特許第6872677号(P6872677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872677地中杭周掘削ケーシング用アダプターおよび該アダプターを用いる地中杭周掘削工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872677
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】地中杭周掘削ケーシング用アダプターおよび該アダプターを用いる地中杭周掘削工法
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E21B7/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-134892(P2019-134892)
(22)【出願日】2019年7月2日
(65)【公開番号】特開2021-8798(P2021-8798A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】519230329
【氏名又は名称】有限会社三友機工
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 修二
【審査官】 田島 拳士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−193707(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3034776(JP,U)
【文献】 特開2004−84164(JP,A)
【文献】 特開2003−74045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/00−7/30
E02D 7/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体よりなる上部アダプターを設けるとともに、該筒体の上部に板体を設け、該板体中央上面に角柱よりなる接続部を立設し、該筒体下部外周に有孔の上部鍔部を設け、該孔に近接して回り止め突片を設け、上部アダプターと同径の筒体よりなる下部アダプターを設けるとともに、下部アダプターにおいて、上縁外周に有孔の下部鍔部を下縁外周に有孔の接続フランジを設け、以上の上部アダプターと下部アダプターをヒンジにて開閉可能に接続するとともに、下部鍔部の孔に近接して回り止め孔を穿設し、上部アダプターと下部アダプター間の閉位置を維持するための手段を、下部アダプター上部に、固定側有孔板体およびスライダーケースとスライダーとを主要部として設けたことを特徴とする地中杭周掘削ケーシング用アダプター。
【請求項2】
上部アダプターの上部鍔部適所下面に有孔板体よりなる回動突片を下向き突設し、下部アダプターの下部鍔部適所に有孔板体よりなる固定突片を下向き突設し、一方、筒体によるスライダーケースを固定突片側面に固定するとともに、該スライダーケース内にスライダーを位置させ、該スライダーケースに有孔のロックワイヤーガイドを下部鍔部に有孔の解除ワイヤーガイドを各々設け、スライダーケース下部の一部にスリットを設けるとともに,スライダーに下向き突設したロックワイヤーフックを該スリット内に下向きに突出して位置させ、スライダー端に有孔の解除ワイヤーフックを取り付け、該解除ワイヤーフックに解除ワイヤーを解除ワイヤーガイド内を通して結びつけ、ロックワイヤーフックにロックワイヤーガイドを通してロックワイヤーを結びつけることにより、ロックワイヤーもしくは解除ワイヤーを下向きに引張することにて上部アダプターと下部アダプターのロックもしくはロック解除を選択可能に構成し、以上による上部アダプターと下部アダプターの閉位置維持手段としてなる請求項1記載の地中杭周掘削ケーシング用アダプター。
【請求項3】
1.角穴を連設してなる既存のケーシングを地上に寝かせた状態にて載置し、該ケーシン グ端に有孔のフランジを設ける第一工程。
2.請求項1にて示したアダプターの下部アダプターをケーシングのフランジにボルト・ ナットにて固定する第二工程。
3.補助アダプターを水平として,上部アダプターの接続部へ挿入後、ジョイントピンに て双方を固定する第三工程。
4.補助アダプターを吊下フックにて上方へ引き上げて垂直状態とし、上部アダプター下 面に載置台を挿入する第四工程。
5.補助アダプターを取り外し、オーガーを上部アダプターの接続部へ挿入してジョイン トピンにて固定後、載置台を除去する第五工程。
6.オーガーを上方移動して垂直位置とし、上下部双方のアダプター間を閉状態としてケ ーシングを垂直立ち上げ状態とする第六工程。
7.ウインチ操作にて双方アダプター間をロック状態とする第七工程。
8.ケーシング回転にて掘削を開始し、ケーシングが地上より所定高さのところで回転を 止め、上下部アダプターをボルト・ナットにて固定し、ワイヤーを取り外す第八工程
以上の各工程よりなる地中杭周掘削ケーシング用アダプターを用いる地中杭周掘削工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中杭周を掘削するためのケーシングに付属して用いるアダプターおよび該アダプターを用いる地中杭周の掘削工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中杭周を掘削するための種々の手段があるが、本発明にて示すように、地中杭周掘削ケーシングに専用のアダプターを用いる手段は現在のところ見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来手段は、アースオーガー(以下、オーガーと略称する)と呼ばれる装置を地中杭周掘削ケーシング(以下、ケーシングと略称する)端に取り付けて、ケーシングを地上に立設させ、オーガーを回転させて掘削するものであるが、以下のような問題点を有している。上述作業は、地組と高所組とに大別される。
地組:(ケーシングを水平載置した状態にてオーガーを接続する)
1.ケーシングおよびオーガーを水平に接続するときと、機械本体で起こすときに、ケー シングとオーガーとの接続部分に大きな負荷がかかるために、この接続部分が破損する 恐れがある。
2.ケーシングにオーガーを水平に接続することが困難であり、この作業は重機オペレー ターの技量に左右される。
【0004】
高所組:(ケーシングを重機を用いて立設させてからオーガーを接続する)
高所でケーシングとオーガーを接続するときに、抜け止め用のジョイントピンを打ち込む際に、高所作業車もしくは安全はしご等の設備を使用しなければならず、コスト高になるもしくは高所作業に伴う危険がある。
本発明は以上に鑑み、安全確実に掘削作業を行うことのできる手段を提供することを目的として発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、本発明の一つは、
筒体よりなる上部アダプターを設けるとともに、該筒体の上部に板体を設け、該板体中央上面に六角柱よりなる接続部を立設し、該筒体下部外周に有孔の上部鍔部を設け、該孔に近接して回り止め突片を設け、上部アダプターと同径の筒体よりなる下部アダプターを設けるとともに、下部アダプターにおいて、上縁外周に有孔の下部鍔部を下縁外周に有孔の接続フランジを設け、以上の上部アダプターと下部アダプターをヒンジにて開閉可能に接続するとともに、下部鍔部の孔に近接して回り止め孔を穿設し、上部アダプターと下部アダプター間の閉位置を維持するための手段を、固定側有孔板体と回動側有孔板体およびスライダーケースとスライダーとを主要部として設けたことを特徴とする地中杭周掘削ケーシング用アダプターである。
また、本発明の他の一つは、
1.角穴を連設してなる既存のケーシングを地上に寝かせた状態にて載置し、該ケーシン グ端に有孔のフランジを設ける第一工程。
2.請求項1にて示したアダプターの下部アダプターをケーシングのフランジにボルト・ ナットにて固定する第二工程。
3.補助アダプターを水平として,上部アダプターの接続部へ挿入後、ジョイントピンに て双方を固定する第三工程。
4.補助アダプターを吊下フックにて上方へ引き上げて垂直状態とし、上部アダプター下 面に載置台を挿入する第四工程。
5.補助アダプターを取り外し、オーガーを上部アダプターの接続部へ挿入してジョイン トピンにて固定後、載置台を除去する第五工程。
6.オーガーを上方移動して垂直位置とし、上下部双方のアダプター間を閉状態としてケ ーシングを垂直立ち上げ状態とする第六工程。
7.ウインチ操作にて双方アダプター間をロック状態とする第七工程。
8.ケーシング回転にて掘削を開始し、ケーシングが地上より所定高さのところで回転を 止め、上下部アダプターをボルト・ナットにて固定し、ワイヤーを取り外す第八工程
以上の各工程よりなる地中杭周掘削ケーシング用アダプターを用いる地中杭周掘削工法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は下記の効果を有する。
1.ヒンジを有するアダプターを用いて、接続部垂直状態にてケーシングを立ち上げて垂 直状態とするので,従来法に比べてこの接続部にかかる負荷を小さくすることができる ので、従来法にありがちであった接続部の破損を防止することができる。
2.オーガーと接続部を各々垂直状態にて挿入ロックするので、重機オペレーターの熟練 技量に左右されずに安全確実に作業することができる。
3.アダプターを介する地上からのウインチワイヤー操作にてオーガーとケーシングをロックおよびロック解除ができるので、作業の危険度を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来例の地中杭周掘削工法手順説明図(地組)
図2】従来例の地中杭掘削の要部説明図
図3】本発明アダプターの正面図(閉状態)
図4】本発明アダプターの正面図(開状態・一部略)
図5】本発明アダプターの要部説明図(平面視・一部略)
図6】本発明アダプターの左側面図(閉状態)
図7】本発明アダプターに関連して用いるウインチ使用説明図
図8】本発明アダプターのロックおよびロック解除説明図
図9】本発明アダプターを用いる地中杭周掘削工法手順説明図(前段)
図10】本発明アダプターを用いる地中杭周掘削工法手順説明図(後段)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、従来手段について説明する。図1図2は従来例の地組手段を示すものである。
図において、1はケーシングで、長尺筒体であってその側面には貫通する角穴2が両側面に複数個設けられる。3はケーシング端に設けられる刃部で、複数個の凸部が等配に設けられた部分である。4はオーガーとの接続部で、六角柱体であってケーシングの他端に垂直に突設される。この突設のためにケーシング端には板体が固着されている。
【0009】
図1の(a)はケーシングを地上に寝かせて載置した状態であって、地上に置かれた所定長木製の角柱5の上に載置され、ケーシングは筒状のために、安定載置用としてのくさび6がケーシングと角柱間に打ち込まれる。10は既存のオーガーである。このオーガーはその上部にユニバーサルジョイント形式の部材11を有し、下部は円柱形部分であって、その下端から中程に至る六角穴を有し、その側面には2個のジョイントピン孔12が穿設される。なお、前述の接続部4の側面には半円形凹部13が設けられる。
【0010】
オーガーは接続部4に挿入されるが、この接続部外形とオーガーの六角穴内形とは近似サイズであるために、この挿入が可能である。挿入時は、前述のジョイントピン孔と半円形凹部の位置は一致し、ここにジョイントピン(図示略)が挿入され、双方は固定される。
なお、ジョイントピン端近傍には細孔が穿設されて、ここに割ピン等が挿入され、ジョイントピンの不用意な脱落は阻止される。
【0011】
地組作業手順:
(a)ケーシングは既述のごとく、地上に寝かせた状態にて載置される。
(b)重機にて吊下されたオーガーを接続部に近づけ、オーガー下端を接続部端に載せ、 重機操作にてオーガーを傾けて熟練技にて接続部にオーガーを挿入する。
(c)ジョイントピンを挿入し、抜け止めのピンをジョイントピンに挿入する。
(d)重機操作にてケーシングを立てる。
(e)ケーシングを回転させて掘削作業を行う。
(f)ケーシングは地中に入り込み、地中杭周と地中面とは切り離される。
その後、ケーシングを地中から抜き去り、地中杭に玉掛けワイヤーを掛けて,重機操作 にて地中杭を抜き去る。
以上が、従来工法地組手段の概要である。
【0012】
これとは別に高所組手段がある。高所組の場合は、図1(a)のように地上に寝かせたケーシングに玉掛けワイヤーを用いて、このワイヤーをケーシングに固定し、重機操作にてこのケーシングを垂直に立ち上げ、オーガーを接続部に上方から落とし込んでジョイントピンにて固定する。この固定位置は地上高所であるために、既述のごとく高所作業車を用いるかあるは安全はしごを用いることとなるが、前者はコストがかかり、後者は危険を伴うものとなる。
【0013】
次に、本発明について説明するが、まずは本発明に用いるアダプターについて説明する。
図3図8にてアダプターを説明する。
図において、20は上部アダプターで、筒体上端に同径板体を固着し、この板体中央に六角柱状の接続部21を固着立設したものである。この接続部側面には2個の半円形凹部22が平面視対称位置に設けられる。23は上部鍔部で、略方形の板体であって前記上部アダプターの下端に固着される。この鍔部の四隅近傍には固定孔24が穿設される。
また、この上部鍔部下面には四角板状の回り止め突片25が四個下向きに突設される。
【0014】
30は下部アダプターである。この下部アダプターは上部アダプター同様の筒体であって、その上端には下部鍔部31が固着され、上部鍔部同様に固定孔32が穿設される。
また、四角穴状の回り止め孔33が穿設される。上部アダプターと下部アダプターはヒンジ34にて図3図4のごとく開閉が可能であり、前記の固定孔24と32の位置は閉時に一致する。さらに、回り止め突片と回り止め孔も閉時に一致して、この突片は回り止め孔内に挿入位置する。なお後述の回動突片通過用の切除部が下部鍔部に設けられる。
【0015】
次に、双方アダプターの固定および固定解除手段について説明する。
図8において、40は筒状のスライダーケースである。41は有孔板体による一対の固定突片であって、下部鍔部に所定間隔にて固着される。前記のスライダーケースの一端は固定突片側面に固着され、他端近傍上部は下部鍔部に下向き突設されたスライダーケース固定突片42に固着される。43は有孔板体による回動突片で、上部鍔部下面に下向き突設される。上部アダプターの閉時には、回動突片の孔と固定突片41の孔とはその位置が一致する。44は丸棒状のスライダーで、スライダーケース内に位置して所定範囲内にて水平にスライド移動が可能である。
【0016】
このスライダー左端にはU形の解除ワイヤーフック45が突設される。46は有孔板体による解除ワイヤーガイド、47は解除ワイヤーで、解除ワイヤーガイドの孔を介してそのワイヤー端は前記の解除ワイヤーフックに結びつけ固定される。
48はロックワイヤーガイドで、有孔板体であってスライダーケース適所に下向き突設される。49はU形のロックワイヤーフックで、スライダー下面適所に下向き固着される。
50はロックワイヤーで、その一端がロックワイヤーガイドの孔を介してロックワイヤーフックに結びつけ接続される。なお、スライダーケース下側面には適当長のスリット(図示略)が設けられて、ロックワイヤーフックはそのスリットより下方突出しており、すなわち,このスリットにてロックワイヤーフックの可動範囲が規制される。
【0017】
以上の構成から、ワイヤー操作による双方アダプターのロックおよびロック解除の選択が可能である。すなわち、図8の上図はロック状態であり、これはロックワイヤーを引くことにてこのロックワイヤーにつながっているロックワイヤーフックおよびスライダーは右方移動して、スリット端に接してその右方位置が定まる。
このとき、スライダー右端は双方の固定突片および回動突片の孔を各々貫通して右方突出しており、上部アダプターの閉位置が保持される。
また、解除ワイヤーを引くことにて、この解除ワイヤー端は前記の解除ワイヤーフックに接続されているために、スライダーは左方移動し、ロックワイヤーフックはスリット内左端に当接してスライダー位置は最左方位置となる。このとき、スライダー右端は回動突片内を通過してさらに左方位置となるために、上部アダプターを開くことができる。
なお、ロックワイヤーは後述の手巻きウインチにて操作され、解除ワイヤーは人力にて操作される。
【0018】
次に、本発明アダプターを用いた掘削工法について説明する。
図9図10は、本発明工法を示すものである。
1.地上に角材を敷き、アダプターを取り付けたケーシングを水平に置き、くさびを打ち 込む。アダプターの取付は、ケーシング端に有孔フランジを設け、下部アダプターの有 孔フランジを合わせてボルト・ナットにてケーシングにアダプターを固定する。
このとき、双方アダプターはロック解除状態である。(図9・a)
2.補助アダプターを水平として、上部アダプター接続部に挿入後、ジョイントピンにて 双方を固定する。この補助アダプター35は円柱下端から上方に向けて六角穴を有して フックにての吊下が可能であり、またその側面にはジョイントピン挿入のための貫通孔 を有し、接続部に挿入が可能である。(図9・b)
3.補助アダプターを上方移動させて垂直位置とし、上部アダプターは垂直位置で下部ア ダプターは水平位置となる。(開状態・図9・c)
4.上部アダプターの下に載置台を差し入れ、補助アダプターを取り外し、オーガーを取 り付ける。(図9・d)
5.オーガーをジョイントピンにて固定し、載置台を除去し、オーガーを上方移動させる 。この上方移動にてケーシングは立ち上がり、垂直状態となる。(図10・e)
6.手動ウインチ操作によるワイヤー移動にて双方アダプターはロックされる。
7.ケーシング回転にて掘削を開始し、ケーシングが地上より所定高さのところで回転を 止め、上下部アダプターの鍔部に設けた孔を用いて双方アダプターをボルト・ナットに て固定する。ケーシング回転時は既述の回り止め突片と回り止め孔との関係から、回転 によるヒンジへの負荷でのヒンジ損傷を防ぐことができる。(図10・f)
8.ワイヤーを取り外す。
【0019】
手動ウインチは以下の構成である。
図7において、60は側面視略コ字形の当接部、61は該当接部に連続して突出する板体による一対のドラム保持板、62は該ドラム保持板間に回動可能に位置するドラム軸、63はドラム軸にその端部が固定されるハンドル、64はドラム保持板間のドラム軸に固定されるドラムである。
ウインチ使用時は、ケーシングの選択した角穴に図のごとく当接部をあてがい、ハンドル操作にてドラムを回転させてワイヤーをドラムに巻き取り、既述のワイヤー操作を行い、アダプターのロックを行うことができる。なお、このウインチにはラチェット機構もしくはハンドルロック機構(図示略)が装備される。
ワイヤー引張にて前記の当接部はケーシング角穴に押圧接触してその位置を保持することができる。ケーシング回転とともにこのウインチ機構も回転しながら掘削となるが、ケーシングは次第に地中に入り込むので、このウインチを外してさらに上方の角穴へと付け替えることにて連続的に掘削作業を進めることができる。
【0020】
以上、本発明について記したが、本発明は従来法で課題となっていた作業時の破損および危険性を回避できるものである。本発明では接続部を垂直に引き上げるので、水平に引き上げる従来法に比べてより大きな負荷にも耐えることができ、またワイヤー操作による遠隔作業のために、人が高所で作業する従来法のような作業危険性を有しないものとなったのである。なお、ケーシングの角穴は掘削時のケーシング内部圧力を逃がすためのものである。また、既述の例は実施の一例であって、近似の他の構成としてもよい。
以上のごとく、本発明によって種々の利点を有する地中杭周掘削ケーシング用アダプターおよび該アダプターを用いる地中杭周掘削工法を得ることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 ケーシング
2 角穴
3 刃部
4 接続部
10 オーガー
11 ユニバーサツジョイント部材
12 ジョイントピン孔
13 半円形凹部
20 上部アダプター
21 接続部
22 半円形凹部
23 上部鍔部
24 固定孔
25 回り止め突片
30 下部アダプター
31 下部鍔部
32 固定孔
33 回り止め孔
34 ヒンジ
35 補助アダプター
40 スライダーケース
41 固定突片
42 スライダーケース固定突片
43 回動突片
44 スライダー
45 解除ワイヤーフック
46 解除ワイヤーガイド
47 解除ワイヤー
48 ロックワイヤーガイド
49 ロックワイヤーフック
50 ロックワイヤー
60 当接部
61 ドラム保持板
62 ドラム軸
63 ハンドル
64 ドラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10