(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872574
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】時計製作技術に適したダイヤモンド研磨されたアップリケを製作するための方法
(51)【国際特許分類】
G04B 19/10 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
G04B19/10 Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-28198(P2019-28198)
(22)【出願日】2019年2月20日
(65)【公開番号】特開2019-158874(P2019-158874A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年2月20日
(31)【優先権主張番号】18160212.9
(32)【優先日】2018年3月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】カメロ・トロッタ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・エフェリ
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ・ジュイエ
【審査官】
菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−214975(JP,A)
【文献】
特開2017−167135(JP,A)
【文献】
特開2017−167134(JP,A)
【文献】
特開2004−212346(JP,A)
【文献】
特開2010−223800(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/001115(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/06−19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに見られることが意図される上面(10)と、時計の文字板または構造物の上に載せるための下面(2)と、そのような文字板またはそのような構造物に取り付けるための、前記下面(2)から突出する少なくとも1つの足部(3)とを備える、時計製作技術に適したアップリケ(100)を製作するための方法であって、前記方法によれば、第1の動作で、足部(3)、および前記下面(2)を機械加工するプロファイルまたは棒(1)を提供し、前記第1の動作の後の第2の動作で前記プロファイルまたは前記棒(1)を切削加工し、次いで、ダイヤモンドを使用した少なくとも1つの最終動作を用いて前記上面(10)を機械加工する前記方法であって、前記第1の動作において、小面(4;5;6;7)を有する多角形の輪郭を伴う各前記足部(3)を形成するように、かつ、下面(2)を湾曲形状とするように、少なくとも2つの機械加工動作を交差させて遂行することを特徴とする時計製作技術に適したアップリケ(100)を製作するための方法。
【請求項2】
前記多角形の輪郭を形成した後、かつ前記ダイヤモンドを使用した最終動作を遂行する前に、各前記足部(3)を軸支して、時計内の支持物に前記アップリケ(100)を取り付けるためにただちに使用可能な、実質的に円筒形の表面(8)を形成するために機械加工することを特徴とする、請求項1に記載の時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法。
【請求項3】
各前記足部(3)の前記軸支中に、前記アップリケ(100)を前記文字板または前記構造物の上に嵌合させるとき、任意のかえりまたはリップを受け入れるように配列された前部スロット(89)を作成することを特徴とする、請求項2に記載の時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法。
【請求項4】
各前記足部(3)の前記軸支を、前記第1の動作中に、前記切削加工動作の前に遂行することを特徴とする、請求項2に記載の時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法。
【請求項5】
前記第1の動作中に、前記下面(2)上で仕上げ機械加工動作を遂行することを特徴とする、請求項1に記載の時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法。
【請求項6】
前記下面(2)上の前記仕上げ機械加工動作を、ダイヤモンドを使用した動作により遂行することを特徴とする、請求項5に記載の時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法。
【請求項7】
前記第1の動作中に、2つの機械加工動作を、互いに90°で交差させて遂行することを特徴とする、請求項1に記載の時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法。
【請求項8】
請求項1に記載の前記方法により作成された小面(4;5;6;7)を伴う多角形の輪郭を有する少なくとも1つのアップリケ(100)と、少なくとも1つの前記アップリケ(100)を受け入れるように配列された少なくとも1つの構造物(301)とを備える時計構造物組立体を製作するための方法であって、小面(4;5;6;7)を伴う多角形の輪郭を有する前記足部(3)と協働して、前記足部(3)を備える前記アップリケ(100)の正確な角度配向を確実にするように配列された、少なくとも1つの多角形の開口部(302)、および/または小面(4;5;6;7)を伴う多角形の輪郭を有する前記足部(3)を多角形の輪郭の小面の間の接合部で受け入れて、締めつけるように配列された、少なくとも1つの円形の開口部(303)を、前記構造物(301)の中に作成すること、および各前記足部(3)を、前記多角形の開口部(302)または前記円形の開口部(303)の中に押し込むことを特徴とする、時計構造物組立体を製作するための方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記アップリケ(100)を受け入れるように配列された装飾のない文字板(200)の形をとる少なくとも1つの前記構造物(301)を作成すること、および小面(4;5;6;7)を伴う多角形の輪郭を有する前記足部(3)と協働して、前記足部(3)を備える前記アップリケ(100)の正確な角度配向を確実にするように配列された、少なくとも1つの多角形の開口部(201)、および/または小面(4;5;6;7)を伴う多角形の輪郭を有する前記足部(3)を、多角形の輪郭の小面の間の接合部で受け入れて、締めつけるように配列された、少なくとも1つの円形の開口部(202)を、前記装飾のない文字板(200)上に作成することを特徴とする、請求項8に記載の時計構造物組立体を製作するための方法。
【請求項10】
単一の前記多角形の足部(3)を備える少なくとも1つの前記アップリケ(100)を伴う前記構造物組立体を作成することを特徴とする、請求項8に記載の時計構造物組立体を製作するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに見られることを意図された上面と、時計の文字板または構造物の上に載せるための下面と、そのような文字板またはそのような構造物に取り付けるための、前記下面から突出する少なくとも一つの足部とを備える、時計製作技術に適したアップリケを製作するための方法に関し、本方法によれば、第2の動作でプロファイルまたは棒を切削加工し、次いで、少なくとも1つの最終ダイヤモンド研磨動作を用いて前記上面を再び機械加工する前に、前記足部の、および前記下面のブランクを機械加工する前記プロファイルまたは前記棒を第1の動作で提供する。
【0002】
本発明はまた、この方法により作成された少なくとも1つのアップリケを含む時計文字板に関する。
【0003】
本発明はまた、本方法により作成された少なくとも1つのアップリケを支える、少なくとも1つのそのような文字板および/または構造物を含む時計に関する。
【0004】
本発明は、時計の外部部品および表示機能の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
時計のアップリケは、時計の、詳細にはウオッチの極めて重要な要素であり、時計に特有の外観を与える。その結果として、時計のアップリケは、非常に注意深く作成されなければならず、再現可能性がとても高く、どんな表面仕上げ欠陥もない。これらの審美的構成要素のサイズが非常に小さいことにより、およびこれらの構成要素を把持するのが困難であることにより、出来映えを完璧にすることは困難になった。その結果として、スクラップ率は高くなる場合がある。文字板、フランジ、またはプレートの曲線に適合させるためにアップリケを曲げる、または反らせて、アップリケに平坦な基準面がまったくないとき、製作はなおいっそう複雑になる。
【0006】
文字板または類似物などの支持物の上にアップリケを置くには、いかなる配向の誤りも、最小であってさえ、ただちに目に見えるので、完全な角度配向を確実にするために、特に用心が必要である。したがって、足部を正確に製作することは不可欠である。
【0007】
NIVAROX_FAR SAの名義の欧州特許第3220208号明細書は、時計表示部または針構成要素を製作するための経済的方法を開示しており、この方法によれば、外側の各可視表面を作成するために、アモルファス金属合金、またはナノ結晶構造合金、または金、および/もしくは銀、および/もしくは銅、および/もしくはロジウム、および/もしくはチタン、および/もしくはアルミニウムからなる合金などの、コーティング材料を選び、第1の工具を使用して、外側の各可視表面に対して過剰な厚さを伴うコーティング材料から、フレームを受け入れるための第1のキャビティを伴う、20マイクロメートルを超える厚さの、厚い中空ブランクを作成し、フレームを作成するための内側の材料を選び、フレームを作成して、この第1のキャビティに連結し、少なくとも1つの残りの目に見える外側の可視表面をダイヤモンド工具で機械加工し、ブランクから過剰な厚さのすべてまたは一部を取り除く。
【0008】
NIVAROX_FAR SAの名義の欧州特許第3220209号明細書は、時計表示部または針構成要素を製作するための経済的方法を開示しており、この方法によれば、形作る、または機械加工するのが容易な第1の材料を選択し、この第1の材料から棒材を作成し、構成要素の各外面を作成するために、アモルファス金属合金もしくはナノ結晶構造合金である、またはニッケルもしくはニッケルリンを含む第2の材料、または純金属、もしくは金、および/もしくは銀、および/もしくは銀、および/もしくは銅、および/もしくはロジウム、および/もしくはアルミニウムの合金である第2の材料を選び、構成要素上で相変わらず目に見えることが意図される表面の少なくとも全面にわたって、20マイクロメートルを超える初期厚さを有する、第2の材料からなる厚い層でこの棒材を覆い、少なくとも1つの外面をダイヤモンド工具で機械加工して、厚い層のすべてまたは一部を取り除く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第3220208号明細書
【特許文献2】欧州特許第3220209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アップリケ支持物上でその後アップリケを完全に位置決めすることを確実にするアップリケ製作法を規定することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載のアップリケ製作法に関する。
【0012】
本発明はまた、この方法により作成された少なくとも1つのアップリケを含む時計文字板に関する。
【0013】
本発明はまた、本方法により作成された少なくとも1つのアップリケを支える、少なくとも1つのそのような文字板および/または構造物を含む時計に関する。
【0014】
より詳細には、この時計はウオッチである。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の前面機械加工動作が遂行される端部での、棒の概略の側面図を示す。
【
図2】
図1の矢印Fに沿って見た、先行する動作に垂直に第2の前面機械加工動作が遂行される、棒の長手方向の軸を中心に90°だけ回転した同じ棒を、
図1に類似する手法で示し、点線は、すでに切削加工された領域を示す。
【
図4】2つの多角形の足部を示す、
図3の矢印Sに沿った、同じ棒の端面図であり、この場合、交差させて遂行した第1の機械加工動作および第2の機械加工動作から生じる4つの側面を伴う。
【
図5】2つの足部を軸支することを、すなわち、左側の図では、足部が突出する面の厚さの中へ軸支することを、右側の図では、中間の高さに軸支することを示す端部詳細である。
【
図6】
図5の左側の足部を通過し、軸支された足部の周囲の回転クリアランスを示す、
図3の横断面図に類似する横断面図である。
【
図7】
図1の動作を遂行するために使用する工具の横断面図である。
【
図8】
図2の動作を遂行するために使用する工具の横断面図である。
【
図9】ブランクがアップリケブランクの足部で支えられ、かつアップリケブランク下面に当接する再機械加工工具で、下面および足部が仕上げ処理を施される、このように突出したアップリケブランクを切削加工後に位置決めする横断面図を示す。
【
図10】再び機械加工するために締め具に保持されたブランクの、
図9に類似する図を示す。
【
図11】円形または四角形のアップリケ足部を受け入れるためのさまざまな切り抜きと、所定の位置に搭載された形状Vのアップリケとを備える文字板の、概略の正面図を示す。
【
図12】
図11の文字板の切り抜きに類似する切り抜きを備える環状構造物と、7時の位置に
図11の文字板に類似する文字板とを備えるウオッチの、概略の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、時計のアップリケ100を製作するための方法に関する。
【0018】
「アップリケ」は、対象物の上に、特に文字板、フランジ、プレート、ブリッジなどの上に置かれ、符号、時間記号、数字、ロゴ、モノグラムなどのような、ユーザが見ることが意図される任意の表示要素または装飾要素を意味する。
【0019】
そのようなアップリケ100は通常、ユーザが見ることが意図される上面10、および時計の文字板または構造物の上に載せるための下面2を有する。
【0020】
この下面2は、そのような文字板またはそのような構造物の上に直接接合することができる場合、一般に少なくとも1つの足部3を有する。各足部3は、そのような文字板またはそのような構造物に固定するために、この下面2から、より詳細には排他的ではなく、下面2に対して空間的に特定の配向で突出する。
【0021】
本発明の方法は、以下のステップを含む。
−第1の動作で、足部3の、および下面2のブランクが機械加工されるプロファイルまたは棒1を提供するステップ、
−その後、第2の動作で、このプロファイルまたは棒1を切削加工するステップ、
−次いで、少なくとも1つの最終ダイヤモンド研磨動作を用いて上面10を再び機械加工するステップ。
【0022】
本発明によれば、第1の動作で、小面4、5、6、7を有する多角形の輪郭を用いて各足部3のブランクを作り出すように、少なくとも2つの機械加工動作を交差させて遂行する。
【0023】
より詳細には、多角形の輪郭を生成した後に、かつ最終ダイヤモンド研磨動作を遂行する前に、少なくとも1つの足部3を、好ましくは各足部3を軸支して、アップリケ100を時計のアップリケ支持部に固定するためにただちに使用可能な、実質的に円筒形の表面8を機械加工する。
【0024】
さらにより詳細には、少なくとも1つの足部3を、より詳細には各足部3を軸支している間、アップリケ100を圧入または締まりばめで文字板または構造物の上に嵌合させるとき、任意のかえりまたはリップを受け入れるように配列された前部スロット89を形成する。
【0025】
より詳細には、この軸支は、切削加工動作の前に、第1の動作中に行われる。
【0026】
本発明の特定の一実装形態では、第1の動作中、下面2上で仕上げ機械加工動作を遂行する。より詳細には、この下面2を湾曲させる。
【0027】
実際は、本発明の利点は、下面2が湾曲している、または一般に任意の形状のプロファイルを有している場合でさえ、足部の全長にわたり平行な足部を得ることである。
【0028】
より詳細には、下面2のこの仕上げ機械加工動作を、ダイヤモンド研磨により遂行する。
【0029】
図に示す、本発明の特定の一実装形態では、第1の動作中、2つの機械加工動作を、互いに90°で交差させて遂行する。
【0030】
軸支動作は、通常のタイプの円形、および特に円筒形の足部3を得ることができるようにすることが理解される。しかしながら、小面を備える多角形の足部の形状をとる足部3のブランクを交差機械加工により形成することにより、時計内のアップリケ100支持物上でそのような多角形の足部を備えるアップリケ100を独特の厳密な角度で配向するために、固有の配向面が提供される。
【0031】
本発明はまた、上述の方法により作成された、小面4、5、6、7を伴う多角形の輪郭を含む少なくとも1つのアップリケ100と、少なくとも1つのそのようなアップリケ100を受け入れるように配列された少なくとも1つの構造物301とを備える時計構造物組立体を製作するための方法に関する。本発明によれば、小面4、5、6、7を伴う多角形の輪郭を有する足部3と協働して、この足部3を備える、関係するアップリケ100の正確な角度配向を確実にするように配列された、少なくとも1つの多角形の開口部302をこの構造物301の中に作成し、および/または小面4、5、6、7を伴う多角形の輪郭を有する足部3を、多角形の輪郭の小面の間の接合部で受け入れて、締めつけるように配列された、少なくとも1つの円形の開口部303をこの構造物301の中に作成し、各足部3を、そのような多角形の開口部302またはそのような円形の開口部303の中に押し込む。
【0032】
より詳細には、少なくとも1つのそのようなアップリケ100を受け入れるように配列された装飾のない文字板200の形をとる少なくとも1つの前記構造物301を作成し、この装飾のない文字板200上に、小面4、5、6、7を伴う多角形の輪郭を有する足部3と協働して、この足部3を備えるアップリケ100の正確な角度配向を確実にするように配列された、少なくとも1つの多角形の開口部201を作成し、および/またはこの装飾のない文字板200上に、小面4、5、6、7を伴う多角形の輪郭を有する足部3を多角形の輪郭の小面の間の接合部で受け入れて、締めつけるように配列された、少なくとも1つの円形の開口部202を作成する。
【0033】
より詳細には、単一の前記多角形の足部3を有する少なくとも1つの前記アップリケ100を伴う前記構造物組立体を作成する。
【0034】
電食、レーザ、または他の機械加工技術により、今日では、特にエナメル加工されること、または任意のタイプのコーティングを具備することを意図される支持物のために、これまでは穴あけ道具でしか作成することができなかった、かつスタンピングにより厳密に形成することが困難であった、そのような非円形の開口部を作成することができる。
【0035】
本発明はまた、上述の変形形態のいずれかによる方法により作成された少なくとも1つのアップリケ100を収容できる、少なくとも1つのそのような構造物301、および/または少なくとも1つのそのようなアップリケ100を収容できる、少なくとも1つのそのような装飾のない文字板200を含む時計300に関する。
【0036】
より詳細には、この時計300はウオッチである。
【符号の説明】
【0037】
1 棒
2 下面
3 足部
4、5、6、7 小面
8 実質的に円筒形の表面
10 上面
89 前部スロット
100 アップリケ
200 装飾のない文字板
201 多角形の開口部
202 円形の開口部
300 時計
301 構造物
302 多角形の開口部
303 円形の開口部