【実施例】
【0030】
実験
以下の実施例は、本発明の改善されたプロセスを用いて10Lスケールで精製したS.
pneumoniae多糖血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、
19A、および19Fについての結果を提示し、結果を現行の精製プロセスの結果と比較
する。
【0031】
(実施例1)
S.pneumoniae多糖血清型1、4、5、6A、6B、7F、14、および1
9Aのための短縮された精製プロセス
デオキシコール酸ナトリウム(DOC)により溶解したS.pneumoniae発酵
ブロスを、それらの採取後2日間以内に得るか、4℃で保存して翌週のうちに処理した。
以下に記載されるように、本発明の精製プロセスは、現行の精製プロセスと比較して以下
の変更を含んでいた:1)酸性化ステップを、冒頭から最初の限外濾過/ダイアフィルト
レーション(UF/DF)ステップ後に移動し、pHを、5ではなく3.5に調節した;
2)ダイアフィルトレーション緩衝液を、0.025Mリン酸塩から脱イオン(DI)水
に変更し;3)炭素吸着を、ウッドベースのリン酸活性炭を用いる2 CUNO R32
SPカーボンディスク(CUNO Inc.,Wayne,NJ)に変更し、吸着時間を
4ターンオーバーから12ターンオーバーへ延長した(各ターンオーバーは22分間であ
った)、4)約5回ダイアフィルトレーションする場合、最後の30Kダイアフィルトレ
ーションステップの間、pHを7.4に調節した。同じ精製手順を、血清型1、4、5、
6A、6B、または7Fに適用した。血清型19Aについては、ステップをさらに修正し
、精製は、以下に記載されるように冷気室中で実施した。
【0032】
精製ステップ
プロセスを冷気室中で4℃にて実施した型19Aを除き、すべてのステップは室温で実
施した。
【0033】
溶解物の清澄化:このステップの目的は、細胞片を除去し、ブロスを清澄化することで
あった。これは、遠心分離か、濾過によって達成された。ブロスを、10,000gで3
0分間またはブロスが清澄になるまで20℃(型19Aについては4℃)で遠心分離する
か、Celpure(登録商標)濾過助剤(Advanced Minerals,Sa
nta Barbara,CA)を添加してMillipore Prefilter(
Millipore Corp.,Billerica,MA)を用いて濾過した。清澄
化された溶解物をさらなる処理のために収集し、ペレットを廃棄した。
【0034】
第1のUF/DF(限外濾過/ダイアフィルトレーション):このステップにより、容
積減少および緩衝液交換が提供され、また低分子量不純物が除去された。清澄化された溶
解物を、元の容積の約1/8に濃縮した。ダイアフィルトレーションは、約10容量のD
I水(19Aについては、pH6、25mMリン酸塩)を用いて実行した。
【0035】
酸性化:98%より多くのタンパク質がこのステップにおいて除去された。撹拌してい
る間、濃縮リン酸を保持物質に慎重に添加した。保持物質のpHを、pH3.5の目標値
に調節した。酸性化された保持物質を30分間撹拌し、熟成のために室温で一晩(19A
については4℃で2時間)熟成させ、タンパク質および核酸の沈降という結果になった。
【0036】
酸性化された保持物質の清澄化:これは、酸性化後に沈澱物を除去する清澄化ステップ
であった。酸性化された溶液のスラリーを、ローター中で10,000rpmで(17,
000相対遠心力またはRCF)20℃で1時間遠心分離した(6Bを除く。この場合、
遠心分離は、37℃で6時間であった)。上清を収集し、ペレットを廃棄した。Celp
ure(登録商標)濾過助剤(Advanced Minerals,Santa Ba
rbara,CA)を添加したMillipore Prefilter(Millip
ore Corp.,Billerica,MA)によるデプスフィルトレーションもこ
のステップ用に用いることができる。
【0037】
炭素吸着:ほとんどの場合、酸性化された100K保持物質の遠心分離後にわずかな黄
色が見られた。色の除去は、ウッドベースのリン酸−活性炭を用いた炭素吸着により達成
された。このステップにより、酸性化後に残る残留タンパク質も除去された。清澄化され
た多糖溶液を、炭素フィルタを通して5〜6時間または一晩再循環した(19Aについて
は、pHは、炭素吸着前に6に調節した)。
【0038】
最終30K UF/DF:これは、溶液を>2g/Lの最終多糖(PS)濃度に濃縮す
るための別の濃縮および緩衝液交換ステップであり、これを脱イオン(DI)水へダイア
フィルトレーションした。炭素濾過したPS溶液を濃縮した。次に、濃縮物を、DI水で
10×ダイアフィルトレーションした。pHは、ダイアフィルトレーションの間、7.4
に調節した。
【0039】
最終0.2μm無菌濾過:最終PS溶液は、0.22μmフィルタまたは無菌使い捨て
フィルタユニットにより無菌濾過し、4℃冷蔵庫中で保存した。
【0040】
分析方法
タンパク質、PS、および核酸濃度の定量は、SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリ
ウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)分析、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)
およびSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、修正ローリーアッセイ、分光光度法、
SEC−MALLS(サイズ排除クロマトグラフィー/多角度レーザー光散乱)、ならび
にNMR(核磁気共鳴)を含む、当該技術分野においてよく知られた方法を用いて実行し
た。
【0041】
結果および考察
型5短縮精製バッチ:型5についての、短縮されたプロセスを用いた3つの精製バッチ
の最終PS収率、PS分子量および主要不純物レベルと現行のプロセスを用いたそれらと
の比較が表1に示してある。すべての開始ブロスは、DOC溶解高細胞密度発酵バッチで
あり、これらの多糖濃度(約0.5g/L)は、標準SOP発酵ブロスの多糖濃度(約0
.3g/L)よりも高かった。30Kまたは50K膜を、第1のUF/DFステップに用
いた。不純物レベルは、不純物/PS比率を用いて計算した。同じアプローチを、本明細
書中に記載されるすべての他の血清型について用いた。
【0042】
【表1】
表1のデータが示すように、短縮精製プロセスを用いる3つのバッチ全てのタンパク質
比率は、≦7.5%の規格を満たし、また、現行プロセスのタンパク質比率に匹敵した。
核酸(NA)ならびにC−多糖(C−PS)比率も、それぞれ≦2.0%および≦35%
の規格を十分下回るものであり、現行プロセスのそれらの比率に匹敵した。表1に示され
る3つのバッチの最終PS収率および不純物レベルの結果は、短縮プロセスの再現性およ
び堅牢性を実証している。
【0043】
多糖が3.5のより低いpHにおいて加水分解され得るかどうかについて若干の懸念が
あった。従って、精製プロセス時のPS保持時間変化を監視し、最終精製PSの分子量を
測定した。HPLCクロマトグラムからは、血清型5PS保持時間の著しい変化は全く観
察されなかった。短縮プロセスによる精製PSの分子量および現行プロセスによる精製P
Sの分子量(284kg/mol)にも、MALLS測定に基づき、著しい違いは全くな
かった。従って、精製PSの分子量は、短縮精製プロセスにより悪影響を受けなかったと
結論づけられた。
【0044】
3つの短縮プロセスバッチについて処理ステップの各々におけるインプロセス多糖収率
、タンパク質/多糖比率および核酸/多糖比率が表2にまとめてある。
【0045】
【表2】
どのような精製プロセスの各ステップの間にも、生成物の損失が常にある。これらの3
つの短縮プロセスバッチについて、PS損失はほとんど、第1のUF/DFステップおよ
び酸性化ステップにおいて生じた。第1のUF/DFステップにおけるPSの損失は、膜
表面へのPSまたはPS−タンパク質複合体の吸着に起因するものであった。この損失は
、ダイアフィルトレーション後にDI水で膜の保持物質側をすすぎ、そのすすぎ液を元の
保持物質と合わせることにより最小限になった。酸性化ステップにおけるPSの損失は、
2つの理由に起因している可能性がある。すなわち、沈降固体へのPSの物理的吸着、お
よび酸性化時の共沈に伴うタンパク質への多糖結合である。この第2の可能性をさらに調
べたところ、結果はPS/タンパク質結合の証拠を示した。
【0046】
図1は、各精製ステップにおけるタンパク質/PS比率の減少を示す。遠心分離ステッ
プによりタンパク質がわずかに除去されたが、大部分のタンパク質は、酸性化ステップで
除去された。タンパク質力価が最も高いバッチについてさえ、pH3.5処置後には、痕
跡量のタンパク質しか検出されなかった。
【0047】
タンパク質/PS比率と同様、核酸/PS比率は、バッチ間の不純物レベルのばらつき
を示した。30/50KUF/DFステップは、同じ処理ステップにおけるタンパク質除
去と比較して、著しい量の核酸を除去した。理論によって拘束されていないが、これは、
核酸の分子サイズがタンパク質のサイズよりも小さく、それによって核酸が30/50K
UF/DFステップを介して比較的容易に除去されることに起因していたのかもしれない
。第1の遠心分離および酸性化ステップも、かなりの量の核酸を除去した。
【0048】
表2は、活性炭吸着ステップもタンパク質/PSおよびNA/PSレベルを低減するこ
とを示している。百分率減少は、最初の2つのステップほど著しくはなかったが、このス
テップは、溶液の色を除去するために重要であり、不純物レベルが規格を満たすことを確
実にした。
【0049】
型4短縮精製バッチ:型4についての3つの短縮精製バッチの概略が表3に示してある
。3つのバッチすべてについての供給ブロスは、DOC−溶解した。
【0050】
【表3】
型4PS収率も50〜60%の間であった。タンパク質/PS比率および核酸/PS比
率は、十分それらの規格内であった。C−PS比率はまた、十分規格内であった。3つの
バッチすべての分子量は、約300kg/モル近辺であった。同様な発酵ブロスを用いる
現行の精製プロセスによって精製された血清型4PSも、より低い分子量285kg/モ
ルをもたらした。発酵ブロスおよび最終精製溶液からのPSのHPLCクロマトグラフの
比較により、PS保持時間に差が全くないことが示された。このことは、分子量の差は、
プロセス変更によって引き起こされたのではなく、むしろ発酵プロセスの固有の性質に起
因することを示唆した。
【0051】
型4PSは、精製された分子中にピルベート基を含んでおり、このピルベートは、肺炎
球菌結合体ワクチンにおいて使用するための結合に重要であった。ピルベート量が酸処理
により悪影響を受けないことを保証するため、NMR分析を実施した。
図2は、標準の型
4PSおよびバッチL29276−47から型4PSについてのNMRスペクトルを示す
。2つのスペクトルの間に著しい違いは全く観察されなかった。両方のスペクトルにおい
て右から2番目のピークはピルベートであり、ピルベート基ピーク高さは、両方のスペク
トルにおいて同等であった。3つの短縮されたプロセスバッチすべてについてのピルベー
ト比率は、0.8モル/モルであり、>0.7モル/モルの規格を満たした。
【0052】
3つの型4バッチについてのインプロセスPS収率、タンパク質/PSおよびNA/P
S比率の概要が表4に示してある。PS損失はほとんど、第1の遠心分離、酸性化および
活性炭吸着ステップで生じ、それぞれ平均が10%、8%および20%であった。全体の
PS収率は、型5のPS収率、約55%に近かった。
【0053】
【表4】
図3は、表4の3つのバッチについての精製ステップの各々における平均PS収率、タ
ンパク質/PSおよびNA/PS比率変化を示す。タンパク質除去は、予想されるように
大部分が酸性化ステップにおいて生じた。第1の遠心分離およびUF/DFステップも、
ある一定量のタンパク質を集合的に除去したが、タンパク質減少は、酸性化ステップより
も少なかった。
【0054】
型5と同様に、大部分の核酸/PS比率減少は、50/100K UF/DF、第1の
遠心分離、および酸性化ステップにおいて生じ、第1のUF/DFステップにおけるNA
減少は、タンパク質の減少よりも著しかった。また、
図3に示されるように、活性炭ステ
ップは、ある一定量のタンパク質およびNAを除去し、不純物レベルを規格以下にした。
活性炭ステップは、溶液の色も除去した。
【0055】
型19A短縮精製バッチ:型19A多糖は不安定であり、分子量は精製の間に変化する
。短縮された精製プロセスは、19A多糖を安定化するために若干修正された。これらの
修正は以下の通り要約される:1)精製ステップは、大部分を冷気室中で4℃にて実施し
;2)第1の100Kダイアフィルトレーションを、室温水を用いる代わりにpH6の2
5mMリン酸塩緩衝液(4℃)を用いて冷却し;3)酸性化保持時間を、一晩から2時間
に低減し;4)酸性化された100K保持物質を清澄化した後、pHを6に調節し、活性
炭吸着をpH3.5ではなくpH6で実施した。
【0056】
短縮された精製プロセスによって精製された2つの19Aバッチの結果が、表5に示し
てある。
【0057】
【表5】
2つの短縮された精製バッチのPS収率は、それぞれ62および76%であった。最終
タンパク質/PS比率、核酸比率、およびC−PS比率はすべて、それらのそれぞれの規
格を満たした。2つのバッチからの多糖の最終の分子量は、それぞれ525kg/モルお
よび488kg/モルであり、フェーズIII臨床試験において用いられる19AのPS
の分子量(486kg/モル)に近かった。
【0058】
2つのバッチについてのタンパク質/PS比率は両方とも<2%の規格を満たした。2
つのバッチのNAおよびC−PS比率は両方とも、十分それらの規格内であった。
【0059】
精製ステップの各々におけるPS収率、タンパク質およびNA減少が、表6および
図4
に示してある。結果は、第1の遠心分離ステップを除き、精製ステップの各々におけるP
S損失を示した。血清型5および4のように、タンパク質およびNA除去は、ほとんど最
初の3つのステップにおいて起こり、酸性化後には、どのような検出可能なタンパク質お
よびNAもほとんど残っていなかった。ことによると酸性化後の非常に低いタンパク質お
よびNA濃度のため、活性炭吸着ステップは著しい量のタンパク質およびNAを除去しな
かったが、このステップは、色除去のために依然として必要とされた。
【0060】
【表6】
型7F短縮精製バッチ:型7Fは、非イオン多糖であり、上記の血清型と比較して、現
行のプロセスを用いた精製の間に段階的変化を一般に必要とする。しかしながら、本発明
の短縮された精製プロセスは、プロセス変更を必要することなく血清型7Fにうまく適用
された。型7Fブロスの2つのバッチは、短縮されたプロセスを用いて精製された。1つ
は標準発酵ブロス(L29276−107)であり、1つは高細胞密度ブロス(L292
76−157)であった。2つのバッチの結果の概要が表7に示してある。
【0061】
【表7】
型7FのPS収率は実際には、ことによると帯電したタンパク質分子への非イオンポリ
マーの結合がより少ないため、他の血清型よりも高かった。最終タンパク質、NAおよび
C−PS比率はすべて、十分それらの規格内であった。型7Fの分子量は、標準バッチの
分子量と同等であり、たとえ7F分子量が相当高かったとしても、非イオンポリマーの排
除体積がより少ないため、PS溶液はあまり粘性を帯びていなかった。
【0062】
精製ステップの各々における型7 FPS収率、タンパク質およびNA比率が表8に示
してあり、2つのバッチの平均が
図5においてプロットしてある。
【0063】
【表8】
各精製ステップにおいていくらかの型7 FPS損失があった。全体的に、PS損失は
、血清型5および4のPS損失より小さかった。タンパク質およびNA比率減少は大部分
が、第1の遠心分離、100K UF/DF、および酸性化ステップによるものであった
。他の血清型と同様、100K UF/DFは、NAの除去においてタンパク質よりも効
率的であった。活性炭吸着ステップは、酸性化後の非常に低い不純物レベルのため、著し
い量のタンパク質およびNAを除去しなかったが、このステップは色除去のために依然と
して必要であった。
【0064】
型6B短縮精製バッチ:6Bの2つのバッチを、短縮精製プロセスを用いて精製した。
酸性化した100K保持物質の清澄化が、他の血清型よりも長い時間(1時間の代わりに
6時間)を必要とすることが判明した。この差を除いて、精製プロセスは、血清型のそれ
と同様であった。2つのバッチの結果の概要が表9に示してある。
【0065】
【表9】
すべての不純物レベル(タンパク質、NA、およびC−PS)は、十分それらの規格内
であった。PS収率は比較的高く、他の血清型と比較して、タンパク質およびNA比率も
同じであった。
【0066】
精製ステップの各々におけるインプロセスPS収率、タンパク質およびNA比率が、表
10および
図6に示してある。
【0067】
【表10】
19Aと同様、PS損失は、PSの若干の増加があった第1の遠心分離ステップを除き
、精製ステップの各々において生じた。タンパク質およびNAの除去は大部分、第1の遠
心分離、第1の100K UF/DFおよび酸性化ステップにより達成された。しかしな
がら、活性炭吸着ステップにおいてタンパク質およびNA比率のいくらかの減少があった
。
【0068】
型6A短縮精製バッチ:型6Aの2つのバッチを、短縮精製プロセスを用いて精製した
。最終溶液のPS収率、不純物レベルおよび分子量の概要が表11に示してある。
【0069】
【表11】
2つの6Aバッチの最終PS収率は、両方とも>70%であり、これは、短縮プロセス
を用いて処理した血清型の間で最も高かった。タンパク質、NA、およびC−PS比率は
すべて、規格内であった。
【0070】
表12および
図7は、精製ステップの各々におけるインプロセスPS収率、タンパク質
およびNA比率変化を示す。第1の遠心分離および100K UF/DFステップにおい
てPSのどのような損失もほとんどなかった。約10−15%PS損失が、酸性化および
活性炭吸着ステップにおいて生じ、これは他の血清型のPS損失と近かった。大部分のタ
ンパク質およびNA比率減少は、第1の遠心分離、100K UF/DF、および酸性化
によるものであった。酸性化後、タンパク質およびNA比率は両方とも、すでにそれらの
規格より下にあった。タンパク質については、酸性化が最も効率的なステップであったの
に対し、NAについては、100K UF/DFが大部分のNA/PS比率を低減した。
活性炭吸着ステップは、酸性化後の非常に低い不純物レベルのため、著しい量のタンパク
質およびNAを除去しなかったが、このステップは色除去のために依然として必要であっ
た。
【0071】
【表12】
型1短縮精製バッチ:短縮プロセスによって精製された型1の2つのバッチの概要が表
13に示してある。バッチL29276−170は、高細胞密度発酵ブロスから精製し、
L29276−173は、標準発酵ブロスから精製した。
【0072】
【表13】
両方のバッチのPS収率は約50%であり、タンパク質、NAおよびC−PSについて
の不純物レベルはすべて、それらの規格内にあった。
【0073】
精製ステップの各々の後におけるインプロセスPS収率、タンパク質およびNA比率が
、表14および
図8に示してある。傾向は、精製された他の血清型と同様であった。PS
損失は大部分、酸性化および活性炭吸着ステップにおいて生じ、大部分のタンパク質およ
びNA除去は、最初の3つのステップにおいて生じた。タンパク質よりも多くのNAが1
00K UF/DFステップにおいて除去された。活性炭吸着ステップは、酸性化後の非
常に低い不純物レベルのため、著しい量のタンパクおよびNAを除去しなかったが、この
ステップは、色除去のために依然として必要であった。
【0074】
【表14】
型14短縮精製バッチ:血清型14の2つバッチを、プロセス変更なしで、短縮精製プ
ロセスを用いて精製した。最終PS収率および不純物レベルの概要が表15に示してある
。
【0075】
【表15】
血清型7Fと同様、血清型14は非イオン多糖であり、その現行の精製プロセスは、他
の血清型と若干異なる。しかしながら、本発明の短縮精製プロセスは、そのような付加的
ステップの必要なしで、血清型14にうまく適用された。2つの短縮精製プロセスバッチ
のPS収率は、50〜60%であり、タンパク質およびNA比率は、それらの規格内にあ
った。精製されたPSの分子量も、規格を満たした。
【0076】
インプロセスPS収率、タンパク質およびNA比率の概要が、表16および
図9に示し
てある。上述の他の試験された血清型についてと同様なPS損失、タンパク質およびNA
除去の傾向が観察された。
【0077】
【表16】
(実施例2)
種々の血清型の比較(血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、1
9A、および19F)
本発明の短縮精製プロセスを用いた種々の血清型の精製を比較するために、実施例1に
おいて記載されたすべての血清型に加え血清型9V、18C、および19FについてのP
S除去を、
図10の1つのグラフにおいてプロットした。大部分の血清型は、精製ステッ
プの各々においてPS損失についてと同様な傾向をたどった。第1の遠心分離ステップに
おける型6Bおよび酸性化ステップにおける型14について、PS収率の増大があった。
PS百分率損失は、血清型ごとに変化した。型5は、酸性化ステップにおいてほとんどの
PSを失い、型4は、活性炭吸着ステップにおいてほとんどのPSを失ったようであった
。
【0078】
血清型の各々についての各精製ステップについてのタンパク質/PS比率が、
図11に
示してある。この図は、種々の血清型についての初期タンパク質/PS比率に差があった
ことを示しており、型1、4、5、9V、19F、および18Cは、最も高い初期タンパ
ク質/PS比率を有する。たとえタンパク質/PS比率が型1、4、5、9V、19F、
および18Cについて、第1のUF/DFステップの後でさえも他の血清型と比較してず
っと高くても、酸性化ステップは、タンパク質/PS比率を大きく低減し、タンパク質は
このステップ後にあまり残らなかった。
【0079】
図12に示されるように、NA/PS比率も、血清型ごとに変わった。型1および5が
最も高いNA/PS比率を有しており、続いて型18Cおよび4であった。第1の遠心分
離およびUF/DFステップは、これらの血清型について著しい量のNAを除去し、型1
が最も効率的であるように思われた。酸性化ステップ後には、NAはほとんど残っていな
かった。
【0080】
(実施例3)
酸性化および活性炭吸着ステップ効率分析(血清型1、4、5、6A、6B、7F、9
V、14、18C、19A、および19F)
PnC多糖の精製にとり、最も重要かつ除去が困難な不純物はタンパク質である。短縮
プロセスの不純物除去効率をより理解するために、2つの主要な精製ステップである酸性
化および活性炭吸着をタンパク質除去について分析した。酸性化ステップについて、酸性
化の前および後におけるタンパク質濃度(SDS−PAGE)の差を、本発明の短縮精製
プロセスを用いた血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、
および19Fについての酸性化前の初期タンパク質濃度に対してプロットした(
図13)
。
【0081】
酸性化ステップの前および後の溶液体積の比較的小さい変化のため、初期タンパク質濃
度で割ったタンパク質濃度差は、酸性化ステップによるタンパク質除去レートを反映した
。
図13は、初期タンパク質濃度(SDS−PAGEアッセイによる)に対するタンパク
質濃度差の直線的適合度の勾配を示す。非常に良好な直線関係が、タンパク質濃度変化と
初期濃度の間に観察され、R
2は1に近かった。勾配は0.9876であり、これは98
.76%タンパク質除去に相当する(溶液体積変化は無視できるものと想定する)。従っ
て、調べたすべての血清型について、酸性化ステップは非常に効率的であり、平均して酸
性化ステップは、98%より多くのタンパク質を除去した。
【0082】
酸性化ステップと同様、活性炭吸着ステップの効率も、除去された(炭素に吸着された
)タンパク質の量を初期タンパク質負荷に対してプロットすることにより評価した(
図1
4)。R
2(0.9723)は、酸性化ステップの場合ほど高くはなかったが、除去され
たタンパク質と初期タンパク質負荷との間に良好な直線関係が観察された。この直線的適
合度の勾配は、タンパク質除去レートに対応するので、活性炭吸着ステップは、93.8
7%タンパク質除去をもたらした。
【0083】
酸性化および活性炭吸着ステップの分析に基づき、これら2つのステップ後には、約0
.1%のタンパク質しか溶液中に残されなかった。
【0084】
実施例1〜3についての結論
短縮精製プロセスは、S.pneumoniaeの莢膜多糖のための現行の精製プロセ
スに取って代わるために開発された。この短縮精製プロセスは、わずかな変更を行って、
血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19F、および19Aに直
接適用された。プロセスは、DOC−溶解した発酵ブロスを用いて、10Lスケールで実
施した。タンパク質/PS、NA/PSおよびC−PS/PS比率を含む不純物レベルは
すべて、それらの規格を満たした。PS収率は50%より高く、現行の精製プロセスのP
S収率に匹敵した。インプロセスPS収率、タンパク質/PSおよびNA/PS比率は、
種々の血清型の挙動を比較するためにプロットした。血清型1、5、9V、19F、およ
び18Cは、100K UF/DFステップの前および後のタンパク質/PS比率に基づ
いて、精製が最も困難であることが判明した。
【0085】
ステップ分析は、酸性化および活性炭吸着ステップが、それぞれ98%より多くの、お
よび90%より多くのタンパク質を除去した(SDS−PAGEにより測定)ことを示し
た。
【0086】
(実施例4)
多糖生産におけるデオキシコール酸ナトリウムの非動物由来溶解薬による代替
この実施例は、実質的に精製された莢膜Streptococcus pneumon
iae多糖の生産について上述されたプロセス内において、非動物由来溶解薬がデオキシ
コール酸ナトリウム(DOC)の代替物として使用できるかどうかを調べた。上記のよう
に、DOCは、Streptococcus pneumoniaeにおける細胞壁成長
および分割に関与する自己溶解素であるLytAタンパク質を活性化する。LytAタン
パク質は、そのC末端部分にコリン結合ドメインを有し、lytA遺伝子の変異は、DO
Cによる溶解に対し抵抗性のあるLytA変異体を生み出すことが知られている。
【0087】
DOCの機序と同様な機序により細胞溶解を引き起こす化合物を同定するために、ラピ
ッドマイクロタイタープレートアッセイが開発された。Streptococcus p
neumoniae細胞の死滅および多糖の放出においてDOCと同等に効果的な、DO
Cに対するいくつかの非動物由来代替物が同定された。標準条件を用いた処理後、非動物
由来化合物で生産された多糖のサイズおよび純度は、DOCで生産された多糖のサイズお
よび純度と同一であった。
【0088】
方法
細胞溶解:試験される化合物を、0.1〜0.01%(v/v)の最終濃度で発酵ブロ
スに添加し、溶液を、37℃で1時間インキュベートさせた。次に溶液を、2〜8℃で一
晩保存した。翌朝、溶液を遠心分離してすべての細胞片を除去した。細胞を含まないブロ
スをSEC−HPLCにより分析し、放出された多糖の濃度を決定した。溶解は、2〜3
7℃の間の任意の温度で、好ましくは6.0〜7.5のpH範囲で実行できた。洗浄剤の
濃度は一般に、個別の洗浄剤によって0.05〜0.2%の間であった。
【0089】
マイクロタイターアッセイ:種々の洗浄剤または界面活性剤による肺炎球菌のlytA
−依存溶解を試験するために、ラピッドマイクロタイタープレートアッセイが考案された
。S.pneumoniaeの同質遺伝子型株の2つの対をこのアッセイにおいて用いた
;各対の一方がlytA遺伝子の野生型であるのに対し、他方の株は、lytA遺伝子中
に欠失を有していた 従って、もし溶解が活性lytA機能に依存すれば、その洗浄剤は
、変異株を溶解しないであろう。4つの株、すなわちR6X、R6X ΔlytA、D3
9、およびD39 ΔlytAを、HySoy培地中でほぼ対数増殖中期(OD
600約
0.2〜0.8;OD
600=600nmにおける光学密度)まで培養した。次に細胞を
遠心分離し、細胞ペレットをHySoy培地中に再懸濁させた。マイクロタイタープレー
トの各ウェルに、100μLの細胞懸濁液を、10μLの洗浄剤保存液または対照として
の水と共に、添加した。36℃で約15分後、試料のOD
600をSpectramax
(登録商標)分光光度計(Molecular Devices,Sunnyvale,
CA)で測定した。以下の結果は、新たに調製された細胞または凍結および解凍された細
胞について観察された:DOC、ドデシル硫酸ナトリウム、Triton(登録商標)X
−100およびN−ラウリルサルコシンにさらされた野生型細胞はすべて、培地ブランク
と同等のOD値を持っていた。これは溶解が生じていたことを示す。他方で、ΔlytA
細胞は、これらの洗浄剤の存在下では溶解しなかった。これは、これらの洗浄剤が細胞を
溶解するためにLytA機能が必要とされることを示す。
【0090】
比較分析研究に用いられるPSの単離:培養物を、10Lバイオリアクター中のHy−
Soy培地中で成長させた。pHは、NaOHまたはNa
2CO
3を用いて約7.0に制
御した。成長の終わりに(光学密度のさらなる増加がないことによって示されるとおり)
、培養物を0.12%DOCかまたは0.1%NLSで処理した。培養物を、12〜16
時間インキュベートした。細胞死滅の有効性は、処理したブロスの試料をTSA−血液寒
天プレートに塗布することによって確認した。多糖は、(上記のように)清澄化された溶
解物から標準手順を用いて精製した。精製多糖を、物質の純度および正体(identi
ty)を決定するのに適した各種の標準分析手法を用いて検査した。
【0091】
溶解物のPS含有量を、屈折率(RI)検出器に結合されたSEC−HPLCを用いて
決定した。
【0092】
血清型1および6Bを用いた非動物由来溶解薬のスクリーニング
S.pneumoniae血清型1および6Bを、Hy−Soyベースの培地中で別個
に成長させた。培養物を、別個に収集し、試験管中に別個に分配した。DOCに匹敵する
溶解活性についてスクリーニングされる非動物由来化合物をストック溶液として(適切な
溶媒中に)調製し、培養物に添加した。一晩インキュベートした後、試験管を遠心分離し
、各血清型について溶解物のPS含有量をSEC−HPLCにより決定し、DOCと比較
した。
【0093】
lytA変異体を用いた非動物由来溶解薬のスクリーニング
lytA変異を含有する株の同質遺伝子的対を、Hy−Soyベースの培地中で成長さ
せた。細胞を収集し、マイクロタイタープレートのウェル中に分配した。試験化合物を添
加し、培養物をインキュベートした。36℃で15分間の後、各ウェルの光学密度(OD
600)を、SpectraMax(登録商標)プレートリーダー(Molecular
Devices,Sunnyvale,CA)を用いて決定した(表17および18を
参照されたい。これらの表は、代表的化合物についての2つの別個な試験の結果の概要を
示す)。
【0094】
【表17】
【0095】
【表18】
上記のスクリーニング研究に基づき、DOCに取って代わる以下の非動物由来溶解薬が
同定された:デカンスルホン酸、Igepal(登録商標)CA−630(tert−オ
クチルフェノキシポリ(オキシエチレン)エタノール;CAS#:9002−93−1;
Sigma Aldrich,St.Louis,MOより入手可能)、N−ラウリルサ
ルコシンナトリウム(NLS)、ラウリルイミノジプロピオネート、ドデシル硫酸ナトリ
ウム、Triton(登録商標)X−100、ケノデオキシコール酸塩、ヒオデオキシコ
ール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、タウロケノデオキシ
コール酸塩、およびコール酸塩。
【0096】
NLS−溶解PSとDOC−溶解PSとの比較
S.pneumoniae多糖血清型1、4、5、6A、6B、および7Fを、実施例
1および2において上述されたように10Lスケールで、本発明の改善されたプロセスを
用いて精製した。しかしながら、一方のグループではNLS(0.1%)を溶解薬として
用いたのに対し、他方のグループでは、DOC(0.12%)を溶解薬として用いた。
【0097】
PS収率、タンパク質/PS比率、NA/PS比率、およびPS分子量を、上記のよう
に測定した。結果の概要を表19に示す。これらの結果は、本発明の精製方法における溶
解薬としてのNLSの使用が、比較的高いPS収率を、比較的低いタンパク質および核酸
レベルと共にもたらすことを示した。実際、試験した血清型の大多数について、溶解薬と
してのNLSの使用は、DOCの使用と比較して、より高いPS収率をもたらした。
【0098】
【表19】
本明細書中で言及されたすべての刊行物および特許出願は、本発明が属する当業者の水
準を示すものである。すべての刊行物および特許出願は、あたかも各個別の刊行物または
特許出願が、具体的かつ個別的に参照により組み込まれるように、参照により本明細書中
に組み込まれる。
【0099】
上記の発明は、理解を明瞭にする目的のため、例示および実施例によりある程度詳細に
説明されてきたが、一定の変更および修正が、特許請求の範囲内で実施され得ることは明
らかであろう。