(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872779
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】包装容器及び包装容器組立用シート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20210510BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
B65D5/44 D
B65D5/54 301H
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-25835(P2017-25835)
(22)【出願日】2017年2月15日
(65)【公開番号】特開2018-131235(P2018-131235A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2020年1月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 首都大学東京システムデザイン学部・研究科 インダストリアルアートコース・学域 卒業・修了制作展(学内展)(開催日:平成29年2月4日〜6日、開催場所:首都大学東京日野キャンパス(東京都日野市旭が丘6−6))
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100150876
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】金 石振
(72)【発明者】
【氏名】武田 真衣
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−143105(JP,A)
【文献】
特開平03−212375(JP,A)
【文献】
特開2003−182730(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0189406(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の容器本体を具備し、包装対象物を外部から視認できないように包装可能な包装容器であって、
包装容器を開封できるように切り取り可能に形成された開封部を有し、
上記開封部は、帯状で且つ使用時に利用者が開封を開始するための開封始点部が形成された第1開封部と、該第1開封部に連設された、帯状で且つ使用時に利用者が開封を開始するための開封始点部が形成された第2開封部とからなり、
上記第1開封部の開封始点部及び上記第2開封部の開封始点部は隣設されていると共に、両者にはそれぞれ包装容器から独立した飾り部材が延設されており、
上記開封部は、上記容器本体における上面から対向する一対の側面にかけて設けられており、該容器本体内に上方部分全面が開口とされた中箱部を備え、
上記容器本体における底面と上記開封部が設けられた側面とは、少なくとも上記開封部が設けられている部分以外予め切断されている
ことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
所定箇所を折り曲げて組み立てることにより、請求項1記載の包装容器を形成可能な包装容器組立用シートであって、
上記容器本体を形成する本体用シート、及び上記中箱部を形成する中箱用シートとからなり、上記本体用シート及び上記中箱用シートは、それぞれの底面を形成する面を一体化することで両者を連結し、包装容器の底面を形成するように構成されており、
本体用シートは、組み立てた際に容器本体の底面を形成する面に、長側面を形成する面、上面を形成する面、長側面を形成する面及び開封部用ののりしろが連設されており、
上面を形成する面、両長側面を形成する面にはそれぞれミシン目が設けられて帯状の開封部形成用部分が形成されており、開封部形成用部分の中央部分において切込みが設けられてそれぞれ開封始点部形成用部分が形成されており、開封部形成用部分の基端の両側はそれぞれ長側面を形成する面の側縁に沿って切込みが入れられている
ことを特徴とする包装容器組立用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽しく開封することができる包装容器及びこの包装容器を簡単に作り上げるための包装容器組立用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物が見えないように贈答品や各種商品等を包装して、受領者や購入者が開封するように設計された包装容器は種々提案されている。
例えば、簡単な構造で開封線の位置がわかりやすく、開封後の開口縁部がきれいであり安全性も高い包装用箱として、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、箱体形成片には開封用の開封線を備え、開封線は、箱体形成片12の表面から厚みの途中までの深さで形成されている表半切線と、表半切線に沿って設けられ箱体形成片の厚み全部を切断する切断線とを備え、切断線は所定の装飾パターンに形成され複数個の切り残し部を有して、断続して設けられており、表半切線と切断線を切断して開封することにより、開封した開口縁部の剥離裏面部には、切断線により形成された装飾模様が残されるように形成された包装容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-11118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来提案されている包装容器は、開封が容易であるという利点はあるものの開封に際しての楽しさや開封のわくわく感に欠け、開封の楽しみが少ないという問題があった。また、そのような包装容器を簡単に作成することも困難であるという問題があった。
従って本発明の目的は、開封が容易であり、更には、開封に際しての楽しさや開封のわくわく感があり、開封の楽しみが多い包装容器、及びそのような包装容器を簡単に作成することができる包装容器組立用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、以下の包装容器及び包装容器組立用シートを提供することにより上記課題を解消したものである。
1.包装対象物を外部から視認できないように包装可能な包装容器であって、
包装容器を開封できるように切り取り可能に形成された開封部を有し、
上記開封部は、帯状で且つ使用時に利用者が開封を開始するための開封始点部が形成された第1開封部と、該第1開封部に連設された、帯状で且つ使用時に利用者が開封を開始するための開封始点部が形成された第2開封部とからなり、
上記第1開封部の開封始点部及び上記第2開封部の開封始点部は隣設されていると共に、
両者にはそれぞれ包装容器から独立した飾り部材が延設されている
ことを特徴とする包装容器。
2.所定箇所を折り曲げて組み立てることにより、請求項1記載の包装容器を形成可能な包装容器組立用シートであって、
包装容器における底面を形成する面と、包装容器における側面及び上面を形成する面とが数珠つなぎに連設されており、
上記開封部を形成する切り取り可能に形成された切り取り可能部分は、上記の数珠つなぎに連設された包装容器における側面及び上面を形成する面に設けられている
ことを特徴とする包装容器組立用シート。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装容器は、開封が容易であり、更には、開封に際しての楽しさや開封のわくわく感があり、開封の楽しみが多いものである。
また、本発明の包装容器組立用シートはこの包装容器を簡単に作り上げることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の包装容器の1実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す包装容器を開封する状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す包装容器を組み立てることができる本発明の包装容器組立用シートの1実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0008】
1:包装容器
10:容器本体、20:中箱部、30:開封部、40:飾り部材、100:包装容器組立用シート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0010】
本実施形態の包装容器1は、
図1及び2に示すように、包装対象物を外部から視認できないように包装可能な包装容器である。そして、包装容器を開封できるように切り取り可能に形成された開封部30を有し、開封部30は、帯状で且つ使用時に利用者が開封を開始するための開封始点部32が形成された第1開封部34と、第1開封部34に連設された、帯状で且つ使用時に利用者が開封を開始するための開封始点部36が形成された第2開封部38とからなり、第1開封部34の開封始点部32及び第2開封部38の開封始点部36は隣設されていると共に、両者にはそれぞれ包装容器から独立した飾り部材40,40が延設されている。
以下、更に詳述する。
【0011】
<全体>
本実施形態の包装容器1は、箱状であり、長手方向ほぼ中央部分に開封部30の設けられた長方体状の容器本体10と、
図2に示すように容器本体10内に封入された上方部分全面が開口とされた中箱部20とを備える。中箱部20は容器本体10よりも小さく形成されているので、底面部分において容器本体の底面外周と中箱部の底面外周との間に隙間が設けられている。なお、
図2においては内部の状態を示すため飾り部材40は省略して示す。本実施形態においては容器本体及び中箱部はそれぞれ紙により形成しているが、これに制限されず、プラスチックなど種々の材料で形成することができる。
開封部30は、容器本体10にミシン目を入れることにより帯状に形成されており、上方中央部分において帯状のミシン目が入れられた部分を完全にその幅方向に切断して第1開封部34の開封始点部32と第2開封部38の開封始点部36とが形成されている。
そして、これらの開封始点部32,36に、柔らかい布状で且つ帯状形状の部材が連設されて飾り部材40,40を形成している。
【0012】
<開封部>
開封部30は上述のように容器本体に帯状に2本のミシン目を入れることで形成されており、容器本体10の上面及び側面には形成されているが、底面には形成されていない。帯状の開封部の幅は特に制限されないが開封のしやすさと開封時の見た目の良さとから1~3cmとするのが好ましい。
また、底面と長側面との接合部分12は開封部30の存在する部分を除いてあらかじめ切断されている(
図4参照)。このように構成することにより、後述する開封時に容器本体10が2つに分割され、しかも容器本体の短側面と底面との接合部分をもって支点として機能し、包装容器の底面と設置面との接触状態に悪影響を及ぼすことなく、中箱部の上方を開放するように開封される。
【0013】
<飾り部材>
飾り部材40は、開封始点部32,36の先端に柔らかい部材、例えば、布製で且つ帯状のリボン等が貼付されて形成されている。本実施形態の説明においては飾り部材で何かを形成した状態では示していないが、通常のリボンと同様に種々形態として使用することができる。
【0014】
<使用法・効果>
使用に際しては中箱部20に所望の物を収納して内容物とし、包装容器を密閉して
図1に示す形態とする。ついで飾り部材40を任意の形状に結ぶなどして所望の形状として放送を完成する。
そして開封時には飾り部材40をほどいて開封可能な状態としそれぞれ
図2に示す矢印方向に引っ張ることで第1及び第2開封部34,38を開封して、
図3に示すように容器本体10を2つに分割して上方を開放した状態とし、内容物が確認できる。
本実施形態の包装容器1は、上述のように構成されているので、上部のリボン状の飾り部材40をほどくことですぐに開封を行うことができるため、開封の楽しみが多く、開封した者に内容物を開封動作の開始から瞬時に見せることができ、開封のわくわく感、驚きを与えることができる。
【0015】
<包装容器組立用シート>
上述のように形成された本実施形態の包装容器1は、中箱部20に所望の物品を入れて使用することができる。ここで、物品を入れが包装容器は、本発明の包装容器組立用シートを用いて形成することができる。以下、包装容器組立用シートについて説明する。
本実施形態の包装容器組立用シート100は、所定箇所を折り曲げて組み立てることにより、上記の包装容器1を形成可能な包装容器組立用シートである。そして、包装容器1における底面を形成する面112と、包装容器1における側面(長側面)及び上面を形成する面114,116とが数珠つなぎに連設されており、開封部30を形成する切り取り可能に形成された切り取り可能部分130は、数珠つなぎに連設された包装容器における側面及び上面を形成する面114,116に設けられている。
本実施形態において包装容器組立用シート100は、容器本体10を形成する本体用シート110、及び中箱部20を形成する中箱用シート120とからなり、本体用シート110及び中箱用シート120は包装容器の底面を形成する部分112,122を一体として両者を連結している。
なお、
図4中大きな破線は山折り用の折り線であり、小さな破線は谷折り用の折り線である。
【0016】
<本体用シート>
本体用シート110は、
図4に示すように、組み立てた際に容器本体の底面を形成する面112に、側面(長側面を形成する面114、上面を形成する面116、側面(長側面を形成する面114、及び開封部用ののりしろ134が連設されている。また上面を形成する面116にはその両端縁に即面(短側面)を形成する面118がそれぞれ連接されており、この側面を形成する面118にはそれぞれのりしろ119、119’が連設されている。また、本実施形態においては、側面を形成する面の一端縁に中箱部の底面を形成する面122が連設されている。また、上面を形成する面116、両側面を形成する面114,114にはそれぞれミシン目137が設けられて帯状の開封部形成用部分130が形成されている。そして開封部形成用部分130の中央部分において切込みが設けられてそれぞれ開封始点部形成用部分132,136が形成されている。また、開封部形成用部分130の基端の両側はそれぞれ側面を形成する面の側縁に沿って切込み138が入れられている。また、
図4には特に図示しないが、視認する面の反対面に飾り部材40が開封始点部形成用部分132,136に連設されている。
<中箱用シート>
中箱用シート120は、
図4に示すように本体用シート110に連設されており、底面を形成する面122に両長側縁に側面(長側面)を形成する面124が連設されている。また、側面を形成する面124は折りこんで側面を形成するように所定の側面高さの幅を有する面を2つ連設した形態となされており、底面を形成する面から遠い面124’に側面(短側面)を形成する面128、128’が両端に2つ連設されている。また、面128と面128’とは重ねられるが後述するようにまず面128を折りこんだ後面128’を折り重ねる。
【0017】
<使用法・作用効果>
以下、まず本発明の包装容器組立用シートを用いての包装容器の組立(シートの使用法、)について説明する。
本実施形態の包装容器組立用シート100は、まず、面122の側縁の折り線に沿って山折りを行い、次にその横に設けられた折り線に沿って谷折りに折り曲げて面112の側縁から少し内側に側面が位置するように面124を立てる。そして面124’を谷折りに(外側に位置するように)折りこみ、側面(長側面)を形成する。次に面128を折りこんだ後、面128’を折り重ねて側面(短側面)を形成し、上方が開口部とされた中箱部20を形成する。中箱部を形成した状態で、中箱部の内部に所望の物品を投入して、内容物を収納しておく。
次に、面118、面116、及び118を折りこむと共に面116、面114、面112、のりしろ134を折りこむ。この際、面112は包装容器全体の最外に位置するように面122の外側に位置するように折りこむ。そして面112にのりしろ134を折り重ねる。また、面119はそれぞれ側面114における内面側(包装容器の内方に位置する側)に位置するように折りこむ。そして面114の内面に接着剤などを用いて貼りあわせる。また、面119’も面112に折り重ねて適宜接着剤などを用いて接着する。
このように組み立てることで所望の内容物が収納された包装容器を得ることができ、上述のように飾り部材を任意の形態に結んで包装を完成させて、飾り部材を引張って容器本体を開封することで使用することができる。
そして、上述のように、中箱部の側面が容器本体の側面に接しないように、本実施形態の包装容器組立用シートが形成されているので、包装容器を開封した際に中箱部との接触による摩擦がなく、スムーズに開封されて中箱部に収納された内容物を確認することができる。