(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872596
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】吊下げハンマ式の時計の時打ち機構
(51)【国際特許分類】
G04B 21/06 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
G04B21/06 Z
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-216208(P2019-216208)
(22)【出願日】2019年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-91287(P2020-91287A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2019年11月29日
(31)【優先権主張番号】18210745.8
(32)【優先日】2018年12月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ストランツル
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−47945(JP,A)
【文献】
特開2016−176933(JP,A)
【文献】
特表2004−525370(JP,A)
【文献】
特開2016−200592(JP,A)
【文献】
特開2012−159504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計の時打ち機構(100)であって、
少なくとも1つのゴングまたは放射要素(2)を支持する固定構造(1)と、
前記機構(100)に含まれる作動可動部品(4)の作用下で前記固定構造(1)に対して相対的な可動ハンマ(3)とを備え、前記作動可動部品(4)は、少なくとも1つの前記ゴングまたは放射要素(2)の打撃のために前記可動ハンマ(3)のアンクルおよび解放を制御するように配置され、
前記時打ち機構(100)は、前記可動ハンマ(3)を吊り下げるために、少なくとも1つの可撓性ガイド(10)を備え、前記可撓性ガイド(10)は、前記固定構造(1)と前記可動ハンマ(3)との間に配置されて、前記可動ハンマ(3)のムーブメントを可能にし、前記固定構造(1)と前記可動ハンマ(3)との間に唯一の恒久的な機械的連結部を形成することを特徴とする時打ち機構(100)。
【請求項2】
前記時打ち機構(100)は、前記作動可動部品(4)を駆動して時打ち機構を実行し、かつ前記作動可動部品(4)に巻きサイクルを実行させるように配置され、前記巻きサイクル中、前記作動可動部品(4)は、前記可動ハンマ(3)を駆動しながら、一定量のエネルギーを蓄積する前記少なくとも1つの可撓性ガイド(10)にエネルギーを供給し、その後、前記可動ハンマ(3)を解放して、前記可撓性ガイド(10)に蓄積された前記エネルギーに対応する一定量のエネルギーを用いて、降下中に前記可動ハンマ(3)による少なくとも1つの前記ゴングまたは放射要素(2)の打撃によって前記時打ち機構を実行することを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項3】
少なくとも1つの可撓性ガイド(10)は平面状で、前記固定構造(1)と前記可動ハンマ(3)との間に配置されて、単一平面(P)のみにおける前記可動ハンマ(3)のムーブメントを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の時打ち機構(100)。
【請求項4】
少なくとも前記可撓性ガイド(10)は複数の弾性ストリップ(11)を備え、前記弾性ストリップ(11)は、前記単一平面(P)または前記単一平面(P)に平行な複数の平面において延び、互いに平行であるか、または実際に、仮想回動軸(D)の高さで前記単一平面(P)上において突出して交差していることを特徴とする、請求項3に記載の時打ち機構(100)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記可撓性ガイド(10)は、少なくとも1つの双安定または多安定弾性ストリップを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項6】
前記時打ち機構(100)は少なくとも1つの前記可撓性ガイド(10)を備え、前記可撓性ガイド(10)は、単一平面(P)における前記可動ハンマ(3)の巻きおよび降下移動時に前記可動ハンマ(3)を案内し、降下移動の終了時に前記可動ハンマ(3)を加速させるように配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記可撓性ガイド(10)は、単一平面(P)における前記可動ハンマ(3)の巻きおよび降下移動時に前記可動ハンマ(3)を案内するように配置された少なくとも1つの第1の弾性ストリップと、降下移動の終了時に前記可動ハンマ(3)を加速させるように配置された少なくとも1つの第2の弾性ストリップとを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項8】
前記可撓性ガイド(10)のうちの少なくとも1つは補強ストリップ(12)を備え、前記補強ストリップ(12)は、前記可動ハンマ(3)の降下移動中および前記ゴングまたは放射要素(2)に対する打撃前に、前記固定構造(1)に堅く接続された固定バンキング(13)に特に中央部分において当接することにより協働するように配置されて、前記可動ハンマ(3)が前記ゴングまたは放射要素(2)に衝突する直前に前記可動ハンマ(3)を加速させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項9】
前記可動ハンマ(3)は、前記可動ハンマ(3)を回動させるための巻き段階中に前記作動可動部品(4)に含まれる作動歯(15)と協働するように配置された第1の巻き歯(14)を備え、
前記可動ハンマ(3)は、前記第1の巻き歯(14)から離れたところに、前記ゴングまたは放射要素(2)を叩くように配置されたストライカ(17)を備え、
前記時打ち機構(100)は、前記第1の巻き歯(14)付近および前記ストライカ(17)付近に前記可撓性ガイド(10)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項10】
前記可動ハンマ(3)は、前記可動ハンマ(3)を回動させるための巻き段階中に前記作動可動部品(4)に含まれる作動歯(15)と協働するように配置された第1の巻き歯(14)を備え、
前記可撓性ガイド(10)は、前記第1の巻き歯(14)付近に少なくとも第1の弾性ストリップを備え、
前記可動ハンマ(3)は、前記第1の巻き歯(14)から離れたところに、前記ゴングまたは放射要素(2)を叩くように配置されたストライカ(17)を備え、
前記可撓性ガイド(10)は、前記ストライカ(17)付近に少なくとも第2の弾性ストリップを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項11】
前記時打ち機構(100)は、時打ち機構香箱ならびに/またはエネルギー蓄積および分配手段を備え、
前記可動ハンマ(3)は、前記可動ハンマ(3)を回動させるための巻き段階中に前記作動可動部品(4)に含まれる作動歯(15)と協働するように配置された第1の巻き歯(14)と、巻きの終了時および少なくとも降下開始時に2つのさらなる前記作動歯(15)間に挿入されるように配置された第2の外れ防止歯(16)とを備えて、前記時打ち機構香箱ならびに/またはエネルギー蓄積および分配手段の制御されない巻戻しを防止することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項12】
前記可動ハンマ(3)は、少なくとも1つのハンマ磁石(23)または強磁性ハンマ要素を備え、前記ハンマ磁石(23)または強磁性ハンマ要素は、可動部品の強磁性要素または可動部品の磁石(24)と協働して、前記作動可動部品(4)により前記可動ハンマ(3)を駆動および解放するように配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項13】
前記可動ハンマ(3)は実質的な回転ムーブメントまたは回転ムーブメントの組合せによって動くことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項14】
前記可動ハンマ(3)は長手方向ムーブメントによって動くことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項15】
前記可動ハンマ(3)は長手方向ムーブメントによって動き、
前記可動ハンマ(3)は、ベアリング・ブロック(34)内で長手方向に案内される可動フレーム(33)を備え、前記可動フレーム(33)は内部にチャンバ(35)を備え、前記チャンバ(35)内に、静止突起(36)が前記作動可動部品(4)に含まれる作動歯(15)と協働するように配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項16】
前記可動ハンマ(3)および前記可動ハンマ(3)を支持する前記可撓性ガイド(10)、ならびに前記可動ハンマ(3)が協働する前記ゴングまたは放射要素(2)は、単一平面(P)に沿って突出し、前記単一平面(P)に垂直な平面に関して対称であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項17】
前記時打ち機構(100)は、前記可動ハンマ(3)を吊り下げるために、互いに離れた別々の複数の平面状可撓性ガイド(10)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項18】
前記時打ち機構(100)は、複数の前記可動ハンマ(3)と複数の前記ゴングまたは放射要素(2)とを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項19】
前記可動ハンマ(3)と前記可動ハンマ(3)を支持する前記可撓性ガイド(10)のうちの1つとはともに、前記時打ち機構を規制するように配置された共振器を形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)。
【請求項20】
エネルギー蓄積および/または発生手段(200)と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の時打ち機構(100)を駆動するように配置された時計ムーブメント(300)とを備える腕時計(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計の時打ち機構であって、少なくとも1つのゴングまたは放射要素を支持する固定構造と、前記機構に含まれる作動可動部品の作用下で前記固定構造に対して相対的な、平面における可動ハンマとを備え、作動可動部品は、少なくとも1つの前記ゴングまたは放射要素の打撃のために前記ハンマのアンクルおよび解放を制御するように配置される時打ち機構に関する。
【0002】
本発明はさらに、エネルギー蓄積および/または発生手段と、そのような時打ち機構を駆動するように配置された時計ムーブメントとを備える腕時計に関する。
【0003】
本発明は、時計の時打ち機構またはアラーム機構の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明は、時打ち機構およびアラーム機構に関し、特に、これらの機構に含まれるハンマを作動させるためのシステムに関する。
【0005】
従来の設計のゴング作動機構は、通常、ハンマを作動させてゴングまたは放射要素を叩くアンクル・アセンブリまたはアンクルを備えるが、このような機構は制限され、特に不規則であることが多い。
【0006】
特に、時打ち機構の音の強さは、機構のエネルギー蓄積中に変化する。
【0007】
また、音質は常に最適であるとは限らず、打撃の質を最適化することによって向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】スイス特許出願CH01421/16
【特許文献2】欧州特許出願EP16195405.2
【特許文献3】欧州特許EP2831677B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、時打ち機構またはアラーム機構の打撃の質および規則性を向上させることを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載の時計の時打ち機構に関する。
【0011】
本発明はさらに、エネルギー蓄積および/または発生手段と、そのような時打ち機構を駆動するように配置された時計ムーブメントとを備える腕時計に関する。
【0012】
添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本発明のさらなる特徴および利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】突出交差ストリップを有する可撓性ガイドにハンマが取り付けられた、時打ち機構の概略部分平面図である。
【
図2】
図2〜
図4は、弾性タイプなどのさらなる可撓性ガイドにそのようなハンマを有し、様々な剛性/力学を有する機構を、
図1と同様に示す図である。
図2は、突起により駆動される作動可動部品、ここではハンマを巻く作動車を示す図である。
【
図3】完全に巻かれたハンマを示し、ハンマをプレートに接続する可撓性ストリップが第1の凹面に従って湾曲している様子を示す図である
【
図4】ゴングに向かって打撃移動中のハンマを示し、ハンマの可撓性ガイドが、プレートに堅く接続された固定バンキングに当接することにより協働し、ハンマを支持する可撓性ガイドの遠位端が、第1の凹面とは反対側の第2の凹面を使用し、トグルのようにハンマを押してゴングを叩く様子を示す図である。
【
図5】4棒機構を使用する揺り木馬の概略立面図である。
【
図6】複数の可撓性ガイドにハンマが取り付けられ、可撓性ガイドが、作動可動部品上の第1の可撓性ガイドと、ゴングを叩くようにハンマに含まれるストライカ側の第2の可撓性ガイドとを含む、4棒機構に基づく設計によるさらなる時打ち機構を、
図1と同様に示す図である。
【
図7】
図7〜
図10は、動作シーケンスを示す図である。
図7は、衝突直後のシステムの状態を示す図である。
【
図10】ゴングへの衝突中のハンマを示す図である。
【
図11】The Swatch Group Research & Development Ltdが保持するスイス特許出願CH01421/16または欧州特許出願EP16195405.2による磁気式脱進機機構を備え、突出交差ストリップを有する可撓性ガイド上のハンマと、脱進機車により担持される他の磁石と協働するように配置された支持磁石とを備える、本発明の代替実施形態を示す図である。
【
図12】直線ガイド上のハンマにより作動する代替実施形態におけるさらなる時打ち機構を、
図1と同様に示す図である。
【
図13】エネルギー蓄積および/または発生手段と、そのような時打ち機構を駆動するように配置された時計ムーブメントとを備える腕時計を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、時打ち機構およびアラーム機構に関し、より詳細には、ハンマ作動システムに関する。
【0015】
本発明は、可撓性ガイドを使用して、ゴング・ハンマを案内し、元に戻すことを提案する。最も基本的な機構が、少なくとも可撓性ガイドにより吊り下げられたハンマを示す
図1に概略的に示される。ここでは、可撓性ガイドは、略平面移動でハンマを案内する2つの突出交差弾性ストリップを有する可撓性ガイドの形で非限定的に示される。
図1の機構は、以下のように動作する。作動可動部品、特に作動車、または実際にはアンクルがハンマを持ち上げ、図示した例のように、ハンマに含まれる歯が作動車に係合しなくなるまで、ハンマを静止位置から動かして巻きを行う。その後、ハンマは、降下中に、ばねに含まれるエネルギーの作用により落下し、ゴングまたは放射要素を叩く。作動車は再びハンマに係合し、動作が同様に繰り返される。
【0016】
ハンマの静止位置は規定されていない。ハンマの静止位置は衝突位置に非常に近いと好ましいと思われる。プレストレスを与えたハンマを用いる解決策も想定することができる。プレストレスを与えることにより、ハンマに蓄積されるエネルギーを調節することができる。可撓性ガイドが存在すると、特に遊びをなくしてハンマが正確に位置決めされるという利点がある。これにより、ハンマの機械的回動の遊びによって既存の時打ち機構に生じる通常の寄生ノイズをなくすことができる。可撓性ガイドは、ハンマに蓄積されるエネルギーを正確に規定する。したがって、システムは、打撃のたびに同量のエネルギーを供給することができる。さらなる利点が時打ちの終了時に見られる。時打ちの終了時には、作動車がハンマを持ち上げることができなくなるが、小さいトルクを加えることにより、ハンマがゴングまたは放射要素に接触することを防ぎ、したがって、リバウンドなどによりゴングを意図せず叩くことを防ぐ。
【0017】
ハンマと可撓性ガイドとから形成された組合せシステムが共振器を形成し、この共振器が時打ち機構の規制に適切に使用されることを理解されたい。
【0018】
図2〜
図4は、可撓性ガイドに含まれる少なくとも1つのストリップの経路上に、その動作範囲内で障害物を挿入することにより、可撓性ガイドの動的剛性を修正することからなる代替実施形態を示す。
図2はハンマの巻きの中間位置を示し、
図3はハンマが完全に巻かれた位置を示し、
図4は、戻り止め、およびハンマが打撃位置へ向かう移動の開始を示し、衝突直前に、可撓性ガイドがピンまたはさらなる固定障害物に当接した後に、ハンマがゴングまたは放射要素に接触する。境界で、このバンキングの協働を、まさに衝突の瞬間に行うことができる。プレートの側面の凹部からハンマまでのストリップの有効長が
図4よりも
図3において長いため、
図3の位置における機構の剛性は
図4の位置よりも低い。
図4の位置において、ストリップ全体が変形するが、
図3よりも剛性が高いことが明らかである。この原理は、カタパルトまたは非常に旧式のプロペラの原理に相当する。
【0019】
本発明の代替実施形態は、
図5に示す揺り木馬の動作の原理に基づく。この機構は「4棒機構」として知られる。木馬は通常、小さい振幅で揺れ、大きい振幅で跳ね上がるので興味深い。木馬をハンマに置き換えることによりこのシステムを入れ換えると、ハンマを、ゴングまたは放射要素に衝突する直前に、木馬が跳ね上がるように加速させることができる。機構が明らかに簡単であるにもかかわらず、設計は比較的複雑である。多くの解決策および可能性がある。案内される要素の経路および可動部品の速度は、特許請求する実施形態により定義することができる。
【0020】
腕時計製造のために、4棒回動点またはヒンジ点を可撓性ガイドに置き換える。さらなる解決策は、棒全体を可撓性ストリップに置き換えることである。設計の例が
図6に示され、様々な動作シーケンスが
図7〜
図10で説明される。
【0021】
4棒システムまたは他の同等の可撓性ガイドが、時打ち直前にハンマを加速させるように設計されると有利である。これは、この機構の主な利点の1つである。
【0022】
また、ピンなどのバンキングを加えることもでき、これにより、
図4に示す原理に従って、
図7〜
図10のシステム上における可撓性ガイドの剛性/力学を修正する。
【0023】
本発明のさらなる代替実施形態は、The Swatch Group Research & Development Ltdが保持するスイス特許出願CH01421/16または欧州特許出願EP16195405.2による磁気式脱進機機構に基づくものであり、突出交差ストリップを有する可撓性ガイド上のハンマと、脱進機車により担持されるさらなる磁石と協働するように配置された支持磁石とを備える。この代替実施形態は非常に簡単であり、
図11に示すように、時打ち機構のハンマを作動させるためのこの脱進機機構の教示を、共振器の代わりに入れ換えるだけでよい。
【0024】
図12は、ハンマを作動させるために直線可撓性ガイドを使用するさらなる代替実施形態を示し、作動車が、特にNivarox−FAR SAが保持する、可動フレーム脱進機機構に関する欧州特許EP2831677B1に特に記載されるような可動フレームの隆起部分と協働する。この機構により、傾斜打撃の代わりに直線打撃を行うことができるため、大きさの理由で有利となり得る。
【0025】
ハンマの長孔内で摺動するピンを(作動車上に)配置することにより、ハンマを作動させることもできる。この場合、ハンマの力学は列の力学に関連するため、ハンマの力学が修正されることに留意されたい。
【0026】
可撓性ガイドにより、多くのムーブメントを実行することができる。特に、ハンマの実際の回動を実行することができる。
【0027】
より詳細には、本発明は、時計の時打ち機構100であって、少なくとも1つのゴングまたは放射要素2を支持する固定構造1と、前記機構100に含まれる作動可動部品4の作用下で固定構造1に対して相対的な可動ハンマ3とを備える時打ち機構100に関する。この作動可動部品4は、少なくとも1つのゴングまたは放射要素2の打撃のために前記ハンマ3のアンクルおよび解放を制御するように配置される。
【0028】
本発明によれば、時打ち機構100は、ハンマ3を吊り下げるために、少なくとも1つの可撓性ガイド10を備え、この可撓性ガイド10は、固定構造1とハンマ3との間に配置されて、ハンマ3のムーブメントを可能にし、固定構造1とハンマ3との間に唯一の恒久的な機械的連結部を形成する。図示した非限定的な特定の代替実施形態において、機構100は平面型の可撓性ガイド10を備える。
【0029】
より詳細には、時打ち機構100は、作動可動部品4を駆動して時打ち機構を実行し、かつ作動可動部品4に巻きサイクルを実行させるように配置され、巻きサイクル中、作動可動部品4は、ハンマ3を駆動しながら、当該可撓性ガイド10(一定量のエネルギーを蓄積する)にある量のエネルギーを供給し、その後、ハンマ3を解放して、この可撓性ガイド10に蓄積されたエネルギーに対応する一定量のエネルギーを用いて、降下中にハンマ3による少なくとも1つのゴングまたは放射要素2の打撃によって時打ち機構を実行する。
【0030】
特定の実施形態において、少なくとも1つの可撓性ガイド10は平面状で、固定構造1とハンマ3との間に配置されて、単一平面Pのみにおけるハンマ3のムーブメントを可能にする。
【0031】
特定の実施形態において、ハンマ3はそのような平面Pにおいて可動であり、少なくとも1つの可撓性ガイド10は平面型で、複数の弾性ストリップ11を備え、これらの弾性ストリップ11は、平面Pまたは平面Pに平行な複数の平面において延び、互いに平行であるか、または実際に、仮想回動軸Dの高さで平面P上において突出して交差している。
【0032】
特定の代替実施形態において、少なくとも1つの可撓性ガイド10は、少なくとも1つの双安定または多安定弾性ストリップを備える。
【0033】
代替実施形態において、時打ち機構は少なくとも1つの可撓性ガイド10を備え、この可撓性ガイド10は、平面Pにおけるハンマ3の巻きおよび降下移動時にハンマ3を案内し、降下移動の終了時にハンマ3を加速させるように配置される。
【0034】
より詳細には、少なくとも1つの可撓性ガイド10は、平面Pにおけるハンマ3の巻きおよび降下移動時にハンマ3を案内するように配置された少なくとも1つの第1の弾性ストリップと、降下移動の終了時にハンマ3を加速させるように配置された少なくとも1つの第2の弾性ストリップとを備える。
【0035】
特定の実施形態において、可撓性ガイド10のうちの少なくとも1つは補強ストリップ12を備え、この補強ストリップ12は、ハンマ3の降下移動中およびゴングまたは放射要素2に対する打撃前に、固定構造1に堅く接続された固定バンキング13に特に中央部分において当接することにより協働するように配置されて、ハンマ3がゴングまたは放射要素2に衝突する直前にハンマ3を加速させる。
【0036】
代替実施形態において、ハンマ3は、ハンマ3を回動させるための巻き段階中に作動可動部品4に含まれる作動歯15と協働するように配置された第1の巻き歯14を備え、ハンマ3は、第1の巻き歯14から離れたところに、ゴングまたは放射要素2を叩くように配置されたストライカ17を備え、時打ち機構100は、第1の巻き歯14付近およびストライカ17付近に可撓性ガイド10を備える。
【0037】
より詳細には、ハンマ3は、ハンマ3を回動させるための巻き段階中に作動可動部品4に含まれる作動歯15と協働するように配置された第1の巻き歯14を備え、可撓性ガイド10は、第1の巻き歯14付近に第1の弾性ストリップを備え、ハンマ3は、第1の巻き歯14から離れたところに、ゴングまたは放射要素2を叩くように配置されたストライカ17を備え、可撓性ガイド10は、ストライカ17付近に少なくとも第2の弾性ストリップを備える。
【0038】
さらなる代替実施形態において、時打ち機構100は、時打ち機構香箱ならびに/またはエネルギー蓄積および分配手段を備え、ハンマ3は、ハンマ3を回動させるための巻き段階中に作動可動部品4に含まれる作動歯15と協働するように配置された第1の巻き歯14と、巻きの終了時および少なくとも降下開始時に2つのさらなる作動歯15間に挿入されるように配置された第2の外れ防止歯16とを備えて、前記時打ち機構香箱ならびに/またはエネルギー蓄積および分配手段の制御されない巻戻しを防止する。
【0039】
磁気的な代替実施形態において、ハンマ3は、少なくとも1つのハンマ磁石23または強磁性ハンマ要素を備え、このハンマ磁石23または強磁性ハンマ要素は、可動部品の強磁性要素または可動部品の磁石24と協働して、作動可動部品4によりハンマ3を駆動および解放するように配置される。
【0040】
実施形態において、ハンマ3は実質的な回転ムーブメントまたは回転ムーブメントの組合せによって動く。
【0041】
さらなる実施形態において、ハンマ3は長手方向ムーブメントによって動く。より詳細には、ハンマ3は、ベアリング・ブロック34内で長手方向に案内される可動フレーム33を備え、フレーム33は内部にチャンバ35を備え、チャンバ35内に、静止突起36が作動可動部品4に含まれる作動歯15と協働するように配置される。
【0042】
特定の実施形態において、ハンマ3およびハンマ3を支持する可撓性ガイド10、ならびにハンマ3が協働するゴングまたは放射要素2は、平面Pに沿って突出し、平面Pに垂直な平面に関して対称である。
【0043】
代替実施形態において、時打ち機構100は、ハンマ3を吊り下げるために、互いに離れた別々の複数の平面状可撓性ガイド10を備える。
【0044】
代替実施形態において、時打ち機構100は複数のハンマ3と複数のゴングまたは放射要素2とを備える。
【0045】
代替実施形態において、ハンマ3とハンマ3を支持する可撓性ガイド10のうちの1つとはともに、時打ち機構を規制するように配置された共振器を形成する。
【0046】
本発明はさらに、エネルギー蓄積および/または発生手段200と、時打ち機構100を駆動するように配置された時計ムーブメント300とを備える腕時計1000に関する。
【0047】
本発明は、以下の多くの利点をもたらす。
ハンマばねにプレストレスを与えることにより、時打ち機構の一定の強度が可能になる。
適切な設計の4棒型機構により、時打ち中にハンマを加速させることができる。
時打ち機構の音質が向上する。
【符号の説明】
【0048】
1 固定構造
2 ゴングまたは放射要素
3 ハンマ
4 作動可動部品
10 可撓性ガイド
11 弾性ストリップ
12 補強ストリップ
13 固定バンキング
14 第1の巻き歯
15 作動歯
16 第2の外れ防止歯
17 ストライカ
23 ハンマ磁石
24 磁石
33 可動フレーム
34 ベアリング・ブロック
35 チャンバ
36 静止突起
100 時打ち機構
200 エネルギー蓄積および/または発生手段
300 時計ムーブメント
1000 腕時計
D 仮想回動軸
P 平面