(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシン10を例に説明する。
【0020】
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、
図1に示すように、四角箱状の筐体11と、筐体11の正面側に開閉自在に取り付けられる前扉31を有する。この前扉31には、遊技者側に向かって臨む表示窓12が形成されている。
【0021】
また、前扉31の高さ方向略中央部には、スロットマシン10を作動させるための操作部31Aおよびメダル投入口14が設けられている。操作部31Aには、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50などが設けられている。
【0022】
また、操作部31Aの下方には、下パネル31Bを挟んで、メダルを払い出すためのメダル払い出し口18と、メダル払い出し口18から払い出されたメダルを貯留可能な下皿31Cが設けられている。
【0023】
上記した前扉31の表示窓12には、背後の回転リール40の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。回転リール40は、図柄表示窓13の裏側に配置されて、回転可能にスロットマシン10に取り付けられており、外周表面に表示された複数の図柄を変動表示又は停止表示するためのものである。本実施形態においては、左リール41、中リール42、右リール43の3個の回転リール40が設けられており、それぞれの回転リール40が個別に回転可能となっている。
【0024】
上記した図柄表示窓13からは、3個の回転リール40のそれぞれについて、上段、中段、下段の3段の図柄が表示されるようになっており、計9個の図柄が図柄表示窓13を通して表示されるようになっている。そして、この計9個の図柄の表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。有効ラインとは、3個の回転リール40のそれぞれについて表示位置にある図柄を1個ずつ繋いでできるラインのうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。本実施の形態においては、
図3に示すように、5つのラインL1〜5が有効ラインとして設定されている。この有効ラインに沿って役に対応付けられた図柄組合せが表示されると、当該役に入賞となる。
【0025】
このスロットマシン10の内部には、図示しないが、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20(
図2参照)が内蔵されている。
【0026】
(入力段)
上記制御装置20の入力段には、
図2に示すように、投入スイッチ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53が接続されている。
なお、入力段としては、上記した各入力装置に限定されるものではない。
【0027】
(投入スイッチ15)
投入スイッチ15は、
図1に示すように、メダル投入口14の下方に内蔵されたスイッチであって、投入された遊技メダルを検知するためのものである。投入スイッチ15が遊技メダルを検知すると、最大50枚まで遊技メダルを遊技機内部に貯留(クレジット)することができるようになっている。このようにクレジットされた遊技メダルは、クレジット表示部32に数値として表示され、次ゲーム以降に使用することができる。
【0028】
(ベットスイッチ16)
ベットスイッチ16は、
図1に示すように、操作部31Aの上面に位置するスイッチである。ベットスイッチ16を押下することで、クレジットをメダル投入に代えることができる。クレジットをメダル投入に代えることで、ゲームを開始可能な状態となる。
【0029】
(精算スイッチ17)
精算スイッチ17は、
図1に示すように、操作部31Aの上面左端に位置するスイッチであって、クレジットされているメダルを払い戻すためのものである。
【0030】
(スタートスイッチ30)
スタートスイッチ30は、
図1に示すように、操作部31Aの正面左側に位置するレバーである。ゲームを開始可能な状態でスタートスイッチ30を操作すると、後述するリールユニット60の駆動が開始し、回転リール40の図柄が変動表示される。
【0031】
(ストップスイッチ50)
ストップスイッチ50は、後述するリールユニット60の駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、
図1に示すように、各回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)に対応した3個のスイッチ(左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53)から構成され、各回転リール40の下方に一個ずつ配置されている。回転リール40に対応したストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止し、回転リール40の図柄が停止表示されるようになっている。
【0032】
(出力段)
前記制御装置20の出力段には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、演出部66(画像表示部67、ランプ68、スピーカ69)、の各パーツが接続されている。
なお、出力段としては、上記した各パーツに限定されるものではない。
【0033】
(リールユニット60)
リールユニット60は、特に図示しないが枠体に固定あるいは支持された3個のステッピングモータと、各々のステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)とから構成されている。各回転リール40は、短円筒状の回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、それぞれ20個の図柄が等間隔で表示されている。
【0034】
なお、本実施形態に係るスロットマシン10は、
図5に示すように複数の図柄を備えており、これらの図柄が、
図5に示すような図柄配列で各回転リール40の表面に表示されている。
【0035】
具体的には、左リール41には、回転方向に見て「スイカ」「青チェリー」「BLANK」「Replay」「ベル」「スイカ」「赤チェリー」「BAR」「Replay」「ベル」「スイカ」「赤チェリー」「BLANK」「Replay」「ベル」「スイカ」「青チェリー」「7」「Replay」「ベル」の順に図柄が表示されている。
【0036】
また、中リール42には、回転方向に見て「Replay」「スイカ」「BLANK」
「BLANK」「ベル」「Replay」「スイカ」「BAR」「BLANK」「ベル」
「Replay」「スイカ」「BLANK」「青チェリー」「ベル」「Replay」「スイカ」「7」「赤チェリー」「ベル」の順に図柄が表示されている。
【0037】
また、右リール43には、回転方向に見て「BLANK」「スイカ」「赤チェリー」「ベル」「Replay」「BLANK」「スイカ」「BAR」「ベル」「Replay」
「BLANK」「スイカ」「青チェリー」「ベル」「Replay」「BLANK」「スイカ」「7」「ベル」「Replay」の順に図柄が表示されている。
【0038】
(ホッパーユニット65)
ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に配置されており、ゲームの結果等に基づいてメダルを払い出すためのものである。
【0039】
(演出部66)
演出部66は、制御装置20の制御により、入賞等の報知など、種々の演出を行うものである。具体的には、演出部66は、画像表示部67と、ランプ68と、スピーカ69と、から構成されている。
【0040】
画像表示部67は、回転リール40の上方に設けられた窓部の背後に配置され、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限らず、例えば演出専用の回転リール40を設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしても良い。
ランプ68は、発光体の点灯又は点滅により入賞等を報知するためのものである。
スピーカ69は、入賞音の発生により入賞等を報知するためのものである。
【0041】
(制御装置20)
制御装置20は、スロットマシン10の作動を制御するためのものである。この制御装置20は、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の制御を実行するように構成されている。
【0042】
本実施形態に係る制御装置20は、
図2に示すように、遊技状態制御手段100、当せん抽せん手段110、役抽せんテーブル120、リール制御手段130、入賞判定手段140、ホッパー制御手段150、演出制御手段200、押し順報知制御手段210、設定手段220、ART制御手段230、遊技区間制御手段240、の各手段として機能する。なお、制御装置20としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0043】
(遊技状態制御手段100)
遊技状態制御手段100は、遊技状態の管理を行うためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は複数の遊技状態を備えており、遊技状態制御手段100は現在の遊技状態を記憶するとともに、遊技状態の移行契機となる所定の事象が発生したときに遊技状態を切り替える処理を実行する。
【0044】
本実施形態に係るスロットマシン10は、
図4に示すように、以下の遊技状態(リプレイ役の当せん確率等によって規定される複数のRT状態)を備えている。なお、遊技状態は以下に限らず、任意の遊技状態を設けることができる。(1)RT0状態(2)RT1状態(3)RT2状態(4)RT3状態(5)RT4状態(6)RT5状態(7)RT6状態
【0045】
このうち、RT0状態は、工場出荷時又は設定変更時に設定される初期状態である。このRT0状態へは、設定変更や有利区間の終了などで設定がリセットされたときに移行する。このRT0状態へは、RT1状態において所定数のゲーム(例えば700ゲーム)を消化したときや、RT6状態において所定ゲーム数よりも少ない規定ゲーム数(例えば1ゲーム)を消化したときに移行する。なお、このRT0状態は、後述するRT5状態へ移行できないように構成されている。具体的には、後述するRT5リプに入賞してもRT5状態へは移行しないように構成されている。
【0046】
また、RT1状態は、所定のRT1状態移行契機を達成したときに移行する遊技状態である。本実施形態においては、予め定められたRT1状態移行役(RT1リプ)に入賞したか、または、RT5状態においてARTが終了した(例えば所定のゲーム数を消化することによりARTが終了した)ときに、RT1状態へ移行する。なお、このRT1状態は、後述するRT4状態やRT5状態へ移行できないように構成されている。具体的には、後述するRT4リプに入賞してもRT4状態へは移行せず、後述するRT5リプに入賞してもRT5状態へは移行しないように構成されている。
【0047】
また、RT2状態は、後述する設定差なしボーナス役に係るボーナスゲームの終了後に移行する遊技状態である。設定差なしボーナス役に係るボーナスゲームの終了後であるため、RT2状態の遊技区間は有利区間となる。
また、RT3状態は、後述する設定差ありボーナス役に係るボーナスゲームの終了後に移行する遊技状態である。
【0048】
また、RT4状態は、所定の準備状態移行契機を達成したときに移行する遊技状態である。本実施形態においては、予め定められたRT4状態移行役(RT4リプ)に入賞したときに、RT4状態へ移行する。RT4状態移行役(RT4リプ)は設定差なし小役(リプレイ役)であるため、後述の通りRT4状態の遊技区間は有利区間となる。
【0049】
なお、このRT4状態は、後述するRT5状態への移行確率が最も高く設定された状態である。本実施形態においては、他の遊技状態(RT2状態またはRT3状態)からもRT5状態へ移行可能であるが、後述するように、他の遊技状態においてRT5リプに入賞させることは困難であるため、他の遊技状態からRT5状態へ移行することは困難となっている。言い換えると、RT5状態へ移行するには、ほとんどのケースでRT4状態を経由しなければならないようになっている。
【0050】
また、RT5状態は、所定の特定遊技移行契機を達成したときに移行する遊技状態である。本実施形態においては、予め定められたRT5状態移行役(RT5リプ)に入賞したときに、RT5状態へ移行する。
【0051】
このRT5状態は、小役の入賞をアシストするARTを実行可能な遊技状態である。本実施形態においては、後述する有利区間においてART抽せんを行い、ART抽せんに当せんしてRT5状態に移行した場合にARTが開始される。なお、ARTは、所定の条件が成立するまで継続して実行される。例えば予め設定された所定のゲーム数を消化するまでARTが継続するようになっている。
【0052】
また、RT6状態は、RT5状態において予め定められたRT6状態移行役(RT6リプ)に入賞したときに移行する状態である。
【0053】
なお、上記したRT4状態及びRT5状態は、他の遊技状態よりも相対的にリプレイ役の当せん確率が向上した「リプレイ高確率状態」である。また、その他の遊技状態、すなわち、RT0状態、RT1状態、RT2状態、RT3状態、RT6状態は、リプレイ役の当せん確率が「リプレイ高確率状態」よりも相対的に低く設定された「リプレイ低確率状態」である。
【0054】
本実施形態においては、「リプレイ高確率状態」かつ「ARTが実行可能」なRT5状態が、遊技者にとって最も有利な遊技状態である。また、「リプレイ高確率状態」かつ「ARTへ高確率で移行可能」なRT4状態が、遊技者にとって2番目に有利な遊技状態である。逆に、RT1状態は、遊技者にとって最も不利な遊技状態である。
【0055】
なお、
図4では特に図示しないが、本実施形態に係るスロットマシン10は、「ボーナスゲーム中」の遊技状態を備えている。「ボーナスゲーム中」は、ボーナス役に入賞したときに移行する遊技状態であり、所定のボーナスゲーム終了契機(例えば、予め設定されたゲーム数を消化した場合や、予め設定された払い出し枚数を超えるメダルの払い出しがあった場合)に終了する。この「ボーナスゲーム中」が終了すると、当該ボーナスゲームに係るボーナス役が「設定差なし」なのか「設定差あり」なのかによって、RT2状態またはRT3状態のいずれかの遊技状態に移行する。
【0056】
遊技状態制御手段100は、スロットマシン10が上記した遊技状態のいずれかの遊技状態となるように制御し、ゲーム中に遊技状態の移行契機となる所定の事象が発生したときには、そのゲームの終了後に遊技状態を切り替える処理を実行する。
【0057】
(当せん抽せん手段110)
当せん抽せん手段110は、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行うためのものである。すなわち、予め定めた抽せん確率に基づいて当せん役に係る抽せんを行うものである。そして、当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんした場合に当せんフラグが成立し、この当せんフラグの成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
【0058】
具体的には、当せん抽せん手段110は、乱数を所定の範囲内で発生させる乱数発生手段を備え、この乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより抽せんを行う。本実施形態に係る当せん抽せん手段110は、16bitで乱数を発生させるため、0〜65535までの65536通りの乱数を発生させるようになっている。後述する役抽せんテーブル120には、この65536通りの乱数のそれぞれに当せん領域が割り当てられており、この役抽せんテーブル120に乱数を照合することにより当せん役またはハズレを特定することができる。
【0059】
本実施形態においては、
図10〜13に示すように、抽出した乱数が「ハズレ」「通常リプ」「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」「RT4_1」「RT4_2」「左中右_RT6」「左右中_RT6」「中左右_RT6」「中右左_RT6」「右左中_RT6」「右中左_RT6」「左_ベル1」「左_ベル2」「中_ベル1」「中_ベル2」「右_ベル1」「右_ベル2」「スイカ」「RT4_1+BB」「RT4_1+RB」「RT4_2+BB」「RT4_2+RB」「スイカ+BB」「スイカ+RB」の当せん領域のいずれかに割り当てられるようになっている。
【0060】
なお、当せん領域「スイカ+BB」及び「スイカ+RB」は、後述する設定値によって当せん確率が変動する設定差ありボーナス役であり、設定値が大きいほど当せんしやすくなっている。一方、当せん領域「RT4_1+BB」、「RT4_1+RB」、「RT4_2+BB」、「RT4_2+RB」は、設定値によって当せん確率が変動しない設定差なしボーナス役であり、設定値が変わっても当せん確率は変動しないようになっている。
【0061】
(役抽せんテーブル120)
役抽せんテーブル120は、当せん抽せん手段110が抽出した乱数がいずれかの当せん役またはハズレに対応するかを定めたものである。この役抽せんテーブル120は、複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶しており、具体的には、当せん抽せん手段110において発生する乱数と当せん役との対応表として設けられている。当せん抽せん手段110は、遊技状態や設定値等に応じてこれらの役抽せんテーブル120を切り替えて使用する。これにより、遊技状態ごとに当せん確率が変動するように構成されている。
【0062】
(リール制御手段130)
リール制御手段130は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40を回転させると共に、特に図示しないがリール回転検知センサの検知信号に基づいて図柄の現在位置を認識しつつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果および有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づいて、回転リール40の停止を制御するためのものである。
【0063】
このリール制御手段130は、メダルがベットされ、前ゲーム開始から所定時間(いわゆるウエイト時間)が経過しているなど、所定のゲーム開始条件を満たしている場合には、スタートスイッチ30の操作信号に基づいて全ての回転リール40の回転を開始させる。
【0064】
また、回転リール40が回転中にいずれかのストップスイッチ50が操作されると、ストップスイッチ50の操作信号に基づきストップ信号を出力し、操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40の回転を停止させる。
【0065】
なお、リール制御手段130は回転リール40を停止させる際、停止操作がされたときの図柄表示位置を基準として、最大4コマのスベリコマ数で図柄を回転方向に移動させて停止させることができる。このような制御により、当せん抽せん手段110の抽せん結果が「ハズレ」の場合には、3個の回転リール40の図柄が如何なる入賞の態様にも揃わないように蹴飛ばし制御を行う。また、抽せん結果が所定の当せん役に当せんの場合には、3個の回転リール40の図柄が極力当該当せんに係る入賞の態様となるように引き込み制御を行う。
【0066】
このような蹴飛ばし制御及び引き込み制御は、当せん抽せん手段110による役抽せんの結果や、ストップスイッチ50の操作タイミング、停止位置の優先順位などに基づいて計算されて実行される。例えば、2種類以上の役に同時当せんしている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役に対応する図柄組合せを有効ライン上に表示できるように引き込み制御が行われる。
【0067】
なお、後述する押し順小役に当せんしている場合には、正解の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、当該押し順小役に係る図柄を有効ライン上に引き込んで、押し順小役を入賞させる。一方、その正解の押し順以外の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、当該押し順小役に係る図柄が有効ライン上に揃わないようにして、押し順小役が入賞しないように制御する。
【0068】
(入賞判定手段140)
入賞判定手段140は、ストップスイッチ50の操作により3個の回転リール40が停止したときに、その表示態様に基づいて、入賞したか又は入賞なしかの判定を行うためのものである。具体的には、すべての回転リール40の回転が停止した際に、いずれかの有効入賞ライン上に所定の図柄配列が揃うことを条件として、当該図柄配列に対応した当せん役に入賞したと判定する。そして、入賞がメダル払い出しを伴う場合には、ホッパーユニット65に払い出し入賞信号を出力する(もしくはメダルを払い出す代わりにクレジットに加算する)。また、入賞が遊技状態を移行させるものであれば、遊技状態制御手段100に通知して遊技状態を移行させる。また、リプレイ役が入賞した場合には、自動ベット処理を行い、遊技メダルを新たに投入することなく次ゲームを開始できるようにする。
【0069】
(ホッパー制御手段150)
ホッパー制御手段150は、入賞判定手段140からの払い出し入賞信号、精算スイッチ17の操作信号などに基づいて、ホッパーユニット65を作動させ、メダルの払い出しを制御するためのものである。なお、入賞がメダル払い出しを伴う場合に、この払い出しメダルを自動的にクレジットとして電子的に貯留し、クレジットの許容枚数を超過する払い出し分だけをホッパーユニット65から払い出させるようにしてもよい。
【0070】
(演出制御手段200)
演出制御手段200は、画像表示部67、ランプ68やスピーカ69等の演出部66の作動を制御するためのものである。この演出制御手段200は、ROMに記憶されている演出データをもとに、入賞の報知や押し順報知などの演出を行わせる。
【0071】
なお、押し順報知は、後述する押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役に入賞可能なストップスイッチ50の操作順を報知するものである。この押し順報知は、例えば、画像表示部67に操作順を表示したり、操作すべきストップスイッチ50をスピーカ69から音声で報知したり、操作すべきストップスイッチ50を光らせたりすることで行われる。
【0072】
また、この演出制御手段200は、複数回のゲームにわたって連続演出を行わせることができる。所定の条件下においてストーリー性のある連続演出を行わせることで、遊技者に有利な状況を示唆し、ゲームを盛り上げることができるようになっている。
【0073】
(押し順報知制御手段210)
押し順報知制御手段210は、後述する有利区間において押し順報知を制御するためのものである。具体的には、この押し順報知制御手段210は、押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役を入賞させるための正解の押し順(ストップスイッチ50の操作順)を報知する。押し順小役は所定の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される小役やリプレイ役である。押し順が報知されない場合、どの押し順小役に当せんしたかが分からず、正解の押し順も分からないため、押し順小役を狙って入賞させることは困難となっている。一方で、正解の押し順が報知される場合には、押し順報知に従ってストップスイッチ50を操作することで容易に押し順小役を入賞させることができるようになっている。
【0074】
本実施形態においては、有利区間において実施されるゲームにおいて、(1)RT4状態でRT5リプに当せんしたとき、(2)RT5状態でARTを実行しているときに押し順報知制御手段210による押し順報知が実行される。これに加え、RT2状態中の所定の役の当せんしたとき、及びRT4状態中のRT5リプの当せんしたとき以外のときにおいても押し順報知を行ってもよい。
【0075】
(設定手段220)
設定手段220は、遊技者への有利度が異なる複数段階の設定値の中から設定値を設定するためのものである。この設定値は、鍵のかけられた筐体11の内部に設けられたスイッチを操作することで変更可能であり、スロットマシン10が設置されたホールの管理者によって、ホールの営業開始前あるいは営業終了後に予め設定される。図示しないが、この設定値ごとに異なる役抽せんテーブル120が設けられており、役抽せんにおいて設定値に応じた役抽せんテーブル120が用いられることにより、設定値に応じてメダルの払出率が変わるようになっている。本実施形態においては、設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も遊技に関する有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど遊技に関する有利度が段階的に低くなる。なお、本実施形態においては設定値を6段階としているが、これに限らず、設定値は5段階以下であってもよいし、7段階以上であってもよい。
【0076】
(ART制御手段230)
ART制御手段230は、ARTの実行を制御するためのものである。すなわち、本実施形態に係るスロットマシン10では、リプレイ役の当せん確率が通常よりも高く設定されたリプレイ高確率状態(RT5状態)において押し順報知が行われ、これによりART(アシストリプレイタイム)が実行されるようになっている。このようなARTでは、手持ちのメダルの目減りが少なくなるだけでなく、押し順報知に従ってストップスイッチ50を操作することで獲得メダル数が確実に増えていくようになっている。
【0077】
このART制御手段230は、後述する有利区間のゲーム中(例えばゲームの開始時)にART抽せんを実行し、ART抽せんに当せんしたときにARTを開始する制御を実行する。なお、本実施形態においてはART抽せんに当せんしたときにARTを開始するようにしているが、これに限らず、ART抽せんを介さずにARTを開始するようにしてもよい。例えば、所定の条件下において有利区間に移行すると、有利区間に移行すると同時にARTを開始するようにしてもよい。
【0078】
ART制御手段230によるART抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数をART抽せんテーブルに照合することにより抽せんを行う。本実施形態に係る乱数発生手段は、16bitで乱数を発生させるため、0〜65535までの65536通りの乱数を発生させるようになっている。ART抽せんテーブルにおいては、この65536通りの乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数をART抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。
本実施形態においては、
図15に示すように、2種類のART抽せんテーブルが設けられている。
【0079】
すなわち、RT4状態において左_RT5・中_RT5・右_RT5のいずれかの抽せん区分に当せんしたときには、
図15(a)に示す抽せん確率が設定されたART抽せんテーブルが使用される。このような抽せん確率のART抽せんテーブルが使用された場合、必ずART抽せんに当せんする。なお、本実施形態においては、ボーナス役を含まない設定差なしの抽せん区分(設定差なし小役)に当せんしたときに、必ずART抽せんに当せんするように設定されている。本実施形態においては、設定差なし小役が左_RT5・中_RT5・右_RT5であるため、これらのいずれかに当せんしたときに必ずART抽せんに当せんするように設定されているが、他に設定差なし小役が存在する場合には、その設定差なし小役に当せんしたときに必ずART抽せんに当せんするように設定してもよい。
【0080】
一方、上記以外の場合(RT4状態以外の遊技状態である場合や、RT4状態において、左_RT5、中_RT5、右_RT5以外の抽せん区分(ハズレを含む)に当せんしたとき)には、
図15(b)に示す抽せん確率が設定されたART抽せんテーブルが使用される。このような抽せん確率のART抽せんテーブルが使用された場合、必ずART抽せんがハズレとなる。
【0081】
なお、ART抽せんに当せんしたときには、上記したように左_RT5・中_RT5・右
_RT5のいずれかの抽せん区分に当せんしている。これらの抽せん区分に当せんした場合、「RT5リプ」が入賞可能となる。「RT5リプ」が入賞すると、遊技状態がRT5状態に移行し、ARTが開始する。
【0082】
本実施形態においては、「RT5リプ」は正解の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞する押し順役であるが、RT4状態において左_RT5・中_RT5・右
_RT5のいずれかの抽せん区分に当せんしたときには、「RT5リプ」を入賞させるための正解の押し順が報知されるので、遊技者は容易に「RT5リプ」を入賞させることができる。
【0083】
このとき、もし遊技者が「RT5リプ」を入賞させることができなかった場合には、遊技状態はRT4状態のままで内部的にARTが開始した状態となる。
【0084】
上記のようにART抽せんに当せんして開始したARTは、所定のゲーム数を消化するまで継続する。所定のゲーム数を消化したら、ART制御手段230はARTを終了させる。
【0085】
(遊技区間制御手段240)
遊技区間制御手段240は、遊技区間を制御するためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は、遊技区間として、ストップスイッチ50の押し順が報知されない通常区間と、ストップスイッチ50の押し順を報知可能な有利区間と、を備えている。
【0086】
通常区間とは、当せん役の入賞をアシストできない遊技区間である。具体的には、前記押し順報知制御手段210による押し順報知ができない遊技区間であり、この遊技区間では上記したART抽せんが行われず、ARTが実行されることもない。
【0087】
また、有利区間とは、当せん役の入賞をアシスト可能な遊技区間である。具体的には、前記押し順報知制御手段210による押し順報知が可能な遊技区間であり、この遊技区間では上記したART抽せんが行われ、ART抽せんに当せんするとARTが実行される。
【0088】
この遊技区間制御手段240は、通常区間のゲーム中(例えばゲームの開始時)に有利区間抽せんを実行し、有利区間抽せんに当せんしたときに遊技区間を有利区間に移行する制御を実行する。遊技区間制御手段240による有利区間抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより抽せんを行う。本実施形態に係る乱数発生手段は、16bitで乱数を発生させるため、0〜65535までの65536通りの乱数を発生させるようになっている。有利区間抽せんテーブルにおいては、この65536通りの乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。
本実施形態においては、
図14に示すように、2種類の有利区間抽せんテーブルが設けられている。
【0089】
すなわち、RT4_1、RT4_2、RT4_1+BB・RT4_1+RB・RT4_2+BB・RT4_2+RBのいずれかの抽せん区分に当せんしたときには、
図14(a)に示す抽せん確率が設定された有利区間抽せんテーブルが使用される。このような抽せん確率の有利区間抽せんテーブルが使用された場合、必ず有利区間抽せんに当せんする。
【0090】
一方、上記以外の場合(RT4_1、RT4_2、RT4_1+BB・RT4_1+RB・RT4_2+BB・RT4_2+RB以外の抽せん区分(ハズレを含む)に当せんしたとき)には、
図14(b)に示す抽せん確率が設定された有利区間抽せんテーブルが使用される。このような抽せん確率の有利区間抽せんテーブルが使用された場合、必ず有利区間抽せんがハズレとなる。
【0091】
なお、有利区間抽せんに当せんしたときには、上記したようにRT4_1+BB・RT4_1+RB・RT4_2+BB・RT4_2+RBのいずれかの抽せん区分に当せんしている。これらの抽せん区分に当せんした場合、「RT4リプ」か、ボーナス役である「BB」または「RB」が入賞可能となる。
【0092】
「RT4リプ」が入賞すると、遊技状態がRT4状態に移行する。このため、RT4状態におけるゲームは、有利区間で実行されることとなる。
【0093】
また、ボーナス役である「BB」または「RB」が入賞すると、ボーナスゲームであるBBゲームまたはRBゲームを実行した後で、遊技状態がRT2状態に移行する。すなわち、抽せん区分「RT4_1+BB」「RT4_1+RB」「RT4_2+BB」「RT4_2+RB」に係る「BB」または「RB」は、設定値によって当せん確率が変動しない「設定差なしボーナス役」であるため、このような「設定差なしボーナス役」に係るボーナスゲームの終了後には遊技状態はRT2状態に移行するようになっている。このため、RT2状態におけるゲームは、有利区間で実行されることとなる。
【0094】
有利区間に移行すると、押し順報知制御手段210による押し順報知が可能となる。なお、有利区間においてはすべてのゲームにおいて押し順が報知されるわけではなく、ARTの実行中など、所定の条件下でのみ押し順が報知される。
【0095】
この有利区間は、所定の終了条件を達成するまで(例えば所定のゲーム数を消化するまで)継続する。所定のゲーム数を消化したら、遊技区間制御手段240は有利区間を終了させ、遊技区間を通常区間に移行させる。
【0096】
(当せん役について)
本実施形態に係るスロットマシン10は、当せん役として、入賞によりボーナスゲームを開始するボーナス役と、入賞により遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行うことができるリプレイ役と、入賞により遊技メダルを払い出す小役と、を備えている。
【0097】
なお、ボーナス役は、入賞によりBBゲームを開始するBB役と、入賞によりRBゲームを開始するRB役と、を含んでいる。BBゲームは、所定枚数のメダルが払い出されるなど、所定の利益が遊技者に付与されるまで実行されるボーナスゲームである。また、RBゲームは、所定の利益が遊技者に付与されるまで実行されるボーナスゲームであるが、その利益はBBゲームよりも少ないものである。
【0098】
当せん抽せん手段110による抽せんの結果としてこれらのいずれかの役に当せんとなった場合、その当せんに対応した当せんフラグが成立する。なお、ボーナス役に係る当せんフラグは、当せんフラグが成立した遊技において入賞しなかったとしても、次回以降の遊技に持ち越される。すなわち、入賞するまでは当該当せん役に入賞する権利が維持される。一方、その他の当せん役に係る当せんフラグは、当せんフラグが成立した遊技において入賞しなかった場合にはリセットされ、次回以降の遊技に持ち越されない。
【0099】
本実施形態に係るスロットマシン10は、
図6〜8に示すように、当せん役として「BB」「RB」「ベル」「通常リプ」「RT1リプ」「RT5リプ」「RT4リプ」「RT6リプ」「スイカ」を備えている。
【0100】
「BB」はBB役である。「BB」に当せんすると、
図6(a)に示すように、「BB
」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「BB」に入賞すると、次ゲームからBBゲームが開始される。
【0101】
「RB」はRB役である。「RB」に当せんすると、
図6(b)に示すように、「RB
」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「RB」に入賞すると、次ゲームからRBゲームが開始される。
【0102】
「ベル」は小役である。「ベル」に当せんすると、
図6(c)に示すように、「ベル」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「ベル」に入賞すると、所定枚数のメダルが払い出される。
【0103】
なお、本実施形態に係る「ベル」はストップスイッチ50が所定の押し順で操作された場合に入賞する押し順小役である。正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、
図6(c)に示すような図柄表示となるように停止制御がなされ、9枚のメダルが払い出される。一方、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、特殊1枚役に係る図柄表示(図示せず)となるように停止制御がなされ、1枚のメダルが払い出される。
【0104】
具体的には、
図9に示すように、「ベル」の当せんフラグとしては「左_ベル1」「中_ベル1」「右_ベル1」「左_ベル2」「中_ベル2」「右_ベル2」の6種類が存在する。そして、それぞれに正解の押し順が割り当てられており、この正解の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞するようになっている。
【0105】
「通常リプ」はリプレイ役である。「通常リプ」に当せんすると、
図7(a)に示すように、「通常リプ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「通常リプ」に入賞すると、新たにメダルを投入することなく次ゲームを遊技可能な状態となる。この「通常リプ」に当せんすると、ストップスイッチ50の操作タイミングや押し順にかかわらず、必ず「通常リプ」が入賞する。
【0106】
「RT1リプ」はリプレイ役である。
図7(b)に示すように「RT1リプ」の入賞態様をなす図柄が表示されて「RT1リプ」に入賞すると、新たにメダルを投入することなく次ゲームを遊技可能な状態となる。
【0107】
「RT5リプ」はリプレイ役である。
図7(c)に示すように「RT5リプ」の入賞態様をなす図柄が表示されて「RT5リプ」に入賞すると、新たにメダルを投入することなく次ゲームを遊技可能な状態となる。
【0108】
なお、本実施形態に係る「RT5リプ」はストップスイッチ50が所定の押し順で操作された場合に入賞する押し順役である。「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」のいずれかに当せんしたゲームにおいて、正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、
図7(c)に示すような図柄表示となるように停止制御がなされ、「RT5リプ」に入賞する。一方、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、
図7(b)に示すような図柄表示となるように停止制御がなされ、「RT1リプ」に入賞する。
【0109】
ここで、「RT5リプ」はRT5状態移行役であるため、入賞すると遊技状態がRT5状態へと移行し、リプレイ高確率状態へと移行することができる。一方、「RT1リプ」はRT1状態移行役であるため、入賞すると遊技状態がRT1状態へと移行し、リプレイ高確率状態へと移行することが困難となる。このため、当せんフラグ「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」が成立しているときに「RT5リプ」に入賞できるか否かが遊技者にとって非常に重要となっている。
【0110】
「RT4リプ」はリプレイ役である。
図7(c)に示すように「RT4リプ」の入賞態様をなす図柄が表示されて「RT4リプ」に入賞すると、新たにメダルを投入することなく次ゲームを遊技可能な状態となる。
【0111】
「RT6リプ」はリプレイ役である。
図8(a)に示すように「RT6リプ」の入賞態様をなす図柄が表示されて「RT6リプ」に入賞すると、新たにメダルを投入することなく次ゲームを遊技可能な状態となる。
【0112】
なお、本実施形態に係る「RT6リプ」はストップスイッチ50が所定の押し順で操作された場合に入賞する押し順役である。「左中右_RT6」「左右中_RT6」「中左右_RT6」「中右左_RT6」「右左中_RT6」「右中左_RT6」のいずれかに当せんしたゲームにおいて、正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、
図8(a)に示すような図柄表示となるように停止制御がなされ、「RT6リプ」に入賞する。一方、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、
図7(a)または
図7(c)に示すような図柄表示となるように停止制御がなされ、「通常リプ」または「RT4リプ」に入賞する。
【0113】
なお、「RT6リプ」はRT6状態移行役であるため、入賞すると遊技状態がRT6状態へと移行する。このRT6リプはRT5状態でしか入賞しないため、実質的にはART状態においてのみ入賞するリプレイ役である。ART中にRT6リプを引いてRT6状態へと移行した場合、1ゲーム消化後にRT0状態へと移行する。このようにRT6状態へと移行することで、RT1状態を経由することなくRT0状態へと移行することができ、再びRT5状態へ移行しやすい状況を作り出せるようになっている。
【0114】
なお、RT5状態でARTを実行しているときに、当せん領域「左中右_RT6」「左右中_RT6」「中左右_RT6」「中右左_RT6」「右左中_RT6」「右中左_RT6
」のいずれかに当せんした場合、押し順を報知するか否かをARTの消化ゲーム数に基づいて決定してもよい。例えば、ARTの消化ゲーム数が予め定められた所定のゲーム数未満である場合には、RT6リプに入賞しない押し順を報知し、ARTの消化ゲーム数が予め定められた所定のゲーム数以上である場合には、RT6リプに入賞する押し順を報知するようにしてもよい。このようにすれば、ART終了までのゲーム数が十分にある場合はRT6リプに入賞しないので、ARTを長く実行することができるとともに、ART終了間際になるとRT6リプがナビされてRT6状態に移行できるので、ARTの連荘が可能となる。
【0115】
「スイカ」は小役である。「スイカ」に当せんすると、
図8(b)に示すように、「スイカ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「スイカ」に入賞すると、3枚のメダルが払い出される。
【0116】
(抽せん区分について)
上記した役抽せんテーブル120には、
図10〜13に示すような抽せん区分が設けられている。それぞれの抽せん区分には0または1以上の当せん役が割り当てられており、当せん抽せん手段110が抽出した乱数がどの抽せん区分に含まれているかを判定することで、役抽せんの結果を得ることができるようになっている。
【0117】
抽せん区分としては、「ハズレ」「通常リプ」「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」「RT4_1」「RT4_2」「左中右_RT6」「左右中_RT6」「中左右_RT6
」「中右左_RT6」「右左中_RT6」「右中左_RT6」「左_ベル1」「左_ベル2」
「中_ベル1」「中_ベル2」「右_ベル1」「右_ベル2」「スイカ」「RT4_1+BB
」「RT4_1+RB」「RT4_2+BB」「RT4_2+RB」「スイカ+BB」「スイカ+RB」が設けられている。
【0118】
抽せん区分「ハズレ」は、いずれの当せん役も割り当てられていない抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、いずれの当せん役にも当せんしていない不当せんの抽せん結果となる。
【0119】
抽せん区分「通常リプ」は、当せん役「通常リプ」が割り当てられてられた抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「通常リプ」に係るフラグが成立し、「通常リプ」が入賞するようにリール制御手段130による引き込み制御が実行される。
【0120】
抽せん区分「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」は、当せん役「RT5リプ」及び「RT1リプ」が割り当てられてられた抽せん区分である。上記したように、これらの抽せん区分にはストップスイッチ50の押し順が関連付けられており、ストップスイッチ50が正解の押し順で操作された場合には、リール制御手段130は「RT5リプ」が入賞するように停止制御を行う。一方、ストップスイッチ50が正解ではない押し順で操作された場合には、リール制御手段130は「RT1リプ」が入賞するように停止制御を行う。
【0121】
抽せん区分「RT4_1」「RT4_2」は、当せん役「RT4リプ」が割り当てられてられた抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、「RT4リプ」が入賞するようにリール制御手段130による引き込み制御が実行される。
【0122】
抽せん区分「左_ベル1」「左_ベル2」「中_ベル1」「中_ベル2」「右_ベル1」「右_ベル2」は、当せん役「ベル」が割り当てられてられた抽せん区分である。上記したように、これらの抽せん区分にはストップスイッチ50の押し順が関連付けられており、ストップスイッチ50が正解の押し順で操作された場合には、リール制御手段130は「ベル」が入賞するように停止制御を行う。一方、ストップスイッチ50が正解ではない押し順で操作された場合には、リール制御手段130は特殊1枚役が入賞するように停止制御を行う。
【0123】
なお、ARTの実行中は、この「左_ベル1」「左_ベル2」「中_ベル1」「中_ベル2
」「右_ベル1」「右_ベル2」に係る正解の押し順が押し順報知制御手段210によって報知されるため、容易に「ベル」に入賞させることができる。
【0124】
抽せん区分「スイカ」は、当せん役「スイカ」が割り当てられてられた抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「スイカ」に係るフラグが成立し、「スイカ」が入賞するようにリール制御手段130による引き込み制御が実行される。
【0125】
「RT4_1+BB」は、当せんフラグ「RT4_1」と「BB」が同時成立する抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「RT4リプ」及び「BB」に係るフラグが成立する。これらのフラグが成立している場合、「BB」または「RT4リプ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。
【0126】
「RT4_1+RB」は、当せんフラグ「RT4_1」と「RB」が同時成立する抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「RT4リプ」及び「RB」に係るフラグが成立する。これらのフラグが成立している場合、「RB」または「RT4リプ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。
【0127】
「RT4_2+BB」は、当せんフラグ「RT4_2」と「BB」が同時成立する抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「RT4リプ」及び「BB」に係るフラグが成立する。これらのフラグが成立している場合、「BB」または「RT4リプ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。
【0128】
「RT4_2+RB」は、当せんフラグ「RT4_2」と「RB」が同時成立する抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「RT4リプ」及び「RB」に係るフラグが成立する。これらのフラグが成立している場合、「RB」または「RT4リプ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。
【0129】
「スイカ+BB」は、当せんフラグ「スイカ」と「BB」が同時成立する抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「スイカ」及び「BB」に係るフラグが成立する。これらのフラグが成立している場合、「BB」または「スイカ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。
【0130】
「スイカ+RB」は、当せんフラグ「スイカ」と「RB」が同時成立する抽せん区分である。当せん抽せん手段110が抽出した乱数がこの抽せん区分に含まれていれば、当せん役「スイカ」及び「RB」に係るフラグが成立する。これらのフラグが成立している場合、「RB」または「スイカ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。
【0131】
なお、抽せん区分「RT4_1+BB」「RT4_1+RB」「RT4_2+BB」「RT4_2+RB」に割り当てられた乱数値の数(言い換えると「RT4_1+BB」「RT4_1+RB」「RT4_2+BB」「RT4_2+RB」に当せんする確率)は、設定値によって変動しないようになっている。このため、これらの抽せん区分に当せんしてフラグが成立するBB役及びRB役は、設定値によって当せん確率が変動しない「設定差なしボーナス役」である。
【0132】
一方、抽せん区分「スイカ+BB」「スイカ+RB」に割り当てられた乱数値の数(言い換えると「スイカ+BB」「スイカ+RB」に当せんする確率)は、設定値が大きいほど大きくなるように設定されている。このため、これらの抽せん区分に当せんしてフラグが成立するBB役及びRB役は、設定値によって当せん確率が変動する「設定差ありボーナス役」である。
【0133】
(各遊技状態における抽せん区分の相違)
次に、各遊技状態における抽せん区分の相違について説明する。なお、
図10(a)はRT0状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率、
図10(b)はRT1状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率、
図11(a)はRT2状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率、
図11(b)はRT3状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率、
図12(a)はRT4状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率、
図12(b)はRT5状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率、
図13はRT6状態において使用される役抽せんテーブル120の当せん確率を示す。
【0134】
これらの図が示すように、RT0状態においては「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」に当せんしないので、「RT5リプ」に入賞して直接にRT5状態に移行することはできないようになっている。言い換えると、RT5状態に移行するためには、他の遊技状態を経由しなければならない。一方で、「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」に当せんしないので、「RT1リプ」に入賞してRT1状態に移行することもないようになっている。
【0135】
また、RT1状態においては「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」「RT4_1」
「RT4_2」に当せんすることはできるが、仮に「RT5リプ」や「RT4リプ」に入賞しても、遊技状態制御手段100は遊技状態を移行しないようになっている。RT1状態からRT5状態やRT4状態に移行するためには、所定のゲーム数(700G)を消化してRT0状態を経由するか、ボーナス役に入賞してRT2状態またはRT3状態を経由する必要がある。
【0136】
また、RT2状態とRT3状態とを比較すると、「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」の当せん確率が大きく異なっている。ここで、「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」に当せんしたとしても、正解の押し順でなければ「RT5リプ」は入賞せず、「RT1リプ」に入賞することになる。有利区間ではないRT3状態においては、正解の押し順は報知されないため、「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」に当せんしたとしても、「RT5リプ」に入賞してRT5状態に移行することは困難であり、「RT1リプ
」に入賞してRT1状態に移行する可能性の方が高い。また、仮に「RT5リプ」に入賞してRT5状態に移行したとしても、RT2状態及びRT3状態においてはART抽せんに当せんしないため、ARTは開始せず、遊技者の得る利益は限定的である。よって、押し順報知がされない状態で「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」の当せん確率が大きいということは、「RT1リプ」に入賞してRT1状態に移行する可能性が高いということになる。この点、RT2状態は、RT3状態よりも「左_RT5」「中_RT5」「右
_RT5」の当せん確率が大きくなっているため、RT1状態への移行率が高く設定された状態となっている。このため、RT2状態は、RT3状態よりも遊技者にとって不利な状態となっており、言い換えると、設定差ありボーナス役は、設定差なしボーナス役よりも遊技者にとって有利となっている。
【0137】
このとき、設定差ありボーナス役は、設定値によって当せん確率が変動するため、設定値が大きくなるほど設定差ありボーナス役に当せんしやすくなる。すなわち、設定値が大きくなるほど、設定差ありボーナス役の当せん確率が、設定差なしボーナス役の当せん確率よりも相対的に大きくなるので、設定差によってRT4状態への移行率を変動させることができる。
【0138】
なお、RT4状態においては、
図12(a)に示すように、「左_RT5」「中_RT5
」「右_RT5」の当せん確率が他の状態よりも高く設定されており、かつRT4状態は有利区間であるため、これらに当せんすると正解の押し順が報知され、遊技者は容易に「RT5リプ」に入賞させてRT5状態に移行させることができる。しかも、「左_RT5
」「中_RT5」「右_RT5」に当せんしたときに100%の確率でART抽せんに当せんするため、RT5状態に移行すると同時にARTが開始される。
【0139】
RT5状態に移行してARTが開始すると、押し順役の正解の押し順がすべて報知されるため、「左_ベル1」「左_ベル2」「中_ベル1」「中_ベル2」「右_ベル1」「右_ベル2」に当せんした場合には容易に9枚役の「ベル」を入賞させることができ、また、「左_RT5」「中_RT5」「右_RT5」に当せんした場合には容易に「RT5リプ」を入賞させることができる(すなわち「RT1リプ」に入賞してRT1状態に移行することがない)。
【0140】
また、RT5状態においては、「左中右_RT6」「左右中_RT6」「中左右_RT6
」「中右左_RT6」「右左中_RT6」「右中左_RT6」に当せん可能となっており、RT6状態へと移行可能となっている。
【0141】
このように、本実施形態に係るスロットマシン10では、RT5状態においてARTを開始したときに大きな利益を得られるようになっており、RT5状態においてARTを開始するためには、RT4状態を経由しなければならないようになっている。そして、RT4状態に移行するには、RT1状態に移行しないことが重要であり、RT1状態に移行しにくいRT3状態が遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
【0142】
また、RT5状態から1ゲームのRT6状態を経由してRT0状態へと移行し、再びRT5状態へと戻ってくるループに入ることができれば、ARTを連荘している状態となり、遊技者にとって更に有利な状況となる。
【0143】
また、RT3状態は、RT0状態、RT1状態、RT2状態よりもリプレイ役に入賞しやすく(リプレイ役の当せん確率が高く)設定されている。そして、RT3状態は、RT2状態よりもRT1状態に移行しにくいので、リプレイ高確率状態(RT4状態やRT5状態)に移行しやすい状態でもあり、更にリプレイ確率が向上することを期待できる仕様となっている。このように、RT3状態は、リプレイ確率の面からも遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
【0144】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、RT状態として、遊技者にとって最も有利なRT5状態と、RT5状態への移行確率が最も高く設定されたRT4状態と、RT4状態へ移行可能なRT0状態と、RT4状態へ移行できないRT1状態と、を含み、RT1状態へ移行した場合、予め定められた所定ゲーム数を消化したのちにRT0状態へと移行する。すなわち、RT1状態→RT0状態→RT4状態→RT5状態と移行していくことで、最も有利なRT状態であるRT5状態へと移行するとともに、RT1状態からRT0状態への移行は所定ゲーム数の消化によって実行されるようになっている。このような態様によれば、RT1状態において実行される所定ゲーム数が「天井」までの最低ゲーム数となり、その後にRT0状態及びRT4状態を経て、最も有利なRT状態であるRT5状態へと移行する。よって、天井に達するまでのゲーム数が可変となるので、遊技機の稼動を向上させることができるととともに、天井に到達するまでのゲーム数をある程度コントロールすることができる。
【0145】
また、RT状態として、RT5状態から移行可能なRT6状態を備え、RT6状態へ移行した場合、所定ゲーム数よりも少ない規定ゲーム数を消化したのちにRT0状態へと移行するようにしている。このため、RT1状態→RT0状態→RT4状態→RT5状態と移行していくルートとは別に、RT6状態→RT0状態→RT4状態→RT5状態と移行していくルートを設けることができる。このとき、前者のルートよりも後者のルートの方が「天井」までの最低ゲーム数が少なく設定されている(「所定ゲーム数」よりも「規定ゲーム数」の方が少ない)。このような態様によれば、「規定ゲーム数」を限りなく少なくすることでRT6状態がすぐに終了するので、RT5状態の終了後にすぐにRT0状態
→RT4状態→RT5状態へと移行させることができる。すなわち、天井機能を有しつつも、RT5状態の終了後に連荘に近い仕様を実現することができる。
【0146】
なお、RT6状態における規定ゲーム数を1ゲームとすれば、RT6状態が最短となり、RT5状態の終了後にすぐにRT0状態→RT4状態→RT5状態へと移行させることができる。