特許第6872837号(P6872837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872837
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】発振回路及び電圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/354 20060101AFI20210510BHJP
   H03K 3/03 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H03K3/354 B
   H03K3/03
   H01L27/04 T
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-110177(P2017-110177)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-207281(P2018-207281A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井桁 光昭
【審査官】 竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−512344(JP,A)
【文献】 特開2001−156261(JP,A)
【文献】 特開平10−229166(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/011364(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0179695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/00−3/86
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pチャネル型の第1のトランジスタ及びNチャネル型の第2のトランジスタを各々備えた奇数個のインバータを、リング状に結合した発振回路であって、
前記インバータの各々は、前記第1のトランジスタのボディ及び前記第2のトランジスタのボディが入力端とされ、前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインが出力端とされ、最終段のインバータを除き、前記出力端が次段のインバータの入力端に接続され、前記最終段のインバータの出力端が初段のインバータの入力端に接続され、
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、それぞれオフ状態とされている
発振回路。
【請求項2】
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのソースに接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソースに接続されている
請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのソース及びドレインから絶縁された第1のゲート配線に接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソース及びドレインから絶縁された第2のゲート配線に接続されている
請求項1に記載の発振回路。
【請求項4】
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのソースは、第1の電位を有する第1の電源ラインに接続され、前記第2のトランジスタのソースは、前記第1の電位よりも低い第2の電位を有する第2の電源ラインに接続されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項5】
Pチャネル型の第1のトランジスタ及びNチャネル型の第2のトランジスタを各々備えた奇数個のインバータをリング状に結合した発振回路と、
前記発振回路の発振周波数を計測する周波数カウンタと、
前記周波数カウンタの計測値に基づいて特定の回路を構成するトランジスタのボディに印加するボディバイアス電圧及び前記特定の回路の電源電圧の少なくとも一方を制御する制御回路と、
を含む、電圧制御装置であって、
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、それぞれオフ状態とされ、
前記インバータの各々は、前記第1のトランジスタのボディ及び前記第2のトランジスタのボディが入力端とされ、前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインが出力端とされ、最終段のインバータを除き、前記出力端が次段のインバータの入力端に接続され、前記最終段のインバータの出力端が初段のインバータの入力端に接続されている
電圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、発振回路及び電圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リングオシレータを含む半導体装置に関する技術として、以下の技術が知られている。例えば、奇数個の単位回路により構成されたリングオシレータの単位回路が、定常的にオフ状態とされたMOSFETからなる温度センサと、インバータと、を含むものが知られている。
【0003】
また、漏洩モードで作動する電流制限トランジスタを含む複数のトライステートインバータを備えたリングオシレータが知られている。
【0004】
また、モニタ用トランジスタによって検出されたリーク電流に比例した電圧を、発振回路及びチャージポンプ回路により発生させて出力トランジスタのバックゲートに供給することで、出力トランジスタの出力電圧の変動を抑制する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/141870号
【特許文献2】特開2011−100993号公報
【特許文献3】特開2013−109699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、IoT(Internet of Things)用途のLSI(Large Scale Integration)においては、低消費電力化のために電源電圧を0.5V程度にまで下げる要求がある。また、電源電圧の低下に伴って回路の動作周波数が過度に低くなることを防止するために、回路を構成する各トランジスタのボディに0.5V程度のFBB(Forward Body Bias:ボディ順バイアス)が印加される場合がある。なお、FBBが0.5V程度またはこれよりも小さい場合には、トランジスタのボディ−ソース間のPN接合における順方向電流は微小であるが、サブスレッショルドリークは比較的大きくなる。サブスレッショルドリークとは、トランジスタのソース−ドレイン間におけるリーク電流である。
【0007】
サブスレッショルドリークは、LSIの製造バラツキ、電圧バラツキ、使用温度などのバラツキ要因(以下、PVTバラツキという)によって大きく変動する。サブスレッショルドリークが変動するとバッテリーの使用可能時間及び発熱に影響する。このため、PVTバラツキに対してサブスレッショルドリークを一定値以下に制御することが好ましい。
【0008】
サブスレッショルドリークの削減手法として、回路の非動作時に電源供給を停止するパワーゲーティングがある。しかしながら、常時動作する回路ブロックに対しては、パワーゲーティングを適用することはできない。
【0009】
サブスレッショルドリークを一定値以下に制御するには、サブスレッショルドリーク自体を高精度にモニタリングすることが必要であると考えられる。奇数個のインバータをリング状に連結したリングオシレータの発振周波数からサブスレッショルドリークを推定する手法が考えられる。しかしながら、従来のリングオシレータの発振周波数は、サブスレッショルドリークよりもむしろトランジスタのオン電流に対して強く依存する。従って、従来のリングオシレータでは、サブスレッショルドリークを高精度にモニタリングすることが困難である。
【0010】
開示の技術は、トランジスタのサブスレッショルドリークを従来よりも高精度にモニタリングすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の技術に係る発振回路は、Pチャネル型の第1のトランジスタ及びNチャネル型の第2のトランジスタを各々備えた奇数個のインバータを、リング状に結合した発振回路である。前記インバータの各々は、前記第1のトランジスタのボディ及び前記第2のトランジスタのボディが入力端とされ、前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインが出力端とされている。最終段のインバータを除き、前記出力端が次段のインバータの入力端に接続され、前記最終段のインバータの出力端が初段のインバータの入力端に接続されている。前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、それぞれオフ状態とされている。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術によれば、トランジスタのサブスレッショルドリークを従来よりも高精度にモニタリングすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】開示の技術の実施形態に係るリングオシレータの構成の一を示す等価回路図である。
図2】開示の技術の実施形態に係るリングオシレータの断面構造の一例を示す図である。
図3】開示の技術の実施形態に係るリングオシレータについて、回路シミュレーションを実施することにより取得した、発振動作時における各ノードの電圧波形を示す図である。
図4】開示の技術の実施形態に係るリングオシレータの構成の一を示す等価回路図である。
図5】開示の技術の実施形態に係る電圧制御装置の構成を示すブロック図である。
図6】開示の技術の他の実施形態に係るリングオシレータの構成の一例を示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、開示の技術の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の第1の実施形態に係るリングオシレータ100の構成の一を示す等価回路図である。
【0016】
リングオシレータ100は、リング状に連結された奇数個のインバータ10_1、10_2及び10_3を含んで構成されている。なお、図1では、3個のインバータ10_1、10_2及び10_3によってリングオシレータ100を構成する場合を例示しているが、インバータの個数は5個以上であってもよい。リングオシレータ100において、インバータ10_1が初段のインバータであり、インバータ10_3が最終段のインバータである。
【0017】
インバータ10_1は、Pチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、以下P−MOSと表記する)11_1と、Nチャネル型のMOSFET(以下、N−MOSと表記する)12_1とを含んで構成されている。同様に、インバータ10_2は、P−MOS11_2と、N−MOS12_2とを含んで構成され、インバータ10_3は、P−MOS11_3と、N−MOS12_3とを含んで構成されている。
【0018】
P−MOS11_1は、ソースS及びゲートGが、電位Vddを有する電源ライン14に接続され、ドレインDが、N−MOS12_1のドレインに接続され、ボディBがN−MOS12_1のボディBに接続されている。P−MOS11_1は、ゲートGが、ソースSと同電位に固定されることで、常時オフ状態を維持する。N−MOS12_1のソースS及びゲートGは、電位Vddよりも低い電位Vssを有する電源ライン15に接続されている。電位Vssはグランド電位であってもよい。N−MOS12_1は、ゲートGが、ソースSと同電位に固定されることで、常時オフ状態を維持する。相互に接続されたP−MOS11_1のボディB及びN−MOS12_1のボディBが、インバータ10_1の入力端とされ、相互に接続されたP−MOS11_1のドレインD及びN−MOS12_1のドレインDが、インバータ10_1の出力端とされている。なお、本明細書において、トランジスタのオフ状態とは、ゲート直下に形成される反転層(チャネル)によって、ソースSとドレインDとが繋がっていない状態を意味する。反転層がソースS−ドレインD間において部分的に形成されている状態はオフ状態に含まれる。
【0019】
インバータ10_2において、P−MOS11_2とN−MOS12_2との接続関係は、インバータ10_1におけるP−MOS11_1とN−MOS12_1との接続関係と同様である。相互に接続されたP−MOS11_2のボディB及びN−MOS12_2のボディBが、インバータ10_2の入力端とされ、相互に接続されたP−MOS11_2のドレインD及びN−MOS12_2のドレインDが、インバータ10_2の出力端とされている。
【0020】
インバータ10_3において、P−MOS11_3とN−MOS12_3との接続関係は、インバータ10_1におけるP−MOS11_1とN−MOS12_1との接続関係と同様である。相互に接続されたP−MOS11_3のボディB及びN−MOS12_3のボディBが、インバータ10_3の入力端とされ、相互に接続されたP−MOS11_3のドレインD及びN−MOS12_3のドレインDが、インバータ10_3の出力端とされている。
【0021】
初段のインバータ10_1の出力端である、P−MOS11_1のドレインD及びN−MOS12_1のドレインDは、次段のインバータ10_2の入力端であるP−MOS11_2のボディB及びN−MOS12_2のボディBに接続されている。次段のインバータ10_2の出力端である、P−MOS11_2のドレインD及びN−MOS12_2のドレインDは、最終段のインバータ10_3の入力端であるP−MOS11_3のボディB及びN−MOS12_3のボディBに接続されている。最終段のインバータ10_3の出力端である、P−MOS11_3のドレインD及びN−MOS12_3のドレインDは、初段のインバータ10_1の入力端であるP−MOS11_1のボディB及びN−MOS12_1のボディBに接続されている。また、最終段のインバータ10_3の出力端であるP−MOS11_3のドレインD及びN−MOS12_3のドレインDは、リングオシレータ100の出力端子13にも接続されている。
【0022】
図2は、リングオシレータ100の断面構造の一例を示す図である。リングオシレータ100を構成する各トランジスタは、P型のシリコン基板20に形成されている。P−MOS11_1、11_2及び11_3は、それぞれ、シリコン基板20の表層部に形成されたN型半導体からなるNウェル23をボディBとして有する。Nウェル23内に形成された比較的高濃度のP型の拡散層が、P−MOS11_1、11_2及び11_3のソースS及びドレインDとして機能する。また、Nウェル23内に形成された比較的高濃度のN型の拡散層BCが、ボディコンタクトとして機能する。
【0023】
N−MOS12_1、12_2及び12_3は、それぞれ、シリコン基板20の表層部に形成されたP型半導体からなるPウェル22をボディBとして有する。Pウェル22内に形成された比較的高濃度のN型の拡散層が、N−MOS12_1、12_2及び12_3のソースS及びドレインDとして機能する。また、Pウェル22内に形成された比較的高濃度のP型の拡散層BCが、ボディコンタクトとして機能する。Pウェル22は、N型半導体からなるNウェル21内に形成されている。Pウェル22をNウェル21で囲むことにより、Pウェル22はシリコン基板20から絶縁分離される。Nウェル21内に形成された比較的高濃度のN型の拡散層NWが、コンタクト層として機能する。Nウェル21は、配線を介して電位Vddを有する電源ライン14に接続されている。
【0024】
シリコン基板20の表面には、各トランジスタのソースS及びドレインDの間に、例えばポリシリコンを含んで構成されるゲートGがゲート絶縁膜を介して設けられている。各トランジスタは、SiO等の絶縁体で構成される素子分離領域25によって互いに絶縁分離される。
【0025】
P−MOS11_1、11_2及び11_3のゲートG及びソースSは、配線を介して電位Vddを有する電源ライン14に接続されている。N−MOS12_1、12_2及び12_3のゲートG及びソースSは、配線を介して電位Vssを有する電源ライン15に接続されている。
【0026】
以下に、リングオシレータ100の動作について説明する。初期状態において、初段のインバータ10_1の入力端であるP−MOS11_1のボディB及びN−MOS12_1のボディBに、電位Vdd(ハイレベル電位)が印加されるものとする。この場合、N−MOS12_1に対してFBB(順方向ボディバイアス)が印加されることになり、N−MOS12_1のサブスレッショルドリーク(以下単にリーク電流ともいう)が大きくなる。一方、P−MOS11_1に対してはFBBが印加されず、P−MOS11_1のリーク電流は、N−MOS12_1のリーク電流よりも小さくなる。このように、N−MOS12_1のリーク電流が、P−MOS11_1のリーク電流よりも大きくなることで、初段のインバータ10_1の出力端であるP−MOS11_1のドレインD及びN−MOS12_1のドレインDの電位は、Vss(ローレベル電位)となる。
【0027】
初段のインバータ10_1の出力端の電位がVss(ローレベル電位)となることで、次段のインバータ10_2の入力端であるP−MOS11_2のボディB及びN−MOS12_2のボディBに、電位Vss(ローレベル電位)が印加される。これにより、P−MOS11_2に対してFBBが印加され、P−MOS11_2のリーク電流は大きくなる。一方、N−MOS12_2に対しては、FBBが印加されず、N−MOS12_2のリーク電流は、P−MOS11_2のリーク電流よりも小さくなる。このように、P−MOS11_2のリーク電流が、N−MOS12_2のリーク電流よりも大きくなることで、次段のインバータ10_2の出力端であるP−MOS11_2のドレインD及びN−MOS12_2のドレインDの電位は、Vdd(ハイレベル電位)となる。
【0028】
次段のインバータ10_2の出力端の電位がVdd(ハイレベル電位)となることで、最終段のインバータ10_3の入力端であるP−MOS11_3のボディB及びN−MOS12_3のボディBに、電位Vdd(ハイレベル電位)が印加される。これにより、N−MOS12_3に対してFBBが印加され、N−MOS12_3のリーク電流は大きくなる。一方、P−MOS11_3に対しては、FBBが印加されず、P−MOS11_3のリーク電流は、N−MOS12_3のリーク電流よりも小さくなる。このように、N−MOS12_3のリーク電流が、P−MOS11_3のリーク電流よりも大きくなることで、最終段のインバータ10_3の出力端であるP−MOS11_3のドレインD及びN−MOS12_3のドレインDの電位は、Vss(ローレベル電位)となる。
【0029】
最終段のインバータ10_3の出力端の電位がVss(ローレベル電位)となることで、初段のインバータ10_1の入力端に、電位Vss(ローレベル電位)が印加される。これにより、初段のインバータ10_1の出力端の電位は、Vss(ローレベル電位)からVdd(ハイレベル電位)に反転する。これに応じて次段のインバータ10_2の出力端の電位は、Vdd(ハイレベル電位)からVss(ローレベル電位)に反転する。その結果、最終段のインバータ10_3の出力端の電位は、Vss(ローレベル電位)からVdd(ハイレベル電位)に反転する。上記の動作を繰り返すことで、リングオシレータ100の出力端子13からは、VddとVssとの間で振動する発振信号SOSCが出力される。
【0030】
P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3は、それぞれ常時オフ状態を維持しているので、発振信号SOSCの周波数は、これらのトランジスタのオン電流には依存しない。すなわち、発振信号SOSCの周波数は、P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3のサブスレッショルドリークに対する相関性が極めて高い。発振信号SOSCの周波数は、P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3のサブスレッショルドリークの大きさに略比例する。例えば、特定の回路を構成するトランジスタと同じ構造及びサイズのトランジスタを用いてリングオシレータ100を構成して発振信号SOSCを取得する。これにより、上記特定回路を構成するトランジスタのサブスレッショルドリークの大きさを高精度にモニタリングすることができる。
【0031】
ここで、図3は、図4に示す5段構成のインバータ10_1〜10_5を含むリングオシレータ100について、回路シミュレーションを実施することにより取得した、発振動作時における各ノードn0〜n4の電圧波形を示す図である。なお、ノードn0は、インバータ10_5の出力端(インバータ10_1の入力端)である。ノードn1は、インバータ10_1の出力端(インバータ10_2の入力端)である。ノードn2は、インバータ10_2の出力端(インバータ10_3の入力端)である。ノードn3は、インバータ10_3の出力端(インバータ10_4の入力端)である。ノードn4は、インバータ10_4の出力端(インバータ10_5の入力端)である。図3に示すように、各ノードn0〜n4の電位が、ハイレベル電位とローレベル電位との間で振動しており、リングオシレータ100が適切に発振動作を行うことが確認できた。
【0032】
本実施形態に係るリングオシレータ100によれば、発振信号SOSCの周波数は、P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3のリーク電流の大きさに応じたものとなる。従って、P−MOS及びN−MOSが交互にオン状態となる従来のリングオシレータと比較して、低い周波数の発振信号SOSCを得ることができる。従って、従来のリングオシレータと比較して、発振動作時に消費される充放電電力を小さくすることができる。また、従来のリングオシレータと比較して、インバータの段数を少なくすることができる。
【0033】
図5は、リングオシレータ100を含んで構成される、開示の技術の実施形態に係る電圧制御装置200の構成を示すブロック図である。電圧制御装置200は、リングオシレータ100によってモニタされたリーク電流に基づいて主回路300に対してABB(Adaptive Body Bias:ボディバイアス適応制御)及びASV(Adaptive Supply Voltage:電源電圧適応制御)を行う。主回路300は、特定の機能を持つ回路ブロックであり、半導体チップに搭載されている。なお、電圧制御装置200は、主回路300を構成する半導体チップと同一の半導体チップに搭載されていてもよいし、主回路300とは別の半導体チップに搭載されていてもよい。
【0034】
電圧制御装置200は、リングオシレータ100の他、分周器201、周波数カウンタ202、ボディバイアス制御回路203及び電源電圧制御回路204を含んでいる。分周器201は、リングオシレータ100から出力される発振信号SOSCの周波数をn分の1(nは自然数)にした分周信号Sを出力する。周波数カウンタ202は、分周信号Sの単位時間あたりのパルス数をカウントすることにより、分周信号Sの周波数を示す周波数検出信号fを出力する。
【0035】
ボディバイアス制御回路203は、周波数検出信号fに応じて、主回路300を構成する各トランジスタのボディに印加される順方向のボディバイアス電圧FBBの大きさを制御する。より具体的には、ボディバイアス制御回路203は、周波数検出信号fによって示される周波数が高い程(すなわち、リングオシレータ100によってモニタされるリーク電流の大きさが大きい程)、主回路300を構成する各トランジスタのボディに印加される順方向のボディバイアス電圧VFBBを小さくする。なお、ボディバイアス制御回路203は、周波数検出信号fによって示される周波数が高い程(すなわち、リングオシレータ100によってモニタされるリーク電流の大きさが大きい程)、逆方向のボディバイアス電圧を大きくしてもよい。
【0036】
電源電圧制御回路204は、周波数検出信号fに応じて、主回路300に供給される電源電圧VDDの大きさを制御する。より具体的には、電源電圧制御回路204は、周波数検出信号fによって示される周波数が高い程(すなわち、リングオシレータ100によってモニタされるリーク電流の大きさが大きい程)、主回路300に供給される電源電圧VDDの大きさを小さくする。
【0037】
上記のように、電圧制御装置200は、リングオシレータ100によってモニタされるリーク電流(サブスレッショルドリーク)の大きさが大きい程、主回路300を構成する各トランジスタのボディに印加される順方向のボディバイアス電圧VFBBが小さくなるように制御する。また、リングオシレータ100によってモニタされるリーク電流(サブスレッショルドリーク)の大きさが大きい程、主回路300に供給される電源電圧VDDの大きさが小さくなるように制御する。これにより、主回路300を構成する各トランジスタにおけるサブスレッショルドリークを、PVTバラツキに対して一定値以下に抑えることが可能となる。電圧制御装置200によれば、リングオシレータ100によってリーク電流の高精度なモニタを実現することができるので、主回路300に対するABB及びASVを適切に行うことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態に係る電圧制御装置200によれば、リングオシレータ100の発振周波数を従来のリングオシレータと比較して低くすることができる。従って、従来のリングオシレータを用いて、電圧制御装置を構成する場合と比較して、分周器201の分周数を小さくし、周波数カウンタ202におけるカウント上限値を小さくすることができ、回路面積を小さくすることができる。なお、リングオシレータ100の発振周波数を、周波数カウンタ202によって直接計測できる場合には、分周器201を省略することが可能である。リングオシレータ100の発振周波数を従来のリングオシレータと比較して低くすることができるので、リングオシレータ100の発振周波数を、周波数カウンタ202によって直接計測することは比較的容易である。
【0039】
本実施形態では、電圧制御装置200がボディバイアス制御回路203及び電源電圧制御回路204の双方を備える構成を例示したが、電圧制御装置200がボディバイアス制御回路203及び電源電圧制御回路204のうちの一方を備える構成としてもよい。
【0040】
[第2の実施形態]
図6は、開示の技術の第2の実施形態に係るリングオシレータ100Aの構成の一例を示す等価回路図である。リングオシレータ100Aは、P−MOS11_1、11_2、11_3のゲートGがゲート配線16に接続され、N−MOS12_1、12_2、12_3のゲートGがゲート配線17に接続されている点が、第1の実施形態に係るリングオシレータ100と異なる。ゲート配線16及びゲート配線17は、P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3のソースS及びドレインDから絶縁されている。ゲート配線16及び17は、それぞれ、外部接続端子(図示せず)に接続されており、ゲート配線16及び17に対して外部から任意の電位を印加することが可能となっている。ゲート配線16に印加される電位Vgpは、電位Vddよりも大きくてもよいし、小さくてもよいが、P−MOS11_1、11_2、11_3がオフ状態を維持する電位とされる。同様に、ゲート配線17に印加される電位Vgnは、電位Vssよりも大きくてもよいし、小さくてもよいが、N−MOS12_1、12_2、12_3がオフ状態を維持する電位とされる。
【0041】
例えば、Vgn>Vssとし、Vgp<Vddとすることで、第1の実施形態に係るリングオシレータ100と比較して、P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3のリーク電流が大きくなる。これにより、リングオシレータ100Aの発振周波数を、第1の実施形態に係るリングオシレータ100と比較して、高くすることができる。一方、Vgn<Vssとし、Vgp>Vddとすることで、第1の実施形態に係るリングオシレータ100と比較して、P−MOS11_1、11_2、11_3及びN−MOS12_1、12_2、12_3のリーク電流が小さくなる。これにより、リングオシレータ100Aの発振周波数を、第1の実施形態に係るリングオシレータ100と比較して、低くすることができる。
【0042】
なお、リングオシレータ100及び100Aは、開示の技術における発振回路の一例である。P−MOS11_1〜11_3は、開示の技術における第1のトランジスタの一例である。N−MOS12_1〜12_3は、開示の技術における第2のトランジスタの一例である。インバータ10_1〜10_3は、開示の技術におけるインバータの一例である。インバータ10_3は、開示の技術における最終段のインバータの一例である。インバータ10_1は、開示の技術における初段のインバータの一例である。ゲート配線16は、開示の技術における第1のゲート配線の一例である。ゲート配線17は、開示の技術における第2のゲート配線の一例である。電源ライン14は、開示の技術における第1の電源ラインの一例である。電源ライン15は、開示の技術における第2の電源ラインの一例である。周波数カウンタ202は、開示の技術における周波数カウンタの一例である。ボディバイアス制御回路203及び電源電圧制御回路204は、開示の技術における制御回路の一例である。電圧制御装置200は、開示の技術における電圧制御装置の一例である。
【0043】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0044】
(付記1)
Pチャネル型の第1のトランジスタ及びNチャネル型の第2のトランジスタを各々備えた奇数個のインバータを、リング状に結合した発振回路であって、
前記インバータの各々は、前記第1のトランジスタのボディ及び前記第2のトランジスタのボディが入力端とされ、前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインが出力端とされ、最終段のインバータを除き、前記出力端が次段のインバータの入力端に接続され、前記最終段のインバータの出力端が初段のインバータの入力端に接続され、
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、それぞれオフ状態とされている
発振回路。
【0045】
(付記2)
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのソースに接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソースに接続されている
付記1に記載の発振回路。
【0046】
(付記3)
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのソース及びドレインから絶縁された第1のゲート配線に接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソース及びドレインから絶縁された第2のゲート配線に接続されている
付記1に記載の発振回路。
【0047】
(付記4)
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのソースは、第1の電位を有する第1の電源ラインに接続され、前記第2のトランジスタのソースは、前記第1の電位よりも低い第2の電位を有する第2の電源ラインに接続されている
付記1から付記3のいずれか1つに記載の発振回路。
【0048】
(付記5)
前記第1のトランジスタのボディは、半導体基板に設けられたN型半導体からなる第1のウェルにより構成され、前記第2のトランジスタのボディは、前記半導体基板に設けられたP型半導体からなる第2のウェルにより構成される
付記1から付記4のいずれか1つに記載の発振回路。
【0049】
(付記6)
前記第2のウェルは、N型半導体からなる第3のウェル内に設けられている
付記5に記載の発振回路。
【0050】
(付記7)
Pチャネル型の第1のトランジスタ及びNチャネル型の第2のトランジスタを各々備えた奇数個のインバータをリング状に結合した発振回路と、
前記発振回路の発振周波数を計測する周波数カウンタと、
前記周波数カウンタの計測値に基づいて特定の回路を構成するトランジスタのボディに印加するボディバイアス電圧及び前記特定の回路の電源電圧の少なくとも一方を制御する制御回路と、
を含む、電圧制御装置であって、
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、それぞれオフ状態とされ、
前記インバータの各々は、前記第1のトランジスタのボディ及び前記第2のトランジスタのボディが入力端とされ、前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインが出力端とされ、最終段のインバータを除き、前記出力端が次段のインバータの入力端に接続され、前記最終段のインバータの出力端が初段のインバータの入力端に接続されている
電圧制御装置。
【0051】
(付記8)
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのソースに接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソースに接続されている
付記7に記載の電圧制御装置。
【0052】
(付記9)
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのソース及びドレインから絶縁された第1のゲート配線に接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソース及びドレインから絶縁された第2のゲート配線に接続されている
付記7に記載の電圧制御装置。
【0053】
(付記10)
前記インバータの各々において、前記第1のトランジスタのソースは、第1の電位を有する第1の電源ラインに接続され、前記第2のトランジスタのソースは、前記第1の電位よりも低い第2の電位を有する第2の電源ラインに接続されている
付記7から付記9のいずれか1つに記載の電圧制御装置。
【0054】
(付記11)
前記第1のトランジスタのボディは、半導体基板に設けられたN型半導体からなる第1のウェルにより構成され、前記第2のトランジスタのボディは、前記半導体基板に設けられたP型半導体からなる第2のウェルにより構成される
付記7から付記10のいずれか1つに記載の電圧制御装置。
【0055】
(付記12)
前記第2のウェルは、N型半導体からなる第3のウェル内に設けられている
付記11に記載の電圧制御装置。
【符号の説明】
【0056】
10_1〜10_3 インバータ
11_1〜11_3 P−MOS
12_1〜12_3 N−MOS
14、15 電源ライン
16、17 ゲート配線
100、100A リングオシレータ
200 電圧制御装置
201 分周器
202 周波数カウンタ
203 ボディバイアス制御回路
204 電源電圧制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6