【文献】
荒川 薫,外1名,ε−分離型非線形フィルタバンクとその顔画像美観化への応用,電子情報通信学会論文誌 (J88−A) 第11号,日本,社団法人電子情報通信学会,2015年11月 1日,第J88-A巻,pp.1216-1225
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された画像情報に含まれる入力顔画像の目の領域、鼻の領域及び口の領域の少なくとも一つを除外した顔領域を示す前記顔画像を抽出する顔領域抽出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の顔画像処理システム。
前記除去率調整手段は、前記しわ成分、しみ成分及び毛穴成分に対して重み付けを行って前記各成分の前記顔画像内での除去率を調整することを特徴とする請求項3記載の顔画像処理システム。
前記合成手段は、前記記憶手段に記憶された除去率に基づく前記しわ成分、しみ成分及び毛穴成分に対応する第4の成分と、前記フィルタ手段によって分割された前記第1の成分、第2の成分、第3の成分及び第5の成分又は入力された前記顔画像情報とを合成することを特徴とする請求項3記載の顔画像処理システム。
前記入力手段によって前記候補顔画像の決定指示が受け付けられた場合に、前記記憶手段は、決定された候補顔画像を表す顔画像情報を生成する前記パラメータを基準パラメータとして記憶する
ことを特徴とする請求項7記載の顔画像処理システム。
成分抽出手段、除去率調整手段、記憶手段、合成手段及び出力手段を備えたコンピュータを有する顔画像処理システムにて顔画像処理を実行させるための顔画像処理プログラムであって、
前記コンピュータに、
入力された顔画像を表す顔画像情報から前記成分抽出手段によって前記顔画像のしわ成分、しみ成分及び毛穴成分をそれぞれ抽出させるステップと、
抽出されたしわ成分、しみ成分及び毛穴成分に対して各々の除去率を前記除去率調整手段によってそれぞれ調整させるステップと、
前記記憶手段に前記しわ成分の除去率、しみ成分の除去率及び毛穴成分の除去率を記憶させるステップと、
前記除去率を調整させるステップにて調整された前記しわ成分の除去率、前記しみ成分の除去率及び前記毛穴成分の除去率によって各々増減したしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を前記合成手段によって合成し顔画像を生成させるステップと、
合成された顔画像情報を前記出力手段によって出力させるステップとを実行させ、
前記出力手段から出力される顔画像情報は、前記しわ成分、しみ成分及び毛穴成分の除去率をそれぞれ異ならせて複数生成され、
複数生成された顔画像情報に基づく複数の候補顔画像を表示手段の表示画面上に表示し、
前記顔画像処理システムは、前記表示された複数の候補顔画像の中から、ユーザにより指定された所望の候補顔画像の選択指示及び最終的な候補顔画像の決定指示のうちのいずれか一つを受け付ける入力手段を更に有し、
前記入力手段によって前記候補顔画像の決定指示が受け付けられた場合に、前記最終的な顔画像情報と共に前記しわ成分、しみ成分及び毛穴成分の除去率を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする顔画像処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態に係る顔画像処理システム、顔画像処理方法及び顔画像処理プログラムを詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、多くの変形が本発明の技術的思想の範囲内で当分野において通常の知識を有するものにより可能である。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る顔画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。また、
図2は、この顔画像処理システムの演算手段の構成を示すブロック図である。更に、
図3は、この顔画像処理システムの顔画像処理部の内部構成を示すブロック図であり、
図4はこの顔画像処理部における非線形関数の例を示す図である。
【0022】
図1に示すように、第1の実施形態に係る顔画像処理システムは、コンピュータやワークステーション等のハードウェアである演算手段2上で実現されるものである。また、顔画像処理システムは、入力手段1と、出力手段3と、記憶手段4とを備える。入力手段1は、数値や文字或いは各種の指示等の操作入力に用いられ得る複数の操作キーを有するキーボード、マウス、タッチパネル及びリモートコントローラ等の入力デバイス、並びにデジタルカメラやスキャナ等の画像情報を取得して入力する画像入力デバイスなどからなる。
【0023】
出力手段3は、各種の情報と共に顔画像情報に基づく顔画像を表示画面上に表示するディスプレイ等の画像出力デバイスや、顔画像情報に基づく顔画像を媒体上に印刷出力する画像印刷デバイスなどからなる。記憶手段4は、各種の情報やパラメータ等を格納するRAMやROMと共にSSD、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、メモリカードなどの記憶デバイス及び記憶媒体からなる。
【0024】
一方、演算手段2は、
図2に示すように、例えば入力された入力顔画像情報x(n)に含まれる対象者(ユーザ)の顔画像(以下、「対象顔画像」と呼ぶ。)を表す入力顔画像から、その目の領域、鼻(又は鼻孔)の領域及び口の領域の少なくとも一つ(以下、「除外領域」と呼ぶ。)を除外した顔領域を示す顔画像(以下、「顔領域画像」と呼ぶ。)を抽出する顔領域抽出部5として機能し得る。また、演算手段2は、入力顔画像と共にこの顔領域画像や除外領域を表す除外領域画像(画像データ)を入力し、これらに基づき各種画像処理を行う顔画像処理部10としても機能し得る。
【0025】
まず、顔領域抽出部5は、入力顔画像情報x(n)の入力顔画像から、この顔画像に含まれる対象者の対象顔画像を認識する。入力顔画像情報x(n)は、例えばBMP,JPEG,GIF,PNG,RAW等の画像フォーマットからなる。対象顔画像の認識には、例えばラプラシアンフィルタ等の輪郭検出フィルタを用いることができる。
【0026】
次に、顔領域抽出部5は、公知の顔部分特徴点抽出法等により、認識した対象顔画像を表す入力顔画像の除外領域を認識し、この除外領域を除外した顔領域画像を抽出する。なお、本実施形態では目の領域、鼻の領域及び口の領域を全て除外領域とするようにしている。このような除外領域は、しわ、しみ及び毛穴等の成分として抽出され得るが、予め入力顔画像から除外しておけば顔画像処理負荷が軽減されるからである。その他、除外領域は上記のもの以外にも、任意に設定することが可能である。そして、顔領域抽出部5は、例えば顔領域画像と共に除外領域画像を顔画像処理部10に出力する。
【0027】
なお、顔領域抽出部5は顔画像処理システムに必須の構成ではないため、省略することも可能である。ただし、顔領域抽出部5を省略した場合は、後段の顔画像処理部10における顔画像に関する処理のタスクが増加して負荷が増える場合がある。また、顔領域抽出部5にて除外領域を除外した場合であっても、
図2及び
図3に示すように、顔画像処理部10において顔領域画像と共に除外領域画像が処理されるようにしてもよい。
【0028】
顔画像処理部10は、
図3に示すように、入力された入力顔画像と共に、顔領域抽出部5からの顔領域画像(及び除外領域画像)に基づいて、対象顔画像のしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を抽出する成分抽出部16を備える。また、この成分抽出部16で抽出されたしわ成分、しみ成分及び毛穴成分に対する各々の除去率を調整する除去率調整部13a,13b,13cを有する成分調整部13を備える。
【0029】
また、顔画像処理部10は、成分調整部13における各除去率調整部13a〜13cにおいて調整された除去率によって各々増幅或いは減衰したしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を、入力顔画像、或いはその構造成分や所定成分、顔領域画像、除外領域画像等と共に合成し出力する顔画像(以下、「出力顔画像」と呼ぶ。)を生成する合成部14を備える。なお、成分調整部13における各除去率調整部13a〜13cの除去率は、入力手段1を介して対象者により選択又は指定され記憶手段4に記憶される。この除去率は、例えば正の値で増幅方向の、また負の値で減衰方向の各成分の表現(付加や除去)の割合を示している。また、合成部14により合成された出力顔画像を表す出力顔画像情報y(n)は、出力手段3により出力される。
【0030】
顔画像処理部10の成分抽出部16は、入力された入力顔画像情報(x(n))を振幅−周波数空間において所定の成分に分割し抽出するフィルタ手段であるε−フィルタバンクA11a及びε−フィルタバンクB11b(以下、特に明記しない限りこれらをまとめて「ε−フィルタバンク11」と称する。)と、このε−フィルタバンク11によって抽出された所定の成分に基づき、対象顔画像のしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を判別して認識する成分認識部A12a及び成分認識部B12b(以下、特に明記しない限りこれらをまとめて「成分認識部12」と称する。)とを備える。
【0031】
ε−フィルタバンク11は、フィルタ手段として機能し、具体的には、入力顔画像情報x(n)を振幅−周波数空間にて、例えば顔画像の構造成分を示す第1の成分(y1(n))及び第2の成分(y2(n))、顔画像の肌の所定成分を示す第3の成分(y3(n))、第4の成分(y4(n))、並びに第5の成分(y5(n))に分割する。
【0032】
そして、本実施形態においては、ε−フィルタバンク11は、第4の成分を抽出して成分認識部12に出力すると共に、第1の成分、第2の成分、第3の成分及び第5の成分を合成部14に出力する。成分認識部12は、抽出され入力された第4の成分に基づいて、対象顔画像内のしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を認識し、これら各成分の対象顔画像内における出現位置及び形状を判別する。
【0033】
具体的には、ε−フィルタバンクA11aは、入力顔画像情報x(n)から第4の成分を抽出して成分認識部A12aに出力する。成分認識部A12aは、第4の成分と共に顔領域画像を入力してしわ成分を上記のように認識して判別し、このしわ成分を出力する。また、ε−フィルタバンクB11bは、加減算器6に入力された入力顔画像情報x(n)から成分認識部A12aからのしわ成分を減じたものから更に第4の成分を抽出して成分認識部B12bに出力する。成分認識部B12bは、第4の成分と共に顔領域画像を入力してしみ成分と毛穴成分を上記のように認識して判別し、これらしみ成分及び毛穴成分を出力する。
【0034】
そして、後段の成分調整部13の除去率調整部13aは、成分認識部A12aから出力されたしわ成分に対して重み付けを行って、しわ成分の顔画像内での除去率を調整する。また、除去率調整部13bは、成分認識部B12bから出力されたしみ成分に対して重み付けを行って、しみ成分の顔画像内での除去率を調整する。更に、除去率調整部13cは、成分認識部B12bから出力された毛穴成分に対して重み付けを行って、毛穴成分の顔画像内での除去率を調整する。なお、重み付けは除去率調整方式の一例であるためこれに限定されるものではない。また、成分調整部13にて調整された各々の除去率は、記憶手段4に記憶される。
【0035】
そして、合成部14は、ε−フィルタバンク11から出力された顔画像の構造成分である第1及び第2の成分(y1(n),y2(n))、第3の成分(y3(n))並びに第5の成分(y5(n))及び/又は入力顔画像情報x(n)を入力すると共に、記憶手段4に記憶された除去率に基づき成分調整部13の各除去率調整部13a〜13cにおいて、例えば除去率によって各々増減して調整されたしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を入力する。このように、合成部14は、入力した第1、第2、第3、第5の成分、及び/又は入力顔画像情報x(n)と、しわ成分、しみ成分及び毛穴成分とを加算(合成)し得ると共に、例えば顔領域抽出部5で抽出された顔領域画像や除外された除外領域画像を加算(合成)して出力顔画像を生成し、この顔画像を表す出力顔画像情報y(n)を出力する。
【0036】
なお、ε−フィルタバンク11は、より具体的にはε−分離型非線形フィルタバンクにより構成される。そして、フィルタ手段は、ε−フィルタバンク11の他にも種々の非線形フィルタを用いたフィルタバンクにより構成し得る。ここで、まずはε−フィルタバンク11で用いられるε−フィルタの原理について説明する。
【0037】
本実施形態に係る顔画像処理システムの顔画像処理部10において、まず、例えばそれぞれ第n時点における入力された入力顔画像情報を入力信号x(n)とし、出力される出力顔画像情報を出力信号y(n)とする。そして、ε−フィルタは、次式(1)からなる非再帰型低域通過フィルタに非線形関数Fを導入することにより実現され、次式(2)のように表される。
【0040】
なお、上記の式(1),(2)において、a
iは、総和が1なる非再帰型低域通過フィルタ係数であり、Fは
図4に示すような非線形関数であって、その絶対値はある値ε以下に制限されている。このとき、入力信号x(n)と出力信号y(n)との差は、次式(3)のようにある値ε’以下に制限される。
【0042】
また、このとき、特に全てのa
iが正とすると、ε’=εである。振幅が十分小さな加法性高周波雑音が入力信号に含まれている場合は、εを雑音の振幅ピーク・ピーク値程度に設定すると、その雑音は上記の式(1)により表される低域通過フィルタで平滑される。また、出力信号は入力信号±ε以内となるので、大きな振幅変化を保ちながら雑音の除去を行うことが可能である。
【0043】
図5は、顔画像処理システムの顔画像処理部におけるε−フィルタ及び線形低域通過フィルタの振幅−周波数空間の分割例を示す図である。このようなε−フィルタでは、図示のように、出力信号y(n)としては入力における低周波数成分又は大振幅成分が得られ、それに対し振幅ε以下の小振幅高周波数成分は、x(n)−y(n)として得られる。
【0044】
したがって、x(n)−y(n)をu(n)と表すと、このε−フィルタは、入力信号x(n)に対して、その振幅−周波数空間を
図5(a)に示すように分ける。なお、通常の線形低域通過フィルタは、その振幅−周波数空間を
図5(b)に示すように分けるものに相当する。
【0045】
図6は、顔画像処理システムの顔画像処理部におけるε−フィルタバンクの構成を示す図である。上記のようなε−フィルタをフィルタバンク状に組み合わせると、その入力信号x(n)をその振幅−周波数に応じて複数の領域に分割することができる。ここで、
図6に示すように、ε−フィルタバンク11(11a,11b)は、線形低域通過フィルタとε−フィルタとを組み合わせた構造からなる。
【0046】
このε−フィルタバンク11において、
図6に示すLは線形低域通過フィルタであり、E1,E2,E3はε−フィルタである。これら各フィルタは二次元フィルタ、または水平・垂直方向一次元フィルタの組み合わせとし、nは二次元平面における画素の位置(i,j)を表すものとする。
【0047】
なお、各出力信号y1(n),y2(n),y3(n),y4(n),y5(n)の総和は入力信号x(n)に等しく、線形低域通過フィルタLとε−フィルタE2の窓サイズは等しくw0とし、さらにε−フィルタE1,E3の窓サイズも等しくw1とすることができる。また、各ε−フィルタE1,E2,E3の値ε(これを順にε1,ε2,ε3とする。)は、ε1>ε2>ε3の関係にあるとすることができる。
【0048】
図7は、顔画像処理システムの顔画像処理部におけるε−フィルタバンクによる振幅−周波数空間における顔画像情報の各成分の分割例を示す図である。また、
図8は、顔画像処理システムの顔画像処理部に入力される顔画像情報により表される顔画像処理前の顔画像の例を示す図である。
【0049】
なお、
図8以降の顔画像においては、画像内の両目部分を伏せた表示となっているが、実際には両目部分が表示されていてもよく、更に図示の例では上述した除外領域の部分も全て含んだ状態で表示がなされているものとする。上記のように構成されたε−フィルタバンク11は、入力信号x(n)の振幅−周波数空間を、例えば
図7に示すような各領域に分割する。
【0050】
また、
図8に示すような入力顔画像30を表す顔画像情報においては、例えば目、鼻、口、眉などの顔の主要部分(すなわち、目の領域、鼻の領域及び口の領域など)は、一般的に大振幅信号として表されることが知られている。また、顔のベース(構造)部分(例えば、頬など)は低周波数信号として表される。
【0051】
さらに、顔の肌のしわ(特に、小じわ)部分やしみ部分などの肌の美観を損ねる要因となり得る部分は、比較的小振幅で周波数が高い信号として表される。さらにまた、顔の肌の自然な凹凸である毛穴成分はより振幅の小さな高周波数信号として表される。そこで、本実施形態に係る顔画像処理システムの顔画像処理部10において、ε−フィルタバンク11は、入力信号x(n)を例えば
図7に示すような振幅−周波数空間にて分割する。
【0052】
すなわち、ε−フィルタバンク11は、入力信号x(n)を、顔画像の構造成分を示す第1の成分y1(n)及び第2の成分y2(n)と、顔画像の肌の所定成分を示す第3の成分y3(n)、第4の成分y4(n)、第5の成分y5(n)とに分割する。
【0053】
そして、顔画像の肌の所定成分を示す第4の成分y4(n)を抽出する。なお、抽出した第4の成分y4(n)に基づき、例えばε−フィルタバンクA11aを通過した段階で元の入力顔画像30から肌のしわ成分を抽出して表示することができるしわ成分抽出表示顔画像を構成(生成)し得る。また、ε−フィルタバンクB11bを通過した段階で元の入力顔画像30から肌のしみ成分及び毛穴成分をそれぞれ抽出して表示することができるしみ成分抽出表示顔画像及び毛穴成分抽出表示顔画像をそれぞれ表す顔画像情報を構築(生成)し得る。
【0054】
具体的には、
図6に示したε−フィルタバンク11において、線形低域通過フィルタL及びε−フィルタE1,E2,E3の窓サイズw0,w1と、ε−フィルタE1,E2,E3の値ε1,ε2,ε3とを、それぞれ適切な値に設定する。そうすると、
図7に示すように、第1及び第2の成分y1(n),y2(n)を顔の主要部分及びベース(構造)部分とし、第3の成分y3(n)、第4の成分y4(n)、第5の成分y5(n)を肌の所定成分とすることができる。
【0055】
ここで、窓サイズw0は第3の成分y3(n)と第1の成分y1(n)との周波数帯を分けるものとし、窓サイズw1は第3の成分y3(n)と第5の成分y5(n)との周波数帯を分けるものとする。また、ε−フィルタE1のεの値ε1は、第4の成分y4(n)の振幅(ピーク−ピーク)の最大値程度とし、ε−フィルタE2のεの値ε2は、第3の成分y3(n)の振幅(ピーク−ピーク)の最大値程度とし、ε−フィルタE3のεの値ε3は、第5の成分y5(n)の振幅(ピーク−ピーク)の最大値程度とする。
【0056】
このように構成されたε−フィルタバンクA11aにおいては、上述したように入力信号x(n)からの顔画像の主要部分及びベース(構造)部分を示す第1及び第2の成分y1(n),y2(n)は、分割された上で合成部14に入力される。また、ε−フィルタバンクA11aにおいては、入力信号x(n)から顔画像の肌の所定成分を示す第3、第4及び第5の成分y3(n),y4(n),y5(n)が分割され、第4の成分y4(n)が抽出されて成分抽出部16の成分認識部A12aに入力されると共に、第3及び第5の成分y3(n),y5(n)は合成部14に入力される。
【0057】
また、ε−フィルタバンクB11bにおいては、上述したように加減算器6において入力顔画像からしわ成分を減じた入力信号x(n)からの顔画像の第1〜第5の成分y1(n)〜y5(n)は分割された上で、第1、第2、第3、第5の成分y1(n),y2(n),y3(n),y5(n)が合成部14に入力されると共に、第4の成分y4(n)が抽出されて成分抽出部16の成分認識部B12bに入力される。
【0058】
成分認識部A12aは、まず、入力された第4の成分y4(n)に基づいて、顔画像内のしわ成分を認識する。次いで、成分認識部B12bは、入力された第4の成分y4(n)に基づいて、顔画像内のしみ成分及び毛穴成分を認識する。
【0059】
すなわち、これら各成分は、成分認識部12において、例えば第4の成分y4(n)及び顔領域画像が構成する顔画像の全画素を走査して、輝度値がマイナスとなる黒色部分として認識される。そして、各成分として認識された部分は、例えばその部分の画素数の塊である画素集団(画素群)の面積及び画素の分散分布によって、毛穴成分、しみ成分、しわ成分と分けられ、これら各成分の顔画像内における出現位置及び形状が判別される。
【0060】
図9は、顔画像処理システムの顔画像処理部における成分認識部でのしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の認識判別方法を説明するための図である。
図9に示すように、例えば毛穴成分としみ成分との判別は、画素群の面積に基づき行われる。すなわち、黒色部分として認識された各成分のうち、毛穴成分としわ成分とを比較した場合、画素群の面積が図示のように比較的小さいものは毛穴成分と判別し、画素群の面積が図示のように比較的大きいものはしみ成分と判別する。
【0061】
一方、例えばしみ成分としわ成分との判別は、画素群の中心点からの分散分布の大きさに基づき行われる。すなわち、黒色部分として認識された各成分のうち、しみ成分としわ成分とを比較した場合、画素群の中心点P2からの分散分布が小さいものはしみ成分と判別し、画素群の中心点P1からの分散分布が大きいものはしわ成分と判別する。
【0062】
なお、しみ成分と判別された部分については、更に所定のしきい値等と比較することにより、例えば大きいしみ成分及び小さいしみ成分に分割するようにしてもよい。各成分の顔画像内における出現位置及び形状は、判別時に自動的に認識される。こうして認識判別された各成分を抽出表示した抽出表示顔画像は、次のようになる。
【0063】
図10は、顔画像処理システムの顔画像処理部における成分認識部で判別された各成分を抽出表示した顔画像を示す図である。成分認識部12にて各成分をそれぞれ抽出表示した顔画像を、例えば出力手段3の一つであるディスプレイの表示画面上に表示すると、各顔画像は次のように表示される。
【0064】
すなわち、しわ成分を抽出表示した「しわ画像」であるしわ成分抽出表示顔画像30aは、
図10(a)に示すようになる。また、毛穴成分を抽出表示した「毛穴画像」である毛穴成分抽出表示顔画像30bは、
図10(b)に示すようになる。更に、しみ成分を抽出表示した「しみ画像」であるしみ成分抽出表示顔画像30cは、
図10(c)に示すようになる。
【0065】
なお、図示は省略するが、上記各成分の認識判別の際の精度向上方法として、本実施形態の顔画像処理システムにおいては、次のような方法を採用し得る。まず、ε−フィルタバンクA11aとε−フィルタバンクB11bとでパラメータを異ならせ、ε−フィルタバンクB11bにより抽出される第4の成分y4(n)の方が低い周波数を含むようにする。そして、成分認識部A12aと成分認識部B12bとで、次のような処理を行う。
【0066】
すなわち、まず成分認識部A12aでは、顔領域画像における処理対象領域において、(1)第4の成分y4(n)が所定のしきい値TH
1以下である画素を黒にし、それ以外の画素を白にする。次いで、(2)黒の画素の塊をラベリングする。そして、(3)ラベルLの塊の画素数をn
Lとし、空間分散をv
Lとする。最後に、v
L/n
Lが所定のしきい値TH
2より大きければ、ラベルLに対応する第4の成分y4(n)の信号をしわ成分として認識し、出現位置及び形状を判別してしわ成分を抽出する。これにより、入力顔画像からしわ成分を完全に抽出したしわ成分抽出表示顔画像を生成し得る。
【0067】
そして、しわ成分を抽出した顔画像を入力顔画像情報x(n)から差し引くことでしわ成分除去表示顔画像を生成することができ、例えばこれをε−フィルタバンクB11bに入力して再解析を行う。その後、成分認識部B12bでは、顔領域画像における処理対象領域において、(1)第4の成分y4(n)が所定のしきい値TH
3以下である画素を黒にし、それ以外の画素を白にする。次いで、(2)黒の画素の塊をラベリングする。そして、(3)ラベルLの塊の画素数をn
Lとし、空間分散をv
Lとする。
【0068】
更に、(4−1)n
Lが所定のしきい値TH
4より大きく、且つv
L/n
Lが所定のしきい値TH
5より小さければ、ラベルLに対応する第4の成分y4(n)の信号をしみ成分として認識し、出現位置及び形状を判別して、しみ成分を抽出する。これにより、入力顔画像からしみ成分を完全に抽出したしみ成分抽出表示顔画像を生成し得る。また、しみ成分を抽出した顔画像を入力顔画像情報x(n)から差し引くことでしみ成分除去表示顔画像を生成し得る。
【0069】
一方、(4−2)n
Lが1以上であり且つ所定のしきい値TH
6より小さく、且つv
L/n
Lが所定のしきい値TH
7より小さければ、ラベルLに対応する第4の成分y4(n)の信号を毛穴成分として認識し、出現位置及び形状を判別して毛穴成分を抽出する。これにより、入力顔画像から毛穴成分を完全に抽出した毛穴成分抽出表示顔画像を生成し得る。また、毛穴成分を抽出した顔画像を入力顔画像情報x(n)から差し引くことで毛穴成分除去表示顔画像を生成し得る。
【0070】
このように、しわ成分を先に抽出した後にしみ成分及び毛穴成分を抽出するように処理すれば、各成分の認識判別の精度をより向上させることができ、各成分をより精度よく抽出表示した各抽出表示顔画像30a〜30c等を生成することが可能となる。ただし、上述したようなしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の認識・抽出順序は一例であるため、各成分の認識・抽出順は適宜変更することができる。
【0071】
こうして、成分認識部12にて顔画像内の成分として認識判別されたしわ成分、しみ成分及び毛穴成分は、成分調整部13に出力され、各除去率調整部13a〜13cにおいて例えば重み付けが行われて、顔画像内での除去率がそれぞれ調整される。成分調整部13においては、例えば任意或いはランダムに各成分の除去率が調整され、その除去率が記憶手段4に記憶される。
【0072】
そして、除去率が調整されたしわ成分、しみ成分及び毛穴成分は合成部14に入力され、この合成部14において各成分の除去率によって各々増減したしわ成分、しみ成分、毛穴成分が、入力顔画像情報x(n)又は第1、第2、第3及び第5の成分と共に合成される。これにより、最終的にしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の各成分が任意或いはランダムに除去率にしたがって表現(除去や付加)された複数の候補顔画像が生成される。なお、顔画像処理がスタートして最初に生成された複数の候補顔画像は、例えば第1世代の候補顔画像として、ディスプレイの表示画面上に表示され得る。
【0073】
図11は、顔画像処理システムにおける表示画面上に表示された候補顔画像の表示態様を示す図である。
図11に示すように、表示画面上のウィンドウ枠20内には、例えばしわ、しみ及び毛穴の各成分がランダムに表現された第1世代の複数(ここでは、10個)の候補顔画像31,32,33,34,35,36,37,38,39,40が表示される。また、ウィンドウ枠20の右端部には、パネル表示部20aが表示される。このパネル表示部20aには、例えばOKボタン21,22と、選択メッセージ表示欄23a,23bと、候補顔画像番号表示欄25と、戻るボタン26,27とが表示される。候補顔画像番号表示欄25には、候補顔画像31〜40に対応する番号1〜10が表示される。また、選択メッセージ表示欄23aには、「10枚の中から3枚を選んでください」というテキストメッセージが表示される。更に、選択メッセージ表示欄23bには、「最終候補決定?」というテキストメッセージが表示される。
【0074】
なお、ユーザによって入力手段1の一つであるキーボードやマウス等を用いて選択枠24又は候補顔画像番号表示欄25によって選択された候補顔画像は、例えば選択枠24によって囲まれた状態で表示されると共に、候補顔画像番号表示欄25において該当する候補顔画像番号が丸囲み状態で表示される。すなわち、候補顔画像の選択は、マウス等によってユーザが選択枠24を動かして選択するか、候補顔画像番号表示欄25内の候補顔画像番号を選択するかにより行われる。
図11に示す例では、選択枠24及び候補顔画像番号表示欄25により、候補顔画像33,38,39の3つがユーザに選択された状態であることが示されている。この状態で、OKボタン21を選択押下すると、候補顔画像3枚が選択されたこととなる。一方、選択枠24等により最終的な候補顔画像を例えば1つ選択した状態でOKボタン22を選択押下すると、最終的な候補顔画像が選択決定されたこととなる。なお、戻るボタン26,27は、前画面や前処理に戻る際に選択押下される。
【0075】
そして、OKボタン21を選択押下して候補顔画像の選択がなされると、ユーザによって選択された候補顔画像33,38,39に基づいて、次世代の候補顔画像の生成が行われる。なお、この場合、成分抽出部16における成分抽出処理、成分調整部13における除去率調整処理などの各処理において用いられる上述した除去率のパラメータや、窓サイズw0,w1、εの値ε1,ε2,ε3などの各種のパラメータは、例えば公知の遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)を用いたインタラクティブ進化計算(IEC)により最適値が設定され得る。
【0076】
なお、このような最適値の設定は、遺伝的アルゴリズムを用いたインタラクティブ進化計算によるものに限定されるものではなく、その他種々の計算方式で設定されてもよい。ここで、公知の遺伝的アルゴリズムを用いたインタラクティブ進化計算に基づく交叉処理及び突然変異処理について簡単に説明する。
【0077】
本実施形態の顔画像処理システムにおけるGAを用いたIECにおいては、まず前提として、例えば上記除去率のパラメータや、窓サイズw0,w1、εの値ε1,ε2,ε3、その他の各種のパラメータを連結して二進数表現する。そして、連結したものを1つの染色とし、その染色体が1つの個体を表すものとする。
【0078】
次に、こうして表した個体に対してGAを適用する。まず、交叉処理については、選択された3つの候補顔画像33,38,39について、例えばランダムに2つの画像を交叉することを複数回(ここでは、2回)行って、結果的に複数個(ここでは、4つ)の交叉後の候補顔画像を生成する。これにより、それぞれの画像の嗜好性(好み)を掛け合わせた交叉後の候補顔画像が生成される。なお、交叉後の候補顔画像は、本実施形態では第2世代(次世代)となる。
【0079】
次に、突然変異処理については、上記のように選択された3つの候補顔画像33,38,39と共に交叉処理にて生成された4つの候補顔画像の中から、ウィンドウ枠20内に表示される10個の候補顔画像を揃えるべく、例えばランダムに選択された3つの候補顔画像におけるそれぞれの遺伝子配列の1点を変化させることを実行して、3つの突然変異後の候補顔画像を生成する。
【0080】
なお、突然変異処理は、次のような要求に応えるためにも必要である。すなわち、突然変異処理がなく交叉処理のみが行われて、その結果の候補顔画像のみがウィンドウ枠20内に表示される場合は、仮に第1世代の候補顔画像31〜40の中にユーザの嗜好性(好み)に合致した顔画像が存在しないとしたら、第2世代において好みではない顔画像の組み合わせでの遺伝子交叉となってしまう。このような場合は、ユーザの嗜好性に近い顔画像を選択することができなくなるという不具合が発生してしまうこととなる。従って、このような不具合を防止するためにも、交叉処理と共に突然変異処理も行うべきものである。
【0081】
そして、このように交叉処理及び突然変異処理を経て生成された複数の候補顔画像は、第2世代(次世代)の候補顔画像として、第1世代(前世代)の中から選択された3つの候補顔画像33,38,39と共に、出力手段3の一つであるディスプレイの表示画面上のウィンドウ枠20内に表示される。
【0082】
こうして第2世代の候補顔画像が表示された後、例えば選択枠24により、1つの候補顔画像をユーザが選択して選択メッセージ表示欄23bの下方のOKボタン22を選択押下すれば、最終候補を決定することができる。また、第2世代の候補顔画像の中から、上述したように再度3枚の候補顔画像を選択して選択メッセージ表示欄23aの下方のOKボタン21を選択押下した場合は、更に次世代の候補顔画像が生成されて表示される。このように、表示画面上のウィンドウ枠20内において表示された候補顔画像のうち、ユーザが嗜好性に合致したものを1つ決定した場合は、その決定した候補顔画像が最終的に出力される出力顔画像となる。
【0083】
なお、この場合、ユーザが最終的に1つ決定した候補顔画像は、例えば表示画面上の別のウィンドウ枠内にしわ、しみ及び毛穴の各成分の除去率と共に表示されてもよい。このとき、各成分の除去率と共に、最終的に決定された候補顔画像を表す顔画像情報を生成する各種のパラメータは、ユーザの基準パラメータとして記憶手段4に記憶され得る。一方、ユーザが嗜好性に合致したものを1つ決定しない場合は、上述したように繰り返し第3世代、第4世代と、候補顔画像が最終的に決定されるまで複数の候補顔画像の生成が繰り返され得る。
【0084】
このように、第1の実施形態に係る顔画像処理システムによれば、顔画像処理においてユーザの顔画像そのものに含まれるしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の除去率を調整して顔画像を生成することができる。従って、ユーザにとって理想とする、より自然な顔画像を自在に生成することができる。
【0085】
なお、このような本実施形態の顔画像処理システムの活用法としては、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、一例として、本顔画像処理システムを化粧品販売店に導入する。そして、来店したユーザの素顔画像を表す顔画像情報を顔画像処理システムに入力する。
【0086】
その後、例えば(1)顔画像処理部10によりユーザの好みのファンデーションの塗布済み顔画像を生成し、これらの顔画像を比較してしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の各成分のファンデーションによる隠蔽効果を評価する。或いは、(2)異なるファンデーションの塗布済み顔画像を生成し、これらファンデーションの違いによる各成分の隠蔽効果や隠蔽性能を評価する。
【0087】
また、(3)ファンデーションの塗布済み顔画像における経時変化に伴う各成分の隠蔽効果や隠蔽性能の変化を確認し、時間経過による化粧もちを評価する。更には、これらの評価結果、及びそれに伴う顔画像情報や基準パラメータ等に基づいて、(4)新たなメイクアップ製品(ファンデーション、BB(Blemish Balm)、コンシーラ等のメイク製品)の開発を行う。
【0088】
そして、ファンデーション等の他、(5)各種のスキンケア製品のしわ、しみ、毛穴等各成分の改善効果等を評価する。このように、本顔画像処理システムは、例えば上記(1)〜(5)等に有効活用することもできる。次に、本顔画像処理システムにおいて実施される顔画像処理方法による画像処理手順について説明する。
【0089】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る顔画像処理方法による画像処理手順を示すフローチャートである。また、
図13は、この顔画像処理方法による画像処理手順の一部の処理内容を示すフローチャートである。なお、以降においては、既に説明した部分や構成要素と同一又は相当する部分や構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0090】
本実施形態に係る顔画像処理方法は、例えば予め用意された顔画像処理プログラムを顔画像処理システムのコンピュータ(演算手段2)にインストールして実行させることにより実現する。なお、このコンピュータは、CPUやRAM、ROM、HDD、SSD等の各種演算装置や記憶装置(記憶手段4)を備える本体と、各種の情報を表示画面上に表示するディスプレイ(出力手段3)と、受け付けられた情報をCPU等に入力する入力インタフェース(入力I/F)及びキーボードやマウス等の入力装置(入力手段1)とを備えた一般的な構成により実現されている。以下、処理の主体は特に明記しない限りコンピュータであるとする。
【0091】
図12に示すように、まず、
図8に示すようなユーザの対象顔画像を含む入力顔画像の画像情報(画像データ)を入力I/Fを介して入力する(ステップS100)。そして、入力された画像情報に基づき、コンピュータによって上述したような顔領域抽出処理(ステップS101A)が行われる。これにより、除外領域が除外された顔領域画像を表す顔画像情報が生成される。なお、顔領域の抽出が行われない場合は、このステップS101Aの顔領域抽出処理は省略される。
【0092】
次に、コンピュータによって、上述した成分抽出認識処理(ステップS101B)及び成分除去率調整処理(ステップS101C)が行われ、初期(第1世代)の複数の候補顔画像が生成され(ステップS102)、これらの候補顔画像をディスプレイ上に表示する(ステップS104)。
【0093】
ここで、初期の候補顔画像は、例えば上述したような各成分の除去率や、w0,w1,ε1,ε2,ε3等のパラメータなどの各種のパラメータ値や数値の組をランダムにM通り作成し、各種のパラメータ値や数値の組毎に1つの処理画像を求めることで、結果的にM個の出力画像(候補顔画像)を生成することで得られる。これらをディスプレイ上に表示すれば、ユーザはしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の除去率がそれぞれ異なるM個の候補顔画像を視認することが可能となる。
【0094】
こうして表示された複数の候補顔画像の中から、例えばユーザが主観的に最も望ましいと思われるしわ、しみ及び毛穴の表示態様の最終的な顔画像が見つからなかった場合は、ユーザがマウス等の入力装置を利用して、例えばウィンドウ枠20内の選択枠24等により表示された候補顔画像を選択すること等により、所望のS個の候補顔画像の選択指示を行う。
【0095】
従って、コンピュータは、入力装置からの情報に基づき、最終的な顔画像が決定されたか否かを判断する(ステップS106)。最終的な顔画像の決定指示が受け付けられて出力する顔画像が決定された場合(ステップS106のYes)は、その顔画像を表す顔画像情報をコンピュータにて生成する除去率やデータのパラメータを含む各種のパラメータを決定し(ステップS108)、この決定されたパラメータを基準パラメータとして記憶装置に記憶する(ステップS109)。そして、最終的な顔画像を表す顔画像情報を出力して(ステップS110)、本フローチャートによる一連の顔画像処理を終了する。
【0096】
なお、上記ステップS110における顔画像情報の出力は、画像データを他のコンピュータ等に対してデータ出力したり、ディスプレイ上に表示出力したり、紙面上に印刷出力したりする種々の出力形態が含まれる。また、上記の各種のパラメータや基準パラメータを記憶装置に記憶する際に、最終的な顔画像を表す顔画像情報と関連付けて記憶するようにすれば、最終的な顔画像を表す顔画像情報と共にこれらのパラメータも出力することができる。
【0097】
一方、上記ステップS106において、最終的な顔画像が決定されなかった場合(ステップS106のNo)は、GAを用いたIECを行って(ステップS120)、次世代の候補顔画像を複数生成する。その後、生成した複数の候補顔画像の各種のパラメータを記憶装置に一時的に記憶し(ステップS130)、次世代の候補顔画像を生成した上で(ステップS132)上記ステップS104に移行して次世代の候補顔画像を表示し、以降の処理を繰り返す。
【0098】
ここで、上記ステップS120におけるIECは、例えば
図13に示すように行われる。すなわち、上記ステップS106にて最終的な顔画像が決定されなかった場合は、ユーザによって所望の候補顔画像の選択指示がなされたことになるので、コンピュータはユーザにより指定された候補顔画像の選択を受け付ける(ステップS122)。そして、受け付けた候補顔画像に適用された各種のパラメータ値や数値に基づいて交叉処理(ステップS124)及び突然変異処理(ステップS126)を行う。
【0099】
すなわち、GAを用いたIECにおいて、コンピュータは、例えば上述したようにディスプレイ上に表示された初期(前世代)のM個の候補顔画像(ステップS104)の中から、ユーザにより選択されたS個の候補顔画像(例えば、ステップS106のNo及びS122)を表す顔画像情報に適用された各種のパラメータ値、すなわち、各成分の除去率や、窓サイズw0,w1、εの値ε1,ε2,ε3等を再び連結して二進数表現の染色体とみなす。
【0100】
こうして、選択されたS個の個体に対して上述したような交叉処理(ステップS124)を行い、T1個の個体を新たに生成する。また、選択されたS個の個体と生成されたT1個の個体に対し、突然変異処理(ステップS126)を行い、新たにT2個の個体を生成する。これらT1個及びT2個の個体は、次期(次世代)の候補顔画像になる。なお、S個+T1個+T2個は例えばM個に等しい値とする。
【0101】
これら交叉処理及び突然変異処理で得られたS個+T1個+T2個の個体がそれぞれ示す各種のパラメータ値、窓サイズw0,w1、εの値ε1,ε2,ε3等を用いて、候補顔画像を表す顔画像情報を生成する。すなわち、これによりS個+T1個+T2個の顔画像(候補顔画像)を出力し得ることとなる。
【0102】
こうして得られたS個+T1個+T2個の候補顔画像を再びディスプレイ上に表示し(ステップS130及びS132の後のステップS104)、ユーザが最も望ましいと主観的に思える顔画像があればそれを最終的な顔画像として決定し、そうでなければ再度所望の顔画像をS個選択させる。
【0103】
その後、再びコンピュータはS個の個体に基づいて交叉処理や突然変異処理を行う。このような処理を、ユーザが満足する最終的な顔画像が決定される(ステップS106のYes)まで繰り返す。このように顔画像処理を行うことによって、しわ成分、しみ成分及び毛穴成分の表示態様をユーザの好みに近付けた、すなわちユーザにとって理想とするより自然な顔画像を生成することが可能となる。また、生成した顔画像を表す顔画像情報を各種のパラメータ値や数値、基準パラメータと共に種々の分野に有効利用することが可能となる。
【0104】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る顔画像処理システムの全体構成を示すブロック図であり、
図15は、この顔画像処理システムの顔色処理部の内部構成を示すブロック図である。また、
図16は、この顔画像処理システムによる画像処理手順を示すフローチャートである。第3の実施形態に係る顔画像処理システムは、上述した顔画像処理部10の構成の一部に顔色処理部15を備えた点が、顔画像処理部10が顔色処理部15を備えない構成の第1の実施形態に係る顔画像処理システムと相違している。
【0105】
顔色処理部15は、
図14に示すように、合成部14の後段に設けられている。この顔色処理部15は、
図15に示すように、例えば合成部14からの出力顔画像を表す顔画像情報の輝度及び色情報の少なくとも一つが所定の範囲である肌色領域を、出力顔画像から抽出する肌色抽出部15aと、抽出された肌色領域内の肌色の色合いを変化させる色合調整部15bとを有して構成されている。
【0106】
ここで、色情報としては、例えばRGB値、CMYK値、CIELAB(L*a*b*)値、マンセル表示値、CIEXYZ値、フィルタで得られた濃度値や、分光画像、分光反射波形、或いは反射透過率、赤外波長、紫外波長又はX線波長などが挙げられる。例えば、L*a*b*表色系においては、L*は明度を表し、色相と彩度をa*b*を使用して色調として表すことも可能である。
【0107】
なお、顔色処理部15は、例えば予め記憶手段4に記憶された輝度及び色情報の少なくとも一つのパラメータの値が所定の範囲となる複数のプリセットパターンや、各種のパラメータ値を利用する。これら各プリセットパターンや各種のパラメータ値は、顔色処理部15に格納されていてもよい。
【0108】
各プリセットパターンは、例えば人種別、性別、住環境(緯度、経度、地域)別、季節別、時刻別等に種類分けされて予め設定されている。そして、肌色抽出部15aは、例えばユーザが指定したプリセットパターンに基づいて、輝度及び色情報の少なくとも一つのパラメータの値がそのプリセットパターンで指定されている所定の範囲内となる肌色領域を抽出する。なお、肌色抽出部15aは、例えば入力された出力顔画像の顔領域全体の肌色領域を抽出する。
【0109】
また、色合調整部15bは、肌色抽出部15aにより抽出された肌色領域内の色情報、例えば各画素の色相や輝度を、次式(4)及び(5)を用いて変化させる。なお、式中の変数X、Yは、それぞれ0≦X<16、0≦Y<16の値を取り得る。
【0112】
すなわち、色合調整部15bは、
図15に示すように、例えば肌色抽出部15aからの肌色領域のRGBの色情報をHLS(HSL)色空間に展開し、色相(H)を上記式(4)によって変更してh
oldからh
newにする。また、輝度(L)を上記式(5)によって変更してL
oldからL
newにする。そして、これら変更した色相(H)と輝度(L)を変更しなかった彩度(S)と合成して肌色領域のRGBの色情報に変換し、色合いを調整した肌色領域のRGBの色情報を含む出力顔画像を生成した上で、出力顔画像情報y(n)を出力する。
【0113】
なお、色合調整部15bは、上記式(4)及び(5)を用いずに色合いを調整することもできるが、その場合はランダムに色が変化してしまう場合があるため、肌色領域の肌色が好ましくない肌色となるケースが確認されたため、好適ではない。そして、顔色処理部15における顔色のデータや各処理のパラメータ値は、随時記憶手段4に記憶され顔色処理に利用され得る。
【0114】
こうして肌色領域内の肌色を変化させた出力顔画像を表す出力顔画像情報y(n)は、
図14に示す場合は図示しない出力手段3に出力される。なお、候補顔画像の生成・表示における肌色の変化については、例えばGAを用いたIECにより最終的な候補を決定するようにしてもよい。この場合は、ユーザが最終的に決定した候補顔画像の肌色が理想の顔色として、肌色を決定する各種のパラメータ値と共に顔色データとして記憶手段4に記憶される。
【0115】
この第3の実施形態に係る顔画像処理システムによる画像処理手順は、例えば
図16に示すようになる。すなわち、上述した第2の実施形態の画像処理手順において、ステップS101Cの除去率調整処理の後段に上述したような顔色処理部15による顔色処理(ステップS101D)が行われる。これにより、初期の候補顔画像の生成時(ステップS102)には顔色(肌色領域の肌色)も変更させた候補顔画像を生成して、次のステップS104にて表示することが可能となる。
【0116】
このように、第3の実施形態に係る顔画像処理システムによれば、顔画像処理においてしわ、しみ及び毛穴成分の各成分の除去率を調整するのみならず、顔色を調整して顔画像を生成することができるので、よりユーザが理想とする自然な顔画像を自在に生成し出力することができる。なお、本実施形態の顔画像処理システムは、顔色処理部15の処理をメインストリームとして動作するようにしてもよい。すなわち、第1の実施形態におけるしわ成分、しみ成分及び毛穴成分に関する処理は行わずに、顔色に関して種々の変化を見せる候補顔画像を生成するようにしてもよい。
【0117】
顔色の処理に特化した場合は、本実施形態の顔画像処理システムは、例えば化粧品販売店において、(1)ユーザの理想とする顔色の出力顔画像を表す顔画像情報から各種のパラメータ値や顔色のデータを取得して、これらにマッチングするファンデーションを検索したり、提供したりすることに活用することができる。また、このような各種のパラメータ値や顔色のデータを利用すれば、例えば(2)化粧品販売店のスタッフとのカウンセリング等を介さずとも、ユーザが直接インターネット上で自身の嗜好に合う化粧品等を検索したり購入したりすることができるようになる。
【0118】
そして、第3の実施形態に係る顔画像処理システムは、上記(1),(2)の活用の他、例えば全ての機能を利用可能に構成すれば、ユーザのしわ成分、しみ成分及び毛穴成分の各成分や肌色の輝度、色情報をユーザにとって理想化した顔画像を生成し出力することが可能な美顔化システムとして機能させることができる。
【0119】
例えば、このような美顔化システムをインターネット上で相互利用可能に構成すれば、上記のようなカウンセリングを受けられないような地域に居住するユーザ、言語が異なるユーザ、発音にハンディキャップのあるユーザ等の種々のユーザに対し、顔色、しわ、しみ、毛穴等を調整したユーザの理想とする顔とマッチングするような種々の化粧品を提案することが可能になる。
【0120】
更に、各種のパラメータ値やデータを利用することでユーザの理想の顔を作り上げるファンデーションを3Dプリンタで出力したり、これらのデータ等を完全オーダーメイドの化粧品を作製したりすることに利用することもでき、生成した理想とする顔画像に基づきユーザの顔に実際にメイクを施す3Dメイクアップ装置に適用することも可能となる。
【0121】
なお、第2の実施形態で説明した顔画像処理方法は、上記のように予め用意された顔画像処理プログラムをコンピュータで実行することにより実現することができるのみならず、HD、CD−ROM、DVD、メモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された顔画像処理プログラムを、コンピュータにより読み出して実行することにより実現するようにしてもよい。顔画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布可能な伝送媒体であってもよい。
【0122】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0123】
例えば、上述した実施形態においては、成分抽出部16のε−フィルタバンク11において抽出された肌の所定成分を示す第3、第4及び第5の成分y3(n),y4(n),y5(n)のうち、第4の成分y4(n)のみに基づいてしわ成分、しみ成分及び毛穴成分を認識・判別するように構成したが、これに限定されるものではない。
【0124】
すなわち、フィルタの窓サイズやフィルタ値を調整して、顔画像の肌の所定成分を示す第3〜第5の成分y3(n)〜y5(n)すべてを用い、例えば肌のしみ成分を第3の成分y3(n)で表し、肌のしわ成分を第4の成分y4(n)で表し、更に肌の自然な凹凸である毛穴成分を第5の成分y5(n)で表すように構成してもよい。
【0125】
この場合は、入力顔画像情報x(n)をε−フィルタバンク11にて第1〜第5の成分y1(n)〜y5(n)に分割した後、顔画像の構造成分を示す第1及び第2の成分y1(n),y2(n)を合成部14に出力すると共に、第3〜第5の成分y3(n)〜y5(n)を成分認識部12に出力する。
【0126】
そして、成分認識部12において、第3〜第5の成分y3(n)〜y5(n)に基づき、しみ成分、しわ成分及び毛穴成分を認識・判別し、成分調整部13にて各成分の除去率を調整するようにすればよい。このような構成によっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏し、ユーザにとって理想とする、より自然な顔画像を自在に生成することが可能である。