(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シールドプリント配線板は、部品を実装するために、はんだリフロー工程等において、繰り返し加熱され、冷却されることになる。
特許文献1に記載されたシールドプリント配線板に部品を実装する際に、このように加熱及び冷却を繰り返すと、熱膨張熱収縮による体積変化が原因で、グランド部材の突起と、シールド層との接続が損なわれ抵抗値が上昇するという現象が生じることがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、任意の位置に配置できるグランド部材であって、該グランド部材を用いたシールドプリント配線板に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装する際に、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との間にずれが生じにくいグランド部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明のグランド部材は、第1主面と、上記第1主面の反対側の第2主面とを有し、かつ、導電性を有する外部接続部材からなり、上記第1主面には導電性突起があるグランド部材であって、上記導電性突起の表面には、低融点金属層が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のグランド部材は、基体フィルムとシールドフィルムとからなるシールドプリント配線板に使用されることになる。
まず、シールドプリント配線板の構成について説明する。
シールドプリント配線板において、基体フィルムは、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路と絶縁フィルムとを順次設けて形成されるフィルムである。
また、シールドフィルムは、シールド層、及び、シールド層に積層された絶縁層からなるフィルムである。
そして、シールドプリント配線板では、シールドフィルムのシールド層が絶縁層より基体フィルム側に配置されるように、シールドフィルムが基体フィルムを被覆している。
本発明のグランド部材は、本発明のグランド部材の導電性突起がシールドフィルムの絶縁層を貫くように、シールドプリント配線板に押し付けられて配置されることになる。
また、このように本発明のグランド部材をシールドプリント配線板に配置する際、シールドプリント配線板のシールドフィルムの絶縁層に孔等をあらかじめ設ける必要がなく、任意の位置に本発明のグランド部材を配置することができる。
【0010】
また、本発明のグランド部材では、導電性突起の表面には、低融点金属層が形成されている。
本発明のグランド部材をシールドプリント配線板に配置する際や、配置した後にシールドプリント配線板に部品を実装する部品実装工程では加熱も行われる。この加熱により低融点金属層が軟化し、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との密着性を向上させることができる。
そのため、本発明のグランド部材が用いられたシールドプリント配線板に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装したとしても、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との間にずれが生じにくい。
【0011】
本発明のグランド部材では、上記低融点金属層は、融点が300℃以下の金属により形成されていることが望ましい。
低融点金属層が、融点が300℃以下の金属により形成されていると、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、容易に低融点金属層が軟化し、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との密着性を好適に向上させることができる。
低融点金属層が、融点が300℃を超える金属により形成されていると、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際の加熱温度が高くなる。そのため、グランド部材や、シールドプリント配線板が熱によるダメージを受けやすくなる。
【0012】
本発明のグランド部材では、上記低融点金属層の厚さは、0.1〜50μmであることが望ましい。
低融点金属層の厚さが、0.1μm未満であると、低融点金属層を構成する金属の量が少ないので、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との密着性が向上しにくくなる。
低融点金属層の厚さが、50μmを超えると、低融点金属層が厚いため、グランド部材の導電性突起が太くなる。そのため、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、シールドフィルムの絶縁層を貫きにくくなる。
【0013】
本発明のグランド部材では、上記低融点金属層は、フラックスを含むことが望ましい。
低融点金属層がフラックスを含むことにより、低融点金属層を構成する金属が軟化する際に、低融点金属層を構成する金属と、グランド部材の導電性突起、及び、シールドフィルムのシールド層とが密着しやすくなる。
その結果、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との密着性をより向上させることができる。
【0014】
本発明のグランド部材では、上記外部接続部材は、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は、グランド部材と外部グランドとを電気的に接続するために適した材料である。
【0015】
本発明のグランド部材では、上記第2主面には、耐腐食層が形成されていることが望ましい。
グランド部材の第2主面に耐腐食層が形成されていると、グランド部材が腐食することを防止することができる。
【0016】
本発明のグランド部材では、上記耐腐食層は、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は腐食しにくい。そのため、これらの材料は、本発明のグランド部材の耐腐食層に適した材料である。
【0017】
本発明のグランド部材では、上記導電性突起は柱状であってもよい。
導電性突起が柱状であると、グランド部材をシールドフィルムの絶縁層に押し付ける際に、絶縁層を貫きやすくなる。
【0018】
本発明のグランド部材では、上記導電性突起の底面の面積は、1.0〜1.0×10
6μm
2であることが望ましい。
導電性突起の底面の面積が1.0μm
2未満であると、導電性突起の強度が弱くなり、導電性突起が折れやすくなる。導電性突起が折れると、導電性突起と外部接続部材との電気的接続が切れてしまう。また、このように細い導電性突起を形成することは技術的に難しい。
導電性突起の底面の面積が1.0×10
6μm
2を超えると、導電性突起が太すぎるので、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、シールドフィルムの絶縁層を貫きにくくなる。
【0019】
本発明のグランド部材では、上記導電性突起同士のピッチは、1〜1000μmであることが望ましい。
導電性突起同士のピッチが1μm未満であるグランド部材は、作製することが技術的に難しい。
導電性突起同士のピッチが1000μmを超えると、導電性突起の密度が低くなり、導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との総接触面積が小さくなる。そのため、導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との密着性が低下しやすくなる。
【0020】
本発明のグランド部材では、上記外部接続部材は上記第1主面側が突出するように屈曲しており、突出した上記外部接続部材の一部が上記導電性突起となっていてもよい。
このような形状のグランド部材は、外部接続部材を折り曲げるだけで容易に作製することができる。
【0021】
本発明のシールドプリント配線板は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路と絶縁フィルムとを順次設けてなる基体フィルムと、シールド層、及び、上記シールド層に積層された絶縁層からなり、上記シールド層が上記絶縁層よりも上記基体フィルム側に配置されるように上記基体フィルムを被覆するシールドフィルムと、上記シールドフィルムの絶縁層の上に配置されたグランド部材とを備えるシールドプリント配線板であって、上記グランド部材は、第1主面と、上記第1主面の反対側の第2主面とを有し、かつ、導電性を有する外部接続部材と、上記第1主面側に配置された導電性突起とからなり、上記導電性突起の表面には、低融点金属層が形成されており、上記グランド部材の導電性突起は、上記シールドフィルムの絶縁層を貫いており、上記グランド部材の低融点金属層は、上記シールドフィルムのシールド層に接続しており、上記グランド部材の外部接続部材は、外部グランドと電気的に接続可能になっていることを特徴とする。
【0022】
本発明のシールドプリント配線板には、第1主面と、上記第1主面の反対側の第2主面とを有し、かつ、導電性を有する外部接続部材と、上記第1主面側に配置された導電性突起とからなり、上記導電性突起の表面には、低融点金属層が形成されているグランド部材、すなわち、本発明のグランド部材が用いられている。従って、本発明のシールドプリント配線板に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装したとしても、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層との間にずれが生じにくい。
【0023】
本発明のシールドプリント配線板では、上記シールドフィルムは、接着剤層と、上記接着剤層に積層された上記シールド層と、上記シールド層に積層された上記絶縁層とからなり、上記シールドフィルムの接着剤層は、上記基体フィルムと接触していることが望ましい。
シールドフィルムが接着剤層を有すると、シールドプリント配線板の製造時に、容易にシールドフィルムを基体フィルムに接着させることができる。
【0024】
本発明のシールドプリント配線板では、上記シールドフィルムの接着剤層は、導電性接着剤層であることが望ましい。
シールドフィルムの接着剤層が導電性接着剤層であると、グランド部材の導電性突起が、シールドフィルムの絶縁層を貫通することで、グランド部材の導電性突起と導電性接着剤層とが接触し、グランド部材の外部接続部材と基体フィルムのグランド回路とを電気的に接続することができる。
【0025】
本発明のシールドプリント配線板では、上記シールドフィルムのシールド層は、金属からなることが望ましい。
金属は、電磁波をシールドするシールド層として好適に機能を発揮する。
【0026】
本発明のシールドプリント配線板において、上記シールドフィルムでは、上記接着剤層と上記シールド層との間及び/又は上記シールド層と上記絶縁層との間にはシールドフィルムの低融点金属層が形成されており、上記シールドフィルムの低融点金属層は、上記グランド部材の導電性突起と接続していることが望ましい。
このような構成であると、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との密着性や、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムの接着剤層との密着性を向上させることができる。
【0027】
本発明のシールドプリント配線板では、上記シールドフィルムのシールド層は、導電性接着剤層であり、上記導電性接着剤層は、上記基体フィルムと接触していてもよい。
シールド層が導電性接着剤層である場合、シールド層は、シールドフィルムを基体フィルムに接着するための機能と、電磁波をシールドする機能の両方を備えることになる。
【0028】
本発明のシールドプリント配線板において、上記シールド層と上記絶縁層との間にはシールドフィルムの低融点金属層が形成されており、上記シールドフィルムの低融点金属層は、上記グランド部材の導電性突起と接続していることが望ましい。
このような構成であると、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との密着性を向上させることができる。
【0029】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路と絶縁フィルムとを順次設けてなる基体フィルムと、シールド層、及び、上記シールド層に積層された絶縁層を有するシールドフィルムと、上記シールドフィルムの絶縁層の上に配置された上記本発明のグランド部材とを備えるシールドプリント配線板の製造方法であって、上記シールドフィルムの絶縁層より上記基体フィルム側に上記シールドフィルムのシールド層が配置されるように、上記シールドフィルムを上記基体フィルムに載置するシールドフィルム載置工程と、上記グランド部材の導電性突起が上記シールドフィルムの絶縁層側を向くように、上記グランド部材を前記シールドフィルムに配置するグランド部材配置工程と、上記グランド部材の導電性突起が上記シールドフィルムの絶縁層を貫通するように上記グランド部材を加圧する加圧工程と、上記グランド部材の低融点金属層を上記シールドフィルムのシールド層に接続させるために、上記グランド部材の低融点金属層を加熱して軟化させる加熱工程と、を有することを特徴とする。
【0030】
上記本発明のグランド部材を用いることにより、本発明のシールドプリント配線板を製造することができる。
【0031】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記加圧工程及び上記加熱工程を同時に行ってもよい。
これら工程を同時に行うことにより、製造効率を向上させることができる。
【0032】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルムは、接着剤層と、上記接着剤層に積層された上記シールド層と、上記シールド層に積層された上記絶縁層とからなることが望ましい。
シールドフィルムが接着剤層を有すると、シールドフィルム載置工程において、容易にシールドフィルムを基体フィルムに接着させることができる。
【0033】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルムの接着剤層は、導電性接着剤層であることが望ましい。
シールドフィルムの接着剤層が導電性接着剤層であると、シールドフィルムの絶縁層にグランド部材の導電性突起を貫通させることで、グランド部材の導電性突起と導電性接着剤層とを接触させることができ、グランド部材の外部接続部材と基体フィルムのグランド回路とを電気的に接続することができる。
【0034】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルムのシールド層は、金属からなることが望ましい。
金属は、電磁波をシールドするシールド層として好適に機能を発揮する。
【0035】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルムにおいて、上記接着剤層と上記シールド層との間及び/又は上記シールド層と上記絶縁層との間にはシールドフィルムの低融点金属層が形成されており、上記加熱工程では、上記シールドフィルムの低融点金属層を軟化させて、上記グランド部材の導電性突起と接続させることが望ましい。
このようにすることで、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との密着性や、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムの接着剤層との密着性を向上させることができる。
【0036】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルムのシールド層は、導電性接着剤層であってもよい。
シールド層が導電性接着剤層であると、シールド層は、シールドフィルムを基体フィルムに接着するための機能と、電磁波をシールドする機能の両方を備えることになる。
【0037】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルムにおいて、上記シールド層と上記絶縁層との間にはシールドフィルムの低融点金属層が形成されており、上記加熱工程では、上記シールドフィルムの低融点金属層を軟化させて、上記グランド部材の導電性突起と接続させることが望ましい。
このようにすることで、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との密着性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明のグランド部材をシールドプリント配線板に配置する際、シールドプリント配線板のシールドフィルムの絶縁層に孔等をあらかじめ設ける必要がなく、任意の位置に本発明のグランド部材を配置することができる。
また、本発明のグランド部材が用いられたシールドプリント配線板に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装する際に、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層や接着剤層との間にずれが生じることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明のグランド部材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0041】
(第一実施形態)
まず、本発明の第一実施形態に係るグランド部材について説明する。
図1は、本発明のグランド部材の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、グランド部材1は、第1主面11と、第1主面11の反対側の第2主面12とを有し、かつ、導電性を有する外部接続部材10を備えている。
また、第1主面11には、導電性突起20が形成されている。
さらに、導電性突起20の表面には、低融点金属層21が形成されている。
【0042】
グランド部材1は、基体フィルムとシールドフィルムとからなるシールドプリント配線板に使用されることになる。
【0043】
以下、シールドプリント配線板の構成について図面を用いて説明する。
図2は、本発明のグランド部材が使用されるシールドプリント配線板の一例を模式的に示す断面図である。
【0044】
図2に示すように、シールドプリント配線板50は、基体フィルム60とシールドフィルム70とからなる。
シールドプリント配線板50において、基体フィルム60は、ベースフィルム61上にグランド回路62aを含むプリント回路62と絶縁フィルム63とを順次設けてなるフィルムである。
また、シールドフィルム70は、接着剤層71、接着剤層71に積層されたシールド層72、及び、シールド層72に積層された絶縁層73からなるフィルムである。
そして、シールドプリント配線板50では、シールドフィルム70の接着剤層71が基体フィルム60と接するように、シールドフィルム70が基体フィルム60を被覆している。
なお、シールドフィルム70の接着剤層71は導電性接着剤層である。
【0045】
次に、グランド部材1が、シールドプリント配線板50に使用される場合を、図面を用いて説明する。
図3(a)及び(b)は、本発明のグランド部材が、シールドプリント配線板に使用される場合の一例を模式的に示す模式図である。
図3(a)及び(b)に示すように、グランド部材1は、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム70の絶縁層73を貫くように、シールドプリント配線板50に押し付けられて配置されることになる。
そして、
図3(a)に示すように、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム70のシールド層72を貫くようにさらにグランド部材1を押し付け、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70の接着剤層71とを接触させてもよい。
また、
図3(b)に示すように、グランド部材1の導電性突起20を、シールドフィルム70のシールド層72のみと接触させてもよい。
接着剤層71は導電性接着剤層であるので、導電性突起20を接着剤層71及びシールド層72と接触させることにより、又は、導電性突起20をシールド層72と接触させることによりグランド部材1の外部接続部材10と、基体フィルム60のグランド回路62aとを電気的に接続することができる。
また、グランド部材1の外部接続部材10は、外部グランドGNDに接続されることになる。
【0046】
このようにグランド部材1をシールドプリント配線板50に配置するので、シールドプリント配線板50のシールドフィルム70の絶縁層73に孔等をあらかじめ設ける必要がなく、任意の位置にグランド部材1を配置することができる。
【0047】
また、グランド部材1では、導電性突起20の表面には、低融点金属層21が形成されている。
グランド部材1を、シールドプリント配線板50に配置する際や、配置した後の部品実装工程では加熱も行われる。この加熱により低融点金属層21が軟化し、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70のシールド層72との密着性や、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70の接着剤層71との密着性を向上させることができる。
そのため、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板50に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装したとしても、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム70のシールド層72や接着剤層71との間にずれが生じにくい。その結果、基体フィルム60のグランド回路62a−外部グランドGND間の電気抵抗の増加を抑えることができる。
なお、シールド層72を構成する金属と、導電性突起20の表面の低融点金属層21を構成する金属とが合金を形成できる場合、これらが合金を形成することで、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70のシールド層72との密着性がより向上する。
【0048】
なお、低融点金属層21は、グランド部材1の導電性突起20をシールド層72と接続させた後、シールドプリント配線板に部品を実装させる工程で軟化させてもよい。
例えば、部品を実装させるためにはんだを用いる場合には、はんだリフロー工程を行うことになる。この場合、リフロー時の熱によって低融点金属層21を軟化させることができる。
【0049】
グランド部材1では、低融点金属層21は、融点が300℃以下の金属により形成されていることが望ましい。
低融点金属層21が、融点が300℃以下の金属により形成されていると、グランド部材1をシールドプリント配線板50に配置する際に、容易に低融点金属層21が軟化し、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム70のシールド層72や接着剤層71との密着性を好適に向上させることができる。
低融点金属層が、融点が300℃を超える金属により形成されていると、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際の加熱温度が高くなる。そのため、グランド部材や、シールドプリント配線板が熱によるダメージを受けやすくなる。
【0050】
グランド部材1では、低融点金属層21を形成する金属は、特に限定されないが、インジウム、錫、鉛及びビスマスからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの金属は、低融点金属層21を形成する上で、適した融点及び導電性を備える。
【0051】
グランド部材1では、低融点金属層21の厚さは、0.1〜50μmであることが望ましい。
低融点金属層の厚さが、0.1μm未満であると、低融点金属層を形成する金属の量が少ないので、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層や接着剤層との密着性が向上しにくくなる。
低融点金属層の厚さが、50μmを超えると、低融点金属層が厚いため、グランド部材の導電性突起が太くなる。そのため、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、シールドフィルムの絶縁層を貫きにくくなる。
【0052】
グランド部材1では、低融点金属層21は、フラックスを含むことが望ましい。
低融点金属層21がフラックスを含むことにより、低融点金属層21を構成する金属が軟化する際に、低融点金属層21を構成する金属と、グランド部材1の導電性突起20、及び、シールドフィルム70のシールド層72や接着剤層71とが密着しやすくなる。
その結果、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム70のシールド層72や接着剤層71との密着性をより向上させることができる。
【0053】
フラックスとしては、特に限定されないが、多価カルボン酸、乳酸、クエン酸、オレイン酸、ステアリン酸、グルタミン酸、安息香酸、グリセリン、ロジン等公知のものを用いることができる。
【0054】
グランド部材1では、外部接続部材10は、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は、グランド部材1と外部グランドGNDとを電気的に接続するために適した材料である。
【0055】
低融点金属層21が錫又はその合金からなる場合、導電性突起20の表面には、ニッケルが存在することが望ましい。すなわち、導電性突起20の表面がニッケル層で覆われ、その上に低融点金属層21があることが望ましい。
低融点金属層21が錫又はその合金からなる場合、低融点金属層21と導電性突起20の表面の金属が合金を形成することがある。
しかし、導電性突起20の表面にニッケルが存在することで、低融点金属層21を構成する錫が導電性突起20を構成する金属と合金を形成することを防ぐことができる。その結果、低融点金属層21を構成する錫が効率良くシールド層と合金を形成することができる。そのため、低融点金属層21に用いる錫の量を少なくすることができる。
【0056】
グランド部材1では、第2主面12には、耐腐食層が形成されていることが望ましい。
グランド部材1の第2主面12に耐腐食層が形成されていると、グランド部材1が腐食することを防止することができる。
【0057】
グランド部材1では、耐腐食層は、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は腐食しにくい。そのため、これらの材料は、グランド部材1の耐腐食層に適した材料である。
【0058】
グランド部材1では、導電性突起20は柱状であってもよく、例えば、円柱、楕円柱、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、八角柱等であってもよい。
導電性突起20が柱状であると、グランド部材1をシールドフィルム70の絶縁層73に押し付ける際に、絶縁層73を貫きやすくなる。
【0059】
グランド部材1では、導電性突起20の底面の面積は、1.0〜1.0×10
6μm
2であることが望ましい。
導電性突起の底面の面積が1.0μm
2未満であると、導電性突起の強度が弱くなり、導電性突起が折れやすくなる。導電性突起が折れると、導電性突起と外部接続部材との電気的接続が切れてしまう。そのため、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗が高くなりやすい。また、このように細い導電性突起を形成することは技術的に難しい。
導電性突起の底面の面積が1.0×10
6μm
2を超えると、導電性突起が太すぎるので、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、シールドフィルムの絶縁層を貫きにくくなる。
【0060】
グランド部材1では、導電性突起同士のピッチは、1〜1000μmであることが望ましい。
導電性突起同士のピッチが1μm未満であるグランド部材は、作製することが技術的に難しい。
導電性突起同士のピッチが1000μmを超えると、導電性突起の密度が低くなり、導電性突起と、シールドフィルムのシールド層や接着剤層との総接触面積が小さくなる。そのため、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗が高くなりやすくなる。
【0061】
次に、本発明のグランド部材の製造方法の一例を説明する。
本発明のグランド部材の製造方法は、(1)基体準備工程、(2)導電性突起形成工程、及び、(3)低融点金属層形成工程を含む。
【0062】
以下、各工程について図面を用いて説明する。
図4(a)〜(d)は、本発明のグランド部材の製造方法の一例を工程順に模式的に示す工程図である。
【0063】
(1)基体準備工程
まず、
図4(a)に示すように、グランド部材の基体となる金属箔2を準備する。
金属箔2は、上記グランド部材の外部接続部材の材料の説明において説明した金属であることが望ましい。
【0064】
(2)導電性突起形成工程
次に、
図4(b)に示すように、金属箔2の一方の主面を、導電性突起を形成するためのエッチングレジスト91によりマスクする。
【0065】
次に、
図4(c)に示すように、金属箔2をエッチングする。
エッチングに用いるエッチング液としては、金属箔の素材等に合わせ適宜選択することが望ましい。
例えば、金属箔が銅箔である場合、エッチング液としては、過硫酸ナトリウム水溶液、過酸化水素水と硫酸の混合液、塩化鉄水溶液、塩化銅水溶液等を用いることが望ましい。
本工程によりグランド部材1の外部接続部材10及び導電性突起20を形成することができる。
【0066】
(3)低融点金属層形成工程
次に、
図4(d)に示すように、導電性突起20の表面に低融点金属層21を形成する。
低融点金属層21を形成する方法は特に限定されないが、めっき法等を採用することができる。
例えば、外部接続部材10及び導電性突起20が銅からなり、錫をめっきする場合、無電解めっきや電解めっきを用いることができる。
【0067】
以上の工程を経て、グランド部材1を製造することができる。
【0068】
次に、グランド部材1を用いたシールドプリント配線板の製造方法を説明する。
なお、このシールドプリント配線板の製造方法は、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例でもある。
【0069】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路と絶縁フィルムとを順次設けてなる基体フィルムと、シールド層、及び、上記シールド層に積層された絶縁層を有するシールドフィルムと、上記シールドフィルムの絶縁層の上に配置された上記グランド部材1とを備えるシールドプリント配線板の製造方法であって、(1)シールドフィルム載置工程、(2)グランド部材配置工程、(3)加圧工程、及び、(4)加熱工程を含む。
【0070】
以下、各工程について図面を用いて説明する。
図5は、本発明のシールドプリント配線板の製造方法のシールドフィルム載置工程の一例を模式的に示す工程図である。
図6は、本発明のシールドプリント配線板の製造方法のグランド部材配置工程の一例を模式的に示す工程図である。
図7は、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の加圧工程の一例を模式的に示す工程図である。
図8は、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の加熱工程の一例を模式的に示す工程図である。
【0071】
(1)シールドフィルム載置工程
本工程では、まず、ベースフィルム61上にグランド回路62aを含むプリント回路62と絶縁フィルム63とを順次設けてなる基体フィルム60を準備する。
また、導電性接着剤層である接着剤層71、接着剤層71に積層されたシールド層72、及び、シールド層72に積層された絶縁層73からなるシールドフィルム70も準備する。
そして、
図5に示すように、基体フィルム60上にシールドフィルム70の接着剤層71が接するようにシールドフィルム70を載置し、シールドプリント配線板50(
図6参照)を作製する。
【0072】
基体フィルム60を構成するベースフィルム61及び絶縁フィルム63の材料は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチックからなることが望ましい。このようなエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が挙げられる。
また、これらのエンジニアリングプラスチックの内、難燃性が要求される場合には、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく、耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが望ましい。なお、ベースフィルム61の厚みは、10〜40μmであることが望ましく、絶縁フィルム63の厚みは、10〜30μmであることが望ましい。
【0073】
また、絶縁フィルム63には、プリント回路62の一部を露出させるための穴部63aが形成されている。
穴部63aの形成方法は特に限定されず、レーザー加工等の従来の方法を採用することができる。
【0074】
シールドフィルム70の接着剤層71は、樹脂と導電性微粒子とからなる導電性接着剤層である。
【0075】
接着剤層71を構成する樹脂としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、熱可塑性エラストマ系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等であることが望ましい。
また、接着剤層71には、脂肪酸炭化水素樹脂、C5/C9混合樹脂、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、熱反応性樹脂等の粘着性付与剤が含まれていてもよい。これら粘着性付与剤が含まれていると、接着剤層71の粘着性を向上させることができる。
【0076】
接着剤層71を構成する導電性微粒子としては、特に限定されないが、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コート銅粉(AgコートCu粉)、金コート銅粉、銀コートニッケル粉(AgコートNi粉)、金コートニッケル粉があり、これら金属粉は、アトマイズ法、カルボニル法などにより作製することができる。また、上記以外にも、金属粉に樹脂を被覆した粒子、樹脂に金属粉を被覆した粒子を用いることもできる。なお、導電性微粒子は、AgコートCu粉、又は、AgコートNi粉であることが好ましい。この理由は、安価な材料により導電性の安定した導電性微粒子を得ることができるからである。
なお、導電性微粒子の形状は、球状に限定される必要はなく、例えば、樹枝状、フレーク状、スパイク状、棒状、繊維状、針状等であってもよい。また、導電性微粒子の表面には、低融点金属層を設けることができる。この場合の低融点金属層には、上記したものを使用することができる。
【0077】
シールドフィルム70の接着剤層71は導電性接着剤層であるので、グランド部材1の導電性突起20が、シールドフィルム70の絶縁層73を貫通することで、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70のシールド層72及び接着剤層71とが接触し、又は、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70のシールド層72とが接触しグランド部材1の外部接続部材10と基体フィルム60のグランド回路62aとを電気的に接続することができる。
【0078】
さらに、接着剤層71は異方導電性接着剤層であってもよく、等方導電性接着剤層であってもよいが、異方導電性接着剤層であることがより望ましい。
接着剤層71が、異方導電性接着剤層である場合、導電性微粒子は、接着剤層71の全体量に対し3〜39重量%の範囲で含まれることが望ましい。また、導電性微粒子の平均粒子径は2〜20μmの範囲が望ましいが、異方導電性接着剤層の厚さに応じて最適な大きさを選択することが望ましい。
また、接着剤層71が、等方導電性接着剤層である場合、導電性微粒子は、接着剤層71の全体量に対し39重量%を超えて95重量%以下の範囲で含まれることが望ましい。導電性微粒子の平均粒子径は、異方導電性接着剤層と同様にして選択することができる。
【0079】
シールドフィルム70のシールド層72は、電気信号からの不要輻射や外部からの電磁波などのノイズを遮蔽するシールド効果を示せばどのような材料からなっていてもよい。例えば、シールド層72は、等方導電性樹脂や、金属からなっていてもよい。
シールド層72が金属からなる場合、金属箔や蒸着膜等の金属層であってもよく、層状に形成された導電性粒子の集合体であってもよい。シールド層72が金属層である場合には、金属を構成する材料としては、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
シールド層72が導電性粒子の集合体である場合には、上記した導電性微粒子を用いることができる。
これらの材料は導電性が高くシールド層として適した材料である。
【0080】
シールドフィルム70のシールド層72の厚さとしては、0.01〜10μmであることが望ましい。
シールド層の厚さが0.01μm未満では、充分なシールド効果が得られにくい。
シールド層の厚さが10μmを超えると屈曲しにくくなる。
【0081】
シールドフィルム70の絶縁層73の材料としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂等であることが望ましい。
【0082】
シールドフィルム70の絶縁層73の厚さとしては、1〜10μmであることが望ましい。
【0083】
(2)グランド部材配置工程
本工程では、
図6に示すように、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム70の絶縁層73側を向くように、グランド部材1をシールドフィルム70に配置する。
【0084】
(3)加圧工程
本工程では、
図7に示すように、グランド部材1の外部接続部材10を基体フィルム60のグランド回路62aと電気的に接続させるために、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム70の絶縁層73を貫通するようにグランド部材1を加圧する。これにより、グランド部材1の導電性突起20は、シールドフィルム70の接着剤層71及びシールド層72と接触することになる。
加圧の際の圧力は、0.5MPa〜10MPaであることが望ましい。
なお、本工程では、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム70の絶縁層73のみを貫き、グランド部材1の導電性突起20をシールドフィルム70のシールド層72のみと接触させてもよい。
【0085】
(4)加熱工程
本工程では、
図8に示すように、グランド部材1の低融点金属層21をシールドフィルム70のシールド層72に接続させるために、グランド部材1の低融点金属層21を加熱して軟化させる。
グランド部材1の低融点金属層21を軟化させる際の温度は、特に限定されないが、100〜300℃であることが望ましい。
これにより、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70のシールド層72との密着性や、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム70の接着剤層71との密着性を向上させることができる。
【0086】
なお、本発明のシールドプリント配線板の製造方法において、加熱工程は、グランド部材の導電性突起の低融点金属層を軟化させて、シールドフィルムのシールド層と接続させることができれば、どの段階で行ってもよい。
例えば、上記加圧工程と同時に行ってもよく、単独の工程として行ってもよい。
加圧工程と加熱工程とを同時に行うことにより、製造効率を向上させることができる。
【0087】
また、加熱工程は、加圧工程後のシールドプリント配線板に、部品を実装する工程で行ってもよい。例えば、部品を実装させるためにはんだを用いる場合には、はんだリフロー工程を行うことになる。このリフロー工程の、リフロー時の熱によって低融点金属層を軟化させてもよい。この場合、加熱工程と、部品の実装とが同時に行われることになる。
【0088】
以上の工程を経て、グランド部材1を備えたシールドプリント配線板50を製造することができる。このように製造されたグランド部材1を備えたシールドプリント配線板50は、本発明のシールドプリント配線板の一例である。
【0089】
また、上記本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記シールドフィルム載置工程において、接着剤層とシールド層との間及び/又はシールド層と絶縁層との間に、低融点金属層が形成されたシールドフィルムを準備してもよい。
さらに、加熱工程では、シールドフィルムの低融点金属層を軟化させて、グランド部材の導電性突起と接続させることが望ましい。
このようにすることで、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムのシールド層との密着性や、グランド部材の導電性突起とシールドフィルムの接着剤層との密着性を向上させることができる。
【0090】
シールドフィルムの低融点金属層は、融点が300℃以下の金属により形成されていることが望ましい。
シールドフィルムの低融点金属層が、融点が300℃以下の金属により形成されていると、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、容易にシールドフィルムの低融点金属層が軟化し、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層や接着剤層との密着性を好適に向上させることができる。
【0091】
また、シールドフィルムの低融点金属層を形成する金属は、特に限定されないが、インジウム、錫、鉛及びビスマスからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの金属は、低融点金属層を形成する上で、適した融点及び導電性を備える。
【0092】
また、シールドフィルムの低融点金属層の厚さは、0.1〜50μmであることが望ましく、0.1〜10μmであることがより望ましい。
低融点金属層の厚さが、0.1μm未満であると、低融点金属層を形成する金属の量が少ないので、グランド部材をシールドプリント配線板に配置する際に、グランド部材の導電性突起と、シールドフィルムのシールド層や導電層との密着性が向上しにくくなる。
シールドフィルムの低融点金属層の厚さが、50μmを超えると、シールドフィルムの低融点金属層が軟化する際に、シールド層が変形しやすくなる。その結果、シールドフィルムのシールド特性が低下しやすくなる。
【0093】
シールドフィルムの低融点金属層は、フラックスを含むことが望ましい。
シールドフィルムの低融点金属層がフラックスを含むことにより、シールドフィルムの低融点金属層を構成する金属が軟化する際に、シールドフィルムの低融点金属層を構成する金属と、グランド部材の導電性突起とが密着しやすくなる。
その結果、シールドフィルムの低融点金属層と、グランド部材の導電性突起との密着性をより向上させることができる。
【0094】
次に、グランド部材1が以下のシールドプリント配線板150に使用される場合について説明する。
図9(a)及び(b)は、本発明のグランド部材が使用されるシールドプリント配線板の製造方法の一例を模式的に示す図である。
図10は、本発明のグランド部材が使用されるシールドプリント配線板の一例を模式的に示す断面図である。
【0095】
図9(a)に示すように、シールドプリント配線板150を製造する場合、まず、基体フィルム160にシールドフィルム170が載置される。
基体フィルム160は、ベースフィルム161上にグランド回路162aを含むプリント回路162と絶縁フィルム163とを順次設けてなるフィルムである。
また、シールドフィルム170は、接着剤層171、接着剤層171に積層されたシールド層172、及び、シールド層172に積層された絶縁層173からなるフィルムであり、シールド層172は、凸部172a及び凹部172bを有する波状の形状である。
なお、シールドフィルム170の接着剤層171は、導電性を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0096】
次に、
図9(b)に示すように、プレスすることによりシールドプリント配線板150を製造することができる。
このプレスの際に、シールドフィルム170のシールド層172の凸部172aは接着剤層171を押しのけ、基体フィルム160のグランド回路162aに接続されることになる。
【0097】
このようにして
図10に示すようなシールドプリント配線板150を製造することができる。
すなわち、
図10に示すように、シールドプリント配線板150は、基体フィルム160とシールドフィルム170とからなる。
シールドプリント配線板150において、基体フィルム160は、ベースフィルム161上にグランド回路162aを含むプリント回路162と絶縁フィルム163とを順次設けてなるフィルムである。
また、シールドフィルム170は、接着剤層171、接着剤層171に積層されたシールド層172、及び、シールド層172に積層された絶縁層173からなるフィルムであり、シールド層172は、凸部172a及び凹部172bを有する波状の形状である。
そして、シールドプリント配線板150では、シールドフィルム170の接着剤層171が基体フィルム160と接するように、シールドフィルム170が基体フィルム160を被覆している。
また、シールド層172の凸部172aの一部は、接着剤層171から露出し、基体フィルム160のグランド回路162aと接触している。
【0098】
次に、グランド部材1が、シールドプリント配線板150に使用される場合を、図面を用いて説明する。
図11は、本発明のグランド部材が、シールドプリント配線板に使用される場合の一例を模式的に示す模式図である。
図11に示すように、グランド部材1は、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム170の絶縁層173を貫くように、シールドプリント配線板150に押し付けられて配置されることになる。
そして、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム170のシールド層172と接触することになる。
【0099】
上記の通り、シールドフィルム170のシールド層172は、基体フィルム160のグランド回路162aと接触しているので、グランド部材1の外部接続部材10と、基体フィルム160のグランド回路162aとは電気的に接続されることになる。
また、グランド部材1の外部接続部材10は、外部グランドGNDに接続されることになる。
【0100】
このようにグランド部材1をシールドプリント配線板150に配置するので、シールドプリント配線板150のシールドフィルム170の絶縁層173に孔等をあらかじめ設ける必要がなく、任意の位置にグランド部材1を配置することができる。
【0101】
また、グランド部材1では、導電性突起20の表面には、低融点金属層21が形成されている。
グランド部材1を、シールドプリント配線板150に配置する際や、配置した後の部品実装工程では加熱も行われる。この加熱により低融点金属層21が軟化し、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム170のシールド層172との密着性を向上させることができる。
そのため、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板150に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装したとしても、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム170のシールド層172との間にずれが生じにくい。その結果、基体フィルム160のグランド回路162a−外部グランドGND間の電気抵抗の増加を抑えることができる。
【0102】
シールドプリント配線板150において、望ましい基体フィルム160は、上記シールドプリント配線板50の説明で記載した基体フィルム60と同じである。
【0103】
シールドプリント配線板150において、シールドフィルム170を構成するシールド層172及び絶縁層173の望ましい材料は、上記シールドプリント配線板50の説明で記載したシールドフィルム70のシールド層72及び絶縁層73と同じである。
【0104】
シールドプリント配線板150において、シールドフィルム170を構成するシールドフィルム170の接着剤層171の望ましい材料は、特に限定されないが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、熱可塑性エラストマ系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等であることが望ましい。
また、接着剤層171には、脂肪酸炭化水素樹脂、C5/C9混合樹脂、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、熱反応性樹脂等の粘着性付与剤が含まれていてもよい。これら粘着性付与剤が含まれていると、接着剤層171の粘着性を向上させることができる。
【0105】
また、シールドプリント配線板150において、シールドフィルム170では、シールド層172と絶縁層173との間には、シールドフィルム170の低融点金属層が形成されており、シールドフィルム170の低融点金属層は、グランド部材1の導電性突起20と接続していてもよい。
このような構成であると、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム170のシールド層172との密着性を向上させることができる。
【0106】
次に、グランド部材1が、以下のシールドプリント配線板250に使用される場合について説明する。
図12は、本発明のグランド部材が使用されるシールドプリント配線板の一例を模式的に示す断面図である。
【0107】
図12に示すように、シールドプリント配線板250は、基体フィルム260とシールドフィルム270とからなる。
シールドプリント配線板250において、基体フィルム260は、ベースフィルム261上にグランド回路262aを含むプリント回路262と絶縁フィルム263とを順次設けてなるフィルムである。
また、シールドフィルム270は、接着剤層271、接着剤層271に積層されたシールド層272、及び、シールド層272に積層された絶縁層273からなるフィルムである。
そして、シールドプリント配線板250では、シールドフィルム270の接着剤層271が基体フィルム260と接するように、シールドフィルム270が基体フィルム260を被覆している。
また、シールドフィルム270の接着剤層271は導電性を有さず、プリント回路262とシールド層272は、電気的に接続されていない。
【0108】
次に、グランド部材1が、シールドプリント配線板250に使用される場合を、図面を用いて説明する。
図13は、本発明のグランド部材が、シールドプリント配線板に使用される場合の一例を模式的に示す模式図である。
図13に示すように、グランド部材1は、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム270の絶縁層273を貫くとともに、シールド層272と接続するように、シールドプリント配線板250に押し付けられて配置されることになる。
これにより、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム270のシールド層272とが接触することになる。そのため、グランド部材1の外部接続部材10と、シールドフィルム270のシールド層272とを電気的に接続することができる。
また、グランド部材1の外部接続部材10は、外部グランドGNDに接続されることになる。
【0109】
このようにグランド部材1が配置されたシールドプリント配線板250では、シールドフィルム270のシールド層272が外部グランドGNDと電気的に接続されるので、シールド層272は、電磁波を遮へいする電磁波シールドとして好適に作用する。
【0110】
このようにグランド部材1をシールドプリント配線板250に配置するので、シールドプリント配線板250のシールドフィルム270の絶縁層273に孔等をあらかじめ設ける必要がなく、任意の位置にグランド部材1を配置することができる。
【0111】
また、グランド部材1では、導電性突起20の表面には、低融点金属層21が形成されている。
グランド部材1を、シールドプリント配線板250に配置する際や、配置した後の部品実装工程では加熱も行われる。この加熱により低融点金属層21が軟化し、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム270のシールド層272との密着性を向上させることができる。
そのため、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板250に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装したとしても、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム270のシールド層272との間にずれが生じにくい。
【0112】
また、接着剤層271は導電性微粒子を含んでいないので、接着剤層271の原材料費を低減させることができ、接着剤層271の薄型化が可能である。
【0113】
シールドプリント配線板250において、望ましい基体フィルム260は、上記シールドプリント配線板50の説明で記載した基体フィルム60と同じである。
【0114】
シールドプリント配線板250において、シールドフィルム270を構成するシールド層272及び絶縁層273の望ましい材料は、上記シールドプリント配線板50の説明で記載したシールドフィルム70のシールド層72及び絶縁層73と同じである。
【0115】
シールドプリント配線板250において、シールドフィルム270を構成するシールドフィルム270の接着剤層271の望ましい材料は、特に限定されないが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、熱可塑性エラストマ系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等であることが望ましい。
また、接着剤層271には、脂肪酸炭化水素樹脂、C5/C9混合樹脂、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、熱反応性樹脂等の粘着性付与剤が含まれていてもよい。これら粘着性付与剤が含まれていると、接着剤層271の粘着性を向上させることができる。
【0116】
また、シールドプリント配線板250において、シールドフィルム270では、シールド層272と絶縁層273との間には、シールドフィルム270の低融点金属層が形成されており、シールドフィルム270の低融点金属層は、グランド部材1の導電性突起20と接続していてもよい。
このような構成であると、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム270のシールド層272との密着性を向上させることができる。
【0117】
次に、グランド部材1が以下のシールドプリント配線板350に使用される場合について説明する。
図14は、本発明のグランド部材が使用されるシールドプリント配線板の一例を模式的に示す断面図である。
【0118】
図14に示すように、シールドプリント配線板350は、基体フィルム360とシールドフィルム370とからなる。
シールドプリント配線板350において、基体フィルム360は、ベースフィルム361上にグランド回路362aを含むプリント回路362と絶縁フィルム363とを順次設けてなるフィルムである。
また、シールドフィルム370は、シールド層372、及び、シールド層372に積層された絶縁層373からなるフィルムである。
そして、シールドプリント配線板350では、シールドフィルム370のシールド層372が基体フィルム360と接するように、シールドフィルム370が基体フィルム360を被覆している。
また、シールドフィルム370のシールド層372は、導電性接着剤層である。
【0119】
次に、グランド部材1が、シールドプリント配線板350に使用される場合を、図面を用いて説明する。
図15は、本発明のグランド部材が、シールドプリント配線板に使用される場合の一例を模式的に示す模式図である。
図15に示すように、グランド部材1は、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム370の絶縁層373を貫くように、シールドプリント配線板350に押し付けられて配置されることになる。
そして、グランド部材1の導電性突起20がシールドフィルム370のシールド層372と接触することになる。
【0120】
上記の通り、シールドフィルム370のシールド層372は、基体フィルム360のグランド回路362aと接触しているので、グランド部材1の外部接続部材10と、基体フィルム360のグランド回路362aとは電気的に接続されることになる。
また、グランド部材1の外部接続部材10は、外部グランドGNDに接続されることになる。
【0121】
このようにグランド部材1をシールドプリント配線板350に配置するので、シールドプリント配線板350のシールドフィルム370の絶縁層373に孔等をあらかじめ設ける必要がなく、任意の位置にグランド部材1を配置することができる。
【0122】
また、グランド部材1では、導電性突起20の表面には、低融点金属層21が形成されている。
グランド部材1を、シールドプリント配線板350に配置する際や、配置した後の部品実装工程では加熱も行われる。この加熱により低融点金属層21が軟化し、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム370のシールド層372との密着性を向上させることができる。
そのため、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板350に、加熱及び冷却を繰り返して部品を実装したとしても、グランド部材1の導電性突起20と、シールドフィルム370のシールド層372との間にずれが生じにくい。その結果、基体フィルム360のグランド回路362a−外部グランドGND間の電気抵抗の増加を抑えることができる。
【0123】
また、シールドプリント配線板350では、シールドフィルム370のシールド層372が導電性接着剤層なので、シールドフィルム370のシールド層372は、シールドフィルム370を基体フィルム360に接着するための機能と、電磁波をシールドする機能の両方を備えることになる。
そのため、基体フィルム360と接着するために接着剤等を用いなくても、シールドフィルム370を容易に基体フィルム360に接着させることができる。
【0124】
シールドプリント配線板350において、望ましい基体フィルム360は、上記シールドプリント配線板50の説明で記載した基体フィルム60と同じである。
【0125】
シールドプリント配線板350において、シールドフィルム370を構成する絶縁層373の望ましい材料は、上記シールドプリント配線板50の説明で記載したシールドフィルム70の絶縁層73と同じである。
【0126】
シールドプリント配線板350において、シールドフィルム370のシールド層372は、樹脂と導電性微粒子とからなる導電性接着剤層である。
【0127】
シールド層372を構成する樹脂としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、熱可塑性エラストマ系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等であることが望ましい。
また、シールド層372には、脂肪酸炭化水素樹脂、C5/C9混合樹脂、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、熱反応性樹脂等の粘着性付与剤が含まれていてもよい。これら粘着性付与剤が含まれていると、シールド層372の粘着性を向上させることができる。
【0128】
シールド層372を構成する導電性微粒子としては、特に限定されないが、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コート銅粉(AgコートCu粉)、金コート銅粉、銀コートニッケル粉(AgコートNi粉)、金コートニッケル粉があり、これら金属粉は、アトマイズ法、カルボニル法などにより作製することができる。また、上記以外にも、金属粉に樹脂を被覆した粒子、樹脂に金属粉を被覆した粒子を用いることもできる。なお、導電性微粒子は、AgコートCu粉、又は、AgコートNi粉であることが好ましい。この理由は、安価な材料により導電性の安定した導電性微粒子を得ることができるからである。
なお、導電性微粒子の形状は、球状に限定される必要はなく、例えば、樹枝状、フレーク状、スパイク状、棒状、繊維状、針状等であってもよい。
【0129】
さらに、シールドフィルム370のシールド層372は、等方導電性接着剤層であることが望ましい。
この場合、導電性微粒子は、シールド層の全体量に対し39重量%を超えて95重量%以下の範囲で含まれることが望ましい。導電性微粒子の平均粒子径は、2〜20μmであることが望ましい。
【0130】
また、シールドプリント配線板350において、シールドフィルム370では、シールド層372と絶縁層373との間には、シールドフィルム370の低融点金属層が形成されていてもよく、シールドフィルム370の低融点金属層は、グランド部材1の導電性突起20と接続していてもよい。
このような構成であると、グランド部材1の導電性突起20とシールドフィルム370のシールド層372との密着性を向上させることができる。
【0131】
これまで説明した、上記グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板150、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板250、及び、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板350は、本発明のシールドプリント配線板の一例である。
【0132】
また、上記グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板150、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板250、又は、グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板350は、上記グランド部材1が用いられたシールドプリント配線板50を製造する方法の「(1)シールドフィルム載置工程」において、シールドフィルム70の代わりに、シールドフィルム170、シールドフィルム270、又は、シールドフィルム370を準備することにより、製造することができる。
【0133】
(第二実施形態)
次に、本発明のグランド部材の別の態様である第二実施形態に係るグランド部材を説明する。
【0134】
図16は、本発明のグランド部材の一例を模式的に示す断面図である。
図16に示すように、グランド部材101は、第1主面111と、第1主面111の反対側の第2主面112とを有し、かつ、導電性を有する外部接続部材110からなる。
外部接続部材110は、第1主面111側が突出するように複数回屈曲しており、突出した外部接続部材110の一部が導電性突起120となっている。
さらに、導電性突起120の表面、すなわち、外部接続部材110の第1主面111には、低融点金属層121が形成されている。
【0135】
このような形状のグランド部材101は、外部接続部材110を折り曲げるだけで容易に作製することができる。
【0136】
グランド部材101における外部接続部材110の望ましい材料、低融点金属層121を形成する望ましい金属等は、上記グランド部材1における外部接続部材10の望ましい材料、低融点金属層21を形成する望ましい金属等と同じである。
【0137】
次に、グランド部材101が、上記シールドプリント配線板50に使用される場合を、図面を用いて説明する。
図17は、本発明のグランド部材が、シールドプリント配線板に使用される場合の一例を模式的に示す模式図である。
図17に示すように、グランド部材101は、グランド部材101の導電性突起120がシールドフィルム70の絶縁層73及びシールド層72を貫くように、シールドプリント配線板50に押し付けられて配置されることになる。
そして、グランド部材101の導電性突起120がシールドフィルム70の接着剤層71及びシールド層72と接触することになる。
【0138】
上記の通り、シールドフィルム70の接着剤層71は、基体フィルム60のグランド回路62aと接触しているので、グランド部材101の外部接続部材110と、基体フィルム60のグランド回路62aとは電気的に接続されることになる。
また、グランド部材101の外部接続部材110は、外部グランドGNDに接続されることになる。
【実施例】
【0139】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0140】
(実施例1−1)
(1)金属箔準備工程
まず、厚さが35μmの銅箔を準備した。
【0141】
(2)導電性突起形成工程
次に、銅箔の一方の主面をエッチングレジストでマスクした。
そして、エッチング液として硫酸/過酸化水素系エッチング液を用いて銅箔をエッチングし、円柱形の導電性突起を形成した。
形成された導電性突起は、高さ25μm、底面の直径30μmであり、導電性突起同士のピッチは90μmであった。
【0142】
(3)低融点金属層形成工程
次に、電解錫めっきにより、導電性突起に錫をめっきし低融点金属層を形成した。
低融点金属層の厚さは2μmであった。
【0143】
めっき後の銅箔を縦×横=10mm×10mmにカットし、実施例1−1に係るグランド部材を製造した。
【0144】
(実施例1−2)〜(実施例1−36)及び(比較例1−1)〜(比較例1−15)
導電性突起の底面の直径、導電性突起同士のピッチの幅、カット後のグランド部材の大きさを、表1及び2に示すように変更した以外は、実施例1−1と同様に、実施例1−2〜実施例1−36及び比較例1−1〜比較例1−15のグランド部材を製造した。
また、Snめっき層を設けず、導電性突起の底面の直径、導電性突起同士のピッチの幅、カット後のグランド部材の大きさを、表2に示すように変更した以外は、実施例1−1と同様に、比較例1−1〜比較例1−15のグランド部材を製造した。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
(実施例2−1)
実施例1−1のグランド部材を用い、以下に記載する方法で実施例2−1に係るシールドプリント配線板を製造した。
【0148】
(1)シールドフィルム載置工程
まず、ベースフィルム上に、グランド回路を含むプリント回路と、絶縁フィルムとを順次設けてなる基体フィルムを準備した。
基体フィルムにおいて、ベースフィルムはポリイミドからなり、グランド回路及びプリント回路は銅からなり、絶縁フィルムはポリイミドからなっていた。
なお、絶縁フィルムには、プリント回路の一部を露出させるための穴部が形成された。
【0149】
また、異方導電性接着剤層、シールド層及び絶縁層が順に積層されたシールドフィルムを準備した。
異方導電性接着剤層は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び平均粒子径10μmの銅微粒子から構成され、これらの重量比は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:銅微粒子=100:47(重量部換算)であった。また、異方導電性接着剤層の厚さは9μmであった。
また、シールド層は、銅からなり、その厚さは2μmであった。
また、絶縁層は、エポキシ樹脂からなり、その厚さは6μmであった。
【0150】
次に、基体フィルム上に異方導電性接着剤層が接するようにシールドフィルムを載置した。
【0151】
(2)グランド部材配置工程
次に、実施例1−1のグランド部材の導電性突起がシールドフィルムの絶縁層側を向くように、実施例1−1のグランド部材をシールドフィルムに配置した。
【0152】
(3)加圧工程
次に、実施例1−1のグランド部材の外部接続部材を基体フィルムのグランド回路と電気的に接続させるために、グランド部材の導電性突起がシールドフィルムの絶縁層を貫通するようにグランド部材を加圧した。
加圧の際の温度は180℃であり、圧力は2MPaであった。
【0153】
(4)加熱工程
次いで、グランド部材、シールドフィルム及び配線板を、260℃×5秒の条件で加熱する加熱工程(リフロー工程)に投入した。
なお、この加熱工程において、実施例1−1に係るグランド部材の導電性突起の表面に形成された低融点金属層を軟化させて、低融点金属層によりグランド部材の導電性突起と、シールドフィルムの異方導電性接着剤層及びシールド層とを接続させた。
【0154】
以上の工程を経て、実施例2−1に係るシールドプリント配線板を製造した。
【0155】
(実施例2−2)〜(実施例2−36)及び(比較例2−1)〜(比較例2−15)
グランド部材として、実施例1−2〜実施例1−36及び比較例1−1〜比較例1−15のグランド部材を用いた以外は、実施例2−1と同様にして実施例2−2〜実施例2−36及び比較例2−1〜比較例2−15に係るシールドプリント配線板を製造した。
【0156】
(加熱冷却後の電気抵抗値の測定試験)
各実施例及び各比較例に係るシールドプリント配線板を、135℃で1時間加熱した。次に、260℃で5秒間加熱する加熱処理と、135℃になるまで静置する冷却処理とを合計5回繰り返した。
その後、各実施例及び各比較例に係るシールドプリント配線板において、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗値を測定した。結果を表1及び2に示す。
【0157】
(加熱冷却による電気抵抗値の変化の測定試験)
実施例2−1〜実施例2−36に係るシールドプリント配線板、及び、比較例2−1〜比較例2−15に係るシールドプリント配線板を、それぞれ4個準備し、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗値を測定した(初期値)。
次に、各シールドプリント配線板を、135℃で1時間加熱し、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗値を測定した(初期加熱時)。
その後、260℃で5秒間加熱する加熱処理と、135℃になるまで静置する冷却処理とを合計5回繰り返し、各冷却処理が終了した際に、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗値を測定した(サイクル1〜5)。
結果を
図18に示す。
図18は、加熱冷却による電気抵抗値の変化の測定試験の結果を示すグラフである。
また、測定した電気抵抗値の平均値及び標準偏差を表3に示す。
【0158】
【表3】
【0159】
表1及び2に示すように、実施例2−1〜実施例2−36に係るシールドプリント配線板では、加熱冷却を繰り返しても、基体フィルムのグランド回路−外部グランド間の電気抵抗値が高くなりにくいことが示された。
【0160】
また、
図18及び表3に示すように、実施例2−1〜実施例2−36に係るシールドプリント配線板は、初期加熱時以降、加熱冷却を繰り返しても電気抵抗値が変化しにくく、加熱冷却の繰り返しにより電気抵抗値が安定していくことが示された。