特許第6872619号(P6872619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872619
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】発光ダイオードを備えた光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20210510BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20210510BHJP
   H01L 33/24 20100101ALI20210510BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20210510BHJP
   H01L 33/40 20100101ALI20210510BHJP
   H01L 27/15 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01L33/58
   H01L33/50
   H01L33/24
   H01L33/38
   H01L33/40
   H01L27/15 Z
【請求項の数】18
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-535940(P2019-535940)
(86)(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公表番号】特表2020-503695(P2020-503695A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】EP2017084778
(87)【国際公開番号】WO2018122355
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2020年12月21日
(31)【優先権主張番号】1663508
(32)【優先日】2016年12月29日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515113307
【氏名又は名称】アルディア
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ツェン−ソン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウェイ シン
(72)【発明者】
【氏名】ベイックス,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ジレー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】チョウルフィアン,ピエール
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特表2018−503258(JP,A)
【文献】 特表2016−536791(JP,A)
【文献】 特表2013−534050(JP,A)
【文献】 特表2016−500925(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0124076(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0096134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
H01L 27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子デバイスを製造する方法であって、
a) 少なくとも部分的に半導体材料から形成され、対向する第1及び第2の面を有する基板を準備する工程、
b) シェルによって覆われた半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを有する発光ダイオードを前記基板上に形成する工程、
c) 前記発光ダイオードを囲む封止層を形成する工程、
d) 前記基板と反対の前記封止層の側で前記封止層上に前記発光ダイオードと接する導電性パッドを形成する工程
e) 前記発光ダイオードの少なくとも一部に対向する貫通開口部を前記第2の面の側から前記基板に形成し、前記基板に壁を画定する工程、及び
f) 前記貫通開口部の少なくとも一部に、前記発光ダイオードによって放射される放射線の波長とは異なる波長で放射線を放射する光輝性ブロックを形成する工程
を連続的に有することを特徴とする方法。
【請求項2】
工程b)で、前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤの成長を有利にする材料から、前記基板と接するシード層を形成して、前記シード層上に前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを成長させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シード層を、窒化アルミニウム(AlN) 、ホウ素(B) 、窒化ホウ素(BN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN) 、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN) 、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN) 、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN) 、ジルコニウム(Zr)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN) 、炭化シリコン(SiC) 、炭窒化タンタル(TaCN)、MgxNyの形態の窒化マグネシウム(ここでxは10%の範囲内で3に等しく、yは10%の範囲内で2に等しい)、窒化マグネシウムガリウム(MgGaN) 、タングステン(W) 、窒化タングステン(WN)、又はこれらの組合せから少なくとも部分的に形成し得ることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
工程e)の前に、前記基板を薄くする工程を更に有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
工程e)の前に、前記封止層を電子回路又はホルダに接合する工程を更に有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
工程d)の前に、前記発光ダイオード間の前記封止層にトレンチをエッチングして、各トレンチを反射被覆体で覆う、各トレンチを充填材料で少なくとも部分的に充填する及び/又は各トレンチに空気を入れるか若しくは部分的な空所を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
工程d)で、前記導電性パッドを前記シェルと接するように形成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
工程d)の前に、前記シェルの一部をエッチングして前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤの端部を露出させる工程を更に有し、
工程d)で、前記導電性パッドを前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤと接するように形成して前記シェルから電気的に絶縁することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤは側面及び前記基板と反対の頂面を有しており、前記発光ダイオード毎に、前記シェルは前記マイクロワイヤ又はナノワイヤの側面及び頂面を覆っていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤは側面及び前記基板と反対の頂面を有しており、前記発光ダイオード毎に、前記シェルは前記マイクロワイヤ又はナノワイヤの頂面のみを覆っていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
工程b)の前に、前記第1の面から前記基板内に開口部を形成して、少なくとも部分的に前記基板の材料とは異なる材料から壁を前記開口部に形成し、工程e)で前記基板を除去して前記壁を露出させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
シェルによって覆われた半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを有し、封止層に囲まれている発光ダイオードと
前記封止層上に置かれた半導体又は電気絶縁性材料から少なくとも部分的に形成された壁であって、前記発光ダイオードの少なくとも一部に対向する貫通開口部を画定している前記壁と、
前記壁と反対の前記封止層の側で前記発光ダイオードと接する導電性パッドと、
前記貫通開口部の少なくとも一部に配置された光輝性ブロックと
を備えており、
前記光輝性ブロックは、前記発光ダイオードによって放射される放射線の波長とは異なる波長で放射線を放射すべく構成されていることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項13】
前記壁と前記封止層との間に、前記壁と接するシード層を更に備えており、前記シード層は、前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤの成長を有利にする材料から形成されていることを特徴とする請求項12に記載の光電子デバイス。
【請求項14】
前記シード層は、窒化アルミニウム(AlN) 、ホウ素(B) 、窒化ホウ素(BN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN) 、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN) 、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN) 、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN) 、ジルコニウム(Zr)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN) 、炭化シリコン(SiC) 、炭窒化タンタル(TaCN)、MgxNyの形態の窒化マグネシウム(ここでxは10%の範囲内で3に等しく、yは10%の範囲内で2に等しい)、窒化マグネシウムガリウム(MgGaN) 、タングステン(W) 、窒化タングステン(WN)、又はこれらの組合せから少なくとも部分的に形成され得ることを特徴とする請求項13に記載の光電子デバイス。
【請求項15】
前記封止層内に延びて、少なくとも反射被覆体で覆われているトレンチを更に備えていることを特徴とする請求項1214のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項16】
前記導電性パッドは前記シェルと接していることを特徴とする請求項1215のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項17】
前記導電性パッドは前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤと接し、前記シェルから電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1215のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項18】
前記壁は、電気絶縁層で覆われた半導体材料のコアを有していることを特徴とする請求項1217のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体材料に基づく発光ダイオードを備えた光電子デバイス、特に表示画面又は画像投影デバイス、及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像の画素は、光電子デバイスによって表示される画像の単位素子に相当する。光電子デバイスがカラー画像を表示する光電子デバイスである場合、光電子デバイスは一般に、画像の各画素を表示するために表示サブ画素とも称される少なくとも3つの成分を備えており、これらの成分は実質的に単一色(例えば赤、緑及び青)で光放射線を夫々放射する。3つの表示サブ画素によって放射される放射線を重ね合わせることにより、表示画像の画素に対応する色感覚が観察者に与えられる。この場合、画像の画素を表示するために使用される3つの表示サブ画素によって形成される集合体が光電子デバイスの表示画素と称される。
【0003】
例えば、以下III-V 族化合物と称される少なくとも1つのIII 族元素及び1つのV 族元素、特に窒化ガリウム(GaN) から形成されたマイクロメートル範囲又はナノメートル範囲の半導体素子、特に半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを有する発光ダイオードを備えた光電子デバイスがある。
【0004】
光電子デバイスは、発光ダイオード上に形成された光輝性材料のブロックを備えてもよい。各ブロックは、発光ダイオードによって放射される放射線を所望の放射線に変換すべく適合されている。ブロックは、サブ画素配置に応じて発光ダイオード上に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像表示装置では、1つのサブ画素に関連付けられた発光ダイオードによって放射される光が別のサブ画素に関連付けられた光輝性ブロックに達すると、クロストークが生じる。サブ画素間のクロストークを低減してコントラストを上げるために、光輝性ブロック間に不透明壁又は反射壁を設けることが知られている。壁は電気めっき技術によって形成され得る。しかしながら、このような技術により、特に横寸法が15μmより小さいサブ画素に関して、サブ画素の大きさ及び光輝性ブロックの大きさに適した縦横比で壁を形成することは一般に不可能である。高くて薄い壁を設けることが望ましい。標準技術により、高くて厚い壁又は薄いが小さい壁を設けることが可能である。特に、可能な限り高い縦横比、好ましくは5より大きい縦横比を有することが望ましい。更に、壁によって占められる空間を減少させることが望ましい。
【0006】
サブ画素を画定するためにトレンチを基板に形成する工程を有する、光電子デバイスの幾つかの製造方法がある。しかしながら、特に横寸法が15μmより小さいサブ画素に関して微細なピッチを得るために高密度のトレンチを設けることは困難である。
【0007】
更に、発光ダイオードが形成されている基板を完全に又は部分的に除去する工程を有する、光電子デバイスの幾つかの製造方法が更にある。しかしながら、基板を除去して壁を形成している間に亀裂が形成される危険性があり得る。
【0008】
実施形態の目的は、表示サブ画素を形成するためにマイクロメートル範囲又はナノメートル範囲の半導体素子が配置された発光ダイオードを備えた前述した光電子デバイスの不利点の全て又は一部を克服することである。
【0009】
実施形態の別の目的は、隣り合うサブ画素間のクロストークを低減することである。
【0010】
実施形態の別の目的は、コントラストを上げることである。
【0011】
実施形態の別の目的は、光電子デバイスが15μmより小さい横寸法を有するサブ画素を備えていることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、実施形態は、光電子デバイスを製造する方法であって、
a) 少なくとも部分的に半導体材料から形成され、対向する第1及び第2の面を有する基板を準備する工程、
b) シェルによって覆われた半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを有する発光ダイオードを前記基板上に形成する工程、
c) 前記発光ダイオードを囲む封止層を形成する工程、
d) 前記基板と反対の前記封止層の側で前記封止層上に前記発光ダイオードと接する導電性パッドを形成する工程、及び
e) 前記発光ダイオードの少なくとも一部に対向する貫通開口部を前記第2の面の側から前記基板に形成し、前記基板に壁を画定する工程
を連続的に有することを特徴とする方法を提供する。
【0013】
実施形態によれば、前記方法は、f) 前記貫通開口部の少なくとも一部に光輝性ブロックを形成する工程を更に有する。
【0014】
実施形態によれば、工程b)で、前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤの成長を有利にする材料から、前記基板と接するシード層を形成して、前記シード層上に前記ワイヤを成長させる。
【0015】
実施形態によれば、前記シード層を、窒化アルミニウム、ホウ素、窒化ホウ素、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ハフニウム、窒化ハフニウム、ニオブ、窒化ニオブ、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化シリコン、炭窒化タンタル、MgxNy の形態の窒化マグネシウム(ここでxは10%の範囲内で3に等しく、yは10%の範囲内で2に等しい)、窒化マグネシウムガリウム、タングステン、窒化タングステン、又はこれらの組合せから少なくとも部分的に形成し得る。
【0016】
実施形態によれば、前記方法は、工程e)の前に、前記基板を薄くする工程を更に有する。
【0017】
実施形態によれば、前記方法は、工程e)の前に、前記封止層を電子回路又はホルダに接合する工程を更に有する。
【0018】
実施形態によれば、前記方法は、工程d)の前に、前記発光ダイオード間の前記封止層にトレンチをエッチングして、各トレンチを反射被覆体で覆う、各トレンチを充填材料で少なくとも部分的に充填する及び/又は各トレンチに空気を入れるか若しくは部分的な空間を形成する工程を更に有する。
【0019】
実施形態によれば、工程d)で、前記導電性パッドを前記シェルと接するように形成する。
【0020】
実施形態によれば、前記方法は、工程d)の前に、前記シェルの一部をエッチングして前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤの端部を露出させる工程を更に有し、工程d)で、前記導電性パッドを前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤと接するように形成して前記シェルから電気的に絶縁する。
【0021】
実施形態によれば、前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤは側面及び前記基板と反対の頂面を有しており、前記発光ダイオード毎に、前記シェルは前記マイクロワイヤ又はナノワイヤの側面及び頂面を覆っている。
【0022】
実施形態によれば、前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤは側面及び前記基板と反対の頂面を有しており、前記発光ダイオード毎に、前記シェルは前記マイクロワイヤ又はナノワイヤの頂面のみを覆っている。
【0023】
別の実施形態は、シェルによって覆われた半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを有し、封止層に囲まれている発光ダイオードと、
前記封止層上に置かれた半導体材料から少なくとも部分的に形成された壁であって、前記発光ダイオードの少なくとも一部に対向する開口部を画定している前記壁と、
前記壁と反対の前記封止層の側で前記発光ダイオードと接する導電性パッドと
を備えていることを特徴とする光電子デバイスを提供する。
【0024】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、前記開口部の少なくとも一部に光輝性ブロックを更に備えている。
【0025】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、前記壁と前記封止層との間に、前記壁と接するシード層を更に備えており、前記シード層は、前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤの成長を有利にする材料から形成されている。
【0026】
実施形態によれば、前記シード層は、窒化アルミニウム、ホウ素、窒化ホウ素、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ハフニウム、窒化ハフニウム、ニオブ、窒化ニオブ、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化シリコン、炭窒化タンタル、MgxNy の形態の窒化マグネシウム(ここでxは10%の範囲内で3に等しく、yは10%の範囲内で2に等しい)、窒化マグネシウムガリウム、タングステン、窒化タングステン、又はこれらの組合せから少なくとも部分的に形成され得る。
【0027】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、前記封止層内に延びて、少なくとも反射被覆体で覆われているトレンチを更に備えている。
【0028】
実施形態によれば、前記導電性パッドは前記シェルと接している。
【0029】
実施形態によれば、前記導電性パッドは前記半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤと接し、前記シェルから電気的に絶縁されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
前述及び他の特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【0031】
図1】光電子デバイスの実施形態を示す断面略図である。
図2】光電子デバイスの実施形態を示す平面図である。
図3図1に示されている光電子デバイスの発光ダイオードをより詳細に示す断面図である。
図4】光電子デバイスの別の実施形態を示す図1と類似する図である。
図5】光電子デバイスの別の実施形態を示す図3と類似する図である。
図6A図1及び図2に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図6B図1及び図2に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図6C図1及び図2に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図6D図1及び図2に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図6E図1及び図2に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図6F図1及び図2に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図7A図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図7B図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図7C図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図7D図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図7E図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図7F図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図8】光電子デバイスの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図9】光電子デバイスの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図10】光電子デバイスの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図11】光電子デバイスの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図12】光電子デバイスの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図13】光電子デバイスの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図14A図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14B図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14C図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14D図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14E図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14F図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14G図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
図14H図13に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
明瞭化のために、同一の要素は様々な図面において同一の参照番号で示されており、更に、電子回路の表示ではよくあるように、様々な図面は正しい縮尺で示されていない。更に、本明細書の理解に有用な要素のみが示され説明されている。特に、光電子デバイスの発光ダイオードにバイアスをかけるための手段は公知であり、説明されていない。
【0033】
以下の記載では、「実質的に」、「約」及び「程度」という用語は、特に示されていない場合、「10%の範囲内」を意味する。更に、発光ダイオードの「活性領域」は、発光ダイオードによる電磁放射線の大部分を放射する発光ダイオードの領域を表す。更に、第1の要素がエピタキシャル関係によって第2の要素に結合していると言うとき、これは、第1の要素が第1の層から形成され、第2の要素が第1の層上にエピタキシによって成長する第2の層から形成されているか、又はその逆を意味する。
【0034】
更に、本開示との関連で使用されるような「粒子」という文言は広い意味で理解されるべきであり、略球状の密集した粒子だけでなく、角のある粒子、平坦な粒子、フレーク状の粒子、繊維形状の粒子又は繊維状の粒子などにも相当する。本開示との関連で述べられる粒子の「サイズ」は、粒子の最小横断寸法を意味すると理解されるべきである。材料の粒子は、材料が粒子クラスタの形態で生じる場合があると分かった上で、個々に検討される粒子、すなわち、材料の単位要素を意味する。粒子の「平均サイズ」という語句は、本開示によれば、粒子サイズの算術平均、すなわち、粒子サイズの合計を粒子の数で割った数字を意味する。粒子の粒度分布は、例えばMalvern Mastersizer 2000を使用してレーザ粒度測定によって測定されてもよい。
【0035】
本明細書は、マイクロメートル範囲又はナノメートル範囲の半導体素子、特に半導体のマイクロワイヤ又はナノワイヤを含む半導体素子を有する発光ダイオードを備えた光電子デバイスに関する。
【0036】
「マイクロワイヤ」又は「ナノワイヤ」という用語は、所望の方向に細長い形状を有する三次元構造を表し、三次元構造は、5nm〜2.5 μmの範囲、好ましくは50nm〜2.5 μmの範囲の小寸法と称される少なくとも2つの寸法と、小寸法の内の最大値以上であり、好ましくは最大値の5倍以上であり、更に好ましくは最大値の10倍以上である大寸法と称される第3の寸法とを有する。ある実施形態では、小寸法は、約1μm以下であってもよく、好ましくは100 nm〜1μmの範囲内であってもよく、更に好ましくは100 nm〜800 nmの範囲内であってもよい。ある実施形態では、夫々のマイクロワイヤ又はナノワイヤの高さは500 nm以上であってもよく、好ましくは1μm〜50μmの範囲内であってもよい。
【0037】
以下の記載では、「ワイヤ」という用語は「マイクロワイヤ又はナノワイヤ」を意味すべく用いられている。ワイヤの所望の方向に垂直な面における断面の重心を通るワイヤの中線が実質的に直線であり、以下ワイヤの「軸芯」と称されることが好ましい。ワイヤの基部の断面は、ワイヤの結晶構造に応じて六角形、円形又は正方形であってもよい。
【0038】
以下の記載では、断面が一定のマイクロワイヤ又はナノワイヤの形状を有する半導体素子を含む発光ダイオードを備えた光電子デバイスの場合の実施形態について記述する。しかしながら、これら全ての実施形態では、マイクロワイヤ又はナノワイヤの形状を有する素子が、断面が変わるマイクロワイヤ又はナノワイヤ、例えば円錐形又は円錐台形のマイクロワイヤ又はナノワイヤの形状を有する素子と取り替えられてもよい。
【0039】
図1及び図2は、例えば表示画面又は画像投影デバイスに対応する光電子デバイス10の実施形態を示す。図3図1の一部をより詳細に示す図である。
【0040】
光電子デバイス10は2つの集積回路12, 14を備えている。第1の集積回路12は発光ダイオード16を有しており、以下の記載では光電子回路又は光電子チップと称される。第2の集積回路14は、第1の集積回路12の発光ダイオード16を制御するために使用される電子部品(不図示)、特にトランジスタを有している。第2の集積回路14は、以下の記載では制御回路又は制御チップと称される。光電子回路12は制御回路14に接合されている。接合タイプに応じて、ボンディングパッド18が光電子チップ12と制御チップ14との間に設けられてもよい。
【0041】
光電子回路12は、図1の下から上に、
下面22、及び少なくとも発光ダイオード16のレベルで好ましくは平坦な上面24を有する半導体基板20と、
下面22から上面24に基板20内を延びている開口部26(隣り合う開口部26間の基板20の部分が第1の壁28を形成している)と、
各開口部26の側面を覆う反射被覆体又は光吸収被覆体又は導波管30と、
被覆体30及び各開口部26の底部を覆って、少なくとも開口部26間の下面22を更に覆う導電層32と、
開口部26の少なくとも一部に配置された光輝性ブロック34(他の開口部には場合によっては透明な材料又は空気が充填されている)と、
下面22で光輝性ブロック34の少なくとも一部を覆うフィルタ36と、
ワイヤの成長を有利にする材料から形成されて壁28上の上面24に配置され、光輝性ブロック34毎に貫通開口部40を有するシード層38と、
シード層38及び光輝性ブロック34を覆って開口部44を有する絶縁層42と、
開口部44の内の1つを通って導電層32と夫々接するワイヤ46と、
ワイヤ46毎に設けられ、ワイヤ46を覆う半導体層の積層体を有する、図3にのみ示されているシェル48であって、発光ダイオード16による電磁放射線の大部分を放射する層である不図示の活性領域を特に有するシェル48(各ワイヤ46及び関連付けられたシェル48によって形成された集合体が発光ダイオード16を形成している)と、
絶縁層42を覆って発光ダイオード16の周りに延び、上面52を画定している電気絶縁性の封止層50と、
各発光ダイオード16を囲む封止層50を通って延びている第2の反射壁54と、
封止層50を通って延びて上面24の側で基板20と接している、以下の記載ではバイアと称される導電素子56と
を有している。
【0042】
図1には、各開口部26に関連付けられた1つのワイヤ46のみが示されている。別の実施形態では、2つのワイヤ46又は3以上のワイヤ46が各開口部26に関連付けられてもよく、同一の開口部26に関連付けられた各ワイヤ46は、前記開口部26の底部で導電層32と接している。
【0043】
図2に示されているように、本実施形態では、壁54は格子を形成しており、発光ダイオード16は行及び列に配置されている。例として、9つのサブ画素Pix が図2に示されている。壁28は壁54と位置合わせされてもよく、更に格子を形成してもよい。本実施形態では、開口部26は正方形の形状を有してもよい。しかしながら、開口部26の形状は異なってもよい。別の実施形態では、各開口部26は六角形状であってもよく、例えば発光ダイオード16を中心としてもよい。
【0044】
ボンディングパッド18は上面52に配置されて発光ダイオード16と接している。実施形態によれば、1つのボンディングパッド18がサブ画素Pix 毎に設けられている。導電性バイア56と接するボンディングパッド58が上面52に配置されている。
【0045】
動作中、電圧がボンディングパッド18とボンディングパッド58との間に印加されるため、サブ画素Pix 毎に、サブ画素Pix の発光ダイオード16が、サブ画素Pix に関連付けられたボンディングパッド58とボンディングパッド18との間に印加される電圧に応じた強度で光を放射する。壁28及び壁54は、隣り合うサブ画素Pix 間のクロストークを低減する。クロストークは、(発光ダイオードからの青色の光のような)可視光線及び(発光ダイオードからの紫外線のような)不可視光線の波長、並びに光強度(輝度)を有する。図1には、1つのボンディングパッド58及び1つのバイア56のみが示されている。別の実施形態では、複数のボンディングパッド58及び複数のバイア56が設けられてもよい。
【0046】
ワイヤ46は、少なくとも1つの半導体材料から少なくとも部分的に形成されている。半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、III-V 族化合物、II-VI 族化合物、又はこれらの化合物の少なくとも2つの組み合わせであってもよい。
【0047】
ワイヤ46は、III-V 族化合物、例えばIII-N 化合物を主に含む半導体材料から少なくとも部分的に形成されてもよい。III 族元素の例として、ガリウム(Ga)、インジウム(In)又はアルミニウム(Al)が挙げられる。III-N 化合物の例として、GaN 、AlN 、InN 、InGaN 、AlGaN 又はAlInGaN が挙げられる。他のV 族元素、例えばリン又はヒ素が使用されてもよい。一般に、III-V 族化合物内の元素は異なるモル分率で組み合わせられてもよい。
【0048】
ワイヤ46は、II-VI 族化合物を主に含む半導体材料から少なくとも部分的に形成されてもよい。II族元素の例として、IIA 族元素、特にベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)、並びにIIB 族元素、特に亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)及び水銀(Hg)が挙げられる。VI族元素の例として、VIA 族元素、特に酸素(O) 及びテルル(Te)が挙げられる。II-VI 族化合物の例として、ZnO 、ZnMgO 、CdZnO 、CdZnMgO 、CdHgTe、CdTe又はHgTeが挙げられる。一般に、II-VI 族化合物内の元素は異なるモル分率で組み合わせられてもよい。
【0049】
ワイヤ46はドーパントを含んでもよい。例として、III-V 族化合物に関して、ドーパントは、例えばマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)若しくは水銀(Hg)であるP型II族ドーパント、例えば炭素(C) であるP型IV族ドーパント、又は例えばシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、硫黄(S) 、テルビウム(Tb)若しくはスズ(Sn)であるN型IV族ドーパントを含む群から選択されてもよい。
【0050】
各ワイヤ46の高さは250 nm〜50μmの範囲内であってもよい。各ワイヤ46は、上面24に実質的に垂直な軸芯に沿って細長い半導体構造を有してもよい。各ワイヤ46の断面は六角形状であってもよい。2つの隣り合うワイヤ46の軸芯は、0.3 μm〜10μm、好ましくは1μm〜5μm離れてもよい。例として、ワイヤ46は特に六角形の網目状に規則的に分散してもよい。
【0051】
図3では、シェル48はワイヤ46の側面及び頂面を覆っている。別の実施形態では、シェル48は、基板20と反対のワイヤ46の頂面にのみ設けられてもよい。
【0052】
シェル48は、
ワイヤ46の少なくとも一部を覆う活性領域、
ワイヤ46の導電型と反対の導電型を有して活性領域を覆う中間層、及び
中間層を覆って、ボンディングパッド18と接している接合層
を特に含む複数の層の積層体を有してもよい。
【0053】
活性領域は、発光ダイオードLED による放射線の大部分を放射する層である。実施例によれば、活性領域は閉込め手段を有してもよい。活性領域は単一量子井戸を有してもよい。そのため、活性領域は、ワイヤ46及び中間層を形成する半導体材料とは異なり、ワイヤ46のバンドギャップより小さなバンドギャップを有する半導体材料を含んでもよい。活性領域は多重量子井戸を有してもよい。そのため、活性領域は、量子井戸及び障壁層が交互に形成された半導体層の積層体を有している。活性領域は、例えば、一般にヘテロ構造と称される積層体のように、GaN 層及びInGaN 層を交互に形成することにより得られる。GaN 層及びInGaN 層の厚さは夫々、3nm〜20nm(例えば6nm)及び1nm〜10nm(例えば2.5 nm)であってもよい。GaN 層は、例えばN型又はP型にドープされてもよい。別の実施例によれば、活性領域は、例えば厚さが10nmより大きい単一のInGaN 層を有してもよい。活性領域の層はエピタキシャル関係によってワイヤ46に結合していることが好ましい。
【0054】
例えばP型でドープされた中間層は、半導体層又は半導体層の積層体に相当してもよく、P-N 接合又はP-I-N 接合を可能にし、活性層は、P-N 接合又はP-I-N 接合のP型の中間層及びワイヤ46間に配置されている。
【0055】
接合層は、半導体層又は半導体層の積層体に相当してもよく、中間層及びボンディングパッド18間のオーミック接触を可能にする。例として、接合層は、半導体層を変性させるためにワイヤ46の下方部分の型と反対の型で非常に高濃度にドープされてもよく、例えば1020atoms/cm3 以上の濃度でP型にドープされてもよい。
【0056】
半導体層の積層体は、活性層内の電気担体の十分な分散を保証するために、三元合金、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN) 又は窒化アルミニウムインジウム(AlInN) から形成されて活性層及び中間層に接する電子障壁層を含んでもよい。
【0057】
基板20は、少なくとも1つの半導体材料から少なくとも部分的に形成されている。半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、III-V 族化合物、II-VI 族化合物、又はこれらの化合物の少なくとも2つの組み合わせであってもよい。基板20は、マイクロエレクトロニクスで実施される製造方法と適合する半導体材料から形成されていることが好ましい。基板20は高濃度にドープされてもよく、低濃度にドープされてもよく、又はドープされなくてもよい。基板20は単結晶シリコンから形成されていることが好ましい。
【0058】
上面24と直交する方向に測定された壁28の高さは、1μm〜200 μmの範囲内であり、好ましくは5μm〜30μmの範囲内である。上面24と平行な方向に測定された壁28の厚さは、100 nm〜50μmの範囲内であり、好ましくは1μm〜10μmの範囲内である。図2を参照すると、壁54によって画定されているサブ画素Pix の面積は、0.1 μm〜100 μm、好ましくは1μm〜30μmの範囲内の辺を有する正方形の面積に相当する。
【0059】
シード層38は、ワイヤ46の成長を有利にする材料から形成されている。シード層38は多層構造であってもよい。例として、シード層38を形成する材料は、元素の周期表のIV列、V 列又はVI列の遷移金属の窒化物、炭化物又はホウ化物、或いはこれらの化合物の組合せであってもよい。例として、シード層38は、窒化アルミニウム(AlN) 、ホウ素(B) 、窒化ホウ素(BN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN) 、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN) 、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN) 、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN) 、ジルコニウム(Zr)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN) 、炭化シリコン(SiC) 、炭窒化タンタル(TaCN)、MgxNyの形態の窒化マグネシウム(ここでxは約3であり、yは約2であり、例えばMg3N2 の形態の窒化マグネシウム)、窒化マグネシウムガリウム(MgGaN) 、タングステン(W) 、窒化タングステン(WN)、又はこれらの組合せから形成されてもよい。シード層38は、基板20の導電型と同一の導電型でドープされてもよい。上面24と直交する方向に測定されたシード層38の厚さは、10nm〜10μmの範囲内であり、好ましくは20nm〜100 nmの範囲内である。シード層38は、エピタキシャル関係によって基板20に結合していることが好ましい。ワイヤ46は、エピタキシャル関係によってシード層38に結合していることが好ましい。実施形態では、シード層38は設けられなくてもよい。
【0060】
ボンディングパッド18及びボンディングパッド58は導電性材料から形成されており、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)のような金属、又は金−スズ(AuSn)、銀−スズ(AgSn)、銅−銀(CuAg)、ニッケル−パラジウム(NiPd)のようなこれらの金属の2つ及び3つのいずれかの合金から形成されている。
【0061】
開口部26は光輝性ブロック34によって充填されてもよい。実施形態では、全ての開口部26が光輝性ブロック34で充填されている。別の実施形態では、一部の開口部26は光輝性ブロック34で充填されており、一部の開口部26は光輝性ブロック34で充填されていない。別の実施形態では、全ての開口部26が光輝性ブロック34で充填されていない。各光輝性ブロック34は蛍光体を有しており、蛍光体は、サブ画素Pix の発光ダイオード16によって放射される光によって励起されると、発光ダイオード16によって放射される光の波長とは異なる波長で光を放射することができる。
【0062】
各光輝性ブロック34は、少なくとも1つの光輝性材料の粒子を含んでいる。光輝性材料の例として、YAG:Ce又はYAG:Ce3+とも称される3価セリウムイオンによって活性化されるイットリウムアルミニウムガーネット(YAG) である。従来の光輝性材料の粒子の平均サイズは一般に5μmより大きい。
【0063】
実施形態では、各光輝性ブロック34は、以下半導体ナノ結晶又はナノ蛍光体粒子とも称される半導体材料のナノメートル範囲の単結晶粒子が分散しているマトリクスを含んでいる。光輝性材料の内部量子効率QYintは、放射光子の数と光輝性物質に吸収される光子の数との比率に等しい。半導体ナノ結晶の内部量子効率QYint は5%より大きく、好ましくは10%より大きく、より好ましくは20%より大きい。
【0064】
実施形態によれば、半導体ナノ結晶の平均サイズは、0.5 nm〜1,000 nm、好ましくは0.5 nm〜500 nm、より好ましくは1nm〜100 nm、特には2nm〜30nmの範囲内である。50nmより小さい大きさでは、半導体ナノ結晶の光変換特性は基本的に量子閉込め現象に応じて決められる。そのため、半導体ナノ結晶は量子箱、つまり量子ドットに相当する。
【0065】
実施形態によれば、半導体結晶の半導体材料は、セレン化カドミウム(CdSe)、リン化インジウム(InP) 、硫化カドミウム(CdS) 、硫化亜鉛(ZnS) 、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO) 、酸化亜鉛カドミウム(ZnCdO) 、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS) 、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、硫化銀インジウム(AgInS2)、及びこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含む群から選択されている。実施形態によれば、半導体ナノ結晶の半導体材料は、Le Blevenec 等著のPhysica Status Solidi (RRL) - Rapid Research Letters Volume 8,No. 4,p. 349-352,2014年4月の刊行物に記載されている材料から選択されている。
【0066】
実施形態によれば、半導体ナノ結晶の大きさは、半導体ナノ結晶によって放射される放射線の所望の波長に応じて選択されている。例として、平均サイズが3.6 nm程度であるCdSeナノ結晶は、青色の光を赤色の光に変換することができ、平均サイズが1.3 nm程度であるCdSeナノ結晶は、青色の光を緑色の光に変換することができる。別の実施形態によれば、半導体ナノ結晶の組成は、半導体ナノ結晶によって放射される放射線の所望の波長に応じて選択されている。
【0067】
マトリクスは、少なくとも部分的に透明な材料から形成されている。マトリクスは、例えばシリカから形成されている。マトリクスは、例えば任意の少なくとも部分的に透明なポリマーから形成されており、特にシリコーン、エポキシ又はポリ乳酸(PLA) から形成されている。マトリクスは、PLA のような三次元プリンタと共に使用される少なくとも部分的に透明なポリマーから形成されてもよい。実施形態によれば、マトリクスは、2〜90質量%、好ましくは10〜60質量%のナノ結晶、例えば約20質量%のナノ結晶を含んでいる。
【0068】
光輝性ブロック34の厚さはナノ結晶濃度及び使用されるナノ結晶のタイプに応じて決められる。光輝性ブロック34の高さは、好ましくは壁28及びシード層38の高さの合計より低い。
【0069】
絶縁層42は、誘電体材料、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SixNy、ここでxはおよそ3に等しく、yはおよそ4に等しく、例えばSi3N4 )、(特に一般的な式SiOxNyの)酸窒化シリコン(例えばSi2ON2)、酸化ハフニウム(HfO2)又はダイヤモンドから形成されてもよい。上面24と直交する方向に測定された絶縁層42の厚さは、0.01μm〜5μmの範囲内であり、好ましくは0.05μm〜0.5 μmの範囲内である。絶縁層42は、先に挙げた様々な誘電体材料の単層構造又は多層構造であってもよい。
【0070】
導電層32は、各ワイヤ46にバイアスをかけて発光ダイオードLED によって放射される電磁放射線を通すことが可能である。導電層32は、グラフェン又は透明導電性酸化物(TCO) のような透明な導電性材料、例えば、酸化インジウムスズ(ITO) 、酸化アルミニウム亜鉛(AZO) 又は酸化ガリウム亜鉛(GZO) から形成されてもよい。例として、導電層32の厚さは、5nm〜1000nmの範囲内であり、好ましくは20nm〜100 nmの範囲内である。
【0071】
被覆体30は、例えばアルミニウム、銀、銅、ルテニウム又は亜鉛のような金属から形成された反射被覆体であってもよい。被覆体30は、例えば一又は複数の誘電体材料から形成された導波路に相当してもよい。被覆体30は、サブ画素がオフに切り替えられるとき、隣り合うサブ画素と比べて良好なコントラストを保証するために、(例えば暗色の表面を有する)光吸収被覆体であってもよい。各被覆体30は、反射被覆体及び導波路の組み合わせ、又は光吸収被覆体及び導波路の組み合わせに相当してもよい。
【0072】
壁54及びバイア56は、例えばアルミニウム、銀、銅又は亜鉛のような金属から形成されている。壁54は、例えばアルミニウム、銀、銅又は亜鉛のような金属から形成されている反射層によって覆われたコアを含んでもよい。コアは誘電体材料から形成されてもよい。実施形態では、壁54のコアは、空気又は部分真空のいずれかが充填され得るキャビティに相当する。壁54の高さはワイヤ46の高さと略同一であることが好ましい。上面24と平行な方向に測定された壁54の厚さは、100 nm〜50μmの範囲内であり、好ましくは500 nm〜10μmの範囲内である。壁54とシェル48との間の最小距離は1μm〜50μmの範囲内であり、好ましくは3μm〜10μmの範囲内である。
【0073】
封止層50は、例えば絶縁層42に関して開示された材料のような一又は複数の誘電体材料から形成されている。実施形態では、封止層50は、各発光ダイオード16を囲む多層構造を有している。例では、封止層50は、発光ダイオード16毎に、前記発光ダイオード16を囲む第1の層及び第1の層を囲む第2の層を有している。第1の層及び第2の層は、例えば絶縁層42に関して開示された材料のような誘電体材料から形成されてもよい。
【0074】
図4及び図5は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス60の別の実施形態の図1及び図3と夫々類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス60は、導電層32が設けられておらず、光電子デバイス60が各シェル48の一部を覆って壁54及びバイア56と接している導電層62を備えており、ボンディングパッド18がワイヤ46と電気的に接して電気絶縁層64によってシェル48から絶縁されている点を除いて、図1図3に示されている光電子デバイス10と同一の要素を備えている。
【0075】
導電層62は導電層32の材料と同一の材料から形成されてもよい。導電層62の厚さは5nm〜1000nmの範囲内であり、優先的には20〜200 nmの範囲内である。
【0076】
絶縁層64は、封止層50の材料と同一の材料から形成されてもよい。絶縁層64の厚さは10nm〜1000nmの範囲内であり、優先的には50nm〜300 nmの範囲内である。
【0077】
図6A〜6Fは、図1〜3に示されている光電子デバイス10を製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【0078】
図6Aは、
対向する2つの面72, 74を有する一体の基板70を準備する工程、
基板70の面74にシード層38を形成する工程、
シード層38上に絶縁層42を形成する工程、
絶縁層42に開口部44を形成する工程、及び
シード層38上に発光ダイオード16を形成し、つまりシード層38上にワイヤ46を形成し、ワイヤ46上に図6Aに示されていないシェル48を形成する工程
の後に得られた構造を示す。
【0079】
基板70は、基板20の材料と同一の材料から形成されている。化学蒸着法(CVD) 又は有機金属気相エピタキシ法(MOVPE) としても知られている有機金属化学蒸着法(MOCVD) のような方法によってシード層38を得てもよい。しかしながら、分子線エピタキシ法(MBE) 、ガスソースMBE 法(GSMBE) 、有機金属MBE 法(MOMBE) 、プラズマ支援MBE 法(PAMBE) 、原子層エピタキシ法(ALE) 、ハイドライド気相エピタキシ法(HVPE)、又は原子層堆積法(ALD) のような方法を使用してもよい。更に、蒸着法又は反応性カソードスパッタリング法のような方法を使用してもよい。
【0080】
CVD 、MOCVD 、MBE 、GSMBE 、PAMBE 、ALE 、HVPE、ALD のタイプの処理によってワイヤ46及びシェル48を成長させてもよい。ワイヤ46及びシェル48を製造するための方法の一例が米国特許出願公開第2015/0280053 号明細書に開示されている。発光ダイオード16毎に、シェル48はワイヤ46の側面及び頂面を覆ってもよい。別の実施形態では、シェル48は、基板70と反対のワイヤ46の頂面にのみ設けられてもよい。
【0081】
図6Bは、
少なくともバイア56を形成する位置で絶縁層42及びシード層38をエッチングする工程、
封止層78の高さが発光ダイオード16の高さより高いように、絶縁層42及びワイヤ16上に封止層78を形成する工程、及び
壁54及びバイア56を形成する位置に封止層50を通って開口部又はトレンチ80を形成する工程
の後に得られた構造を示す。開口部80の大きさは、壁54及びバイア56の所望の大きさに相当する。壁54のために形成された開口部80では絶縁層42又はシード層38上でエッチングを停止する。バイア56のために形成された開口部80では基板70上でエッチングを停止する。実行されるエッチングは、特に垂直勾配が壁54に必要な場合、例えば塩化物若しくはフッ化物に基づくプラズマによるドライエッチング、又は反応性イオンエッチング(RIE) であってもよい。
【0082】
図6Cは、
封止層50上に導電層を形成して、開口部80に導電層を充填する工程、及び
導電層及び封止層78を発光ダイオード16のシェル48の頂部までエッチングして、封止層50、壁54及びバイア56を形成する工程
の後に得られた構造を示す。
【0083】
図6Dは、
封止層50上にボンディングパッド18, 58を形成して、ボンディングパッド18を発光ダイオード16のシェル48と接触させ、ボンディングパッド58をバイア56と接触させる工程、
ホルダとも称される支持体84を封止層50に結合材料85を使用して結合する工程、及び
支持体84と反対の側から基板70を薄層化して基板20を形成する工程
の後に得られた構造を示す。
【0084】
導体パッド18, 58の材料から導電層を封止層50上に電気化学的に堆積させ、導電層をエッチングして導体パッド18, 58を画定することにより、導体パッド18, 58を優先的に形成してもよい。実行されるエッチングは、例えば塩化物又はフッ化物に基づくプラズマによるドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE) 、又は(例えばフッ化水素酸(HF)を用いた)ウェットエッチングであってもよい。
【0085】
図6Eは、
基板20及びシード層38に開口部26を絶縁層42までエッチングして各ワイヤ46の基部を露出させる工程、
各開口部26の側面に反射被覆体30を形成する工程、及び
導電層32を形成する工程
の後に得られた構造を示す。
【0086】
開口部26の大きさは光輝性ブロック34の所望の大きさに相当する。このエッチングを絶縁層42上で停止する。実行されるエッチングは、例えば塩化物若しくはフッ化物に基づくプラズマによるドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE) 、又はウェットエッチング、優先的にはSi<100> 及びSi<111> のために水酸化カリウム(KOH) などを用いた異方性ウェットエッチングであってもよい。
【0087】
図6Fは、
開口部26の内部に光輝性ブロック34を形成する工程、
開口部26の外側の光輝性ブロック34の部分をエッチングする工程、及び
フィルタ36を形成する工程
の後に得られた構造を示す。
【0088】
光輝性ブロック34は、場合によっては特定の開口部26を樹脂で塞いで、例えば、いわゆるアディティブ処理によって、特定の開口部26を結合マトリクスの半導体ナノ結晶のコロイド分散体で充填することにより形成されてもよい。いわゆるアディティブ処理として、例えばインクジェット印刷、エーロゾル印刷、マイクロスタンピング、グラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによる、所望の位置でのコロイド分散体の直接印刷が含まれてもよい。
【0089】
ホルダ84及び結合材料85を除去することにより、図1に示されている光電子チップ12が得られる。
【0090】
本実施形態では、光電子チップ12への制御チップ14の接合を、接続マイクロ接合パッド、マイクロバンプ又はマイクロビーズのような挿入体18を使用して行ってもよい。或いは、光電子チップ12への制御チップ14の接合を、挿入体を使用せず直接接合によって行ってもよい。直接接合として、光電子チップ12の金属領域と制御チップ14の金属領域との金属同士の直接結合、及び光電子チップ12の表面の誘電性領域と制御チップ14の表面の誘電性領域との誘電性領域同士の結合が含まれてもよい。光電子チップ12への制御チップ14の接合を、光電子チップ12を制御チップ14に接するように置いて加圧及び加熱を行う熱圧着法によって行ってもよい。
【0091】
図7A〜7Fは、図4に示されている光電子デバイス60を製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【0092】
図7Aは、図6Aに関連して既に開示された工程、及び絶縁層42を覆ってシェル48の頂部を除いて発光ダイオード16のシェル48を覆う導電層62を形成する工程の後に得られた構造を示す。別の実施形態では、このステップで導電層62はシェル48を完全に覆う。
【0093】
図7Bは、封止層50が導電層62上に形成され、導電層62がバイア56の位置でエッチングされていない点を除いて、図6B及び図6Cに関連して既に開示された工程の後に得られた構造を示す。封止層50は、ワイヤ46と壁54との間及びワイヤ46又は壁54とバイア56との間に充填されている。
【0094】
図7Cは、
シェル48の頂部をエッチングしてワイヤ46の端部を露出させる工程、
封止層50を覆う電気絶縁層64を形成する工程、及び
電気絶縁層64に開口部86をエッチングしてワイヤ46の端部及びバイア56を露出させる工程
の後に得られた構造を示す。
【0095】
開口部86の横寸法はワイヤ46の横寸法より小さい。例では、ワイヤ46の横寸法が約0.5 μmである場合、開口部86の横寸法は約0.3 μmであってもよい。
【0096】
図7Dは、図6Dに関連して既に開示された工程の後に得られた構造を示し、ボンディングパッド18はワイヤ46の端部と接している。
【0097】
図7Eは、
基板20、シード層38及び絶縁層42に開口部26をエッチングして導電層62、ワイヤ46及びシェル48を露出させる工程
の後に得られた構造を示す。
【0098】
図7Fは、
各開口部26の側面に反射被覆体30を形成する工程、及び
図6Fに関連して既に開示された工程
の後に得られた構造を示す。
【0099】
ホルダ84を除去した後、図4に示されている光電子チップ12が得られる。
【0100】
図8〜12は、図4に示されている光電子デバイス60の様々な変更例を示す。これらの図面には制御チップ14が示されていない。
【0101】
図8は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス90の別の実施形態の図4と類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス90は、図4に示されている光電子デバイス60と同一の要素を備えており、図1に示されている導電層32を更に備えており、導電層32は導電層62と接している。しかしながら、導電層32は、導電層32がワイヤ46と接するのを防ぐために各発光ダイオード16の周りでエッチングされている。導電率及び熱伝導率が高められる。
【0102】
図9は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス95の別の実施形態の図8と類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス95は、壁54が導電層62と接していない点を除いて図8に示されている光電子デバイス90と同一の要素を備えている。開口部80をエッチングする図7Bに示されている工程で導電層62上で停止するためにエッチング方法を選択する必要がないので、光電子デバイス95を製造する方法は光電子デバイス90を製造する方法より簡単になり得る。
【0103】
図10は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス100 の別の実施形態の図8と類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス100 は、一部のボンディングパッド18が互いに接続されている点を除いて図8に示されている光電子デバイス90と同一の要素を備えている。互いに接続されているボンディングパッド18は、同一の色を放射する隣り合うサブ画素に関連付けられていることが好ましい。従って、接続されたボンディングパッド18に関連付けられた2つの発光ダイオード、つまりワイヤ16では、発光ダイオードの内の一方が動作していない場合、他方の発光ダイオードによって依然として光が放射され得るので、完全に暗いサブ画素が存在することが回避される。更に、接続されたボンディングパッド18に関連付けられた2つの発光ダイオード、つまりワイヤ16では、ボンディングパッド18の内の一方が制御回路14に適切に接続されていない場合、他方のボンディングパッド18を介して制御回路14と光電子回路12とが依然として接続されている。
【0104】
図11は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス105 の別の実施形態の図8と類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス105 は、シード層38が開口部26でエッチングされていない点を除いて図8に示されている光電子デバイス90と同一の要素を備えている。シード層38をエッチングする工程がないので、光電子デバイス105 を製造する方法は光電子デバイス90を製造する方法より簡単になり得る。
【0105】
図12は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス110 の別の実施形態の図8と類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス110 は、反射被覆体30が設けられていない点を除いて図8に示されている光電子デバイス90と同一の要素を備えている。光電子デバイス110 を製造する方法は光電子デバイス90を製造する方法より簡単になり得る。
【0106】
図13は、発光ダイオードを備えた光電子デバイス120 の別の実施形態の図1と類似する部分的な断面略図である。光電子デバイス120 は、半導体基板20が設けられておらず、壁28が上面24に置かれている壁122 と取り替えられ、各壁122 は電気絶縁層126 で覆われている充填材料のコア124 を有している点を除いて、図1に示されている光電子デバイス10と同一の要素を備えている。変形例として、壁122 毎に電気絶縁層126 が設けられなくてもよい。図13では、被覆体30は壁122 の側面及び端部の両方を覆っている。導電層32は壁122 、各開口部26の底部及び上面24の残り部分を覆っている。特に、導電層32はバイア56と機械的に接している。更に、シード層38は壁122 と絶縁層42との間にのみ設けられてもよい。
【0107】
壁122 の大きさは壁28の大きさと同一であってもよい。コア124 は、半導体材料、例えばシリコン、特には多結晶シリコン、又は電気絶縁性材料、例えばSiO2から形成されてもよい。絶縁層126 は、誘電体材料、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SixNy、ここでxはおよそ3に等しく、yはおよそ4に等しく、例えばSi3N4 )、(特に一般的な式SiOxNyの)酸窒化シリコン(例えばSi2ON2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al2O3) 又は酸化チタン(TiO2)から形成されてもよい。絶縁層126 は、例えば熱酸化シリコン又はALD により堆積された酸化物から形成されている。絶縁層126 の厚さは10nm〜1000nmの範囲内であってもよい。
【0108】
図14A〜14Hは、図13に示されている光電子デバイス120 を製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【0109】
図14A は、壁122 の所望の位置で基板70に面74から開口部128 を形成した後に得られた構造を示す。例えばドライエッチングによって基板70をエッチングすることにより、開口部128 を得ることができる。
【0110】
図14B は、各開口部128 に絶縁層126 及び絶縁コア124 を形成した後に得られた構造を示す。一実施形態によれば、絶縁層126 を構成する材料の層を、開口部128 の内部及び基板70の面74の残り部分の上に堆積させてもよく、コア124 を構成する材料の層を、特に開口部128 を充填するために構造全体の上に堆積させてもよい。絶縁層126 を構成する材料の層及びコア124 を構成する材料の層を、開口部128 の外側で、例えばエッチングによって除去する。このようにして壁122 が得られる。利点は、高い縦横比(壁の高さ及び幅の比)を有する壁122 を、幅を狭くして得ることができるということである。基板70と接する壁122 の外層は、処理の後の段階で実行される壁122 に対する基板70の選択エッチングを可能にする材料から形成されている。従って、基板70がシリコンから形成される場合、壁122 の絶縁層126 はSiO2から形成されてもよい。基板70がGaN 又はGaAsから形成される場合、絶縁層126 は設けられなくてもよく、壁122 は完全にシリコンから形成されてもよい。
【0111】
図14C は、図6Aに関連して前述した工程と同一の工程の後に得られた構造を示す。
【0112】
図14D は、図6B及び図6Cに関連して前述した工程と同一の工程の後に得られた構造を示す。
【0113】
図14E は、図6Dに関連して前述した工程と同一の工程の後に得られた構造を示す。
【0114】
図14F は、基板70を除去して壁122 を露出させた後に得られた構造を示す。基板70の除去を、少なくとも2つの工程、例えば面72から、例えば機械研磨によって基板70を薄層化し、絶縁層126 に達する前に停止する第1の工程、及び、例えば化学エッチングを行って基板70の残り部分を除去する第2のエッチング工程で行ってもよい。利点は、絶縁層126 が基板70のエッチング中に停止層の機能を果たし得ることである。
【0115】
図14G は、シード層38を除去して壁122 上に被覆体30を形成し、壁122 の側で構造全体に導電層32を形成した後に得られた構造を示す。被覆体30は、蒸着、スパッタリング又はALD によって形成されてもよく、導電層32は、共形堆積、例えば蒸着又はスパッタリングによって形成されてもよい。
【0116】
図14H は、図6Fに関連して前述した工程と同一の工程の後に得られた構造を示す。
【0117】
特定の実施形態が述べられている。様々な変更及び調整が当業者に想起される。特に、前述した実施形態では光電子チップ12は制御チップ14に直接接合されているが、光電子チップ12及び制御チップ14はプリント回路に夫々接合されてもよい。更に、前述した実施形態では、壁28及び壁54は上面24に実質的に直交する側面を有するが、壁28及び壁54の側面は上面24に対して直交しなくてもよく、例えば傾いてもよい。
【0118】
更に、前述した実施形態では基板70は一体の基板であるが、基板70は多層構造であってもよく、例えば半導体基部を覆う絶縁層及び絶縁層を覆う半導体層を含むSOI 構造であってもよい。基板70を薄くする図6D又は図7Dに関連して前述した工程では、半導体基部及び半導体基部を覆う絶縁層を除去して、基板20に相当する半導体層を残してもよい。
【0119】
更に、様々な変更を有する複数の実施形態が記載されている。これらの実施形態及び変更の一部の要素を組み合わせることができる。例として、光電子デバイス60に適用されて図9〜12に示されている変更が、図1に示されている光電子デバイス10に適用されてもよい。
【0120】
本特許出願は、本明細書の不可欠な部分とみなされる仏国特許出願第16/63508 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H