特許第6872551号(P6872551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872551
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】無線送信機の位置の決定
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20210510BHJP
   G01S 5/12 20060101ALI20210510BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   G01S5/02 Z
   G01S5/12
   G01R29/08 B
【請求項の数】24
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-530898(P2018-530898)
(86)(22)【出願日】2017年2月16日
(65)【公表番号】特表2019-513220(P2019-513220A)
(43)【公表日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】US2017018043
(87)【国際公開番号】WO2017172092
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】15/082,612
(32)【優先日】2016年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウルティア、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】リー、グァンファ
(72)【発明者】
【氏名】イン、ジュン
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−040721(JP,A)
【文献】 特開2006−287711(JP,A)
【文献】 特開2011−033583(JP,A)
【文献】 特開平11−326482(JP,A)
【文献】 特開2011−223486(JP,A)
【文献】 特開2012−100153(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/090115(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0062777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00 − 3/74
G01S 5/00 − 5/14
G01R 29/08
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測領域(106)内に位置する対応する複数の受信機(110,110a〜110n)(110)からの複数の受信機信号(104)をデータ処理ハードウェア(122)において受信するステップであって、前記複数の受信機信号(104)のうちの少なくとも1つは、前記観測領域(106)内に位置を有する不正送信機(102,102a〜102n)から送信される不正信号(104)に対応する、ステップと、
各受信機(110,110a〜110n)について、対応する少なくとも1つの受信機信号(104)と1つまたは複数の伝搬経路損失関数とに基づき受信機(110,110a〜110n)の周りの送信機位置輪郭(600,600a,600b)を決定することであって、各伝搬経路損失関数は、前記観測領域(106)に対応する地形情報に基づいており、前記送信機位置輪郭(600,600a,600n)は、前記受信機(110,110a〜110n)に対する前記不正送信機の候補位置の集合を定義しており、各送信機位置輪郭(600,600a,600b)は、前記受信機(110,110a〜110n)の周りの送信機位置候補の集合に沿った外接経路を画定するものである、送信機位置輪郭(600,600a,600b)を決定すること、
前記複数の受信機(110,110a〜110n)の送信機位置輪郭(600,600a〜600n)の1つまたは複数の交点を特定すること、
最大数の送信機位置輪郭が交点を形成する位置を前記不正送信機(102,102a〜102n)の推定位置として特定するこ
により前記不正送信機(102,102a〜102n)の位置を前記データ処理ハードウェア(122)が推定するステップと、
前記データ処理ハードウェア(122)と通信するリモートシステム(120)に前記不正送信機(102,102a〜102n)の推定位置を報告するステップとを含む方法(500)。
【請求項2】
対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭(600,600a〜600b)は、対応する受信機信号(104)の受信電力の大きさに基づいている、請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
少なくとも1つの不正信号(104)は、対応する受信機(110,110a〜110n)により第1の時間に受信され、前記対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭(600,600a,600n)は前記第1の時間に基づいている、請求項1または2に記載の方法(500)。
【請求項4】
少なくとも1つの不正信号(104)は、対応する受信機(110,110a〜110n)により基準方向に対してある角度で受信され、前記対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭(600,600a,600b)は前記角度に基づいている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項5】
各伝搬経路損失関数はP−g(x)≦Rに従い、ここで、g(x)は伝搬経路損失関数であり、Pは前記不正信号(104)の送信電力の大きさであり、xは前記候補位置の集合のうちの1つの候補位置であり、Rは対応する受信機信号(104)の受信電力の大きさである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項6】
対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの送信機位置輪郭(600,600a,600b)の決定は、各受信機(110,110a〜110n)について、(i)前記受信機(110,110a〜110n)の位置と(ii)前記不正送信機(102,102a〜102n)の複数の推測位置とに基づき伝搬損失関数(1000)から複数の伝搬損失値を決定することを含む、請求項5に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記方法は、前記複数の伝搬損失値を有する伝搬損失行列(A)を作成するステップをさらに含み、前記複数の伝搬損失値のうちの第1の伝搬損失値は、前記不正送信機(102,102a〜102n)の複数の推測位置のうちの第1の推測位置に対応し、前記複数の伝搬損失値のうちの第2の伝搬損失値は、前記不正送信機(102,102a〜102n)の複数の推測位置のうちの第2の推測位置に対応する、請求項6に記載の方法(500)。
【請求項8】
順序付けられた伝搬損失行列(A)のj番目のエントリは、
【数1】
に従い、
【数2】
は、前記第1および第2の伝搬損失値のうちの小さい方である、請求項7に記載の方法(500)。
【請求項9】
ビーム形成を使用して前記不正送信機(102,102a〜102n)の前記推定位置に向かって前記複数の受信機(110,110a〜110n)を移動させるステップをさらに含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項10】
前記地形情報は、前記観測領域(106)内の植生、建物、および地上の隆起のうちの少なくとも1つの位置を含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項11】
前記複数の受信機信号(104)のうちの第1の受信機信号は第1の送信プロトコルを使用して送信され、前記複数の受信機信号(104)のうちの第2の受信機信号は前記第1の送信プロトコルとは異なる第2の送信プロトコルを使用して送信される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項12】
前記第1の送信プロトコルはWiFiであり、前記第2の送信プロトコルはLTEである、請求項11に記載の方法(500)。
【請求項13】
データ処理ハードウェア(122)と、
前記データ処理ハードウェア(122)と通信するメモリハードウェア(124)と
を備えるシステムであって、前記メモリハードウェア(124)は命令を格納しており、前記命令は、前記データ処理ハードウェア(122)上で実行されたときに、
観測領域(106)内に位置してかつ前記データ処理ハードウェア(122)と通信する対応する複数の受信機(110,110a〜110n)からの複数の受信機信号(104)を受信するステップであって、各受信機信号(104)は、対応する受信電力レベル(R)を有し、かつ前記観測領域(106)内に位置する不正送信機(102,102a〜102n)から送信される不正信号(104)に対応する、ステップと、
各受信機(110,110a〜110n)について、対応する受信機信号(104)の受信電力レベル(R)と1つまたは複数の伝搬経路損失関数とに基づき受信機(110,110a〜110n)の周りの送信機位置輪郭(600,600a,600b)を決定することであって、各伝搬経路損失関数は、前記観測領域(106)に対応する地形情報に基づいており、前記送信機位置輪郭(600,600a,600n)は、前記受信機(110,110a〜110n)に対する前記不正送信機の候補位置の集合を定義しており、各送信機位置輪郭(600,600a,600b)は、前記受信機(110,110a〜110n)の周りの送信機位置候補の集合に沿った外接経路を画定するものである、送信機位置輪郭(600,600a,600b)を決定すること、
前記複数の受信機(110,110a〜110n)の送信機位置輪郭(600,600a〜600n)の1つまたは複数の交点を特定すること、
最大数の送信機位置輪郭が交点を形成する位置を前記不正送信機(102,102a〜102n)の推定位置として特定するこ
により前記不正送信機(102,102a〜102n)の位置を決定するステップと、
前記データ処理ハードウェア(122)と通信するリモートシステム(120)に前記不正送信機(102,102a〜102n)の推定位置を報告するステップとを含む処理を前記データ処理ハードウェア(122)に実行させる、システム。
【請求項14】
対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭(600,600a〜600b)は、対応する受信機信号(104)の受信電力の大きさに基づいている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの不正信号(104)は、対応する受信機(110,110a〜110n)により第1の時間に受信され、前記対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭(600,600a,600n)は前記第1の時間に基づいている、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの不正信号(104)は、対応する受信機(110,110a〜110n)により基準方向に対してある角度で受信され、前記対応する受信機(110,110a〜110n)の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭(600,600a,600b)は前記角度に基づいている、請求項13乃至15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
各伝搬経路損失関数はP−g(x)≦Rに従い、ここで、g(x)は伝搬経路損失関数であり、Pは前記不正信号(104)の送信電力の大きさであり、xは前記候補位置の集合のうちの1つの候補位置であり、Rは対応する受信機信号(104)の受信電力の大きさである、請求項13乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記データ処理ハードウェア(122)は、各受信機(110,110a〜110n)について、(i)前記受信機(110,110a〜110n)の位置と(ii)前記不正送信機(102,102a〜102n)の複数の推測位置とに基づき伝搬損失関数(1000)から複数の伝搬損失値を決定するように構成された送信機位置ソルバ(202)を備える、請求項13乃至17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、前記複数の伝搬損失値を有する伝搬損失行列(A)を作成するように構成された伝搬行列ビルダ(212)をさらに備え、前記複数の伝搬損失値のうちの第1の伝搬損失値は、前記不正送信機(102,102a〜102n)の複数の推測位置のうちの第1の推測位置に対応し、前記複数の伝搬損失値のうちの第2の伝搬損失値は、前記不正送信機(102,102a〜102n)の複数の推測位置のうちの第2の推測位置に対応する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
順序付けられた伝搬損失行列(A)のj番目のエントリは、
【数3】
に従い、
【数4】
は、前記第1および第2の伝搬損失値のうちの小さい方である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記データ処理ハードウェア(122)は、ビーム形成を使用して前記不正送信機(102,102a〜102n)の前記推定位置に向かって前記複数の受信機(110,110a〜110n)を移動させる、請求項13乃至20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記地形情報は、前記観測領域(106)内の植生、建物、および地上の隆起のうちの少なくとも1つの位置を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の受信機信号(104)のうちの第1の受信機信号は第1の送信プロトコルを使用して送信され、前記複数の受信機信号(104)のうちの第2の受信機信号は前記第1の送信プロトコルとは異なる第2の送信プロトコルを使用して送信される、請求項13乃至22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の送信プロトコルはWiFiであり、前記第2の送信プロトコルはLTEである、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つまたは複数のセンサを使用して無線送信機の位置を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信は一般に、2つ以上のエンティティすなわち装置が送信機および受信機などの技術を使用して情報を交換(すなわち、通信)する場合である。有線媒体(例えば、信号ケーブル)を介して電磁波の形態で、または無線媒体(例えば、スペクトル)を介して電磁波の形態で、またはその2つの組み合わせで情報を送信するのにチャネルが使用される。通信ネットワークは一般に、送信機と、受信機と、送信機から受信機に信号を送信する通信チャネルとを含む。デジタル通信ネットワークは、メッセージを正しい受信機(例えば、ユーザ)にルーティングするルータを含み得る。アナログ通信ネットワークはまた、2人のユーザの間の接続を形成するスイッチを含み得る。デジタル通信ネットワークおよびアナログ通信ネットワークの両方は、長距離に亘って送信される信号を増幅または再生するために使用される中継器を含み得る。中継器は通常、信号が送信される際に受ける減衰(例えば、電力損失)を抑制するために使用される。
【発明の概要】
【0003】
本開示の1つの態様は、無線送信機の位置を決定するための方法を提供する。その方法は、観測領域内に位置する対応する複数の受信機からの複数の受信機信号をデータ処理ハードウェアにおいて受信するステップと、データ処理ハードウェアが不正送信機の位置を推定するステップと、データ処理ハードウェアと通信するリモートシステムに不正送信機の推定位置を報告するステップとを含む。複数の受信機信号のうちの少なくとも1つのは、観測領域内に位置を有する不正送信機から送信される不正信号に対応する。不正送信機の位置の推定は、各受信機について、対応する少なくとも1つの受信機信号と1つまたは複数の伝搬経路損失関数とに基づき受信機の周りの送信機位置輪郭を決定することと、複数の受信機の送信機位置輪郭の交点を不正送信機の推定位置として特定することとを含む。各伝搬経路損失関数は、観測領域に対応する地形情報に基づいている。送信機位置輪郭は、受信機に対する不正送信機の候補位置の集合を定義している。
【0004】
本開示の実施形態は、1つまたは複数の以下の任意選択的な特徴を含む。いくつかの実施形態において、対応する受信機の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭は、対応する受信機信号の受信電力の大きさに基づいている。少なくとも1つの不正信号は、対応する受信機により第1の時間に受信されてもよく、対応する受信機の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭は第1の時間に基づいていてもよい。少なくとも1つの不正信号は、対応する受信機により基準方向に対してある角度で受信され、対応する受信機の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭はその角度に基づいていてもよい。
【0005】
いくつかの例において、対応する受信機の周りの送信機位置輪郭の決定は、各受信機について、(i)受信機の位置と(ii)不正送信機の複数の推測位置とに基づき伝搬損失関数から複数の伝搬損失値を決定することを含み得る。前記方法は、複数の伝搬損失値を有する伝搬損失行列を作成するステップをまた含んでもよく、複数の伝搬損失値のうちの第1の伝搬損失値は、不正送信機の複数の推測位置のうちの第1の推測位置に対応し、複数の伝搬損失値のうちの第2の伝搬損失値は、不正送信機の複数の推測位置のうちの第2の推測位置に対応する。
【0006】
前記方法は、ビーム形成を使用して不正送信機の推定位置に向かって複数の受信機を移動させるステップをさらに含み得る。地形情報は、観測領域内の植生、建物、および地上の隆起のうちの少なくとも1つの位置を含み得る。複数の受信機信号のうちの第1の受信機信号は第1の送信プロトコルを使用して送信され、複数の受信機信号のうちの第2の受信機信号は第1の送信プロトコルとは異なる第2の送信プロトコルを使用して送信され得る。いくつかの例において、第1の送信プロトコルはWiFiであり、第2の送信プロトコルはLTEである。各送信機位置輪郭は、受信機の周りの送信機位置候補の集合に沿った外接経路を画定し得る。
【0007】
本開示の別の態様は、無線送信機の位置を決定するためのシステムを提供する。そのシステムは、データ処理ハードウェアと、データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを備える。メモリハードウェアは、命令を格納しており、その命令は、データ処理ハードウェア上で実行されたときにデータ処理ハードウェアに処理を実行させる。その処理は、観測領域内に位置してかつデータ処理ハードウェアと通信する対応する複数の受信機からの複数の受信機信号を受信するステップと、不正送信機の位置を推定するステップと、複数の受信機の送信機位置輪郭の交点を不正送信機の推定位置として特定するステップと、データ処理ハードウェアと通信するリモートシステムに不正送信機の推定位置を報告するステップとを含む。各受信機信号は、対応する受信電力レベルを有し、かつ観測領域内に位置する不正送信機から送信される不正信号に対応する。不正送信機の位置は、各受信機について、対応する受信機信号の受信電力レベルと1つまたは複数の伝搬経路損失関数とに基づき受信機の周りの送信機位置輪郭を決定することにより決定される。各伝搬経路損失関数は、観測領域に対応する地形情報に基づいている。送信機位置輪郭は、受信機に対する不正送信機の候補位置の集合を定義している。
【0008】
この態様は、1つまたは複数の以下の任意選択的な特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、対応する受信機の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭は、対応する受信機信号の受信電力の大きさに基づいている。少なくとも1つの不正信号は、対応する受信機により第1の時間に受信されてもよく、対応する受信機の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭は第1の時間に基づいていてもよい。少なくとも1つの不正信号は、対応する受信機により基準方向に対してある角度で受信され、対応する受信機の周りの少なくとも1つの送信機位置輪郭はその角度に基づいていてもよい。
【0009】
いくつかの例において、データ処理ハードウェアは、各受信機について、(i)受信機の位置と(ii)不正送信機の複数の推測位置とに基づき伝搬損失関数から複数の伝搬損失値を決定するように構成された送信機位置ソルバを備える。前記システムは、複数の伝搬損失値を有する伝搬損失行列を作成するように構成された伝搬行列ビルダをまた備えてもよく、複数の伝搬損失値のうちの第1の伝搬損失値は、不正送信機の複数の推測位置のうちの第1の推測位置に対応し、複数の伝搬損失値のうちの第2の伝搬損失値は、不正送信機の複数の推測位置のうちの第2の推測位置に対応する。
【0010】
いくつかの例において、データ処理ハードウェアは、ビーム形成を使用して不正送信機の推定位置に向かって複数の受信機を移動させる。地形情報は、観測領域内の植生、建物、および地上の隆起のうちの少なくとも1つの位置を含み得る。複数の受信機信号のうちの第1の受信機信号は第1の送信プロトコルを使用して送信され得、複数の受信機信号のうちの第2の受信機信号は第1の送信プロトコルとは異なる第2の送信プロトコルを使用して送信され得る。第1の送信プロトコルはWiFiであってもよく、第2の送信プロトコルはLTEであってもよい。各送信機位置輪郭は、受信機の周りの送信機位置候補の集合に沿った外接経路を画定し得る。
【0011】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。 他の態様、特徴および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】例示的な送信機監視システムの概略図である。
図1B】送信機監視システムの機能ブロック図である。
図1C】送信機監視システムの機能ブロック図である。
図2】送信機監視システムの例示的な受信機の概略図である。
図3A】送信機監視システムの受信機のための例示的なサンプル経路損失関数である。
図3B】送信機監視システムの受信機のための例示的な区分的離散化経路損失関数である。
図4】例示的な送信機監視システムの離散化された観測領域である。
図5A】本開示の原理による例示的な方法を示すフローチャートを集合的に提供する。
図5B】本開示の原理による例示的な方法を示すフローチャートを集合的に提供する。
図5C】本開示の原理による例示的な方法を示すフローチャートを集合的に提供する。
図5D】本開示の原理による例示的な方法を示すフローチャートを集合的に提供する。
図6A】送信機監視システムの例示的な送信機位置輪郭の概略図である。
図6B】送信機監視システムの例示的な送信機位置輪郭の概略図である。
図7】送信機監視システムの複数の例示的な送信機位置輪郭の概略図である。
図8A】送信機監視システムの順序付けられた伝搬損失行列内で横断される例示的な経路の一部の概略図である。
図8B】送信機監視システムの順序付けられた伝搬損失行列内で横断される例示的な経路の一部の概略図である。
図8C】送信機監視システムの例示的な順序付けられた伝搬損失行列を横断している間に巡視した実際の物理的位置の概略図である。
図9】送信機監視システムの第1および第2の送信機の例示的な推定位置の概略図である。
図10】送信機監視システムの例示的な伝搬損失関数である。
図11】送信機監視システムの観測領域内の送信機および受信機の例示的な配置の概略図である。
図12】本開示の原理による任意の方法を実行する例示的なコンピューティングデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
広範囲の産業は、様々な異なるデバイスと製品との間の通信を可能とするために、電磁スペクトルまたは無線スペクトルを利用する。例えば、携帯電話は、別の携帯電話と通信するために無線スペクトルを介して無線信号を送受信し得る。無線スペクトルを介して信号を送信する装置(例えば、送信機)は、他の無関係な装置(例えば、他の送信機)間の信号の伝送を中断させる可能性がある。これに関して、エンティティすなわち送信機による無線スペクトルの無許可の使用は、他の産業および他の送信機にとって通信上の問題を引き起こす可能性がある。従って、連邦通信委員会(FCC)などの規制機関は、様々な手段による無線スペクトルの使用を制限かつ規制している。例えば、FCCは、無線スペクトルを介して送信される信号の障害を最小限に抑えるために、無線スペクトルの様々な周波数帯域にライセンスを発行している。さらに、使用する前に、送信機は、発行されたライセンスの遵守を確実にするために、FCCの承認を得る必要がある。無線スペクトルの帯域を認可し、無線信号送信デバイスの承認を必要とすることにより、FCCは、無線スペクトルのユーザが経験する無線干渉の量を制御することができる。
【0014】
到来角、到来時間差、到達電力などの様々なシステムおよび方法が送信機の位置を決定するために使用される。到来角法は、信号が様々な受信機によって受信されるときの角度の差を利用して、送信機の位置を決定する。到来時間差法は、信号が様々な受信機によって受信されるときの時間の差を利用して送信機の位置を決定する。到達電力法は、様々な受信機によって受信されるときの信号の電力量の差を利用して送信機の位置を決定する。送信機の位置を検出、特定および報告するための改善されたシステムおよび方法は、無線スペクトル全体にわたる無線通信の中断を防止することができる。
【0015】
図1A図1Cは、観測領域106において信号104を送信する送信機102,102a〜nの位置を決定するための例示的な送信機監視システム100を示す。信号104は、例えば、WiFi、WiMAX、またはロングタームエボリューションなどの様々な形態を含み得る。送信機102,102a〜nは、任意の数の準拠送信機(例えば、102a)および/または任意の数の不正または不正送信機(たとえば、102b)を含み得る。これに関して、信号104は、許可信号104(例えば、準拠送信機102aから送信された信号)または無許可信号104(例えば、不正送信機102bから送信された信号)であり得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の送信機102(例えば、準拠送信機102a)は、観測領域106内の既知の場所に配置され、1つまたは複数の他の送信機102(例えば、不正送信機102b)は観測領域106内の未知の場所に配置され得る。
【0016】
送信機監視システム100は、ネットワーク130を介してリモートシステム120と通信する信号受信機110,110a〜n(本明細書では受信機とも呼ばれる)を含む。リモートシステム120は、データ処理ハードウェア122および任意選択的にメモリハードウェア124を含む。受信機110,110a〜nは、観測領域106内の異なる地理的位置に配置され、かつ送信機102の信号104を傍受するように構成される。
【0017】
図2に示すように、各受信機110,110a〜nは、送信機102から信号(例えば、信号104)を受信するように構成されたアンテナ112を含み得る。いくつかの実施形態において、アンテナ112は、フェーズドアレイアンテナなどの指向性アンテナまたは可動アンテナを含み得る。この点に関して、信号104が受信されている方向に対応する方向にアンテナ112が指向されるか、またはその方向に整列されると、受信機110は信号104を受信することができる。いくつかの実施形態において、アンテナ112は電子的に可動である。例えば、アンテナ112が指向する方向は、アンテナ112の位置を遠隔的に移動させ、かつ変更することによって制御することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の受信機110は、ベースバンド集積回路(BBIC)242によって駆動される無線周波数集積回路(RFIC)240を含む。RFIC240は、電波(例えば、信号104)を送受信するチップである。例えば、各受信機110は、1つまたは複数のRFICチップ240およびBBICチップ242を含み得る。RFICチップ240は、電波(例えば、信号104)を送受信し得る。ベースバンド無線プロセッサとしても知られるBBICチップ242は、受信機110の無線機能(すなわち、アンテナを必要とするすべての機能)を管理することができる。例えば、BBICチップ242は、利得段を入力信号に適用し、ベースバンドへのダウンコンバージョンを実行し、アナログ信号(ADC)コンバータを介して入力信号をデジタル信号に変換することができる。BBICチップ242と通信するデジタル処理ユニット244は、デジタル信号のさらなる処理のために使用され得る。
【0019】
いくつかの例では、複数のRFICチップ240を同じBBICチップ242から駆動させることにより、アンテナ112による利得の増加またはアンテナ112のダイバーシティが可能になる。言い換えれば、複数のRFICチップ240を単一のBBICチップ242に追加することにより、アレイ利得およびリンクバジェットの増加を可能にすることができる。
【0020】
再び図1Bおよび図1Cを参照すると、送信機監視システム100の機能ブロック図が示されている。図1Bに示される例において、リモートシステム120は、スケーラブル/エラスティックコンピューティングリソース122および/またはストレージリソース124を有する分散システム(例えば、クラウド環境)である。ネットワーク130は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、および/またはインターネットなどの様々なタイプのネットワークを含み得る。いくつかの実施形態では、送信機監視システム100は、信号コレクタ140およびデバイスマネージャ150を含む。信号コレクタ140およびデバイスマネージャ150は、受信機110,110a〜nと通信し得る。いくつかの実施形態では、信号コレクタ140は、受信機110,110a〜nから観測領域106内の任意の送信機102から送信された任意の信号104に関するリスニング情報を提供する通信(例えば、周期的なレポート)を受信する。特に、いくつかの実施形態では、信号コレクタ140は、信号コレクタインタフェース142(例えば、HTTPインタフェース)および信号データストア144を含む。信号コレクタインタフェース142は、ネットワーク130を介して受信機110,110a〜nから周期的なレポートを受信し記録し得る。周期的なレポートは、受信機110,110a〜nによって受信された信号(例えば、信号104)の電力レベル(例えば、大きさ)を含み得る。信号コレクタインタフェース142は、さらなる処理のために周期的なレポートを記憶する信号データストア144に通信(例えば、周期的なレポート)を送信し得る。
【0021】
デバイスマネージャ150は、受信機110,110a〜nからの通信(例えば、受信機110,110a〜nに対応する登録情報)を受信し、ネットワーク130を介してリモートシステム120に通信を送信する。例えば、デバイスマネージャ150は、受信機110,110a〜nに関する識別情報を受信し、「更新およびバイナリ構成」情報をリモートシステム120に送信する。いくつかの実施形態では、デバイスマネージャ150は、信号コレクションデバイス管理モジュール152およびデバイスデータストア154を含む。信号コレクションデバイス管理モジュール152は、識別情報(例えば、受信機110,110a〜nの登録番号)を受信し、信号コレクションデバイス管理モジュール152は、観測領域106内における受信機110,110a〜nの状態(例えば、追加、削除、有効化、無効化)を変更することもできる。信号コレクションデバイス管理モジュール152は、識別情報をデバイスデータストア154に送信し、デバイスデータストア154は、さらなる処理のために受信機110,110a〜nの識別情報および状態を記憶する。信号コレクションデバイス管理モジュール152は、「更新およびバイナリ構成」情報をリモートシステム120に送信し得る。
【0022】
図1Bに示すように、送信機監視システム100は、信号コレクタ140およびデバイスマネージャ150と通信する信号ロケータ200を含む。信号ロケータ200は、観測領域106内に位置する送信機102(例えば、不正送信機102b)の位置を決定するか、または少なくとも推定するように構成される。図1Cを参照すると、送信機監視システム100は、信号ロケータ200と通信するスペクトルアクセスシステム(SAS)162および伝搬サービス164などの依存関係サービス160を含み得る。
【0023】
信号ロケータ200は、送信機位置モジュールまたは送信機位置ソルバ202、推定送信機位置モジュール204、伝搬行列データストア206、信号コレクション監視モジュール208、グリッド生成器210、および伝搬行列モジュール212を含むことができる。送信機位置ソルバ202は、信号コレクタ140、推定送信機位置モジュール204、伝搬行列データストア206、依存関係サービス160、および監視サービス170と通信することができる。いくつかの実施形態では、送信機位置ソルバ202は、送信機102,102a〜nから送信された信号104に関する情報を信号データストア144から受信する。例えば、送信機位置ソルバ202は、クエリ174などの情報を信号データストア144に送信し得、信号データストアは、周期的なレポート176などの対応する情報を送信機位置ソルバ202に送信し得る。クエリ174は、受信機110,110a〜nから受信される周期的なレポートに関連している。例えば、クエリ174は、信号104の一部の電力損失関数に関連している。送信機位置ソルバ202は、信号データストア144から受信した情報(たとえば周期的なレポート)を利用して、(i)送信機102の位置を決定または少なくとも推定し、(ii)決定または推定された位置を信号データストア144に格納のために送信する。
【0024】
送信機位置ソルバ202はまた、監視サービス170からの通信を受信し得る。いくつかの実施形態では、監視サービス170は、送信機102,102a〜nが位置している可能性がある観測領域106の特定の領域に関する情報を送信する。これに関して、監視サービス170は、観測領域106の領域のデータベースを維持し得る。
【0025】
送信機位置ソルバ202はまた、SAS162からの通信を受信し、かつSAS162へ通信を送信し得る。例えば、送信機位置ソルバ202は、クエリ180などの情報をSAS162に送信し得る。クエリ180は、送信機102の位置を特定することに関連し得る。特に、クエリ180は、準拠送信機102aの位置を特定することに関連し得る。SAS162は、送信機102の結果セット182などの情報を送信機位置ソルバ202に送信し得る。例えば、いくつかの実施形態では、SAS162は、送信機位置ソルバ202から受信したクエリ180に応答して、送信機位置ソルバ202に準拠送信機102aの結果セット182を送信する。
【0026】
送信機位置ソルバ202はまた、伝搬行列データストア206からの通信を受信し、伝搬行列データストア206に通信を送信し得る。例えば、送信機位置ソルバ202は、クエリ184などの情報を伝搬行列データストア206に送信し得る。クエリ184は、1つまたは複数の候補位置の送信機102,102a〜nと、既知の位置の受信機110,110a〜nとの間の推定された伝搬損失に関連し得る。各クエリ184は、受信機110の位置、対応する受信機110の受信電力R、および送信機102の位置を含み得る。受信機110の位置は、特定の受信機110の既知の位置を含み得、送信機102の位置は、送信機102の推測または推定された位置を含み得る。これに関して、連続する各クエリ184は、受信機110の既知の位置と、送信機102の異なる推測位置または推定位置(以前の推測または推定位置と比較した)とを含み得る。
【0027】
伝搬行列データストア206は、伝搬行列データストア206の行列のサブセット186などの情報を送信機位置ソルバ202に送信し得る。いくつかの実施形態では、伝搬行列データストア206は、送信機位置ソルバ202から受信したクエリ184に応答して、行列サブセット186を送信機位置ソルバ202に送信する。
【0028】
推定送信機位置モジュール204は、送信機位置ソルバ202からの通信を受信し得る。例えば、いくつかの実施形態では、推定送信機位置モジュール204は、送信機位置ソルバ202から送信機102,102a〜nの推定位置(例えば、不正送信機102b)を受信する。これに関して、送信機位置ソルバ202は、(i)行列サブセット186と、(ii)有効な送信機102の結果セット182と、(iii)信号データストア144から受信した情報とから送信機102,102a〜nの位置を推定する。
【0029】
伝搬サービス164は、信号ロケータ200によって利用される様々なタイプの情報を含み得る。例えば、伝搬サービス164は、観測領域106内の地形に関する情報(例えば、地形、建物の場所、建物の大きさ、植生の場所、植生の大きさなど)を含み得る。伝搬サービス164は、地形情報を使用して、観測領域106内の2つの場所の間で送信される信号(例えば、信号104)に関する伝搬損失関数を提供し得る。信号ロケータ200(例えば、伝搬行列ビルダ212)は、伝搬損失関数を利用して、観測領域106内に位置する各受信機110a〜nに関連する伝搬損失行列を生成し得る。これに関して、以下でより詳細に説明するように、信号ロケータ200は、観測領域106内に位置する送信機102の位置を決定または少なくとも推定するために、伝搬サービス164と通信し得る。
【0030】
信号104が送信機(例えば、準拠していない送信機102bおよび/または準拠送信機102a)から無線で送信または他の方法で伝搬するとき、電力が送信機から受信機110に流れる。信号104が送信機から受信機110に伝搬するにつれて、信号は減衰するか、さもなければ強度を喪失し得る。特に、信号104に関連する電力量は、地形、建物、または観測領域106内に位置する電力損失を引き起こす他の物体により低減され得る。例えば、送信機102から送信される信号104は、送信機102からの送信時の送信電力P1と、受信機110による受信時の受信電力P2とを含み得る。これに関して、信号104は、送信機102から受信機110の特定の1つへの伝搬中に電力損失Lが生じることがある。電力損失Lは、以下の式で表すことができる。
【0031】
【数1】
式中、fは送信信号104の周波数であり、uは送信機102の位置であり、uは受信機110の位置であり、γは送信機102のアンテナパターンであり、γは受信機110のアンテナパターンである。受信機110の位置uおよびアンテナパターンが既知である場合、送信信号104の既知の周波数fにおいて、受信機pの電力損失Lは、
【0032】
【数2】
である。
【0033】
式中、xは送信機102の位置であり、γは送信機102のアンテナパターンである。
送信機102,102nの量Sおよび受信機110,110nの量Nを有する観測領域106において、(i)送信機102による送信時の信号104のデシベルミリワット(すなわち、dBm)での送信電力Pと、(ii)受信機110による受信時の信号104の受信電力R(dBm単位)との関係は、
【0034】
【数3】
として表される。
【0035】
図3Aは、送信機102の1次元位置(x軸)の範囲に亘って受信機110によって受信された信号104の受信電力R(y軸)を含む受信機110に関するサンプル経路の損失関数300aを示す。図3Bは、図3Aにおいて測定され図示されたサンプル経路の損失関数300aの線形近似300bを示す。以下により詳細に説明されるように、受信電力Rの線形近似300bは、領域(例えば、観測領域106)を離散化し、かつアプリケーションプログラミングインタフェース機能により伝搬行列データストア206に繰り返し問い合わせることによって決定することができる。例えば、図4に示すように、観測領域106は、均一または可変サイズの複数のセクション402を有するグリッド400に細分化され得る。
【0036】
1つの候補位置よりも多くの一組の候補位置から送信機102の実際の位置または推定位置を決定するために、デバイスマネージャ150は、1つまたは複数の受信機110,110nのアンテナ112(複数可)を候補位置に向けて移動させるか、さもなければ候補位置の方向にアンテナ(複数可)を指向させ得る。
【0037】
信号104が送信機102から受信機110に伝搬するとき、送信機102からの送信時の信号104の送信電力Pが受信機110による受信時の受信電力Rよりも大きくなるように、信号104の電力が減少され得る。例えば、信号104の送信電力Pと受信電力Rとの差g(x)(例えば、伝搬損失)は、
【0038】
【数4】
として表される。
【0039】
所与の受信機110について、送信機102からの送信時の信号104の送信電力Pと、受信機110による受信時の信号104の受信電力Rとの間の予測される差g(x)は、送信機102の様々な位置xに対して決定することができる。以前に説明したように、アンテナ112は、2次元の受信パターンを有する可動アンテナであり得る。従って、伝搬損失関数g(x)は、g(x,γ)としても参照され得る。
【0040】
伝搬損失関数g(x)は、観測領域106内の既知の位置に配置された送信機102,102nから既知の送信電力Pを送信し、観測領域106内の既知の位置に配置された受信機110,110nにおいて受信電力Rを測定することによって推定される非線形関数であり得る。
【0041】
図5は、観測領域106内の未知の場所に位置する送信機102の位置を決定または推定する例示的な方法500を示す。処理502において、方法は、観測領域106を複数の領域(例えば、セクション402)に細分化するか、または離散化することを含む。複数の領域は、図4に示すように、位置x〜xのグリッド(例えば、グリッド400)を集合的に画定し得る。例えば、処理502において、グリッド生成器210は、複数の領域402を有するグリッド400を生成し得る。
【0042】
処理504において、観測領域106内の各受信機110に関して、方法500は、受信機110の位置zと、グリッド400内の位置x〜xの1つに対応する送信機102の1つまたは複数の位置xとを伝搬行列ビルダ212に送信して、受信機110に関する伝搬行列を構築することを含む。
【0043】
処理506において、方法500は、504において送信された送信機の位置xの数が、位置の所定の数N以上であるかどうかを決定する。例えば、処理506において、方法500は、処理504で送信された送信機の位置xの数が、グリッド400内の位置x〜xの数以上であるかどうかを判定する。処理506が偽である場合、方法500は処理508に移行し、送信機102の位置xを新たな位置xj+1にインクリメントする。処理506が真である場合、方法500は、処理510に移行し、受信機110の位置zおよび1つまたは複数の送信機102の位置xを含む伝搬行列を伝搬行列データストア206に通信する。
【0044】
処理512において、方法500は、送信機102の複数の位置x〜xの各位置xに対応する各受信機110の伝搬損失g(x)を決定することを含む。例えば、処理512において、信号ロケータ(例えば、伝搬行列ビルダ212)は、送信機102の位置x〜xの各位置xに関して、位置xに配置された送信機102に対応する送信電力Pと、位置zに配置された受信機110によって受信された受信電力Rとの間の予測される差を決定する。
【0045】
処理514において、方法500は、処理512で決定された伝搬損失g(x)を有する各受信機110の伝搬損失行列Aを生成するか、またはそうでなければ構築することを含む。例えば、処理514において、伝搬行列ビルダ212は、処理512で決定された伝搬損失g(x)の各々を行列Aに代入する。これに関して、所与の受信機kに関して、g(x)は、受信機kの位置から送信機102の目標位置xまでの伝搬損失を示す。各受信機110,110nに関する伝搬損失行列Aのk番目の行は、
【0046】
【数5】
として表される。
【0047】
処理516において、方法は、伝搬損失行列Aから順序付けられた伝搬損失行列A^(本願の国際出願時の英文明細書では文字Aの上に^が表記されているが、本翻訳文では^を文字Aの右横に表記する。以下、同様の文字については同様に表記する。)を生成することを含み得る。例えば、処理516において、各受信機110,110nに関して、伝搬行列ビルダ212は、伝搬損失g(x)の最小値から伝搬損失g(x)の最大値までの伝搬損失行列Aの各行内の値を配列して、順序付けられた伝搬損失行列A^を生成する。いくつかの実施形態では、伝搬行列ビルダ212は、電力差g(x)の最小値が順序付けられた伝搬損失行列A^における任意の行の最初の位置にあり、電力差g(x)の最大値が順序付けられた伝搬損失行列A^における任意の行の最後の位置にあるように、各受信機110,110nに関する伝搬損失g(x)の値を配列する。特に、受信機kに対応する順序付けられた伝搬損失行列A^のk番目の行は、
【0048】
【数6】
として表される。
【0049】
各x^タプルと各物理的位置xとの間の対応関係は、任意の損失関数g(x^)から任意の損失関数に続く損失関数g(xj+1^)への移動が、インデックスnをインクリメントすることを必要とするように、以下の関係によって定められる。
【0050】
【数7】
処理518において、方法500は、送信機(例えば、不正送信機102b)の位置xに対する順序付けられた伝搬損失行列A^を解くことを含む。例えば、処理518において、送信機位置ソルバ202は、伝搬損失行列A^を横断して、不正送信機102bの位置xを決定するか、または少なくとも推定する。いくつかの実施形態において、処理518は、一組の受信機110(1)〜110(m)を仮定した場合、電力変数pの値と、選択された(例えば、目標または推測の)電力変数pに対応する順序付けられた伝搬損失行列A^における初期の一組の位置x^(1)、...、x^(m)とを選択することを含む。
【0051】
処理520において、方法500は、初期の一組の位置x^(1)、...、x^(m)を次の組の位置xj+1^(1)、...、xj+1^(m)にインクリメントすること、および処理518を繰り返すことを含む。例えば、処理520において、送信機位置ソルバ202は、初期の一組の位置x^(1)、...、x^(m)を次の組の位置xj+1^(1)、...、xj+1^(m)にインクリメントし、処理518を繰り返す。方法500は、対応するx^タプルを決定するために、所定数iのステップに対して処理520を繰り返すことを含む。具体的には、処理520において、受信機110,110a〜nの量mおよび目標電力レベルPの量rを仮定した場合(ここで、P(1)<・・・<P(r))、方法500は、P(r)に等しい電力変数pの値を選択すること、以下の関係を利用して対応する開始のx^タプルを決定することを含む。
【0052】
【数8】
ここで、εは不確定値である。以下でより詳細に説明するように、選択された電力変数pと受信電力Rとの間の差が所定の閾値Δより大きい場合、x^タプルが進行するにつれて、各送信機102、102nの実際の位置xが横断されて、結果のベクトルにおいてピークが生成される。
【0053】
処理522において、方法500は、結果行列Hおよびゼロの累積配列(cumulative array)vを生成することを含む。例えば、処理522において、送信機位置ソルバ202は、結果行列Hおよび累積配列vを作成し、結果行列Hおよび累積配列vの値をゼロに等しく設定する。
【0054】
処理524において、順序付けられた伝搬損失行列A^における位置の数に等しい複数のステップkに関して、方法500は、各x^タプルを観測領域106内の対応する位置xにマッチングさせることを含む。これに関して、処理524において、送信機位置ソルバ202は、各値x^タプルを観測領域106内の対応する位置xにマッチングさせて、対応する受信機110についての送信機位置輪郭600(図6Aおよび図6B)を決定することを含む。
【0055】
処理526において、方法500は、結果行列H内の値を対応する位置xと置き換えることを含む。例えば、処理526において、送信機位置ソルバ202は、結果行列H内の値(例えば、ゼロ)を対応する位置xと置き換える。
【0056】
処理528において、方法500は、結果行列Hの行における各値(例えば、対応する位置x)を累積配列vの対応する値に加算すること、および結果行列H内の値(例えば対応する位置x)をゼロに置き換えることを含む。処理528が完了すると、方法500は、処理524に戻り、処理524,526、および528を所定の回数繰り返す。例えば、方法500は、処理524,526、および528を順序付けられた伝搬損失行列A^における値x^タプルの数に等しい回数繰り返す。
【0057】
処理530において、方法500は、累積配列vをフィルタに送信することを含む。例えば、処理530において、送信機位置ソルバ202は、高電力レベル(例えば、受信電力R)を有する観測領域106内の領域(例えば、領域402)を強調するために、累積配列vをSAS162などの非線形移動フィルタに送信する。q行及びq列を有する結果行列Hに対して、SAS162は、以下の式を使用して送信機102の実際の位置xを計算する。
【0058】
【数9】
式中、u>1は、正の電力(例えば、u=3)である。
【0059】
処理532において、方法500は、各受信機110に対して、送信機位置輪郭を決定することを含む。例えば、処理532において、送信機位置ソルバ202は、各受信機110に対して、処理532で決定されたフィルタリングされた位置xのプロットを作成する。送信機位置輪郭600は、対応する受信機110に対する送信機102の候補(例えば、可能性のある)位置を表す。これに関して、特定の受信機110に対して、送信機位置輪郭600は、送信機位置輪郭600に沿った任意の位置における受信電力Rおよび対応する一定値の伝搬損失関数g(x)を表す。
【0060】
図6Aを参照すると、いくつかの実施形態では、送信機位置輪郭600aは、送信機102の候補(例えば可能性のある)位置によって画定される概略的に円形の形状を形成する。例えば、受信機110を囲む領域(例えば、自由空間)内に地形上の障害物(例えば樹木、建物など)が全く配置されていないか、または非常に少数の地形上の障害物が配置されている場合、送信機位置輪郭600aは円形形状を形成し得る。
【0061】
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、例示的な送信機位置輪郭600bは、送信機102の候補(例えば、可能性のある)位置によって画定されるランダムまたは非幾何学的形状を形成する。例えば、様々な地形上の障害物(例えば、樹木、建物など)が受信機110を囲む領域に配置される場合、送信機位置輪郭600bは、ランダムな形状を形成し得る。
【0062】
再び図5A図5Dを参照すると、処理534において、方法500は、(i)第1の受信機110aに対応する送信機位置輪郭600と、(ii)1つまたは複数の他の受信機110、110nに対応する送信機位置輪郭600(複数可)との交点を特定することを含む。これに関して、処理534において、送信機位置ソルバ202は、図7に示すように、送信機位置輪郭プロット700上に送信機位置輪郭600a〜nの各々をプロットし、各送信機位置輪郭600の他の送信機位置輪郭600a〜nに対する交点702a〜nを特定する。例えば、送信機位置ソルバ202は、複数の送信機位置輪郭600a〜nの交点702a〜nを特定する。1つまたは複数の交点702a〜nは、対応する1つまたは複数の送信機(例えば、不正送信機102b)の推定位置に対応し得る。いくつかの実施形態では、送信機102(複数可)の位置は、最大数の送信機位置輪郭600a〜nが交点702a〜nを形成する位置(複数可)によって定義される。これに関して、方法500において520で完了したインクリメントステップの数iが増加すると、送信機位置輪郭の厚さが増加し得る。520において完了したインクリメントステップの数iが閾値を超えて増加する場合、送信機位置輪郭600a〜nは、送信機102(複数可)の位置を定義しない交点702a〜nを形成し得る。従って、520において完了したインクリメントステップの数iは、送信機102(複数可)の誤った位置を特定することなく、推定された送信機位置の精度を保証する値(例えば、2000〜4000)に設定される。
【0063】
処理536において、方法500は、送信機(例えば、不正送信機102b)の推定位置をリモートシステムに報告することを含む。例えば、処理536において、送信機位置ソルバ202は、監視サービス170が送信機102bおよび送信機102bによって生成された信号104を観測領域106から除去できるように、送信機の推定位置を監視サービス170に報告する。
【0064】
処理538において、方法500は、送信機102の推定位置に向かって受信機110の一部(例えば、アンテナ112)を移動させることを含む。例えば、ビーム形成を使用して、処理538において、デバイスマネージャ150は、不正送信機102の位置を検証し、送信機の送信電力Pを推定するために、アンテナ112を送信機102の推定位置に向けて移動させる。
【0065】
特定の送信機102が処理538で特定され、かつ発見されると、その特定の送信機102の方法500への影響は、方法500で他の送信機102を特定する前に除去することができる。いくつかの実施形態では、特定の送信機102の影響は、観測領域106内の地形に関する情報と共に、方法500の出力(例えば、特定の送信機102の位置および特定の送信機102の送信電力P)を利用して除去されて、特定の送信機102によって生成された信号(例えば、信号104)の影響をモデル化し、受信機110の各々によって測定された受信電力Rから送信電力Pを除去(例えば、減算)する。他の実施形態において、特定の送信機102の影響は、アンテナ112が指向する方向を調整することによって除去される。例えば、デバイスマネージャ150は、特定の送信機102によって生成された信号104が受信機110によって受信されないように、アンテナ112を特定の送信機102から遠ざかるように移動させる。
【0066】
16個の受信機110,110n、2個の送信機102,102nを有する送信機監視システム100(例えば、送信機監視システム100)によって実施される方法500の例示的な実施形態を以下により詳細に説明する。図8Aに示すように、受信機110,110nは、複数のグリッド点802,802nを有するグリッド(例えば、グリッド400)内に配置される。図6Aに示すように、各グリッド点802は、隣接するグリッド点802から10メートルの距離だけ離れていてもよく、各送信機102の送信電力Pは、40dBmに設定されてもよい。上述したように、電力変数pの値は40dBmに設定されてもよく、対応するx^タプルを決定するために、位置x1^〜xi^は所定数iのステップ(例えば、処理518および/または520)を介して進行される。図8Bは、各受信機110に対する開始点804,804a〜nおよび終了点806,806a〜nに関するx^タプルを示す。図8Cは、送信機監視システム100の順序付けられた伝搬損失行列を横断しながら、例えば、処理520において、実際に巡視した物理的位置を示す。図8Cは、x^タプルの全組に対応する2つの送信機102,102nの各々のプロットされた候補位置xを示す。図9は、プロットされた候補位置をフィルタリングした後に決定された、観測領域(例えば、観測領域106)内の2つの送信機102,102nの各々の実際のまたは推定された位置xを示す(例えば、処理530)。
【0067】
選択された電力変数pと送信電力レベルPとの間の差が所定の閾値Δより大きい場合、各ソートされたタプル要素x^(j)は、結果行列(例えば、結果行列H)内の物理的位置xにランダムにマッピングする。選択された電力変数pと送信電力レベルPとの間の差が所定の閾値Δよりも小さい場合、各ソートされたタプル要素x^(j)は、送信機102、102nのうちの1つの実際の物理的位置xにマッピングする。これに関して、前述したように、受信電力レベルRは、
【0068】
【数10】
によって表される。
【0069】
式中、tは送信機102,102nの量であり、mは受信機110,110nの量である。
受信機110において観測される受信電力Rの大きさは、特定の送信機102の送信電力Pの大きさの非減少関数である。これに関して、xに位置する特定の送信機102の送信電力Pの大きさは、所与の受信機110に関して対応する伝搬損失g(x)によって調整され、所与の受信機110で見られる受信レベルRの大きさを超えることはできない。これは、
【0070】
【数11】
によって表される。
【0071】
従って、選択された電力変数pの許容可能な値は、以下の不等式に従う。
【0072】
【数12】
また、
【0073】
【数13】
となるように式(12)における指数は負となる。
【0074】
負の指数とは、
【0075】
【数14】
の値における急激な減少を意味する。すなわち、指数の大きさが増大するにつれて、
【0076】
【数15】
は、
【0077】
【数16】
となる。
【0078】
(i)電力変数pの選択された値が送信機102の送信電力Pに対して所定の閾値Δ以内であり、かつ(ii)位置xが送信機102の位置xの所定の距離内にあるとき、以下の関係:
【0079】
【数17】
が適用される。
式中、項P−g(x)は、送信機102のみが存在した場合に生じるであろう受信電力Rであり、その受信電力Rは、他の送信機102が観測領域106内に存在する場合には実際の受信レベルRより小さい可能性がある。
【0080】
送信電力Pが十分に高い場合(例えば、送信機102が支配的な送信機である場合)、項P−g(x)−Rの大きさは、選択された電力変数pおよび送信機102の位置xに関して他の選択を使用して得られた項P−g(x)−Rの大きさと比較して相対的に小さい(例えば、所定の閾値Δ以内である)。本明細書で使用される用語「支配的な送信機」は、送信機102の周囲に配置された受信機110の受信電力Rに大きく影響を与える送信機102を含む。従って、式(12)の対応する指数は、それほど負ではなく、量:
【0081】
【数18】
が支配的となり得る。
【0082】
前述したように、送信機102に関する全ての有効な候補位置xは、以下の不等式を満たすことができる。
【0083】
【数19】
従って、一旦電力変数pのレベルが選択されると、開始位置y^は次式を満たすことができる。
【0084】
【数20】
式中、位置y^に関係なくg(y^)≧0である。従って、f(p,y^)が到達することができる最小の負の値は、p−Rによって与えられる。電力変数pの値が受信電力Rの値の所定の閾値Δ内に存在しない場合、開始位置y^は負の数であってもよい。位置y^が進行してg(y^)が増加すると(例えば、ステップ520)、値f(p,y^)はより負になる。
【0085】
以前に説明したように、f(p,x^)の大きな負の値は、
【0086】
【数21】
に対する小さな値を意味する。一方、選択された電力変数pの値が受信電力Rに近い場合、受信電力Rが支配的な送信機102の電力レベルに近いため、p−Rはそれほど負ではなく、
【0087】
【数22】
は無視できない。
【0088】
位置xに配置された送信機102が支配的である場合、g(x^)は大きな値ではなく、受信電力Rに無視できる影響が生じる。さもなければ、前記送信機102の受信機110への影響は重要ではないので、送信機102は受信機110に対して支配的ではない。一方、送信機102は、受信電力Rに影響を及ぼすために、受信機110の直近に存在する必要はない。例えば、受信機110が他の送信機102の影響から大きく離隔され、受信機110から問題の送信機102への低損失経路が存在する場合、送信機102の受信電力Rへの影響は重要である。
【0089】
図10を参照すると、位置zを有する受信機(例えば、受信機110)に関する伝搬損失関数1000(例えば、g(x))が示されている。伝搬損失関数1000は、地形上の障害物(例えば、樹木、建物など)が無いか、または少数の地形上の障害物を有する領域1002と、多数の地形上の障害物を有する領域1004とを示す。
【0090】
方法500は、観測領域106内に配置された支配的な送信機102の位置xを推定する。例えば、図11に示す観測領域106を参照すると、方法500は、受信機110a〜nを使用して支配的な送信機102aおよび102bの位置を推定する。
【0091】
観測領域106内の未知の場所に位置する送信機102の位置を送信機監視システム100によって決定または推定する別の例示的な方法は、観測領域106を、図4に示すように、位置x〜xのグリッド(例えば、グリッド400)を画定する複数の領域(例えば、セクション402)に細分化または離散化することを含む。方法はまた、グリッド400内の様々な位置(例えば、セクション402)における既知の伝搬損失値を用いて、各受信機110に関するワット単位の伝搬損失g(x)の区分線形近似を作成することを含む。これに関し、位置yに配置された送信機102に対する受信機110に対する伝搬損失関数g(x)に関する区分補間式L^(y)は、
【0092】
【数23】
として表すことができる。
式中、
【0093】
【数24】
観測領域106内の各受信機110について、受信機110の位置zと、グリッド400内の位置x〜xの1つに対応する送信機102の1つまたは複数の位置yとは、受信機110用の伝搬ベクトルgを構築するために、行列ビルダ212に送信される。
【0094】
観測領域106内にS個の送信機102及びN個の受信機110が存在する場合、受信機110の伝搬損失関数g(x)は、
【0095】
【数25】
で表すことができる。
【0096】
【数26】
の場合、式(21)は、
【0097】
【数27】
として表すことができる。
【0098】
式(19)および(20)で表される区分線形近似を使用すると、式(22)は
【0099】
【数28】
のようになる。
式中、特定の送信機102にそれぞれ関連付けられたS個の重みベクトルw(1)、...、w(s)が存在する。
【0100】
式(23)は、以下のような行列の形で表すことができる。
【0101】
【数29】
位置yに配置された送信機102に対する受信機110に関する損失関数g(x)の区分線形近似伝搬L^(y)は、多くとも4つのグリッド点を必要とし、送信機102がグリッド400内のあるグリッド点に存在する場合、1つのみのグリッド点を必要とする。これに関し、グリッド400が多量のグリッド点を含む場合、送信機102(複数可)によって占有される実際の空間は、観測領域106の小部分を表し得る。言い換えれば、yは疎ベクトルであり、yは小さな基数を持つ必要がある。yはwのスケーリングされたバージョンであるので、yとwは同じ基数を有し得る。従って、最適化を以下のように定式化することができる。
【0102】
【数30】
ノルム0をノルム1拘束に置き換えることによって、最適化は、以下のように凸形式で再定式化することができる。
【0103】
【数31】
ノルム1の再加重バージョンを使用し、エラーが十分に小さくなるまで、ポリトープを反復してスクイーズして、各繰り返しにおいて目標コーナーを先鋭化することによって、送信機102の位置に対する正しい解を決定する可能性を低減することができる。対角行列を使用して重みを保持してもよい。これに関して、重み行列Λ(0)は全て0に設定することができ、対角要素は1に設定することができる。加重ノルム1の最小化プログラムは、以下の関係に従って解くことができる。
【0104】
【数32】
重みは、次の関係によって更新することができる。
【0105】
【数33】
指定された最大反復回数の後、プロセスを終了してもよい。例えば、所望のエラーレベルを達成した後にプロセスを終了してもよい。
【0106】
図12は、本明細書で説明されるシステムおよび方法を実施するために使用され得る例示的なコンピューティングデバイス500の概略図である。コンピューティングデバイス1200は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、および他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを代表することが意図されている。本明細書に示された構成要素、それらの接続および関係、およびそれらの機能は例示的なものに過ぎず、本明細書に記載および/または特許請求の範囲に記載される本発明の実施形態を限定するものではない。
【0107】
コンピューティングデバイス1200は、プロセッサ1210、メモリ1220、ストレージデバイス1230、メモリ1220および高速拡張ポート1250に接続する高速インタフェース/コントローラ1240、および低速バス1270およびストレージデバイス1230に接続する低速インタフェース/コントローラ1260を含む。構成要素1210,1220,1230,1240,1250,および1260の各々は、様々なバスを使用して相互接続され、かつ共通のマザーボード上にまたは適切な他の方法で搭載され得る。
【0108】
プロセッサ1210は、メモリ1220またはストレージデバイス1230に格納された命令を含むコンピューティングデバイス1200内での実行のための命令を処理して、高速インタフェース1240に接続されたディスプレイ1280などの外部入力/出力デバイス上にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)用のグラフィカル情報を表示する。これに関して、プロセッサ1210は、信号ロケータ200および送信機監視システム100の他のプロセスに対する命令を処理して、本開示の方法(例えば、方法500)を実行し得る。他の実施形態では、複数のメモリおよび複数のタイプのメモリと共に、複数のプロセッサおよび/または複数のバスが適宜使用されてもよい。また、複数のコンピューティングデバイス1200が接続され、各デバイスが(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、またはマルチプロセッサシステムとして)必要な処理の一部を提供してもよい。
【0109】
メモリ1220は、コンピューティングデバイス1200内に非一時的に情報を記憶する。メモリ1220は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、または不揮発性メモリユニットであってもよい。非一時的なメモリ1220は、コンピューティングデバイス1200による使用のための一時的または永久的な基準でプログラム(例えば、命令シーケンス)またはデータ(例えば、プログラム状態情報)を格納するために使用される物理的デバイスであってもよい。不揮発性メモリの例には、これらに限定されないが、フラッシュメモリおよび読み出し専用メモリ(ROM)/プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)/消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)/電子消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)(例えば、通常、ブートプログラムなどのファームウェアに使用される)が含まれる。揮発性メモリの例には、これらに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化メモリ(PCM)ならびにディスクまたはテープが含まれる。
【0110】
ストレージデバイス1230は、コンピューティングデバイス1200の大容量ストレージを提供することができる。いくつかの実施形態では、ストレージデバイス1230は、コンピュータ可読媒体である。種々の異なる実施形態では、ストレージデバイス1230は、フロッピーディスク(登録商標)デバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、またはテープデバイス、フラッシュメモリまたは他の同様のソリッドステートメモリデバイス、またはストレージエリアネットワークまたは他の構成におけるデバイスを含むデバイスのアレイであり得る。追加の実施形態では、コンピュータプログラム製品は情報媒体に有形的に具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行時に、上述したような1つまたは複数の方法を実行する命令を含む。情報担体は、メモリ1220、ストレージデバイス1230、またはプロセッサ1210上のメモリのようなコンピュータ可読媒体または機械可読媒体である。
【0111】
高速コントローラ1240は、コンピューティングデバイス1200の帯域幅を大量に使用する処理を管理し、低速コントローラ1260は、より低い帯域幅を集中的に使用する処理を管理する。そのような役割の配分は、例示的なものに過ぎない。いくつかの実施形態では、高速コントローラ1240は、メモリ1220、ディスプレイ1280(例えば、グラフィックスプロセッサまたはアクセラレータを介する)、および各種拡張カード(図示せず)を受け入れる高速拡張ポート1250に接続される。いくつかの実施形態では、低速コントローラ1260は、ストレージデバイス1230および低速拡張ポート1270に接続される。様々な通信ポート(例えば、USB、ブルートゥース(登録商標)、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット(登録商標))を含む低速拡張ポート1270は、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、または例えばネットワークアダプタを介するスイッチまたはルータなどのネットワーキングデバイスなどの1つまたは複数の入力/出力デバイスに接続され得る。
【0112】
コンピューティングデバイス1200は、図面に示すように、いくつかの異なる形態で実施することができる。例えば、標準サーバ1200aとして、またはそのようなサーバ1200aのグループ内で複数回、ラップトップコンピュータ1200bとして、またはラックサーバシステム1200cの一部として実施することができる。
【0113】
送信機監視システム100に含まれるモジュールおよびデータストアは、電子ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって具体化されてもよい。別個のモジュールおよびデータ記憶装置としての異なる機能の表示は、モジュールおよびデータ記憶装置が共通のまたは別個の電子ハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントによって具体化されるかどうかを必ずしも意味しない。いくつかの実施形態では、本明細書に示す1つまたは複数のモジュールおよびデータストアに関連する機能は、共通の電子ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントによって具体化されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に示す1つまたは複数のモジュールおよびデータストアに関連する機能は、別個の電子ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントによって具体化されてもよい。
【0114】
モジュールおよびデータストアは、限定はしないが、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数のメモリコンポーネント、1つまたは複数の入出力(I/O)コンポーネント、および相互接続コンポーネントを含む電子ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントによって具体化されてもよい。相互接続コンポーネントは、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数のメモリコンポーネント、および1つまたは複数のI/Oコンポーネント間の通信を提供するように構成されてもよい。例えば、相互接続コンポーネントは、電子コンポーネント間でデータを転送するように構成された1つまたは複数のバスを含み得る。相互接続コンポーネントはまた、電子コンポーネント間の通信を制御するように構成された制御回路(例えば、メモリコントローラおよび/またはI/Oコントローラ)を含み得る。
【0115】
本明細書に記載のシステムおよび技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路および/または光回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの様々な実施形態は、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、それらにデータおよび命令を送信するように接続された、特別または一般的な目的であってもよい、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムにおける実施形態を含むことができる。
【0116】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、プログラム可能なプロセッサ用の機械命令を含み、高水準の手続き型言語および/またはオブジェクト指向のプログラミング言語および/またはアセンブリ言語/機械語で実施することができる。本明細書で使用する場合、「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、任意のコンピュータプログラム製品、非一時的なコンピュータ可読媒体、機械読み取り可能な信号として機械命令を受け取る機械可読媒体を含む、プログラマブルプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される装置および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を指す。「機械可読信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意の信号を指す。
【0117】
本明細書で説明するプロセスおよび論理フローは、入力データ処理して出力を生成することによって機能を実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。プロセスおよび論理フローはまた、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特定用途論理回路によっても実行することができる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、一例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つまたは複数の大容量ストレージデバイス(例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスク)からのデータを受信するか、またはデータを転送するか、またはその両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータはそのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体には、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、およびCD−ROMおよびDVD−ROMディスクを含むすべての形態の不揮発性メモリ、メディアおよびメモリデバイスが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特定用途論理回路によって補充または特定用途論理回路に組み込むことができる。
【0118】
ユーザとのインタラクションを提供するために、本開示の1つまたは複数の態様は、例えばCRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)モニタ、またはタッチスクリーンなどのユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイスと、任意選択でユーザがコンピュータに入力を提供するキーボードおよびマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実施することができる。他の種類の装置を使用して、例えば、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)であり得るユーザに提供されるフィードバックとともにユーザとのインタラクションを提供することもでき、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスとの間でドキュメントを送受信することによって(例えば、ウェブブラウザから受信した要求に応答してユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって)、ユーザとインタラクションすることができる。
【0119】
いくつかの実施形態が説明されている。それにもかかわらず、本開示の技術思想および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。従って、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12