特許第6872639号(P6872639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872639
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】巻上機
(51)【国際特許分類】
   B66D 3/20 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   B66D3/20 B
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-560027(P2019-560027)
(86)(22)【出願日】2018年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2018028660
(87)【国際公開番号】WO2019123705
(87)【国際公開日】20190627
【審査請求日】2020年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-241483(P2017-241483)
(32)【優先日】2017年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直樹
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/125919(WO,A1)
【文献】 実開昭56−151298(JP,U)
【文献】 特開平11−139783(JP,A)
【文献】 実開昭59−112892(JP,U)
【文献】 特開昭54−146368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00−5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム内に設けられたドラムと、
前記フレームの第1の側に設けられた第1の減速機と、
前記第1の減速機の先端に設けられた第1の電動機と、を有し、
前記第1の電動機の出力軸と前記第1の減速機の入力軸とが直接連結されており、
前記第1の側とは反対側の第2の側の前記フレームに取外し自在に設けられたフレームブラケットと、
前記ドラムに取外し自在に設けられたドラムブラケットと、
を更に有し、
前記フレームブラケットを取外した前記第2の側の前記フレームに、第2の減速機と前記第2の減速機の先端に設けられた第2の電動機とを、前記第2の電動機の出力軸と前記第2の減速機の入力軸とが直接連結されように設けたことを特徴とする巻上機。
【請求項2】
前記フレームブラケットは、前記ドラムを覆うように第1のボルトを介して前記第2の側の前記フレームに取外し自在に設けられていることを特徴とする請求項に記載の巻上機。
【請求項3】
前記ドラムブラケットは、第2のボルトを介して前記ドラムに取外し自在に設けられていることを特徴とする請求項に記載の巻上機。
【請求項4】
前記フレームブラケットは、前記ドラムの軸受を受ける凸部を有し、前記凸部を介して前記ドラムが回転可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載の巻上機。
【請求項5】
前記フレームブラケットは、前記フレームの前記第1の側と前記第2の側との間の重量バランスを保つために必要な重量を有することを特徴とする請求項に記載の巻上機。
【請求項6】
前記ドラムブラケットを取外した前記ドラムに、倍速化用ドラムブラケットを設けたことを特徴とする請求項に記載の巻上機。
【請求項7】
前記倍速化用ドラムブラケットは、前記第2の減速機の減速機軸とスプライン締結になるスプライン溝を有することを特徴とする請求項に記載の巻上機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻上機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、巻上機はフレームの片方に吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための駆動源となる電動機を備え、フレームに対して電動機の反対側に減速機を備えている。
電動機の回転は減速機に伝達されてドラムが回転することにより、ドラムに巻きつけられたワイヤロープが上下動し吊り荷を上げ下げする。
【0003】
特許文献1に記載の巻上機は、電動機からフレームの反対側の減速機まで動力を伝達するための連結部材(駆動軸)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−199363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、電動機の動力を反対側の減速機に伝えるための連結部材を設けている。このため、電動機の高速回転時に連結部材が偏心して破損する可能性があり、電動機の高速回転の妨げになる。
本発明の目的は、連結部材を不要として電動機の高速回転を可能にする巻上機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の巻上機は、フレーム内に設けられたドラムと、前記フレームの第1の側に設けられた第1の減速機と、前記第1の減速機の先端に設けられた第1の電動機とを有し、前記第1の電動機の出力軸と前記第1の減速機の入力軸とが直接連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、連結部材を不要として電動機の高速回転を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】関連技術の巻上機の構成を示す図である。
図2】関連技術の巻上機の構成を示す図である。
図3】実施例1の巻上機の構成を示す図である。
図4】フレームブラケットの周辺の断面図である。
図5】フレームの側面図である。
図6】実施例2の巻上機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
[関連技術]
最初に、図1及び図2を参照して、関連技術の巻上機について説明する。
図1及び図2に示すように、巻上機は、フレーム50の片方に吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための駆動源となる電動機51と、電動機51を制動するブレーキ装置52を備えている。
また、巻上機は、フレーム50に対して電動機51の反対側に、減速機53を備えている。さらに、吊り荷を吊るためのワイヤロープ54を巻きつけるためのドラム55と、ドラム55の内側に電動機51の回転を減速機53まで伝達するための連結部材56を備えている。
【0010】
電動機51の回転は、連結部材56を介して減速機53に伝達され、減速機53にて減速されてドラム55に伝達されドラム55が回転する。これにより、ドラム55に巻きつけられたワイヤロープ54が上下動し、吊り荷を上げ下げする。ドラム55に巻かれるワイヤロープ54には、シーブ57を介して荷を吊るロードブロック58が取り付けられている。また、フレーム50は横行装置59にて横行レール60に支持される。
【0011】
関連技術では、フレーム50の左右の重量バランスを保つために、電動機51と減速機53はフレーム50の両側にそれぞれ配置されている。左右のバランスが保たれていない場合、横行車輪の偏摩耗や横行車輪の浮き上がりといった事象が発生する可能性がある。
【0012】
図2に示すように、関連技術の巻上機では、電動機51からフレーム50の反対側の減速機53まで動力を伝達するために連結部材(連結軸)56を備えている。連結部材56は電動機側及び減速機側の軸の中心の微細なズレが発生する。このため、電動機51の高速回転時に連結部材56が偏心して破損に至る可能性がある。
そこで、実施例では、連結部材56を不要として電動機51の高速回転を可能にする巻上機を提供する。
【実施例1】
【0013】
図3図5を参照して、実施例1の巻上機について説明する。
ここで、図3は、ダブルレール型の巻上機を、レール上部から見た構成図である。なお、実施例1は、ローヘッド型の巻上機に対しても適用可能である。
図3に示すように、フレーム1の左右片側に減速機2が配置され、減速機2の先端に電動機3が配置されている。そして、電動機3の出力軸19を減速機2の入力軸20に直接連結する構成となっている。電動機3の先端には、ブレーキ装置4が配置されている。また、フレーム1の減速機2の取付側と反対側には、フレーム1と締結されるフレームブラケット5が設けられている。
【0014】
このような配置にすることで、関連技術の巻上機(図2参照)のように、お互い離れた位置に配置される減速機53と電動機51を長手の軸で連結する必要がなくなる。このため、実施例1の巻上機では、連結部材56は不要になる。連結部材56が不要になることで、電動機3の高速回転時の偏心は抑制されて電動機3の高速回転が可能となる。
【0015】
図4は、図3におけるフレームブラケット5の周辺の断面図を示したものである。
図4に示すように、フレーム1の減速機2の取付け側(第1の側)と反対側(第2の側)には、フレーム1と締結されるフレームブラケット5が設けられている。ここで、フレームブラケット5は、ボルト18を介して反対側(第2の側)のフレーム1に取外し自在に設けられている。
【0016】
フレームブラケット5は、フレーム1内に設けられたドラムの軸受6を支える凸部13を有すると共に、フレーム1から露出しているドラム9を覆うようにボルト18にて取り付けられている。凸部13によってドラム9が回転することが可能となる。
【0017】
フレームブラケット5は、軸受6を介してドラムブラケット7を支持している。ドラムブラケット7は、ボルト8にてドラム9と締結しており、ドラム9とドラムブラケット5は分割が可能な構造となっている。このように、ドラムブラケット5は、ボルト8を介してドラム9に取外し自在に設けられている。
【0018】
図5に示すように、フレーム1の側板14には、左右同一の数量、同一のサイズ及び同一の位置にねじ穴10が設けられている。一方、フレームブラケット5及び減速機2にも、同一の数量、同一のサイズ及び同一の位置にフレーム1と締結するためのボルトを通す穴が設けられている。フレーム1の左右側板14はどちら側も減速機2及びフレームブラケット5が同一ボルトにて取付け可能な構造となっている。
【0019】
実施例1の巻上機の構成によると、フレーム1の片側に減速機2及び電動機3を備えているため、フレーム1の左右の重量バランスが保たれず、横行車輪の偏摩耗や横行車輪の浮き上がりといった事象が発生する可能性がある。
【0020】
このような事象を防ぐために、フレームブラケット5はフレーム1の左右のバランスが保たれる重量にする必要がある。例えば、フレームブラケット5の厚さを増すことにより、フレーム1の左右のバランスが保たれる重量にする。あるいは、フレームブラケット5に別部材で負荷を設置するような構成にしても良い。
【実施例2】
【0021】
次に、図6を参照して、実施例2の巻上機について説明する。
実施例2の巻上機は、巻上速度の倍速化を可能とするものである。巻上速度は、電動機3の回転速度・減速機2内のギヤ及びピニオンの減速比及びドラム9の外径にて決定する。実施例2では、減速比にて巻上速度の倍速化を実現する。
【0022】
例えば、通常速度の減速比が1:100とすると、ギヤ15及びピニオン16の歯数を変更したものに交換し、減速比を半分の1:50とすることで倍速化が可能となる。この時、ギヤ15及びピニオン16の軸中心間の距離を通常速度のギヤ15及びピニオン16の軸中心間の距離Lと同一とする。これにより、ギヤ15及びピニオン16を支持する軸受及び減速機ケースの交換は不要となる。
【0023】
また、減速比の変更により電動機3にかかる負荷が増大するため、電動機3の出力不足となる。この出力不足を補うため、実施例2の巻上機では、実施例1のフレームブラケット5を減速機2及び電動機3に交換することで対応する。
【0024】
実施例1の構成では、減速機2の数量及び電動機3の数量が各1個であるのに対して、実施例2の構成では、減速機2の数量及び電動機3の数量を各2個に変更する。これにより、実施例2の巻上機では、巻上速度の倍速化を可能となる。
【0025】
この際、実施例1のように、フレーム1の左右側板14はどちら側も減速機2及びフレームブラケット5が同一ボルトにて取付け可能な構造となっているため、フレーム1及びボルトの変更は必要ない。
具体的には、フレームブラケット5を取外した反対側(第2の側)のフレーム1に、減速機2と減速機2の先端に設けられた電動機3とを、電動機3の出力軸19を減速機2の入力軸20に直接連結するように設ける。
【0026】
また、軸受6を介してフレームブラケット5にて支持されるドラムブラケット7は、フレームブラケット5から減速機2への交換の際、減速機軸11とのスプライン締結になるためスプライン溝17を有する倍速化用ドラムブラケット12に変更する必要がある。よって、ドラムブラケット7を取外したドラム9に、倍速化用ドラムブラケット12を設ける。
また、フレーム1に対して左右に同一重量の減速機2及び電動機3を同一の数量有することで、フレーム1の左右の重量バランスは保たれる。このため、横行車輪の偏摩耗や横行車輪の浮き上がりは抑制される。
【0027】
次に、実施例1の標準速度を有する巻上機から、実施例2の倍速化された巻上機へ変更する際の手順について説明する。
まず、図4に示すボルト18をすべて取り外して、フレーム1からフレームブラケット5を取り外す。
【0028】
次に、ボルト8を取り外して、軸受6及びドラムブラケット7を取り外す。ドラムブラケット7が取り付けてあった位置に、倍速化用ドラムブラケット12をボルト8によりを固定する。
【0029】
次に、減速機2が備える減速機軸11を、倍速化用ドラムブラケット12が有するスプライン溝17に締結するように取り付ける。
【0030】
最後に、ボルト8にて減速機2をフレーム1に固定する。このように、図4に示すドラムブラケット7、軸受6及びフレームブラケット5のみを変更し、それら以外の構成部品を変更することなく倍速化された巻上機へ変更することができる。
また、実施例2の倍速化された巻上機から実施例1の標準速度を有する巻上機への変更は、前記手順と逆の手順を行うことにより可能である。
このように、実施例2の巻上機では、巻上速度の倍速化を可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 フレーム
2 減速機
3 電動機
4 ブレーキ装置
5 フレームブラケット
6 軸受
7 ドラムブラケット
8 ボルト
9 ドラム
10 フレームねじ穴
11 減速機軸
12 倍速化用ドラムブラケット
13 凸部
14 側板
15 ギヤ
16 ピニオン
17 スプライン溝
18 ボルト
19 出力軸
20 入力軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6