(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6872663
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20210510BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/42 F
H01R13/46 301A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-201769(P2020-201769)
(22)【出願日】2020年12月4日
【審査請求日】2020年12月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517292929
【氏名又は名称】株式会社デルタプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】安保 次雄
【審査官】
井上 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−92506(JP,A)
【文献】
特開2010−15863(JP,A)
【文献】
特開2008−130511(JP,A)
【文献】
特開平8−7968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被仮収納部を備えた複数個の接続端子を収納した収納ケースをハウジングに内蔵する電気コネクタであって、
前記収納ケースは、複数の収納溝を並列し、これらの収納溝内に前記接続端子を個々に収納する収納部と、該収納部を覆う板状のカバー部とを有し、
前記各収納溝の先端部に前記接続端子の被仮収納部を仮収納する筒状の仮収納部を備えたことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記仮収納部は、前記収納溝の先端部に前記収納溝の先端部を覆う覆部を設けて形成したことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記接続端子は前方に雌型接続端子の受け用接続部を備えており、前記被仮収納部は前記受け用接続部の先端であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記接続端子は前方に雄型接続端子の挿入端の根元部を備えており、前記被仮収納部は前記根元部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記カバー部は、前記仮収納部の外側の後縁にヒンジ部を介して、前記収納溝に対して開閉自在に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記収納溝は前記収納ケースの両面に設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記収納ケースには、前記接続端子を所定位置に係止するための複数個の係止手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の小型の接続端子を収納ケースを介して装着する電気コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の例えば自動車産業等においては、軽量化を図るために使用される部品の小型化が強く要望されている。例えば、信号配線についても、多数のセンサが使用されるにつれ、その本数も多くなり、配線同士を接続する電気コネクタの小型化が必要となる。
【0003】
この電気コネクタの小型化のためには、電気コネクタ内に装着する接続端子、電線も小型化、細径化しなくてはならない。最近では、接続径が1mm以下の接続端子も使用され始め、使用される電線の径も0.5mm程度のものが使用される。
【0004】
このような電気コネクタの小型化により、従来のハウジング内において、接続端子を係止していたケースランスの形成が困難となり、他の手法で接続端子の抜け出しを防止する電気コネクタが必要となる。
【0005】
特許文献1には、
図1〜
図7に示すように、平板状の収容部26に2個の接続端子21を収容し、この収容部26上に蓋部を被着し、これらをハウジング本体47に挿着するコネクタ構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019−133944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1のコネクタ構造では、ケースランスを使用しておらず、接続端子を並べてからハウジング本体に装着し、ケースランスを使用しないことから小型化が可能である。特許文献1のコネクタ構造はSTP(シールドツイストペア)ケーブル専用であり、一対のケーブルを対象として収容している。
【0008】
しかし、自動車等の配線においては、1個の電気コネクタ内に収容する接続端子の個数は、多数個となることが多く、20個以上となる場合もあり、このような多数個の小型の接続端子を同時に特許文献1のように並べることは難しい。例えば、多数個の接続端子を並列に並べる際には、並べている途中で、先に並べた接続端子が収容部26から飛び出してしまったりして、全ての接続端子を並べ終わるのに時間がかかる。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、カバー部を用いた収納ケースに接続端子を仮収納しながら、多数個の接続端子を同時に容易に並べて配列し、ハウジング内に装着する電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る電気コネクタは、被仮収納部を備えた複数個の接続端子を収納した収納ケースをハウジングに内蔵する電気コネクタであって、前記収納ケースは、複数の収納溝を並列し、これらの収納溝内に前記接続端子を個々に収納する収納部と、該収納部を覆う板状のカバー部とを有し、前記各収納溝の先端部に前記接続端子の被仮収納部を仮収納する筒状の仮収納部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気コネクタによれば、収納ケースの仮収納部に多数個の接続端子をその被仮収納部を用いて個々に仮収納しながら確実に配列して収納し、この収納ケースをハウジングに内装する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】収納ケースの一方のカバー部を開いた状態の斜視図である。
【
図3】電線を接続した状態の雌型接続端子の斜視図である。
【
図4】収納ケースに雌型接続端子を収納する説明図である。
【
図5】雌型接続端子を収納した収納ケースの斜視図である。
【
図6】雌型接続端子を収納しカバー部を閉止した状態の収納ケースの斜視図である。
【
図8】電線を接続した状態の雄型接続端子の斜視図である。
【
図9】収納ケースに雄型接続端子を収納する説明図である。
【
図10】雄型接続端子を収納しカバー部を閉止した状態の収納ケースの斜視図である。
【
図11】相手側電気コネクタとの嵌合状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は電気コネクタのハウジング内に内装する収納ケース1の斜視図であり、一方のカバー部を開いた状態を示し、
図2はこの状態の断面図である。収納ケース1は合成樹脂材により一体に射出成型され、上下両面にそれぞれ接続端子を収納する収納部2と、接続端子を収納した収納部2を覆う板体状のカバー部3a、3bとから成り、カバー部3a、3bは収納部2の上下両面にそれぞれ薄肉のヒンジ部3cを介して取り付けられている。
図1、
図2においては、上部のカバー部3aは開放した状態、下部のカバー部3bは閉止した状態を示している。この収納ケース1は、例えば高さ5.6mm、幅9.75mm、長さ20.8mmとされている。
【0014】
収納部2は厚さ0.8mmの底板2aにより上下に仕切られ、底板2aの上下両面上の両側部には、高さ1.9mm、側板2bが壁状に設けられている。また、側板2bの間には側板2bよりも高さの低い複数個の厚さ0.25mmの仕切板2cが側板2bと平行に配列されている。雌型接続端子の収納部2への収納数を例えば片面8個とすれば、仕切板2cの数は片面で7個、両面で14個となる。これらの仕切板2c間は幅0.9mmの収納溝2dとされ、片面に8個ずつの収納溝2dが並列され接続端子が収納される。
【0015】
上下の接続端子は、空間の占有率の関係で、左右に半個ずつずれて収納されるので、収納溝2dは上下面で左右にずれた位置に設けられている。また、各収納溝2d内の中央部の底板2a上には、接続端子に設けられた係止孔に嵌合する高さ0.2mm、幅0.3mmの係止突起2eが設けられている。
【0016】
収納部2の前部に設けられた前面板2fには、相手側の雄型接続端子を前方から挿入するために、高さ1.6mm、幅0.85mmの孔部2gが、上下8個ずつ収納溝2dに対応して、左右にずれて計16個が開口されている。
【0017】
収納部2の前端の前面板2fとヒンジ部3cとの間は覆部である覆板2hにより覆われ、覆板2hは前面板2fから2.7mmの長さを持ち、厚さ1.45mmの板体により形成されている。各収納溝2dの前端には、底板2a、仕切板2c、前面板2f、覆板2hに囲まれた筒状の仮収納部2iが形成され、接続端子の収納ケース1内への装着時に、接続端子の被仮収納部を仮収納部2i内に挿入して仮収納するようにされている。
【0018】
板体状のカバー部3a、3bは収納部2に対して、ヒンジ部3cにより開閉自在に取り付けられており、カバー部3a、3bは収納部2の収納溝2dを覆うようにされている。カバー部3a、3bの厚みは覆板2hと同一であるが、略中央部に接続端子の接続部の後部を係止するための高さ0.55mmの係止段部3dが収納溝2dごとに収納溝2d内に向けて突出されている。また、カバー部3a、3bの後端は厚さ0.8mmの後面部3eとされ、この後面部3eには接続端子に接続した電線を通過させる開口部3fが形成されている。
【0019】
なお実施例では、カバー部3a、3bは仮収納部2iの外側の後縁にヒンジ部3cを介して一体とされ、収納溝2dに対して開閉自在に設けられているが、カバー部3a、3bは収納部2に対して、別体とすることもできる。また、収納部2、収納溝2dは収納ケース1の片面のみに形成する場合もある。
【0020】
図3は収納ケース1に装着される電線Wを接続した状態の雌型接続端子Tの斜視図である。雌型接続端子Tは前方に幅0.8mm、高さ1.8mmの角筒状の受け用接続部Taを有し、後方に電線Wを接続した圧着部Tbを有している。この受け用接続部Taの先端が被仮収納部となる。
【0021】
接続部Ta内には
図4に示すように、固定接点部Tcと別体の可動接触片Tdが設けられており、これらの固定接点部Tcと可動接触片Tdの間で相手側接続端子の挿入端を挟着するようにされている。
【0022】
この雌型接続端子Tを収納ケース1内に収納するには、
図4に示すようにカバー部3aを開け、接続端子Tの被仮収納部となる接続部Taの先端を斜め下方に向けて、それぞれ収納溝2dの前方側に押し込むと、接続部Taの先端は仮収納部2i内に入り込み仮収納される。更に、接続端子Tの姿勢を水平にして収納溝2dに押し込むことにより、収納溝2dの係止突起2eが接続端子Tの下部に形成された係止孔に嵌合し、
図5に示すように接続端子Tは収納溝2d内に位置決めされる。なお、
図4、
図5においては、下部の収納溝2dには接続端子Tが既に収納されている状態を示している。
【0023】
雌型接続端子Tが収納溝2dに収納されるごとに、接続部Taは仮収納部2i内に挿し込まれて仮収納状態を経るので、接続端子Tが収納作業時に、或いは既に収納した接続端子Tが収納溝2dから抜け出る虞れはない。
【0024】
また、収納ケース1に接続端子Tを収納し、カバー部3a、3bを閉止すれば、収納部2の両側部に設けると共に、カバー部3a、3bの両側面に設けた図示しない錠止手段により、カバー部3a、3bは収納部2に対して錠止され、不時に開くことがないようにされている。従って、カバー部3a、3bは収納ケース1を裏返しても開くことがなく、接続端子Tが脱落することはない。
【0025】
この接続端子Tの収納ケース1への収納状態において、接続部Taの前端は孔部2gの周囲の前面板2fの一部に当接し、接続部Taの後方に設けられた係止孔に収納溝2dに設けられた係止突起2eが嵌入し、カバー部3a、3bに設けられた係止段部3dが接続部Taの後端の段部に係止する。このようにして、接続端子Tはこれら複数の係止手段により、収納ケース1内における特に前後方向への移動が規制され安定に保持される。
図6はこのようにして、16個の雌型接続端子Tを収容した状態の収納ケース1の斜視図である。
【0026】
図7は収納ケース1を収容するハウジングの斜視図であり、ハウジング4は雌型接続端子Tを収納した状態の収納ケース1を収容し、相手側電気コネクタと嵌合し、内部の接続端子同士を接続させるものである。ハウジング4の図示しない後方が開放されており、収納ケース1が後方から挿入できるようにされている。
【0027】
ハウジング4は高さ9.9mm、幅12.55mm、長さ22.5mmの略箱形の形状とされている。ハウジング4内には、収納ケース1を内蔵する収容室が設けられ、収容室の前方には、相手方の雄型接続端子をそれぞれ挿入するために16個の開口部4aが形成されている。これらの開口部4aはハウジング4内の収納ケース1の孔部2gに連続し、かつ孔部2gとほぼ同等の大きさとされている。
【0028】
このように、収納ケース1をハウジング4内に装着することにより、電気コネクタとして使用可能な状態となる。収納ケース1とハウジング4との間は図示しない錠止手段により錠止され、不時に収納ケース1がハウジング4から抜け出さないようにされている。
【0029】
ハウジング4の上部には、可動の錠止レバー4bが設けられている。錠止レバー4bはハウジング4の前部に支軸を有し後端部は自由端とされ、中間部の上側に相手側ハウジングに錠止する鉤部4cが形成されている。
【0030】
上述の実施例においては、電気コネクタに雌型接続端子Tを使用する場合を説明したが、
図8に示すような雄型接続端子T’を適用することもできる。この雄型接続端子T’は被仮収納部となる筒状の根元部Teの前方に、相手側の雌型接続端子Tの接続端Ta内に挿入するピン状の挿入端Tfを備え、根元部Teの後端は段部とされている。この場合の雄型接続端子T’の幅寸法等は雌型接続端子Tとほぼ同等とされているが、挿入端Tfの長さは例えば7mm、幅0.55mmとされている。
【0031】
雄型接続端子T’を収納する収納ケース1’は、雌型接続端子Tの場合の収納ケース1とほぼ同様であるが、挿入端Tfを挿入するための前面板2fの孔部2gの寸法、係止突起2e、カバー部3a、3bの係止段部3dの位置が若干異なっている。
【0032】
雄型接続端子T’をこの収納ケース1’内に収納するには、
図9に示すように、雌型接続端子Tと同様に、斜め方向に向けて挿入端Tfを収納溝2d内に挿入して、挿入端Tfを仮収納部2iを経て前面板2fの孔部2gから収納ケース1’の前方に突出させ、根元部Teを被仮収納部として仮収納部2i内に仮収納する。更に、雄型接続端子T’を下段のように水平にして収納溝2d内に載置し、カバー部3a、3bを閉止する。この状態で、雄型接続端子T’の根元部Teの後端の端部は、カバー部3a、3bの係止段部3dに係止され、根元部Teに設けられた係止孔に係止突起2eが嵌合する。
【0033】
図10は雄型接続端子T’を収納した状態の収納ケース1の斜視図であり、収納ケース1’の前方に雄型接続端子T’の挿入端Tfが突出されている。なお、雄型接続端子T’は本来では、16個を装着するようになっているが、
図10では4個のみを図示し他を省略している。
【0034】
図11は雌型接続端子Tを装着したハウジング4を相手側の電気コネクタと結合した状態の断面図であり、相手側コネクタのハウジング5内には、収納ケース1を介して雄型接続端子T’が装着されている。ハウジング5はハウジング4を囲む枠部5aを有すると共に、枠部5aの上方に、ハウジング4の錠止レバー4bと共働して、ハウジング4との間の錠止を行う錠止溝5bを有する被錠止部5cが設けられている。
【0035】
相手側のハウジング5をハウジング4に前方から嵌合すると、ハウジング5内の雄型接続端子T’の挿入端Tfは、ハウジング4の開口部4a、収納ケース1の孔部2gを経て、雌型接続端子Tの接続部Ta内に挿入される。挿入端Tfは雌型接続端子Tの接続部Ta内において、固定接点部Tcと弾発性を有する可動接触片Tdとの間に挟着され、雄型接続端子T’と雌型接続端子Tとの電気的な接続がなされる。
【0036】
この際に、ハウジング4の錠止レバー4bの外側に位置する相手側のハウジング5の被錠止部5cは、嵌合に際して錠止レバー4bを押し下げながら入り込み、被錠止部5cの錠止溝5bに錠止レバー4bの鉤部4cが嵌合すると、ハウジング5は進入を停止し、ハウジング4の錠止レバー4bは元の位置に復元し、ハウジング5の被錠止部5cとの錠止がなされる。これにより、ハウジング4、5同士は不時に分離することなく、電気コネクタ同士の接続が行われる。
【0037】
なお、ハウジング4とハウジング5との嵌合を外すには、錠止レバー4bの自由端を下方に押し下げて、鉤部4cを錠止溝5bから外して、ハウジング4から相手側ハウジング5を相対的に引き抜けばよい。
【0038】
なお、本実施例における前後、上下、左右の用語は、図面の説明のために用いており、実際の部材はこれらの用語によって制約されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
1、1’収納ケース
2 収納部
2a 底板
2c 仕切板
2d 収納溝
2e 係止突起
2i 仮収納部
3a、3b カバー部
4、5 ハウジング
T、T’ 接続端子
Ta 接続部
Te 根元部
Tf 挿入端
【要約】
【課題】収納ケース内に多数個の接続端子を確実に配列し、この収納ケースをハウジングに内装可能とする。
【解決手段】収納ケース1は、前端に接続部を備えた雌型接続端子Tを収納溝2d内に沿って並列に配置する収納部2と、収納部2を覆うカバー部3とを有し、各収納溝2dの前方に、仮収納のために雌型接続端子Tの接続部Taの先端を挿入する筒状の仮収納部2iを備えている。接続端子Tを収納部2に収納するには、接続端子Tを斜め方向から収納溝2dに押し込み、接続部Taの先端を被仮収納部として仮収納部2iに挿入して仮収納し、更に接続端子Tの姿勢を水平にして収納溝2dに収納する。
【選択図】
図4