(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が、以下に提示される実施例やこれらの実施例に関する具体的説明で限定されるものではない。
【0033】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、異なって定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであって、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0034】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」などのような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で異なって言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open−ended terms)として理解されるべきである。
【0035】
本開示で記述された単数型の表現は、異なって言及しない限り、複数型の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0036】
本開示で用いられる「第1」、「第2」などの表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するものではない。
【0037】
本開示において、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり、「接続されて」いると言及された場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結され得たり、接続され得るものとして、または新たな他の構成要素を介して連結され得たり、接続され得るものとして理解されるべきである。
【0038】
本開示で用いられた「前方」、「前」などの方向指示語は、釣り竿のチップ(tip)に向かう方向を意味し、「後方」、「後」などの方向指示語は、釣り竿のバット(butt)に向かう方向を意味する。また、本開示で用いられる矢印(FD)は釣り竿のチップ(tip)に向かう前方方向を示し、矢印(RD)は釣り竿のバット(butt)に向かう後方方向を示す。軸方向(AD)は釣り竿及び構成要素の長さ方向を意味する。周り方向(CD)は軸方向(AD)を取り囲む方向を意味する。幅方向(WD)は釣り竿の幅を横切る方向であって、地面と並んでいる方向を意味する。高さ方向(HD)は幅方向(WD)に垂直な方向であって、地面に垂直な方向を意味する。
【0039】
以下、添付の図面を参照し、実施例を説明する。添付の図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものと意図されるものではない。
【0040】
図1は、本開示の一実施例による釣り竿(1)を示す側面図である。
【0041】
釣り竿(1)は、細長いロッドからなる本体(以下、簡単に「竿体(11)」とする)を含む。竿体(11)は、釣り竿(1)に作用する多様な外力に抵抗し、釣り竿(1)の形状を維持する構造物として機能する。竿体(11)は、細長い円筒形状を有する。竿体(11)は、1つの管状竿からなり得るか、複数の管状竿からなり得る。
【0042】
釣り竿(1)は、釣り糸(図示せず)を案内するための複数の釣り糸ガイド(12)を含むことができる。釣り糸ガイド(12)は、釣り糸がこれを通過するように構成され、仕掛けをキャストする際にまたは魚を釣り上げる際に釣り糸を案内する。釣り糸ガイド(12)は、竿体(11)の外周面に巻き糸と接着剤を用いて取り付けられ得るか、竿体(11)に嵌合方式で取り付けられ得る。
【0043】
釣り糸はリール(13)に収納され、リール(13)は釣り糸を放出したり巻くように構成される。リール(13)は、釣り糸が巻かれて収納されるスプール(13C)と、スプールを回転させるためのハンドルを有し得る。釣り糸が繰出す方向と平行にスプール(13C)に巻かれることを特徴とする、いわゆる、両軸リールがリール(13)として用いられ得る。
図1は、例示的なリール(13)の形状を示し、釣り竿(1)に採用されるリールが
図1に示すリールに限定されるものではない。リール(13)は一対のリール脚(13A、13B)を有し、リール脚(13A)は前方方向(FD)に延長し、リール脚(13B)は後方方向(RD)に延長する。リール脚(13A、13B)は、リール(13)の本体を竿体(11)に取り付けるのに用いられる。
【0044】
釣り竿(1)は、本開示の一実施例によるリールシート(100)を含む。このようなリールシート(100)は、当該分野において、パイプタイプリールシートと参照され得る。リールシート(100)は、竿体(11)に取り付けられて固定される。リールシート(100)は、リール(13)を竿体(11)に取り付けるように構成される。リール(13)は、竿体(11)の上部に上付き方式でリールシート(100)に固定され得る。
【0045】
リールシート(100)は、竿体(11)が竿体(11)の軸方向(AD)に沿って後方方向(RD)にリールシート(100)に挿入されるように構成される。リールシート(100)は、パイプまたはスリーブ状に形成され、その内部のボアで竿体(11)の外周面を覆うように構成される。リールシート(100)は、リール(13)のリール脚(13A、13B)を解除可能に固定することができる。リール(13)は、リール脚(13A、13B)を介してリールシート(100)に固定されるので、リール(13)が竿体(11)に脱着可能に取り付けられ得る。リールシート(100)の後端には、ロッドハンドル(14)がリールシート(100)に挿入されて固定され得る。ロッドハンドル(14)が釣り竿(1)のバットを形成することができる。
【0046】
図2は、本開示の一実施例によるリールシート(100)を示す前方斜視図である。
図3は、
図2に示すリールシート(100)を分解した分解斜視図である。
図4は、本開示の一実施例によるリールシート(100)を示す後方斜視図である。
図5は、
図4に示すリールシート(100)を分解した分解斜視図である。
【0047】
リールシート(100)は、リールシート(100)の本体として機能するシートボディ(110)及びシートボディ(110)に軸方向(AD)に移動可能に結合される可動フード(140)を含む。シートボディ(110)は、リールシート(100)を竿体(11)に取り付けるように機能し、竿体(11)に対してリールを支持するように機能し、ユーザーが指で巻いて握る部分として機能する。可動フード(140)はリール(13)のリール脚(13A)をシートボディ(110)に対して押圧して固定する。
【0048】
一実施例において、シートボディ(110)は、取り外し可能に構成されるパイプボディ(120)とグリップボディ(130)とを含む。他の実施例において、シートボディ(110)はパイプボディ(120)に対応する形状とグリップボディ(130)に対応する形状を備える一体型ボディとして構成され得る。
【0049】
パイプボディ(120)は、竿体(11)に固定され、リールの一対のリール脚(例えば、
図1に示すリール脚(13A、13B))を支持する。グリップボディ(130)は、パイプボディ(120)に竿体の軸方向(AD)に結合され、ユーザーがリールシート(100)をグリップする部分として機能する。よって、ユーザーは、一方の手でグリップボディ(130)をグリップし、他方の手でリールに設けられたハンドルを操作することができる。パイプボディ(120)とグリップボディ(130)は、同一であるか、異なる樹脂材料からなり得る。または、前記樹脂材料として、繊維強化樹脂材料が用いられ得る。
【0050】
パイプボディ(120)は、円筒形状を取る。
図3及び
図5に示すように、パイプボディ(120)は内周部(121)と外周部(122)とを有し、内周部(121)でボア(123)を限定することができる。ボア(123)は、パイプボディ(120)に、パイプボディ(120)の前端から後端まで貫通するように形成されている。竿体(11)(
図2参照)がボア(123)に竿体の軸方向(AD)に挿入され得る。リールシート(100)は、ボア(123)に挿入された竿体(11)に取り付けられる。竿体(11)の外周面とボア(123)の表面(即ち、内周部(121))との間に接着剤が塗布され、リールシート(100)のシートボディ(例えば、パイプボディ(120))が竿体(11)に取り付けられ得る。前記接着剤以外に、テープが用いられ得、テープは、竿体(11)の外周面とボア(123)の表面との間に介在して竿体(11)とパイプボディ(120)を固着させることができる。内周部(121)の表面には、複数の溝(124)が軸方向(AD)に延長するように形成され得る。
【0051】
パイプボディ(120)は、外周部(122)でリール脚(例えば、
図1に示す一対のリール脚(13A、13B))を支持する。
図3及び
図5に示すように、パイプボディ(120)は、外周部(122)の上側にリール脚が置かれるリール脚支持部(125)を備える。リール脚支持部(125)は、パイプボディ(120)の外周部(122)における上側表面となり得る。リール脚支持部(125)は、パイプボディ(120)の外周部(122)から突出して軸方向(AD)に延長する一対のレールの形状に形成され得る。また、リール脚支持部(125)は、パイプボディ(120)の外周部(122)から幅方向(WD)両側に突出した側壁突起(129)を含む。
【0052】
図5に示すように、パイプボディ(120)は、その下側に切り欠きスリット(128)を備える。切り欠きスリット(128)は、パイプボディ(120)で後端から前端に向かう一部が切欠されて形成される。切り欠きスリット(128)は、パイプボディ(120)の後端から前端に向かって延長し、パイプボディ(120)は切り欠きスリット(128)の領域で略C字形の横断面形状を有し得る。よって、一実施例のパイプボディ(120)は、切り欠きスリット(128)によって一部が切欠された切り欠きボディとして形成され得る。
【0053】
グリップボディ(130)は、リールシート(100)を前方または後方から見たとき、パイプボディ(120)よりも後方に位置し、周り方向(CD)でパイプボディ(120)の外周部(122)の外側部分を取り囲むことができる。グリップボディ(130)は、上側の一部が前端から後端に向かって所定の長さだけ切欠されている円筒形状を有し得る。
【0054】
グリップボディ(130)は、その一部でまたはその全体でパイプボディ(120)を部分的に包むように形成され得る。一実施例において、グリップボディ(130)は、パイプボディ(120)を部分的に包むカバー部(131)を備える。カバー部(131)は、軸方向(AD)に延長してグリップボディ(130)の前方部分を形成する。カバー部(131)は、軸方向(AD)に直交する幅方向(WD)でパイプボディ(120)の外周部(122)に対応するように湾曲した形状を有し得る。
【0055】
図2及び
図4に示すように、パイプボディ(120)とグリップボディ(130)が軸方向(AD)に互いに結合した状態で、カバー部(131)はパイプボディ(120)のリール脚支持部(125)を露出させながらパイプボディ(120)の外周部(122)を部分的に包むことができる。即ち、カバー部(131)は軸方向(AD)と周り方向(CD)の領域において、パイプボディ(120)の外周部(122)を部分的に包むことができる。
【0056】
図3及び
図5に示すように、カバー部(131)は、軸方向(AD)に延長する一対の第1カバーエッジ(133)を有する。カバー部(131)の第1カバーエッジ(133)は、パイプボディ(120)の外周部(122)に係合するように形成される。よって、カバー部(131)は、両側第1カバーエッジ(133)でパイプボディ(120)の外周部(122)に係合し、パイプボディ(120)とグリップボディ(130)を周り方向(CD)に結合させることができる。
【0057】
カバー部(131)は、軸方向(AD)に延長し、第1カバーエッジ(133)よりも前方(FD)に形成された一対の第2カバーエッジ(134)を有する。第2カバーエッジ(134)は、第1カバーエッジ(133)よりも高さ方向(HD)にさらに切欠された形状を有する。また、第2カバーエッジ(134)には、可動フード(140)の後方の部分が安着され得る。
【0058】
グリップボディ(130)は、グリップボディ(130)の後方(RD)位置でカバー部(131)の下側面から下側に延長するトリガー部(135)を備える。トリガー部(135)は、ユーザーのグリップ感を向上させるための構成であって、例えば、ユーザーは、薬指と小指の間にトリガー部(135)を置いてグリップボディ(130)を把持することができる。
【0059】
図3及び
図5に示すように、グリップボディ(130)は、カバー部(131)から後方に延長する円筒部(136)を備える。円筒部(136)はその内周部でパイプボディ(120)の後端部を収容する。円筒部(136)の後端エッジは軸方向(AD)に対して傾斜しており、
図1に示すロッドハンドル(14)と当接する。
【0060】
固定フード(138)がグリップボディ(130)の円筒部(136)に形成され得る。円筒部(136)の前方上端部は、側方部分よりもさらに肉厚な厚さを有して上方へ突出し、固定フード(138)を形成する。リール脚(例えば、
図1に示すリール脚(13B))は、固定フード(138)とリール脚支持部(125)の間に挿入され得る。他の実施例として、固定フード(138)は、グリップボディ(130)とは別個で形成され得、グリップボディ(130)に結合され得る。
【0061】
図6は、
図5に示す可動フード(140)の分解斜視図であり、可動フード(140)の終端面形状を示す。
図7は、
図5に示す可動フード(140)とパイプボディ(120)の縦断面図である。
【0062】
可動フード(140)は、ねじ運動によりパイプボディ(120)に沿って移動され得る。可動フード(140)は、ナット部(141)と押圧部(142)を含む。押圧部(142)は、フード部(1424)と切り欠き部(1425)を備える。ナット部(141)と押圧部(142)は、リング状に形成され、可動フード(140)がパイプボディ(120)に結合される過程でパイプボディ(120)がナット部(141)と押圧部(142)を貫通する。
【0063】
図6に示すように、ナット部(141)は、パイプボディ(120)を中心として(即ち、軸方向(AD)を中心として)回転可能なようにパイプボディ(120)に螺合される。ナット部(141)は、その内周面に雌ねじ(1411)を有する。
図3及び
図5に示すように、パイプボディ(120)は、外周部(122)に雄ねじ(126)を有し、雄ねじ(126)は、パイプボディの前端から後端に向かって所定範囲に形成され得る。
【0064】
ナット部(141)の雌ねじ(1411)とパイプボディ(120)の雄ねじ(126)が螺合して、ナット部(141)はパイプボディ(120)にねじ運動可能なように結合する。ナット部(141)が周り方向における一方向または他方向に回転するに伴い、雌ねじ(1411)と雄ねじ(126)間のねじ運動により、ナット部(141)は回転と共に後方方向(RD)または前方方向(FD)に移動され得る。
【0065】
ナット部(141)は、パイプボディ(120)を中心として回転可能に押圧部(142)に連結される。押圧部(142)のフード部(1424)は、リール脚(例えば、
図1に示すリール脚(13A))を覆って押圧し得る形状を有する。押圧部(142)はパイプボディ(120)に沿って軸方向(AD)に移動可能であるものの、周り方向(CD)には回転しない。即ち、押圧部(142)は、軸方向(AD)にのみ移動されるようにガイドされる。
【0066】
図3及び
図5に示すように、押圧部(142)の軸方向への移動をガイドするために、パイプボディ(120)はその外周部に一対のガイド溝(127)を有し、押圧部(142)はその内周面で内側に突出した一対のガイド突起(143)を有する。ガイド突起(143)は押圧部(142)の後端まで延長され得る。一対のガイド突起(143)は、押圧部(142)の後端から始まってナット部(141)に向かって延長され得る。
【0067】
ガイド溝(127)はパイプボディ(120)の前端まで延長され得る。一対のガイド溝(127)は、ボア(1213)の中心に対して互いに対向する。
図3及び
図5に示すように、ガイド溝(127)は軸方向(AD)にパイプボディ(120)の前端から雄ねじが形成された領域を通過して所定の長さに延長する。
図6及び
図7に示すように、一対のガイド突起(143)は、一対のガイド溝(127)にそれぞれ係合されてスライド可能である。ガイド溝(127)は、ガイド突起(143)の周り方向(CD)への回転を阻止する。これにより、ガイド溝(127)によりガイド突起(143)が軸方向(AD)にのみ案内されて、押圧部(142)は、軸方向(AD)にのみ移動され得る。
【0068】
ナット部(141)と押圧部(142)は、相対回転可能に連結される。ナット部(141)は後端付近に、フランジ(1412)と、フランジ(1412)に隣接する係止溝(1413)と、係止溝(1413)に隣接する係止突起(1414)が形成される。フランジ(1412)と係止溝(1413)は、周り方向(CD)に延長する。押圧部(142)の前端には、ナット部(141)の係止溝(1413)に係合される係止突起(1422)と、係止突起(1422)に隣接してナット部(141)の係止突起(1414)が係合される係止溝(1423)が形成される。前述の係止突起(1414)と係止溝(1423)間の係合が、押圧部(142)とナット部(141)に相対回転を提供する。
【0069】
ナット部(141)をパイプボディ(110)を中心として周り方向(CD)における一方向に回転させると、雄ねじ(126)と雌ねじ(1411)間のねじ運動により、ナット部(141)は回転しつつ、フランジ(1412)を介して押圧部(142)を固定フードに向かって移動させることができる。押圧部(142)がリール脚(例えば、
図1に示すリール脚(13A))に接触すると、ナット部(141)を若干さらに回転させるに伴い、雄ねじ(126)と雌ねじ(1411)間のねじ締結力により、押圧部(142)はリール脚(13A)をパイプボディのリール脚支持部に押圧して固定させることができる。ナット部(141)を前記一方向の反対方向に回転させると、雄ねじ(126)と雌ねじ(1411)間のねじ運動により、ナット部(141)は回転しつつ固定フードから遠ざかるように移動され得る。ナット部(141)の係止突起(1414)が押圧部(142)の係止突起(1422)を前方に引き、リール脚を押圧する押圧部(142)が固定フードから遠ざかるように移動され得る。
【0070】
上述のように、ナット部(141)は、その内周面でパイプボディ(120)と螺合して、パイプボディ(120)に沿ってねじ運動により前方または後方に移動される。押圧部(142)は、ナット部(141)の前記前方または後方への移動により、固定フードに向かって押されたり固定フードから遠ざかるように引っ張られる。
【0071】
図8は、比較例によるリールシート(2,3)を説明するための側面図である。
【0072】
図8(a)に示すリールシート(2)によれば、シートボディ(210)と可動フード(240)の間には隙間(X部分参照)が生じ得る。具体的に、比較例によるリールシート(2)ではシートボディ(210)が円筒形に形成され、可動フード(240)も円筒形に形成されるので、シートボディ(210)と可動フード(240)の一体感が高まるため把持性は向上する。しかし、装着するリールの大きさによってリール脚の長さは変わるため、前記リール脚の長さにより可動フード(240)の止まり位置が変化する。このため、相対的に長いリール脚の長さを有するリールを用いる場合には、シートボディ(210)と可動フード(240)の間に隙間(X部分参照)が生じ得る。
【0073】
よって、シートボディ(210)の外形と可動フード(240)の外形を揃えるためには、シートボディ(210)の先端と可動フード(240)のねじ部の間に段差を設ける必要がある。段差の位置は、リールシートに装着されるリールの最小脚長さに合わせなくてはならないため、
図8(a)に示すようにシートボディ(210)と可動フード(240)の間に隙間(X部分参照)が生じ得る。
【0074】
図8(b)に示す比較例によるリールシート(3)を参照すると、シートボディ(310)と可動フード(340)の直径の大きさの差異により段差(Y部分参照)が生じる場合が示されている。リール脚の長さは、多様なサイズを有するので、シートボディ(310)と可動フード(340)の隙間が生じないようにするためには、シートボディ(310)を可動フード(340)で覆い被せる構造を適用する必要がある。しかし、このような覆い被せる構造では、シートボディ(310)の外形と可動フード(340)の外形を揃えることができなくなるため、シートボディ(310)と可動フード(340)の間には段差(Y部分参照)が生じる。また、可動フード(340)を合成樹脂で製造する場合には、実釣の強度を考慮すると、可動フード(340)の断面の肉厚を0.6mm以上に確保する必要がある。
【0075】
図9は、
図2に示す本開示の一実施例によるリールシート(100)を拡大して示す側面図である。
図10は、
図9においてリールシート(100)のシートボディ(110)と可動フード(140)を分解して示す側面図である。
【0076】
図10に示すように、フード部(1424)は押圧部(142)の上部を構成し、リール脚(例えば、
図2に示すリール脚(13A))を覆って押圧するように形成される。切り欠き部(1425)は、フード部(1424)の高さ方向(HD)下側に形成される。フード部(1424)と切り欠き部(1425)は、高さ方向(HD)で共通のエッジを有し得る。押圧部(142)のガイド突起(143)は、フード部(1424)の下側エッジまたは切り欠き部(1425)の上側エッジに沿って延長する。
【0077】
切り欠き部(1425)は、シートボディ(110)の一部と相補的な形状を有するように凹に切断された形状を有し得る。例えば、切り欠き部(1425)は、押圧部(142)の後段部の一部でパイプボディ(120)の前端に向かって凹に切断されるように形成される。切り欠き部(1425)は、リング状の押圧部(142)の下側領域を軸方向(AD)に切欠して形成される。切り欠き部(1425)は、グリップボディ(130)の前端部(即ち、カバー部(131)の前端部(139))に対して凹んでいる。よって、可動フード(140)がリール脚をパイプボディ(120)のリール脚支持部(125)に押圧して固定するとき、カバー部(131)の前端部(139)は軸方向(AD)に切り欠き部(1425)に挿入されたり嵌合され得、切り欠き部(1425)は、カバー部(131)の前端部(139)を収容し得る。
【0078】
図10に示すように、カバー部(131)の前端部(139)が切り欠き部(1425)に挿入されると共に、フード部(1424)はカバー部(131)の前端部(139)の高さ方向(HD)上側に位置する。よって、可動フード(140)がリール脚を固定するとき、フード部(1424)はカバー部(131)の前端部(139)と軸方向(AD)に重なる。
【0079】
可動フード(140)を側方から見たとき、切り欠き部(1425)は、例えば、L字状、湾曲なL字状、V字状、湾曲なV字状を有し得る。
図10に示すように、切り欠き部(1425)のエッジは、軸方向(AD)に位置する第1切り欠きエッジ(1426)と、第1切り欠きエッジ(1426)から高さ方向(HD)下側に延長する第2切り欠きエッジ(1427)で構成され得る。他の例として、第1切り欠きエッジ(1426)は、軸方向(AD)に対して傾斜することもできる。第2切り欠きエッジ(1427)は、円弧状に湾曲する。他の例として、第2切り欠きエッジ(1427)は、直線状を有することもできる。
【0080】
第1切り欠きエッジ(1426)は、軸方向(AD)に平行であり得る。また、ガイド突起(143)は、第1切り欠きエッジ(1426)の内側面から幅方向(WD)内側に延長することができる。
【0081】
前端部(139)は、切り欠き部(1425)とは相補的な形状を有する。また、切り欠き部(1425)のエッジとカバー部(131)の前端部(139)のエッジは、相応する形状を有する。これにより、カバー部(131)の前端部(139)は、切り欠き部(1425)の第1切り欠きエッジ(1426)に対応する第2カバーエッジ(134)と、切り欠き部(1425)の第2切り欠きエッジ(1427)に対応する先端エッジ(1391)で構成され得る。よって、可動フード(140)がリール脚をパイプボディ(120)に固定するために移動するとき、切り欠き部(1425)の第1切り欠きエッジ(1426)は、カバー部(131)の第2カバーエッジ(134)に沿って軸方向(AD)に移動し、切り欠き部(1425)の第2切り欠きエッジ(1427)は、カバー部(131)の先端エッジ(1391)と軸方向(AD)に当接したり若干の間隔で離隔する。また、フード部(1424)がカバー部(131)の前端部(139)と軸方向(AD)に重なりつつ、カバー部(131)の前端部(139)が切り欠き部(1425)に挿入される。
【0082】
上述のように、可動フード(140)に切り欠き部(1425)を形成すると共にフード部(1424)がカバー部(131)の前端部(139)と軸方向(AD)に重なって位置しつつ、可動フード(140)がリール脚をパイプボディ(120)に固定する。よって、リールシート(100)のカバー部(131)は、シートボディ(110)のグリップボディ(130)を握る指(例えば、人差指、中指及び薬指(以下、「3フィンガー」とする))が軸方向(AD)に沿っていずれもカバー部(131)に置かれるように十分な長さを有する。
【0083】
また、可動フード(140)のフード部(1424)がカバー部(131)の前端部(139)と軸方向(AD)に重なるため、可動フード(140)を固定フード(138)側にさらに近く位置させることができる。また、可動フード(140)に切り欠き部(1425)を形成することにより、グリップボディ(130)を握る指のうち人差指がグリップボディ(130)の下端と可動フード(140)の下端間の境界に接触しないように、可動フード(140)の下端がグリップボディ(130)のトリガー部(135)から遠くに配置され得る。よって、リールシート(100)は、良好なグリップ感や把持性を有すると共に、多様な長さのリール脚を有するリールが装着され得る。
【0084】
上述のリールシート(100)は、ユーザーが3フィンガーでリールシートのカバー部(131)をグリップできるようにしながら人差指が可動フード(140)に接触する可能性を低くすることができる。即ち、ユーザーが無理をして意図的に人差指を最大に伸ばす場合でなければ(例えば、薬指と小指の間にトリガー部(135)が位置するように把持した状態で)、人差指が可動フード(140)に接触しなくなる。また、ユーザーは、指がシートボディの下端及び可動フードの下端に接触する際に、ユーザーに異物感を与え得る、隙間(即ち、シートボディの下端と可動フードの下端間の空間、
図8(a)のX部分参照)または段差(即ち、シートボディの下端と可動フードの下端間の高さの差、
図8(b)のY部分参照)に指が接触しないようになる。よって、リールシート(100)を把持するユーザーに良好なグリップ感を提供することができる。
【0085】
図11は、
図9に示すリールシート(100)にリール(13)が設けられた構成を示す側面図である。
【0086】
リールを固定するための可動フードの止まり位置と3フィンガーで握る際の指3本に該当する幅との関係を考慮することができる。
【0087】
手の大きさは人によって違いはあるものの、
図11に示す長さA、B(B1、B2)及びCは、リールシートを設計するときに定義付け可能な寸法となる。
【0088】
1)A:トリガー部(135)からリール(13)のスプール軸(0)までの長さ
2)B1:リール(13)の後方側リール脚(13B)とスプール軸(0)の間の長さ
3)B2:リール(13)の前方側リール脚(13A)とスプール軸(0)の間の長さ
4)B:B1とB2の和
5)C:トリガー部(135)から前端部(139)の先端までの長さ
【0089】
長さAで、リール(13)のスプール軸(0)はリールの中心となる。長さBは、軸方向(AD)におけるリールの全体の長さである。即ち、長さBは、前方側リール脚(13A)の先端と後方側リール脚(13B)の先端の間の距離である。また、長さCは、トリガー部(135)から前端部(139)の先端までの長さ(3フィンガーの指の幅を考慮した長さ)である。
【0090】
トリガー部から前記前端部の先端までの長さ(C)は、リール(13)がリール脚支持部(125)に置かれて可動フード(140)によって押圧を受ける状態を基準として下の数式1及び数式2を満足する値と設定され得る。
【0091】
1)数式1:A>B1
2)数式2:C−A>B2
【0092】
即ち、数式1によれば、軸方向(AD)でトリガー部(135)がリール(13)の後方側リール脚(13B)の先端よりもさらに後方(RD)に位置する。また、数式2は、ユーザーが前端部(139)の下側面に3フィンガーが安着できるような十分な空間を確保するためのもので、数式2のようにCの長さを設定すれば、前端部(139)の先端がリール(13)の前方側リール脚(13A)の先端よりも前方(FD)に位置するようになる。
【0093】
上述の数式1及び数式2により長さCを設定する場合には、ユーザーがリールシートを把持する際に、人差指が可動フード(140)と接触する可能性を低くすることができ、前端部(139)の下側面を把持できるようになり、把持性を改善することができる。
【0094】
リールの一般的な大きさを考慮して、長さAは略20〜31mm、長さB1は略21〜35mm、長さB2は31〜41mm、長さBは略62〜70mmの範囲を有する。一方、長さCを設定するにおいて考慮するユーザの手の大きさ(即ち、3フィンガーの幅)は略55〜75mmの範囲を有する。
【0095】
図12は、比較例による可動フード(240)と、一実施例による可動フード(140)を比較して説明するための図である。
図12(a)は、比較例による可動フード(240)を示し、
図12(b)は一実施例による可動フード(140)を示す。
【0096】
図12(a)に示すように、比較例による可動フード(240)は全体的に円筒形状を有し、可動フード(240)の底面とシートボディ(210)の底面が接触する力によってリール脚を固定するので、可動フード(240)の下側面の長さ(L1)が重要となる。例えば、長さL1は10mm〜11mmの大きさを有する。
【0097】
図12(b)に示すように、一実施例による可動フード(140)には切り欠き部(1425)が形成されるので、可動フード(140)は底面の長さ(L2)が相対的に短い形状を有する。例えば、長さL2は4mm〜6mmの大きさを有する。よって、可動フード(140)に対する破損のリスクが相対的に高くなる。これにより、切り欠き部(1425)が形成された可動フード(140)の場合には、シートボディ(110)の底面と可動フード(140)の底面のみが接触する状況を避けるために、以下に説明する実施例のように、可動フード(140)にキー(ボス)を形成し、シートボディ(110)にキー溝を形成して、キーとキー溝の接触によるリール脚の固定が提案される。以下に説明する実施例において、キーは「ガイド突起」とし、キー溝は「ガイド溝」とする。
【0098】
図13は、本開示の一実施例による可動フード(140)を説明するための図である。
図13(a)は、パイプボディ(120)に押圧部(142)が結合された状態の断面を示す。
図13(a)は、
図12(b)に示す状態でII−II線に沿って切断した様子を示す。
図13(b)は、押圧部(142)自体の斜視図を示す。
【0099】
ガイド突起(143A)は、フード部(1424)の内周面から幅方向内側に突出する形状を有する。ガイド突起(143A)の軸方向長さ(L3)は、例えば、20mm〜25mmとなる。また、ガイド溝(127)は、パイプボディ(120)の外周部に軸方向に沿って形成される。
【0100】
フード部(1424)にリール(13)のリール脚が高さ方向(HD)に沿って押し上げる力(FH)を作用すると、ガイド突起(143A)の上側面(1431A)とガイド溝(127)を形成する側壁突起(129)の下側面(1291)が接触する。ガイド突起(143A)の上側面(1431A)が側壁突起(129)の下側面(1291)に支持されるので、フード部(1424)がこれ以上高さ方向(HD)上側に上げられなくなる。
【0101】
ガイド突起(143A)と側壁突起(129)の接触面積が広いほど、ガイド突起(143A)と側壁突起(129)に加わる力が分散されるので、押圧部(142)のガイド突起(143A)とパイプボディ(120)のガイド溝(127)は、ボア(123)の中心(OB)を通る水平線付近に切り欠きライン(LC)を設けるのが望ましい。切り欠きライン(LC)は、ガイド突起(143A)の下側面に沿って軸方向(AD)に延長する線で示される。例えば、高さ方向(HD)で、ガイド突起(143A)の下側面はボア(123)の中心(OB)を通ると共に幅方向(WD)と並んでいる水平線と隣接する位置に形成される。
【0102】
後述する
図18〜
図23に示すように、切り欠きライン(LC)は、押圧部(442)のガイド突起(443)とパイプボディ(420)のガイド溝(427)に対してボア(423)の中心(OB)を通る水平線付近に設けることができる。このように、ボア(423)の中心(OB)を通る水平線付近に切り欠きライン(LC)を設けることにより、スピニングリールを取り付けるリールシート(400)は拇指球がグリップボディ(430)を包むようになり、グリップボディ(430)には拇指球が痛くならない形状とするのに十分なスペースを設けることができる。一方、
図24に示すように、スピニングリールを取り付けるリールシート(500)は可動フードを逆方向に取り付ける場合もある。つまり、可動フード(540)を前方(FD)に向けて竿体に固定することができ、その場合にはグリップボディ(530)は親指を置く形状を設けることもできる。
【0103】
このようにボア(423)の中心(OB)を通る水平線付近に切り欠きライン(LC)を設けることにより、様々なグリップボディ(430)に対して、兼用が可能な可動フードとなり得る。
【0104】
一方、リールのリール脚は、定められた規格がなく多様な形状からなるので、幅広い形状を有するリール脚の場合にも効率良く固定するためには、フード部(1424)の内周面(1424A)がテーパがついているか、ラウンド状にすることができる。例えば、リールがリールシートに固定された状態で釣り糸の幅方向(WD)の動きによってリール脚が幅方向(WD)に動く場合には、リール脚の側面がフード部(1424)の内周面(1424A)と接触するに伴い、フード部(1424)には左右に開く力(FW)が作用する。
【0105】
このように、フード部(1424)に左右に開く力(FW)が発生すると、切り欠き部(1425)の形成によりフード部(1424)は閉鎖された形状ではないため幅方向(WD)への開きを効果的に制御できないので、フード部(1424)には、フード部(1424)の高さ方向(HD)の頂点を軸にして左右に(即ち、幅方向(WD)に)変形(回転)が生じて、フード部(1424)に対する破損のリスクが高くなる。
【0106】
図14は、本開示の一実施例による可動フード(140)を説明するための図である。
図14(a)は、リールシートにおいて
図13(a)と同じ位置で切断した断面を示す。
図14(b)は、
図14(a)に示すZ部分を拡大した様子を示す。
【0107】
本実施例では、ガイド突起(143B)と側壁突起(129)の接触面に角度を付けることができる。例えば、側壁突起(129)の下側面(1291)と幅方向外側面(1292)がなす角度(α)は鋭角をなし、ガイド突起(143B)の上側面(1431B)と幅方向内側面(1432B)がなす角度(β)は鋭角をなす。
【0108】
このように、ガイド突起(143B)と側壁突起(129)に角度を付けることにより、リール脚の側面がフード部(1424)の内周面(1424A)と接触することになってフード部(1424)に両側に開く力(FW)が作用すると、側壁突起(129)の下側面(1291)とガイド突起(143B)の上側面(1431B)が接触しながら、側壁突起(129)がガイド突起(143B)を幅方向内側に押す反作用を加えるため、フード部(1424)が幅方向(WD)両側に開かれて破損するリスクを回避することができる。ただし、前記幅方向外側麺(1292)がなす角度αは鋭角をなすので、可動フード(140)前方に位置すれば、角度αの頂点が露出することになる。角度αの頂点は鋭利でありユーザーの指を傷付ける不安がある。従って、角度αの頂点で指を傷付けないよう、角度αの頂点は曲面にするといった安全設計が必要である。
【0109】
図15は、
図4に示すリールシート(100)をI−I線に沿って取った断面図である。
図16は、
図15に示すW部分を拡大した拡大図である。
【0110】
パイプボディ(120)は、外周部(122)の高さ方向(HD)下側部分に一対のシーリング突起(1251)を備える。シーリング突起(1251)は、パイプボディ(120)の外周部(122)で幅方向(WD)に突出して軸方向(AD)に延長する。グリップボディ(130)のカバー部(131)は、シーリング突起(1251)に係合するシーリング溝(1351)を備える。互いに係合されたシーリング突起(1251)とシーリング溝(1351)により、カバー部(131)の第2カバーエッジ(134)の下に位置する隙間(111)がシーリングされる。
【0111】
押圧部(142)は、ガイド突起(143)の幅方向(WD)内側先端から下方に延長する下方突起(144)をさらに含む。ガイド突起(143)と下方突起(144)はL字状突起を形成し得る。
図16に示すように、下方突起(144)はガイド溝(127)の外側面(1271)、シーリング突起(1251)の上側面(1251A)及びカバー部(131)の第2カバーエッジ(134)の幅方向内側面(1341A)が形成する突起収容部(112)に収容され得る。よって、フード部(1424)に両側に開く力(FW)が作用する場合、下方突起(144)の幅方向外側面(1441)は第2カバーエッジ(134)の幅方向内側面(1341A)により支持され得る。
【0112】
上述のように、ガイド突起(143)と下方突起(144)はL字状突起を形成するので、リール脚によって押圧部(142)が上側に押し上げる力(FH)を受ける場合、ガイド突起(143)の上側面(1431)が側壁突起(129)の下側面(1291)と接触するようになってリールを固定することができる。また、押圧部(142)に左右に開く力(FW)が作用する場合には、下方突起(144)の幅方向外側面(1441)と第2カバーエッジ(134)の幅方向内側面(1341A)の接触によってリールを固定することができる。
【0113】
上述の実施例によれば、側壁突起(129)またはガイド突起(143)に角度(即ち、鋭角)を付けなくても押圧部(142)の幅方向(WD)への開きを防止することができる。
【0114】
図17は、
図15に示す下方突起(144)を他の実施例による上方突起(145)と比較して説明するための図である。
図17(a)は、押圧部(142)にガイド突起(143)と下方突起(144)が形成された構成を示し、
図17(b)は、押圧部(142)にガイド突起(143)と上方突起(145)が形成された構成を示す。
【0115】
図17(b)に示すように、押圧部(142)は、ガイド突起(143)の幅方向(WD)内側先端から上方に延長する上方突起(145)を含む。ガイド突起(143)と上方突起(145)はL字状突起を形成する。また、パイプボディ(120)は側壁突起(129)の幅方向(WD)外側先端から下方に延長する囲い突起(1295)をさらに含む。上方突起(145)の幅方向外側面(1451)は、囲い突起(1295)の幅方向内側面(1295A)により支持される。よって、押圧部(142)に幅方向(WD)に開く力(FW)が作用しても、上方突起(145)が囲い突起(1295)によって支持され、押圧部(142)の破損を防止することができる。
【0116】
このように、押圧部(142)に上方突起(145)を提供する場合、
図18(a)に示す場合と同様に、側壁突起(129)または、ガイド突起(143)に鋭角を提供しなくても、押圧部(142)の幅方向(WD)への開きを防止することができる。
【0117】
図17(b)の場合には、上方突起(145)がパイプボディ(120)の囲い突起(1295)によって支持されるので、パイプボディ(120)の肉厚を
図17(a)の場合よりも大きく形成して、パイプボディ(120)の内径(D2)が
図17(a)に示す内径(D1)よりも小さくなる。即ち、
図17(b)の場合のようにL字状突起を上向きに構成すると、
図17(a)の場合のようにL字状突起を下方にした場合と比較して、パイプボディ(120)の最低肉厚が増加するため、パイプボディ(120)の内径(D2)が小さく形成される。これとは異なって、
図17(a)の場合には、下方突起(144)がグリップボディ(130)の第2カバーエッジ(134)によって支持されるので、パイプボディ(120)の内径(D1)をさらに大きく形成することができる。
【0118】
パイプボディ(120)の内径が大きいほど、パイプボディ(120)の重量を軽く製造することができ、また、外径が広い竿体にパイプボディ(120)の装着が可能になる。また、パイプボディ(120)の内径の大きさは、リールシート(100)を製作する過程で重要な設計要素として考慮され得、パイプボディ(120)の内径の大きさを増加させるためには、L字状突起が
図17(a)に示す場合のように下方に形成することができる。
【0119】
上述の実施例のように、可動フード(140)の押圧部(142)にL字状突起を形成することにより、リールのリール脚によって押圧部(142)に作用する上に押し上げる力と左右に開く力によって可動フードが破損するリスクを低減させることが可能になる。また、下方突起(144)を高さ方向(HD)下側に向かうように形成することにより、シートボディ(110)の肉盗みを実現してシートボディ(110)の軽量化を達成することができ、成形不良を抑制することができる。
【0120】
図18は、本開示の第2実施例によるリールシート(400)を示す側面図であり、
図19は、本開示の第2実施例によるリールシート(400)を示す上面図である。上述の実施例において説明した構成及び重複する説明は省略する。
【0121】
以下で説明するリールシート(400)は「スピニングリールシート」と示すことができる。リールシート(400)はスピニングリールを取り付けることができ、スピニングリールはリールシート(400)の下部に設けることができる。リールシート(400)は、リールシート(400)の本体として機能するシートボディ(410)及びシートボディ(410)に軸方向(AD)に移動可能に結合される可動フード(440)を含むことができる。
【0122】
一実施例において、シートボディ(410)は分離可能に構成されるパイプボディ(420)とグリップボディ(430)を含むことができる。他の実施例で、シートボディ(410)はパイプボディ(420)に対応する形状とグリップボディ(430)に対応する形状を備える一体型ボディとして構成され得る。
【0123】
パイプボディ(420)は、竿体の軸方向(AD)に挿入されるボア(423)を内周部で限定し、リール脚支持部(425)を外周部(422)の下側に備える。
【0124】
グリップボディ(430)はパイプボディ(420)を部分的に包むカバー部(431)を備える。カバー部(431)は軸方向(AD)に延長してグリップボディ(430)の後方部分を形成する。カバー部(431)は、パイプボディ(420)のリール脚支持部(425)を露出させながらパイプボディ(420)の外周部(422)を部分的に包むことができる。
【0125】
グリップボディ(430)は、カバー部(431)から前方に延長する円筒部(436)を備える。円筒部(436)は、その内周部でパイプボディ(420)の前端部を収容する。また、固定フード(438)がグリップボディ(430)の円筒部(436)に形成され得る。具体的に、円筒部(436)の後方上端部は、側方部分よりもさらに肉厚な厚さを有して上方へ突出し、固定フード(438)を形成する。
【0126】
カバー部(431)は、軸方向(AD)に延長する一対のカバーエッジ(433、434)を有する。カバー部(431)のカバーエッジ(433、434)は、パイプボディ(420)の外周部(422)に係止するように形成される。よって、カバー部(431)は、両側カバーエッジ(433、434)でパイプボディ(420)の外周部(422)に係止し、パイプボディ(420)とグリップボディ(430)を周り方向(CD)に結合させることができる。
【0127】
可動フード(440)は、ねじ運動によりパイプボディ(420)に沿って移動され得る。可動フード(440)は、ナット部(441)と押圧部(442)を含む。押圧部(442)は、フード部(4424)と切り欠き部(4425)を備える。カバー部(431)の後端は切り欠き部(4425)とは相補的な形状を有する。可動フード(440)がパイプボディ(420)に結合される過程でパイプボディ(420)がナット部(441)と押圧部(442)を貫通する。
【0128】
図20は、本開示の第2実施例によるリールシート(400)とスピニングリール(15)が設けられた釣り竿(4)を示す側面図である。
【0129】
シートボディ(410)は、竿体(11)に固定され、スピニングリール(15)の一対のリール脚(15A、15B)を支持する。グリップボディ(430)は、パイプボディ(420)に竿体の軸方向(AD)に結合され、ユーザーがリールシート(400)をグリップする部分として機能する。よって、ユーザーは、一方の手でグリップボディ(430)をグリップし、他方の手でリール(15)に設けられたハンドルを操作することができる。グリップボディ(430)の上部の部分(437)は手の平のグリップ感を向上させるように上側に凸になっている形状を有する。
【0130】
スピニングリール(15)のリール脚(15A、15B)は下方に向かうリール脚支持部(425)上に置かれ得る。前方リール脚(15A)は、固定フード(438)によって支持され、後方リール脚(15B)は、フード部(4424)によって支持され得る。よって、スピニングリール(15)が重力によってリールシート(400)から離脱されなくなる。
【0131】
ユーザーがリールシート(400)を把持するとき、スピニングリール(15)の脚柱(15C)はユーザーの中指と薬指の間に挟まれるようになり得る。この場合、スプール(15D)はユーザーの手の甲及び脚柱(15C)よりもさらに下側に位置することができる。また、中指は、前方リール脚(15A)の下側面を把持し、薬指は、後方リール脚(15B)の上側面を把持することができる。また、親指と人差指は、円筒部(436)の外周面を把持することができ、人差指は、円筒部(436)の外周面の下側部分を把持することができる。また、小指は、可動フード(440)を把持することができる。
【0132】
図21は、
図19に示すリールシート(400)IV−IV線に沿って取った断面図である。
【0133】
ナット部(441)と押圧部(442)は、相対回転可能に連結され得る。ナット部(441)は、前端付近に、フランジ(4412)と、フランジ(4412)に隣接する係止溝(4413)と、係止溝(4413)に隣接する係止突起(4414)が形成される。フランジ(4412)と係止溝(4413)は周り方向(CD)に延長する。押圧部(442)の後端には、ナット部(441)の係止溝(4413)に係止される係止突起(4422)と、係止突起(4422)に隣接してナット部(441)の係止突起(4414)が係合される係止溝(4423)が形成される。前述の係止突起(4414)と係止溝(4423)間の係合が、押圧部(442)とナット部(441)に相対回転を提供する。
【0134】
ナット部(441)をパイプボディ(420)を中心として周り方向(CD)における一方向に回転させると、雄ねじ(426)と雌ねじ(4411)間のねじ運動により、ナット部(441)は回転しつつ、フランジ(4412)を介して押圧部(442)を固定フード(438)に向かって移動させることができる。押圧部(442)がリール脚に接触すると、ナット部(441)を若干さらに回転させるに伴い、雄ねじ(426)と雌ねじ(4411)間のねじ締結力により、押圧部(442)はリール脚をパイプボディのリール脚支持部に押圧して固定させることができる。ナット部(441)を前記一方向の反対方向に回転させると、雄ねじ(426)と雌ねじ(4411)間のねじ運動により、ナット部(441)は回転しつつ固定フードから遠ざかるように移動され得る。即ち、ナット部(441)の係止突起(4414)が押圧部(442)の係止突起(4422)を後方に引き、リール脚を押圧する押圧部(442)が固定フードから遠ざかるように移動され得る。
【0135】
図22は、
図18に示すリールシート(400)をIII−III線に沿って取った断面図である。
図23は、
図22に示すV部分を拡大した拡大図である。
【0136】
パイプボディ(420)は、竿体の軸方向(AD)に挿入されるボア(423)を内周部で限定し、リール脚支持部(425)を外周部(422)の下側に備える。
【0137】
パイプボディ(420)は、外周部(422)の高さ方向(HD)上側部分に一対のシーリング突起(4251)を備える。シーリング突起(4251)は、パイプボディ(420)の外周部(422)で幅方向(WD)に突出して軸方向(AD)に延長する。グリップボディ(430)のカバー部(431)は、シーリング突起(4251)に係合するシーリング溝(4351)を備える。互いに係合されたシーリング突起(4251)とシーリング溝(4351)により、カバー部(431)のカバーエッジ(433、434)の上側に位置する隙間(411)がシーリングされる。
【0138】
押圧部(442)は、ガイド突起(443)の幅方向(WD)内側先端から上方に延長する上方突起(444)をさらに含む。ガイド突起(443)は、押圧部(442)の前端まで延長され得る。ガイド突起(443)と上方突起(444)は、「L字状突起」を形成する。ガイド溝(427)はパイプボディ(420)の後端まで延長され得る。
【0139】
図23に示すように、上方突起(444)は、ガイド溝(427)の外側面(4271)、シーリング突起(4251)の下側面(4251A)及びカバー部(431)のカバーエッジ(434)の幅方向内側面(4341A)が形成する突起収容部(412)に収容され得る。よって、フード部(4424)に両側に開く力(FW)が作用する場合、上方突起(444)の幅方向外側面(4441)はカバーエッジ(434)の幅方向内側面(4341A)により支持され得る。
【0140】
上述のように、ガイド突起(443)と上方突起(444)はL字状突起を形成するので、リール脚によって押圧部(442)が下側に押し下げる力(FH)を受ける場合、ガイド突起(443)の下側面(4431)が側壁突起(429)の上側面(4291)と接触するようになってリール(15)を固定することができる。また、押圧部(442)に左右に開く力(FW)が作用する場合には、下方突起(444)の幅方向外側面(4441)とカバーエッジ(434)の幅方向内側面(4341A)の接触によってリール(15)を固定することができる。
【0141】
図24は、本開示の第3実施例によるリールシート(500)とスピニングリール(15)が設けられた釣り竿(5)を示す側面図である。上述の実施例で説明する構成及び重複する説明は省略する。
【0142】
本実施例において、可動フード(540)は、リールシート(500)の前方に配置され得る。リールシート(500)は、シートボディ(510)とシートボディ(510)の前方に結合される可動フード(540)を含む。シートボディ(510)はパイプボディ(520)とグリップボディ(530)を含み、グリップボディ(530)はカバー部(531)を含むことができる。また、可動フード(540)には、前方(FD)に向けて切欠された切り欠き部(5425)が形成され得る。カバー部(531)の前端部は、切り欠き部(5425)とは相補的な形状を有する。
【0143】
本実施例において、ユーザーの人差指は、可動フード(540)の下側面を把持することができる。また、カバー部(531)の上側面の前方部分には、凹部(538)が形成され得る。ユーザーは、リールシート(500)を把持するとき、凹部(538)に親指を位置させることにより、親指のグリップ感を向上させることができ、キャスティングの際に力を入れやすい。
【0144】
図25は、
図24に示すリールシート(500)をV−V線に沿って取った断面図である。
図26は、
図25に示すQ部分を拡大した拡大図である。
【0145】
パイプボディ(520)は、外周部(522)の高さ方向(HD)上側部分に一対のシーリング突起(5251)を備える。シーリング突起(5251)は、パイプボディ(520)の外周部(522)で幅方向(WD)に突出して軸方向(AD)に延長する。グリップボディ(530)のカバー部(531)は、シーリング突起(5251)に係合するシーリング溝(5351)を備える。互いに係合されたシーリング突起(5251)とシーリング溝(5351)により、カバー部(531)のカバーエッジ(533、534)の上側に位置する隙間(511)がシーリングされる。
【0146】
押圧部(542)は、ガイド突起(543)の幅方向(WD)内側先端から上方に延長する上方突起(544)をさらに含む。ガイド突起(543)は、押圧部(542)の後端まで延長され得る。ガイド突起(543)と上方突起(544)は、L字状突起を形成する。ガイド溝(527)は、パイプボディ(520)の前端まで延長され得る。
【0147】
図26に示すように、上方突起(544)は、ガイド溝(527)の外側面(5271)、シーリング突起(5251)の下側面(5251A)及びカバー部(531)のカバーエッジ(534)の幅方向内側面(5341A)が形成する突起収容部(512)に収容され得る。よって、フード部(5424)に両側に開く力(FW)が作用する場合、上方突起(544)の幅方向外側面(5441)はカバーエッジ(534)の幅方向内側面(5341A)により支持され得る。
【0148】
上述のように、ガイド突起(543)と上方突起(544)はL字状突起を形成するので、リール脚によって押圧部(542)が下側に押し下げる力(FH)を受ける場合、ガイド突起(543)の下側面(5431)が側壁突起(529)の上側面(5291)と接触するようになってリール(15)を固定することができる。また、押圧部(542)に左右に開く力(FW)が作用する場合には、下方突起(544)の幅方向外側面(5441)とカバーエッジ(534)の幅方向内側面(5341A)の接触によってリール(15)を固定することができる。
【0149】
以上、一部の実施例と添付の図面に示す例によって本開示の技術的思想が説明されたものの、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされ得るという点を知らなければならない。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属するものと考えられるべきである。