【実施例】
【0032】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
《実施例1》
本実施例では、NMR溶液構造解析されたフィブロネクチンIII型(1TTG)の1〜94番のアミノ酸(配列番号7)の平均RMSF値が0.8Åである第24〜29アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質1を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図2A)。第24〜29アミノ酸配列は、APAVTV(配列番号28)である。
まず、前記置換領域を6連続アラニンペプチド、6連続グリシンペプチド、6連続プロリンペプチド、及び6連続セリンペプチドの連続基準ペプチドに置換して、根平均二乗揺らぎ値を計算した。そこで分子モデルを構築し、Amber14プログラムパッケージでそれぞれのペプチドの根平均二乗揺らぎ値を計算した。Amber ff14SB force field、GB/SA implicit solvent modelを使い、スーパーコンピューターTSUBAME2.5において10 nsの計算を行った。
図2Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
【0034】
次に、前置置換領域を、HBP(Gly−Asp−Gly−Phe−Tyr−Ala)、及びIBP(Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−Pro)のペプチドに置換し、根平均二乗揺らぎ値を計算した。HBP及びIBPの平均RMSF値は、0.75Å及び0.71Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図2C)。更に、置換領域をシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシンのそれぞれの6連続アミノ酸ペプチドに置換し、根平均二乗揺らぎ値を計算した。全ての6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図2C)。
【0035】
《実施例2》
本実施例では、NMR溶液構造解析されたフィブロネクチンIII型(1TTG)の1〜94番のアミノ酸(配列番号7)の平均RMSF値が0.91Åである第51〜56アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質2を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図3A)。第51〜56アミノ酸配列は、PGSKST(配列番号29)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質2を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図3Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。HBP及びIBPの平均RMSF値は、0.94Å及び1.41Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図3C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図3C)。
【0036】
《実施例3》
本実施例では、NMR溶液構造解析されたオメガコノトキシンMVIIA(1TTK)の1〜25番のアミノ酸(配列番号8)の平均RMSF値が0.73Åである第2〜7アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質3を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図4A)。第2〜7アミノ酸配列は、KGKGAK(配列番号30)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質3を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図4Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、0.99Å及び0.75Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図4C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図4C)。
【0037】
《実施例4》
本実施例では、NMR溶液構造解析されたオメガコノトキシンMVIIA(1TTK)の1〜25番のアミノ酸(配列番号8)の平均RMSF値が0.73Åである第9〜14アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質4を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図5A)。第9〜14アミノ酸配列は、SRLMYD(配列番号31)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質4を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図5Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.39Å及び1.37Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図5C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図5C)。
【0038】
《実施例5》
本実施例では、NMR溶液構造解析されたRalGEFのRas結合ドメイン(2RGF)の11〜97番のアミノ酸(配列番号9)の平均RMSF値が1.10Åである第41〜46アミノ酸(RalGEFの第51〜56アミノ酸)を置換領域とする足場タンパク質5を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図6A)。第41〜46アミノ酸配列は、LEEEEP(配列番号32)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質5を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図6Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.02Å及び1.05Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図6C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図6C)。
【0039】
《実施例6》
本実施例では、結晶構造解析されたsAb軽鎖(3PGF)の111〜213番のアミノ酸であるCLドメイン(配列番号10)の平均RMSF値が0.84Åである第30〜35(sAb軽鎖の第140〜145アミノ酸)を置換領域とする足場タンパク質6を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図7A)。第30〜35アミノ酸配列は、YPREAK(配列番号33)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質6を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図7Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.17Å及び1.27Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図7C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図7C)。
【0040】
《実施例7》
本実施例では、結晶構造解析されたsAb軽鎖(3PGF)の111〜213番のアミノ酸であるCLドメイン(配列番号10)の平均RMSF値が0.75Åである第44〜49アミノ酸(sAbの第154〜159アミノ酸)を置換領域とする足場タンパク質7を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図8A)。第44〜49アミノ酸配列は、LQSGNS(配列番号34)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質7を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図8Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.15Å及び0.90Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図8C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図8C)。
【0041】
《実施例8》
本実施例では、結晶構造解析されたValpha24(-) NKT TCR(4EN3)の1〜99番のアミノ酸であるIgドメイン(配列番号11)の平均RMSF値が0.57Åである第45〜50アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質8を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図9A)。第45〜50アミノ酸配列は、RIEKVE(配列番号35)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質8を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図9Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、0.84Å及び0.85Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図9C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図9C)。
【0042】
《実施例9》
本実施例では、結晶構造解析されたCXCL4L1(4HSV)の9〜54番のアミノ酸(配列番号12)の平均RMSF値が1.06Åである第6〜11アミノ酸(CXCL4L1の第14〜19アミノ酸)を置換領域とする足場タンパク質9を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図10A)。第6〜11アミノ酸配列は、KTTSQV(配列番号36)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質9を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図10Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.35Å及び1.11Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図10C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図10C)。
【0043】
《実施例10》
本実施例では、結晶構造解析されたCXCL13(4ZAI)の10〜55番のアミノ酸(配列番号13)の平均RMSF値が1.46Åである第5〜10アミノ酸(CXCL13の第14〜19アミノ酸)を置換領域とする足場タンパク質10を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図11A)。第第5〜10アミノ酸配列は、VQESSV(配列番号37)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質10を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図11Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.20Å及び1.05Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図11C)。更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図11C)。
【0044】
《実施例11》
本実施例では、NMR溶液構造解析されたフィブロネクチンIII型(1TTG)の1〜94番のアミノ酸(配列番号7)の平均RMSF値が0.83Åである第24〜30アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質11を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図12A)。第24〜30アミノ酸配列は、APAVTVR(配列番号38)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質11を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図12Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
他の7連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図13C)。
【0045】
《実施例12》
本実施例では、結晶構造解析されたオメガアガトキシン(1OAV)の1〜48番のアミノ酸(配列番号14)の平均RMSF値が1.21Åである第28〜33アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質12を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図13A)。第28〜33アミノ酸配列は、SIMGTN(配列番号39)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質12を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図13Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。HBP及びIBPの平均RMSF値は、1.24Å及び1.09Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図13C)。
更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図13C)。
【0046】
《実施例13》
本実施例では、結晶構造解析されたMu−アガトキシン(1EIT)の1〜36番のアミノ酸(配列番号15)の平均RMSF値が0.54Åである第3〜8アミノ酸を置換領域とする足場タンパク質13を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図14A)。第3〜8アミノ酸配列は、VPENGH(配列番号40)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質13を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図14Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。HBP及びIBPの平均RMSF値は、0.86Å及び0.74Åであり、標的結合ペプチドの構造のゆらぎを抑制することができた(
図14C)。
更に、他の6連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図14C)。
【0047】
《実施例14》
本実施例では、結晶構造解析されたIgG1(4DZ8)の238〜341番のアミノ酸であるCH2ドメイン(配列番号56)の平均RMSF値が0.98Åである第46〜51アミノ酸(IgG1の283〜288のアミノ酸)を置換領域とする足場タンパク質14を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図28A)。第46〜51アミノ酸配列は、EVHNAK(配列番号57)である。
足場タンパク質1に代えて、足場タンパク質14を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図28Bに示すように4つの連続基準ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Å以下であった。
他の7連続アミノ酸ペプチドの根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以下であり、ゆらぎが抑制されていた(
図28C)。
【0048】
実施例1〜14の足場タンパク質の特徴を表2に示す。
【表2】
【0049】
《比較例1》
本比較例では、Grb2 SH2ドメイン(3WA4)の57〜152番のアミノ酸(配列番号16)の平均RMSF値が1.70Åである第85〜90アミノ酸(Grb2の141〜146番のアミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質1を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図15A)。第85〜90アミノ酸配列は、SRNQQI(配列番号41)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質1を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図15Bに示すように6連続アラニンペプチド及び6連続セリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続システインペプチドなどの4つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図15C)。
【0050】
《比較例2》
本比較例では、エラフィン(1FLE)の11〜57番のアミノ酸(配列番号17)の平均RMSF値が1.73Åである第14〜19アミノ酸(エラフィンの24〜29番のアミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質2を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図16A)。第14〜19アミノ酸配列は、AMLNPP(配列番号42)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質2を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図16Bに示すように6連続グリシンペプチド及び6連続プロリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続システインペプチドなど10のペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図16C)。
【0051】
比較例1及び2に示すように、ループ含む置換領域の野生型アミノ酸配列の平均RMSF値が1.5Åを超える場合、標的結合ペプチドの構造の揺らぎを抑制することは困難であった。
【0052】
《比較例3》
本比較例では、フィブロネクチンIII型(1TTG)の1〜94番のアミノ酸(配列番号7)の平均RMSF値が1.02Åである第62〜67アミノ酸を置換領域とする比較足場タンパク質3を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図17A)。第62〜67アミノ酸配列は、LKPGVD(配列番号43)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質3を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図17Bに示すように6連続グリシンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続イソロイシンペプチドなど2つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図17C)。
【0053】
《比較例4》
本比較例では、βspectrin由来CHドメイン(1BKR)の2〜109番のアミノ酸(配列番号18)の第50〜55アミノ酸(βspectrin由来CHドメインの第51〜56アミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質4を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図18A)。第50〜55アミノ酸配列は、FDKLKK(配列番号44)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質4を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図18Bに示すように6連続グリシンペプチド及び6連続セリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。比較足場タンパク質4に6連続グルタミンペプチドおよび標的結合ペプチドHBPを挿入した場合、根平均二乗揺らぎ値は1.5Å以上となり、ゆらぎが抑制できなかった(
図18C)。
【0054】
《比較例5》
本比較例では、Grb7タンパク質由来のRAドメイン(1WGR)の1〜100番のアミノ酸(配列番号19)の平均RMSF値が1.44Åである第44〜49アミノ酸を置換領域とする比較足場タンパク質5を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図19A)。第44〜49アミノ酸配列は、HALSDE(配列番号45)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質5を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図19Bに示すように6連続セリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続アスパラギン酸ペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図19C)。
【0055】
《比較例6》
本比較例では、MEKK3のPB1ドメイン(2PPH)の1〜93番のアミノ酸(配列番号20)の平均RMSF値が1.04Åである第46〜51アミノ酸を置換領域とする比較足場タンパク質6を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図20A)。第46〜51アミノ酸配列は、NNELSI(配列番号46)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質6を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図20Bに示すように6連続アラニンペプチド及び6連続プロリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、IBPなどの4つペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図20C)。
【0056】
《比較例7》
本比較例では、Ephrin type-B receptor 4のSAMドメイン(2QKQ)の908〜968番のアミノ酸(配列番号21)の平均RMSF値が1.46Åである第28〜33アミノ酸(Ephrin type-B receptor 4のSAMドメインの第935〜940アミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質7を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図21A)。第28〜33アミノ酸配列は、SFELVS(配列番号47)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質7を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図21Bに示すように6連続グリシンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続アスパラギン酸ペプチドなどの3つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図21C)。
【0057】
《比較例8》
本比較例では、Protein kinase C, deltaのC1ドメイン(2YUU)の1〜83番のアミノ酸(配列番号22)の平均RMSF値が1.15Åである第39〜44アミノ酸を置換領域とする比較足場タンパク質8を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図22A)。第39〜44アミノ酸配列は、WGLNKQ(配列番号48)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質8を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図22Bに示すように6連続プロリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続バリンペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図22C)。
【0058】
《比較例9》
本比較例では、Human intersectin-1タンパク質のEH 1ドメイン(3FIA)の6〜103番のアミノ酸(配列番号23)の平均RMSF値が1.07Åである第28〜33アミノ酸(Human intersectin-1タンパク質のEH 1ドメインの第33〜38アミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質9を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図23A)。第28〜33アミノ酸配列は、KPISGF(配列番号49)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質9を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図23Bに示すように6連続アラニンペプチド、6連続グリシンペプチド、及び6連続プロリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、HBPなどの3つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図23C)。
【0059】
《比較例10》
本比較例では、ZO-1 MAGUKタンパク質のPDZドメイン(3TSV)の420〜512番のアミノ酸(配列番号24)の平均RMSF値が0.98Åである第35〜40アミノ酸(ZO-1 MAGUKタンパク質のPDZドメインの第454〜459アミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質10を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図24A)。第35〜40アミノ酸配列は、SPAAKE(配列番号50)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質10を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図24Bに示すように6連続セリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続グルタミン酸ペプチドなどの5つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図24C)。
【0060】
《比較例11》
本比較例では、Fyn SH3ドメイン(3UA7)の81〜143番のアミノ酸(配列番号25)の平均RMSF値が1.04Åである第33〜38アミノ酸(Fyn SH3ドメインの第113〜118アミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質11を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図25A)。第33〜38アミノ酸配列は、NSSEGD(配列番号51)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質11を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図25Bに示すように6連続グリシンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、6連続アスパラギン酸ペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図25C)。
【0061】
《比較例12》
本比較例では、Cytochrome c(3ZCF)の4〜103番のアミノ酸(配列番号26)の平均RMSF値が0.84Åである第18〜23アミノ酸(Cytochrome cの第21〜26アミノ酸)を置換領域とする比較足場タンパク質12を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図26A)。第18〜23アミノ酸配列は、EKGGKH(配列番号52)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質12を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図26Bに示すように6連続アラニンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、IBPなど2つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図26C)。
【0062】
《比較例13》
本比較例では、Muscarinic toxin 2(1FF4)の1〜65番のアミノ酸(配列番号27)の平均RMSF値が1.30Åである第48〜53アミノ酸を置換領域とする比較足場タンパク質13を用いて、ペプチドの安定化を実施した(
図27A)。第48〜53アミノ酸配列は、KVDNND(配列番号53)である。
足場タンパク質1に代えて、比較足場タンパク質13を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。
図27Bに示すように6連続アラニンペプチド、6連続グリシンペプチド、及び6連続セリンペプチドの根平均二乗揺らぎ値は、1.5Åを超えていた。HBP、IBP及び他の6連続アミノ酸ペプチドのうち、HBPなど5つのペプチドの平均RMSF値は、1.5Åを超えており、構造のゆらぎを抑制することができなかった(
図27C)。
【0063】
比較例3〜13に示すように、ループ含む置換領域の野生型アミノ酸配列の平均RMSF値が1.5Å以下であっても、連続アラニンペプチド、連続グリシンペプチド、連続プロリンペプチド、及び連続セリンペプチドの連続基準ペプチドのいずれかのペプチドの平均RMSF値が1.5Åを超えた場合、標的結合ペプチドの構造の揺らぎを抑制することはできなかった。
【0064】
比較例1〜13の足場タンパク質の特徴を表3に示す。
【表3】