【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、第1の態様で、本発明が、船舶または海洋設備の外辺部ガードレールの外側に設置されるため安全用ブルワークを提供し、この安全用ブルワークが突出マウンドを有する前面を備え、ここでは、マウンドが、安全用ブルワークに張り出し部分を付与する下側部分を有し、マウンドが安全用ブルワークの幅方向において凸形である。船舶または海洋設備の外辺部ガードレールの外側というのは、外の海の方を向く外辺部ガードレールの側を意味し、対して、内側というのは、船舶または海洋設備のデッキの方を向く外辺部ガードレールを意味する。したがって、安全用ブルワークの前面は、外辺部ガードレールの外側に安全用ブルワークが設置されている場合の、やはり外の海の方を向く安全用ブルワークの面を意味する。したがって、安全用ブルワークの前面は、船舶または海洋設備上での安全用ブルワークの使用時に海側の方を向くこと意図される安全用ブルワークの面であるとみなされてよい。
【0009】
したがって、既知の安全用ブルワークは一般に外辺部ガードレールの上に設置され、つまり、ガードレールの海側および船内側の両方に設置され、結果としてガードレールが安全用ブルワークの重量を受けることになるのに対して、本発明の安全用ブルワークは、代わりに、外辺部ガードレールの外側に設置され得、つまり、ガードレールのちょうど海側に設置され得、安全用ブルワークの重量がガードレールへと下向きにかからない。安全用ブルワークをガードレールのちょうど海側に設置することにより、安全用ブルワークを外辺部ガードレールに沿うロケーションのところに設置することが可能となり、これらのロケーションとは、通常であれば、このロケーションにおいて既知の種類の安全用ブルワークをガードレールの上に設置するのを防止するような、ガードレールの邪魔になっている他の障害物が存在するようなロケーションである。これらの障害物には、ガードレールの船内側に位置するガードレールのためのサポートステイが含まれる。他の障害物には、ロープのための索導具などの、外辺部ガードレールがその周りに構成されているような障害物が含まれ、また、船舶または海洋設備のデッキ上のガードレールの近くの船内側に位置する、タラップ、クリート、および係船柱などの障害物が含まれる。さらに、安全用ブルワークの重量がガードレールへと下向きにかからない形で安全用ブルワークが外辺部ガードレールの外側に設置され得るという事実により、フリーハンギングチェーンによって橋渡しされるガードレール内の隙間を横断するように安全用ブルワークを設置することが可能となる(したがって、フリーハンギングチェーンは既知の種類の安全用ブルワークの重量を支持するのに十分な剛性を有さない)。
【0010】
上述したように、安全用ブルワークの前面が突出マウンドを備え、ここでは、マウンドが、安全用ブルワークに張り出し部分を付与する下側部分を有する。したがって、安全用ブルワークが外辺部ガードレールの外側に設置される場合、安全用ブルワークの前面上のマウンドの下側部分が、例えば船舶または海洋設備の傍まで寄せられた小型ボードなどから、下方から船舶または海洋設備に乗船しようとする任意の無許可乗り込み可能性者に対しての張り出し部分を提供する。張り出し部分は、このような乗り込み可能性者がデッキにアクセスするために船舶または海洋設備の側部を登り、安全用ブルワークの上に登るのを非常に困難なものとする。
【0011】
マウンドの下側部分およびそれが安全用ブルワークに対して提供する張り出し部分が、安全用ブルワークをその高さ方向において凸形にする。しかし、既知の種類の安全用ブルワークとは異なり、安全用ブルワークの前面上のマウンドも安全用ブルワークの幅方向において凸形であることから、マウンドが2つの異なる方向において凸形となる。凸形のこの組み合わせにより、その高さ方向のみにおいて凸形である既知の種類の安全用ブルワークと比較して安全用ブルワークの強度および剛性が改善され、また、このような既知の種類の安全用ブルワークよりも強度重量比が向上する。また、安全用ブルワークの強度および剛性が増すことで、波からの衝撃に抵抗することがより可能となり、ここでは波が安全用ブルワークの前面上にマウンドの二重の凸形によって分散される。
【0012】
さらに、安全用ブルワークの前面上のマウンドが安全用ブルワークの幅方向において凸形であるという事実により、無許可乗り込み可能性者を妨害するための本発明の安全用ブルワークの能力も大幅に向上する。例えば、無許可乗り込み可能性者が、はしごまたはクライミングポールを、その幅方向において凸形ではない既知の種類の安全用ブルワークに対してもたせかけるのに対して、無許可乗り込み可能性者が本発明の安全用ブルワークに対してはしごまたはクライミングポールをもたせかけようとする場合、はしごまたはクライミングポールは傾向として安全用ブルワークの前面上のマウンドの一方側に摺動し、安全用ブルワークにもたせかけられ得ない。安全用ブルワークの幅方向におけるマウンドの凸形はまた、傾向として、はしごを摺動させるときにはしごを捻じらせる。言い換えると、安全用ブルワークの幅方向におけるマウンドの凸形が非平坦の表面を提供し、波および波のうねり(swell)の周りで動かされている特にはボートから、安全用ブルワークに対して物をもたせかけることが非常に困難となる。
【0013】
好適には、マウンドが安全用ブルワークの前面に対して60度から82の間で傾斜する側面を有する。マウンドの側面というのは、外辺部ガードレールの外側に安全用ブルワークが設置されている場合のマウンドの下側部分または上方を向く表面ではない、マウンドの表面を意味する。マウンドの側面が約60度を超えて傾斜する場合、これにより、非平坦の表面を提供するためのマウンドの能力が向上し、さらには安全用ブルワークの全体の強度および剛性も向上する。一方で、マウンドの側面を約82度未満で傾斜させることにより、マウンドが、乗り込み可能性者によりはしごまたはロープを掛着させることができるような突出部となることの危険が回避される。さらに、より好適には、側面は安全用ブルワークの前面に対して約70度から80度の間で傾斜されるべきである。
【0014】
好適には、マウンドが安全用ブルワークの前面から外側に400mmを超えて突出する。これにより、マウンドの下側部分によって設けられる張り出し部分を乗り込み可能性者が乗り越えることがより困難となり、さらには安全用ブルワークの全体の深さが増大し、横切ることがより困難となる。
【0015】
好適には、マウンドは安全用ブルワークの前面からその最も突出したところの幅が300mmを超えない。これにより、一般には幅が300mmを超えるはしごがマウンドにもたせかけられ得ず、また、上述したように、もたせかけられ得る場合でも、安全用ブルワークの幅方向におけるマウンドの凸形によりマウンドの一方側に傾向として摺動してしまう。
【0016】
好適には、マウンドが、安全用ブルワークの側方縁部から150mm以下で、安全用ブルワークの前面から隆起する。したがって、本発明による2つの安全用ブルワークが互いに並ぶように隣接して配置される場合、1つの安全用ブルワーク上のマウンドと隣接する安全用ブルワーク上のマウンドとの間の隙間が300mm未満であり、これは、無許可乗り込み可能性者が2つのマウンドの間に自分の肩を押し込むのを可能にするような十分な広さではなく、それにより船舶または海洋設備のデッキに無許可乗り込み可能性者がアクセスしようとするのを妨害する。また、300mmは2つのマウンドの間に無許可乗り込み可能性者が一般に幅が300mmを超えるはしごを装着するのを可能にするには狭すぎる。
【0017】
安全用ブルワークの前面が、一列状に隣り合うように配置される2つ以上のこのようなマウンドを備えることができる。したがって、安全用ブルワークが、例えば一列状に隣り合うように配置される2つまたは3つのこのようなマウンドを備えることができる。これにより、対応して、安全用ブルワークの幅が増大し、したがって外辺部ガードレールの長さ方向に沿って複数のこのような安全用ブルワークを設置する速度が増し、その単純さも増す。
【0018】
好適には、安全用ブルワークの前面が、谷部によって分割されるこのような一対のマウンドを備え、谷部の最も深い部分が一対のマウンドの間で幅が300mm以下である。したがって、安全用ブルワークが2つ以上のマウンドを備える場合、一対のこのようなマウンドの間の任意の谷部がやはり、無許可乗り込み可能性者が自分の肩を2つのマウンドの間に押し込むのを可能にするようなまたは2つのマウンドの間にはしごをもたせかけるのを可能にするような十分な広さではない。その理由は、上述したように、はしごの幅が一般に300mmを超えるからである。
【0019】
好適には、谷部の最も深い部分が湾曲する。これには、安全用ブルワークの幅方向におけるマウンドの凸形と同様に、以下のような複数の利点がある。1つは、これが安全用ブルワーク全体の強度および剛性を向上させるのを補助することである。もう1つは、これがまた、安全用ブルワークに対してはしごをもたせかけるのを非常に困難なものとするような非平坦の表面を提供することであり、はしごがもたせかけられる場合にはこのような非平坦の表面がはしごを捻じらせる。
【0020】
好適には、谷部の最も深い部分が安全用ブルワークの前面の上方で150mmを超える。これにより、谷部が存在することにより安全用ブルワークが前方から後方の方向において狭くなるような場合でも、谷部が、谷部の各側のマウンドの下側部分により安全用ブルワークに提供される張り出し部分に寄与する下側部分を有する。谷部の下でも張り出し部分が連続することにより、乗り込み可能性者が船のデッキにアクセスするために安全用ブルワークの上を上ることが非常に困難なものとなる。より好適には、谷部の最も深い部分が安全用ブルワークの前面の上方で200mmを超え、それにより張り出し部分の効果をさらに改善する。
【0021】
好適には、安全用ブルワークが安全用ブルワークの前面を通るように形成されるアイレットを有し、ここでは、アイレットが谷部の最も深い部分に実質的に位置合わせされる。アイレットが、安全用ブルワークおよび外辺部ガードレールの両方の周りで、アイレットを通って締結部材を通過させることにより安全用ブルワークを外辺部ガードレールに取り付けることを可能となる。アイレットを谷部の最も深い部分に位置合わせすることにより、締結部材が安全用ブルワークおよび外辺部ガードレールの両方の周りの最も短い経路に沿うようになり、それにより谷部の各側で一対のマウンドにより定位置で保持される。好適には、アイレットの直径が約20mmから約22mmである。
【0022】
好適には、安全用ブルワークが安全用ブルワークの前面に対して実質的に垂直に方向付けられる側方面をさらに備え、ここでは、側方面が安全用ブルワークを隣接する安全用ブルワークに接続するための接続部位を備える。したがって、例えばガードレール内の隙間またはガードレールの邪魔になっている障害物を理由として、安全用ブルワークが外辺部ガードレールに直接に設置され得ない場合でも、安全用ブルワークがガードレールの外側の同じロケーションに配置され得、外辺部ガードレールに設置され得る隣接する安全用ブルワークに接続されることによりそのロケーションで固定的に設置され得る。
【0023】
別法として、安全用ブルワークが、好適には、互いに対して実質的に垂直に方向付けられる左側側方面および右側側方面をさらに備え、左側側方面および右側側方面の少なくとも一方が安全用ブルワークを隣接する安全用ブルワークに接続するための接続部位を備える。垂直の左側および右側側方面が安全用ブルワークを船舶または海洋設備の外辺部ガードレールの隅部に位置させるのを可能にし、この隅部では、ガードレールの第1の実質的に直線の延在部分がガードレールの第2の実質的に直接の延在部分と交わり、また、安全用ブルワークの左側が、ガードレールの第1の延在部分上の隅部の近くに位置する第1の隣接する安全用ブルワークに傍に配置されることが可能となり、安全用ブルワークの右側が第2の延在部分上の隅部の近くに位置する第2の隣接する安全用ブルワークの傍に配置されることが可能となる。したがって、隅部のところに位置する安全用ブルワークが接続部位を介して隣接する安全用ブルワークの一方または両方に接続され得る。これは、安全用ブルワークが外辺部ガードレールの隅部に直接に設置され得ない場合でも、安全用ブルワークが隅部のところに位置することができ、隣接する安全用ブルワークの一方または両方に接続されることによりそのロケーションに固定的に設置され得る、という利点がある。
【0024】
好適には、安全用ブルワークが同様の安全用ブルワークの前面上のマウンドを受けることができる凹部を備える後部を有し、それにより、安全用ブルワークが一体に入れ子状となり得る。安全用ブルワークの後部とは、船舶または海洋設備の外辺部ガードレールの外側に安全用ブルワークが設置される場合に、船舶または海洋設備のデッキの方を向く安全用ブルワークの部分を意味する。安全用ブルワークの後部は、他には、船舶または海洋設備上での安全用ブルワークの使用時にデッキの方を向くことを意図される安全用ブルワークの部分であることをみなされ得る。安全用ブルワークがちょうど説明したような後部を有する場合、複数のこのような安全用ブルワークが迅速で容易な移送のために一体に入れ子状となり得る。例えば、10個または15個また最大20個のこのような安全用ブルワークが一体に入れ子状となり得、パレット上に積み重ねられ得、次いで、複数のこのようなパレットがフォークリフトトラックを使用して迅速かつ容易には配送コンテナ内に入れられ、それにより、潜在的には、船舶または海洋設備の全体の外辺部を守るのに十分な安全用ブルワークを単一の配送コンテナ内で提供する。
【0025】
安全用ブルワークがこのような凹部を備える後方部分を有する場合、好適には、凹部が安全用ブルワークの前面上のマウンドの内部表面によって形成され、マウンドが、外辺部ガードレールの隅部を受けるように凹部を適合させる隆起クレストをさらに備える。凹部が安全用ブルワークの前面上のマウンドの内部表面によって形成される場合、安全用ブルワークが例えば回転成形により単層材料で作られ得、それにより安全用ブルワークに良好な強度重量比が与えられ、安全用ブルワークが軽量となり、取り扱いが容易になる。しかし、このような場合、安全用ブルワークが外辺部ガードレールの隅部に配置される場合、ガードレールの突出する隅部がマウンドの内部表面に衝突する危険がある。したがって、ガードレールの隅部を受けるように凹部を適合させる隆起クレストをマウンドに与えることでこの危険が取り除かれる。
【0026】
好適には、安全用ブルワークが、安全用ブルワークの最も高い縁部の傍で、安全用ブルワークの幅方向に延びるボアホールをさらに備える。これによりロッドがボアホールを通過することが可能となり、その結果、安全用ブルワークがロッドから垂下することにより外辺部ガードレールの外側に設置され得る。
【0027】
好適には、安全用ブルワークが外辺部ガードレールの内部に設置されるための後方パネルをさらに備え、ここでは、後方パネルが、安全用ブルワークの最も高い縁部に実質的に平行に安全用ブルワークの前面に対してヒンジ式に取り付けられる。これにより、安全用ブルワークの前面および後方パネルを互いに離してヒンジ式に取り付けることが可能となり、安全用ブルワークの前面を外辺部ガードレールの外側に置いて後方パネルを外辺部ガードレールの内部に置く形で、安全用ブルワークを迅速かつ容易に設置することが可能となる。安全用ブルワークの前面および後方パネルが再び一体にヒンジ式に取り付けられ、安全用ブルワークがガードレールに取り付けられる。
【0028】
安全用ブルワークがこのような後方パネルを備える場合、後方パネルが、好適には、ガードレールの邪魔になっている障害物を収容するためのアパーチャを備える。ガードレールのサポートステイなどのガードレールの船内側に障害物がある場合でも、後方パネル内のアパーチャが後方パネルをガードレールと面一となるようにガードレール内に設置するのを可能にし、また、このような2つの安全用ブルワークを互いに隣り合わせて当接させて設置させるのを可能にし、ここでは、障害物を収容するために安全用ブルワークの間に保護されない隙間を残す必要がない。後方パネルはまた、無許可乗り込み可能性者が安全用ブルワークの上に投げ込むような四つ爪アンカーまたはフックなどによって係止されることから外辺部ガードレールを保護するのを補助する。
【0029】
さらに、後方パネルがヒンジ式に取り付けられ、安全用ブルワークが上述したボアホールを備える場合、安全用ブルワークが、好適には、ボアホール内に配置されるロッドをさらに備え、後方パネルがロッドを中心として回転することにより安全用ブルワークの前面に対してヒンジ式に取り付けられ、ここではロッドがボアホールから取り外し可能であり、それにより後方パネルが安全用ブルワークの残りの部分から脱着可能となる。したがって、後方パネルは、ボアホールから単にロッドを取り外すことにより安全用ブルワークの残りの部分から迅速かつ容易に脱着され得、つまり、ロッドをボアホールの中に再挿入して戻すことにより安全用ブルワークの残りの部分に容易に再び取り付けられ得、ここでは、後方パネルがロッドを中心として回転するように設置される。これには複数の利点があり、以下のものが含まれる。
【0030】
1つは、これにより、それらのデッキ側に対してガードレールを露出するところにおいて安全用ブルワークに後方パネルを有させるように、および索導具などのガードレールの邪魔になっている障害物において後方パネルを使用することが必要ないかまたは後方パネルを使用することが防止されるようなところにおいて安全用ブルワークに後方パネルを有させないように、選択することにより、後方パネルを有する安全用ブルワークおよび後方パネルを有さない安全用ブルワークの混合体を外辺部ガードレールに沿わせて迅速かつ容易に設置することが可能となることである。もう1つは、これにより、例えばダメージを受けた後方パネルを取り替えるために、等しいサイズの異なる安全用ブルワークの後方パネルを互いに迅速かつ容易に交換することが可能となることである。最後は、安全用ブルワークの残りの部分とは別個に後方パネルを保管および移送することも可能となることである。したがって、安全用ブルワークが上述したように同様の安全用ブルワークの前面上のマウンドを受けることができる凹部を備える後方部分を有する場合、これにより後方パネルが安全用ブルワークの残りの部分から取り外されることが可能となり、それにより凹部を露出することが可能となり、その結果、安全用ブルワークが同様の安全用ブルワークと一体に入れ子状となり得る。
【0031】
好適には、安全用ブルワークが500mmから1000mmの間の高さを有する。より好適には、安全用ブルワークが500mmから750mmの間の高さを有する。船のガードレールの規定の高さは、ガードレールを設置しているところの船のデッキから少なくとも1メートルである。既知の種類の安全用ブルワークは一般に高さが1mを超え、その結果、そのような既知の種類の安全用ブルワークがガードレールの上に設置される場合、ガードレールが安全用ブルワークによって完全に覆われてしまい、それによりさらに船の外側の下方向にさらに延びる可能性がある。既に上述したように、これには、安全用ブルワークを設置しているところのガードレールの下かまたはそんな中をロープおよびチェーンが乗組員によって通過させられるのを防止するという欠点があり、乗組員は代わりに、傾向として、ローブおよびチェーンをデッキから安全用ブルワークの頂部の上を通過させ、それにより安全用ブルワークにダメージを与える危険があり、また可能として安全用ブルワークを設置しているところのガードレールにダメージを与える可能性がある。しかし、安全用ブルワークの高さが約1000mm未満であるが場合、またより好適には約750mm未満である場合、これにより安全用ブルワークの最も低い縁部とデッキとの間に隙間が残り、その隙間を通して乗組員がやはりロープおよびチェーンを通過させることができ、それにより安全用ブルワークにダメージを与える危険が低減され、または安全用ブルワークを設置しているところのガードレールにダメージを与える危険が低減される。
【0032】
さらに、高さが1メートルを超えしたがって安全用ブルワークを設置しているところのガードレールを完全に覆うような安全用ブルワークは、高波において波がデッキに打ち寄せる場合、そのような波からの海水が安全用ブルワークによりデッキ上に含まれる可能性があり、また船の縁部を超えて海へ戻るように流されることが防止される可能性がある、という欠点を有する。したがって、デッキ上に含まれる海水がデッキ上に飛び散る可能性があり、これは船の安定性に影響する可能性があり、「自由表面効果」として当技術分野で一般に知られる問題である。しかし、また、規定により、船のガードレール内のレールの最も低い段とデッキとの間の開口部が230mmを超えないことが求められる。したがって、安全用ブルワークが約500mmmから約1000mmの間の高さを有する場合、またより好適には約500mmから約1000mmの間の高さ、さらに好適には約500mmから約750mmの間の高さを有する場合、これにより、安全用ブルワークを設置しているところのガードレール内のレールの段の間の開口部のすべてが、レールの最も下側の段から最も上側のハンドレールまで、安全用ブルワークにより少なくとも部分的に覆われることになり、一方で、安全用ブルワークの最も下側の縁部とデッキとの間にやはり隙間を残し、それにより、デッキに打ち寄せる波からの海水が船の縁部を超えて海に流れ戻ることが可能となる。しかし、このような隙間は、以下の2つの理由から、安全用ブルワークによって提供される安全性を損なわない。1つは、船のデッキが、フィッシュプレートと呼ばれる垂直方向リップをその縁部のところに装備し、これが、レールの最も下の段とデッキとの間の隙間を無許可乗り込み可能性者から少なくとも部分的に隠すことができることである。もう1つは、船のガードレール内のレールの最も下の段がデッキの上方で230mm以下であることから、レールの最も下側の段によって妨害されることを理由として、無許可乗り込み可能性者が安全用ブルワークの最も下側の縁部とデッキとの間の隙間を通って押し入ることができないことである。
【0033】
船の上のフィッシュプレートの高さを管理する規制では、フィッシュプレートの高さが船の性質およびサイズによって決定されるとしている。しかし、好適には、安全用ブルワーク上のマウンドは、高さが約90mmから最大で400mmのフィッシュプレートを収容するように成形およびサイズ決定され、この400mmの高さは巨大タンカー(VLCC:very large crude carrier)上のフィッシュプレートの最大の高さである。
【0034】
第2の態様では、本発明がさらに、並ぶように配置されて互いに隣接する、本発明の第1の態様による複数の安全用ブルワークを備える外辺部保護システムを提供する。複数の安全用ブルワークのすべてが互いに同じであり、船舶または海洋設備上に備え付けられるのに修正を一切必要としないことから、これらは、定位置に設置すること、取り外すこと、および取り替えることが容易である。したがって、船舶または海洋設備の外辺部が、複数の安全用ブルワークをガードレールの外側に設置する形で、船舶または海洋設備の外辺部ガードレールに沿って並ぶように互いに隣接させてこれらの複数の安全用ブルワークを配置することにより、迅速かつ容易に保護され得る。
【0035】
安全用ブルワークの各々が、それぞれの安全用ブルワークを隣接する安全用ブルワークに接続するための接続部位を備えるそれぞれの側方面を有する場合、外辺部保護システムが、好適には、その側方面上のそれぞれの接続部位のところで隣接する安全用ブルワークを一体に取り付けるための少なくとも1つのコネクタをさらに備える。これにより、隣接する安全用ブルワークの間に隙間を有さない連続するバリアを提供するように隣接する安全用ブルワークを一体に取り付けることが可能となり、また、隣接する安全用ブルワークを一体に接続しない場合よりも外辺部保護システムの全体の構造完全性および強度を向上させることができる。一方で、これはまた、例えばいくつかの既知の種類の外辺部保護システムのように隣接する安全用ブルワークを重ね合わせてそれらを一体に接続するのではく、可能な限りの長さのガードレールを保護することにより最も経済的な方式で安全用ブルワークを使用する。
【0036】
外辺部保護システムが2つのみの隣接する安全用ブルワークを備えるような最小の事例では、隣接する安全用ブルワークの各々が2つの側方面を有するが、隣接する安全用ブルワークに最も近い各安全用ブルワークの側に位置するような側方面を1つのみ必要とする。しかし、外辺部保護システムが3つ以上の隣接する安全用ブルワークを備える場合、隣接する安全用ブルワークの各々が一般に2つのこのような側方面を有し、1つの側方面が隣接する安全用ブルワークの各端部のところで2つの安全用ブルワークから離間してそれぞれの安全用ブルワークの各側に位置し、これがやはり、隣接する安全用ブルワークに最も近いそれぞれの安全用ブルワークの側に位置するような1つの側方面のみを必要とする。
【0037】
安全用ブルワークの各々が上述のボアホールを備える場合、外辺部保護システムが、好適には、3つの隣接する安全用ブルワークと、3つの隣接する安全用ブルワークのうちの中央の安全用ブルワークのボアホールを通過して3つの隣接する安全用ブルワークのうちの最も左側の安全用ブルワークおよび最も右側の安全用ブルワークのそれぞれのボアホールに入るロッドとを備える。したがって、最も左側および最も右側の安全用ブルワークが船舶のガードレールに取り付けられ得、中央の安全用ブルワークがロッドから垂下する形でガードレールの外側に設置され得る。これにより中央の安全用ブルワークがフリーハンギングチェーンによって橋渡しされるガードレール内の隙間の外側に配置されることが可能となり、フリーハンギングチェーンは、したがって、安全用ブルワークを支持するのに十分な剛性を有さず、またここでは、中央の安全用ブルワークの重量が最も左側および最も右側の安全用ブルワークによって受けられることが可能となる。したがって、中央の安全用ブルワークが、隙間を横断するチェーンに取り付けられる必要なく、乗り込み可能性者に対して船内のガードレール内の隙間を保護することができ、代わりに、最も左側および最も右側の安全用ブルワークが隙間の両側で船のガードレールに固定され得る。また、隣接する安全用ブルワークの各々がそれぞれの安全用ブルワークの前面に対して実質的に垂直であるそれぞれの側方面を有する場合、中央、最も左側、および最も右側の安全用ブルワークが追加的に上述したように一体に接続され、ここでは、それらのそれぞれの側方面が互いに当接され、それによりそれらにさらに全体の構造的完全性および強度を向上させる。
【0038】
好適には、外辺部保護システムが、隣接する対の複数の安全用ブルワークの各々の間に配置されてそれらに当接されるスペーサをさらに備える。これによりスペーサの幅により外辺部保護システムの全長を増大させることが可能となり、それにより、外辺部保護システムの全長を安全用ブルワークを配置しているところの外辺部ガードレールの長さにより接近させ、ここではシステム内の安全用ブルワークを重ね合わせたりまたは修正したりすることが必要ない。
【0039】
好適には、スペーサが、隣接する対の複数の安全用ブルワークをスペーサを介して互いに接続するための貫通孔を備える。これによりスペーサが存在するにもかかわらず隣接する安全用ブルワークを一体に取り付けることが可能となり、また、スペーサがそれらの安全用ブルワークの両方に固定され得る。
【0040】
好適には、外辺部保護システムの種々の要素が、不活性プラスチック材料などの、天候および海水に対して耐性を有する1つまたは複数の材料で構築される。各々の安全用ブルワーク、ならびに任意のロッド、コネクタ、およびスペーサを含む、外辺部保護システムの主要構成要素が、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE:high density polyethylene)および/またはガラス強化ナイロンで作られ得、これらの両方がやはり高い強度および剛性を有する。
【0041】
少なくとも各安全用ブルワークの前面、さらには可能性として任意の後方パネルが、無許可乗り込み可能性者に対して外辺部保護システムの存在を知らせるために、および無許可乗り込み可能性者を船舶または海洋設備に接近させるのを抑止するために、明るい色で着色され得る。好適には、安全用ブルワークが安全なオレンジで着色される。
【0042】
第3の態様では、本発明がさらに、船舶または海洋設備の外辺部に沿って配置される本明細書で説明される外辺部保護システムを備える船舶または海洋設備を提供する。この場合、船舶または海洋設備が、外辺部保護システムによって保護されるカーゴをさらに備える。
【0043】
第4の態様では、本発明がさらに、船舶または海洋設備の外辺部を保護する方法を提供し、この方法が、船舶または海洋船舶の外辺部ガードレールに沿って、本発明の第1の態様による複数の安全用ブルワークを隣り合うように互いに隣接して配置することと、複数の安全用ブルワークのうちのいくつかの安全用ブルワークをガードレールに取り付けることと、ガードレールに取り付けられていない複数の安全用ブルワークの残りの安全用ブルワークを、ガードレールに取り付けられている複数の安全用ブルワークのうちの安全用ブルワークに接続することとを含む。したがって、船舶または海洋設備の外辺部が、複数の安全用ブルワークのうちのいくつかのみがガードレールに取り付けられる場合でも、安全用ブルワークの間に隙間を一切有さない状態で安全用ブルワークの連続する延在体によって保護され得る。
【0044】
好適には、この方法が、ガードレール内の隙間またはガードレールの邪魔になっている障害物の前にあるいはガードレールの隅部のところに、ガードレールに取り付けられていない複数の安全用ブルワークのうちの少なくとも1つの安全用ブルワークを配置することをさらに含む。前というのは、ガードレールの外側または海側を意味する。したがって、通常であれば既知の種類の安全用ブルワークをこのようなロケーションに配置するのを防止する可能性があるようなガードレール内の隙間またはガードレールの邪魔になっている障害物、さらにはガードレールの隅部が、ガードレールに取り付けられておらず代わりに複数の安全用ブルワークのうちのガードレールに取り付けられる安全用ブルワークに接続される安全用ブルワークによって架橋され得る。
【0045】
好適には、この方法が、隣接する対の複数の安全用ブルワークの各々の間に配置されてそれらに当接されるようにスペーサを配置することをさらに含む。したがって、スペーサの幅により複数の安全用ブルワークの全長が増大され得、それにより、複数の安全用ブルワークの全長を、安全用ブルワークを沿うように配置しているところの外辺部ガードレールの長さにより接近させ、ここでは安全用ブルワークを重ね合わせたりまたは修正したりすることが一切必要ない。
【0046】
好適には、この方法が、スペーサの貫通孔を使用して隣接する対の複数の安全用ブルワークを互いに接続することをさらに含み、それにより、スペーサが存在するにもかかわらず隣接する安全用ブルワークが一体に取り付けられ得、スペーサがそれらの安全用ブルワークの両方に固定され得る。
【0047】
添付図面に関連して例として与えられる以下の詳細な説明から、本発明のさらなる特徴および利点が明らかとなる。