特許第6872623号(P6872623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872623ターボマシンの駆動軸のためのベアリング装置、およびこのようなベアリング装置を備えたターボマシン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872623
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ターボマシンの駆動軸のためのベアリング装置、およびこのようなベアリング装置を備えたターボマシン
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/12 20060101AFI20210510BHJP
   F04D 29/02 20060101ALI20210510BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20210510BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20210510BHJP
   F16C 33/24 20060101ALI20210510BHJP
   F04D 29/057 20060101ALI20210510BHJP
   F04D 17/10 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   F16C33/12 Z
   F04D29/02
   F16C17/02 Z
   F16C17/04 Z
   F16C33/24 Z
   F04D29/057 Z
   !F04D17/10
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-545297(P2019-545297)
(86)(22)【出願日】2018年3月8日
(65)【公表番号】特表2020-511615(P2020-511615A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(86)【国際出願番号】EP2018055802
(87)【国際公開番号】WO2018162655
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年10月15日
(31)【優先権主張番号】1751908
(32)【優先日】2017年3月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】320002407
【氏名又は名称】ダンフォス コマーシャル コンプレッサーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ボンヌフォワ,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】マルティニャーゴ,クレマン
(72)【発明者】
【氏名】ロッソン,イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ファンダスティーネ,スタン
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02697645(US,A)
【文献】 実開平02−071112(JP,U)
【文献】 特開平03−277807(JP,A)
【文献】 特開平03−272317(JP,A)
【文献】 米国特許第03194616(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00 −17/26
F16C 33/00 −33/28
F04D 29/02
F04D 29/057
F04D 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボマシン(2)の駆動軸(4)のベアリング装置であって、駆動軸(4)を回転可能に支持するように構成されたラジアルガスベアリング(32)を含み、前記ラジアルガスベアリング(32)は、前記駆動軸(4)を取り囲むように構成されたラジアルベアリング面(33)を有するガスベアリングスリーブ(32.1)を含み、前記ガスベアリングスリーブ(32.1)がモリブデンまたはモリブデン合金で形成され、
前記ラジアルベアリング面(33)に対して実質的に垂直に延在し、前記駆動軸(4)のラジアルスラストベアリング部材(8)と協働するように構成されたアキシアルベアリング面(34)をさらに含み、
前記ラジアルガスベアリング(32)と前記ラジアルスラストベアリング部材(8)の間に配置され、環状ディスク形状を有する追加のアキシアルベアリングプレート(39)をさらに含み、前記追加のアキシアルベアリングプレート(39)は、前記アキシアルベアリング面(34)を含み、前記アキシアルベアリング面(34)と対向する当接面(41)を有し、前記当接面(41)が前記ラジアルガスベアリング(32)に当接し、
環状ディスク形状を有し、第1の面(37.1)と、アキシアルベアリングプレート(37)の前記第1の面(37.1)とは反対側の第2の面(37.2)とを有する前記アキシアルベアリングプレート(37)と、
前記アキシアルベアリングプレート(37)の前記第1の面(37.1)と前記アキシアルベアリング面(34)との間にクランプされ、前記アキシアルベアリングプレート(37)と前記アキシアルベアリング面(34)との間の軸方向の距離を規定するスペーサリング(38)と、を備えたことを特徴とするベアリング装置。
【請求項2】
前記アキシアルベアリングプレート(37)は、モリブデンまたはモリブデン合金で形成される、請求項記載のベアリング装置。
【請求項3】
前記ラジアルガスベアリング(32)は、前記ラジアルガスベアリング(32)から熱を放散するように構成された冷却部分(35)を含む、請求項1または2に記載のベアリング装置。
【請求項4】
前記アキシアルベアリング面(34)の少なくとも一部および/または前記ラジアルベアリング面(33)の少なくとも一部に補強コーティングが設けられている、請求項1からまでのいずれか1項に記載のベアリング装置。
【請求項5】
前記ラジアルガスベアリング(32)は、一体のラジアルガスベアリングである、請求項1からまでのいずれか1項に記載のベアリング装置。
【請求項6】
前記ラジアルガスベアリング(32)は、前記駆動軸(4)を取り囲むように構成されたベアリング本体(32.2)をさらに含み、前記ガスベアリングスリーブ(32.1)は、前記ベアリング本体(32.2)の径方向内側表面に固定される、請求項1からまでのいずれか1項に記載のベアリング装置。
【請求項7】
前記ラジアルガスベアリング(32)は、軸方向にオフセットされた複数のガスベアリングスリーブ(32.1)を含む、請求項1から、またはのいずれか1項に記載のベアリング装置。
【請求項8】
ラジアルスラストベアリング部材(8)を有する駆動軸(4)と、請求項1からまでのいずれか1項に記載のベアリング装置と、を含む、ターボマシン(2)。
【請求項9】
前記駆動軸(4)が、前記ガスベアリングスリーブ(32.1)によって取り囲まれたベアリング部分(7)を含み、前記ガスベアリングスリーブ(32.1)が、前記駆動軸(4)の前記ベアリング部分(7)の外径よりも大きい内径を有し、前記ベアリング部分(7)および前記ガスベアリングスリーブ(32.1)が、前記駆動軸(4)の回転中に環状のガス室を規定する、請求項に記載のターボマシン(2)。
【請求項10】
前記駆動軸(4)は、モリブデンまたはモリブデン合金で形成されることを特徴とする、請求項またはに記載のターボマシン(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボマシンの駆動軸、特に遠心ターボ圧縮機のベアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のように、遠心ターボ圧縮機は、
ケーシングと、
ケーシング内に回転可能に配置され、長手方向軸線に沿って延在し、ラジアルスラストベアリング部材を含む駆動軸と、
冷媒を圧縮するように構成され、それぞれが駆動軸に連結されるとともに背中合わせの構成で配置された第1および第2インペラを含む第1および第2の圧縮段と、
作動中の駆動軸の軸方向移動を制限するように構成されたアキシアルベアリング装置であって、
互いに平行で、それぞれが環状ディスク形状を有する第1のアキシアルベアリングプレートと第2のアキシアルベアリングプレートであって、第1のアキシアルベアリングプレートは、第2のアキシアルベアリングプレートに軸方向で面した第1の面と、第1のアキシアルベアリングプレートの第1の面とは反対側の第2の面を有するとともに、第2のアキシアルベアリングプレートは第1のアキシアルベアリングプレートに軸方向で面した第1の面と、第2のアキシアルベアリングプレートの第1の面とは反対側の第2の面を有する、第1のアキシアルベアリングプレートと第2のアキシアルベアリングプレートと、
第1および第2アキシアルベアリングプレートの径方向外側部分で第1および第2アキシアルベアリングプレートの第1の面間にクランプされ、第1および第2アキシアルベアリングプレート間の軸方向距離を規定し、第1および第2アキシアルベアリングプレートの径方向内側部分は、駆動軸のラジアルスラストベアリング部材を延長する空間を規定するスペーサリングと
を備えたアキシアルベアリング装置と、
駆動軸を回転可能に支持するように構成されたラジアルベアリング装置であって、駆動軸を取り囲むベアリングスリーブを含み、第2のアキシアルベアリングプレートの第2の面に当接するベアリングスリーブを含むラジアルベアリング装置と、
を含んでいてもよい。
【0003】
このようなターボ圧縮機の製造は、特に、駆動軸、第1および第2のアキシアルベアリングプレート、およびベアリングスリーブの製造に炭化タングステンのような硬質材料を使用するため、高価であり、時間がかかる。実際、このような硬質材料は高価であり、その高い表面硬度のために機械加工することは困難である。
【0004】
さらに、このような遠心ターボ圧縮機のアキシアルベアリング装置およびラジアルベアリング装置は、それぞれ、ガスアキシアルベアリング装置およびガスラジアルベアリング装置とすることができる。ガスベアリングは、ベアリング焼付きを回避するために十分な隙間を必要とする一方、安定のためには特に、隙間を非常に小さくする必要がある。
【0005】
したがって、ガスベアリング装置を設けるには、駆動軸と第1および第2のアキシアルベアリングプレートとの間の垂直性を確保し、ひいては、駆動軸、そしてターボ圧縮機に適切な信頼性および安定性を確保するために、ベアリングスリーブと第1および第2のアキシアルベアリングプレートを制作するのに、特に前記部品の寸法および表面仕上げに関しては、非常に高いレベルの機械加工精度を必要とする。さらに、上述の垂直性を確保するために、ベアリングスリーブと第1および第2のアキシアルベアリングプレートを再加工するための再加工工程を必要とすることもある。
【0006】
したがって、ガスベアリング装置を設けることにより、ターボ圧縮機の製造コストをさらに増大させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ターボマシンの駆動軸用の改良されたベアリング装置を提供することであり、このベアリング装置は、従来の遠心ターボ圧縮機で遭遇する欠点を少なくとも部分的に克服することができる。
【0008】
本発明の他の目的は、丈夫で、信頼性が高く、製造および組立てが容易なベアリング装置を提供することであり、このベアリング装置は、製造コストを低減することができる。
【0009】
本発明によれば、このようなベアリング装置は、駆動軸を回転可能に支持するように構成されたラジアルガスベアリングを含み、ラジアルガスベアリングは、駆動軸を取り囲むように構成されたラジアルベアリング面を有するガスベアリングスリーブを含み、ガスベアリングスリーブはモリブデンまたはモリブデン合金で形成されることを特徴とする。
【0010】
モリブデンは、以前に使用された硬質材料よりも機械加工が容易であり、ガスベアリングスリーブ、したがってベアリング装置を機械加工するために必要とする予防策および専門知識が少なくて済む。
【0011】
したがって、本発明によるベアリング装置は、従来のベアリング装置よりも、より信頼性が高く、製造が簡単で、製造コストが低い。
【0012】
さらにモリブデンの主な利点は、ガスベアリング(非常に緊密で一貫した作動間隙を必要とする)の高い信頼性を保証するための重要な基準である低い熱膨張係数を有し、ターボ圧縮機の作動中の焼き付きのいかなる危険性をも回避できるということである。また、モリブデンの高い熱伝導率は、駆動軸の回転中にベアリング内で生成される熱を排気することを可能にするので、ガスベアリングスリーブにとって適切な材料となる。
【0013】
モリブデンはまた、高速でシステムに対するより高い安定性を可能にする比(ヤング率/Rho)によって規定される高いロータ動的周波数を有するという利点を有する。さらに、モリブデンは高い弾性率を有する。
【0014】
モリブデンはまた、本技術で現在使用されている材料であるセラミックまたは炭化タングステンよりも、より耐久性のある材料(より良好な破壊強度を有する)である。
【0015】
ベアリング装置はまた、単独でまたは組み合わせて、以下の特徴の1つまたは複数を含んでいても良い。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、ベアリング装置は、ラジアルベアリング面に対して実質的に垂直に延在し、駆動軸のラジアルスラストベアリング部材と協働するように構成されたアキシアルベアリング面をさらに含む。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、ガスベアリングスリーブはチタン−ジルコニウム−モリブデン合金で形成される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ガスベアリングスリーブを形成するモリブデンまたはモリブデン合金は、500HV未満のビッカース硬度を有する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、ベアリング装置はさらに、
環状ディスク形状を有し、第1の面と、アキシアルベアリングプレートの第1の面とは反対側の第2の面とを有するアキシアルベアリングプレートと、
アキシアルベアリングプレートの第1の面とアキシアルベアリング表面との間の、有利にはアキシアルベアリングプレートとアキシアルベアリング面の径方向外側部分においてクランプされ、アキシアルベアリングプレートとアキシアルベアリング面との間の軸方向の距離を規定するスペーサリングとを含む。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ガスベアリングスリーブは、アキシアルベアリング面を含む。ガスベアリングスリーブのこのような構成、特にラジアルベアリング面およびアキシアルベアリング面を含むことにより、ベアリング装置が簡易に製造できるようになるとともに、それを製造するために必要な加工精度のレベルが軽減し、一方、モリブデンは炭化タングステンのような従来使用された硬質材料よりも安価であるので、製造コストが実質的に低減される。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、ベアリング装置は、環状ディスク形状を有する追加のアキシアルベアリングプレートをさらに含み、追加のアキシアルベアリングプレートは、アキシアルベアリング面を含み、アキシアルベアリング面と反対側の当接面を有し、ラジアルガスベアリング、例えば、ガスベアリングスリーブに当接する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、アキシアルベアリングプレートはモリブデンまたはモリブデン合金で形成される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、追加のアキシアルベアリングプレートはモリブデンまたはモリブデン合金で形成される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルガスベアリングは、ラジアルガスベアリングから熱を放散するように構成された冷却部分を含む。ガスベアリングスリーブは、冷却部分を含んでいてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、冷却部分は、複数の環状冷却リブを含む。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、環状冷却リブは、ガスベアリングスリーブの外面上に設けられる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、ガスベアリングスリーブの外面は、全体的に円筒形である。
【0028】
本発明の実施形態によれば、補強コーティングは、アキシアルベアリング面の少なくとも一部上および/またはラジアルベアリング面の少なくとも一部上に設けられる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、補強コーティングは、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)補強コーティングである。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルガスベアリングは、一体のラジアルガスベアリングである。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、ラジアルガスベアリングは、駆動軸を取り囲むように構成されたベアリング本体をさらに含み、ガスベアリングスリーブは、ベアリング本体の径方向内側表面に固定される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ベアリング本体は、冷却部分を含む。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、追加のアキシアルベアリングプレートの当接面は、ベアリング本体に当接する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルガスベアリングは、軸方向にオフセットされた複数のガスベアリングスリーブ、例えば2つのガスベアリングスリーブを含む。有利なことに、ガスベアリングスリーブは、ベアリング本体の径方向内面に固定されており、ベアリング本体の軸方向の長さに沿って広がっている。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、ラジアルガスベアリングは、ベアリング本体の径方向内面に固定され、ベアリング本体の軸方向の長さに沿って延在する、1つのガスベアリングスリーブのみを含んでいてもよい。
【0036】
本発明は、また、ラジアルスラストベアリング部材を有する駆動軸と、本発明によるベアリング装置とを含むターボマシンに関する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、ターボマシンは、ターボ圧縮機であり、例えば、二段ターボ圧縮機である。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸は、ガスベアリングスリーブによって取り囲まれたベアリング部を含み、ガスベアリングスリーブは、駆動軸のベアリング部の外径よりも大きい内径を有し、ベアリング部およびガスベアリングスリーブは、駆動軸が回転するときに環状のガスチャンバを規定する。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸のラジアルスラストベアリング部材は、アキシアルベアリングプレートの径方向内側部分とアキシアルベアリング面との間、および例えばアキシアルベアリングプレートの径方向内側部分とガスベアリングスリーブとの間、またはアキシアルベアリングプレートの径方向内側部分と追加のアキシアルベアリングプレートとの間の空間内まで延在する。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルスラストベアリング部材は、アキシアルベアリング面に当接する。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸は、モリブデンまたはモリブデン合金で形成される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、ラジアルスラストベアリング部材は、環状ディスク形状を有し、第1の軸方向面と第1の軸方向面の反対側の第2の軸方向面とを含み、アキシアルベアリング面は、ラジアルスラストベアリング部材の第2の軸方向面と協働するように構成され、アキシアルベアリングプレートは、ラジアルスラストベアリング部材の第1の軸方向面と協働するように構成される。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ターボマシンは、回転軸線を中心に駆動軸を回転駆動するように構成された電気モータをさらに含み、電気モータは、ステータおよびロータを含み、ロータは、駆動軸の駆動部に接続される。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、駆動部分は、ロータが受容される軸方向の孔を有する。例えば、軸方向の孔は、駆動部の端面に形成されている。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、アキシアルベアリングプレートおよびガスベアリングスリーブは、作動中の駆動軸の軸方向移動を制限するように構成されている。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、アキシアルベアリングプレートおよび追加のアキシアルベアリングプレートは、作動中の駆動軸の軸方向移動を制限するように構成される。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、アキシアルベアリングプレート、スペーサリングおよびアキシアルベアリング面は、アキシアルベアリング、特にアキシアルガスベアリングを形成する。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、ターボマシンは、冷媒を圧縮するように構成された第1および第2の圧縮段をさらに含む。有利なことに、第1および第2の圧縮段はそれぞれ、第1および第2のインペラを含み、第1および第2のインペラのそれぞれは、前側および後側を有し、第1および第2のインペラは、駆動軸に接続され、背中合わせの構成で配置される。
【0049】
これらおよび他の利点は、本発明に係るターボマシンの実施形態を、限定しない例として表す添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の1つの実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付図面を併せて読むと理解しやすいが、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
図1】本発明の第1の実施形態によるターボマシンの縦断面図である。
図2図1のターボマシンの部分縦断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るターボマシンの部分縦断面図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係るターボマシンの部分縦断面図である。
図5】本発明の第4の実施形態に係るターボマシンの部分縦断面図である。
図6】本発明の第5の実施形態に係るターボマシンの部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1図3は、本発明の第1の実施形態によるターボマシン2、特に2段遠心ターボ圧縮機を示す。
【0052】
ターボマシン2は、ケーシング3と、ケーシング3内に回転可能に配置され、長手方向軸線Aに沿って延びる駆動軸4とを含む。駆動軸4は、インペラ部5と、インペラ部5と対向する駆動部6と、インペラ部5と駆動部6との間に配置されたベアリング部7とを備えている。
【0053】
駆動軸4はさらに、径方向のフランジ部分とも呼ばれるラジアルスラストベアリング部材8を含み、このラジアルスラストベアリング部材は、平坦なディスク形状を有し、ベアリング部7に対して径方向外方に延びる。ラジアルスラストベアリング部材8は、ベアリング部7の外径よりも大きい外径を有し、第1の軸方向面8.1と、第1の軸方向面8.1と対向する第2の軸方向面8.2とを有している。ラジアルスラストベアリング部材8は、ベアリング部7と一体的に形成されていてもよいし、ベアリング部7に固定されていてもよい。
【0054】
ターボマシン2は、冷媒を圧縮するように構成された第1の圧縮段9と第2の圧縮段11とをさらに含む。第1の圧縮段9は、流体入口12および流体出口13を含み、第2の圧縮段11は、流体入口14および流体出口15を含み、第1の圧縮段9の流体出口13は、第2の圧縮段11の流体入口14に流体接続される。
【0055】
第1および第2圧縮段9、11はそれぞれ、駆動軸4のインペラ部5に連結され、駆動軸4と同軸に延びる第1インペラ16および第2インペラ17を含む。
【0056】
図2によりよく示されているように、第1および第2のインペラ16、17のそれぞれが、駆動軸4の回転中に第1および第2の圧縮段9、11のそれぞれの1つに入る冷媒を加速するように構成された複数の翼板21、22を備えた前側18、19を含み、加速された冷媒を、第1および第2のインペラ16、17のそれぞれ1つの径方向外側縁部に配置されたディフューザに供給する。第1および第2のインペラ16、17のそれぞれはまた、駆動軸4に対して実質的に垂直に延在する後側23、24を含む。
【0057】
有利なことに、第1および第2のインペラ16、17は背中合わせの構成で配置され、第1および第2の圧縮段9、11の流入口12、14における流体の流れ方向は互いに反対である。
【0058】
図示の実施形態によると、第2のインペラ17は、第1のインペラ17とは異なるとともに分離されており、特に、ターボマシン2の組み立て中の第1と第2のインペラ16、17の後側23、24との間の軸方向距離の調整を可能にする。しかしながら、本発明の別の実施形態によれば、第1および第2のインペラ16、17は、駆動軸4のインペラ部5に固定された一体のインペラ部材に設けられていてもよい。
【0059】
ターボマシン2は、第1と第2のインペラ16、17との間に設けられた段間シール装置25をさらに有している。段間シール装置25は、駆動軸4に対して実質的に垂直に延在する一体型シール部材を含み、第1および第2のインペラ16、17の後側23、24間に形成された径方向環状溝26内に少なくとも部分的に配置されていてもよい。
【0060】
ターボマシン2はまた、長手方向軸線Aを中心として駆動軸4を回転駆動するように構成された電気モータ27を含む。電気モータ27は、ステータ28とロータ29とを含む。図示の実施形態によれば、ロータ29は、駆動軸4の駆動部6に接続されており、特に駆動部6に設けられた軸方向の孔31内に受容されている。有利なことに、軸方向の孔31は、駆動部6の端面に形成されている。
【0061】
ターボマシン2は、駆動軸4を回転可能に支持し、作動中の駆動軸4の軸方向移動を制限するように構成されたベアリング装置をさらに含む。
【0062】
ベアリング装置は、特に、駆動軸4を回転可能に支持するように構成され、駆動軸4のベアリング部7に沿って延在するガスベアリングスリーブ32.1を含むラジアルガスベアリング32を含む。ガスベアリングスリーブ32.1は、有利にはモリブデンまたはモリブデン合金で、例えばチタン−ジルコニウム−モリブデン合金で形成される。本発明の第1の実施形態によれば、ガスベアリングスリーブ32.1は一体型ガスベアリングスリーブである。
【0063】
ガスベアリングスリーブ32.1は、駆動軸4のベアリング部7を取り囲むラジアルベアリング面33を含む。有利なことに、ガスベアリングスリーブ32.1は、駆動軸4のベアリング部7の外径よりも大きい内径を有し、これにより、駆動軸4が回転するときにベアリング部7とガスベアリングスリーブ32.1とが環状のガスチャンバを規定する。
【0064】
ガスベアリングスリーブ32.1はさらに、径方向ベアリング面33に対して実質的に垂直に延びる軸方向ベアリング面34を含み、駆動軸4のラジアルスラストベアリング部材8の第2の軸方向面8.2と協働するように構成されている。特に、ラジアルスラストベアリング部材8の第2の軸方向面8.2は、ガスベアリングスリーブ32.1のアキシアルベアリング面34に当接している。有利なことに、アキシアルベアリング面34は、電気モータ27とは反対側のガスベアリングスリーブ32.1の軸方向端面に配置されている。
【0065】
ガスベアリングスリーブ32.1はまた、ガスベアリングスリーブ32.1から熱を放出するように構成された冷却部分35を含む。本発明の一実施形態によれば、冷却部分35は、ガスベアリングスリーブ32.1の外面に設けられた複数の環状冷却リブ36を含む。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、DLC補強コーティングなどの補強コーティングを、アキシアルベアリング面34の少なくとも一部上および/またはラジアルベアリング面33の少なくとも一部上に設けることにより、ガスベアリングスリーブ32.1を形成する材料の面硬度を増大させ、したがってベアリング装置の信頼性を向上させることができる。
【0067】
さらに、ベアリング装置は、環状ディスク形状を有し、駆動軸4の長手方向軸線Aに対して実質的に垂直に延在するアキシアルベアリングプレート37を含む。アキシアルベアリングプレート37は、アキシアルベアリング面34と軸方向で面した第1の面37.1と、第1の面37.1とは反対側の第2の面37.2とを有している。アキシアルベアリングプレート37は、モリブデンまたはモリブデン合金で形成することができる。
【0068】
アキシアルベアリングプレート37およびガスベアリングスリーブ32.1の径方向内側部分は、駆動軸4のラジアルスラストベアリング部材8を延在する空間を規定する。特に、アキシアルベアリングプレート37の第1の面37.1は、ラジアルスラストベアリング部材8の第1の軸方向面8.1と協働するように構成されている。本発明の一実施形態によれば、駆動軸4のラジアルスラストベアリング部材8とアキシアルベアリングプレート37の第1の面37.1との間、およびアキシアルベアリング面34の間に軸方向間隙が設けられている。このような軸方向間隙は、例えば、10μmの範囲内である。
【0069】
ベアリング装置はさらに、駆動軸4のラジアルスラストベアリング部材8を取り囲み、アキシアルベアリングプレート37の第1の面37.1とガスベアリングスリーブ32.1のアキシアルベアリング面34との間で、アキシアルベアリングプレート37およびガスベアリングスリーブ32.1の径方向外側部分にクランプされるスペーサリング38を含む。スペーサリング38は、アキシアルベアリングプレート37とアキシアルベアリング面34との間の軸方向距離を規定しており、前記軸方向距離は、ラジアルスラストベアリング部材8の幅よりも僅かに大きい。
【0070】
図4は、本発明の第3の実施形態によるターボマシン2を示し、このターボマシンは、特に、環状ディスク形状を有する追加のアキシアルベアリングプレート39をさらに含み、追加のアキシアルベアリングプレート39は、アキシアルベアリング面34を含み、アキシアルベアリング面34と対向する当接面41を有し、ガスベアリングスリーブ32.1に当接する点で図3に示された実施形態とは異なる。有利なことに、追加のアキシアルベアリングプレート39は、モリブデンまたはモリブデン合金で形成されている。
【0071】
第3の実施形態によれば、スペーサリング38は、アキシアルベアリングプレート37の第1の面37.1と追加のアキシアルベアリングプレート39のアキシアルベアリング面34との間で、アキシアルベアリングプレート37の径方向外側部分および追加のアキシアルベアリングプレート39の径方向外側部分にクランプされる。
【0072】
図5は、本発明の第4の実施形態によるターボマシン2を示し、このターボマシンは、特に、ラジアルガスベアリング32が、駆動軸4を取り囲むように構成されたベアリング本体32.2と、複数、例えば2本の、ベアリング本体の軸方向長さに沿って配置され、ベアリング本体32.2の径方向内面に固定されたガスベアリングスリーブ32.1を含んでいる点で図4に示された第3の実施形態とは異なる。ガスベアリングスリーブ32.1は、例えば、ベアリング本体32.2に圧入されてもよい。
【0073】
本発明の前記実施形態によれば、ベアリング本体32.2は、冷却部分35を含み、追加のアキシアルベアリングプレート39の当接面41は、ベアリング本体32.2に当接する。
【0074】
図6は、本発明の第5実施形態によるターボマシン2を示し、このターボマシンは、特にラジアルガスベアリング32が、ベアリング本体32.2の径方向内面に固定され、ベアリング本体32.2の軸方向全長に実質的に沿って延在するただ1つのガスベアリングスリーブ32.2を有している点で図5に示された第4実施形態とは異なる。
【0075】
もちろん、本発明は、非限定的な例として上述した実施形態に限定されるものではなく、その実施形態を含むものである。
【符号の説明】
【0076】
2 ターボマシン
4 駆動軸
7 ベアリング部分
8 ラジアルスラストベアリング部材
32 ラジアルガスベアリング
32.1 ガスベアリングスリーブ
32.2 ベアリング本体
33 ラジアルベアリング面
34 アキシアルベアリング面
35 冷却部分
37 アキシアルベアリングプレート
37.1 第1の面
37.2 第2の面
38 スペーサリング
39 アキシアルベアリングプレート
41 当接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6