【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/高い環境耐性を有するキャリアコンバータ技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発
明に関する各実施形態について
図1乃至
図11を参照しながら説明する。
【0015】
<第1実施形態>
(構成)
図1及び
図2に表されるように、第1実施形態の光源装置1は、基部10と、増幅部20と、を備える。
図1は、光源装置1の斜視図である。
図2は、光源装置1の平面図である。本例では、光源装置1は、シリコンフォトニクスと呼ばれる技術を用いて実現される。例えば、光源装置1は、シリコン(Si)、及び、二酸化ケイ素(SiO
2)を用いて実現される。また、光源装置1は、石英、二酸化ケイ素(SiO
2)、又は、窒化酸化シリコン(SiON)等を含むガラス材料を用いて実現されてもよい。本例では、基部10は、光素子に対応する。本例では、基部10は、波長フィルタと表されてもよい。
【0016】
基部10は、長辺及び短辺を有する長方形状を有する板状である。なお、基部10は、長方形状と異なる形状(例えば、正方形状、多角形状、楕円形状、又は、円形状等)を有していてもよい。例えば、基部10の一辺の長さは、0.1mm乃至20mmの長さである。
【0017】
図1及び
図2に表されるように、X軸、Y軸及びZ軸を有する右手系の直交座標系を用いて光源装置1について説明を加える。Z軸は、基部10に直交する方向(換言すると、基部10の厚み方向)にて延びる。Y軸は、基部10の短辺に沿って延びる。X軸は、基部10の長辺に沿って延びる。
なお、後述する
図3乃至
図5においても、
図1及び
図2と同一の直交座標系が用いられる。
【0018】
図3は、
図2のIII−III線により表される平面により切断された光源装置1の断面をY軸の正方向にて見た図である。
図3に表されるように、基部10は、Z軸の正方向に順次に積み重ねられた、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4、及び、第5層L5を備える。各層L1〜L5は、板状である。基部10は、積層体であると捉えられてよい。
【0019】
第1層L1は、シリコン(Si)からなる基板101により構成される。第2層L2は、シリコン酸化物(本例では、二酸化ケイ素(SiO
2))からなる第1クラッド部102により構成される。第3層L3は、シリコン(Si)からなるコア部1031と、シリコン酸化物(本例では、二酸化ケイ素(SiO
2))からなる第2クラッド部1032と、により構成される。第4層L4は、シリコン酸化物(本例では、二酸化ケイ素(SiO
2))からなる第3クラッド部104により構成される。第5層L5は、金属(本例では、タンタル(Ta))からなる導電部105により構成される。なお、導電部105は、プラチナ(Pt)からなっていてもよい。
【0020】
例えば、第1層L1の厚さは、30μm乃至3mmの厚さである。例えば、第2層L2の厚さは、1μm乃至5μmの厚さである。例えば、第3層L3の厚さは、20nm乃至2μmの厚さである。例えば、第4層L4の厚さは、1μm乃至7μmの厚さである。例えば、第5層L5の厚さは、10nm乃至1μmの厚さである。
【0021】
増幅部20は、光増幅器21と、接続インタフェース22と、を備える。
光増幅器21は、誘導放出によって光を増幅する。本例では、光増幅器21は、量子ドット光増幅器である。量子ドット光増幅器は、量子ドット半導体光増幅器(QD−SOA;Quantum−Dot Semiconductor Optical Amplifier)、又は、量子ドット利得チップと表されてもよい。なお、光増幅器21は、量子井戸光増幅器であってもよい。また、光増幅器21は、ドープガラス、又は、ラマンゲイン等の非線形ゲインを示すゲイン材料を用いて実現されてもよい。
【0022】
光増幅器21は、X軸方向に延びる長辺と、Y軸方向に延びる短辺と、を有する長方形状を有する板状である。なお、光増幅器21は、長方形状と異なる形状(例えば、正方形状、多角形状、楕円形状、又は、円形状等)を有していてもよい。例えば、光増幅器21の一辺の長さは、0.1mm乃至20mmの長さである。例えば、光増幅器21のZ軸方向における長さ(換言すると、光増幅器21の厚さ)は、1μm乃至7μmの長さである。
【0023】
図4は、
図2のIV−IV線により表される平面により切断された光源装置1の断面をY軸の正方向にて見た図である。
図4に表されるように、光増幅器21は、Z軸の正方向に順次に積み重ねられた、第1電極211、第1クラッド部212、量子ドット部213、第2クラッド部214、及び、第2電極215を備える。第1電極211、第1クラッド部212、量子ドット部213、第2クラッド部214、及び、第2電極215のそれぞれは、板状である。光増幅器21は、積層体であると捉えられてよい。
【0024】
第1クラッド部212は、n型の半導体からなる。本例では、第1クラッド部212は、n型のヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)からなる。量子ドット部213は、量子ドットを構成する。本例では、量子ドットは、ヒ化インジウム(InAs)からなる層を含む積層体により構成される。第2クラッド部214は、p型の半導体からなる。本例では、第2クラッド部214は、p型のヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)からなる。
【0025】
本例では、量子ドット部213のバンドギャップ波長は、後述する第1光導波路11のバンドギャップ波長よりも大きい。バンドギャップ波長は、エネルギーのバンドギャップを波長に換算した値である。
【0026】
第1電極211は、接地される。
図2に表されるように、第2電極215のY軸方向における長さ(換言すると、第2電極215の幅)は、光増幅器21のY軸方向における長さ(換言すると、光増幅器21の幅)よりも短い。第2電極215には、図示されない第1電力源が接続される。これにより、光増幅器21に電力が供給される。
【0027】
図1、
図2及び
図4に表されるように、光増幅器21は、基部10の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面に固定される。本例では、光増幅器21は、光増幅器21の量子ドット部213の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の正方向側の端面と、接続インタフェース22の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面と、が接するように固定される。換言すると、光増幅器21は、バットジョイント方式にて接続インタフェース22に固定される。
【0028】
なお、光増幅器21は、接続インタフェース22と接していなくてもよい。例えば、光増幅器21は、光増幅器21の量子ドット部213の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の正方向側の端面と、接続インタフェース22の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面と、が隔てられるとともに、レンズ等の光学素子を含む光学系、又は、光ファイバを介して接続インタフェース22と光学的に接続されていてもよい。
【0029】
光増幅器21の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の正方向側の端面は、反射防止膜を有する。例えば、反射防止膜の反射率は、0.01%乃至30%の値を有する。反射防止膜の反射率は、反射防止膜に入力される光の強度に対する、反射防止膜により反射される光の強度の割合を表す。反射防止膜は、AR(Anti−Reflection)コーティングと表されてもよい。
【0030】
光増幅器21の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面は、へき開面である。本例では、光増幅器21の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面は、所定の反射率を有する部分反射膜を有する。部分反射膜の反射率は、部分反射膜に入力される光の強度に対する、部分反射膜により反射される光の強度の割合を表す。例えば、反射率は、30%乃至99%の値を有する。
【0031】
光増幅器21は、
図6に表されるように、所定の第1波長域R1を有する光を生成する。本例では、第1波長域R1は、光増幅器21により生成される光の強度のうちの最大値を2により除した値よりも強度が大きい波長の範囲である。本例では、光の強度は、光のエネルギーに対応する。なお、光の強度は、光の振幅に対応してもよい。
【0032】
光増幅器21は、生成した光を、X軸方向における両端面のうちの、X軸の正方向側の端面から出力する。更に、光増幅器21は、X軸方向における両端面のうちの、X軸の正方向側の端面から入力された光を、誘導放出によって増幅する。
【0033】
光増幅器21は、増幅された光のうちの部分反射膜を通過した部分を、光増幅器21の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面
(光出力部)から光源装置1の外部へ出力する。光の通過は、光の透過と表されてもよい。
【0034】
更に、光増幅器21は、増幅された光のうちの部分反射膜により反射された部分を、再び誘導放出によって増幅し、増幅された光を、X軸方向における両端面のうちの、X軸の正方向側の端面から出力する。
本例では、光増幅器21の、X軸方向における両端面のうちの、X軸の負方向側の端面
(光出力部)から光源装置1の外部へ出力される光は、レーザ光であると捉えられてよい。
【0035】
図1及び
図2に表されるように、接続インタフェース22は、X軸方向に延びる長辺と、Y軸方向に延びる短辺と、を有する長方形状を有する板状である。なお、接続インタフェース22は、長方形状と異なる形状(例えば、正方形状、多角形状、楕円形状、又は、円形状等)を有していてもよい。接続インタフェース22のY軸方向における長さ(換言すると、接続インタフェース22の幅)は、光増幅器21のY軸方向における長さ(換言すると、光増幅器21の幅)よりも短い。
【0036】
図4に表されるように、接続インタフェース22のZ軸方向における長さ(換言すると、接続インタフェース22の厚さ)は、量子ドット部213のZ軸方向における長さ(換言すると、量子ドット部213の厚さ)と等しい。なお、接続インタフェース22の厚さは、量子ドット部213の厚さと異なっていてもよい。
【0037】
図4に表されるように、接続インタフェース22は、基部10に埋設される。本例では、接続インタフェース22は、基板101の、Z軸方向における両端面のうちの、Z軸の正方向側の端面と接する。接続インタフェース22は、基部10のうちの、Y軸の負方向側の端部であり、且つ、X軸の負方向側の端部である部分に位置する。
【0038】
本例では、接続インタフェース22は、光が通る経路の断面積を変換するSSC(Spot Size Converter)である。例えば、光が通る経路の断面積は、モードフィールド径により表されてよい。
【0039】
図2及び
図4に表されるように、接続インタフェース22は、後述する第1光導波路11の、X軸の負方向側の端部を収容する。これにより、接続インタフェース22は、後述する第1光導波路11の、X軸の負方向側の端部と、光増幅器21と、を光学的に接続する。
【0040】
図5は、
図3及び
図4のV−V線により表される平面により切断された光源装置1の断面をZ軸の負方向にて見た図である。
図5に表されるように、コア部1031は、第1光導波路11と、N個の環状光導波路12−1,12−2,…,12−Nと、N個の第2光導波路13−1,13−2,…,13−Nと、を含む。Nは、自然数を表す。本例では、Nは、2を表す。
【0041】
以下において、環状光導波路12−nは、他の環状光導波路と区別される必要がない場合、環状光導波路12と表されてもよい。nは、1からNの各整数を表す。同様に、以下において、第2光導波路13−nは、他の第2光導波路と区別される必要がない場合、第2光導波路13と表されてもよい。
【0042】
本例では、環状光導波路12−n、及び、第2光導波路13−nは、第nモジュールを構成する。従って、本例では、光源装置1は、N個のモジュール(換言すると、第1乃至第Nモジュール)を備える。第1乃至第Nモジュールは、第1光導波路11に沿って整列する。本例では、第1乃至第Nモジュールは、X軸方向にて整列する。
【0043】
本例では、第1乃至第Nモジュールは、互いに異なるN個の目標波長(換言すると、第1乃至第N目標波長)にそれぞれ対応する。本例では、目標波長は、1GHz乃至1PHzの周波数に対応する波長である。本例では、光増幅器21の部分反射膜から、第nモジュールにおける、後述する反射部134までに光が通る経路の長さ(換言すると、光路長)は、第n目標波長の光が定在波を形成する長さである。
【0044】
第1光導波路11は、所定の第1幅を有するとともにX軸方向にて延びる直線状である。例えば、第1幅(換言すると、第1光導波路11の、Y軸方向における長さ)は、40nm乃至4μmの長さである。
【0045】
第1光導波路11の、X軸の負方向側の端部は、X軸の負方向側の端に近づくほど幅が狭くなる先細形状である。上述したように、第1光導波路11の、X軸の負方向側の端部は、接続インタフェース22に収容される。これにより、第1光導波路11は、X軸の負方向側の端部が、接続インタフェース22を介して、光増幅器21と光学的に接続される。
【0046】
環状光導波路12−nは、所定の第2幅を有する環状である。本例では、環状光導波路12−nは、第2幅を有する円形状である。なお、環状光導波路12−nは、第2幅を有する楕円形状であってもよい。本例では、第2幅は、第1幅と等しい。なお、第2幅は、第1幅と異なっていてもよい。例えば、環状光導波路12−nの直径は、5μm乃至50μmの長さである。
【0047】
環状光導波路12−nは、第1光導波路11に対して、Y軸の正方向側に位置する。環状光導波路12−nは、Y軸方向において、第1光導波路11と所定の第1距離だけ隔てられる。
なお、第1光導波路11は、環状光導波路12−nと隣接しない位置において曲線部を有していてもよい。
【0048】
第2光導波路13−nは、共振部131と、位相制御部132と、振幅制御部133と、反射部134と、第1終端部135と、第2終端部136と、を含む。本例では、位相制御部132、及び、振幅制御部133は、制御部を構成する。
【0049】
共振部131は、所定の第3幅を有する直線状である。本例では、第3幅は、第1幅と等しい。なお、第3幅は第1幅と異なっていてもよい。共振部131は、Y軸方向にて環状光導波路12−nが共振部131及び第1光導波路11の間に挟まれるようにX軸方向にて延びる。
共振部131は、Y軸方向において、環状光導波路12−nと所定の第2距離だけ隔てられる。本例では、第2距離は、第1距離と等しい。なお、第2距離は、第1距離と異なっていてもよい。
【0050】
本例では、共振部131は、第1光導波路11、及び、環状光導波路12−nとともにリング共振器を構成する。環状光導波路12−nは、リング共振器に入力された光のうちの、所定の波長間隔だけ互いに異なる複数の波長の光と共振する。これにより、リング共振器は、当該リング共振器に入力された光のうちの、波長間隔だけ互いに異なる複数の波長の光を通過させる。
【0051】
図7は、リング共振器が有する通過率の波長に対する変化を実線により表す。通過率は、リング共振器に入力される光の強度に対する、リング共振器から出力される光の強度の割合を表す。
図7に表されるように、通過率は、波長間隔G1だけ互いに異なる複数の波長のそれぞれにて極大値を有する。本例では、第nモジュールのリング共振器は、通過率が第n目標波長にて極大値を有するように構成される。
リング共振器は、後述する第1温度制御部14−nによって環状光導波路12−nの温度が制御されることにより、当該リング共振器を通過する光の波長を制御する。
【0052】
例えば、リング共振器の結合係数が上限閾値よりも大きい場合、第n目標波長と異なる波長にてレーザ発振が生じる虞がある。リング共振器の結合係数は、当該リング共振器に入力された光の強度に対する、当該共振リングから出力された光の強度の割合を表す。また、例えば、リング共振器の結合係数が下限閾値よりも小さい場合、レーザ発振が生じない虞がある。
【0053】
そこで、本例では、共振部131、第1光導波路11、及び、環状光導波路12−nは、リング共振器の結合係数が下限閾値、乃至、上限閾値の値を有するように構成される。本例では、下限閾値は0.2であるとともに、上限閾値は0.5である。なお、光増幅器21が量子井戸光増幅器である場合、下限閾値が0.05であるとともに、上限閾値が0.15であってもよい。
【0054】
位相制御部132は、後述する第2温度制御部15−nによって位相制御部132の温度が制御されることにより、位相制御部132を通過する光の位相を制御する。本例では、位相制御部132は、位相制御部132を通過する光のうちの、第n目標波長を有する光の位相を制御する。
【0055】
位相制御部132は、第3幅を有するとともにY軸方向にて延びる直線状である。位相制御部132の、Y軸の負方向側の端部は、共振部131の、X軸の負方向側の端部に連接する。位相制御部132は、位相シフタ132と表されてもよい。
【0056】
振幅制御部133は、後述する第3温度制御部16−nによって振幅制御部133の温度が制御されることにより、振幅制御部133を通過する光の振幅を制御する。本例では、振幅制御部133は、振幅制御部133を通過する光のうちの、第n目標波長を有する光の振幅を制御する。
【0057】
本例では、振幅制御部133は、マッハツェンダ干渉を用いることにより光の振幅を制御する。振幅制御部133は、第1アーム部1331と、第2アーム部1332と、を含む。第1アーム部1331及び第2アーム部1332のそれぞれは、第3幅を有するとともにY軸方向にて延びる直線部を有する。第1アーム部1331の直線部、及び、第2アーム部1332の直線部は、X軸方向において互いに隔てられる。
【0058】
第1アーム部1331の、Y軸の負方向側の端部、及び、第2アーム部1332の、Y軸の負方向側の端部のそれぞれは、位相制御部132の、Y軸の正方向側の端部に連接する。第1アーム部1331の、Y軸の正方向側の端部、及び、第2アーム部1332の、Y軸の正方向側の端部のそれぞれは、後述する反射部134の、Y軸の負方向側の端部に連接する。
【0059】
反射部134は、反射部134に入力された光のうちの、所定の第2波長域を有する光を反射する。第2波長域は、第1波長域よりも狭い。本例では、反射部134は、ブラッグ反射を用いることにより、第2波長域を有する光を反射する。本例では、反射部134は、分布ブラッグ反射鏡(DBR;Distributed Bragg Reflector)、又は、ブラッググレーティングと表されてもよい。
【0060】
図7は、反射部134が有する反射率の波長に対する変化を一点鎖線により表す。反射部134の反射率は、反射部134に入力される光の強度に対する、反射部134により反射される光(換言すると、反射部134から出力される光)の強度の割合を表す。
【0061】
図7に表されるように、第2波長域R2は、波長間隔G1の2倍よりも小さい。本例では、第2波長域R2は、反射部134が有する反射率のうちの最大値を2により除した値よりも反射率が大きい波長の範囲である。
【0062】
更に、本例では、第nモジュールの反射部134は、第2波長域R2の中心の波長が、第n目標波長と一致するように構成される。従って、本例では、第2波長域R2の中心の波長は、リング共振器の通過率が極大値を有する波長とも一致する。
【0063】
反射部134は、第3幅を有するとともにY軸方向にて延びる直線状であり、且つ、第3幅よりも広い第4幅を有する拡幅部を複数有する。例えば、第4幅は、第3幅よりも5nm乃至50nmの長さだけ長い。
複数の拡幅部は、Y軸方向において等間隔に位置する。例えば、互いに隣接する拡幅部間の、Y軸方向における距離は、100nm乃至400nmの長さである。
【0064】
このように、本例では、第2光導波路13−nは、Y軸の負方向側の端部に共振部131を有するとともに、Y軸の正方向側の端部に反射部134を有する。更に、本例では、第2光導波路13−nは、位相制御部132及び振幅制御部133を、共振部131及び反射部134の間に有する。加えて、本例では、第2光導波路13−nは、位相制御部132、振幅制御部133、及び、反射部134がY軸方向にて整列する。
【0065】
なお、第2光導波路13−nは、位相制御部132の位置と、振幅制御部133の位置と、が入れ替えられていてもよい。また、第2光導波路13−nは、位相制御部132及び振幅制御部133の一方を含まなくてもよい。
【0066】
第1終端部135は、第1終端部135に入力された光(例えば、反射部134により反射されなかった光)を終端する。本例では、第1終端部135は、Y軸方向にて延びる直線状であり、且つ、Y軸の正方向側の端に近づくほど幅が狭くなる先細形状である。第1終端部135の、Y軸の負方向側の端部は、反射部134の、Y軸の正方向側の端部に連接する。
【0067】
第2終端部136は、第2終端部136に入力された光(例えば、環状光導波路12−nにより共振しなかった光)を終端する。本例では、第2終端部136は、Y軸方向にて延びる直線状であり、且つ、Y軸の正方向側の端に近づくほど幅が狭くなる先細形状である。第2終端部136の、Y軸の負方向側の端部は、共振部131の、X軸の正方向側の端部に連接する。
【0068】
図2に表されるように、導電部105は、N個の第1温度制御部14−1,14−2,…,14−Nと、N個の第2温度制御部15−1,15−2,…,15−Nと、N個の第3温度制御部16−1,16−2,…,16−Nと、を含む。
【0069】
以下において、第1温度制御部14−nは、他の第1温度制御部と区別される必要がない場合、第1温度制御部14と表されてもよい。同様に、以下において、第2温度制御部15−nは、他の第2温度制御部と区別される必要がない場合、第2温度制御部15と表されてもよい。同様に、以下において、第3温度制御部16−nは、他の第3温度制御部と区別される必要がない場合、第3温度制御部16と表されてもよい。
【0070】
第1温度制御部14−nは、ヒータ部141と、2個の配線部1421,1422と、2個の端子部1431,1432と、を含む。
ヒータ部141は、第1幅を有するとともに、Z軸の負方向にて光源装置1を見た場合において環状光導波路12−nを被覆する円弧状である。
2個の配線部1421,1422のそれぞれは、Y軸方向にて延びる直線状である。2個の配線部1421,1422の、Y軸の正方向側の端部は、ヒータ部141の両端部にそれぞれ連接する。
【0071】
2個の端子部1431,1432は、長方形状である。2個の端子部1431,1432の、Y軸の正方向側の端部は、2個の配線部1421,1422の、Y軸の負方向側の端部にそれぞれ連接する。2個の端子部1431,1432には、図示されない第2電力源が接続される。これにより、第1温度制御部14−nに電力が供給される。
このようにして、第1温度制御部14−nは、環状光導波路12−nの温度を制御する。
【0072】
第2温度制御部15−nは、ヒータ部151と、2個の配線部1521,1522と、2個の端子部1531,1532と、を含む。
ヒータ部151は、第1幅よりも僅かに広い第5幅を有するとともに、Z軸の負方向にて光源装置1を見た場合において位相制御部132を被覆する直線状である。
2個の配線部1521,1522のそれぞれは、X軸方向にて延びる直線状である。2個の配線部1521,1522の、X軸の負方向側の端部は、ヒータ部151の両端部にそれぞれ連接する。
【0073】
2個の端子部1531,1532は、長方形状である。2個の端子部1531,1532の、X軸の負方向側の端部は、2個の配線部1521,1522の、X軸の正方向側の端部にそれぞれ連接する。2個の端子部1531,1532には、図示されない第3電力源が接続される。これにより、第2温度制御部15−nに電力が供給される。
このようにして、第2温度制御部15−nは、位相制御部132の温度を制御する。
【0074】
第3温度制御部16−nは、ヒータ部161と、2個の配線部1621,1622と、2個の端子部1631,1632と、を含む。
ヒータ部161は、第5幅を有するとともに、Z軸の負方向にて光源装置1を見た場合において振幅制御部133の第1アーム部1331を被覆する直線状である。
2個の配線部1621,1622のそれぞれは、X軸方向にて延びる直線状である。2個の配線部1621,1622の、X軸の正方向側の端部は、ヒータ部161の両端部にそれぞれ連接する。
【0075】
2個の端子部1631,1632は、長方形状である。2個の端子部1631,1632の、X軸の正方向側の端部は、2個の配線部1621,1622の、X軸の負方向側の端部にそれぞれ連接する。2個の端子部1631,1632には、図示されない第4電力源が接続される。これにより、第3温度制御部16−nに電力が供給される。
このようにして、第3温度制御部16−nは、振幅制御部133の第1アーム部1331の温度を制御する。
【0076】
なお、光源装置1は、第1温度制御部14−nを備えなくてもよい。また、光源装置1は、第2温度制御部15−nを備えなくてもよい。また、光源装置1は、第3温度制御部16−nを備えなくてもよい。
【0077】
(動作)
次に、光源装置1の動作について説明する。
先ず、第1温度制御部14−n、第2温度制御部15−n、及び、第3温度制御部16−nに電力が供給されることにより、環状光導波路12−nの温度、位相制御部132の温度、及び、振幅制御部133の第1アーム部1331の温度、がそれぞれ制御される。
【0078】
次いで、光増幅器21は、第1波長域R1を有する光を生成し、生成した光を接続インタフェース22を介して第1光導波路11へ出力する。
【0079】
第nモジュールにおいて、光増幅器21から第1光導波路11へ入力された光のうちの、第n目標波長を含むとともに波長間隔G1だけ互いに異なる複数の波長の光は、リング共振器を通過する。
第nモジュールにおいて、リング共振器を通過した上記光は、位相制御部132により位相が制御される。
第nモジュールにおいて、位相制御部132により位相が制御された上記光は、振幅制御部133により振幅が制御される。
【0080】
第nモジュールにおいて、振幅制御部133により振幅が制御された上記光のうちの、第2波長域R2を有する光(本例では、第n目標波長を有する光)が反射部134により反射される。
【0081】
第nモジュールにおいて、反射部134により反射された上記光は、振幅制御部133により振幅が制御される。
第nモジュールにおいて、振幅制御部133により振幅が制御された上記光は、位相制御部132により位相が制御される。
第nモジュールにおいて、位相制御部132により位相が制御された上記光は、リング共振器を通過する。
【0082】
これにより、第1乃至第Nモジュールのそれぞれから出力された光(換言すると、第1乃至第N目標波長のそれぞれを有する光)は、第1光導波路11に入力される。
第1乃至第Nモジュールのそれぞれから第1光導波路11へ入力された光は、接続インタフェース22を介して光増幅器21に入力される。
【0083】
光増幅器21は、接続インタフェース22を介して第1光導波路11から入力された光を、誘導放出によって増幅する。
光増幅器21は、増幅された光のうちの部分反射膜を通過した部分を光源装置1の外部へ出力する。更に、光増幅器21は、増幅された光のうちの部分反射膜により反射された部分を、再び誘導放出によって増幅し、増幅された光を、接続インタフェース22を介して第1光導波路11へ出力する。
【0084】
以上、説明したように、第1実施形態の光源装置1は、誘導放出によって光を増幅する光増幅器21と、光増幅器21と光学的に接続された第1光導波路11と、環状光導波路12−nと、第2光導波路13−nと、を備える。更に、第2光導波路13−nは、第1光導波路11及び環状光導波路12−nとともにリング共振器を構成する共振部131を一方の端部に有するとともに、所定の波長域を有する光を反射する反射部134を他方の端部に有する。
【0085】
加えて、第2光導波路13−nは、第2光導波路13−nを通過する光の振幅、及び、当該光の位相の少なくとも1つ(本例では、両方)を制御する制御部132,133を、反射部134及び共振部131の間に有する。
【0086】
光源装置1によれば、光増幅器21から出力された光は、第2光導波路13−nの反射部134に到達する前に制御部132,133を通過するとともに、第2光導波路13−nの反射部134によって反射された後にも制御部132,133を通過し、その後、光増幅器21に入力される。換言すると、光増幅器21から出力された光が当該光増幅器21へ入力されるまでの間に、当該光が制御部132,133により制御される回数は2回である。
【0087】
従って、光増幅器から出力された光が当該光増幅器へ入力されるまでの間に、当該光が制御部により制御される回数が1回である場合よりも、光が制御部132,133を通過する毎に制御部132,133によって制御される制御量(本例では、光の振幅の変化量、及び、光の位相の変化量)を抑制できる。この結果、制御部132,133における制御量を迅速に変更できる。
【0088】
また、光源装置1によれば、リング共振器に入力された光のうちの、所定の波長間隔G1だけ互いに異なる複数の波長の光が、リング共振器を通過する。更に、反射部134によって、所定の第2波長域R2を有する光が反射される。
【0089】
従って、光源装置1のように、リング共振器を通過した光のうちの、所定の目標波長と異なる波長を有する光が、反射部134によって反射されないように、リング共振器を通過する光の波長間隔G1、及び、反射部134により反射される光の第2波長域R2を設定することにより、目標波長を有する光を光増幅器21に入力できる。この結果、光源装置1は、目標波長を有する光を高い精度にて生成できる。
【0090】
更に、第1実施形態の光源装置1は、環状光導波路12−n及び第2光導波路13−nを含むモジュールを複数備える。加えて、複数のモジュールは、第1光導波路11に沿って整列する。
【0091】
光源装置1によれば、複数のモジュールを、互いに異なる複数の目標波長にそれぞれ対応させることができる。これにより、光増幅器21に入力される光の波形を任意の波形に制御できる。この結果、光源装置1により生成される光の波形を任意の波形に制御できる。
【0092】
また、光源装置1によれば、複数の波長をそれぞれ有する複数の光を合波する合波器を設けることなく、複数の波長を有する光を生成できる。従って、合波器を設ける場合よりも、光源装置1を小さくすることができる。
また、光源装置1によれば、複数のモジュールが第1光導波路11に沿って整列するので、複数のモジュールが占める領域の面積を小さくすることができる。この結果、光源装置1を小さくすることができる。
【0093】
更に、第1実施形態の光源装置1において、第1光導波路11は、第1方向としてのX軸方向にて延びる。更に、複数のモジュールのそれぞれは、第1方向と直交する第2方向としてのY軸方向にて反射部134及び制御部132,133が整列する。
【0094】
光源装置1によれば、複数のモジュールが占める領域の第1方向における長さを短縮できる。
【0095】
更に、第1実施形態の光源装置1において、共振部131は、第1方向と直交する第2方向にて環状光導波路12−nが共振部131及び第1光導波路11の間に挟まれるように、共振部131が第1方向にて延びる。
【0096】
光源装置1によれば、共振部131における光と、第1光導波路11における光と、の間の干渉を抑制できる。これにより、光増幅器21に入力される光の波形を高い精度にて制御できる。この結果、光源装置1により生成される光の波形を高い精度にて制御できる。
【0097】
更に、第1実施形態の光源装置1は、環状光導波路12−nの温度を制御する第1温度制御部14−nを備える。
【0098】
光源装置1によれば、リング共振器を通過する光の波長間隔G1を高い精度にて制御できる。これにより、光増幅器21に入力される光の波長を高い精度にて制御できる。この結果、光源装置1により生成される光の波長を高い精度にて制御できる。
【0099】
更に、第1実施形態の光源装置1において、制御部132,133は、温度が制御されることにより光の振幅を制御する振幅制御部133を含む。更に、光源装置1は、振幅制御部133の温度を制御する第2温度制御部15−nを備える。
【0100】
光源装置1によれば、光増幅器21に入力される光の振幅を高い精度にて制御できる。この結果、光源装置1により生成される光の振幅を高い精度にて制御できる。
【0101】
更に、第1実施形態の光源装置1において、制御部132,133は、温度が制御されることにより光の位相を制御する位相制御部132を含む。更に、光源装置1は、位相制御部132の温度を制御する第3温度制御部16−nを備える。
【0102】
光源装置1によれば、光増幅器21に入力される光の位相を高い精度にて制御できる。この結果、光源装置1により生成される光の位相を高い精度にて制御できる。
【0103】
更に、第1実施形態の光源装置1において、光増幅器21は、量子ドット光増幅器である。
【0104】
光源装置1によれば、光増幅器21は、複数の波長のそれぞれを有する光を高い精度にて増幅できる。この結果、光源装置1により生成される光の波形を高い精度にて制御できる。
【0105】
図8は、光源装置1によって生成された光の出力パワー(換言すると、光源装置1から光源装置1の外部へ出力された光のエネルギー)の、波長に対する変化を表す。
図8において、出力パワーは、任意単位によって表される。曲線C1乃至曲線C6は、第1温度制御部14−1に供給される電力がそれぞれ第1電力乃至第6電力である場合における出力パワーを表す。第p電力は、第q電力よりも大きい。pは、2乃至6の各整数を表す。qは、p−1を表す。
【0106】
図8に表されるように、第1温度制御部14−1に供給される電力が小さくなるほど、第1モジュールを用いて生成される光の波長が短くなる。このように、光源装置1によれば、光源装置1により生成される光が有する複数の波長を独立して制御できる。
例えば、光源装置1は、2つの波長を有する光を生成するとともに、当該2つの波長の差が、200GHzに対応する波長と、20GHzに対応する波長と、の間の任意の値に一致するように、当該2つの波長を制御することができる。
【0107】
従って、例えば、光源装置1によれば、モジュールを4個備えることにより、
図9に表されるように、パルス状の波形を有する光を生成できる。
また、例えば、光源装置1によれば、モジュールを7個備えることにより、
図10に表されるように、三角形状の波形を有する光を生成できる。
【0108】
例えば、光源装置1は、任意形状の波形を有する光を生成可能な光シンセサイザに適用される。また、例えば、光源装置1は、マイクロ波を生成するマイクロ波発生装置、テラヘルツ波を生成するテラヘルツ波発生装置、又は、パルス状の波形を有する光(換言すると、パルス光)を生成するパルス光発生装置等に適用される。
【0109】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の光源装置について説明する。第2実施形態の光源装置は、第1実施形態の光源装置に対して、第2光導波路の形状が相違する。以下、相違点を中心として説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又はほぼ同様のものである。
【0110】
第2実施形態の光源装置1は、
図5に対応する光源装置1の断面図である
図11に表されるように、N個の第2光導波路13−1,13−2,…,13−Nに代えて、N個の第2光導波路13A−1,13A−2,…,13A−Nを備える。以下において、第2光導波路13A−nは、他の第2光導波路と区別される必要がない場合、第2光導波路13Aと表されてもよい。
【0111】
第2光導波路13A−nは、第1実施形態の第2光導波路13−nと同様に、共振部131と、位相制御部132と、振幅制御部133と、反射部134と、第1終端部135と、第2終端部136と、を含む。
【0112】
第2光導波路13A−nの反射部134は、第3幅を有するとともにX軸方向にて延びる直線状であり、且つ、第3幅よりも広い第4幅を有する拡幅部を複数有する。例えば、第4幅は、第3幅よりも5nm乃至50nmの長さだけ長い。
複数の拡幅部は、X軸方向において等間隔に位置する。例えば、互いに隣接する拡幅部間の、X軸方向における距離は、100nm乃至400nmの長さである。
【0113】
このように、第2光導波路13A−nは、位相制御部132、及び、振幅制御部133がY軸方向にて整列するとともに、反射部134がX軸方向にて延びる。
【0114】
第2実施形態の光源装置1によっても、第1実施形態の光源装置1と同様の作用及び効果が奏される。
更に、第2実施形態の光源装置1においては、反射部134が第1方向としてのX軸方向にて延びる。
【0115】
従って、第2実施形態の光源装置1によれば、複数のモジュールが占める領域の第1方向における長さを短縮できる。
【0116】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施形態の他の変形例として、上述した実施形態及び変形例の任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0117】
例えば、上述した実施形態において、光源装置1は、シリコン(Si)を用いて実現されている。ところで、光源装置1は、シリコン(Si)に代えて、シリコン(Si)以外のIV族半導体、リン化インジウム(InP)等の化合物半導体、又は、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)等の強誘電体材料を用いて実現されていてもよい。