(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トレイベースプレートは、少なくとも2つのサブベースプレートを組み合わせることによって構成され、2つの隣接するサブベースプレートは、溶接によって接続される、請求項1に記載の自動車トレイコンポーネント。
トレイコンポーネントと、包囲カバーと、前記包囲カバーと前記トレイコンポーネントによって形成された取付空間内に配置された幾つかの動力バッテリとを含む自動車バッテリパッケージであって、前記トレイコンポーネントは、請求項1〜4の何れか一項に記載の自動車トレイコンポーネントである、自動車バッテリパッケージ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上述の少なくとも1つの技術的な問題をある程度解決しようとするものであり、衝撃が発生したときに緩衝効果を提供することができると同時に放熱の性能が良好であり、占有スペースが小さく、安全性能が高い自動車トレイコンポーネント、自動車バッテリパッケージ、及び自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本開示は、トレイベースプレートと、トレイベースプレートの周囲に配置された取付ビームとを含む自動車トレイコンポーネントであって、トレイベースプレートは、上プレート部、中プレート部、及び下プレート部を含み、冷却空洞は、上プレート部と中プレート部との間に配置され、及び緩衝空洞は、中プレート部と下プレート部との間に配置される、自動車トレイコンポーネントを提供する。
【0009】
本開示の実施形態の自動車トレイコンポーネントによれば、トレイベースプレートは、上プレート部、中プレート部、及び下プレート部を含み、緩衝空洞は、中プレート部と下プレート部との間に配置され、それにより、走行中に自動車に衝撃が生じたとき、緩衝空洞は、動力バッテリへの衝撃の影響を軽減し、動力バッテリの使用の安全性を改善するように良好な緩衝効果を提供することができる。一方、相変化物質、断熱材料、又は他の部品も緩衝空洞内に配置され得、それにより、空間をある程度節約しながら安全性を改善する。加えて、冷却空洞は、上プレート部と中プレート部との間に配置され、冷媒又は冷却管が冷却空洞内に配置され得、それより良好な放熱効果及び温度低下を実現することができる。
【0010】
本開示の幾つかの実施形態によれば、トレイベースプレートは、少なくとも1つのサブベースプレートを含み、サブベースプレートは、上サブプレート部、中サブプレート部、及び下サブプレート部を含み、冷却空洞は、上サブプレート部と中サブプレート部との間に配置され、及び緩衝空洞は、中サブプレート部と下サブプレート部との間に配置される。
【0011】
本開示の幾つかの実施形態によれば、冷却管は、冷却空洞内に配置される。
【0012】
本開示の幾つかの実施形態によれば、サブベースプレートは、一体に押出成形されたアルミニウムベースプレートである。
【0013】
好ましくは、トレイベースプレートは、少なくとも2つのサブベースプレートを組み合わせることによって構成され、及び2つの隣接するサブベースプレートは、溶接によって接続される。
【0014】
本開示の幾つかの実施形態によれば、冷却空洞及び/又は緩衝空洞は、自動車トレイコンポーネントの幅方向に延びる。
【0015】
本開示の幾つかの実施形態によれば、動力バッテリを取り付けるためのバッテリ取付構造は、トレイベースプレート上に配置される。
【0016】
本開示の幾つかの実施形態によれば、緩衝空洞は、真空空洞、エネルギー吸収材料が充填された空洞、又は、断熱材料が充填された空洞である。
【0017】
本開示は、トレイコンポーネントと、包囲カバーと、包囲カバーとトレイコンポーネントとによって形成された取付空間内に配置された幾つかの動力バッテリとを含む自動車バッテリパッケージであって、トレイコンポーネントは、本開示において提供される自動車トレイコンポーネントである、自動車バッテリパッケージをさらに提供する。
【0018】
本開示は、自動車トレイコンポーネントと、自動車トレイコンポーネント上に配置された動力バッテリとを含む自動車であって、自動車トレイコンポーネントは、本開示において提供される自動車トレイコンポーネントである、自動車をさらに提供する。
【0019】
本開示の他の態様及び利点は、部分的に以下の説明に示され、部分的に以下の説明から明らかとなるか又は本開示の実践によってわかるであろう。
【0020】
本開示の上記及び/又は他の態様及び利点は、添付の図面と組み合わせて実施形態の以下の説明から明らかとなり、且つ容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
参照符号
トレイベースプレート:10、上プレート部:111、下プレート部:112、緩衝空洞:113、分離部分:114、冷却空洞:115、中プレート部:116、冷却管:117、取付ビーム:20、中空部分:21、サブ中空部分:211、冷却サブ中空部分:212、補強リブ:23、バッテリ取付構造:30、取付部分:60。
【0023】
本開示の実施形態が以下に詳細に説明され、実施形態の例が添付の図面に示されており、全体を通じて、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の機能を有する1つ又は複数の同じ又は同様の要素を示す。添付の図面に関して後述される実施形態は、例示的であり、本開示を説明するためのものであり、本開示を限定すると解釈することはできない。
【0024】
本開示の説明では、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上側」、「下側」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「内側」、「外側」等の用語で示される向き又は位置の関係は、添付の図面に示されている向き又は位置の関係に基づいており、本開示の説明を容易にし、説明を単純化するためにすぎず、示されている装置又は要素が特定の向きを有するか、又は特定の向きに構築され、操作される必要があることを示すか又は示唆するものではなく、本開示を限定すると解釈することはできないことが理解される。さらに、「第一」及び「第二」という用語は、説明を目的としているにすぎず、相対的な重要性を示すか若しくは示唆するか、又は示されている技術的特徴の数を黙示的に特定すると解釈することはできない。したがって、「第一」及び「第二」と定義される特徴は、明示的又は黙示的に、特徴の1つ又は複数を示し得る。本開示の説明では、「複数」は、明確且つ具体的に別段の定義がなされない限り、2つ以上を意味する。
【0025】
本開示において、明示的に別段の特定及び定義がなされない限り、「取り付けられた」、「接続された」、及び「固定された」等の用語は、広い意味で理解されるべきであり、例えば固定された接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続を使用でき、機械的接続又は電気的接続を使用でき、2つの要素の直接的接続、中間媒体を介した間接的接続、又は内部連通を使用できる。本開示の上述の用語の具体的な意味は、当業者にとって具体的な状況に応じて理解され得る。
【0026】
本開示の実施形態による自動車トレイコンポーネントを
図2〜
図6に関連して以下に説明する。
【0027】
図2〜
図5に示されるように、本開示は、トレイベースプレート10と、トレイベースプレート10の周囲に配置された取付ビーム20とを含む自動車トレイコンポーネントであって、トレイベースプレート10は、上プレート部111、中プレート部116、及び下プレート部112を含み、冷却空洞115は、上プレート部111と中プレート部116との間に配置され、及び緩衝空洞113は、中プレート部116と下プレート部112との間に配置される、自動車トレイコンポーネントを提供する。
【0028】
一般に、当技術分野で通常使用される自動車トレイコンポーネントは、長方形である。長方形のトレイベースプレート10と、トレイベースプレート10の周囲に配置された4つの取付ビーム20とである。取付ビーム20は、トレイベースプレート10と一体構造にされ得、又は分割型構造であり得、すなわち、4つの取付ビーム20は、溶接又は他のプロセスによってトレイベースプレート10の周囲に作られる。
【0029】
取付ビーム20は、一般に、一体構造であり、長方形の長辺の方向は、一般に、トレイベースプレート10又は自動車トレイコンポーネントの長さ方向と考えられる一方、長方形の短辺の方向は、一般に、トレイベースプレート10又は自動車トレイコンポーネントの幅方向と考えられる。
図3又は
図4に示されているように、左右方向は、長さ方向であり、上下方向は、厚さ方向であり、厚さ方向は、トレイベースプレート10又は自動車トレイコンポーネントの厚さ方向である。自動車に関連して説明すると、一般に、トレイベースプレート10の長さ方向は、自動車の走行方向と一致し、トレイベースプレート10の幅方向は、車体の幅方向に対応する。
【0030】
本開示において、トレイベースプレート10は、少なくとも1のサブベースプレートを含み、サブベースプレートは、上サブプレート部、中サブプレート部、及び下サブプレート部を含み、冷却空洞は、上サブプレート部と中サブプレート部との間に配置され、及び緩衝空洞は、中サブプレート部と下サブプレート部との間に配置される。上記は、本開示の1つの好ましい実装形態にすぎず、その目的は、トレイベースプレート10の製造を容易にすることである。一般に、自動車トレイベースプレート10は、比較的大きい面積を有し、機械的加工中、冷却空洞115及び緩衝空洞113並びに2つの空洞間の中プレート部116を、大きい面積を有する一体に成形されたトレイベースプレート10上に加工によって直接形成することは難しい。したがって、加工を容易にし、また上プレート部111、下プレート部112、緩衝空洞113、冷却空洞115及び中プレート部116を加工によって一体に成形可能にするために、トレイベースプレート10は、製造のために複数の部分に分割され、すなわち、トレイベースプレート10は、少なくとも1つのサブベースプレートを用いることによって組み立てられる。サブプレート部の数に関して、これは、トレイベースプレート10に必要な面積又は他の要素に応じて決定できる。
【0031】
これに基づき、サブベースプレートは、上サブプレート部、中サブプレート部、及び下サブプレート部を含み、冷却空洞は、上サブプレート部と中サブプレート部との間に配置され、及び緩衝空洞は、中サブプレート部と下サブプレート部との間に配置される。トレイベースプレート10の全体的構造の組み立てにおいて、上記の成形方法は、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0032】
図4に示されるように、上プレート部111、下プレート部112、及び中プレート部116は、好ましくは、全て厚さ方向に垂直なプレート部であり、一般に、上プレート部111、下プレート部112、及び中プレート部116は、相互に平行なプレート部であり、上プレート部111、下プレート部112、及び中プレート部116が位置付けられる平面は、トレイベースプレート10が位置付けられる平面と一致する。
【0033】
図4に示されるように、冷却空洞115及び緩衝空洞113は、一般に、上プレート部111、下プレート部112、又は中プレート部116に平行な平坦な空洞である。本開示の幾つかの実施形態において、上プレート部111、下プレート部112、中プレート部116、冷却空洞115、及び緩衝空洞113は、金属プレート片(例えば、アルミニウム製品)を用いて一体に成形される。より具体的には、中プレート部116、冷却空洞115、及び緩衝空洞113は、中実のアルミニウムの中間物をスタンピングすることによって形成され得る。
【0034】
本開示において、緩衝空洞113の存在により、自動車トレイコンポーネントが衝撃を受けた際、緩衝空洞113は、特定の緩衝空間を提供することができ、すなわち、下プレート部112は、衝撃を受けたときに特定の緩衝空間を有し、上方に凹み、したがってトレイコンポーネント内に配置される動力バッテリを保護し、衝撃が動力バッテリの安全性能に影響を与えることを防止できる。一方、緩衝空洞113の上方に位置付けられる冷却空洞115は、その上に取り付けられた動力バッテリのための良好な放熱効果を提供し得、それによってバッテリの安全性が向上する。加えて、緩衝空洞113が下の層に配置されているため、下プレート部112の変形は、下プレート部が衝撃を受けたときでも、その上の冷却空洞115に影響を与えず、冷却空洞115は、力を受けても変形せず、低い放熱効果を有することはなく、それによって放熱効果と動力バッテリの安全とがさらに改善される。
【0035】
本開示の幾つかの実施形態において、
図6に示されるように、冷却管117は、冷却空洞115の内部に配置され得る。冷却管117の1つの面は、上プレート部111に取り付けられ、上プレート部111上に配置された動力バッテリと共に熱伝導を良好に行うことができる。一方、冷媒は、冷却通路の内部に配置され、冷媒は、気体又は液体であり得、上プレート部111から伝えられた熱を排出し、放熱を行うことができる。
【0036】
上述の冷却管117は、湾曲した形状で冷却空洞115と一体に設けられ得、冷媒は、冷却管117の一方の端から注入され、反対の端から外に誘導されて冷却循環管を形成する。冷却管117は、代替的に、直接的に直管にされ得、直管は、好ましくは、自動車トレイの幅方向に設置され、したがって、冷却管117の両端は、取付ビーム20の縁に沿って導出され得る。さらに、中空部分21は、取付ビーム20の内部に配置され得、注入ポートと導出ポートとが配置され得、冷却空洞115内に配置された冷却管117は、注入ポートから中空部分21に入り、中空部分21の導出ポートから外部へと誘導される。
【0037】
加えて、本開示の幾つかの実施形態において、一体成形された冷却通路がトレイベースプレート10上に直接形成され得る。より具体的には、冷却空洞115は、分離部分114を通して複数のサブ冷却空洞に分割され、複数のサブ冷却空洞自体は、冷媒の保管空間として使用され、したがって複数のサブ冷却空洞が直列又は並列に接続されて、完全な冷却通路が形成される。
【0038】
前述のように、上述のサブベースプレートは、一体に押出成形されたアルミニウムベースプレートであり得る。アルミニウム材料で製作されたベースプレートは、材料自体の特性により、内部が中空の構造、すなわち本開示において提供される、内部に緩衝空洞113と冷却空洞115とを含むトレイベースプレート10を容易に形成し得る。
【0039】
真空空洞が緩衝空洞113内に配置され、動力バッテリの内部温度を周囲温度から断熱して、極端な環境が自動車トレイコンポーネント内に配置された動力バッテリに与える影響を軽減させることができる。
【0040】
上述の緩衝空洞113が全て真空空洞であるか、又はその中の緩衝空洞113の幾つかが真空空洞であり得る。当然のことながら、自動車トレイコンポーネントの内部の温度を外部の周辺温度から有効に断熱するために、全ての緩衝空洞113を真空空洞となるように製造することが最も好ましい。
【0041】
加えて、相変化物質等のエネルギー吸収材料も緩衝空洞113内に充填されて、エネルギー吸収材料が充填された空洞を形成し得、これは、実際には、緩衝空洞113内にエネルギー吸収材料を充填することによって形成される部品である。同じ論拠により、断熱材料が緩衝空洞113に充填されて、断熱材料が充填された空洞を形成する。
【0042】
緩衝空洞113が真空空洞、エネルギー吸収材料充填空洞、又は断熱材料充填空洞の何れにされるかを問わず、それらの機能は同じであり、すなわち、一方では衝突に対する緩衝効果を提供して損害を軽減させ、他方では緩衝空洞113の上方に位置付けられた冷却空洞115を外部環境から良好に断熱して、極端な環境において外部環境が自動車トレイコンポーネント内の動力バッテリに与える影響を小さくする。
【0043】
本開示において、緩衝空洞113は、分離部分114を通して少なくとも2つのサブ緩衝空洞に分割され、そのうちの少なくとも1つのサブ緩衝空洞は、真空空洞である。当然のことながら、前述の説明に基づき、全てのサブ緩衝空洞を真空空洞として、より良好な断熱を促進することができる。一般に、トレイベースプレート10は、複数のサブベースプレートを含み得、各サブベースプレートは、その上に緩衝空洞113を含む一方、各サブベースプレート上の緩衝空洞113はまた、少なくとも2つのサブ緩衝空洞に分割され得る。上述の何れの状況であるかを問わず、全ての緩衝空洞113を真空空洞とし得る。
【0044】
異なる自動車走行環境、例えば寒冷地域において、低温は、動力バッテリの充電及び放電性能に影響を与え得、動力バッテリが寒冷環境で使用される場合、一般に、動力バッテリを適切に加熱して、その全体的な性能を向上させる必要がある。この点で、環境において温度は低く、動力バッテリと環境との間に断熱手段がなければバッテリを使用することは不利である。したがって、本開示において、緩衝空洞113は、トレイベースプレート10上において、一方では衝撃に対する緩衝効果を提供して、衝撃を受けている間の動力バッテリの安全性能を向上させ、他方では上述の緩衝空洞113の幾つか又は全部を真空空洞とするように選択して、自動車トレイコンポーネントの内部を外部環境から断熱し、外部の低い温度環境が動力バッテリに与える不利な影響を軽減させて、動力バッテリのサービス性能を改善するように配置される。
【0045】
同様に、本開示において、緩衝空洞113の上方に位置付けられた冷却空洞115も、分離部分114を通して複数のサブ冷却空洞に分割され得、それにより、一方では、複数のサブ冷却空洞は、冷却通路を直接構成するように設置され得、他方では、冷却空洞115内に配置された冷却管117は、分離されて、冷却管117間の相互の影響を軽減させ、且つ加えて冷却管117の取付をさらに容易にし得る。
【0046】
本開示の幾つかの実施形態において、トレイベースプレート10の大きさを考慮すると、トレイベースプレート10が比較的大きい場合、トレイベースプレート10は、少なくとも2つのサブベースプレートを組み合わせることによって構成される。したがって、トレイベースプレート10の全体としての部品は、横並びに配置されて相互に接続された少なくとも2つのサブベースプレートによって形成され得る。一般に、トレイベースプレート10は、トレイベースプレート10の長さ方向に設置されて組み合わされた少なくとも2つのサブプレートによって形成される。したがって、比較的大きいトレイベースプレート10は、複数の小さいサブベースプレートに分割され得、それによってサブベースプレート上の緩衝空洞113と冷却空洞115との製造が容易になる。
【0047】
好ましくは、2つの隣接するサブベースプレートは、溶接によって接続される。溶接の堅牢さ及び形成されたトレイベースプレート10の審美性が考慮される。
【0048】
本開示の幾つかの実施形態において、冷却空洞115及び/又は緩衝空洞113は、自動車トレイコンポーネントの幅方向に延びる。すなわち、緩衝空洞113及び/又は冷却空洞115は、トレイベースプレート10の幅方向に配置され、一方では緩衝空洞113と冷却空洞115との設置がさらに容易にされ、他方では流路及び他の材料の充填もさらに容易にされる。
【0049】
本開示の幾つかの実施形態において、
図5に示されているように、中空部分21は、取付ビーム20の内部に配置され、中空部分21は、取付ビーム20の長さ方向に延びる。中空部分21は、動力バッテリの配線又は冷却管117の導出に使用される。取付ビーム20がトレイコンポーネントの長さ方向に取り付けられると、取付ビーム20の長さ方向は、トレイコンポーネントの長さ方向であり、取付ビーム20がトレイコンポーネントの幅方向に取り付けられると、取付ビーム20の幅方向は、トレイコンポーネントの幅方向である。
【0050】
本開示の他の幾つかの実施形態において、導出ポート(図示せず)は、取付ビーム20上に配置され、自動車トレイコンポーネント上に配置された動力バッテリの導出ワイヤ及び/又は自動車トレイコンポーネント上に配置された冷却管117は、中空部分21の内部に設置されて、導出ポートを通って自動車トレイコンポーネントの外部へと導出される。導出ワイヤ又は冷却管117を取付ビーム20上の中空部分21から外に誘導することにより、導出ワイヤ又は冷却管117は、自動車トレイコンポーネントの内部の空間占有を節約しながら、より規則的に導出され得、したがって従来の自動車トレイコンポーネントの内部の導出ワイヤの無秩序な配置が回避され、無秩序な配置による短絡のリスクが軽減する。
【0051】
本開示において、取付ビーム20の長さ方向に延びる補強リブ23が取付ビーム20の内部に配置され、補強リブ23は、中空部分21を少なくとも2つのサブ中空部分211に分割する。中空部分21は、1つ又は複数の補強リブ23を通して少なくとも2つの部分、すなわち2つのサブ中空部分211に分割される。このようにして、一方では取付ビーム20の強度が補強リブ23を通して増大され得、他方では、導出ワイヤ及び冷却管117はまた、規則的により良好に導出され得、又は導出ワイヤ及び冷却管117は、さらにそれぞれ2つの異なるサブ中空部分を通じて導出され得る。
【0052】
幾つかの実施形態において、上述の少なくとも2つのサブ中空部分211の一方は、自動車トレイコンポーネント上に取り付けられた導出ワイヤを設置するために使用される。すなわち、その中の一方のサブ中空部分211は、導出ワイヤを取り付けるために使用される。
【0053】
他の幾つかの実施形態において、少なくとも1つのサブ中空部分211は、自動車トレイコンポーネント上に取り付けられた冷却管117を設置するために使用される。本開示において、導出ワイヤ又は冷却管117は、サブ中空部分211の何れか一方のみを通じて導出され得、又は同時に1つのサブ中空部分211を通じて導出され得、又はそれぞれ異なるサブ中空部分211内に配置され得る。
【0054】
さらに、本開示の幾つかの実施形態において、サブ中空部分211の一方は、冷却通路として使用され得、これは、冷却サブ中空部分212と呼ばれる。すなわち、サブ中空部分211自体が冷却通路として使用され、冷媒が直接運び込まれ、その中に冷却管117が提供されない。
【0055】
サブ中空部分211の1つが冷却サブ中空部分212として使用される場合、一般に、冷却サブ中空部分212の断面積は、比較的小さいことができ、他のサブ中空部分211の断面積、すなわちトレイベースプレート10の幅方向に垂直な平面に沿った断面の面積より小さいことができる。したがって、取付ビーム20の内部の空間は、より合理的に利用され得、配線及び大きい空間が必要な位置でより大きい断面が留保され得、冷却媒体の流路内に小さい断面が留保され得る。
【0056】
本開示の1つの好ましい実施形態において、取付ビーム20は、一体に押出成形されたアルミニウムビームであり得る。前述のように、設計では、アルミニウム材料のビームの可塑性及び製造プロセスの選択が考慮される。
【0057】
本開示の幾つかの実施形態において、より具体的には、取付ビーム20の設計及び取付を容易にするために、取付ビーム20は、正方形であることが好ましい。
【0058】
他の幾つかの実施形態において、正方形の取付ビーム20は、トレイベースプレート10に垂直に配置され、それによって取付ビーム20とトレイベースプレート10との間の固定接続がさらに容易になる。
【0059】
より具体的には、幾つかの実施形態において、取付ビーム20の中空部分21は、正方形の中空部分21であり、正方形の中空部分21は、取付ビーム20全体の長さ方向を通じて延びる。
【0060】
本開示の幾つかの実施形態において、
図5に示されるように、取付ビーム20の内部の補強リブ23は、正方形の中空部分21の角度に沿って配置された傾斜プレートであり、補強リブ23は、正方形の中空部分21を2つの部分に分割し、一方は、三角形の断面の
冷却サブ中空部分212であり、他方は、円錐台形の断面のサブ中空部分211である。このように設計された補強リブ23は、取付ビーム20の全体的な強度を向上させ得る。当然のことながら、上記は、本開始の幾つかの好ましい方法にすぎない。当業者はまた、補強リブ23の位置及び2つのサブ中空部分211の形状を具体的な設計上の要求事項に応じて調整し得る。
【0061】
本開示の他の幾つかの実施形態において、複数の補強リブ23が取付ビーム20の内部に配置されて、中空部分21を複数のサブ中空部分211に分割し得、幾つかのサブ中空部分211は、機能材料で充填され得、幾つかのサブ中空部分211に冷媒が充填され、冷却サブ中空部分212として使用され、他の幾つかのサブ中空部分211は、配線誘導のために使用され得る。
【0062】
本開示の幾つかの実施形態において、
図6に示されるように、中プレート部116又は下プレート部112に垂直な少なくとも1つの垂直分離部分114は、中プレート部116と下プレート部112との間に配置され、緩衝空洞113は、上述の分離部分114によって少なくとも2つのサブ緩衝空洞に分割される。
【0063】
上述のように、一般に、緩衝空洞113は、トレイベースプレート10に平行な空洞(一般に長方形の空洞)である一方、分離部分114は、垂直方向、すなわちトレイベースプレート10が配置される平面に垂直方向であり、トレイベースプレート10の幅方向に延びる。この点で、垂直分離部分114は、緩衝空洞113を少なくとも2つのサブ緩衝空洞に分割する。サブ緩衝空洞もトレイベースプレート10の方向に平行であり、それぞれ分離部分114の両側に配置される。
【0064】
分離部分114の配置により、一方ではトレイベースプレート10の全体的な機械的強度を改善でき、他方では緩衝空洞113も少なくとも2つの部分に分割されて、他の部品の配置が容易になり、相変化物質が幾つかのサブ緩衝空洞内に配置され得、それによってトレイベースプレート10の放熱及び断熱の全体的な性能が向上する。
【0065】
本開示の他の実施形態において、
図6に示されるように、中プレート部116又は上プレート部111に垂直な少なくとも1つの垂直分離部分114は、上プレート部111と中プレート部116との間に配置され、冷却空洞115は、上述の分離部分114によって少なくとも2つのサブ冷却空洞に分割される。
【0066】
前述のように、一般に、冷却空洞115は、トレイベースプレート10に平行な空洞(一般に長方形の空洞)である一方、分離部分114は、垂直方向、すなわちトレイベースプレート10が配置される平面に垂直方向であり、トレイベースプレート10の幅方向に延びる。この点で、垂直分離部分114は、冷却空洞115を少なくとも2つのサブ冷却空洞に分割する。サブ冷却空洞もトレイベースプレート10の方向に平行であり、それぞれ分離部分114の両側に配置される。
【0067】
例えば、冷却管117は、幾つかのサブ冷却空洞内に配置され得、又はサブ冷却空洞の幾つかは、それ自体、冷却通路として直接使用され得る。
【0068】
図6に示されているように、分離部分114は、冷却空洞115及び緩衝空洞113を貫いて上下方向に延び得、すなわち、緩衝空洞113及び冷却空洞115は、1つの分離部分114を共有する。
【0069】
より具体的には、緩衝空洞113及び冷却空洞115は、自動車トレイコンポーネントの幅方向(すなわちトレイベースプレート10の幅方向)に延び、緩衝空洞113は、自動車トレイコンポーネントの幅方向に延びる分離部分114によって少なくとも2つのサブ緩衝空洞に分割され、冷却空洞115は、自動車トレイコンポーネントの幅方向に延びる分離部分によって少なくとも2つのサブ冷却空洞に分割される。上述の構造は、本開示の1つの好ましい実施形態であり、さらに、サブ緩衝空洞及びサブ冷却空洞が延びる方向を画定する。一般的な製造中、トレイベースプレート10は、複数のサブプレートを組み合わせることによって構成されることが多く、各サブべースプレートは、トレイベースプレート10の長さ方向に配置され、各サブプレートの緩衝空洞113及び冷却空洞115の両方は、トレイべースプレート10の幅方向に延び、それによって加工がより好都合となり、比較的大きいトレイべースプレート10は、製造のために複数のサブベースプレートに分割され得、これは、小さいサブベースプレートの方が加工及び製造しやすく、したがってその内部の緩衝空洞113及び冷却空洞115の成形がより容易となるからである。
【0070】
本開示の幾つかの実施形態において、隣接するサブベースプレート上の冷却空洞115の幾つか又は全部は、相互連通し得る。一般に、冷却管117がサブベースプレート上の冷却空洞115内に配置されている場合、隣接するサブベースプレート上の冷却空洞115は、
図6に示されるように相互連通するように選択され得る。したがって、異なるサブベースプレート上に配置された冷却空洞115内の冷却管117は、連通可能であり、一体で切れ目なしの冷却管117を構成し得る。より具体的には、サブベースプレートが少なくとも2つのサブ冷却空洞を含む場合、隣接するサブベースプレート間の少なくとも1つのサブ冷却空洞が開かれて、冷却管117の設置と一体連通が容易にされる。特にサブ冷却空洞の幾つかが冷却通路として直接使用される場合、隣接する冷却空洞は、相互連通が可能となり、切れ目なしの冷却通路を形成し得る。より具体的には、2つの隣接するサブ冷却空洞間の分離部分114は、より短くされ得、それによって冷却通路の端部分が開かれて、2つの隣接するサブ冷却空洞を連通させ、完全な冷却通路が形成され得、冷却管117がサブ冷却空洞内に配置される解決策では、分離部分114もそのように配置され得る。
【0071】
上述の説明では、冷却循環通路が、トレイベースプレート10内の冷却通路を連通させることによって形成されるか、冷却循環通路が、トレイベースプレート10内のサブ冷却空洞を連通させることによって形成される限り、何れの実装形態も利用できる。上記は、本開示の幾つかの好ましい実装形態であり、このような設計は、より大きい内側空間を節約し、さらに秩序的な内部構造の設計をさらに可能にし、本開示の制限とはならない。
【0072】
本開示の幾つかの実施形態において、動力バッテリを取り付けるためのバッテリ取付構造30は、トレイベースプレート10上に配置される。一般に、取付構造は、雌ねじを有する穴を有するものであり、動力バッテリ(好ましくはモジュールセット又はモジュール)は、取付構造上に固定され、取り付けられる。
図2に示されるように、幾つかの実施形態において、トレイベースプレート10に幾つかの取付構造が設けられ、4つの取付構造が取付結合体を形成し、動力バッテリ(モジュールセット又はモジュール)は、取付結合体上に取り付けられる。より具体的には、4つの取付構造が1つのサブベースプレート上に配置され得、動力バッテリは、4つの取付構造上に取り付けられ、すなわち、1つのサブベースプレートは、1つの動力バッテリモジュールセット又は動力バッテリモジュールに対応し、それにより、サブベースプレートの面積は、動力バッテリモジュールセットの下側の表面積と同じ又は同等であり得、したがって、サブベースプレートは、1対1で動力バッテリモジュールセットに対応することができるようにされ得、それによって構造的設計及び組み合わされた取付が容易となる。
【0073】
一般に、取付は、バッテリモジュールセットの形態のトレイベースプレート10上で行われ、すなわち、幾つかの単独のバッテリがバッテリモジュールセットを構成し、その後、バッテリモジュールセットは、トレイベースプレート10上に取り付けられる。当然のことながら、これに加えて、特別なニーズがあれば、より多くの取付メカニズムもトレイベースプレート10上に配置され得、それによって2つの取付構造を1つの単独のバッテリに対応させることができる。当然のことながら、一般に、取り付けやすさ、構造の適用可能性、及び空間利用の適用可能性を考慮してバッテリモジュールセットの組立方法が選択される。
【0074】
トレイベースプレート10の組み合わせを容易にするために、長さ及び幅のマッチング並びにサブベースプレートの製造実現可能性を総合的に考慮して、複数のサブベースプレートは、自動車トレイコンポーネントの長さ方向に配置され、緩衝空洞113及び冷却空洞115は、自動車トレイコンポーネントの幅方向に沿って延びる。上記の方法により、複数のサブベースプレートが自動車トレイコンポーネントの長さ方向に配置され、緩衝空洞113及び冷却空洞115が自動車トレイコンポーネントの幅方向に延びる特徴と比較して、各サブベースプレートの長い方の辺の長さが短縮され得、したがってサブべースプレートの一体成形が容易となり、また緩衝空洞113の設計も容易となる。
【0075】
本開示は、包囲カバーをさらに含む自動車バッテリパッケージであって、包囲カバー、トレイベースプレート10、及び取付ビーム20は、動力バッテリを取り付けるための取付空間を共同で構成する、自動車バッテリパッケージをさらに提供する。より具体的には、取付ビーム20は、溶接又は他の機械的接続によってトレイベースプレート10の周囲に固定され、溶接が確実に好ましい。さらに、モノリシックの自動車トレイコンポーネントは、最終的に包囲カバーを全ての方向から取付ビーム20と固定して接続することによって形成される。一方、当技術分野での通常の自動車トレイコンポーネントのように、一般に、取付部分60は、取付ビーム20上に配置され、自動車トレイコンポーネントは、取付部分60を通じて自動車に取り付けられ、固定される。
【0076】
一般に、幾つかの固定穴が取付ビーム20に配置され、包囲カバー及び取付ビーム20がボルトで一緒に包囲される。
【0077】
本開示は、自動車トレイコンポーネントと、自動車トレイコンポーネント上に配置された動力バッテリとを含む自動車であって、自動車トレイコンポーネントは、本開示において提供される自動車トレイコンポーネントである、自動車をさらに提供する。より具体的には、上述の動力バッテリは、自動車トレイコンポーネント上に取り付けられる一方、自動車トレイコンポーネントは、自動車に固定して取り付けられる。
【0078】
本開示の説明では、「1つの実施形態」、「幾つかの実施形態」、「例」、「特定の例」、又は「幾つかの例」等の参照を示す用語の説明は、実施形態又は例に関連して説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態又は例に含められることを意味する。この説明では、上記の用語の概略的表現は、必ずしも同じ実施形態また例を指すとは限らない。さらに、説明されている具体的な特徴、構造、材料、又は特性は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例にも任意の適当な方法で組み合わされ得る。
【0079】
本開示の実施形態を図示し、上で説明したが、上記の実施形態は、例示的であり、本開示を限定すると解釈すべきではなく、当業者であれば、本開示の原理及び目的から逸脱することなく、本開示の範囲内で上記の実施形態に対する変更形態、改良形態、置換形態及び改変形態がなされ得ることが理解されるべきである。