特許第6872759号(P6872759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872759
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】新規な冷却剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/06 20060101AFI20210510BHJP
   A61F 7/10 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C09K5/06 J
   C09K5/06 Z
   A61F7/10 310Z
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-538777(P2018-538777)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公表番号】特表2019-509366(P2019-509366A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】FR2017050113
(87)【国際公開番号】WO2017125687
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2020年1月10日
(31)【優先権主張番号】1650448
(32)【優先日】2016年1月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505371450
【氏名又は名称】ルサージュ、パトリック
(73)【特許権者】
【識別番号】518256706
【氏名又は名称】ルサージュ, アレクサンドル
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルサージュ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ルサージュ, アレクサンドル
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0024674(US,A1)
【文献】 国際公開第1998/033460(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104997847(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0005842(US,A1)
【文献】 米国特許第05513629(US,A)
【文献】 特表2001−500418(JP,A)
【文献】 特開2005−211528(JP,A)
【文献】 Vaseline Oil(USP, BP, Ph. Eur.)pure, pharma grade, PanReac AppliChem, [令和2年6月30日検索], インターネット<https://www.itwreagents.com/download_file/tds/141003/en/tds_141003_en.pdf>
【文献】 流動パラフィン, 山桂産業株式会社, [令和2年6月30日検索], インターネット<http://www.yamakei.jp/aiueo/aiu-ryuupara.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/00−5/20
A61F7/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状疎水性化合物(a)、
該化合物中に浸漬された高吸水性ポリマー(b)顆粒、並びに
該顆粒に充填された水(c)及び湿潤剤(d)
を含む冷却剤組成物であって、
上記疎水性化合物(a)は凝固点が0℃未満であり、ジヘプタン酸ネオペンチレングリコール、セバシン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸イソステアリル、及びこれらの混合物から選択される、
冷却剤組成物。
【請求項2】
上記組成物の総重量を100%として上記組成物の総重量に対する重量パーセントで表した場合に、
(a)凝固点が0℃未満の疎水性化合物を0.2〜3重量%;
(b)高吸水性ポリマー顆粒を1〜6重量%;
(c)水を75〜95重量%;及び
(d)湿潤剤を6〜10重量
む、請求項1に記載の冷却剤組成物。
【請求項3】
上記組成物の総重量を100%として上記組成物の総重量に対する重量パーセントで表した場合に、
(a)凝固点が0℃未満の疎水性化合物を0.2〜2重量%;
(b)高吸水性ポリマー顆粒を1.5〜3重量%;
(c)水を85〜90重量%;及び
(d)湿潤剤を7〜9重量%
含む、請求項2に記載の冷却剤組成物。
【請求項4】
上記高吸水性ポリマー(b)は、架橋ポリアクリル酸ナトリウム又はカリウム、ポリアクリルアミド、エチレンと無水マレイン酸とに基づく共重合体、ビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、デンプン系、ゴム系、又はセルロース誘導体系重合体、ペクチン、アルギン酸塩、寒天、ポリエチレンアミン、ポリビニルアミン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却剤組成物。
【請求項5】
上記高吸水性ポリマー(b)顆粒は、脱水状態で直径が1〜6mmの球状粒子であり、該球状粒子は自重の少なくとも40倍を吸収できる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却剤組成物。
【請求項6】
上記高吸水性ポリマー(b)の球状粒子は、脱水状態で直径が1〜3mmのポリアクリル酸ナトリウム又はカリウムのビーズである、請求項5に記載の冷却剤組成物。
【請求項7】
上記高吸水性ポリマー(b)の球状粒子は、脱水状態で直径が1〜3mmのポリアクリル酸カリウムのビーズである、請求項6に記載の冷却剤組成物。
【請求項8】
上記湿潤剤(d)は、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、流動パラフィン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の冷却剤組成物。
【請求項9】
上記湿潤剤(d)はプロピレングリコールである、請求項に記載の冷却剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載の冷却剤組成物を調製する方法であって、
(i)攪拌下、上記水(c)と上記湿潤剤(d)とを混合する工程と、
(ii)攪拌下、工程(i)後に得られた混合物に上記高吸水性ポリマー(b)顆粒を添加する工程と、
(iii)工程(ii)後に得られた混合物を、室温に静置して、該混合物中の上記高吸水性ポリマー(b)顆粒を成長させる工程と、
(vi)攪拌下、上記液状疎水性化合物(a)を含む容器に工程(iii)後に得られた混合物を投入する工程と
を有する方法。
【請求項11】
上記高吸水性ポリマー(b)の顆粒を成長させる工程(iii)は、上記高吸水性ポリマー(b)顆粒の大きさが元の大きさの2〜4倍になるまで実行する、請求項10に記載の冷却剤組成物。
【請求項12】
上記高吸水性ポリマー(b)顆粒を成長させる工程(iii)は、1〜5時間にわたって実施する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
上記高吸水性ポリマー(b)顆粒を成長させる工程(iii)は、2〜4時間にわたって実施する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜に記載の冷却剤組成物を含む漏れない容器を有する温度処理装置。
【請求項15】
上記容器は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレン(ネオプレン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はポリエチレン(PE)から選択される材料で作製された柔軟で且つ漏れない医療バッグである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
請求項15に記載の柔軟で且つ漏れない医療バッグを有するフェイスマスク、肩、肘、足首、膝、ヒップ、又は手首用の副木、及びあらゆる支持体から選択される医療装置。
【請求項17】
食品の温度を低減若しくは維持したり、又はその保存を促進したり、又は熱に弱い物品を低温環境下で輸送したりするための請求項1〜のいずれか1項に記載の冷却剤組成物又は請求項14に記載の温度処理装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度処理装置で使用される新規な冷却剤組成物、及びその調製方法に関する。また、本発明は温度処理装置に関し、より具体的には、特に外傷、炎症、又は手術後に、ヒト又は動物の身体の一部を冷却するのに使用される医療装置に関する。従って、本発明は、治療及び/又は医療分野だけでなく、例えば食品の冷却又は低い温度での維持など、他の分野においても利用される。
【背景技術】
【0002】
寒冷療法又は冷却療法が最初に登場したのは1970年代であり、今日では、医療分野において損傷した組織を治癒させたり、創傷の閉鎖を促進したり、捻挫、腱炎、又は筋挫傷等の身体痛を緩和したりするのに広く使用されている。その概念は、ヒト又は動物の身体の一部を低温にさらしてエンドルフィンを分泌させるというものであり、これにより無痛覚を引き起こして痛みの閾値を低減させる効果がある。従って、寒冷療法は、その溶血性及び抗浮腫性作用を考慮して、外傷後又は術後行為の後に使用される。
【0003】
寒冷療法では、以下のような各種低温源が使用される。
・液体窒素の瞬間気化による窒素を用いた装置。この手法では、大きくてかさばるため扱いにくい装置を使用する必要がある。
・水を用いた温度処理装置。水は最も冷気を戻す物質の一つである。しかしながら、水は0℃未満になると氷となり、その固体構造の結果、いくつかの欠点を示す。該固体構造を解剖学的構造に形状追従させるのは困難であり、極低温になると組織損傷を引き起こす。
・−25℃まで凍結中に相転移を示さない不凍化組成物を用いた装置。ビーズ又はゲル状で存在する上記組成物は非常に不安定な冷気を戻すので、寒冷療法で効果的に使用することはできない。上記組成物を用いた装置は、解凍時の表面温度が、ゲルでは約−5℃、ビーズでは約10℃となり得る。
・特許文献1に記載されたもの等の相転移装置。この特許文献には、水、アクリルポリマー系吸収剤物質、及び湿潤剤を含む組成物が記載されている。凍結時、吸収剤物質のネットワークに存在する水の一部が放出され相転移が起こって、氷晶へと変化する。温めると、水は吸収剤ネットワークへ戻る。上記組成物は柔軟性及び形状追従性を保持したままである。しかしながら、凍結・解凍サイクルの繰り返しにはそれほど強くなく、サイクルが進行するほどどんどん柔軟性が低下していく傾向があるため、使用時に心地悪いものとなったり効果が低下したりする。更に、上記組成物は、水を漏らさず空気を透過させる半透過性領域を有する容器が必要であるため、装置が複雑になるという欠点を持つ。また、解凍時の装置の表面温度は長期にわたって0℃未満となり、従って、温度が0℃超で安定するまで待ったり、使用するために装置と皮膚との間に断熱層を挿入したりするのが望ましいため、装置の使用時間が短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1011558号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況下、本発明は、凍結後も申し分ない柔軟性を保持し、且つ凍結・解凍サイクル中にすぐには劣化しないような柔軟で且つ漏れない新規温度処理装置を提供することで、従来技術の装置の欠点を解決することを目的とする。本発明の装置は、複数回(30回程度まで)再使用できるという利点を有する。本発明の装置は、解凍から数分後には表面温度が0℃よりやや高くなっている。この温度(理想的には3℃〜5℃)は、少なくとも60分間、更には120分間まで安定したままである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、疎水性化合物中に包含された高吸水性ポリマー、水、及び湿潤剤を主体とした冷却剤組成物を用いることで、上記性能品質を達成できることを見出した。上記疎水性化合物はポリマー顆粒の周りに疎水膜又は「断熱層」を形成することにより、その内部の水の一部を捕捉することが分かった。この性質により、冷却剤組成物には非常に高い柔軟性が付与される。
【0007】
従って、第一の態様によれば、本発明の主題は、液状疎水性化合物(a)、該化合物中に浸漬された高吸水性ポリマー(b)顆粒、並びに該顆粒に充填された水(c)及び湿潤剤(d)を含む冷却剤組成物であって、上記疎水性化合物(a)は凝固点が0℃未満である、冷却剤組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1及び反例1の冷却剤組成物に対して得られた温度−時間曲線を表す。
図2】実施例2及び反例1の冷却剤組成物に対して得られた温度−時間曲線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において使用できる上記疎水性化合物(a)は、凝固点が−7℃未満、好ましくは−10℃未満、より好ましくは−15℃未満であることが有利である。上記疎水性化合物(a)の凝固点は−20℃未満であることが特に好ましい。上記疎水性化合物は、200〜700g・mol−1という高分子量であることが有利である。好ましい疎水性化合物(a)としては、ジヘプタン酸ネオペンチレングリコール、セバシン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ワセリン油、及びこれらの混合物が挙げられ、ジヘプタン酸ネオペンチレングリコール、セバシン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸イソステアリル、及びこれらの混合物が好ましい。これらの物質は、例えば、Stearinerie Dubois社からDUB DNPG(ジヘプタン酸ネオペンチレングリコール、凝固点:−55℃)、DUB DIS(セバシン酸イソプロピル、凝固点:−20℃)、DUB VCI10(ネオペンタン酸イソデシル、凝固点:−35℃)、及びDUB ISIS(イソステアリン酸イソステアリル)として、またInterchimie社からHuile de Vaseline Codex22(凝固点:−10℃)として販売されている。
【0010】
上記疎水性化合物(a)は、冷却剤組成物の総重量に対して0.2〜3重量%であることが好ましく、0.2〜2重量%であることがより好ましい。
【0011】
「高吸水性ポリマー」とは、乾燥状態で、自重の少なくとも20倍の水性液、特に水を自発的に吸収できる重合体を意味すると理解される。該ポリマーは、水及び水性液を吸収及び保持する容量が大きい。水性液を吸収させることで水性液を含浸させたポリマー粒子は、水性液に不溶のままであるため、個々の粒子状態が保持される。高吸水性ポリマーは、例えば、L.Brannon−Pappas and R.Harland,“Absorbent polymer technology,Studies in polymer science 8”,Elsevier,1990に記載されている。
【0012】
本発明において使用できる高吸水性ポリマー(b)としては、架橋ポリアクリル酸ナトリウム又はカリウム、ポリアクリルアミド、エチレンと無水マレイン酸とに基づく共重合体、ビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、デンプン系、ゴム系、又はセルロース誘導体系重合体、ペクチン、アルギン酸塩、寒天(又はアガロース)、ポリエチレンアミン、ポリビニルアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。上記高吸水性ポリマー(b)は、架橋アクリル系単独又は共重合体であることが好ましく、架橋アクリル酸カリウム単独又は共重合体であることがより好ましい。
【0013】
上記高吸水性ポリマー(b)は、通常、冷却剤組成物の総重量に対して1〜6重量%、好ましくは1.5〜3重量%の量で使用される。
【0014】
本発明の高吸水性ポリマー(b)顆粒は、脱水状態で直径が1〜6mmの球状粒子であることが有利である。より好ましい実施形態によれば、高吸水性ポリマー(b)の球状粒子は、ポリアクリル酸ナトリウム又はカリウムのビーズ、より好ましくはポリアクリル酸カリウムビーズ(好ましくは、脱水状態で直径が1〜3mmのもの)である。上記球状粒子は、自重の40倍超を吸収できる。この特徴は、標準的な温度(25℃)及び圧力(100000Pa)条件下、水に対して定義されたものである。高吸水性ポリマー(b)の球状粒子は、水和すると膨潤して軟らかいビーズとなる。
【0015】
本発明の湿潤剤(d)は、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、流動パラフィン、及びこれらの混合物から選択でき、グリセリン、(ジ)プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択することが好ましく、(ジ)プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択することがより好ましい。湿潤剤(d)としては、ジプロピレングリコールが最も好ましい。
【0016】
上記湿潤剤(d)は、通常、冷却剤組成物の総重量に対して6〜10重量%、好ましくは7〜9重量%の量で使用される。
【0017】
好ましい実施形態によれば、本発明の冷却剤組成物は、組成物の総重量を100%として組成物の総重量に対する重量パーセントで表した場合に、
(a)凝固点が0℃未満の疎水性化合物を0.2〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%;
(b)高吸水性ポリマー顆粒を1〜6重量%、好ましくは1.5〜3重量%;
(c)水を75〜95重量%、好ましくは85〜90重量%;及び
(d)湿潤剤を6〜10重量%、好ましくは7〜9重量%
含む。
【0018】
他の主題は、本発明に係る冷却剤組成物を調製する方法であって、
(i)攪拌下、上記水(c)と上記湿潤剤(d)とを混合する工程と、
(ii)攪拌下、工程(i)後に得られた混合物に上記高吸水性ポリマー(b)顆粒を添加する工程と、
(iii)工程(ii)後に得られた混合物を、好ましくは上記高吸水性ポリマー(b)顆粒の大きさが元の大きさの2〜4倍になるまで、室温に静置して、該混合物中の上記高吸水性ポリマー(b)顆粒を成長させる工程と、
(vi)攪拌下、上記液状疎水性化合物(a)を含む容器に工程(iii)後に得られた混合物を投入して、上記高吸水性ポリマー(b)顆粒の周りに疎水膜又は「断熱層」を形成する工程と
を有する方法である。
【0019】
高吸水性ポリマー(b)顆粒を成長させる工程(iii)は、好ましくは1〜5時間、より好ましくは2〜4時間にわたって実施する。
【0020】
本発明の冷却剤組成物を内部に含む漏れない容器を有する温度処理装置も、本発明の一部を構成する。上記容器は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレン(ネオプレン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はポリエチレン(PE)等の柔軟性を有する材料、好ましくはポリ塩化ビニル(PVC)で作製されていることが有利である。上記装置は、ヒト又は動物の身体の一部に適用することで、例えば、血腫又は浮腫を再吸収したり、痛みを軽減したりできる柔軟で且つ漏れない医療バッグであることが好ましい。
【0021】
従って、本発明は主に、本発明に係る柔軟で且つ漏れない医療バッグを有するフェイスマスク、肩、肘、足首、膝、ヒップ、又は手首用の副木、及びあらゆる支持体から選択される医療装置を目的としたものである。
【0022】
本発明に係る冷却剤組成物又は本発明に係る温度処理装置は、好ましくは外傷、炎症、又は手術後に、ヒト又は動物の身体の一部を冷却するのに使用できる。温度は、本発明の冷却剤組成物に前もって添加したサーモクロミック顔料を用いて視覚的にモニタリングできる。それを含む構成材料に含まれていてもよい。この顔料は、OliKrom社製等のサーモクロミック顔料であってもよい。
【0023】
また、本発明の温度処理装置は非医療用途を意図したものであってもよく、食品の温度を低減若しくは維持したり、又はその保存を促進したり、又は熱に弱い物品を低温環境下で輸送したりするのに使用できる。このような場合、上述したサーモクロミック顔料を用いて温度を視覚的にモニタリングしてもよい。
【0024】
本発明の温度処理装置は、温度処理プロセス、好ましくはヒト又は動物の身体の一部を温度処理するプロセスで使用できる。該プロセスは、
(i’)2〜4時間といった期間にわたって本発明に係る装置を0℃未満の温度、好ましくは−20℃〜−30℃の温度まで凍結する工程と、
(ii’)工程(i’)後に得られた装置を手で揉む工程と、
(iii’)工程(ii’)後に得られた装置を、本発明に係る医療装置を用いて又は用いないで、好ましくは30分〜120分にわたって、ヒト又は動物の身体の一部に適用する工程と
を有する。
【0025】
上述の構成の他に、本発明は、本発明の組成物の有利な性質を示す実施例及び添付の図1及び図2のグラフ(実施例1及び反例1、並びに実施例2の冷却剤組成物に対して得られた温度−時間曲線を表す)に関する以下の説明から明らかになる他の構成も含む。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
手動での攪拌下、水26.3gとジプロピレングリコール(Interchimie社製)2.24gとを混合して、本発明に係る組成物を調製する。水とジプロピレングリコールとの混合物に、直径が1.5mmのポリアクリル酸カリウムビーズ(Axevi社製Floragelハイドロビーズ)0.65gを添加する。ポリアクリル酸カリウムビーズの平均直径が5.5mmとなるまで、混合物を室温で3時間静置する(ポリマービーズの水和工程)。凝固点が−55℃のジヘプタン酸ネオペンチレングリコール(Stearinerie Dubois社製DUB DPNG)0.43gを、5×7cm、厚さ0.3mmのPVCバッグに注ぐ。前もって調製した水とジプロピレングリコールとポリアクリル酸カリウムビーズとの混合物もPVCバッグに投入する。続いてバッグを密封し、−20℃の冷凍庫に3時間置く。凍結時、ポリマービーズ中に存在する水の一部は相転移し、雪のような外観の小さな氷晶へと変化する。また、凍結工程の終了時でもPVCバッグは柔軟性及び形状追従性を保持したままである。
【0027】
NTC型プローブを備えたTesto175T2温度記録計を用いて、14g・cm−2の圧縮下、試料の温度を70分間毎分測定する。測定は、凍結したバッグと、厚さ2cmの20℃の水のバッグとの界面で毎分実施する。温度−時間曲線を図1に示す。バッグの温度は常に0℃を超え、61分間5℃未満のままである。従って、バッグは61分間の寒冷療法に使用できる。
【0028】
凍結/解凍サイクルの回数を測定して、組成物の老化も評価する。老化は、ポリマービーズが互いに凝集し始めると視認できるようになり、その結果、凍結したバッグの柔軟性が低下する。実施例1の本発明の組成物の場合、バッグは25回目の凍結/解凍サイクルまで均一性及び柔軟性を保持している。
【0029】
(実施例2)
手動での攪拌下、水1000g、ブチレングリコール10g、ペンチレングリコール10g、プロピレングリコール10g、及びジプロピレングリコール50g(Interchimie社製)を混合して、本発明に係る組成物を調製する。水とブチレングリコールとペンチレングリコールとプロピレングリコールとジプロピレングリコールとの混合物に、直径が3mmのポリアクリル酸カリウムビーズ(Axevi社製Floragelハイドロビーズ)25gを添加する。ポリアクリル酸カリウムビーズの平均直径が8mmとなるまで、混合物を室温で3時間静置する(ポリマービーズの水和工程)。凝固点が−35℃のネオペンタン酸イソデシル(Stearinerie Dubois社製DUB VCI10)5gを、5×7cm、厚さ0.3mmのPVCバッグに注ぐ。前もって調製した水とブチレングリコールとペンチレングリコールとプロピレングリコールとジプロピレングリコールとポリアクリル酸カリウムビーズとの混合物もPVCバッグに投入する。続いてバッグを密封し、−20℃の冷凍庫に3時間置く。凍結時、ポリマービーズ中に存在する水の一部は相転移し、雪のような外観の小さな氷晶へと変化する。
【0030】
NTC型プローブを備えたTesto175T2温度記録計を用いて、14g・cm−2の圧縮下、試料の温度を70分間毎分測定する。測定は、凍結したバッグと、厚さ2cmの20℃の水のバッグとの界面で毎分実施する。温度−時間曲線を図2に示す。バッグの温度は常に0℃を超え、58分間5℃未満のままである。従って、バッグは58分間の寒冷療法に使用できる。
【0031】
凍結/解凍サイクルの回数を測定して、組成物の老化も評価する。老化は、ポリマービーズが互いに凝集し始めると視認できるようになり、その結果、凍結したバッグの柔軟性が低下する。実施例2の本発明の組成物の場合、バッグは25回目の凍結/解凍サイクルまで均一性及び柔軟性を保持している。
【0032】
(反例1)
手動での攪拌下、水27.75gとプロピレングリコール1.80gとを混合して、欧州特許第1011558号明細書の実施例1に係る組成物を調製する。水とプロピレングリコールとの混合物に、直径が1〜6mmのTerra−Sorbアクリルアミド共重合体ビーズ(Plant Health Care社製)0.45gを添加する。ポリアクリル酸カリウムビーズの平均直径が8〜9mmとなるまで、混合物を室温で3時間静置する(ポリマービーズの水和工程)。こうして調製した組成物を、5×7cm、厚さ0.3mmのPVCバッグに入れる。続いてバッグを密閉し、−20℃の冷凍庫に3時間置く。
【0033】
実施例1と同様に、NTC型プローブを備えたTesto175T2温度記録計を用いて、14g・cm−2の圧縮下、試料の温度を70分間毎分測定する。測定は、凍結したバッグと、厚さ2cmの20℃の水のバッグとの界面で毎分実施する。実施例1及び2の本発明の組成物と比較するために、その温度−時間曲線も図1及び2に示す。バッグの温度は約25分間0℃未満のままであり、その後24分間は0℃〜5℃の間に留まっている。従って、バッグは24分間の寒冷療法に使用できる。
【0034】
実施例1及び2と同様に、凍結/解凍サイクルの回数を測定して、組成物の老化を評価する。1回目のサイクルから、バッグの均一性及び柔軟性が実施例1及び2のバッグより低いことが分かった。欧州特許第1011558号明細書の組成物の場合、バッグは10回目の凍結/解凍サイクルまで均一性及び柔軟性を保持している。11回目のサイクルから、ポリマービーズの凝集が見られる。
【0035】
(反例2)
上記実施例1と類似しているが、ジヘプタン酸ネオペンチレングリコールを用いていない(組成物中に疎水性化合物が存在しない)組成物を調製する。
【0036】
得られた凍結バッグは、疎水性化合物を含む実施例1のものより柔軟性が低い。
【0037】
実施例1と同様に、凍結/解凍サイクルの回数を測定して、組成物の老化を評価する。疎水性化合物が存在しない場合、組成物は15回目の凍結/解凍サイクルから早期老化を示す。
【0038】
(反例3)
凝固点が−55℃のジヘプタン酸ネオペンチレングリコール(Stearinerie Dubois社製DUB DPNG)を凝固点が−10℃の流動ワセリン(Interchimie社製Huile de Vaseline Codex22)に置き換え、実施例1と同様にして本発明に係る組成物を調製する。こうして調製した混合物をPVCバッグに投入する。続いてバッグを密閉し、−20℃の冷凍庫に3時間置く。凍結時、PVCバッグは固くなり、流動ワセリンとPVCバッグとの間で否定的な相互作用が見られる。バッグは、柔軟な医療バッグとして使用できるほど充分な柔軟性を有していない。
図1
図2