特許第6872774号(P6872774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872774
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】クリーニングシート
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20210510BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B41F35/00 A
   B08B1/00
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-255244(P2016-255244)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-103561(P2018-103561A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 慎一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 教一
(72)【発明者】
【氏名】入江 寛彰
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−003515(JP,A)
【文献】 特開2016−186062(JP,A)
【文献】 特開2017−193406(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0272678(US,A1)
【文献】 特開平09−295398(JP,A)
【文献】 特開2005−186566(JP,A)
【文献】 特開2012−183455(JP,A)
【文献】 特開2010−137168(JP,A)
【文献】 特開平9−295397(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0239695(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101543824(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/00−35/06
B65H 5/00− 5/38
B08B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機又は塗工機であるシートを搬送する装置におけるローラー外周清掃用のクリーニングシートであって、基材の少なくとも一方の面に粘着性或いは吸着性を有するクリーニング層を設け、前記クリーニング層の全面に貼り合わせたセパレータに2ヶ所の平行な切り目線を設け、前記2ヶ所の切り目線間の前記セパレータを前記クリーニング層から剥がすことによって、前記装置でのシート搬送方向の前後両端のみの前記クリーニング層に剥離可能なセパレータを貼り合わせ、前記クリーニング層からの前記セパレータの剥離力が16mN/25mm以上1000mN/25mm以下であり、前記クリーニング層がウレタン吸着層であり、前記ウレタン吸着層は長鎖脂肪酸エステルを10重量%以上30重量%以下含有し、当該クリーニングシートの前記シート搬送方向の前後両端を、前記装置で搬送可能な状態の基材と接合することによって、前記装置で搬送可能な状態の基材とともに前記装置上を搬送可能となるクリーニングシート。
【請求項2】
印刷機又は塗工機であるシートを搬送する装置におけるローラー外周清掃用のクリーニングシートであって、基材の少なくとも一方の面に粘着性或いは吸着性を有するクリーニング層を設け、前記クリーニング層全面に剥離可能なセパレータを貼り合わせ、前記クリーニング層からの前記セパレータの剥離力が16mN/25mm以上1000mN/25mm以下であり、前記クリーニング層がウレタン吸着層であり、前記ウレタン吸着層は長鎖脂肪酸エステルを10重量%以上30重量%以下含有し、前記セパレータの前記装置でのシート搬送方向の前後両端付近には、前記セパレータを切断可能な切り目線が設けられ、前記切り目線で前記セパレータを切断して前記シート搬送方向中央部の前記セパレータのみを剥がすことにより、前記装置でのシート搬送方向の前後両端のみの前記クリーニング層に剥離可能なセパレータを貼り合わせた状態とすることが可能で、当該クリーニングシートの前記シート搬送方向の前後両端を、前記装置で搬送可能な状態の基材と接合することによって、前記装置で搬送可能な状態の基材とともに前記装置上を搬送可能となるクリーニングシート。
【請求項3】
前記セパレータと前記クリーニング層の境界部分に、前記セパレータと前記クリーニング層を跨いで、片面接着テープが貼り付けられている請求項1に記載のクリーニングシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクリーニングシートに関し、詳しくは、紙やフィルムなどの薄いシートを搬送する印刷機や塗工機などの装置類のローラー外周清掃用のクリーニングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のクリーニングシートは、プラスチックフィルムなどの基材に粘着層などのクリーニング層を積層したものであり、特許文献1では、0.2〜1.0kg/inの粘着力(タック力)で異物を除去するクリーニングシートが例示されている。
【0003】
この種のクリーニングシートは、表面に粘着層などのクリーニング層があるために、印刷機や塗工機に装着しようとした時に、誤った状態、例えばクリーニングシートがシワになった状態や、クリーニングシートが歪んだ状態で装着すると、粘着層などの粘着力のために、これを正しい状態に修正することが困難で、塗工機や印刷機に容易に装着できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−147884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、塗工機や印刷機などの装置のローラー外周が清掃でき、しかも、クリーニングシートの製造時に特別な工程を要さずに、塗工機や印刷機などの装置への装着を容易にすることができるクリーニングシートの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、印刷機又は塗工機であるシートを搬送する装置におけるローラー外周清掃用のクリーニングシートであって、基材の少なくとも一方の面に粘着性或いは吸着性を有するクリーニング層を設け、前記クリーニング層の全面に貼り合わせたセパレータに2ヶ所の平行な切り目線を設け、前記2ヶ所の切り目線間の前記セパレータを前記クリーニング層から剥がすことによって、前記装置でのシート搬送方向の前後両端のみの前記クリーニング層に剥離可能なセパレータを貼り合わせ、前記クリーニング層からの前記セパレータの剥離力が16mN/25mm以上1000mN/25mm以下であり、前記クリーニング層がウレタン吸着層であり、前記ウレタン吸着層は長鎖脂肪酸エステルを10重量%以上30重量%以下含有し、当該クリーニングシートの前記シート搬送方向の前後両端を、前記装置で搬送可能な状態の基材と接合することによって、前記装置で搬送可能な状態の基材とともに前記装置上を搬送可能となるクリーニングシートである。
【0007】
第2発明は、印刷機又は塗工機であるシートを搬送する装置におけるローラー外周清掃用のクリーニングシートであって、基材の少なくとも一方の面に粘着性或いは吸着性を有するクリーニング層を設け、前記クリーニング層全面に剥離可能なセパレータを貼り合わせ、前記クリーニング層からの前記セパレータの剥離力が16mN/25mm以上1000mN/25mm以下であり、前記クリーニング層がウレタン吸着層であり、前記ウレタン吸着層は長鎖脂肪酸エステルを10重量%以上30重量%以下含有し、前記セパレータの前記装置でのシート搬送方向の前後両端付近には、前記セパレータを切断可能な切り目線が設けられ、前記切り目線で前記セパレータを切断して前記シート搬送方向中央部の前記セパレータのみを剥がすことにより、前記装置でのシート搬送方向の前後両端のみの前記クリーニング層に剥離可能なセパレータを貼り合わせた状態とすることが可能で、当該クリーニングシートの前記シート搬送方向の前後両端を、前記装置で搬送可能な状態の基材と接合することによって、前記装置で搬送可能な状態の基材とともに前記装置上を搬送可能となるクリーニングシートである。
【0008】
第3発明は、前記セパレータと前記クリーニング層の境界部分に、前記セパレータと前記クリーニング層を跨いで、片面接着テープが貼り付けられている第1発明に記載のクリーニングシートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のクリーニングシートでは、印刷機や塗工機などの装置でのシート搬送方向の前後両端のクリーニング層に、セパレータを貼り合わせているので、クリーニングシートのシート搬送方向前後両端は装置に貼りつかず、クリーニングシートを装置に容易に装着することができる。また、本発明のクリーニングシートでは、クリーニング層全面に貼り合わせたセパレータの一部を剥がすことによって、クリーニングシートのシート搬送方向前後両端にのみセパレータを残すことができるので、クリーニングシートの製造時に特別な工程を要さずに、塗工機や印刷機などの装置への装着が容易なクリーニングシートが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態にかかるクリーニングシートXを示す図である。
図2】本発明の第2実施形態にかかるクリーニングシートYを示す図である。
図3】本発明の第3実施形態にかかるクリーニングシートZを示す図である。
図4】本発明のクリーニングシートXをクリーニングする装置Mに装着するために、装置M上の基材Aと接合した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明のクリーニングシートを、さらに詳しく説明する。
【0012】
(クリーニングシートX)
本発明の第1実施形態のクリーニングシートXを図1に示す。本発明のクリーニングシートXは、基材1の両面に積層したクリーニング層2を有し、クリーニングシートXを装着する装置Mにおける搬送方向前後両端のみのクリーニング層2に、セパレータ3を貼り合わせた構成となっている。
【0013】
上記のように、クリーニングシートXを装着する装置Mにおける搬送方向前後両端となる部分のクリーニングシートXのクリーニング層2上には、セパレータ3を貼り合わせている。クリーニングシートXを装置Mに装着する際には、クリーニングシートXの前後両端を、装置Mで搬送可能な状態にセットされた基材Aと接合する必要がある。図4に示すように、装置Mにセットされた基材AとクリーニングシートXの前後両端を接合することにより、クリーニングシートXは装置M上を搬送可能となる。クリーニングシートXでは、前後両端にセパレータ3を貼り合わせているので、基材Aとの接合を、例えば装置Mのローラー上で実施した場合でも、クリーニングシートXはローラーに貼りつかない。したがって、クリーニングシートXを誤った状態、例えばクリーニングシートXがシワになった状態や、クリーニングシートXが歪んだ状態でローラー上に装着しても、クリーニングシートXはローラー上を容易にすべり、クリーニングシートXを正しい状態に修正することができる。
【0014】
クリーニングシートXのクリーニング層2上にセパレータ3を貼り合わせる方法は、特に限定されない。しかしながら、図2に示すように、クリーニング層2の全面に貼り合わせたセパレータ3に2ヶ所の平行な切り目線を設け、この2ヶ所の切り目線間のセパレータ3をクリーニング層2から剥がすことによって、装置Mにおける搬送方向前後両端となる部分のクリーニング層2上のみにセパレータ3を残す方法が、好ましい。切り目線に沿って、セパレータ3を剥がすだけで、装置Mにおける搬送方向前後両端となる部分のクリーニング層2上のみにセパレータ3を残すことができるので、製造時に特別な工程を要さずに、塗工機や印刷機などの装置への装着が容易なクリーニングシートが提供できる。切り目線は、装置Mにおける搬送方向前後両端となる部分のセパレータを残して、2ヶ所の切り目線間のセパレータを剥がすことができるものであればよく、完全にセパレータを切断した切り目線のほか、ミシン目やハーフカットなど任意の方法を採用することができる。
【0015】
クリーニングシートXの層構成を図1に示す。クリーニングシートXは、基材1の両面にクリーニング層2を積層し、クリーニング層2上にセパレータ3を貼り合わせた5層で構成されている。クリーニングシートXの用途によっては、基材1の一方にのみ、クリーニング層2とセパレータ3を積層した3層の構成としてもよい。
【0016】
(基材1)
クリーニングシートXで使用する基材1は、各種のプラスチックからなるフィルムであれば、特に限定されない。例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等よりなるフィルムが例示されるが、これらに限定されるものではない。クリーニング層2の熱架橋時の取り扱い性、コストの面からポリエステルフィルムやポリカーボネートフィルムが好ましい。基材の厚みは、使用する装置の大きさやローラー径などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは5〜400μm、より好ましくは20〜250μmである。
【0017】
基材1は、その表面をコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理などを施してもよいし、必要に応じてアンカー層等を設けてもよい。アンカー層等を積層する方法としては、製膜時に積層するいわゆるインライン法、または製膜したフィルムに積層するいわゆるオフライン法のいずれでもよい。
【0018】
(クリーニング層2)
クリーニングシートXのクリーニング層2を構成する材料は、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の微粘着性、或いは吸着性を有する材料を、適宜選択して使用することができる。この中でも、ポリウレタン系樹脂によるウレタン吸着層は、粘着力は弱いが、ローラーに対する吸着力は強いものとすることによって、ローラー表面への糊残りを無くすことができるとともに、ウレタン吸着層がローラー表面に強く貼りつかずに剥離するので、クリーニングシートの搬送不良を防止することができる。
【0019】
(ポリウレタン系樹脂)
クリーニングシートXのクリーニング層2はポリウレタン系樹脂を主成分として含むことが好ましい。クリーニング層2のポリウレタン系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%〜90重量%であり、より好ましくは70重量%〜90重量%である。クリーニング層2中のポリウレタン系樹脂の含有割合を上記範囲内に調整することにより、クリーニングシートXにおいて、ローラー表面への糊残りによる汚染をより少なくし得るとともに、ローラーからの剥離性が向上するので搬送不良を防止できる。
【0020】
(長鎖脂肪酸エステル)
クリーニングシートXのクリーニング層2は長鎖脂肪酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。クリーニング層2の長鎖脂肪酸エステルの含有割合は、好ましくは10重量%〜30重量%であり、より好ましくは15重量%〜25重量%である。ウレタン吸着層中の長鎖脂肪酸エステルの含有割合を上記範囲内に調整することにより、クリーニングシートXにおいて、汚れを吸着する性能が向上するとともに、ローラー表面に素早く吸着する性能も向上するため、クリーニングシートXの搬送スピードを速くしてもローラー外周の清掃力が良好であり、ローラー外周のクリーニング作業をより効率的なものとすることができる。
【0021】
クリーニング層2の厚みとしては、用途に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。クリーニング層2の厚みは、好ましくは3μm〜50μmであり、より好ましくは5μm〜10μmである。クリーニング層2の厚みが大きいほど、クリーニング層2が弾性変形して異物を吸着する性能が向上するが、長鎖脂肪酸エステルを含有するポリウレタン系樹脂を主成分とするクリーニング層2であれば、5μm〜10μmの薄いウレタン吸着層でも十分に異物を吸着することができ、異物吸着性能と経済性を両立したクリーニングシートを得ることが可能となる。
【0022】
クリーニング層2は、任意の適切な製造方法によって製造し得る。このような製造方法としては、例えば、クリーニング層2の形成材料である組成物を基材上に塗布し、基材上においてクリーニング層2を形成する方法が挙げられる。このような塗布の方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、スプレーコート、エアーナイフコート法、スロットダイなどによる押出しコートなどが挙げられる。
【0023】
クリーニング層2はウレタン樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有しうる。このような他の成分としては、例えば、ウレタン系樹脂以外の樹脂成分、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、導電剤、光安定剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤などが挙げられる。
【0024】
クリーニング層2は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤といった劣化防止剤を含んでもよい。クリーニング層2が劣化防止剤を含むことにより、加温状態のローラーと接触してもローラーに糊残りが生じにくいなど、糊残り防止性に優れるようになる。劣化防止剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。劣化防止剤として、特に好ましくは、酸化防止剤である。
【0025】
(セパレータ3)
本発明のクリーニングシートのセパレータには、プラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム等を挙げることができる。これらの中で、生産性、加工性に優れるポリエステルフィルムが好ましく使用できる。また、このようなポリエステルフィルムには二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム、無延伸フィルムがあり、そのいずれも使用できるが、特に二軸延伸フィルムが汎用的であり好ましく使用できる。プラスチックフィルムの厚さとしては、25〜100μmが好ましく用いられる。25μmより薄いとフィルム強度が不足し、十分なクリーニング層2の保護性能が得られないほか、剥離時にフィルムが破れる等の問題が発生する。また、100μmより厚くなると、セパレータ自身の弾性力によって、装置Mでの搬送時にクリーニング層2から剥がれ易くなるので好ましくない。
【0026】
セパレータ3表面の中心線表面粗さRaは0.20μm以下が好ましい。より好ましくは、0.10μm以下である。中心線表面粗さが0.20μmより大きくなると、セパレータ3表面の粗さがクリーニング層2面に転写し、クリーニング層2の粗さにより、クリーニング層2の吸着力が低下する。
【0027】
本発明のクリーニングシートXでは、セパレータ3を貼り合わせた状態のまま、紙やフィルムなどの薄いシートを搬送する印刷機や塗工機などの装置Mに装着して、装置M上を搬送することによって、装置Mのローラー外周を清掃する。したがって、装置M上を搬送中にセパレータ3が剥がれると、セパレータ3が装置Mのローラーに巻きつくなど、装置Mのマシントラブルの原因になる。セパレータ3のクリーニング層2からの剥離力は、16mN/25mm以上10000mN/25mm以下であることが好ましく、16mN/25mm以上1000mN/25mm以下であることが、より好ましい。セパレータ3のクリーニング層2からの剥離力が16mN/25mmを下回ると、装置M上でセパレータ3が剥がれ易くなる。一方、セパレータ3のクリーニング層2からの剥離力が10000mN/25mmを超えると、製造時に2ヶ所の切り目線間のセパレータ3をクリーニング層2から剥がすことが困難になるとともに、セパレータ3とともにクリーニング層2を剥がすおそれがある。また、下記のクリーニングシートYのように、2ヶ所の切り目線間のセパレータ3を使用直前にクリーニング層2から剥がすことを考慮すれば、一般のユーザーも簡単にセパレータ3をクリーニング層2からの剥離できなければならないので、セパレータ3のクリーニング層2からの剥離力は、1000mN/25mm以下がより好ましい。
【0028】
セパレータ3のクリーニング層2からの剥離力は、セパレータ3の表面に離型処理層を設けることにより調整することができる。離型処理層としては、シリコーン系、フッ素系、炭化水素系等の材料を適宜使用して、セパレータ3のクリーニング層2からの剥離力を調整することができる。
【0029】
(クリーニングシートY)
本発明の第2実施形態のクリーニングシートYを図2に示す。クリーニングシートXでは、クリーニングシートX自体の製造時に2ヶ所の切り目線間のセパレータ3をクリーニング層2から剥がした。しかしながら、2ヶ所の切り目線間のセパレータ3は、前記の装置Mに装着する直前に剥がしてもよい。クリーニング層2が露出することによる性能低下防止・劣化防止を考慮すると、2ヶ所の切り目線間のセパレータ3は、使用直前にクリーニング層2から剥がすことが好ましい。このため、クリーニングシートYでは、セパレータ3に2ヶ所の平行な切り目線を設け、2ヶ所の切り目線間のセパレータ3を貼り合わせた状態のままとし、使用時に2ヶ所の切り目線間のセパレータ3を剥がす形態とした。
【0030】
クリーニングシートYでも、両端にセパレータ3を残すことによって、セパレータ3が残された部分を使用して、クリーニングシートYを装置Mへ容易に装着することができる。
【0031】
(クリーニングシートZ)
本発明の第3実施形態のクリーニングシートZを図3に示す。クリーニングシートZでは、クリーニングシートXの2ヶ所の切り目線間のセパレータ3を剥がすことにより、露出したクリーニング層2と残ったセパレータ3の端部を跨いで、片面接着テープ4が貼り付けられている。クリーニングシートXではクリーニング層2からのセパレータ3の剥離力を調整することにより、印刷機や塗工機などの装置M上を搬送中にセパレータ3が剥がれることを防止している。ローラーのみで構成されているような装置Mであれば、クリーニング層2からセパレータ3が剥離する箇所は特定されず、剥離力が小さいとセパレータ3の中央部分に浮きが生じ、この浮きが起点となってセパレータ3がクリーニング層2から剥がれることもある。しかしながら、装置Mのシートを搬送する部分にダイなどのエッジでシートと接触する箇所がある装置Mでは、クリーニングシートの搬送方向と垂直なセパレータ3の端部に、セパレータ3をクリーニング層2から剥がす力が集中的に作用するため、このような用途に本発明のクリーニングシートを使用する際には、クリーニングシートZの形態が、セパレータ3の剥がれ防止に効果がある。
【0032】
(片面接着テープ4)
片面接着テープ4には、ポリエステル系、アクリル系、シリコーン系等から選ばれる片面接着テープを適宜使用することができる。ダイなどのエッジでシートと接触する箇所がある装置Mでも、セパレータ3がクリーニング層2から剥がれないようにするためには、片面接着テープ4のテープ剥離力は、3.0N/20mm以上が好ましく、5.0N/20mm以上がより好ましい。また、同様の理由で、片面接着テープ4の総厚は、0.11mm以下が好ましく、より好ましくは0.09mm以下である。テープ剥離力が3.0N/20mm以上であり、総厚を0.11mm以下とすることにより、ダイなどのエッジでシートと接触する箇所がある装置Mでも、セパレータ3がクリーニング層2から剥がれ難くなる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0034】
(セパレータ3A)
アクリル酸アルキルエステル系共重合物である剥離剤10重量部、トルエンと酢酸エチルとイソプロピルアルコールの50:40:10の混合溶媒90重量部を混ぜ合わせて撹拌・混合して、離型処理層を形成する塗料を調整した。厚みが、25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、この離型処理層用塗料を、乾燥後の厚さが0.1μmになるようにメイヤバーにて塗布し、120℃の熱風循環式オーブンにて1分間乾燥し、セパレータ3Aを得た。
【0035】
(セパレータ3B)
付加反応型シリコーン100重量部と白金系触媒1重量部を混合して得た離型処理用塗料を、乾燥後の厚さが0.1μmになるようにメイヤバーにて、25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に塗布し、100℃×30秒加熱して、セパレータ3Bを得た。
【0036】
(セパレータ3C)
下記の離型処理用塗料を、乾燥後の厚さが0.1μmになるようにメイヤバーにて、25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に塗布し、100℃×30秒加熱して、セパレータ3Cを得た。
離型処理用塗料(重量部)
パラフィンワックス 6
カルナバワックス 4
トルエン 90
【0037】
(ウレタンポリオール溶液)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−1010(2官能ポリエステルポリオール、OH価112、分子量1,000、クラレ株式会社製)81重量部、ポリエーテルポリオールG−3000B(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、分子量3,000、旭電化株式会社製)101重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(住友バイエル株式会社製)19重量部、トルエン134重量部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05重量部、2−エチルヘキサン酸錫0.02重量部を仕込み、90℃まで徐々に昇温し2時間反応を行う。IRで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で冷却し反応を終了することでポリウレタンポリオール溶液を得た。このポリウレタンポリオール溶液は無色透明で不揮発分60%、粘度3,300cps、Mn(数平均分子量)=15,500、Mw(重量平均分子量)=46,000であった。分子量測定に関しては、島津製作所製Prominenceを用いて実施した(カラム;TOSOH製 TSKgelGMH×2本連結、検出器;RID−10A、溶媒;THF、流速;1ml/分)。
【0038】
(クリーニング層2A)
上記で合成したポリウレタンポリオール溶液100重量部に対して、ステアリン酸2−エチルヘキシル17.5重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体75重量%酢酸エチル溶液16.7重量部を加え、樹脂組成物の固形分が45%となる様にトルエンで希釈し、ディスパーで撹拌し、ウレタン系樹脂組成物を得た。得られたウレタン系樹脂組成物を、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材の両面にスロットダイを用いて乾燥後厚みが5μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間3分の条件でキュアーして乾燥させた。このようにして、基材上にウレタン系樹脂からなるクリーニング層2Aを作製した。
【0039】
(クリーニング層2B)
ステアリン酸2−エチルヘキシルの配合量を3.5重量部に変更した以外は、クリーニング層2Aと同様にして、ウレタン系樹脂組成物を得た。得られたウレタン系樹脂組成物を、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材の両面にスロットダイを用いて乾燥後厚みが5μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間3分の条件でキュアーして乾燥させた。このようにして、基材上にウレタン系樹脂からなるクリーニング層2Bを作製した。
【0040】
(実施例1、参考例2、参考例3)
次いで、クリーニング層2Aの表面に、上記で作成したセパレータ3Aの離型処理層面を貼り合わせたものを紙管に巻き取り、クリーニングシート本体原反ロールXAを得た。次に、クリーニング層2Aの表面に、上記で作成したセパレータ3Bと3Cの離型処理層面を貼り合わせたものを紙管に巻き取り、それぞれクリーニングシート本体原反ロールXB、XCを得た。得られたクリーニングシート本体原反ロールを、常温で7日間エージングを行った後、クリーニングシート本体原反ロールXA、XB、XCを使用して、所定のシートカット装置を使用して、クリーニングシート原反ロールから所定の長さのシートを切り取るとともに、切り取ったシートの両面の所定の各2ヶ所に、セパレータの切り目線を入れた。このようにして、所定のシートカット装置を使用することで、図2に示す構成のそれぞれクリーニングシートY1、クリーニングシートY2、クリーニングシートY3を作製した。クリーニングシートY1、Y2、Y3の2ヶ所の切り目線間のセパレータを剥がして、図1に示す構成の、それぞれ実施例1のクリーニングシートX1、参考例2のクリーニングシートX2、参考例3のクリーニングシートX3を得た。
【0041】
(実施例4、参考例5)
実施例1のクリーニングシートX1、参考例2のクリーニングシートX2のセパレータ3とクリーニング層2の境界部分に、セパレータ3とクリーニング層2を跨いで、片面接着テープ4を貼り付けて、図3に示す構成であるそれぞれ実施例4のクリーニングシートZ1、参考例5のクリーニングシートZ2を作製した。片面接着テープ4には、日東電工株式会社製NO.31(総厚み0.053mm)を使用した。
【0042】
(比較例1)
クリーニングシート本体原反ロールXAを使用して、所定のシートカット装置を使用して、図2に示す構成のクリーニングシートY1とは、すべての切り目線が無い点のみが異なるクリーニングシートを作製した後、両面のセパレータ3を剥がして、両面全面にセパレータ3がなく両面全面のクリーニング層2が露出した比較例1のクリーニングシートQ1を作製した。
【0043】
(比較例2)
次いで、クリーニング層2Bの表面に、上記で作成したセパレータ3Aの離型処理層面を貼合わせたものを紙管に巻き取り、クリーニングシート本体原反ロールQAを得た。得られたクリーニングシート本体原反ロールQAを、常温で7日間エージングを行った後、クリーニングシート本体原反ロールQAを使用して、所定のシートカット装置を使用して、クリーニングシート原反ロールから所定の長さのシートを切り取るとともに、切り取ったシートの両面の所定の各2ヶ所に、セパレータの切り目線を入れた。このようにして、所定のシートカット装置を使用することで、図2に示す構成のクリーニングシートを作製した。このクリーニングシートの2ヶ所の切り目線間のセパレータを剥がして、比較例2のクリーニングシートQ2を得た。なお、実施例1、参考例2、3、実施例4、参考例5のクリーニングシートX1、X2、X3、Z1、Z2、及び比較例1、2のクリーニングシートQ1、Q2とも、装置Mでの搬送方向全長寸法と、搬送方向に対する幅寸法は、すべて同じである。また、比較例1のクリーニングシートQ1を除く残りの6種類のクリーニングシートの2ヶ所の切り目線の位置は、すべて同じ場所である。
【0044】
(セパレータの剥離力)
実施例1のクリーニングシートX1、参考例2のクリーニングシートX2、参考例3のクリーニングシートX3の両面にセパレータ3が貼り付けられている部分を、幅25mm、長さ300mmの短冊状の評価サンプルにカットした。評価サンプルの一方の面のセパレータ3を剥がし、クリーニング層2を露出させた後、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルのクリーニング層2面をガラス板(松浪硝子工業株式会社製、商品名:マイクロスライドガラスS)に、荷重2.0kgのローラーを1往復することにより貼り付けた。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で30分間養生した後、セパレータ3の端部を少し剥離させ、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/minでセパレータ3を剥離することにより、セパレータ3の剥離力を3回測定した。3回の平均値を評価結果として、表1に示す。
【0045】
(クリーニングシートの装着性評価)
所定の塗工機(以下、装置Mとする)に、実施例1及び比較例1で作製したクリーニングシートX1、Q1を装着し装着性を比較した。クリーニングシートは、あらかじめ装置Mに装着された基材Aの端部にクリーニングシートの端部を片面接着テープにて接合することによって、装着した。あらかじめ装置Mに装着された基材Aとクリーニングシートの接合は、前記装置Mの所定のバキュームローラー上で、バキュームローラーに吸着させることによって、それぞれのシートを吸着して行った。装着の手順としては、まず、バキュームローラー上であらかじめ装置Mに装着された基材Aをカットし、カットすることによってできた装置Mの巻取り側となる基材Aの端部に、クリーニングシートの一方の端部を接合した。次に、クリーニングシートに張力を付与した状態で、クリーニングシートのもう一方の端部がバキュームローラー上に来るまで基材Aを装置Mに巻き取らせた。そして、最後にクリーニングシートのもう一方の端部と、カットすることによって出来た基材Aのもう一方の端部をバキュームローラー上で接合した。図4に基材Aとの接合が完了した状態のクリーニングシートX1を示す。装着性評価は、実施例1、比較例1ごとに3回実施した。装着に要した時間の3回の平均値を表2に示す。
【0046】
(クリーニングシートの搬送性評価)
所定の塗工機(以下、装置M)に、実施例1、参考例2、3、実施例4、参考例5のクリーニングシートX1、X2、X3、Z1、Z2を装着して、搬送速度2m/分、5m/分、10m/分で搬送し、搬送後の各クリーニングシートの状態を目視確認した。セパレータに全く浮き上がりがなければ「◎」、セパレータに浮きがあっても、剥がれていなければ「○」、セパレータが剥がれているが、クリーニングシート上にすべてのセパレータが残っていれば「△」、一部でもセパレータがクリーニングシートから無くなっていれば「×」とした。それぞれの結果を表3に示す。
【0047】
(異物除去性の評価)
実施例1、比較例2のそれぞれのクリーニングシートX1、Q2をそれぞれ6枚準備した。所定の塗工機で所定の塗工作業を行った後、実施例1のクリーニングシートX1のうちの1枚を前記塗工機に装着して、前記塗工機のすべてのローラーと接触するように、クリーニングシートを2m/分のスピードで搬送した。次に、もう1枚の実施例1のクリーニングシートX1を前記塗工機に装着して、前記塗工機のすべてのローラーと接触するように、クリーニングシートを2m/分のスピードで搬送した。塗工機で搬送した2枚のクリーニングシートの一部分(塗工機での搬送方向、搬送方向の垂直方向ともに中央部となる箇所)を、塗工機の搬送方向が長手方向になるようにA4サイズに切り取り、切り取ったクリーニングシートの両面のクリーニング層上にある異物の個数の合計を目視確認した。個数として計上する異物は、きょう雑物見本を参照して、0.04mm2 以上とした。1枚目のクリーニングシートの異物の個数を基準として、2枚目のクリーニングシートの異物の個数が1/10未満であれば「◎」、1/10以上2/10未満であれば「○」、2/10以上であれば「×」とした。次に、クリーニングシートの搬送速度を5m/分、10m/分に変更した以外は、同じ方法で実施例1のクリーニングシートの異物除去性の評価を実施した。比較例2のクリーニングシートについても、同様の方法で異物除去性の評価を行った。それぞれの評価結果を表4に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【符号の説明】
【0052】
X、Y、Z、Q1、Q2、X1〜X3、Y1〜Y3、Z1〜Z2:クリーニングシート
XA、XB、XC、QA:クリーニングシート本体
M:装置(印刷機、塗工機など)
A:基材(装置Mに搬送可能に装着されたもの)
1:基材
2、2A、2B:クリーニング層
3、3A、3B、3C:セパレータ
4:片面接着テープ
図1
図2
図3
図4