(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に内部疾患の中でも、内臓ガン、その中でも肝臓ガン、膵臓ガンおよび卵巣がんは、外科的手術が困難である場合があり、光を用いて治療することが求められている。
しかしながら、光を用いて内部疾患を治療しようとする場合、生体外から光照射すると生体内の臓器などに十分な量の光が届かないとの問題があった。また、生体外からの光照射強度を高めると、皮膚のやけどの懸念や、患部以外の臓器にも光照射による影響の懸念など、光によって生体に対する侵襲が生じる問題があった。
一方、電池や電源を内蔵する光照射デバイスを生体内に植え込むことは、電池や電源に含まれる有害物質(生体への有害物質)によって生体に対する侵襲が生じる問題があった。また、大きさや重さの点から生体への負担が大きくなる懸念があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光を用いて内部疾患を治療でき、生体に対する侵襲度が低い、ワイヤレス給電式光照射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、ワイヤレスで外部から電力供給を行って生体内で発光素子を発光させる方式とすることで、光を用いて内部疾患を治療でき、生体に対する侵襲度が低いことを見出した。
ワイヤレスで外部から電力供給を行って発光素子を生体内で発光させることは、従来の生体に対する侵襲の問題、すなわち光による生体に対する侵襲および電池や電源に含まれる有害物質による生体に対する侵襲を同時に解決することができる、斬新かつ画期的なブレークスルーであった。
【0007】
ワイヤレスで外部から電力供給を行って生体内で発光素子を発光させる発光素子は従来知られていなかった。例えば、特許文献1には無線給電式発光素子が記載されているが、発光素子を生体内で発光させることは全く意図されていなかった。
【0008】
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明と、本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
[1] 基板、発光素子および受電部を有し、
発光素子が一対の電極の間に配置された半導体を含み、
一対の電極が受電部と電気的に接続され、
生体内から生体の一部に照射させる用途である、ワイヤレス給電式光照射デバイス。
[2] 生体への植え込み用である[1]に記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[3] 生体の治療用である[1]または[2]に記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[4] 生体が人間または動物である[1]〜[3]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[5] 基板、発光素子、第1の封止材および受電部をこの順で有する[1]〜[4]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[6] 受電部のうち少なくとも一部が発光素子の主面の正射影上に位置する[1]〜[5]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[7] 基板、発光素子、第1の封止材および受電部をこの順で有し、
発光素子が一対の電極の間に配置された半導体を含み、
一対の電極が受電部と電気的に接続された、ワイヤレス給電式光照射デバイス。
[8] 基板、発光素子および受電部を有し、
発光素子が一対の電極の間に配置された半導体を含み、
一対の電極が受電部と電気的に接続され、
受電部のうち少なくとも一部が発光素子の主面の正射影上に位置する、ワイヤレス給電式光照射デバイス。
[9] 生体内および生体外のうち少なくとも一方から前記生体の一部に対して光照射する用途である[7]または[8]に記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[10] 半導体が有機半導体である[1]〜[9]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[11] 有機半導体が有機エレクトロルミネッセンス素子である[10]に記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[12] 受電部が受信コイルおよび受信回路を有し、
受信回路が交流を直流に変換する[1]〜[11]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[13] 基板がフレキシブル基板である[1]〜[12]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[14] 基板が生体適合フィルムである[1]〜[13]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[15] 第1の封止材がフレキシブルなバリアフィルム基板であり、
バリアフィルム基板を貫通する配線を有し、
配線が一対の電極と受電部とを電気的に接続する[5]〜[14]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[16] 第1の封止材が生体適合樹脂の充填剤および封止用接着剤を含み、
生体適合樹脂の充填剤の内部にコンタクトの手段を有し、
コンタクトの手段が一対の電極と受電部とを電気的に接続する[5]〜[14]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[17] さらに受電部を覆う第2の封止材を有し、
第2の封止材がフレキシブルな生体適合フィルムである[5]〜[16]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[18] さらに受電部を覆う第2の封止材を有し、
第2の封止材が生体適合樹脂の充填剤および封止用接着剤を含む[5]〜[16]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[19] ワイヤレス給電式光照射デバイスの主面の面積が、5000mm
2以下である[1]〜[18]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[20] ワイヤレス給電式光照射デバイスの主面の面積が、受電部の外周で囲われた面積の3倍以下である[1]〜[19]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[21] 発光素子の主面の長軸の長さが5〜50mmである[1]〜[20]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[22] ワイヤレス給電式光照射デバイスの厚みが5mm以下である[1]〜[21]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイス。
[23] [1]〜[22]のいずれか一つに記載のワイヤレス給電式光照射デバイスおよび電力送信機を備える、光照射装置。
[24] 電力送信機が送信コイルおよび高周波電源を有する[23]に記載の光照射装置。
[25] [23]または[24]に記載の光照射装置の電力送信機からワイヤレス給電式光照射デバイスの受電部に給電し、
受電部が発光素子の電極に給電して発光素子を発光させる、光照射方法。
[26] 送信コイルおよび受信コイルの距離を10〜300mm離して使用する[25]に記載の光照射方法。
[27] ワイヤレス給電式光照射デバイスを生体へ植え込んで発光素子を発光させる[25]または[26]に記載の光照射方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光を用いて内部疾患を治療でき、生体に対する侵襲度が低い、ワイヤレス給電式光照射デバイスを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
[ワイヤレス給電式光照射デバイス]
<第1の態様>
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第1の態様は、基板、発光素子および受電部を有し、
発光素子が一対の電極の間に配置された半導体を含み、
一対の電極が受電部と電気的に接続され、
生体内から生体の一部に照射させる用途である、ワイヤレス給電式光照射デバイスである。
この構成により、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、ワイヤレスで外部から電力供給を行って発光素子を生体内で発光させることができるため、光を用いて内部疾患を治療でき、生体に対する侵襲度が低い。
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第1の態様には、公知の有機EL素子の電池および/または電源を受電部に置換したものを用いてもよく、公知のワイヤレス給電式光照射デバイスを用いてもよい。公知のワイヤレス給電式光照射デバイスとしては、例えば、特開2013−140718号公報の[0006]〜[0129]に記載のものを挙げられる。
ただし、特開2013−140718号公報に記載のワイヤレス給電式光照射デバイスは、生体内から生体の一部に照射させる用途または生体内で発光させる用途であることが示唆されていない点で、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第1の態様とは異なる。
【0013】
<第2の態様および第3の態様>
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第2の態様は、基板、発光素子、第1の封止材および受電部をこの順で有し、
発光素子が一対の電極の間に配置された半導体を含み、
一対の電極が受電部と電気的に接続された、ワイヤレス給電式光照射デバイスである。
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第3の態様は、基板、発光素子および受電部を有し、
発光素子が一対の電極の間に配置された半導体を含み、
一対の電極が受電部と電気的に接続され、
受電部のうち少なくとも一部が発光素子の主面の正射影上に位置する、ワイヤレス給電式光照射デバイスである。
これらの構成により、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、生体内に植え込むことができ、ワイヤレスで外部から電力供給を行って生体内で発光素子を発光させることができる。
ただし、特開2013−140718号公報に記載の無線給電式発光素子は、基板、発光素子、第1の封止材および受電部をこの順で有ることが示唆されていない点で、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第2の態様とは異なる。特開2013−140718号公報に記載の無線給電式発光素子は、同一基板の設置面上に受電アンテナと有機エレクトロルミネッセンス素子が設けられ、平面内に配列されることが必須であった。そのため、特開2013−140718号公報に記載の無線給電式発光素子は、生体内に植え込むために用いるにはその面積が大き過ぎるものであった。
これに対し、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第2の態様は、基板、発光素子、第1の封止材および受電部をこの順で設ける構成とすることにより、生体内に植え込むために十分に面積をコンパクトにすることができる。本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第3の態様は、受電部のうち少なくとも一部が発光素子の主面の正射影上に位置する構成とすることにより、生体内に植え込むために十分に面積をコンパクトにすることができる。
なお、同一基板の設置面上に発光素子および受電部を設けない構成のワイヤレス給電式光照射デバイスは、従来知られていなかった。すなわち、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第2の態様および第3の態様は、構成自体が新規なワイヤレス給電式光照射デバイスである。
【0014】
以下、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第1の態様、第2の態様および第3の態様について、好ましい態様を説明する。
【0015】
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの第2の態様および第3の態様は、生体内および生体外のうち少なくとも一方から前記生体の一部に対して光照射する用途で用いられる。
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、生体内から生体の一部に照射させる用途であることが好ましい。言い換えると、生体内で発光させる用途であることが好ましい。
生体内から生体の一部に照射させる用途としては、生体の外皮よりも内側で発光させる用途であることがより好ましい。例えば、生体への植え込み(埋め込みと同義)用、生体内での固定用、生体内での臓器貼り付け用、生体内での臓器被覆用であることが特に好ましい。
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、生体への植え込み用であることがより特に好ましい。生体への植え込み方法としては特に制限はなく、外科手術や心臓ペースメーカーの植え込みに用いられる公知の方法などにより行うことができる。
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、生体の治療用であることが好ましく、生体の内臓の治療用であることがより好ましい。
本発明では、生体が人間または動物であることが好ましい。動物としては、哺乳類などを挙げることができる。特に、医者が人間を治療する際または獣医が動物を治療する際に、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスおよび光照射装置を好ましく用いることができる。
また、ワイヤレス給電式光照射デバイスから発光された光は、生体のどの部位に照射されてもよい。本発明では、生体内に植え込まれたワイヤレス給電式光照射デバイスから発光された光が、生体の内臓に照射されることが好ましい。
【0016】
ワイヤレス給電式光照射デバイスは、生体のどの部位に植え込んでもよい。ワイヤレス給電式光照射デバイスを内臓(肝臓、膵臓、心臓および肺)などの臓器の近傍に植え込む場合は、臓器の形状にあわせた形状にしてもよい。その他、ワイヤレス給電式光照射デバイスは円形、楕円形、正方形、長方形等があるが、これらにとらわれず患部の形状に応じて自由な形状に加工することが出来る。
また、本発明に用いられるワイヤレス給電式光照射デバイスはフレキシブルであることが、任意の生体の形状にあわせて、湾曲させて使用できる観点から好ましい。
【0017】
本発明では、発光素子の照射強度が0.1〜80mW/cm
2であることが好ましい。治療時間と、光照射時に感じる患者の痛みの程度に応じて、治療開始時、また治療途中で印加電圧もしくは印加電流を変更し、照射強度を変えることができる。また、生体のサイズに応じて、発光素子の照射強度を変えてもよい。生体が人間である場合は、発光素子の照射強度が0.5〜20mW/cm
2であることがより好ましい。
【0018】
<ワイヤレス給電式光照射デバイスの構成>
ワイヤレス給電式光照射デバイスの構成の一例として、有機EL素子であるワイヤレス給電式光照射デバイスの構成の一例の概略図を
図1〜3に示した。
ワイヤレス給電式光照射デバイスの主面(最も面積が大きい面)の面積が小さいことが、生体植え込みしやすくする観点から好ましい。本発明では、ワイヤレス給電式光照射デバイスの主面の面積が、5000mm
2以下であることが好ましく、3000mm
2以下であることが好ましく、1000mm
2以下であることがより好ましい。本発明では、ワイヤレス給電式光照射デバイスの主面の面積が、受電部の外周で囲われた面積の3倍以下であることが好ましく、2.5倍以下であることがより好ましく、2.2倍以下であることが特に好ましい。
発光素子の主面の長軸の長さが5〜50mmであることが好ましく、10〜45mmであることがより好ましく、20〜40mmであることが特に好ましい。
ワイヤレス給電式光照射デバイスの厚みが薄いことが、生体植え込みしやすくする観点から好ましい。本発明では、ワイヤレス給電式光照射デバイスの厚みが10mm以下であることが好ましく5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
本発明では、基板の一方の表面側のみに発光素子を有することが好ましい。
以下、ワイヤレス給電式光照射デバイスの構成のより好ましい態様を、部材ごとの好ましい態様とあわせて説明する。なお、各部材の材料として、以下に記載の好ましい態様の他、公知の材料を用いてもよい。例えば特開2013−140718号公報の[0019]〜[0129]に記載の材料を本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスに用いることができ、この公報の内容は本明細書に参照して組み込まれる。
【0019】
(基板)
本発明に用いられるワイヤレス給電式光照射デバイスは基板を有し、基板がフレキシブル基板である。
【0020】
本発明では、基板は医療用のグレードであるプラスチック基板を用いることができる。例えば医療用熱可塑性高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリフェニルスルホン樹脂およびその類縁体等をあげることができる。また、伸縮性のあるストレッチャブル(好ましくはさらにフレキシブル)な素材を用いることが出来る。
伸縮性があると曲面から形成される、生体への密着性がより高まる。
例えばエラストマーである、天然ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が公知のものを使うことができる。さらには、いわゆる基板の表面に親水性をもたせ、より生体との密着性を良くするために、親水性のモノマーをグラフトしたハイドロゲル表面をもたせた基板等の生体適合フィルムを用いることが出来る。
基板が生体適合フィルムであることが好ましい。
基板が熱可塑性樹脂を主成分として含むことが好ましい。主成分とは、基板の全体の質量の50質量%以上を占める成分のことを言う。基板が熱可塑性樹脂を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。また、基板は、単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。基板は、単層であることが好ましい。基板は、無機膜を主成分とする層などの熱可塑性樹脂を主成分としない層を有していてもよい。これら基板には、水蒸気・酸素透過性を抑制するバリア層などが形成されたフレキシブル基板を用いることが好ましい。
一般に高分子材料は、水分や酸素透過性が高く有機半導体を用いた発光素子にダメージを与えることが多い。そのため、バリア層を形成した基板上に発光素子を形成し、封止膜も同様に水分・酸素透過性が小さい基板を用いることが重要である。バリア層の具体的な例は、無機物と有機物を積層した例、実質的に無機物だけで形成した例等があり公知のものが広く使われる。その中で水蒸気透過率(WVTR)が10
−2(単位:g/m
2/day、以下同様)以下のものが好ましく、10
−4以下のものが更に好ましく、10
−5以下のものが特に好ましく用いられる。なお、WVTR値は既存の測定装置(例えばデルタパーム)を持ち入れば測定することができる。
上記の基板の主成分である熱可塑性樹脂としては、制限はない。
本発明は、フレキシブル基板を用いることが好ましい。フレキシブル基板を用いることで、生体内で例えば内臓の曲面に沿って変形できるフレキシブルな発光素子を提供できる。ただし、基板が硬化性樹脂成分を含むことを排除するものではない。基板に硬化性樹脂を用いる場合は、フレキシブル性を完全に失わない程度に、硬化を制御することや、基板中の含有量を制御することが好ましい。
【0021】
本発明では、基板の厚みが5〜200μmであることが好ましく、10μm〜125μmであることがより好ましく、10μm〜80μmであることが特に好ましい。フィルム基板の厚みが薄くなるとフィルムの剛性を小さくでき、その結果、曲面の多い生体への追随性が良好となり、使用中に剥がれにくくなる。
【0022】
(発光素子)
発光素子は、一対の電極の間に配置された半導体を含む。
発光素子に用いられる半導体としては、無機半導体および有機半導体を挙げることができる。
発光素子に用いられる無機半導体としては、制限はない。発光素子に用いられる無機半導体の例としては、無機発光ダイオード(LED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic Electro−Luminescence;IEL;無機EL)などを挙げることができる。
発光素子に用いられる有機半導体としては、制限はない。発光素子に用いられる有機半導体の例としては、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光ダイオード:OLEDとも言う)、ポリマー発光ダイオード(PLED)、有機電気化学発光セル(OLEC)、無機材料からなる量子ドットなどを挙げることができる。
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの封止体は、発光素子が、有機半導体であることが好ましく、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子であることがより好ましい。以下、発光素子が、有機EL素子である場合について代表的に説明する。ただし、本発明の発光素子は以下の態様に限定されるものではない。
発光素子の主面の面積は、治療する生体のサイズに応じて設定することができる。例えば、人間および動物に対して光照射する場合、発光素子の主面の面積は10〜2500mm
2であることが好ましく、25〜2000mm
2であることが好ましく25〜1000mm
2であることがより好ましい。
【0023】
−電極−
発光素子は陽極および陰極として作用する一対の電極を一般的に含む。電極に用いられる材料としては特に制限はない。OLEDを用いる場合は公知の電極に用いられる材料を用いることができる。例えば、ITO、IZO、銀、アルミニウムなどの電極を挙げることができる。電極は透明電極であることが好ましい。陽極としてはITOが好ましく、陰極としてはアルミニウムが好ましい。
陽極としては、仕事関数が5.0eV程度のITOの方が、仕事関数は4.3eV程度の銀よりもホール注入層にホールを効率よく注入することができ、駆動電圧を低くできる観点から好ましい。
一方、本発明で用いられるフレキシブル透明導電基板は、電圧ドロップが小さくなるよう、抵抗ができるだけ小さい透明導電性の電極を作製することが好ましい。一般に用いられる陽極として用いられるITOはスパッタによって製膜される。フレキシブル基板を用いる場合、ガラス基板に形成するような高温でスパッタされたITOをアニールして結晶化を高められないために、陽極に用いられるITOは通常よりも結晶性が低く、抵抗が高くなる傾向がある。
【0024】
透明導電膜の形成は種々の材料およびプロセスが知られている。プラスチック基板を用いる場合は、上記の水蒸気バリア膜をプラスチック基板上に形成した後、ITOやIZO等の透明酸化物を積層する場合もある。
上記の水蒸気バリア膜をプラスチック基板上に形成した後、銀ナノワイヤ、銀ナノ粒子または銅ナノ粒子をストライプ、メッシュまたはハニカム形状に作製し、ITO等の透明導電膜と積層する場合もある。先に銀などのストライプ電極を形成し、その上にITO等の透明導電膜をスパッタすることも可能である。これらの場合、例えばストライプ電極は、1mmピッチに0.1mm幅で厚みを50nm等に形成すればよい。
ITOのかわりに、ポリチオフェン等の導電性高分子等で全体を覆う場合もある。
さらには、カーボンナノチュープ、グラフェン等を用いて薄膜の導電層を形成し、フレキシブル性と低抵抗を両立させる試みが数多くなされており、これら公知の技術を使用することができる。
【0025】
−半導体、発光層−
発光素子は、蛍光および燐光発光性の有機半導体を発光層に有することが好ましい。
発光層の材料としては特に制限はない。疾患の状況に応じて種々の発光材料を選択することが出来る。例えば、皮膚ガンやニキビ等の皮膚疾患には400〜500nm程度の青色光が効果的な場合があり、光化学療法剤を併用する場合は体内で生成するポルフィリン誘導体の吸収である500〜700nmに発光極大を有する材料であれば制限なく使用できる。また、生体内においてはヘモグロビンおよび水の吸収が大きな吸収を有する波長域は光が体内に浸透しづらい。よって体外から光照射し体内により深く浸透効果をもたらすには600nm以上の長波の光が望ましく、生体組織内の水による光の吸収をさけるには1200nm程度までの発光ピークを持つ発光材料が望ましい。ただし、ポルフィリン誘導体に代表される光増感物質は、青色、緑色の領域にも吸収を有しておりこの吸収を利用すれば600nm以上の赤色領域の発光以外にも種々の光を活用することができる。発光層の材料としては真空蒸着型のオリゴマーを含む低分子化合物、高分子化合物や、塗布型の低分子化合物を用いることが好ましい。低分子化合物としては公知の化合物を用いることができ、制限はない。(例えば、Zhigang Li, hong Meng編、organic Lighit Emitting Materials and Devices、Taylor & Francisに記載された材料)高分子化合物としては、例えば、住友化学製の高分子系の赤色燐光発光材料を挙げることができる。塗布型の低分子化合物としては、発光層のホスト材料として1,3−bis(carbazol−9−yl)benzene(mCP)などを挙げることができ、mCPはドーパントとして用いる赤色燐光材料(Bis(2−benzo[b]thiophene−2−yl−pyridine)(acetylacetonate)iridium(III),(Ir(btp)
2(acac)))などと組み合わせて用いることができる。これらの材料には限定されず、公知の発光材料を広く活用できる。
【0026】
−その他の構成−
発光素子のホール注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、ホールブロック層、電子ブロック層などに用いられる材料としては特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。
【0027】
(第1の封止材)
図1および
図2に示すように、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの一態様では、第1の封止材がフレキシブルなバリアフィルム基板であることが好ましい。バリアフィルム基板としては、ワイヤレス給電式光照射デバイスの基板に用いられるバリアフィルム基板と同じものを用いることができる。
また、
図3に示すように、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの他の態様では、本発明では、第1の封止材が充填剤(フィル剤とも呼ばれ、高粘性液体からなる)および乾燥剤(ゲッター)を含むことが好ましい。本発明に用いられる充填剤としては特に制限は無く、公知の材料を用いることができ、生体適合材料であることが好ましい。
【0028】
(受電部)
受電部のうち少なくとも一部が発光素子の主面の正射影上に位置することが、生体内に植え込むためにワイヤレス給電式光照射デバイスの面積をコンパクトにする観点から好ましい。
受電部は、受信アンテナを有することが好ましい。受信アンテナとしては、受信コイルが好ましい。
受電部が受信コイルおよび受信回路を有し、受信回路が交流を直流に変換することが好ましい。ただし、受電部は後述の電力送信機から給電される限り、コイルを有する態様に限定されない。
【0029】
−受信コイル−
受信コイルは、
図1に記載された基板1のサイズ以下に収めることが望ましい。
受信コイルの材質としては特に制限は無いが、抵抗が低いほうが好ましい。公知の材料を用いることができ、例えば銅や銀などの低抵抗金属を用いることができる。
また、
図5に示したようなループ状にする必要はなく、角型やメッシュ状、クシ型状にすることもでき、電磁波を高周波エネルギーに変換する形状に制限はない。
【0030】
−受信回路−
図4に示すように受信回路12は交流を直流に変換し、発光素子2に電圧をかけられるように働くことが好ましい。発光素子は直流で駆動できることが好ましい。ただし、駆動方法は直流駆動に限定されることはない。
その他、送信コイルと受信コイル間の距離が変動することにより、発光素子に与えられる電圧が変動し、輝度が変化する場合がある。特に距離が近くなった時に輝度が想定以上に上がり、発光素子の温度が上昇し火傷等が起こることを防止することは重要である。受信回路12には、これを防止するための電流制限回路や電圧制限回路(レギュレータ)を設けられていることが特に好ましい。
【0031】
−その他の回路−
受電部はその他の回路を有していてもよい。
図4に示すように受電部4は整流回路13を有していてもよい。また、受電部は、必要に応じて受信コイル12を共振させるため等の目的でキャパシタを有していてもよい。
【0032】
(配線)
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、第1の封止材を貫通する配線を有していてもよい。特に、
図1および
図2の構成のように第1の封止材がバリアフィルム基板である場合に、バリアフィルム基板を貫通する配線を有することが好ましい。
この場合、配線が一対の電極と受電部とを電気的に接続することが好ましい。
ワイヤレス給電式光照射デバイスの配線としては、FPC(Flexible printed circuits)や、通常の導線を挙げることができる。FPCを用いず通常の導線をハンダづけしてもよいが、本発明ではFPCを用いることが好ましい。
配線取出しパッドには導電接着剤が塗布され、FPCを熱圧着して接続されることが好ましい。
配線接続方法は、以上の記載に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。
【0033】
(第2の封止材)
図2および3に示すように、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスの一態様では、さらに受電部を覆う第2の封止材を有し、第2の封止材がフレキシブルなフィルムであることが好ましい。フレキシブルなフィルムとしては、ワイヤレス給電式光照射デバイスの基板に用いられるフレキシブルなフィルムと同じものを用いることができる。
第2の封止材が生体適合樹脂の充填剤および封止用接着剤を含むことも好ましい。
生体植え込み用のワイヤレス給電式光照射デバイスでは、発光を妨げたりしにくい観点から、第2の封止材には金属以外の封止材を用いることが好ましい。
なお、ワイヤレス給電式光照射デバイスの側面も同様に金属膜によって封止されていないことが、安価に製造する観点から好ましい。
【0034】
(封止用接着剤)
封止用接着剤としては特に制限はない。
例えば、水および酸素遮断性の高いUV(Ultraviolet)硬化性エポキシ樹脂(スリーボンド社製TB3124M)や、モレスコ社製(商品名モイスチャーカット)等、種々販売されているものが使用できる。また味の素ファインテクノ製の防湿剤を混入した封止フィルムも好ましく使用できる。また発光素子の水分による劣化を防ぐために、発光素子2の上部を双葉電子工業株式会社製OleDry−F(オーレドライエフ)で覆ったり、サエス・ゲッターズ社製のDryFlexを付与したりすることが好ましい。
【0035】
(コンタクトの手段)
本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスは、コンタクトの手段を有していてもよい。特に、
図3の構成のように第1の封止材が生体適合樹脂の充填剤である場合に、生体適合樹脂の充填剤の内部にコンタクトの手段31を有することが好ましい。
この場合、コンタクトの手段が一対の電極と受電部とを電気的に接続することが好ましい。コンタクトの手段の長さは、受電部の厚み(特に受信回路の厚み)よりも長くすることが好ましい。
コンタクトの手段としては、例えば、コンタクト用ピン、ピン以外の形状のコンタクト用部材などを挙げることができる。
【0036】
<ワイヤレス給電式光照射デバイスの製造方法>
ワイヤレス給電式光照射デバイスの製造方法としては、特に制限はない。有機半導体である発光素子に含まれる有機層は、塗布や蒸着により形成することができる。また、発光素子に含まれる電極などの金属層やその他の無機層についても、塗布や蒸着により形成することができる。特に、有機EL素子の製造方法として、一般に知られている真空蒸着法、インクジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、スピンコート等公知の方法を用いることができる。蒸着方法としては、真空蒸着などを用いることができる。その他、スパッタリングなどにより各層を形成してもよい。塗布や蒸着により各層を積層する場合、各層の間に特に接着層などを設ける必要はない。
また、発光素子は、以上の多層の有機半導体構造に限定されない。電子および正孔が結合して発光層で励起状態を生じ、発光層が光を放射することができれば特に制限はない。
基板、第1の封止材、受電部および第2の封止材などの各部材も、塗布や蒸着により形成し、積層することができる。
【0037】
[光照射装置]
本発明の光照射装置は、本発明のワイヤレス給電式光照射デバイスおよび電力送信機を備える。
ワイヤレス給電式光照射デバイスおよび電力送信機を組み合わせて用いることにより、ワイヤレス給電式光照射デバイスを生体内に植え込んだ場合に、電力送信機からワイヤレス給電式光照射デバイスへ給電できる。
【0038】
<電力送信機>
電力送信機は、ワイヤレスでワイヤレス給電式光照射デバイスに給電できれば、特に制限はない。
電力送信機は、送信アンテナを有することが好ましい。送信アンテナとしては、送信コイルが好ましい。
電力送信機が送信コイルおよび高周波電源を有することが好ましい。周波数としては数kHzから数GHzまで用いることができる。これらはアプリケーションによって変わってくる。送信コイルおよび受信コイルを組み合わせることで、公知の磁界結合方式や電界結合方式で送信コイルから受信コイルにワイヤレスで効率良く給電することができる。ただし、電力送信機はワイヤレス給電式光照射デバイスに給電できる限り、コイルを有する態様に限定されない。
【0039】
(送信コイル)
送信コイルは、ワイヤレスでワイヤレス給電式光照射デバイスに給電する距離に応じて直径を設定することが好ましい。例えば、直径150〜1000mmであることが好ましく、直径200〜500mmであることがより好ましく、直径100〜300mmであることが特に好ましい。
送信コイルの材質としては特に制限は無いが、抵抗が低いほうが好ましい。公知の材料を用いることができ、例えば銅や銀などの低抵抗金属を用いることができる。
また、
図5に示したようなループ状にする必要はなく、角型やメッシュ状、クシ型状にすることもでき、高周波エネルギーを電磁波に変換する形状に制限はない。
【0040】
電力送信機は、送信コイル以外のその他の回路を有していてもよい。電力送信機は、送信コイルを共振させるため等の目的でキャパシタを有していてもよい。
【0041】
(高周波電源)
高周波電源としては特に制限は無く公知のものを用いることができる。
高周波電源は外部電源(好ましくは交流)に接続してもよい。
【0042】
[光照射方法]
本発明の光照射方法は、本発明の光照射装置の電力送信機からワイヤレス給電式光照射デバイスの受電部に給電し、受電部が発光素子の電極に給電して発光素子を発光させる光照射方法である。
本発明の光照射方法では、送信コイルおよび受信コイルの距離を10〜500mm離して給電することが好ましく、送信コイルおよび受信コイルの距離を20〜400mm離して給電することがより好ましく、50〜300mm離して給電することが特に好ましい。
発光素子を発光させる前に、本発明の光照射方法では、ワイヤレス給電式光照射デバイスを生体へ植え込んで発光素子を発光させることが好ましい。
図7に本発明の光照射方法の一態様の模式図を示した。
図7では、台302の内部に送信コイル111および高周波電源112を有する電力送信機101を設置し、電力送信機101が交流の外部電源303に接続されている。
生体内にワイヤレス給電式光照射デバイス41が植え込まれた生体301を、台302の上に配置すると、電力送信機101からワイヤレス給電式光照射デバイス41(不図示の受電部)に給電され、ワイヤレス給電式光照射デバイス41の発光素子(不図示)が発光する。
なお、
図7では送信コイル111は光照射デバイス41の下部に設けているが、上部に設置しても同様な結果が得られる。
【0043】
(治療)
光照射装置により治療可能な疾患としては、内部疾患などを挙げることができる。例えば、悪性前段階の疾患、悪性疾患を挙げることができる。治療可能な疾患の例には、原発性および転移性の腫瘍に加え、炎症性疾患、たとえば結合組織の疾患、あらゆる種類の関節炎、炎症性腸管疾患が含まれる。特に内臓ガン(肝臓ガン、膵臓ガン、卵巣ガン等)に有効である。光線療法によって以上の疾患を治療できるメカニズムは知られている(例えば、CANCER June 15, 1997 / Volume 79 / Number 12, p2282参照)。本発明に用いられるワイヤレス給電式光照射デバイスから照射される光で、これらの疾患を治療できる。
光線力学的療法(PDT)では、治療されるべき体の領域に光化学療法剤(photopharmaceutical)として公知の感光性の療法用剤を外用または内用として与え、その領域を適切な周波数および強度の光に露出して、光化学療法剤を活性化させる。現在、さまざまな光化学療法剤を入手できる(例えば特許第4651281号の[0002]参照)。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。「重量部」および「重量%」は、「質量部」および「質量%」と同義である。
【0045】
[実施例1]
<ワイヤレス給電式光照射デバイスの作製>
以下の手順にて、基板の上に赤色発光有機EL素子を有するワイヤレス給電式光照射デバイスを作製した。実施例1で製造されるワイヤレス給電式光照射デバイスの概略図を
図1に示した。
実施例1で製造したワイヤレス給電式光照射デバイスは、外形サイズ約50mm×50mm、すなわちワイヤレス給電式光照射デバイスの主面の面積が2500mm
2であった。発光素子のサイズは約24mm×24mm、すなわち発光素子の主面の面積が576mm
2であった。ワイヤレス給電式光照射デバイスの厚みは約3mmであった。
【0046】
(発光素子の形成)
陽極、ホール注入層、インターレイヤー、発光層、電子注入層および陰極からなる発光素子を、以下の手順で形成した。なお、形成した発光素子は、有機半導体を含む発光素子(有機EL素子)である。
基板の上に、インジウムスズ酸化物(ITO)を100nmの厚みでスパッタリングして陽極を形成した。
窒素雰囲気に調整されたグローブボックス中で、陽極の上に日産化学製エルソースをスピンコートし、150℃にて10分間ベークしてホール注入層を形成した。
引き続き窒素雰囲気に調整されたグローブボックス中で、ホール注入層の上にキシレンに溶解させた住友化学製の熱架橋型高分子材料を20nmスピンコートし、160℃でベークしてインターレイヤーを形成した。
インターレイヤーの上にキシレンに溶解させた住友化学製の高分子系の赤色燐光発光材料を70nmの厚みになるように同様に塗布し、160℃でベークして発光層を形成した。
その後、発光層を形成した積層体を真空蒸着機に投入し、発光層の上にフッ化リチウム1nmを蒸着して電子注入層を形成した。
続けて、真空蒸着機の中で、電子注入層の上に、アルミニウムを120nm蒸着して陰極を形成した。
このようにして形成されるワイヤレス給電式光照射デバイス41は、基板1の一方の表面側のみに発光素子2を有することとなる。
【0047】
(配線の形成)
更に、銀ペーストを陽極と陰極の所望の位置に塗布し、配線取出し用パッドを形成した。
配線取出しパッドに導電接着剤を塗布し、FPC(Flexible printed circuits)であるワイヤレス給電式光照射デバイスの配線21を熱圧着して接続した。
【0048】
(発光素子の封止)
得られた有機EL素子を真空蒸着機からグローブボックスに移し、発光素子2の上に第1の封止材3としてフレキシブルなガスバリアフィルムを配置した。
更に有機EL素子の周囲に封止用接着剤211として水および酸素遮断性の高いUV(Ultraviolet)硬化性エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製XNR5516Z)を基板1と第1の封止材3の側部に塗布した。UV照射するとともに100℃で加熱して、封止用接着剤23を硬化させた。
【0049】
(受電部の作製)
受電部4(受信アンテナ部)として、フレキシブル基板上にスクリーン印刷を用いて、銅ペーストでインダクタンス50μHのアンテナを形成し、直径約40mmの受信コイル11を作成した。受信回路12は、導電性接着剤で必要な部品を基板に接着した。回路同士の配線は銀ペーストをスクリーン印刷して用いた。受電部4のうち少なくとも一部が発光素子の主面2Aの正射影上に位置するように、受電部4を第1の封止材3の上に配置した。この場合、受電部の外周で囲われた面積は約1600mm
2であった。
受信回路12は、配線21を介して、一対の電極5に接続した。
受信回路12として、ELEC Freaks社製のXKT−510と同様な回路を用いた。XKT−510の受信回路は、受信コイル11に印加された磁界を用いて、直流5Vを一対の電極5の電極間(すなわち発光素子12)に提供できる。
その後、第2の封止材22として用いるフィル材および封止用接着剤23によって、受電部4の全体を封止した。
以上により、実施例1のワイヤレス給電式光照射デバイスが作製された。
【0050】
<光照射装置の作製>
実施例1のワイヤレス給電式光照射デバイスを以下の電力送信機を組み合わせて、実施例1の光照射装置201(磁界結合方式)を作製した。
実施例1で製造される光照射装置の概略図を
図6に示した。
【0051】
(電力送信機の作製)
直径約15cmの送信コイル111(給電アンテナ部)および高周波電源112を有する電力送信機101を作製した。高周波電源112は、外形サイズ13cm×20cmであった。
【0052】
<評価>
作製した実施例1の光照射装置201の性能を、高周波電源112を外部電源に接続して、評価した。
実施例1の光照射装置では、送信コイルおよび受信コイルの間の距離202を最大165mmまで離しても発光素子12(赤色有機EL素子)が発光することを確認した。特に送信コイルおよび受信コイルの間の距離202が160mm以下であると、発光素子12の輝度が低下しないことを確認した。
また、発光素子12へかかる電圧は5Vであり、電流値は10mAであった。また、発光素子の照射強度は5mW/cm
2であった。
以上より、本発明によれば、光を用いて内部疾患を治療でき、生体に対する侵襲度が低い、ワイヤレス給電式光照射デバイスを提供できることがわかった。
【0053】
[実施例2]
実施例1のワイヤレス給電式光照射デバイスを複数作製した。
複数の実施例1のワイヤレス給電式光照射デバイスと、実施例1で製造した電力送信機101を組み合わせて、実施例2の光照射装置を作製した。
実施例2の光照射装置の性能を、高周波電源112を外部電源に接続して、評価した。
その結果、複数のワイヤレス給電式光照射デバイスを発光させることが可能であることがわかった。
【0054】
[実施例3]
送信距離を伸ばすために、送信コイル111の直径を30cmにした以外は実施例1と同様にして、実施例3の光照射装置を作製した。
実施例3の光照射装置の性能を、高周波電源112を外部電源に接続して、評価した。
その結果、送信コイル111の直径を30cmにした場合、送信コイルおよび受信コイルの間の距離202を300mmにした場合も電送可能であることがわかった。