(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記顔面シールが、前記アイチャンバーの上方に位置する上部を含み、前記第1のシール支持部材が、前記顔面シールの前記上部の左側に配置されており、前記第2のシール支持部材が、前記顔面シールの前記上部の右側に配置された、請求項18に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ユーザの顔のサイズ及び形状は、大きく異なり得る。いくつかの従来の顔面シール設計では、ユーザの顔との接触によって、一部の領域では強く圧縮されるが、他の領域では圧縮されていないか又は軽く圧縮されたままである、厚みのあるフォーム構造を組み込む。顔の形状及びサイズによっては、フォーム構造がユーザの顔に適合せず、フォーム構造の、光を遮断する機能が損なわれる場合がある。顔面シールとユーザの顔の係合が、ヘッドマウントディスプレイの支持に依存している実装では、一部のユーザは、不快な圧迫領域を感じることがある。
【0026】
本明細書の開示は、ヘッドマウントディスプレイ用の顔面シール、ヘッドマウントディスプレイ用の顔面シールに組み込むことができる構成要素、及びヘッドマウントディスプレイ用の顔面シールと共に使用できる構成要素に関する。本明細書に開示される顔面シール設計は、快適性及び/又は遮光性を向上させるために、ユーザの顔形状に適合する可動構造体を含み、これによりユーザ体験が改善される。
【0027】
図1は、ヘッドマウントディスプレイ100を示す斜視図である。ヘッドマウントディスプレイは、筐体102、顔面シール104、及びヘッドバンド106を含む。顔面シール104及びヘッドバンド106は、筐体102に接続されている。顔面シール104は、ユーザの目の周辺領域でユーザの頭部と係合し、適合するように構成されている。ヘッドバンド106は、ユーザの頭部に対して筐体102を支持するように構成されている。図示された実施例では、筐体102はほぼ長方形構造であり、ヘッドバンド106は、筐体102の側面に接続してユーザの頭部の周辺に延びるストラップ又は剛性部材のような構造である。筐体102は、単一部品構造であっても、又は複数部品構造であってもよく、剛性又は半剛性のいずれかである。ヘッドバンド106は、ボタン、バックル、又はフック・ループ式ファスナーなどのファスナーを使用して調節される可変長ストラップアセンブリのような調節機構を含むことができる。筐体102及びヘッドバンド106は、文脈を提供するために示され説明されており、本明細書に記載される特徴は、広範な構成を利用するヘッドマウントディスプレイで利用できることを理解されたい。一例として、ヘッドバンド106は、ユーザの頭部の中心を超えて延びる追加のストラップを含み得る。
【0028】
図2Aは、ユーザ208が装着したヘッドマウントディスプレイ100を示す側面図であり、
図2Bは、ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイ100を示す上面図である。顔面シール104は、ユーザー208の顔面210の上部に接触する。一例として、顔面シール104は、ユーザ208の額、こめかみ、頬、及び/又は鼻に接触し、ユーザ208の眼領域212の周囲に延びてもよい。
【0029】
図3は、
図2Bの線A−Aに沿ったヘッドマウントディスプレイ100の断面図である。ヘッドマウントディスプレイ100は、筐体102、仕切り壁316、レンズ318(例えば、それぞれユーザの眼と対になる2つのレンズ)、1つ以上の表示デバイス320及び電子構成要素322を含む。
【0030】
筐体102は、ヘッドマウントディスプレイ100の外部構造を含み、ヘッドマウントディスプレイ100の内部構造の一部を含んでもよい。筐体102は、ヘッドバンド106(
図1〜2B)又は他の支持構造体に接続されている。ヘッドマウントディスプレイ100の内部空間は、仕切り壁316、レンズ318、表示デバイス320、および電子構成要素322などのヘッドマウントディスプレイ100の部分を支持及び/又は封入するために、筐体102によって画定される。筐体102は、複数部品構造であっても、又は単一部品構造であってもよい。筐体102は、剛性又は半剛性であってもよく、筐体102の複数部品構造に関しては、剛性部分及び可撓性部分を含む異なる材料特性を有する様々な部分を含んでもよい。
【0031】
筐体102の前端部は、装着時にユーザ208に隣接する周辺部分324を含む。周辺部分324は、前端部において筐体102の一部又は全部の周りに延び、顔面シール104のための支持面又は支持構造を提供する。他の構成要素及び/又は構造体は、センサなどの周辺部分324上に形成されるか、又はそれによって支持されてもよい。
【0032】
仕切り壁316は、筐体102の内側に配置されている。仕切り壁316は、外部に露出する第1の側面を有し、仕切り壁316と顔面シール104との間の筐体102内に画定されるアイチャンバー326に隣接している。ユーザ208がヘッドマウントディスプレイ100を装着すると、ユーザ208の眼は、アイチャンバー326に隣接して配置されている。顔面シール104とユーザ208の顔面210との係合により、顔面シール104は、アイチャンバー326に入る顔面シール104の外側の環境からの光量を低減又は排除するように動作可能である。
【0033】
仕切り壁316は、レンズ318を直接又は間接的に支持することができる。図示の例では、レンズ318は仕切り壁316に接続されており、仕切り壁316に形成された開口328内に配置されている。ヘッドマウントディスプレイ100の他の実装形態は、レンズ318を仕切り壁316に間接的に接続することができる。一例として、レンズ318は、レンズ318を横方向に互いに近づけたり遠ざけたりするように動作可能な瞳孔間距離調整機構によって支持することができる。別の例として、レンズ318は、筐体102の前後方向にレンズ318の位置を調整して、ユーザ208の眼とレンズ318との間の距離を変更するように動作可能な眼レリーフ調整機構によって支持することができる。
【0034】
レンズ318は、所望の焦点距離及び他の光学特性を達成するために、表示デバイス320から画像の焦点を合わせ、方向を変えて、再成形する。表示デバイス320は、筐体102内に配置されており、レンズ318に向かって(例えば、画像を形成するパターンで)発光するように配向される。例として、表示デバイス320は、LEDディスプレイパネル、OLEDディスプレイパネル、又はLCDディスプレイパネルであってもよい。いくつかの実施態様では、表示デバイス320は、それぞれがレンズ318の1つと関連付けられた2つのディスプレイパネルを含む。他の実施態様では、表示デバイス320は、レンズ318の両方と関連付けられた単一のディスプレイパネルを含む。レンズ318は、3次元環境からの光がユーザ208の眼に到達する方法をシミュレートするように、表示デバイス320によって放出された画像をユーザ208の眼に向ける。一例として、レンズ318は、両凸レンズであってもよい。別の例として、レンズ318はフレネルレンズであってもよい。レンズ318の焦点距離は、例えば、25mm〜50mmであってもよい。
【0035】
アイチャンバー326の反対側の、仕切り壁316の第2の側面には、仕切り壁316と筐体102との間に内部チャンバー330が形成される。いくつかの実施態様では、複数の内部チャンバーが存在する。図示した例では、表示デバイス320及び電子構成要素322は、内部チャンバー内に配置されている。表示デバイス320は、(図示されるように)仕切り壁316、筐体102、又は内部チャンバー330内に位置する他の構造物によって支持されてもよい。
【0036】
電子構成要素322は、内部チャンバー330内に配置されており、筐体102、又は内部チャンバー330内に存在する他の構造物によって支持されてもよい。電子構成要素322は、表示デバイス320に接続されており、発光された光によって定義された画像として表示デバイス320に表示されるように表示デバイスによって提供される、信号又はデータ形態でのコンテンツを生成又は受信する構成要素を含む。電子構成要素322はまた、ヘッドマウントディスプレイ100の位置及び向きなどのヘッドマウントディスプレイ100の動作に関連する状態を検出するセンサを含んでもよい。
【0037】
図4は、顔面シール104を示すヘッドマウントディスプレイ100の正面図である。顔面シール104は、上部432aと、左部分432bと、右部分432cと、左下部分432dと、右下部分432eと、を含む。上部432aは、筐体102の上面に隣接する筐体102の周辺部分324上に配置されている。左部分432bは、筐体102の左側面に隣接する筐体102の周辺部分324上に配置されている。右部分432cは、筐体102の右側面に隣接する筐体102の周辺部分324上に配置されている。左下部分432dは、筐体102の下面に隣接する筐体102の周辺部分324上、及び筐体102上に形成された鼻レリーフ領域434の左側に配置されており、ユーザ208の鼻のための空間を提供する。右下部分432eは、筐体102の下部表面に隣接する筐体102の周辺部分324上、及び鼻レリーフ領域434の右側に配置されている。
【0038】
顔面シール104は、筐体102に対する各シール支持部材436の動きを可能にする様式で筐体102にそれぞれ接続された1つ以上のシール支持部材436によって支持される。図示した例では、シール支持部材436は、上部432a、左側部分432b、右側部分432c、左下部分432d及び右下部分432eのそれぞれの顔面シール104に組み込まれた独立した要素である。他の実施態様では、異なる数のシール支持部材436が提供されており、シール支持部材の異なる位置が提供される。例えば、顔面シール104は、上部432aの左側に配置された第1のシール支持部材及び上部432aの右側に配置された第2のシール支持部材のように、シール支持部材436のうちの2つを組み込むことができる。
【0039】
顔面シール104は、ユーザ208の顔との係合に応じて圧縮し、係合が終了すると膨張する弾性圧縮性材料から形成される。顔面シール104に使用できる弾性圧縮性材料の例としては、合成ゴム、独立気泡フォーム材、及び連続気泡フォーム材が挙げられる。シール支持部材436は、顔面シール104の弾性圧縮性材料内又はその下に埋め込まれて、顔面シール104の圧縮度を制限する。
【0040】
シール支持部材436は、軸を中心とした回転などの移動によって、筐体102に対するユーザ208の顔の形状に適合する。シール支持部材436の移動により、シール支持部材436とユーザ208との間に一定量の顔面シール104が配置されている。したがって、ユーザ208の顔の形状に適合することにより、様々な顔形状及び頭部形状を有するユーザがヘッドマウントディスプレイ100を快適に使用できる。
【0041】
図5A〜5Cは、顔面シール104の上部432aからのシール支持部材436の1つを示す。具体的には、
図5Aは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、シール支持部材436を第1の角度配向で示しており、
図5Bは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、シール支持部材436を第2の角度配向で示しており、
図5Cは、
図5Aの線C−Cに沿った断面図であり、第1の角度配向でシール支持部材436を示す。
【0042】
シール支持部材436は、顔面シール104の前部540を支持する一次部分537を含む。シール支持部材436の一次部分537は、顔面シール104を支持し、顔面シール104が圧縮され得る反作用面を与える。一次部分537は圧縮性ではなく、剛性又は実質的に剛性である非圧縮性材料から形成されてもよい。一例として、一次部分537はプラスチックから形成することができる。
【0043】
顔面シール104は細長い部材であり、第1の端部542aから第2の端部542bまで延びることができる。上部432aに設置されているように、一次部分537は、筐体102の横方向に細長い。シール支持部材436は、顔面シール104の右部分432cなどの他の位置に設置される場合、顔面シール104のその部分に適合するように配向されており、垂直に細長くてもよい。一次部分537は、顔面シール104の形状に適合するように構成することができ、したがって、例として、直線状又は湾曲状であってもよい。
【0044】
シール支持部材436は、ヒンジアセンブリ538によって筐体102の周辺部分324に接続されている。ヒンジアセンブリ538は、シール支持部材436が移動し、それによってユーザ208に適合することを可能にする。図示された実施例では、ヒンジアセンブリ538は、第1の端部542aと第2の端部542bとの間のシール支持部材436の横方向中心点に、又はその近くに配置されている。その他の場所を利用してもよい。一例として、ヒンジアセンブリ538は、シール支持部材436の第1の端部542a又は第2の端部542bに、又はその付近に配置することができる。
【0045】
図示の例では、ヒンジアセンブリ538は、筐体102に対して概ね上下方向に延びる軸など、単一の軸上での回転を可能にする。これにより、ユーザ208の額の領域内での顔形状の調節が可能となり、シール支持部材436の隣接するものを、より小さい頭部サイズの収容には、互いにより小さい角度で、かつより大きい頭部サイズの収容には、互いにより大きい角度で、角度を付けることによって、異なる頭部幅及び異なる真円度に適応する。顔面シール104の右側部分432cなどの他の位置でのシール支持部材436の設置に関して、ヒンジアセンブリ538は、概ね左右方向に延びる軸に沿って回転できるように配向される。他の配向を利用することもできる。
【0046】
上述のように、ヒンジアセンブリ538は受動構成要素である。代替的な実装形態では、ヒンジアセンブリ538は、シール支持部材436を能動的に調節するため、又は触覚フィードバックを適用するための制御可能なアクチュエータを含んでもよい。
【0047】
顔面シール104の前部540は、シール支持部材436の前面544上に配置されており、シール支持部材436の前面544を覆う。顔面シール104の前部540は、シール支持部材436の前面544に隣接して配置されてもよいが、シール支持部材436に取り付けられなくてもよい。代替的に、顔面シール104の前部540は、接着剤又は機械的ファスナーなどによって、シール支持部材436の前面544に接続されてもよい。
【0048】
顔面シール104はまた、顔面シール104の前部540から筐体102まで延びる接続部546を含んでもよい。接続部546は、筐体102の周辺部分324と係合及び/又は接続され得る。接続部546は、周囲光がアイチャンバー326に入射するのを阻止するように機能し、光の透過を阻止するために不透明材料から形成することができる。接続部546は、顔面シール104の外周(すなわち、筐体102の外側表面に隣接して)及び顔面シール104の内周(すなわち、アイチャンバー326に隣接して)の両方に形成されてもよい。
【0049】
接続部546は、シール支持部材436の移動中に圧縮及び膨張を可能にするために、可撓性材料から形成されてもよい。一実施形態では、接続部546は、顔面シール104の前部540と同じ材料から形成されており、これらの部分は一体構造として形成されてもよい。別の実装形態では、接続部546は、顔面シール104の前部540に使用される材料よりも可撓性かつ/又はより圧縮性が高い可撓性材料から形成される。別の実施態様では、接続部546は、合成ゴム材料から形成されており、蛇腹構成を含んでもよい。
【0050】
図5Cで最も良く分かるように、ヒンジアセンブリ538は、シール支持部材436の背面から外向きに延びる第1のヒンジ部548と、筐体102の周辺部分324から外向きに延びる第2のヒンジ部550とを含む。図示した第1のヒンジ部548及び第2のヒンジ部550の例は、シール支持部材436の回転軸に沿って第1のヒンジ部548及び第2のヒンジ部550内の開口部を通って延びるピン552によって接続された重なり合う構造体(例えば、交互のプレート)である。ピン552は、第1のヒンジ部548及び第2のヒンジ部550とは別個に形成することができ、又は、第1のヒンジ部548又は第2のヒンジ部550のうちの1つの上に位置する一体的に形成された突出部であってもよい。他の実施態様では、ヒンジアセンブリ538は、リンク機構(例えば、4バー連結)などの他の既知の設計を利用することができる。
【0051】
ヒンジアセンブリ538は、ヒンジアセンブリを回転方向、又は中心位置に向かって付勢する構造体を組み込むことができる。好適な付勢構造体の例としては、シール支持部材436と筐体102の周辺部分324との間に配置されているばね及び圧縮性部材(例えば、ゴム又は発泡体)が含まれる。
【0052】
いくつかの実施態様では、センサ554は、顔面シール104に組み込まれ得る。センサ554はシール支持部材436の前面544上又はそれに隣接して配置されており、こうしてユーザ208の皮膚とセンサ554との間に一定の距離が保たれ、ユーザに関する情報を正確に感知することができる。一例として、センサ554は皮膚温度を測定することができる。別の例として、センサ554は、心拍数を測定することができる。他の特性を測定する他の種類のセンサを含めることができる。
【0053】
図6A〜
図6Cは、代替的な実装によるヒンジアセンブリ638によって支持されるシール支持部材436を示す。具体的には、
図6Aは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、第1の角度配向でシール支持部材436及びヒンジアセンブリ638を示し、
図6Bは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、第2の角度配向でシール支持部材436及びヒンジアセンブリ638を示し、
図6Cは、
図6Aの線D−Dに沿った断面図であり、第1の角度配向でシール支持部材436及びヒンジアセンブリ638を示す。
【0054】
ヒンジアセンブリ638は、リビングヒンジ型接続であり、図示の例では、ヒンジアセンブリ538と同様の直立軸の周りの回転を可能にする。ヒンジアセンブリ638は、ヒンジ部材648を含み、ヒンジ部材488はシール支持部材436と同じ材料で形成されてもよく、かつ/又はシール支持部材436と一体に形成され得る。あるいは、ヒンジ部材648は、シール支持部材436とは異なるより柔軟な材料から別個に形成されてもよい。図示の例では、直立溝649は、ヒンジ部材648の側面上に形成されて、所望の角度範囲にわたって横方向への曲げを強化する。
【0055】
図7A〜
図7Cは、代替的な実装によるヒンジアセンブリ738によって支持されたシール支持部材436を示す。具体的には、
図7Aは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、第1の角度配向でシール支持部材436及びヒンジアセンブリ738を示し、
図7Bは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、第2の角度配向でシール支持部材436及びヒンジアセンブリ738を示し、
図7Cは、
図7Aの線E−Eに沿った断面図であり、第1の角度配向でシール支持部材436及びヒンジアセンブリ738を示す。
【0056】
ヒンジアセンブリ738は、3軸回転を可能にするボールソケット型継手を含み、顔面シール104との係合によってシール支持部材436の動作に課される動作範囲の制約を受ける。図示された例では、ボール継手748がシール支持部材436の一次部分537の裏面に接続されており、ソケット継手750は、筐体102の周辺部分324に接続されており、そこから前方に延びる。あるいは、ボール継手748とソケット継手750との位置を逆にすることもできる。
【0057】
図8A〜8Cは、代替的な実施形態による、調整アセンブリ838によって支持されたシール支持部材436を示す。具体的には、
図8Aは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、第1の位置にあるシール支持部材436及び調整アセンブリ838を示し、
図8Bは、
図4の線B−Bに沿った断面図であり、第2の位置にあるシール支持部材436及び調整アセンブリ838を示し、
図8Cは、
図8Aの線F−Fに沿った断面図であり、第1の位置にあるシール支持部材436及び調整アセンブリ838を示す。
【0058】
調整アセンブリ838は、シール支持部材436に接続された第1の部分848と、筐体102の周辺部分324に接続された第2の部分850とを含む。第1の部分848は、ロッドなどの細長い部材であってもよい。第2の部分850は、第2の部分850に対する第1の部分848の軸方向の運動を可能にするように、第1の部分848に接続されている。第2の部分850は、第1の部分848が第2の部分850内に受容される開口部などのレセプタクルであってもよい。
【0059】
ユーザ208の顔形状に適合させるため、及び/又はユーザ208の頭部上のヘッドマウントディスプレイ100の装着を調整するために、第1の部分848を第2の部分850の内外へ移動させることにより、シール支持部材436と筐体102の周辺部分324との間の距離を変化させる。図示の例と同様に、調整アセンブリ838は、第1の位置(
図8A)と第2の位置(
図8B)との間で直線的に(すなわち、並進によって)移動することを可能にし得る。第1の位置は、筐体102の周辺部分324からのシール支持部材436の最大距離を表すことができ、第2の位置は、筐体102の周囲部分324からのシール支持部材436の最小距離を表すことができる。
【0060】
調整アセンブリ838は、受動調整構成要素及び能動調整構成要素のいずれか又は両方を含んでもよい。受動調整機構の一例は、第2の部分850に配置されており、第1の部分848を外側に付勢し、ユーザ208との係合に応じてシール支持部材436の内側への動きを可能にするバネである。能動調整機構の一例は、電気機械的リニアアクチュエータ(例えば、親ねじ)である。能動調整構成要素を含む調整アセンブリ838の実装では、シール支持部材436の適合の調節は、電子構成要素322などのコンピューティングデバイスによって制御することができ、センサ554及び/又は温度センサ若しくは圧力センサなどの他のセンサからの入力を使用して行うことができる。いくつかの実施態様では、能動調整構成要素はまた、例えば、圧力又は振動の形で触覚フィードバックをユーザ208に提供するために使用されてもよく、触覚フィードバックは、表示デバイス320に表示されるコンテンツに関連する。いくつかの実施態様では、調整アセンブリ838の能動的構成要素は、眼の緩和調整を提供するために利用される。
【0061】
一部の実施態様では、調整アセンブリ838は、ヒンジアセンブリ538、ヒンジアセンブリ638、ヒンジアセンブリ738、又は制御信号に応答して回転配向を調節するように動作可能なモータを利用したアクティブ回転調節機構などの回転調節機構と組み合わせて使用される。
【0062】
上記の実施態様は、アイチャンバー326からの光を低減又は排除するように構成された顔面シール104を含む。代替的な実施態様では、シール支持部材436は、顔面シール104の下に配置されず、光はアイチャンバー326から排除されない。その代わりに、シール支持部材436は、エアギャップによって筐体102から離間されてもよく、発泡体又はゴム部材等の緩衝パッドをシール支持部材436の前面544に配置することができる。
【0063】
図9は、ヘッドマウントディスプレイ100の電子構成要素322のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示された例では、電子構成要素322は、プロセッサ902、メモリ904、記憶装置906、入力デバイス908、出力デバイス910、外部デバイスインターフェース912、動き追跡システム914、センサ916、カメラ918、及びバッテリ920を含む。
【0064】
プロセッサ902は、コンピュータプログラム命令を実行し、かつコンピュータプログラム命令によって記述された動作を実行するように動作可能である。一例として、プロセッサ902は、中央処理装置などの従来のデバイスであってもよい。メモリ904は、ランダムアクセスメモリモジュールなどの揮発性の高速短期情報記憶装置であってもよい。記憶装置906は、ハードドライブ又はソリッドステートドライブなどの不揮発性情報記憶装置であってもよい。入力デバイス908は、ボタン、スイッチ、キーボード、マウス、タッチスクリーン入力デバイス、ジェスチャ入力デバイス、又はオーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン)などの任意の種類のヒューマン・マシンインタフェースを含むことができる。出力デバイス910は、表示デバイス320又はオーディオ出力デバイス(例えば、スピーカ)などの動作状態に関する指示をユーザに提供するように動作可能な任意のタイプのデバイスを含んでもよい。
【0065】
外部デバイスインターフェース912は、任意のタイプのプロトコルを用いる有線又は無線インターフェースである。一例として、外部デバイスインターフェース912は、表示デバイス320を使用して表示されるコンテンツをレンダリングすることなどによって、表示デバイス320により表示されるコンテンツを生成するために利用される外部コンピューティングデバイスへの有線接続を含み得る。別の例として、外部デバイスインターフェース912は、ヘッドマウントディスプレイ100の動作中に、サーバベースのリソースを利用するためにインターネットへの無線接続を可能にすることができる。
【0066】
動き追跡システム914は、ヘッドマウントディスプレイ100の3軸回転及び加速度を検出し、この情報をプロセッサ902又は他のシステムへの入力として提供することができる。一例として、動き追跡システム914によって出力される情報を利用して、特定のソフトウェアアプリケーションにおけるビュー追跡を実施することができ、動き追跡システム914によって出力される情報は、表示デバイス320による表示のために出力されるコンテンツの生成中にソフトウェアアプリケーションによって使用され得る。動き追跡システム914は、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を利用して運動を説明する情報を出力する慣性測定ユニットを含むことができる。動き追跡システムはまた、外部赤外線検出器によって測定できる信号を放射する赤外線検出器などの、構造光ステレオデバイス、深度カメラ、ライダーデバイス、レーダーデバイス、超音波デバイス、外部赤外ソースからの信号を測定する赤外線検出器、外部赤外線検出器によって測定され得る信号を発する赤外線ビーコンなどの他の種類の動き追跡技術を含むことができる。
【0067】
センサ916は、動き追跡システム内のセンサに加えて、様々な種類のセンサである。例としては、生体センサ、温度センサ、光センサ、及び力センサが挙げられる。単一のカメラ又は複数のカメラを含むことができるカメラ918は、ヘッドマウントディスプレイ100の周囲環境の映像をキャプチャするために含まれてもよく、又は環境内の特徴或いはユーザの特徴を感知するために用いることができる。一例として、カメラ918は、アイチャンバ326内に組み込まれ、アイトラッキングに使用され得る。
【0068】
バッテリ920は、電子コンポ−ネント322を含むヘッドマウントディスプレイ100の様々な構成要素に電力を供給する。一例として、バッテリ920は、任意の好適なタイプの充電式電池であってもよい。
【0069】
上述のように、本技術の一態様は、ヘッドマウントデバイスの顔面シールの適合性を改善するために、様々なソースから入手可能なデータを収集及び使用することである。本開示は、いくつかの例において、この収集されたデータは、特定の人物を一意に特定する個人情報データ、又は特定の人物に連絡する若しくはその所在を突き止めるために使用できる個人情報データを含み得ることを想到している。そのような個人情報データとしては、人口統計データ、ロケーションベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、ツイッター(登録商標)ID、自宅の住所、ユーザの健康又はフィットネスのレベル(例えば、バイタルサイン測定値、服薬情報、運動情報)に関するデータ若しくは記録、誕生日、又は任意のその他の識別情報若しくは個人情報を挙げることができる。
【0070】
本開示は、本技術におけるそのような個人情報データの使用がユーザの利益になる使用であり得る点を認識するものである。例えば、個人情報データを使用して、記憶されたユーザプロファイルに基づいて顔面シールの位置及び輪郭を調整することができる。更には、ユーザに利益をもたらす、個人情報データに関する他の使用もまた、本開示によって想到される。例えば、健康データ及びフィットネスデータは、ユーザの全般的なウェルネスについての洞察を提供するために使用することができ、或いは、ウェルネスの目標を追求するための技術を使用している個人への、積極的なフィードバックとして使用することもできる。
【0071】
本開示は、そのような個人情報データの収集、分析、開示、転送、記憶、又は他の使用に関与するエンティティが、確固たるプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行を遵守するものとなることを想到する。具体的には、そのようなエンティティは、個人情報データを秘密として厳重に保守するための、業界又は政府の要件を満たしているか又は上回るものとして一般に認識されている、プライバシーのポリシー及び慣行を実施し、一貫して使用するべきである。そのようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能とするべきであり、データの収集及び/又は使用が変化するにつれて更新されるべきである。ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的かつ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いては、共有又は販売されるべきではない。更には、そのような収集/共有は、ユーザに告知して同意を得た後に実施されるべきである。更には、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護して安全化し、その個人情報データへのアクセスを有する他者が、それらのプライバシーポリシー及び手順を遵守することを保証するための、あらゆる必要な措置を講じることを考慮するべきである。更には、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーのポリシー及び慣行に対する自身の遵守を証明するために、第三者による評価を自らが受けることができる。更には、ポリシー及び慣行は、収集及び/又はアクセスされる具体的な個人情報データのタイプに適合されるべきであり、また、管轄権固有の考慮事項を含めた、適用可能な法令及び規格に適合されるべきである。例えば、米国では、特定の健康データの収集又はアクセスは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act、HIPAA)などの、連邦法及び/又は州法によって管理することができ、その一方で、他国における健康データは、他の規制及びポリシーの対象となり得るものであり、それに従って対処されるべきである。それゆえ、各国の異なる個人データのタイプに関して、異なるプライバシー慣行が保たれるべきである。
【0072】
前述のことがらにも関わらず、本開示はまた、個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを、ユーザが選択的に阻止する実施形態も想到する。すなわち、本開示は、そのような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するように、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素を提供することができると想到する。例えば、ヘッドマウントデバイス調整の場合に、本技術は、ユーザが、サービスの登録中又はその後のいつでも、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択できるように構成され得る。「オプトイン」及び「オプトアウト」の選択肢を提供することに加えて、本開示は、個人情報のアクセス又は使用に関する通知を提供することを想到する。例えば、ユーザの個人情報データにアクセスすることとなるアプリのダウンロード時にユーザに通知され、その後、個人情報データがアプリによってアクセスされる直前に再びユーザに注意してもよい。
【0073】
更には、本開示の意図は、個人情報データを、非意図的若しくは非認可アクセス又は使用の危険性を最小限に抑える方法で、管理及び処理するべきであるという点である。データの収集を制限し、データがもはや必要とされなくなった時点で削除することによって、危険性を最小限に抑えることができる。更には、適用可能な場合、特定の健康関連アプリケーションにおいて、ユーザのプライバシーを保護するために、データの非特定化を使用することができる。非特定化は、適切な場合には、特定の識別子(例えば、生年月日など)を除去すること、記憶されたデータの量又は特異性を制御すること(例えば、位置データを住所レベルよりも都市レベルで収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、データをユーザ全体にわたって集約すること)及び/又は他の方法によって、容易にすることができる。
【0074】
それゆえ、本開示は、1つ以上の様々な開示された実施形態を実施するための、個人情報データの使用を広範に網羅するものではあるが、本開示はまた、そのような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに、それらの様々な実施形態を実施することもまた可能であることを想到している。すなわち、本技術の様々な実施形態は、そのような個人情報データの全て又は一部分が欠如することにより、実施不可能となるものではない。例えば、ヘッドマウントデバイスの顔面シールは、保存されていない同時に取得した情報を使用して調整することができる。