(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6872815
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】無人航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 1/30 20060101AFI20210510BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20210510BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
B64C1/30
B64C27/08
B64C39/02
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-219313(P2019-219313)
(22)【出願日】2019年12月4日
【審査請求日】2021年2月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715001390
【氏名又は名称】株式会社プロドローン
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 友喜
【審査官】
金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106005387(CN,A)
【文献】
特表2016−507414(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0208291(US,A1)
【文献】
国際公開第2017/120654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/30
B64C 27/08
B64C 27/33
B64C 27/50
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアーム部材である第1アームおよび第2アームと、
前記第1アームおよび前記第2アームのそれぞれが支持するロータと、
前記第1アームおよび前記第2アームが接続される胴部と、
前記第1アームと前記第2アームとの相対的な配置角度を固定する固定具と、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記胴部との接続部を回転中心として互いに接近/離間する方向へ旋回可能であり、
前記第1アームは前記第2アーム側に突き出した凸部である位置決め片を有し、
前記位置決め片は、前記第1アームと前記第2アームとを接近させることで前記第2アームの外面に接触し、
前記固定具は、前記位置決め片が前記第2アームと接触した状態で、前記位置決め片と前記第2アームとを分離不能に固定することを特徴とする無人航空機。
【請求項2】
前記第1アームおよび前記第2アームは、これらを離間方向に旋回させることで、これらをその軸線が一直線となるように配置可能であることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
前記位置決め片は、前記第1アームおよび前記第2アームの両方が前記胴部に対してそれぞれ所定の角度に配置されたときに前記第2アームに接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記位置決め片は、前記第1アームおよび前記第2アームがこれらの軸線の交点が略直角となるように配置されたときに前記第2アームに接触することを特徴とする請求項3に記載の無人航空機。
【請求項5】
前記第1アームは、
パイプ材と、
前記パイプ材の基端部を保持する金属製の筒状部であるソケット部と、を有し、
前記位置決め片は前記ソケット部の一部であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項6】
前記固定具は金属製の部材であることを特徴とする請求項5に記載の無人航空機。
【請求項7】
前記第2アームの外面には、前記位置決め片が嵌入される凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項8】
前記固定具は、
スリットが設けられた筒部と、
前記スリットの幅を狭めるように前記筒部を締め付ける締結部と、を有するクランプ部材であり、
前記筒部は前記第2アームに装着され、
前記固定具は、前記位置決め片を前記筒部の筒内に収め、前記締結部で前記筒部を締め付けることにより、前記位置決め片と前記第2アームとを分離不能に固定することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人航空機技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ロータを支持するアームをその基端部(機体の胴部との接続部)を中心として旋回させることができるマルチコプターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/183551(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチコプター型の無人航空機では、複数本のアームが機体の中心から放射状に延び、それらアームの先端にロータが配置される構成が一般に採用されている。このようなマルチコプターは、放射状に広がったアームやロータがかさばり、機体の可搬性や保管時のスペース効率が損なわれるという課題がある。マルチコプターの可搬性等を高めるべく例えば特許文献1のような可動式のアームを採用する場合、アームの可動機構や、展開したアームの位置を固定する構造が別途必要になり、機体構造が複雑化するとともに、マルチコプターの使用開始時には都度アームの展開作業が必要になる。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、機体構造の複雑化や飛行準備の作業負担を抑えつつ、無人航空機の可搬性およびスペース効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の無人航空機は、ロータを支持する一対のアーム部材である第1アームおよび第2アームと、前記第1アームおよび前記第2アームのそれぞれが支持するロータと、前記第1アームおよび前記第2アームが接続される胴部と、前記第1アームと前記第2アームとの相対的な配置角度を固定する固定具と、を備え、前記第1アームおよび前記第2アームは、前記胴部との接続部を回転中心として互いに接近/離間する方向へ旋回可能であり、前記第1アームは前記第2アーム側に突き出した凸部である位置決め片を有し、前記位置決め片は、前記第1アームと前記第2アームとを接近させることで前記第2アームの外面に接触し、前記固定具は、前記位置決め片が前記第2アームと接触した状態で、前記位置決め片と前記第2アームとを分離不能に固定することを特徴とする。
【0007】
第1アームの外面に凸部(位置決め片)を設け、その位置決め片と第2アームとを固定具で結合することにより、2本の可動アームの相対位置を一つの固定具で、かつ一度の結合作業で固定することができる。これにより、機体構造の複雑化や飛行準備の作業負担を抑えつつ、無人航空機の可搬性およびスペース効率を高めることができる。
【0008】
このとき、前記第1アームおよび前記第2アームは、これらを離間方向に旋回させることで、これらをその軸線が一直線となるように配置可能であることが好ましい。第1アームと第2アームとを一直線に並べることにより、展開時のこれらアームの間のデッドスペースが開放され、機体が占拠する空間をその全体として縮小することができる。例えば第1アームおよび第2アームの組み合わせを2組備えるクアッドコプターの場合、これを細長形状に折り畳むことが可能となり、その可搬性やスペース効率が高められる。
【0009】
また、本発明の無人航空機において、前記位置決め片は、前記第1アームおよび前記第2アームの両方が前記胴部に対してそれぞれ所定の角度に配置されたときに前記第2アームに接触することが好ましい。位置決め片によって第1アームおよび第2アームの相対角度を定めるだけでなく、同時に、胴部に対する第1アームおよび第2アームの延出方向も一に定めることにより、アームをより速やかに、かつ高い精度で展開することが可能となる。
【0010】
このとき、前記位置決め片は、前記第1アームおよび前記第2アームがこれらの軸線の交点が略直角となるように配置されたときに前記第2アームに接触することが好ましい。これにより胴部に対する展開後のロータ位置の偏りが軽減され、無人航空機の飛行動作をより安定させることができる。
【0011】
また、本発明の無人航空機において、前記第1アームは、パイプ材と、前記パイプ材の基端部を保持する金属製の筒状部であるソケット部と、を有し、前記位置決め片は前記ソケット部の一部であることが好ましい。位置決め片が形成されるソケット部と位置決め片とを金属で構成することにより、位置決め片が小片であっても第1アームと第2アームとを強固に固定することが可能となる。このとき、前記固定具は金属製の部材であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の無人航空機において、前記第2アームの外面には、前記位置決め片が嵌入される凹部が形成されていることが好ましい。第2アームの外面に位置決め片を嵌入させることにより、位置決め片を第2アームに接触させつつ、第2アームの外面の凹凸を軽減することができる。これにより、一般的な構造の固定具を使って位置決め片と第2アームとを固定することが可能になる。
【0013】
また、本発明の無人航空機において、前記固定具は、スリットが設けられた筒部と、前記スリットの幅を狭めるように前記筒部を締め付ける締結部と、を有するクランプ部材であり、前記筒部は前記第2アームに装着され、前記固定具は、前記位置決め片を前記筒部の筒内に収め、前記締結部で前記筒部を締め付けることにより、前記位置決め片と前記第2アームとを分離不能に固定する構造であることが好ましい。第2アームに装着可能な筒部を固定具が有することにより、例えば無人航空機の保管時にも固定具を第2アームに装着したままにすることができ、固定具を無人航空機とは別に管理したり持ち運んだりする手間がなくなるとともに、飛行準備の作業負担も軽減される。特に、工具を用いることなく締結部を操作できるようにすれば飛行準備の作業負担はさらに軽減される。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の無人航空機によれば、機体構造の複雑化や飛行準備の作業負担を抑えつつ、無人航空機の可搬性およびスペース効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態にかかるマルチコプターの斜視図である。
【
図2】アームが展開されたマルチコプターの平面図である
【
図3】アームが折り畳まれたマルチコプターの平面図である
【
図5】第1アームおよび第2アームの展開および固定の手順を示す部分拡大図である。
【
図7】マルチコプターの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下に示す実施形態は、複数のロータを備える無人航空機であるマルチコプター10についての例である。なお、以下の説明における「上」および「下」とは、各図に描かれた座標軸のZ軸に平行な方向であって、Z1側を上、Z2側を下とする。「水平」とは同座標軸におけるX−Y平面をいう。マルチコプター10について「周方向」とは、マルチコプター10を平面視したときの時計回りまたは反時計回り方向をいう。
【0017】
[構成概要]
図1−
図3は、本実施形態にかかるマルチコプター10の外観を示す図である。
図1はマルチコプター10の斜視図、
図2はマルチコプター10の平面図である。
図1および
図2のマルチコプター10はアーム12が展開され、飛行準備が整った状態にある。
図3は、運搬または保管のためにマルチコプター10のアーム12を折り畳んだ状態を示す平面図である。なお、以下の説明において、アーム12について「展開する」とは、マルチコプター10が飛行可能な状態にアーム12を配置することをいい、アーム12について「折り畳む」とは、アーム12をマルチコプター10の運搬または保管に適した状態に配置することをいう。
【0018】
マルチコプター10は、機体の中心部である胴部11と、胴部11から水平に延びる4本のアーム部材であるアーム12と、各アーム12の先端に取り付けられたロータ13と、を有するクアッドコプターである。
【0019】
胴部11はその内部に制御機器やバッテリー等が収容されるケース体である。胴部11の上面には持ち手であるハンドル111が一体化されており、マルチコプター10を持ち運ぶ際の利便性が高められている。胴部11の正面(前面)には姿勢安定化装置にマウントされたカメラ93が取り付けられている。操縦者はカメラ93で撮影した映像を手元で確認しながらマルチコプター10を操縦することができる。また、胴部11の左右の側面にはアーム12が接続されるアルミ製のアームホルダ112が一基ずつ設けられている。
【0020】
左右のアームホルダ112にはそれぞれ、一対のアーム12である第1アーム40および第2アーム50が接続されている。すなわち本形態のアーム12は二組の第1アーム40および第2アーム50により構成されており、これら各組が胴部11の左右にそれぞれ接続されている。マルチコプター10を飛行させる際にはこれらアーム12は平面視X形状に展開される(
図1および
図2を参照)。マルチコプター10を運搬または保管する際には、これらアーム12は、第1アーム40および第2アーム50の各組が前後に一直線となるように折り畳まれる(
図3を参照)。なお、本形態のロータ13は、モータ131とその出力軸に装着された折り畳み式のプロペラ132により構成されており、マルチコプター10を運搬または保管する際には、アーム12を折り畳んだ上でプロペラ132も各アーム12の軸線方向に沿うように折り畳まれる。これによりマルチコプター10は全体として細長形状に折り畳まれる。
【0021】
第1アーム40および第2アーム50の基端部とアームホルダ112とはヒンジ機構を構成しており、第1アーム40および第2アーム50はアームホルダ112との接続部を回転中心として互いに接近/離間する方向へ旋回することができる。
【0022】
なお、本形態のアームホルダ112は胴部11の前後方向における中心よりも前側に偏った位置に配置されている。本形態のマルチコプター10は胴部11から前方にカメラ93が突き出した機体構造を採用しているため、機体の重心が胴部11の中心よりも前側に存在する。アームホルダ112の位置が機体の重心から離れている場合、機体を水平に維持する際のロータ13の負担が偏り、所定方向への舵が利きにくくなるおそれがある。本形態では、アームホルダ112を胴部11の中心よりも前側に配置することにより、ロータ13の負担の均衡を図っている。なお、胴部11のハンドル111も機体の重心を考慮して胴部11の中心よりも前側に配置されている。
【0023】
第1アーム40および第2アーム50は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)製の円筒パイプ材である主軸部41,51と、主軸部41,51の基端部を保持するアルミ製の筒状部であるソケット部42,52と、を有している(ソケット部52については
図3を参照)。アームホルダ112にはソケット部42,52が接続されている。主軸部41,51の先端にはアルミ製のモータマウント121が装着され、ロータ13はモータマウント121にねじ固定されている。また、主軸部41,51にはそれぞれ、着陸時の脚部であるランディングギア122と、操縦者との通信を行うアンテナを保持するアンテナホルダ94とが装着されている。なお、本形態のアンテナホルダ94には、操縦者からの操縦信号の受信やテレメトリー情報の送信を行う2.4GHz帯のアンテナと、主にカメラ93で取得した映像信号を転送する5GHz帯のアンテナの2種類のアンテナを保持する。
【0024】
[アームの展開構造]
以下、マルチコプター10のアーム12の展開構造について説明する。上でも述べたように、第1アーム40および第2アーム50とアームホルダ112とはヒンジ機構を構成しており、第1アーム40および第2アーム50は、アームホルダ112との接続部を回転中心として周方向に水平に旋回させることができる。マルチコプター10を飛行させる際にはアーム12を平面視X形状に展開し、その展開位置を固定具60により固定する。また、マルチコプター10を運搬または保管する際にはマルチコプター10がその全体として細長形状となるようにアーム12を折り畳む。
【0025】
第1アーム40は第2アーム50側に突き出した凸部である位置決め片43(
図3参照)を有している。本形態の位置決め片43はアルミ製の小片であり、第1アーム40のソケット部42に設けられている。位置決め片43は、第1アーム40と第2アーム50とを所定の相対角度まで接近させたときに第2アーム50の外面に接触する。固定具60は、位置決め片43が第2アーム50と接触した状態で位置決め片43と第2アーム50とを分離不能に固定する。
【0026】
本形態のマルチコプター10は、第1アーム40に第2アーム50側に突き出した凸部(位置決め片43)を設け、その位置決め片43と第2アーム50とを固定具60で結合することにより、2本の可動アーム(第1アーム40および第2アーム50)の相対位置を一つの固定具60で、かつ一度の結合作業で固定することが可能とされている。これにより、機体構造の複雑化や飛行準備の作業負担を抑えつつ、マルチコプター10の可搬性およびスペース効率が高められている。
【0027】
図4は、アーム12の接続構造を示す透視斜視図である。胴部11内には、アーム12と胴部11とを接続し、機体全体の重量を支えるフレームであるコアフレーム30が配置されている。コアフレーム30は略角筒形状の枠体であり、カーボン長繊維が配合された樹脂層が積層されてなる高剛性部材である。アームホルダ112はコアフレーム30の左右の端面に接合されており、コアフレーム30のカーボン長繊維はその主たる配向方向が左右となるように配合されている。
【0028】
図5は、第1アーム40および第2アーム50の展開および固定の手順を示す部分拡大図である。
図6は固定具60の構造を示す斜視図である。以下、
図5および
図6を参照してアーム12の展開構造についてより詳細に説明する。
【0029】
図5(a)は、マルチコプター10のアーム12が折り畳まれている状態を示す図である。このとき第1アーム40および第2アーム50はその軸線aが一直線となるように配置されている。なお、本形態の位置決め片43はねじ431でソケット部42に接合されている。
【0030】
マルチコプター10では、機体の運搬時や保管時に第1アーム40と第2アーム50とが一直線になるように折り畳むことで、これらアーム40,50の展開時におけるアーム40,50間のデッドスペース(
図2参照)が開放される。これにより機体が占拠する空間がその全体として縮小される。例えば本形態のマルチコプター10では機体が細長形状に折り畳まれ、(
図3参照)その可搬性やスペース効率が高められる。ただし本発明の第1アームおよび第2アームの折り畳み方は本形態の方法には限られず、その無人航空機の運搬方法や保管方法に応じて適宜変更してよい。胴部に対する第1アームおよび第2アームの接続方法や、位置決め片および固定具の構造を工夫することにより、第1アームおよび第2アームの両方を胴部に対して前後・左右・上下の同方向に折り畳むことも可能と考えられる。
【0031】
図5(b)は、位置決め片43が第2アーム50に接触した状態を示す図である。本形態の位置決め片43は、第1アーム40および第2アーム50の軸線aが交わる角度θが略直角となる位置で第2アーム50に接触する。これにより胴部11に対するロータ13配置の偏りが軽減され、マルチコプター10の飛行動作がより安定する。
【0032】
第2アーム50のソケット部52には、位置決め片43が嵌入される凹部521が形成されている。本形態では第2アーム50の外面に位置決め片43を嵌入させることにより、位置決め片43を第2アーム50に接触させるとともに、第2アーム50の外面の凹凸を軽減している。これにより、後述する一般的な構造の固定具60を使って位置決め片43と第2アーム50とを固定することが可能とされている。
【0033】
また、本形態の位置決め片43は、第1アーム40および第2アーム50の両方が胴部11に対してそれぞれ所定の角度に配置されたときに第2アーム50に接触する。位置決め片43によって第1アーム40および第2アーム50の相対角度を定めるだけでなく、同時に、胴部11に対する第1アーム40および第2アーム50の延出方向も一に定めることにより、アーム12をより速やかに、かつ高い精度で展開することができる。例えば、第1アーム40および第2アーム50をその上下方向における位置を違えて配置し、これらの回転中心を同軸に重ねる場合、第1アーム40および第2アーム50の相対角度を固定するだけでは胴部11に対するこれらアーム40,50の延出方向は固定されない。本形態では第1アーム40および第2アーム50が同一水平面上に配置され、さらに位置決め片43によりこれらアーム40,50の相対角度が固定されることで、胴部11に対するアーム40,50の延出方向も一に定められる。
【0034】
図5(c)は、固定具60により位置決め片43と第2アーム50とを固定した状態を示す図である。
図6に示すように、本形態の固定具60は、スリット611が設けられた筒部61と、スリット611の幅を狭めるように筒部61を締め付ける締結部であるねじ62およびレバー63と、を有するアルミ製のクランプ部材である。固定具60の筒部61は第2アーム50に装着されている。筒部61はその軸線方向における一端に、ねじ穴が形成された肉厚のリブであるクランプ部612を有しており、ねじ62はクランプ部612のねじ穴に差し込まれている。なお、クランプ部612のねじ穴の雌ねじはスリット611を境界として下側の部分にのみ形成されてる。
【0035】
図5(b)の状態から、固定具60をその筒内61に位置決め片43を収めるようにスライドさせ、ねじ62を締め、レバー63を倒してクランプ部612の上側の部分をさらに押し下げつつロックする。これにより筒部61が締め付けられ、位置決め片43と第2アーム50とが分離不能に固定することができる。
【0036】
本形態では位置決め片43とこれを保持するソケット部42がアルミ製であり、固定具60もアルミ製の部材である。そのため、位置決め片43が小片であっても第1アーム40と第2アーム50とは強固に固定される。
【0037】
なお、本形態のソケット部42,52は同一の部品である。ソケット部52には位置決め片43は接合されないが、ソケット部52には位置決め片43のボルト431用のねじ穴が形成されている。また、ソケット部52の凹部521に相当する凹部はソケット部42にも設けられている。ソケット部42の凹部は固定具60のクランプ部612を逃がすスペースとして利用されている。ソケット部42,52を共通部品とすることによりマルチコプター10の部品効率が高められている。
【0038】
また、固定具60はマルチコプター10の運搬時や保管時にも第2アーム50に装着したままにすることができる。これにより固定具60をマルチコプター10の機体とは別に管理したり持ち運んだりする手間がなくなり、固定具60の紛失が防止されるだけでなく、飛行準備の作業負担も軽減される。特に、本形態では工具を用いることなく締結部(ねじ62およびレバー63)を操作できるため、飛行準備の作業負担がさらに軽減されている。
【0039】
なお、本発明の固定具の形態は固定具60のようなクランプ部材には限られない。例えば、固定具をその内周面に雌ねじが形成された筒状体とし、第2アーム50のソケット部52の外周面に雄ねじを形成し、固定具をその筒内に位置決め片43を収めるように第2アーム50に螺合することで位置決め片43と第2アーム50とを分離不能に固定することも考えられる。
【0040】
[その他の機能構成]
図7はマルチコプター10の機能構成を示すブロック図である。マルチコプター10の機能は、制御部であるフライトコントローラFC、4基のロータ13、操縦者(オペレータ端末91)と通信を行う通信装置92、外部装置である正面カメラ93、および、これらに電力を供給する図示しないバッテリーにより構成されている。
【0041】
フライトコントローラFCは制御装置20を有している。本形態の制御装置20は、中央処理装置であるCPUと、RAMやROM・フラッシュメモリなどの記憶装置からなるメモリとを有するマイクロコントローラである。制御装置20は単体のマイクロコントローラには限られずいわゆるコンパニオンコンピュータとの組み合わせであってもよい。その他、制御装置20を例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成することも考えられる。
【0042】
フライトコントローラFCはさらに、IMU21(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)、GPS受信器22、気圧センサ23、下方に向けられたレーザ測距センサ24、および電子コンパス25を含む飛行制御センサ群Sを有しており、これらは制御装置20に接続されている。
【0043】
IMU21はマルチコプター10の機体の傾きを検出するセンサであり、主に3軸加速度センサおよび3軸角速度センサにより構成されている。気圧センサ23は、検出した気圧高度からマルチコプター10の海抜高度(標高)を算出する高度センサである。本形態では気圧センサ23に加え、レーザ測距センサ24により対地高度も取得されている。これにより、気圧変化による飛行高度の誤差を補正することが可能とされている。本形態の電子コンパス25には3軸地磁気センサが用いられている。電子コンパス25はマルチコプター10の機首の方位角を検出する。GPS受信器22は、正確には航法衛星システム(NSS:Navigation Satellite System)の受信器である。GPS受信器22は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)または地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigational Satellite System)から現在の経緯度値を取得する。フライトコンローラFCは、これら飛行制御センサ群Sにより、機体の傾きや回転のほか、飛行中の経緯度、高度、および機首の方位角を含む自機の位置情報を取得することが可能とされている。
【0044】
制御装置20は、マルチコプター10の飛行時における姿勢や基本的な飛行動作を制御するプログラムである飛行制御プログラムFSを有している。飛行制御プログラムFSは、飛行制御センサ群Sから取得した情報を基に個々のロータ13の回転数を調節し、機体の姿勢や位置の乱れを補正しながらマルチコプター10を飛行させる。なお、本形態のプロペラ132は固定ピッチプロペラであり、制御装置20はESC(Electronic Speed Controller)を介してモータ131の回転数を制御することで操舵を行うが、例えば可変ピッチプロペラからなるロータを搭載し、ピッチ変更機構で個々のロータのピッチ角を変更することにより操舵を行う構成としてもよい。
【0045】
制御装置20はさらに、マルチコプター10を自律飛行させるプログラムである自律飛行プログラムAPを有している。そして、制御装置20には、マルチコプター10の目的地や経由地の経緯度、飛行中の高度や速度などが指定されたパラメータである飛行計画FPが登録されている。自律飛行プログラムAPは、オペレータ端末91からの指示や所定の時刻などを開始条件として、飛行計画FPに従ってマルチコプター10を自律的に飛行させることができる。
【0046】
このように、本形態のマルチコプター10は高度な飛行制御機能を備えた無人航空機である。ただし、本発明の無人航空機はマルチコプター10の形態には限定されず、例えば飛行制御センサ群Sから一部のセンサが省略された機体や、自律飛行機能を備えず手動操縦のみにより飛行可能な機体を用いることもできる。逆にさらに機能を追加することも可能である。例えば、機体の水平位置を検出するセンサとして、上述のGPS受信器22に加えオプティカルフローセンサを併用することで、GPS信号の届かない屋内においてもマルチコプター10を自律飛行させることが可能になる。その他、機体とその周辺物との位置関係を特定する超音波センサや深度カメラ、ライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)などを備えることでマルチコプター10の安全性や用途を広げることができる。また、例えば通信装置92に3GやLTE、5Gモジュールを搭載することで、そのサービスエリア内であれば遠方からでもマルチコプター10を操作することが可能になる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0048】
10:マルチコプター(無人航空機),11:胴部,112:アームホルダ(胴部との接続部),12:アーム,13:ロータ,FC:フライトコントローラ,30:コアフレーム,40:第1アーム(アーム部材),41:主軸部(パイプ材),42:ソケット部,43:位置決め片,50:第2アーム(アーム部材),51:主軸部(パイプ材),52:ソケット部,521:凹部,60:固定具,61:筒部,611:スリット,612:クランプ部,62:ねじ(締結部),63:レバー(締結部),91:オペレータ端末,92:通信装置
【要約】
【課題】機体構造の複雑化や飛行準備の作業負担を抑えつつ、無人航空機の可搬性およびスペース効率を高める。
【解決手段】一対のアーム部材である第1アームおよび第2アームと、これらアームが支持するロータと、これらアームが接続される胴部と、これらアームの相対的な配置角度を固定する固定具と、を備え、これらアームは胴部との接続部を回転中心として互いに接近/離間する方向へ旋回可能であり、第1アームは第2アーム側に突き出した凸部である位置決め片を有し、位置決め片は、第1アームと第2アームとを接近させることで第2アームの外面に接触し、固定具は、位置決め片が第2アームと接触した状態で、位置決め片と第2アームとを分離不能に固定する無人航空機により解決する。
【選択図】
図2