(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動、並びに前記第1薬液配管部、前記第1迂回配管部、前記第2薬液配管部、及び前記第2迂回配管部、前記第3薬液配管部、前記第4薬液配管部の管路の開閉の制御を行うコントローラ部が備えられる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、従来より作業性の向上を図って作業者の作業負担や薬液の曝露時間を低減させた金型洗浄装置及び金型洗浄方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、第1の発明は、洗浄対象となる樹脂成形用の金型の成形面を洗浄する洗浄薬液を貯留する薬液タンク部と、前記薬液タンク部と前記金型との間に配設される第1薬液配管部と、前記薬液タンク部と前記金型との間に前記第1薬液配管部とは別の管路で配設される第2薬液配管部と、前記第1薬液配管部の金型側先端部に接続され前記洗浄薬液の前記金型への供給及び回収が行われる第1注吸液ノズル部と、前記第2薬液配管部の金型側先端部に接続され前記洗浄薬液の前記金型への供給及び回収が行われる第2注吸液ノズル部と、前記第1薬液配管部に配設され前記洗浄薬液を一定方向へ流通させる第1ポンプ部と、前記第2薬液配管部に配設され前記洗浄薬液を一定方向へ流通させる第2ポンプ部と、前記薬液タンク部と前記第1ポンプ部より前記金型側の前記第1薬液配管部との間に配設される第3薬液配管部と、前記薬液タンク部と前記第2ポンプ部より前記金型側の前記第2薬液配管部との間に配設される第4薬液配管部と、前記第1薬液配管部に接続されて前記第1ポンプ部及び前記第3薬液配管部との第1配管接続部を迂回して前記薬液タンク部から前記第1注吸液ノズル部までを連通させる第1迂回配管部と、前記第2薬液配管部に接続されて前記第2ポンプ部及び前記第4薬液配管部との第2配管接続部を迂回して前記薬液タンク部から前記第2注吸液ノズル部までを連通させる第2迂回配管部とを備えたことを特徴とする金型洗浄装置に係る。
【0009】
第2の発明は、前記第1薬液配管部と前記第2薬液配管部とが、前記薬液タンク部に配設された単一の流出配管部に接続されている第1の発明に記載の金型洗浄装置に係る。
【0010】
第3の発明は、前記第3薬液配管部と前記第4薬液配管部とが、前記薬液タンク部に配設された単一の流入配管部に接続されている第1または2の発明に記載の金型洗浄装置に係る。
【0011】
第4の発明は、前記薬液タンク部に前記洗浄薬液を加温する加温器が備えられる第1ないし3の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置に係る。
【0012】
第5の発明は、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部がともにダイヤフラムポンプである第1ないし4の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置に係る。
【0013】
第6の発明は、前記洗浄薬液がアルカリ性溶液である第1ないし5の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置に係る。
【0014】
第7の発明は、前記金型の前記成形面に前記洗浄薬液の液面位を検出する金型液面センサが接続される第1ないし6の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置に係る。
【0015】
第8の発明は、前記薬液タンク部に前記洗浄薬液の液面位を検出するタンク液面センサが接続される第1ないし7の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置に係る。
【0016】
第9の発明は、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動、並びに前記第1薬液配管部、前記第1迂回配管部、前記第2薬液配管部、及び前記第2迂回配管部、前記第3薬液配管部、前記第4薬液配管部の管路の開閉の制御を行うコントローラ部が備えられる第1ないし8の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置に係る。
【0017】
第10の発明は、第1ないし9の発明のいずれかに記載の金型洗浄装置を使用する金型洗浄方法であって、前記第1薬液配管部と前記第2薬液配管部とが開放されるとともに、前記第3薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第1迂回配管部と前記第2迂回配管部とが閉鎖されて、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動により前記薬液タンク部から前記第1注吸液ノズル部及び前記第2注吸液ノズル部を経て前記金型内に前記洗浄薬液を注入させる薬液注入工程と、前記第1薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第2迂回配管部とが開放されるとともに前記第2薬液配管部と前記第3薬液配管部と前記第1迂回配管部とが閉鎖され、または、前記第2薬液配管部と前記第3薬液配管部と前記第1迂回配管部とが開放されるとともに前記第1薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第2迂回配管部とが閉鎖されて、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動により前記洗浄薬液を前記薬液タンク部と前記金型との間で循環させる薬液循環工程と、前記第3薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第1迂回配管部と前記第2迂回配管部とが開放されるとともに、前記第1薬液配管部と前記第2薬液配管部とが閉鎖されて、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動により前記第1注吸液ノズル部及び前記第2注吸液ノズル部を通じて前記金型内の前記洗浄薬液を吸引させて前記薬液タンク部へ戻し入れる薬液戻し入れ工程とを有することを特徴とする金型洗浄方法に係る。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明に係る金型洗浄装置は、洗浄対象となる樹脂成形用の金型の成形面を洗浄する洗浄薬液を貯留する薬液タンク部と、前記薬液タンク部と前記金型との間に配設される第1薬液配管部と、前記薬液タンク部と前記金型との間に前記第1薬液配管部とは別の管路で配設される第2薬液配管部と、前記第1薬液配管部の金型側先端部に接続され前記洗浄薬液の前記金型への供給及び回収が行われる第1注吸液ノズル部と、前記第2薬液配管部の金型側先端部に接続され前記洗浄薬液の前記金型への供給及び回収が行われる第2注吸液ノズル部と、前記第1薬液配管部に配設され前記洗浄薬液を一定方向へ流通させる第1ポンプ部と、前記第2薬液配管部に配設され前記洗浄薬液を一定方向へ流通させる第2ポンプ部と、前記薬液タンク部と前記第1ポンプ部より前記金型側の前記第1薬液配管部との間に配設される第3薬液配管部と、前記薬液タンク部と前記第2ポンプ部より前記金型側の前記第2薬液配管部との間に配設される第4薬液配管部と、前記第1薬液配管部に接続されて前記第1ポンプ部及び前記第3薬液配管部との第1配管接続部を迂回して前記薬液タンク部から前記第1注吸液ノズル部までを連通させる第1迂回配管部と、前記第2薬液配管部に接続されて前記第2ポンプ部及び前記第4薬液配管部との第2配管接続部を迂回して前記薬液タンク部から前記第2注吸液ノズル部までを連通させる第2迂回配管部とを備えたため、従来より作業性が向上されて作業者の作業負担が軽減されるとともに、作業空間内での薬液の曝露時間を低減させることができる。
【0019】
第2の発明によると、第1の発明において、前記第1薬液配管部と前記第2薬液配管部とが、前記薬液タンク部に配設された単一の流出配管部に接続されているため、薬液タンク部からの薬液流出経路が簡略化され、洗浄薬液の流出が管理しやすくなる。
【0020】
第3の発明によると、第1または2の発明において、前記第3薬液配管部と前記第4薬液配管部とが、前記薬液タンク部に配設された単一の流入配管部に接続されているため、薬液タンク部への薬液流入経路が簡略化され、洗浄薬液の流入が管理しやすくなる。
【0021】
第4の発明によると、第1ないし3のいずれかの発明において、前記薬液タンク部に前記洗浄薬液を加温する加温器が備えられるため、薬液の温度を所定の温度に保持することができる。
【0022】
第5の発明によると、第1ないし4のいずれかの発明において、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部がともにダイヤフラムポンプであるため、洗浄薬液による腐食等が発生しにくく、長期に亘って安定して用いることが可能である。
【0023】
第6の発明によると、第1ないし5のいずれかの発明において、前記洗浄薬液がアルカリ性溶液であるため、樹脂材料からなる付着物に対する溶解能力に優れる。
【0024】
第7の発明によると、第1ないし6のいずれかの発明において、前記金型の前記成形面に前記洗浄薬液の液面位を検出する金型液面センサが接続されるため、金型内の薬液量の異常を監視することができる。
【0025】
第8の発明によると、第1ないし7のいずれかの発明において、前記薬液タンク部に前記洗浄薬液の液面位を検出するタンク液面センサが接続されるため、薬液タンク部内の薬液量の異常を監視することができる。
【0026】
第9の発明によると、第1ないし8のいずれかの発明において、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動、並びに前記第1薬液配管部、前記第1迂回配管部、前記第2薬液配管部、及び前記第2迂回配管部、前記第3薬液配管部、前記第4薬液配管部の管路の開閉の制御を行うコントローラ部が備えられるため、各ポンプ部の駆動や各配管部の開閉が自動制御され、作業効率の向上を図ることができる。
【0027】
第10の発明に係る金型洗浄方法は、第1ないし9のいずれかの発明に記載の金型洗浄装置を使用する金型洗浄方法であって、前記第1薬液配管部と前記第2薬液配管部とが開放されるとともに、前記第3薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第1迂回配管部と前記第2迂回配管部とが閉鎖されて、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動により前記薬液タンク部から前記第1注吸液ノズル部及び前記第2注吸液ノズル部を経て前記金型内に前記洗浄薬液を注入させる薬液注入工程と、前記第1薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第2迂回配管部とが開放されるとともに前記第2薬液配管部と前記第3薬液配管部と前記第1迂回配管部とが閉鎖され、または、前記第2薬液配管部と前記第3薬液配管部と前記第1迂回配管部とが開放されるとともに前記第1薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第2迂回配管部とが閉鎖されて、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動により前記洗浄薬液を前記薬液タンク部と前記金型との間で循環させる薬液循環工程と、前記第3薬液配管部と前記第4薬液配管部と前記第1迂回配管部と前記第2迂回配管部とが開放されるとともに、前記第1薬液配管部と前記第2薬液配管部とが閉鎖されて、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動により前記第1注吸液ノズル部及び前記第2注吸液ノズル部を通じて前記金型内の前記洗浄薬液を吸引させて前記薬液タンク部へ戻し入れる薬液戻し入れ工程とを有するため、従来より作業性が向上されて作業者の作業負担が軽減されるとともに、作業空間内での薬液の曝露時間を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る金型洗浄装置1の概略配管図である。この金型洗浄装置1は、樹脂成形用の金型Dの成形面D1に付着した付着物を剥離除去して洗浄するための装置であって、薬液タンク部Tと、第1薬液配管部10と、第2薬液配管部20と、第1注吸液ノズル部15と、第2注吸液ノズル部25と、第1ポンプ部P1と、第2ポンプ部P2と、第3薬液配管部30と、第4薬液配管部40と、第1迂回配管部50と、第2迂回配管部60とを備える。この金型洗浄装置1では、薬液タンク部Tと金型D間に洗浄薬液Wを循環させて洗浄が行われる。なお、
図1においては、各部の作動を制御するコントローラ部との配線等は省略している。
【0030】
金型Dは、耐久性や耐食性等に優れた鋼材等からなり、
図2に示すように、所定形状の成形面D1を有する。この金型Dは、樹脂成形後の状態であって、成形面D1に樹脂材料の付着物D2が残留している。付着物D2は、樹脂成形品の成形に際して熱劣化等によりこびり付く等して生じる残留物であって、ポリプロピレン、ABS樹脂、塩化ビニル、ポリウレタン系樹脂等の樹脂成形品に使用された樹脂材料からなる。
【0031】
金型Dの成形面D1には、供給された後述する洗浄薬液Wの液面位を検出する金型液面センサ80が接続されている。金型液面センサ80は、金型D内の薬液量の異常を監視する。洗浄薬液Wの液面位が過剰に上昇していると検出された場合は、配管内の詰まりやバルブの誤作動等の異常のおそれがある。液面が過剰に下降していると検出された場合は、配管内に液漏れ等が発生しているおそれがあり、十分な洗浄を行うことができない。
【0032】
薬液タンク部Tは、
図1に示すように、洗浄対象となる樹脂成形用の金型Dの成形面D1を洗浄する洗浄薬液Wを貯留する部位である。薬液タンク部Tの容量は、洗浄する金型Dの大きさ等にもよるが、おおむね400〜800Lである。タンク容量が400L未満であると薬液が不足するおそれがあり、800Lより多いと温度維持等の薬液の管理がしにくくなる。
【0033】
洗浄薬液Wは、樹脂材料からなる付着物を溶解、膨潤させることによって成形面D1からの剥離除去を可能とする液体であり、アルカリ性溶液(特に強アルカリ性溶液)または酸性溶液(特に強酸性溶液)が用いられる。これらの溶液は、樹脂材料からなる付着物D2に対する溶解能力に優れており、金型Dの成形面D1に付着した付着物D2に所定時間接触させることによって、付着物D2が成形面D1から容易に剥離除去可能となる。
【0034】
この洗浄薬液Wは、特に約80℃の高温とされることによって、溶解性能がより高められる。そこで、薬液タンク部Tには、
図1に示すように、洗浄薬液Wを加温する加温器90が備えられる。加温器90は、薬液の温度を所定の温度に保持する部材であり、例えばプラグヒーター等の公知の加熱装置が用いられる。この加温器90は薬液タンク部Tの下部に設けられる。加温効率等を高めるために、加温器90を薬液タンク部Tの周囲に複数(例えば4つ)設けてもよい。そして、加温器90により加熱された洗浄薬液Wは、薬液タンク部T内で温度上昇により対流が生じるため、薬液タンク部T内の薬液温度が均一化される。
【0035】
また、薬液タンク部Tには、洗浄薬液Wの温度を検出する温度センサ91が取り付けられる。温度センサ91は、薬液温度が約80℃で保温されるように監視する機器である。温度センサ91で検出された薬液温度のデータは、後述するコントローラ部へ伝達され、その情報に基づいて加温器90の作動が制御される。この温度センサ91は、必要に応じて各加温器90ごとに複数個(例えば加温器90が4個であれば4個)設けてもよい。複数の温度センサ91により、それぞれの検出温度の相違から洗浄薬液Wの温度のむら等を検知しやすくなり、適切な薬液温度の制御が可能となる。
【0036】
薬液タンク部Tには、さらに洗浄薬液Wの液面位を検出するタンク液面センサ92が接続される。タンク液面センサ92は、薬液タンク部T内の薬液量の異常を監視する。洗浄薬液Wの液面位が過剰に上昇していると検出された場合は、配管内の詰まりやバルブの誤作動等の異常のおそれがある。液面が過剰に下降していると検出された場合は、配管内に液漏れ等が発生しているおそれがある。また特に、加温器90が設置されている場合には、加温器90の空焚きの危険も検出される。これらの異常が検出された場合、後述のコントローラ部へ異常が伝達され、その情報に基づいて後述のポンプ(P1,P2)の作動が停止される。
【0037】
第1薬液配管部10は、
図1に示すように、薬液タンク部Tと金型Dとの間に配設された管路である。第1薬液配管部10は、薬液タンク部Tと後述の第1ポンプ部P1間の第1タンク側管路11と、第1ポンプ部P1が設置される第1ポンプ管路12と、第1ポンプ管路12と後述の第1注吸液ノズル部15間の第1ノズル側管路13とが連通されている。この第1薬液配管部10は、薬液タンク部Tから金型D間に洗浄薬液Wを流通させ、主に金型Dへ供給するために用いられる。
【0038】
第2薬液配管部20は、
図1に示すように、第1薬液配管部10とは別に薬液タンク部Tと金型Dとの間に配設された管路である。第2薬液配管部20は、薬液タンク部Tと後述の第2ポンプ部P2間の第2タンク側管路21と、第2ポンプ部P2が設置される第2ポンプ管路22と、第2ポンプ管路22と後述の第2注吸液ノズル部25間の第2ノズル側管路23とが連通されている。この第2薬液配管部20は、第1薬液配管部10とは異なる経路で薬液タンク部Tから金型D間に洗浄薬液Wを流通させ、主に金型Dへ供給するために用いられる。
【0039】
第1注吸液ノズル部15は、
図1,2に示すように、第1薬液配管部10の金型側端部に接続されて洗浄薬液Wの金型Dへの注入(供給)及び吸引(回収)が行われる部位である。第1注吸液ノズル部15の先端部には、緩衝口部16が取り付けられている。緩衝口部16は、洗浄薬液Wと接触しても腐食されにくく、金型Dの成形面D1と接触しても成形面D1を傷付けにくいポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性等に優れた樹脂材料からなる。
【0040】
第2注吸液ノズル部25は、
図1,2に示すように、第2薬液配管部20の金型側端部に接続されて洗浄薬液Wの金型Dへの注入(供給)及び吸引(回収)が行われる部位である。第2注吸液ノズル部25の先端部には、緩衝口部26が取り付けられている。緩衝口部26は、第1注吸液ノズル部15の緩衝口部16と同様にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性等に優れた樹脂材料からなる。
【0041】
第1ポンプ部P1は、
図1に示すように、第1薬液配管部10に配設され、洗浄薬液Wを一定方向(薬液タンク部T側から金型D側)へ流通させる。第1ポンプ部P1はダイヤフラムポンプが好適に使用される。ダイヤフラムポンプは耐食性、耐薬品性に優れたフッ素樹脂等から形成されるため、高い溶解能力を有する洗浄薬液Wとの接触による腐食等が発生しにくく、長期に亘って安定して用いることが可能である。
【0042】
第2ポンプ部P2は、
図1に示すように、第2薬液配管部20に配設され、洗浄薬液Wを一定方向(薬液タンク部T側から金型D側)へ流通させる。第2ポンプ部P2は、第1ポンプ部P1と同様に、耐食性、耐薬品性に優れたフッ素樹脂等からなるダイヤフラムポンプが好適に使用される。
【0043】
第3薬液配管部30は、
図1に示すように、薬液タンク部Tと第1ポンプ部P1より金型D側の第1薬液配管部10との間に配設された管路である。この第3薬液配管部30は、薬液タンク部Tから第1薬液配管部10間に洗浄薬液Wを流通させ、特に薬液タンク部Tへ供給(戻し入れ)するために用いられる。
【0044】
第4薬液配管部40は、
図1に示すように、薬液タンク部Tと第2ポンプ部P2より金型D側の第2薬液配管部20との間に配設された管路である。この第4薬液配管部40は、薬液タンク部Tから第2薬液配管部20間に洗浄薬液Wを流通させ、特に薬液タンク部Tへ供給(戻し入れ)するために用いられる。
【0045】
第1迂回配管部50は、
図1に示すように、第1薬液配管部10に接続されて、第1ポンプ部P1及び第3薬液配管部30との第1配管接続部31を迂回して薬液タンク部Tから第1注吸液ノズル部15までを連通させる管路である。図示の例における第1迂回配管部50は、第1ポンプ管路12を経由せずに第1タンク側管路11と第1ノズル側管路13とを接続する。
【0046】
第2迂回配管部60は、
図1に示すように、第2薬液配管部20に接続されて、第2ポンプ部P2及び第4薬液配管部40との第2配管接続部41を迂回して薬液タンク部Tから第2注吸液ノズル部25までを連通させる管路である。図示の例における第2迂回配管部60は、第2ポンプ管路22を経由せずに第2タンク側管路21と第2ノズル側管路23とを接続する。
【0047】
金型洗浄装置1では、
図1に示すように、第1薬液配管部10と第2薬液配管部20とが、薬液タンク部Tに配設された単一の流出配管部70に接続されている。流出配管部70は、薬液タンク部Tから流出される洗浄薬液Wのための管路であって、第1薬液配管部10及び第2薬液配管部20と接続させることによって、薬液タンク部Tからの薬液流出経路が簡略化される。また、金型洗浄装置1では、第3薬液配管部30と第4薬液配管部40とが、薬液タンク部Tに配設された単一の流入配管部75に接続されている。流入配管部75は、薬液タンク部Tへ流入(戻し入れ)される洗浄薬液Wのための管路であって、第3薬液配管部30及び第4薬液配管部40と接続させることによって、薬液タンク部Tへの薬液流入経路が簡略化される。このように、薬液タンク部Tに単一の流出配管部70と単一の流入配管部75とを設けることにより、洗浄薬液Wの流出入が管理しやすくなる。
【0048】
金型洗浄装置1では、循環する洗浄薬液Wの入れ替えまたは廃棄を行う際に、
図1に示すように、金型Dに替えて薬液タンク部Tと外部薬液タンク部T10との間に管路が配設される。すなわち、第1注吸液ノズル部15が接続された第1薬液配管部10の第1ノズル側管路13と第2注吸液ノズル部25が接続された第2薬液配管部20の第2ノズル側管路23とが外部薬液タンク部T10に配設される。洗浄薬液Wの入れ替えでは、まず劣化した洗浄薬液が金型洗浄装置1内から空の外部薬液タンク部T10へ排出され、この廃液が貯留された外部薬液タンク部が新しい(清浄な)洗浄薬液が貯留された外部薬液タンク部に交換されて、金型洗浄装置1内へ新しい洗浄薬液が供給される。
【0049】
金型洗浄装置1の各配管には、
図1に示すように、それぞれ管路の開閉を行うバルブ(V1〜V10)が適宜配設される。バルブには、例えば、公知の電空レギュレータにより開閉されるロータリーバルブ等が使用される。図示の実施形態では、第1薬液配管部10の第1タンク側管路11に第1バルブV1、第2薬液配管部20の第2タンク側管路21に第2バルブV2、第1薬液配管部10の第1ポンプ管路12の第3薬液配管部30との第1配管接続部31より第1注吸液ノズル部15側に第3バルブV3、第2薬液配管部20の第2ポンプ管路22の第4薬液配管部40との第2配管接続部41より第2注吸液ノズル部25側に第4バルブV4、第1迂回配管部50に第5バルブV5、第2迂回配管部60に第6バルブV6、第3薬液配管部30に第7バルブV7、第4薬液配管部40に第8バルブV8、流出配管部70に第9バルブV9がそれぞれ配設されている。また、必要に応じて、第1タンク側管路11の第1バルブV1より薬液タンク部T側に補助バルブV10が配設される。補助バルブV10は、第1薬液配管部10に配設された各バルブV1,V3に異常が発生した場合等に第1薬液配管部10を閉鎖させて洗浄薬液Wの供給を停止させる等、安全機構として作用する。なお図示しないが、第2薬液配管部20側にも補助バルブを設けてもよい。
【0050】
金型洗浄装置1には、
図3に示すように、第1ポンプ部P1及び第2ポンプ部P2の駆動、並びに第1薬液配管部10、第1迂回配管部50、第2薬液配管部20、及び第2迂回配管部60、第3薬液配管部30、第4薬液配管部40等の各管路の開閉の制御を行うコントローラ部100が備えられる。コントローラ部100は、CPU,RAM,ROM等を備えたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の制御部101と、制御部101に接続される電空レギュレータ102とを有し、制御部101に金型液面センサ80、温度センサ91、タンク液面センサ92等が接続されるとともに、電空レギュレータ102に第1ポンプ部P1、第2ポンプ部P2、各バルブV1〜V10等が接続される。このコントローラ部100では、所定の制御操作や、各種センサ80,91,92からの検知信号等に基づいて、制御部101の電気信号が電空レギュレータ102により空気圧量に変換されて、第1ポンプ部P1及び第2ポンプ部P2の作動または停止、各バルブV1〜V10の開閉等の駆動制御が行われて、作業工程等に対応した洗浄薬液Wが流通する経路が設定される。これにより、各ポンプ部P1,P2の駆動や各配管部10,20,30,40,50,60の開閉が自動制御され、作業効率の向上を図ることができる。
【0051】
ここで、金型洗浄装置1の洗浄薬液Wの経路パターンと、各バルブV1〜V9の開閉状態との組み合わせについて、
図4〜
図6及び表1を用いて説明する。なお、
図4〜
図6及び表1では、バルブの開放状態を「○」、バルブの閉鎖状態を「×」として表した。また、補助バルブV10は、常時開放状態として省略した。
【0053】
図4(a)に示す第1の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、流出配管部70と第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)が連通された経路であって、第1タンク側管路11の第1バルブV1と、第1ポンプ管路12の第3バルブV3と、流出配管部70の第9バルブV9とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV2,V4,V5,V6,V7,V8が閉鎖される。
【0054】
図4(b)に示す第2の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、流出配管部70と第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)が連通された経路であって、第2タンク側管路21の第2バルブV2と、第2ポンプ管路22の第4バルブV4と、流出配管部70の第9バルブV9とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV1,V3,V5,V6,V7,V8が閉鎖される。
【0055】
図4(c)に示す第3の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、流出配管部70と、第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)及び第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)が連通された経路であって、第1タンク側管路11の第1バルブV1と、第2タンク側管路21の第2バルブV2と、第1ポンプ管路12の第3バルブV3と、第2ポンプ管路22の第4バルブV4と、流出配管部70の第9バルブV9とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV5,V6,V7,V8が閉鎖される。
【0056】
第1,第2,第3の各経路パターンは、いずれも洗浄薬液Wを薬液タンク部Tから送出させて金型Dへ注入させるために用いられる薬液注入用経路である。第1の経路パターンでは、薬液タンク部T内の洗浄薬液Wが流出配管部70から第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)を経由して金型Dに対して薬液注入が行われる(
図4(a)参照)。第2の経路パターンでは、薬液タンク部T内の洗浄薬液Wが流出配管部70から第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)を経由して金型Dに対して薬液注入が行われる(
図4(b)参照)。第3の経路パターンでは、薬液タンク部T内の洗浄薬液Wが、流出配管部70から第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)と第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)に分岐して金型Dに対して薬液注入が行われる(
図4(c)参照)。
【0057】
このように、第1の経路パターンまたは第2の経路パターンでは単一の経路を用いて薬液注入が行われ、第3の経路パターンでは複数(2つ)の経路を用いて薬液注入が行われる。つまり、大容量の薬液注入が行われる場合には第3の経路パターンが用いられ、第3の経路パターンより小容量の薬液注入が行われる場合には第1の経路パターンまたは第2の経路パターンが用いられる。第1の経路パターンと第2の経路パターンでは、第1ポンプ部P1と第2ポンプ部P2の流量を異ならせることにより、さらに異なる容量の薬液注入が可能となる。
【0058】
図5(a)に示す第4の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、流出配管部70と第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)、第2薬液配管部20の第2ノズル側管路23と第4薬液配管部40と第2迂回配管部60と流入配管部75がそれぞれ連通された経路であって、第1タンク側管路11の第1バルブV1と、第1ポンプ管路12の第3バルブV3と、第2迂回配管部60の第6バルブV6と、第4薬液配管部40の第8バルブV8と、流出配管部70の第9バルブV9とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV2,V4,V5,V7が閉鎖される。
【0059】
図5(b)に示す第5の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、第1薬液配管部10の第1ノズル側管路13と第3薬液配管部30と第1迂回配管部50と流入配管部75、流出配管部70と第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)がそれぞれ連通された経路であって、第2タンク側管路21の第2バルブV2と、第2ポンプ管路22の第4バルブV4と、第1迂回配管部50の第5バルブV5と、第3薬液配管部30の第7バルブV7と、流出配管部70の第9バルブV9とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV1,V3,V6,V8が閉鎖される。
【0060】
第4,第5の各経路パターンは、いずれも洗浄薬液Wを薬液タンク部Tと金型Dとの間で循環させるために用いられる薬液循環用経路である。第4の経路パターンでは、薬液タンク部T内の洗浄薬液Wが流出配管部70から第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)を経由して金型Dに対して薬液注入が行われるとともに、金型D内の洗浄薬液Wが第2薬液配管部20側から第2迂回配管部60,第2ポンプ部P2,第4薬液配管部40を経由して薬液タンク部Tへ戻される(
図5(a)参照)。一方、第5の経路パターンでは、薬液タンク部T内の洗浄薬液Wが流出配管部70から第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)を経由して金型Dに対して薬液注入が行われるとともに、金型D内の洗浄薬液Wが第1薬液配管部10側から第1迂回配管部50,第1ポンプ部P1,第3薬液配管部30を経由して薬液タンク部Tへ戻される(
図5(b)参照)。
【0061】
図6(a)に示す第6の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、第1薬液配管部10の第1ノズル側管路13と第3薬液配管部30と第1迂回配管部50と流入配管部75が連通された経路であって、第1迂回配管部50の第5バルブV5と、第3薬液配管部30の第7バルブV7とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV1,V2,V3,V4,V6,V8,V9が閉鎖される。
【0062】
図6(b)に示す第7の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、第2薬液配管部20の第2ノズル側管路23と第4薬液配管部40と第2迂回配管部60と流入配管部75が連通された経路であって、第2迂回配管部60の第6バルブV6と、第4薬液配管部40の第8バルブV8とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV1,V2,V3,V4,V5,V7,V9が閉鎖される。
【0063】
図6(c)に示す第8の経路パターンは、薬液タンク部Tと金型D間において、流入配管部75と、第1薬液配管部10の第1ノズル側管路13と第3薬液配管部30と第1迂回配管部50及び第2薬液配管部20の第2ノズル側管路23と第4薬液配管部40と第2迂回配管部60が連通された経路であって、第1迂回配管部50の第5バルブV5と、第2迂回配管部60の第6バルブV6と、第3薬液配管部30の第7バルブV7と、第4薬液配管部40の第8バルブV8とがそれぞれ開放され、それ以外のバルブV1,V2,V3,V4,,V9が閉鎖される。
【0064】
第6,第7,第8の各経路パターンは、いずれも金型Dの洗浄薬液Wを吸引して薬液タンク部Tへ戻し入れるために用いられる薬液戻し用経路である。第6の経路パターンでは、金型D内の洗浄薬液Wが第1薬液配管部10側から第1迂回配管部50,第1ポンプ部P1,第3薬液配管部30を経由して薬液タンク部Tへ戻される(
図6(a)参照)。第7の経路パターンでは、金型D内の洗浄薬液Wが第2薬液配管部20側から第2迂回配管部60,第2ポンプ部P2,第4薬液配管部40を経由して薬液タンク部Tへ戻される(
図6(b)参照)。第8の経路パターンでは、金型D内の洗浄薬液Wが、第1薬液配管部10側から第1迂回配管部50,第1ポンプ部P1,第3薬液配管部30と、第2薬液配管部20側から第2迂回配管部60,第2ポンプ部P2,第4薬液配管部40とをそれぞれ経由して、流入配管部75で合流して薬液タンク部Tへ戻される(
図6(c)参照)。
【0065】
このように、第6の経路パターンまたは第7の経路パターンでは単一の経路を用いて薬液の戻し入れが行われ、第8の経路パターンでは複数(2つ)の経路を用いて薬液の戻し入れが行われる。つまり、大容量の薬液の戻し入れが行われる場合には第8の経路パターンが用いられ、第8の経路パターンより小容量の薬液の戻し入れが行われる場合には第6の経路パターンまたは第7の経路パターンが用いられる。第6の経路パターンと第7の経路パターンでは、第1ポンプ部P1と第2ポンプ部P2の流量を異ならせることにより、さらに異なる容量の薬液注入が可能となる。
【0066】
次に、金型洗浄装置1を使用した金型洗浄方法について説明する。金型洗浄方法は、薬液注入工程と、薬液循環工程と、薬液戻し入れ工程とを有する。
【0067】
薬液注入工程は、第1薬液配管部10と第2薬液配管部20とが開放されるとともに、第3薬液配管部30と第4薬液配管部40と第1迂回配管部50と第2迂回配管部60とが閉鎖されて、第1ポンプ部P1及び第2ポンプ部P2の駆動により薬液タンク部Tから第1注吸液ノズル部15及び第2注吸液ノズル部25を経て金型D内に洗浄薬液Wを注入させる工程である。
【0068】
薬液循環工程は、第1薬液配管部10と第4薬液配管部40と第2迂回配管部60とが開放されるとともに第2薬液配管部20と第3薬液配管部30と第1迂回配管部50とが閉鎖され、または、第2薬液配管部20と第3薬液配管部30と第1迂回配管部50とが開放されるとともに第1薬液配管部10と第4薬液配管部40と第2迂回配管部60とが閉鎖されて、第1ポンプ部P1及び第2ポンプ部P2の駆動により洗浄薬液Wを薬液タンク部Tと金型Dとの間で循環させる工程である。
【0069】
薬液戻し入れ工程は、第3薬液配管部30と第4薬液配管部40と第1迂回配管部50と第2迂回配管部60とが開放されるとともに、第1薬液配管部10と第2薬液配管部20とが閉鎖されて、第1ポンプ部P1及び第2ポンプ部P2の駆動により第1注吸液ノズル部15及び第2注吸液ノズル部25を通じて金型D内の洗浄薬液Wを吸引させて薬液タンク部Tへ戻し入れる工程である。
【0070】
金型洗浄方法では、まず薬液注入工程において、
図4(c)に示す第3の経路パターンが選択されて、薬液タンク部Tから金型Dへ薬液注入が行われる。すなわち、第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)と第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)との2つの経路からの薬液注入であるため、短時間で金型Dに洗浄薬液Wを充填させることが可能となる。
【0071】
続いて、薬液循環工程において、
図5(a)に示す第4の経路パターンまたは
図5(b)に示す第5の経路パターンが選択されて、薬液タンク部Tと金型Dとの間で洗浄薬液Wが所定時間循環される。すなわち、薬液タンク部Tから第1薬液配管部10側を経由して金型Dへ薬液注入されるとともに金型Dから第2薬液配管部20側の第2迂回配管部60及び第4薬液配管部40を経由して薬液タンク部Tへ洗浄薬液Wが戻され、または、薬液タンク部Tから第2薬液配管部20側を経由して金型Dへ薬液注入されるとともに金型Dから第1薬液配管部10側の第1迂回配管部50及び第3薬液配管部30を経由して薬液タンク部Tへ洗浄薬液Wが戻される。
【0072】
この薬液循環に際しては、金型Dに充填された洗浄薬液W中で第1注吸液ノズル部15からの薬液注入及び第2注吸液ノズル部25による薬液吸引、または、第2注吸液ノズル部25からの薬液注入及び第1注吸液ノズル部15による薬液吸引が行われる。そのため、金型Dに充填された洗浄薬液Wに対流が生じて洗浄薬液Wの温度分布が均一化され、洗浄薬液Wの溶解性能が維持される。従って、金型D内の付着物D2が効率よく適切に剥離除去される。
【0073】
付着物D2の剥離除去後、薬液戻し入れ工程において、
図6(c)に示す第8の経路パターンが選択されて、金型Dから薬液タンク部Tへの薬液の戻し入れが行われる。すなわち、金型Dから第1薬液配管部10側の第1迂回配管部50及び第3薬液配管部30を経由する経路と、金型Dから第2薬液配管部20側の第2迂回配管部60及び第4薬液配管部40を経由する経路との2つの経路からの薬液の戻し入れであるため、短時間で薬液タンク部Tに洗浄薬液Wを戻すことが可能となる。
【0074】
このように、本発明の金型洗浄装置を用いた金型洗浄方法では、2つの経路によって薬液供給や薬液戻しが行われるため、金型の薬液充填及び薬液吸引を短時間で行うことができる。また、2つの経路の一方を薬液供給とし他方を薬液戻しとして容易に薬液循環が可能であるため、金型内の付着物を効率よく剥離除去することができる。従って、従来に比して作業性が向上される。
【0075】
さらに、金型洗浄方法では、各工程が各配管部の経路の切り替えによって実施可能であるため、作業者が手動で切替操作を行う必要がない。そのため、作業者が作業空間内での作業機会が低減されて、作業空間に充満された薬液の曝露時間の低減を図ることができる。
【0076】
本発明の薬液洗浄方法では、薬液注入工程、薬液循環工程、薬液戻し入れ工程の他に、必要に応じて薬液少量注入工程、薬液少量戻し入れ工程が実施される。
【0077】
薬液少量注入工程は、第1薬液配管部10が開放されるとともに第2薬液配管部20と第3薬液配管部30と第4薬液配管部40と第1迂回配管部50と第2迂回配管部60とが閉鎖、または、第2薬液配管部20が開放されるとともに第1薬液配管部10と第3薬液配管部30と第4薬液配管部40と第1迂回配管部50と第2迂回配管部60とが閉鎖されて、第1ポンプ部P1または第2ポンプ部P2の駆動により薬液タンク部Tから第1注吸液ノズル部15または第2注吸液ノズル部25を経て金型D内に洗浄薬液Wを注入させる工程である。
【0078】
薬液少量戻し入れ工程は、第3薬液配管部30と第1迂回配管部50と開放されるとともに第1薬液配管部10と第2薬液配管部20と第4薬液配管部40と第2迂回配管部60とが閉鎖、または、第4薬液配管部40と第2迂回配管部60と開放されるとともに第1薬液配管部10と第2薬液配管部20と第3薬液配管部30と第1迂回配管部50とが閉鎖されて、第1ポンプ部P1または第2ポンプ部P2の駆動により第1注吸液ノズル部15または第2注吸液ノズル部25を通じて金型D内の洗浄薬液Wを吸引させて薬液タンク部Tへ戻し入れる工程である。
【0079】
薬液少量注入工程では、
図4(a)に示す第1の経路パターン、または、
図4(b)に示す第2の経路パターンが選択されて、第1薬液配管部10(第1タンク側管路11,第1ポンプ管路12,第1ノズル側管路13)、または、第2薬液配管部20(第2タンク側管路21,第2ポンプ管路22,第2ノズル側管路23)のいずれか一方の経路から薬液注入される。一方、薬液少量戻し入れ工程では、
図6(a)に示す第6の経路パターン、または、
図6(b)に示す第7の経路パターンが選択されて、金型Dから第1薬液配管部10側の第1迂回配管部50及び第3薬液配管部30を経由する経路、または、金型Dから第2薬液配管部20側の第2迂回配管部60及び第4薬液配管部40を経由する経路のいずれか一方の経路から薬液が戻し入れされる。
【0080】
薬液少量注入工程と薬液少量戻し入れ工程とは、いずれも1つの経路から薬液の注入または戻しが行われるため、金型Dへの少量の薬液供給や金型Dからの少量の薬液吸引ができる。従って、金型Dに充填された洗浄薬液Wの液量の微調整が可能となり、例えば、金型D内の薬液量が不足していた場合に薬液少量注入工程により少量の洗浄薬液Wの供給が行われたり、金型D内の薬液量が過剰な場合に薬液少量戻し入れ工程により少量の洗浄薬液Wの吸引が行われたりする等、異常発生時等に適切に対応することができる。