【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター、革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下限値を、ハウス栽培植物の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上の光強度を確保するように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のハウス環境制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のハウス環境制御装置1は、
図1又は
図2に示すように、ハウス栽培植物7の生産性に影響を与えるハウス環境を制御するハウス環境制御装置1であって、ハウス内への日射量を減少させる遮光資材3と、前記遮光資材3の展張・縮小の動作を行う展張・縮小手段4と、前記ハウス内の気温を測定する気温測定手段5と、前記日射の光強度を測定する光強度測定手段6と、前記展張・縮小手段4の動作を制御する情報処理部10を有する制御部2と、を備え、前記制御部2は、予め定めた単数又は複数の基準気温を記憶させ、前記基準気温を基準として分けた複数の気温帯を記憶させ、前記複数の気温帯での前記ハウス栽培植物7の光合成速度が急激に低下し始めるときの光強度を下限値として記憶させ、前記複数の気温帯での蒸散速度が急激に増加し始めるときの光強度を上限値として記憶させ、前記下限値及び前記上限値を基準として分けた前記複数の気温帯での3つの光強度帯を記憶させ、及び、前記3つの光強度帯別に、前記下限値未満のときに前記遮光資材を縮小させ、前記上限値以上のときに前記遮光資材を展張させ、前記下限値以上で前記上限値未満のときに前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報を予め記憶させた記憶部13と、予め定めた時間間隔ごとに前記気温測定手段5からの気温情報及び前記光強度測定手段6からの光強度情報を取得させる取得部12と、取得した前記気温情報が該当する前記気温帯でかつ取得した前記光強度情報が該当する前記光強度帯が該当する前記遮光資材動作指示情報を前記記憶部13から抽出し、前記抽出した遮光資材動作指示情報を出力する出力部14から前記展張・縮小手段4に送信させる情報処理部10と、を備える。
【0021】
前記ハウス栽培植物7としては、冬春栽培ではトマトやレタス等があり、夏秋栽培ではトマトや夏イチゴやアスパラガス等があり、周年栽培ではネギ、ホウレンソウ及びコマツナ等がある。
【0022】
前記ハウス環境制御装置1は、
図1に示すように遮光資材3を展張させて遮光状態にしたり、
図2に示すように遮光資材3を縮小させて無遮光状態にする制御を行う。なお、前記遮光状態とは遮光資材3を展張させる前の日射量よりも展張させた後の日射量が減少(減光)となる状態を意味する。
【0023】
前記遮光資材3は、ハウス内への日射量を減少させるものであり、プラスチックフィルムに準ずる素材もしくは紙や天然素材でもよく、あるいは、透過する光量、光質又はその両方を制御(例えば、紫外線カット及び吸収、熱線カット及び吸収、光質変換)したものでもよい。
【0024】
前記遮光資材3は、ハウス内の日射量を減少させ、生育させる野菜等のハウス栽培植物7のハウス環境を、光合成を急激に低下させず且つ蒸散速度を急激に増加させない光強度のハウス環境にする働きをする。なお、遮光資材3は遮光効果に加えて保温効果や遮熱効果を有するものでもよい。
【0025】
次に、前記展張・縮小手段4は、前記遮光資材3の展張・縮小の動作を行うものであり、モータやシリンダー等の駆動源を有し前記遮光資材3を展張や縮小ができる手段であればいずれの駆動源でもよい。遮光資材3を展張させるとハウス内の日射量を減少させ、遮光資材3を縮小させるとハウス内に入る日射量を増加させる、又は減少させない。
【0026】
次に、前記気温測定手段5は前記ハウス内の気温を測定し、前記光強度測定手段6は遮光しないハウス環境における日射の光強度を測定する。なお、前記気温測定手段5の設置位置は、外張りと内張り又は遮光資材3との間、又は、遮光資材3の下方のハウス栽培植物7付近等があり、ハウス内であればいずれの位置でもよい。また、前記光強度測定手段6の設置位置は、ハウスの外、又は、外張りと内張り又は遮光資材3との間、又は、ハウス栽培植物7付近に日射を受けられる位置等がある。
【0027】
本発明における光強度とは、光束、照度、光、PPFD(光合成有効光量子束密度)、PFD(光量子束密度)、放射束、あるいは、放射照度又は放射密度を含む。また、光強度は、光源が太陽光や人工光に限らず、その光の強さを示す。
【0028】
ここで、ハウス栽培植物7の茎葉の位置別の採光率を調査すると、全長約180cmのトマトのハウス栽培の事例であるが、
図11(a)に示すように、茎葉の位置別での採光率は最上端の茎葉における光強度を100%とした場合に、収量に大きく影響する最下位の着果節位の茎葉130cm(果房下3葉)では光強度は約60%に留まる。従って最上端の茎葉における光強度G3が光飽和点のときには、最上端の茎葉は光飽和点に達するが、最下位付近の茎葉に達する光強度は光飽和点に達していない。
【0029】
そこで、茎葉全体において光合成速度を低下させないために、すなわち生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上の光強度が得られるように、採光割合を考慮して、光飽和点より高い光強度K3を下限値として設定する。例えば、トマトの例であるが、
図11(b)に示すように、最下位付近の着果節位の茎葉における光強度が光飽和点の光強度(
図11(a)又は(b)における100%が示す光強度)を確保するためには、最上端の茎葉での光強度K3は、
図11(a)に示す光強度G3の約1.7倍(G3/0.6)の光強度が必要となり、この光強度K3を下限値として設定する。なお、前記下限値K3は、ハウス栽培植物7の種類別に、ハウス栽培植物7の茎葉の位置別の採光率を調査してそれぞれ設定する。
【0030】
次に、アスパラガスの例であるが、
図11(c)に示すように、生産性に影響する茎葉のほとんどが分布する、地表面から50cmの高さ付近の茎葉における光強度が光飽和点の光強度(
図11(c)又は(d)における100%が示す光強度)を確保するためには、最上端の茎葉での光強度K3は、
図11(d)に示す光強度G3の約1.9倍(G3/0.53)の光強度が必要となり、この光強度K3を下限値として設定する。
【0031】
このように光強度の下限値を茎葉の位置別の採光率を考慮して設定することで、ハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上の光強度を確保することができ、遮光制御によってハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光合成速度の低下を招くことがない。よって、ハウス環境制御装置1は、前記下限値を、ハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上の光強度を確保するように設定する。
【0032】
発明者は、アスパラガスの生育を観察していると、光合成速度が急激に低下し始める光強度Gが、
図20(a)に示すように気温25℃のときが1200μmol・m
−2・s
−1で、
図20(b)に示すように気温30℃のときが800μmol・m
−2・s
−1で、
図20(c)に示すように気温35℃のときが600μmol・m
−2・s
−1となることに気付いた。
【0033】
さらに、アスパラガスの生育を観察していると、蒸散速度が急激に増加し始める光強度Uが、
図21(a)に示すように気温25℃のときは光強度が1600μmol・m
−2・s
−1でも急変せず、
図21(b)に示すように気温30℃のときが1400μmol・m
−2・s
−1で、
図21(c)に示すように気温35℃のときが1200μmol・m
−2・s
−1となることを発見した。
【0034】
これらの観察から、発明者は、光合成速度が急激に低下し始める光強度G、及び、蒸散速度が急激に増加し始める光強度Uを1つの一定値でハウス環境管理していると、気温が変化する環境に応じた収量の最大化が得られないと考えた。
【0035】
すなわち、
図4に示すように、栽培期間中には高温時(気温T1以上)より低い気温で栽培する時間帯もあり、気温が低温時(気温T1未満)での蒸散速度は光強度U1より高い光強度U2で急激に増加し始めることになり、蒸散速度が急激に増加し始める光強度は気温によって変化する。予め基準気温を設定して、前記基準気温で区分した気温帯ごとに蒸散速度が急激に増加し始める光強度を観察により求めて、各気温帯別にそれぞれの前記光強度で遮光管理をすれば収量の増加になると考えた。
【0036】
また、
図4に示すように、同じように光合成速度が急激に低下し始める光強度K、すなわち光飽和点に相当する光強度Kも気温によって変化するため、予め基準気温として設定して、前記基準気温で区分した気温帯ごとに光飽和点が急激に低下し始める光強度を観察により求めて、各気温帯別にそれぞれの前記光強度未満では無遮光管理をすれば収量の増加になると考えた。
【0037】
したがって、
図11に示す茎葉の位置別の採光率の情報、並びに、
図20や
図21に示す気温別の光強度と光合成速度及び蒸散速度との情報から、
図4に示すように、気温が高温時(気温T1以上)には下限値をハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光合成速度の低下を招くことがない光強度K1とし、上限値を蒸散速度が急激に増加し始める光強度U1とし、気温が低温時(気温T1未満)の場合は,下限値をハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光合成速度の低下を招くことがない光強度K2(K2はK1より高い)とし、上限値を蒸散速度が急激に増加し始める光強度U2(U2はU1より高い)として制御することとした。
【0038】
このように気温帯別にハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体を考慮して下限値K及び上限値Uを設定することで、後述する実施例に示すように、複数のハウス栽培植物7において著しい収量の増加を得ることができた。
【0039】
制御部2は、
図3に示すように、入力部11、取得部12、記憶部13、出力部14及び情報処理部10を備えている。前記情報処理部10が、前記取得部12に測定の指示を出し、前記取得部12が取得した気温情報及び光強度情報、及び、前記記憶部13に記憶された気温帯別光強度別の遮光資材動作指示情報から、前記気温情報及び光強度情報に該当する遮光資材動作指示情報を抽出する情報処理をして、出力部14に前記抽出した遮光資材動作指示情報を送信させる。
【0040】
前記入力部11は、人の操作により、前記基準気温、前記下限値、前記上限値、測定時間間隔を入力する。前記入力部11は、タッチパネルで直接入力する方法やパソコン等にあらかじめ保存された情報を通信により入力する方法等、必要な情報を入力できる方法であればその形態を問わない。
【0041】
前記取得部12は、前記情報処理部10から指示を受け、予め定めた時間間隔ごとに前記気温測定手段5から気温情報、及び、前記光強度測定手段6から光強度情報を取得する。
【0042】
前記記憶部13は、基準気温の数により複数の気温帯を設定し、設定された気温帯ごとに光強度の上限値と下限値で3つの光強度帯を設定し、前記光強度帯が前記下限値未満のときに遮光資材3を縮小させ、前記上限値以上のときに前記遮光資材3を展張させ、前記下限値以上で前記上限値未満のときに前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報を予め記憶させたプログラムと、前記取得部12が取得した気温情報及び光強度情報が該当する気温帯及び光強度帯を抽出し、その抽出された気温帯及び光強度帯に該当する遮光資材動作指示情報を抽出するプログラムを、前記入力部11を介して設定して記憶し、前記入力部11から入力された前記基準気温、前記下限値、前記上限値、測定間隔を記憶する。
【0043】
なお、前記記憶部13に、基準気温の数が1つ又は2つの場合は、前記入力部11から入力された前記基準気温、前記下限値や前記上限値を記憶させた後に、気温帯ごとに、下限値未満の光強度帯では遮光資材3を縮小させ、前記上限値以上の光強度帯では前記遮光資材3を展張させ、前記下限値以上で前記上限値未満の光強度帯では前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報のプログラムを、前記入力部11を介して記憶させてもよい。
【0044】
前記出力部14は、前記情報処理部10が抽出した遮光資材動作指示情報を前記情報処理部10の指示により前記展張・縮小手段4に送信する。
【0045】
前記情報処理部10は、前記記憶部13から測定間隔情報を取得して、前記取得部12に測定の指示を出し、前記取得部12が取得した気温情報及び光強度情報を取得し、及び、前記記憶部13に記憶されている気温帯別光強度別の遮光資材動作指示情報を取得して、前記気温情報及び光強度情報に該当する気温帯及び光強度帯を抽出し、その抽出された気温帯及び光強度帯に該当する遮光資材動作指示情報を抽出する処理をして、出力部14に前記抽出した遮光資材動作指示情報を前記展張・縮小手段4に送信させる。
【0046】
前記基準気温とする気温は、気温と蒸散速度の急激に増加し始める光強度との関係、及び、ハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体における気温と光合成速度の光飽和点の光強度との関係を踏まえて適宜設定する。例えば、実施例1で示すトマトの場合のように、気温35℃以上の気温帯で蒸散速度の急激に増加し始める光強度が相対的に低い値となり、気温35℃未満の気温帯で蒸散速度の急激に増加し始める光強度が相対的に高い値となる場合、基準気温を35℃として設定すればよい。さらに、それ以外の気温でも蒸散速度の急激に増加し始める光強度の傾向が変化する場合や、光強度により光合成速度が変化する場合は、その気温も基準気温として設定すればよい。
【0047】
また、気温ごとに蒸散速度の急激に増加し始める光強度との関係、及び、ハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体における気温ごとの光強度と光飽和点との関係を設定したデータベースを用いて、気温単位又は気温帯ごとに光強度の下限値及び上限値を設定してもよい。
【0048】
基準気温を単数(1つ)とした場合の設定表を表1に示す。この場合は、気温がハウス栽培植物7にとって生育適温範囲の上限となる気温を基準気温(T1)として設定した。
【0050】
表1から、基準気温とする予め定めた気温が単数(T1のみ)の場合、前記気温T1を基準気温として気温T1未満と気温T1以上の2つの気温帯に分ける。測定された気温が前記気温T1未満の気温帯の場合は、測定された光強度が、下限値の光強度K2未満の光強度帯の場合は遮光資材3を縮小して無遮光とする遮光資材動作指示情報を、下限値の光強度K2以上〜上限値の光強度U2未満の光強度帯の場合は前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報を、上限値の光強度U2以上の光強度帯の場合は遮光資材3を展張して遮光する遮光資材動作指示情報を設定するプログラムを作成し、入力部11を介して記憶部13に記憶させる。
【0051】
測定された気温が前記気温T1以上の気温帯の場合は、測定された光強度が、下限値の光強度K1未満の光強度帯の場合は遮光資材3を縮小する遮光資材動作指示情報を、下限値の光強度K1以上〜上限値の光強度U1未満の光強度帯の場合は前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報を、上限値の光強度U1以上の光強度帯の場合は遮光資材3を展張する遮光資材動作指示情報を設定するプログラムを作成し、入力部11を介して記憶部13に記憶させる。
【0052】
次に、基準気温を2つ(気温T1とT2)とした場合の設定表を表2に示す。この場合は、気温がハウス栽培植物7にとって生育に適する気温範囲のうちの上限となる気温(T1)と、前記生育に適する気温範囲のうちの前記上限となる気温(T1)より低い気温(T2)を設定するのが好ましく、ハウス栽培植物7にとって生育に適する気温範囲の上限値と下限値を基準気温として設定するのがより好ましい。
【0054】
表2から、基準気温とする予め定めた気温が2つの場合、気温T1及びT2を基準気温として気温T2未満、気温T2以上〜気温T1未満、気温T1以上の3つの気温帯別に分ける。そして、測定された気温が前記気温T2未満の気温帯の場合は、測定された光強度が、下限値の光強度K3未満の光強度帯の場合は遮光資材3を縮小する遮光資材動作指示情報を、下限値の光強度K3以上〜上限値の光強度U3未満の光強度帯の場合は前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報を、上限値の光強度U3以上の光強度帯の場合は遮光資材3を展張する遮光資材動作指示情報を設定するプログラムを作成し、入力部11を介して記憶部13に記憶させる。
【0055】
そして、測定された気温が、気温T2以上〜気温T1未満、気温T1以上の2つの気温帯の場合も気温T2未満の場合と同じように、光強度が下限値未満、下限値超〜上限値未満、上限値超の3つの光強度帯に分けてそれぞれの遮光資材動作指示情報を設定するプログラムを作成し、入力部11を介して記憶部13に記憶させる。
【0056】
次に、予め定めた基準気温の数がn個の場合の設定表を表3に示す。この場合は、気温をきめ細かく区分して、それぞれ3つの光強度帯に該当する遮光資材3の展張・縮小を制御する場合に好ましい。
【0058】
表3から、基準気温とする予め定めた気温の数がn個の場合、同じように、それぞれの気温帯ごとに3つの光強度帯別に、光強度が下限値未満の場合は遮光資材3を縮小、光強度が上限値以上の場合は遮光資材3を展張、光強度が下限値以上〜上限値未満の場合は前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させることを設定するプログラムを作成し、入力部11を介して記憶部13に記憶させる。
【0059】
そして、情報処理部10が、前記取得部12に取得させた気温情報及び光強度情報と、前記記憶部13に記憶させている複数の気温帯別とそれぞれの3つの光強度帯とを比較し、前記気温情報及び前記光強度情報が該当する気温帯及び光強度帯を前記記憶部13から抽出し、その抽出された前記気温帯及び光強度帯に設定された遮光資材動作指示情報を前記記憶部13から抽出し、出力部14から前記展張・縮小手段4に抽出された前記遮光資材動作指示情報を送信させる。そして、前記展張・縮小手段4が、前記出力部14から送付された制御信号により動作し、前記遮光資材3を展張又は縮小させる。
【0060】
また、前記下限値及び/又は前記上限値を、気温が高温側の気温帯から低温側の気温帯になるほど高く設定する。これは、
図4や
図21に示すように、気温が低いと蒸散速度の急激に増加し始める光強度が高くなり(U1からU2へ)、あるいは
図21(a)に示すように急激に増加し始める光強度の変曲点が顕れなかったり、同じように気温が低いと生産性に影響をもたらす茎葉全体において光合成速度が低下し始める光強度すなわち光飽和点が高くなる(K1からK2へ)からである。
【0061】
図5に基準気温が1つの場合で前記下限値(光強度K1又はK2)及び前記上限値(光強度U1又はU2)を気温が高温側の気温帯から低温側の気温帯になるほど高く設定する制御方式イを示し、
図6に基準気温が2つの場合で前記下限値(光強度K1〜K3)及び前記上限値(光強度U1〜U3)を気温が高温側の気温帯から低温側の気温帯になるほど高く設定する制御方式ロを示し、
図7に基準気温が2つの場合で前記下限値(光強度K1)は気温の変化にかかわらず一定で前記上限値(光強度U1〜U3)を気温が高温側の気温帯から低温側の気温帯になるほど高く設定する制御方式ハを示し、
図8に基準気温が2つの場合で前記下限値(光強度K1〜K3)を気温が高温側の気温帯から低温側の気温帯になるほど高く設定し前記上限値(光強度U1)を気温の変化にかかわらず一定とする制御方式ニを示している。前記制御方式イ〜ニのうちのどの制御方式にするかは、ハウス栽培植物7の種類によって異なるので、生育させようとするハウス栽培植物7にとって最も生育が期待できる前記下限値(光強度K)の条件と前記上限値(光強度U)の条件を求めて決めればよい。そして、決めた制御方式を組み込んだプログラムを、入力部11を介して記憶部13に記憶させる。
【0062】
従来は、ハウスの遮光資材3は光強度が高い高温時にハウス栽培植物7の生育に悪影響が生じないように光強度を減少させる目的で設置された経過があることから、
図9に示すように高温時におけるハウス栽培植物7の蒸散速度が急激に増加し始める光強度を上限値(U1)として、ハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光合成速度が低下し始めるときの光強度、すなわち光飽和点を下限値(K1)として、気温に関わらずそれぞれ一つの値を設定してきた。よって、
図5〜
図8に示す本発明の前記下限値(K1〜K3)及び前記上限値(U1〜U3)と、
図9に示す従来の前記下限値(K1)及び前記上限値(U1)とを比較すると、本発明の高温時における上限値(U1)及び下限値(K1)の設定は従来の上限値(U1)及び下限値(K1)の設定と同じであるが、気温が高温(T1側)側の気温帯から低温側(T2側)の気温帯になるにつれ、光強度の前記下限値は差(K1とK2又はK3との差)が大きくなり、及び/又は、前記上限値の差(U1とU2又はU3との差)が大きくなる。
【0063】
次に、本発明の気温及び光強度の制御の場合と、従来の光強度だけの制御との日積算日射量を比較した。
図10に示すように、光強度の前記下限値及び前記上限値を、気温が高温側の気温帯から低温側の気温帯になるほどそれぞれ高く設定する(気温+光強度)制御(
図10のII)と、従来の光強度だけの制御の場合(
図10のI)でのハウス内の日積算日射量を比較すると、日中の平均気温が32℃(8:00〜17:00の間の平均気温)と高かった9月2日の日積算日射量は本発明の気温及び光強度の制御(
図10のII)の場合と従来の光強度だけの制御(
図10のI)の場合でほとんど差が見られないが、日中の平均気温が26.7℃(8:00〜17:00の間の平均気温)に低下した10月9日の日積算日射量は本発明の(気温+光強度)制御(
図10のII)の方が従来の光強度だけの制御(
図10のI)より約20%増加しており、本発明のハウス環境制御装置1は気温が低温になるほどハウス栽培植物7の生育に良好な光環境を作り出すことが示された。
【0064】
次に、情報処理部10による情報処理ステップの実施例を説明するが、本発明の情報処理部10の情報処理ステップは、気温帯と光強度帯の組み合わせによって遮光資材3を動作させるステップであればこれに限らない。
【0065】
次に、ハウス環境制御装置1の制御の実施例Aについて説明する。実施例Aとして、基準気温の設定を1つとした場合を
図12に、実施例Bとして、基準気温の設定を2つとした場合を
図13に示す。
【0066】
まず、基準気温の設定を1つとした場合の制御の実施例Aについて説明する。この場合は表1に示すような設定表を組み込んだプログラムを作成し、入力部11を介して記憶部13に記憶し、情報処理部10により
図12に示すようなフローで制御する。表1に示すように、例えばハウス栽培植物7の生育に適する気温の中で上限となる気温T1を基準気温として設定する。この基準気温T1を入力部11から入力して記憶部13に記憶させる(S1)。
【0067】
次に、表1に示すように、気温T1未満、気温T1以上の2つの気温帯において、それぞれの光強度の下限値K2、K1を、またそれぞれ光強度の上限値U2、U1を入力部11から入力して記憶部13に記憶する(S2)。
【0068】
次に、2つの前記気温帯のそれぞれに設定した3つの光強度帯別に、下限値未満の光強度帯のときに前記遮光資材3を縮小させ、上限値以上の光強度帯のときに前記遮光資材3を展張させ、前記下限値以上で前記上限値未満の光強度帯のときに前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報のプログラムを入力部11を介して記憶部13に記憶する(S3)。
【0069】
次に、前記気温測定手段5の気温測定周期及び前記光強度測定手段6の光強度測定周期を測定間隔として、例えば2分を入力部11から入力し記憶部13に記憶させる(S4)。光強度測定手段6の測定周期は、前記光強度測定間隔を、光強度の変化時に対して、ハウス栽培の植物7の植物体温度が追従し安定状態に至る最短時間とすることが好ましい。
【0070】
以上により、ハウス環境制御装置1は、記憶部13に、基準気温とする気温T1、光強度の下限値K1及びK2、光強度の上限値U1及びU2、前記測定間隔、並びに、遮光資材動作指示情報のプログラムを記憶させた状態となる。
【0071】
次に、情報処理部10の指示により、取得部12が、記憶部13に記憶された測定間隔で前記気温測定手段5に気温測定させ、光強度測定手段6に光強度を測定させて気温情報及び光強度情報を取得する(S5)。情報処理部10は、前記取得した気温が、T1未満の気温帯又はT1以上の気温帯のいずれに該当するかをチェックする(S6)。次に、情報処理部10は、T1未満の気温帯に該当する場合はT1未満の気温帯に進み(S7)、次に設定された光強度の下限値K2及び上限値U2と前記光強度測定手段6により測定された光強度とを比較演算し、3つの光強度帯のどの光強度帯に該当するかをチェックする(S8)。次に、情報処理部10は、測定された光強度が下限値K2未満の光強度帯に該当する場合は遮光資材3を縮小させて無遮光状態にし(S9)、測定された光強度が上限値U2以上の光強度帯に該当する場合は遮光資材3を展張させて遮光状態にし(S11)、測定された光強度が下限値K2以上〜上限値U2未満の光強度帯に該当する場合は前記下限値と前記上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持するように遮光資材3を無動作状態とする(S10)という遮光資材動作指示を前記記憶部13から抽出する。前記S7〜S11までを情報処理部10は実行する。そして、情報処理部10は出力部14に前記抽出した遮光資材動作指示を前記展張・縮小手段4に送信させ、前記展張・縮小手段4の動作によって前記遮光資材3が展張又は縮小される(S60)。
【0072】
前記測定した気温がT1以上の場合はT1以上の気温帯に進み(S20)、次に、設定された光強度の下限値K1及び上限値U1と前記光強度測定手段6により測定された光強度とを比較演算し、3つの光強度帯のどの光強度帯に該当するかをチェックする(S21)。測定された光強度が下限値K1未満の光強度帯に該当する場合は遮光資材3を縮小させて無遮光状態にし(S22)、測定された光強度が上限値U1以上の光強度帯に該当する場合は遮光資材3を展張させて遮光状態にし(S24)、測定された光強度が下限値K1以上〜上限値U1未満の光強度帯に該当する場合は前記下限値と前記上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持するように遮光資材3を無動作状態とする(S23)の遮光資材動作指示を前記記憶部13から抽出する。前記S6、S20〜S24までを情報処理部10は実行する。そして、情報処理部10は出力部14に前記抽出した遮光資材動作指示を前記展張・縮小手段4に送信させ、前記前記展張・縮小手段4の動作によって前記遮光資材3が展張又は縮小される(S60)。
【0073】
そして、前記測定間隔で前記気温測定手段5及び前記光強度測定手段6により、次の気温及び光強度を測定して(S5)、前記制御(S6〜S11、S20〜S24、S60)を繰り返す制御を実施する。
【0074】
次に、基準気温の設定を2つとした場合の制御の実施例Bについて説明する。この場合は表2に示すような設定表を組み込んだプログラムを作成して、入力部11を介して記憶部13に記憶し、情報処理部10により
図13に示すようなフローで制御する。表2に示すように、例えば気温がハウス栽培植物7にとって生育に適する気温範囲のうちの上限となる気温(T1)と、前記生育に適する気温範囲のうちの前記上限となる気温(T1)より低い気温(T2)を設定する。この気温T1、T2を記憶部13に記憶する(S30)。
【0075】
次に、表2に示すように、気温T2未満、気温T2以上〜T1未満、気温T1以上の3つの気温帯において、それぞれの光強度の下限値K3、K2、K1を、またそれぞれ光強度の上限値U3、U2、U1を入力部11から入力し記憶部13に記憶する(S31)。
【0076】
次に、3つの前記気温帯のそれぞれに設定した3つの光強度帯別に、下限値未満の光強度帯のときに前記遮光資材3を縮小させ、上限値以上の光強度帯のときに前記遮光資材3を展張させ、前記下限値以上で前記上限値未満の光強度帯のときに前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報のプログラムを入力部11を介して記憶部13に記憶する(S32)。
【0077】
次に、前記気温測定手段5の気温測定周期及び前記光強度測定手段6の光強度測定周期を測定間隔として、例えば2分を入力し記憶部13に記憶させる(S33)。光強度測定手段6の測定周期は光強度の変化時に対して、ハウス栽培の植物7の植物体温度が追従し安定状態に至る最短時間とすることが好ましい。
【0078】
以上により、ハウス環境制御装置1は、記憶部13に、基準気温T1及びT2、光強度の下限値K1、K2及びK3、光強度の上限値U1、U2及びU3、前記測定間隔、並びに、遮光資材動作指示情報のプログラムを記憶させた状態となる。
【0079】
次に、情報処理部10の指示により取得部12が、記憶部13に記憶された測定間隔で前記気温測定手段5に気温を測定させ、光強度測定手段6に光強度を測定させて気温情報及び光強度情報を取得する(S34)。次に、情報処理部10は、前記取得した気温が、T2未満、T2以上〜T1未満、T1以上の3つの気温帯のいずれに該当するかをチェックする(S35)。T2未満の気温帯に該当する場合はT2未満の気温帯に進み(S36)、次に設定された光強度の下限値K3及び上限値U3と前記光強度測定手段6により測定された光強度とを比較演算し、3つの光強度帯のうちのどの光強度帯に該当するかをチェックする(S37)。測定された光強度が下限値K3未満の光強度帯に該当する場合は遮光資材3を縮小させて無遮光状態にし(S38)、測定された光強度が上限値U3以上の光強度帯に該当する場合は遮光資材3を展張させて遮光状態にし(S40)、測定された光強度が下限値K3以上〜上限値U3未満の光強度帯に該当する場合は前記下限値と前記上限値との間に到達する直前の前記遮光資材3の展張又は縮小状態を維持するように遮光資材3を無動作状態とする(S39)という遮光資材動作指示を前記記憶部13から抽出する。前記S34〜S40までを情報処理部10は実行する。そして、情報処理部10は出力部14に前記抽出した遮光資材動作指示を前記展張・縮小手段4に送信させ、前記前記展張・縮小手段4の動作によって前記遮光資材3が展張又は縮小される(S70)。
【0080】
次に、前記測定した気温がT2以上〜T1未満の気温帯に該当する場合は、T2未満の気温帯の場合と同じように、T2以上〜T1未満の気温帯に進み(S41)、次に設定された光強度の下限値K2及び上限値U2と前記光強度測定手段6により測定された光強度とを比較演算し、3つのうちのどの光強度帯に該当するかをチェックする(S42)。そして、T2未満の気温帯の場合と同じように、該当する光強度帯をS43〜S45の中から抽出し、抽出された光強度帯に該当する遮光資材動作指示が前記展張・縮小手段4に送信され、前記遮光資材3が展張又は縮小される(S70)。
【0081】
次に、前記測定した気温がT1以上の場合は、T2未満の気温帯の場合と同じように、T1以上の気温帯に進み(S50)、次に設定された光強度の下限値K1及び上限値U1と前記光強度測定手段6により測定された光強度とを比較演算し、3つの光強度帯のうちのどの光強度帯に該当するかをチェックする(S51)。そして、T2未満の気温帯の場合と同じように、該当する光強度帯をS52〜S54の中から抽出し、抽出された光強度帯に該当する遮光資材動作指示が前記展張・縮小手段4に送信され、前記遮光資材3が展張又は縮小される(S70)。
【0082】
そして、前記測定間隔で前記気温測定手段5及び前記光強度測定手段6により、次の気温及び光強度を測定して(S34)、前記制御(S35〜S40、S41〜S45、S50〜S54、S70)を繰り返す制御を実施する。
【0083】
次に、表3に示すように、基準気温の数がn個の場合も、測定された気温及び光強度が該当する気温帯及び光強度帯に予め設定し記憶したプログラムに基づいて、遮光資材3の展張又は縮小の制御を行う。
【0084】
次に、ハウス環境制御方法は、ハウス栽培植物7の生産性に影響を与えるハウス環境を制御するハウス環境制御方法であって、ハウス内への日射量を減少させる遮光資材3と、前記遮光資材3の展張・縮小の動作を行う展張・縮小手段4と、前記ハウス内の気温を測定する気温測定手段5と、前記日射の光強度を測定する光強度測定手段6と、少なくとも、記憶部13、取得部12及び出力部14を制御しかつ前記展張・縮小手段4の動作を制御する情報処理部10、並びに、記憶させる情報を入力する入力部11を有する制御部2と、を備え、前記記憶部13に、予め定めた単数又は複数の基準気温を記憶し、前記基準気温を基準として分けた複数の気温帯を記憶し、前記複数の気温帯別での前記ハウス栽培植物7の生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上となるときの光強度を下限値として記憶し、前記複数の気温帯別での蒸散速度が急激に増加し始めるときの光強度を上限値として記憶し、前記下限値及び前記上限値を基準として分けた前記複数の気温帯別での3つの光強度帯、及び、前記3つの光強度帯別に、前記下限値未満のときに前記遮光資材を縮小させ、前記上限値以上のときに前記遮光資材を展張させ、前記下限値以上で前記上限値未満のときに前記下限値と上限値との間に到達する直前の前記遮光資材の展張又は縮小状態を維持させる遮光資材動作指示情報を予め記憶させ、前記情報処理部10に、前記取得部12に予め定めた時間間隔ごとに前記気温測定手段5からの気温情報及び前記光強度測定手段6からの光強度情報を取得させ、取得した前記気温情報が該当する前記気温帯でかつ取得した前記光強度情報が該当する前記光強度帯が該当する前記遮光資材動作指示情報を前記記憶部13から抽出し、前記抽出した遮光資材動作指示情報を出力する出力部14から前記展張・縮小手段4に送信させ、遮光資材3を展張又は縮小する方法である。
【0085】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限らない。
【実施例1】
【0086】
次に、実施例1としてトマト栽培事例を説明する。品種はハウス桃太郎(タキイ種苗)であり、耕種概要は、播種が2017年9月19日、定植が11月14日、収穫が2018年2月20日〜6月29日であり、気温別の光強度制御が、生育に適する気温のうちで上限となる気温を基準気温として35℃を設定し、35℃以上の気温帯において光強度の上限値を70,000Lux、光強度の下限値を42,000Luxと設定し、35℃未満の気温帯において光強度の上限値を85,000Lux、光強度の下限値を50,000Luxと設定した。そして、比較例として一定の光強度のみによる遮光制御を行い、気温にかかわらず光強度の上限値を70,000Lux、光強度の下限値を42,000Luxと設定した。その結果を、表4、表5、
図14、
図15に示す。表4〜9において、(気温+光強度)制御が本発明の実施例で、光強度のみ制御が比較例を示す。
【0087】
【0088】
表4において、茎長は子葉節から第15段果房上3葉を残し摘心した位置までの高さを指し、節数は子葉節から第15段果房上3葉までの節数を指し、節間長は子葉節から第15段果房上3葉までの茎長を節数で除した値を指し、茎径は第3、6、9、12及び15段果房直下の茎径の平均値を指す。
【0089】
表4から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より茎長が約2%大きく生育しているのが示されている。
【0090】
【0091】
表5において、総収量は可販果、障害果及び未熟果の合計重量を指し、障害果は尻腐れ果、乱形果、チャック果、窓空き果、つやなし果、裂果を指し、未熟果は栽培打ち切り時に白熟期に達しなかった果実を指す。
【0092】
表5から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、総収量及び可販果が増加していることが示されている。総収量で比較すれば約25%増加させ、可販果の重量で比較すれば約29%増加させ、1果重で比較すれば約17%増加させることができた。
【0093】
また、
図14から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御(折れ線グラフH)の方が、従来の光強度のみによる遮光制御(折れ線グラフJ)より、可販果が増加していることが示されている。4月はまだ高温のハウス環境になっていないので低温時の気温帯に該当する気温条件下で蒸散速度の急激に増加し始める光強度になるまで遮光せず、生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上の光強度になるまで無遮光としたことにより多くの光をハウス内に取り入れることができ、6月は梅雨で高温にならない日々が続いたときに低温時の気温帯に該当する気温条件下で蒸散速度の急激に増加し始める光強度になるまで遮光せず、生産性に影響をもたらす茎葉全体において光飽和点以上の光強度になるまで無遮光としたことにより多くの光をハウス内に取り入れることができ、収量の差が大きくなったことが示されている。
【0094】
また、
図15に示すように、収穫したトマトの外観を比較すると、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、個々のトマトの大きさが大きいことが示されている。したがって、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御は、従来の光強度のみによる遮光制御に比較して、収量を増加させることができた。
【実施例2】
【0095】
次に、実施例2として、ネギ、ホウレンソウ、コマツナ,レタスの実施例を示す。気温別の光強度による遮光制御が、生育に適する気温のうちで気温を基準気温として28℃を設定し、28℃以上の気温帯において光強度の上限値を40,000Lux、光強度の下限値を30,000Luxと設定し、28℃未満の気温帯において光強度の上限値を80,000Lux、光強度の下限値を60,000Luxと設定した。そして、比較例として一定の光強度のみの遮光制御を行い、気温にかかわらず光強度の上限値を40,000Lux、光強度の下限値を30,000Luxと設定した。
【0096】
そして、ネギ(品種は鴨頭)は、播種を2018年8月17日、定植を8月29日、収穫を10月9日で実施し、ホウレンソウ(品種はトラッド)は、播種を2018年10月16日、収穫を11月20日で実施し、コマツナ(品種は極楽天)は、播種を2018年9月16日、収穫を10月18日で実施し、レタス(品種はレッドファイヤー)は、播種を2018年9月19日、収穫を10月31日で実施した。
【0097】
実施例2のネギで実施した結果を、表6及び
図16に示す。
【0098】
【0099】
表6から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、全長が大きくなり、葉数が多くなり、全重が大きくなり、葉鞘径が大きくなっていることが示されている。また、
図16に示されているように、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、全長が大きくなっていることが示されている。全重で比較すれば約57%増加させることができた。したがって、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御は、従来の光強度のみによる遮光制御に比較して、収量を増加させることができた。
【0100】
次に、実施例2のホウレンソウで実施した結果を、表7及び
図17に示す。
【0101】
【0102】
表7から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、葉長が大きくなり、葉数が多くなり、最大葉丈が大きくなり、最大葉幅が大きくなり、SPAD値(葉緑素含量を示す値)が大きくなっていることが示されている。また、
図17に示されているように、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、葉長が大きくなっていることが示されている。出荷できない外葉等の部位を取り除き出荷できる状態にした調製重で比較すれば約46%増加させることができた。したがって、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御は、従来の光強度のみによる遮光制御に比較して、収量を増加させることができた。
【0103】
次に、実施例2のコマツナで実施した結果を、表8及び
図18に示す。
【0104】
【0105】
表8から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、全長が大きくなり、葉数が多くなり、草丈が大きくなっていることが示されている。また、
図18に示されているように、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、全長が大きくなっていることが示されている。株重で比較すれば約73%増加でき、調製重で比較すれば約77%増加させることができた。したがって、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御は、従来の光強度のみによる遮光制御に比較して、収量を増加させることができた。
【0106】
次に、実施例2のレタスで実施した結果を、表9及び
図19に示す。
【0107】
【0108】
表9から、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、全長が大きくなり、葉数が多くなり、最大葉丈や最大葉幅が大きくなり、SPAD値が大きくなっていることが示されている。また、
図19に示されているように、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御の方が、従来の光強度のみによる遮光制御より、全長が大きくなっていることが示されている。調製重で比較すれば約70%増加させることができた。したがって、本発明の制御である気温及び光強度による遮光制御は、従来の光強度のみによる遮光制御に比較して、収量を増加させることができた。