前記ステムの下側開放端の円周を上回る、項目13に記載の膣挿入デバイス。
(項目16)
少なくとも1つの換気開口部を前記上側部分の壁内にさらに備える、項目15に記載の膣挿入デバイス。
(項目17)
前記デバイスの挿入の際に使用されるアプリケータをさらに備え、前記アプリケータは、前記よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも前記上側部分を格納することができ、前記アプリケータは、前記デバイスの挿入を補助する、項目13に記載の膣挿入デバイス。
(項目18)
前記デバイスの挿入の際に使用されるアプリケータをさらに備え、前記アプリケータは、前記よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも前記上側部分を格納することができ、前記アプリケータは、前記デバイスの挿入を補助する、項目1に記載の膣挿入デバイス。
(項目19)
前記デバイスの挿入の際に使用されるアプリケータをさらに備え、前記アプリケータは、前記よりコンパクトな形状にあるとき、少なくとも前記上側部分を格納することができ、前記アプリケータは、前記デバイスの挿入を補助する、項目8に記載の膣挿入デバイス。
(項目20)
前記外部リムは、円形であり、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第2の区分を上回る距離を前記上側部分の壁の外部側から突出する、項目1に記載の膣挿入デバイス。
(項目21)
前記外部円形リムは、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第2の区分を上回る距離を前記上側部分の壁の外部側から突出する、項目8に記載の膣挿入デバイス。
(項目22)
前記外部円形リムは、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第2の区分を上回る距離を前記上側部分の壁の外部側から突出する、項目13に記載の膣挿入デバイス。
【0016】
本実施形態およびその利点のより完全な理解は、同様の参照番号が同様の特徴を示す、付随の図面と関連して検討される以下の説明を参照することによって得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1−5はそれぞれ、本開示の背景について議論する目的のために、女性の骨盤領域の断面を図示する。
【
図2】
図1−5はそれぞれ、本開示の背景について議論する目的のために、女性の骨盤領域の断面を図示する。
【
図3】
図1−5はそれぞれ、本開示の背景について議論する目的のために、女性の骨盤領域の断面を図示する。
【
図4】
図1−5はそれぞれ、本開示の背景について議論する目的のために、女性の骨盤領域の断面を図示する。
【
図5】
図1−5はそれぞれ、本開示の背景について議論する目的のために、女性の骨盤領域の断面を図示する。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態による、例示的膣挿入デバイスの側面図を図示する。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態による、別の例示的膣挿入デバイスの側面図を図示する。
【
図8】
図8は、切断線A−Aを横断する
図6Aの膣挿入デバイスの断面図である。
【
図11】
図11−13はそれぞれ、女性の骨盤領域ならびに膣内に挿入される膣挿入デバイスの実施形態の断面を図示する。
【
図12】
図11−13はそれぞれ、女性の骨盤領域ならびに膣内に挿入される膣挿入デバイスの実施形態の断面を図示する。
【
図13】
図11−13はそれぞれ、女性の骨盤領域ならびに膣内に挿入される膣挿入デバイスの実施形態の断面を図示する。
【
図14】
図14Aおよび14Bは、膣挿入デバイスの実施形態を患者の膣の中に挿入するための方法を図示する。
【
図15】
図15Aは、ペッサリアプリケータの側面図を図示する。
図15B−15Cは、
図15Aのペッサリアプリケータの断面と、膣挿入デバイスの実施形態を患者の膣の中に挿入するためのその使用方法とを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
好ましい実施形態およびその利点は、同様の番号が同様のならびに対応する部品または区分を示すために使用される、
図6Aから15Cを参照することによって最良に理解される。
【0019】
本発明の膣挿入デバイスは、女性の尿失禁、骨盤臓器脱(POP)、またはPOPおよび尿失禁の両方を管理、改善、または排除する。これは、処方箋を要求せず、埋込不能であって、非吸収性であって、店頭で購入可能であって、便宜的であって、可撓性であって、快適であって、かつ患者にとって挿入および除去が容易であって、医師介入を全く伴わない、または最小限に伴う。好ましくは、そのような膣挿入デバイスはまた、再使用可能であろうが、また、使い捨てであることもできる。これは、異臭を発し、細菌を繁殖させ得る、吸収性要素から成らないことによって、トキシックショック症候群(TSS)の懸念を排除する。本発明のデバイスは、弾性かつ非吸収性の材料、好ましくは、医療グレードシリコーン等の生体適合性エラストマを用いて、成形プロセス等によって加工される。本発明において使用するために好適なシリコーン材料の実施例は、液体シリコーンゴムとして特徴付けられる、NuSil TechnologyのMED−4950製品である。
【0020】
本発明の膣挿入デバイスは、挿入されると、膣内の定位置にしっかりと保持されるように成形され、かつ圧力を尿道括約筋にかけ、骨盤臓器を支持するように成形される。本発明の膣挿入デバイスの1つの例示的使用は、18歳を過ぎた患者の咳をする、笑う、くしゃみをする、物を持ち上げる、および運動する等の活動の際の腹圧性尿失禁(SUI)ならびに無意識による尿漏れの管理のためのものである。デバイスは、典型的には、その快適性レベルに応じて、最大約12時間またはそれを上回って、成人女性によって挿入されるであろうことが予期される。
【0021】
図6Aは、本開示の実施形態による、例示的膣挿入デバイス40の側面図を図示する。
図6Aの膣挿入デバイス40は、上側部分42と、下側ステム状除去部分44とを備える。さらに図示および以下により詳細に説明されるように、上側部分42は、リム46と、好ましくは、上側部分の上部から上側部分の下側端まで離間される、隆起48とを含む。隆起48は、ランダムまたは均一に離間されることができる。除去部分もまた、上側部分と同様に、除去部分の上部から除去部分の下側端まで離間される、隆起48を有することができる。
【0022】
図6Bは、本開示の実施形態による、別の例示的膣挿入デバイス40の側面図を図示する。本実施形態では、デバイス40は、
図6Aに示される実施形態と同一であるが、除去部分44は、タンポンを除去する際に使用されるようなストリング、コード、またはリボン(集合的に、「ストリング」と称される)である。
【0023】
図7は、
図6Aの膣挿入デバイス40の斜視図を図示する。
図7に示されるように、上側部分42は、円錐形状の本体を有し、その長さ全体を通して円形横断面を有し、内部側50と外部側52を伴う壁49、上側開放端54、下側端56、および中空内部58を有し、上側部分の円周は、上側開放端から下側端へと減少する。図示されるように、リム46は、好ましくは、円形であり、壁の外部側52を囲繞し、そこから突出し、上側開放端54に隣接する。隆起48は、好ましくは、壁49の外部側52を囲繞する、円形リングである。さらに図示されるように、ステムまたは除去部分44は、上側部分42の下側端56から延在する。上側部分42およびステム44は、一体型の1部品から成るデバイスとして加工されることができる。
図7はまた、ステム44が円錐形状の本体を有することができることを図示する。
【0024】
図8は、切断線A−Aを横断する
図6Aの膣挿入デバイス40の断面図である。
図8に示されるように、ステム44は、その長さ全体を通して円形横断面を有し、壁60、上側端62、下側開放端64、および中空内部66を有することができ、ステムの円周は、上側端から下側開放端へと増加する。図示されるように、隆起48は、壁49の外部側52から突出する。
【0025】
図8はさらに、換気開口部68を含む、膣挿入デバイス40の実施形態を図示する。換気開口部は、換気孔、スクリーン、またはメッシュ、もしくは開口部を伴う任意の他の構成要素を含むことができる。当業者によって理解されるであろうように、膣挿入デバイス40は、上側部分42の壁49内等の換気開口部68以外またはそれに加えた場所にも、複数の換気開口部を含むことができる。1つ以上の換気開口部は、挿入されると、膣挿入デバイスを患者にとってより快適にするように意図される。1つ以上の開口部はまた、膣挿入デバイス40が挿入されると、膣18の内側と外側との間の空気圧を均衡化し得る。しかしながら、換気開口部を有することは、膣挿入デバイスが快適、有用、かつ効果的であるために要求されない。
【0026】
図8は、リム46が、第1の区分70と、第2の区分72とを有する実施形態に関する、さらなる詳細を図示し、両方とも、壁49の外部側52から突出し、第1の区分は、第2の区分の距離を上回って突出する。当業者は、リム46が第1の区分70のみを備える、実施形態、またはリム46が1つのみの区分を備えるが、第1の区分70を上回る高さを有し、リムの上部からリムの底部まで同一距離で壁の外部側52から突出する、別の実施形態を含む、リム46の複数の代替実施形態が可能性として考えられることを理解するであろう。別の実施形態では、リム46は、壁49の外部側52を囲繞し、上側開放端54に隣接し、壁の外部側から突出する区分と、突出しない区分とを備える。
【0027】
図7および8を参照すると、用語「隆起」は、広義に定義されることが意図される。故に、隆起48は、
図7および8に図示される実施形態を含むことができ、隆起48は、好ましくは、壁49の外部側を囲繞する円形リングである、突出部である。しかしながら、「隆起」はまた、複数のスタッドまたはノブ等の壁49の外部側52から延在する、任意の突出部を含むことができる。
【0028】
当業者は、膣挿入デバイス40が、異なる生体構造を伴う成人女性に適応するための異なるサイズを含む、異なるサイズをとることができることを理解するであろう。さらに、当業者は、デバイス40の種々の区分および部分の寸法が、本明細書に図示ならびに開示される複数の実施形態から修正されることができることを理解するであろう。例えば、
図8を参照すると、デバイス40の全高74、上側部分42の上側開放端54の直径76、およびデバイス40の上側部分42の壁49の厚さは、デバイスの意図される有用性、有効性、および他の利点を留保または改良しながら、修正されることができる。
図8を参照した寸法の以下の非排他的リストは、大部分の女性に好適であると考えられ、デバイスの意図される有用性、有効性、および他の利点を提供する、デバイス40の非限定的実施例である。例えば、デバイス40の好適な全高は、約58.0〜67.0ミリメートル(mm)の範囲内であると推定され、好適な外径76は、約38.0〜44.0mmの範囲内であると推定される。ステム44の好適な高さは、約13.0〜15.0mmの範囲内であると推定される。リム46の下方の上側部分42の隆起48を伴わない区分内の壁49の好適な厚さは、約2.0mmであると推定される一方、隆起を伴う区分内の壁49の好適な厚さは、約2.5mmであると推定される。ステム44の壁60は、隆起48を伴わない区分内に約1.25mmの好適な厚さを有すると推定された。リム46の好適な高さは、約15.0mmであると推定され、第1の区分70の好適な高さは、約5.0mmであると推定され、第2の区分72の好適な高さは、約10.0mmであると推定される。第1の区分70の好適な厚さは、約6.0mmであると推定され、第2の区分72は、約4.0mmであると推定される。下側開放端64の好適な外径82は、約10.5mmであると推定される。換気開口部68の好適な直径は、約2.0mmであると推定される。
【0029】
図9は、換気開口部68を有する実施形態のための
図6Aの膣挿入デバイス40の底面図である。
図10は、換気開口部68を有する実施形態のための
図6Aの膣挿入デバイス40の上面図である。
【0030】
図11は、膣18内に挿入され、圧力を尿道括約筋16に印加し、女性の尿失禁を管理、改善、または排除する、膣挿入デバイス40の実施形態を図示する、女性の骨盤領域の断面である。
図12および13はそれぞれ、膣18内に挿入され、圧力を尿道括約筋16に印加し、女性の尿失禁を管理、改善、または排除することに加え、POPを管理、改善、または排除する、膣挿入デバイス40の実施形態を図示する、女性の骨盤領域の断面である。特に、
図12では、膣挿入デバイス40は、膣18内に挿入され、膀胱脱26を管理、改善、または排除する。特に、
図13では、膣挿入デバイス40は、膣18内に挿入され、子宮脱30を管理、改善、または排除する。
図11−13に図示されるように、上側部分42の上側開放端54は、挿入の間、膣挿入デバイス40の最内部分である。
図11−13にさらに図示されるように、膣挿入デバイス40の実施形態の除去部分またはステム44は、膣挿入デバイスが挿入されるとき、膣18の外部からアクセスされ、膣挿入デバイスの除去を補助することができる。ステム44上の隆起48は、患者によるデバイス40の除去のためのより良好な把持を提供する。
【0031】
図14Aおよび14Bは、膣挿入デバイス40を膣18の中に快適に挿入するための方法を図示する。
図14Aに図示されるように、患者は、膣挿入デバイス40のより容易な挿入のために、上側部分の壁49を手動で圧搾し、上側部分をよりコンパクトにすることができる。
図14Bに図示されるように、いったん膣挿入デバイス40が、膣18の中に手動で挿入されると、壁49は、その元の形状に戻るように拡張する。
【0032】
図15Aは、膣挿入デバイス40を患者の膣18の中に挿入する際に補助するために使用され得る、ペッサリアプリケータ84の側面図を図示する。ペッサリアプリケータ84は、挿入部材86と、挿入部材の上部部分90と、プランジャ88とを備える。ペッサリアプリケータ84は、概して、タンポンアプリケータに類似する。しかしながら、挿入部材86は、コンパクト化されると、概して、タンポンの円周より大きい形状を有する、膣挿入デバイス40に適応するために、概して、タンポンアプリケータを上回る円周を有するであろう。
図15B−15Cは、
図15Aのペッサリアプリケータ84の断面と、アプリケータを使用して、膣挿入デバイス40を患者の膣18の中に快適に挿入する方法とを図示する。図示されるように、膣挿入デバイス40は、コンパクト化された形状において挿入部材86の内側に格納される。アプリケータを使用した膣の中へのタンポンの挿入プロセスと同様に、アプリケータ84の挿入部材86が、患者の膣18の中に挿入され、プランジャ88が、挿入部材に向かって押動され、膣挿入デバイス40を上部部分90を通して吐出する。アプリケータ84は、次いで、膣18から除去され、膣挿入デバイス40は、膣内の定位置に留まり、その通常の形状に戻るように拡張される。挿入された膣挿入デバイス40は、
図11に図示されるように位置付けられる。
【0033】
本開示は、当業者が理解するであろう、本明細書における例示的実施形態に対するあらゆる変更、代用、変形例、改変、および修正を包含する。同様に、必要に応じて、添付の請求項も、当業者が理解するであろう、本明細書における例示的実施形態に対するあらゆる変更、代用、変形例、改変、および修正を包含する。さらに、添付の請求項における、装置、デバイス、またはシステム、もしくは装置、デバイス、またはシステムの構成要素、区分、または部分が、特定の機能を行うように適合される、そのように配列される、それが可能である、そのように構成される、そのように可能にされる、そのように動作可能である、またはそのように動作するというような言及は、装置、デバイス、システム、または構成要素が、それまたはその特定の機能にかかわらず、その装置、システム、デバイス、または構成要素が、そのように適合される、そのように配列される、それが可能である、そのように構成される、そのように可能にされる、そのように動作可能である、またはそのように動作する限り、使用される、アクティブ化される、オンにされる、またはロック解除されることを包含する。
【0034】
本明細書に列挙される全ての実施例および条件付き用語は、読者が本発明者によって当技術分野に寄与された本開示および概念を理解する補助のための教育目的のために意図され、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されるものとして解釈されない。本開示の実施形態が、詳細に説明されたが、種々の変化、代用、および改変が、本開示の精神ならびに範囲から逸脱することなく、本明細書に成され得ることを理解されたい。