(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、二次電池の性能を向上させることができる電極材料(負極(anode)材料)を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題はまた、二次電池の充電容量を高めることができる電極材料を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題はまた、二次電池の安定性及び耐久性を向上させることができる電極材料を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題はまた、フレキシブル(flexible)な特性を有する電極材料を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする課題はまた、前記電極材料を含む二次電池を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題はまた、前記電極材料の形成方法、及びそれを適用した二次電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、二次電池用負極材料において、相互連結されたグラフェン骨格と、それらの間及び周囲に存在する複数の気孔と、を有するグラフェンフォーム構造体(graphene foam structure);及び前記グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に存在する複数のナノ構造体;を含む負極材料が提供される。
【0011】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、ナノパーティクル(nanoparticle)構造またはナノロッド(nanorod)構造を有することができる。
【0012】
前記複数のナノ構造体は、前記二次電池の充放電時、イオンの吸蔵/放出が可能な物質を含んでもよい。
【0013】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、インジウム(In)、SnS
2、SnO
2及びFe
2O
3のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0014】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、Siから形成されてもよい。
【0015】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、例えば、5nmないし200nmほどの直径を有することができる。
【0016】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、ナノロッド構造を有することができる。前記ナノロッド構造の少なくとも一端に合金部が具備されてもよい。
【0017】
前記負極材料において、前記複数のナノ構造体の含有量は、1〜50wt%ほどでもある。
【0018】
前記グラフェンフォーム構造体の気孔率(porosity)は、5〜90%ほどでもある。
【0019】
前記複数の気孔のうち少なくとも一つは、10nmないし1,000μmほどのサイズを有することができる。
【0020】
前記グラフェンフォーム構造体は、シート形態を有することができる。
【0021】
前記グラフェンフォーム構造体は、パーティクル形態を有することができる。
【0022】
前記パーティクル形態を有する複数のグラフェンフォーム構造体が、1枚のフィルムを構成することができる。
【0023】
前記負極材料は、前記グラフェンフォーム構造体内に具備された金属テンプレートフォーム構造体(metal template foam structure)をさらに含んでもよい。
【0024】
前記グラフェンフォーム構造体は、前記グラフェン骨格内部に空スペースが存在するホロウ(hollow)構造を有することができる。
【0025】
本発明の他の側面によれば、前述の負極材料を含む負極と、前記負極と離隔して配置された正極と、前記負極と正極との間のイオン移動のために具備された電解質と、を含む二次電池が提供される。
【0026】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体に接合されたものであり、前記負極材料を含む負極活物質と、を含んでもよい。
【0027】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体に接合された正極活物質と、を含んでもよい。
【0028】
前記二次電池は、リチウム電池でもある。
【0029】
前記二次電池は、フレキシブル電池でもある。
【0030】
本発明の他の側面によれば、二次電池用負極材料の形成方法において、複数の気孔を有するグラフェンフォーム構造体を形成する段階と、前記グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、複数のナノ構造体を形成する段階と、を含む負極材料の形成方法が提供される。
【0031】
前記グラフェンフォーム構造体を形成する段階は、テンプレートフォーム構造体を設ける段階と、前記テンプレートフォーム構造体の表面上に、グラフェン層を形成する段階と、を含んでもよい。
【0032】
前記グラフェン層を形成する段階は、気体ソースを利用したCVD(chemical vapor deposition)方法によって、前記グラフェン層を形成する段階を含むか、あるいは前記テンプレートフォーム構造体の表面上に炭素含有層を形成した後、前記炭素含有層を熱処理する方法によって、前記グラフェン層を形成する段階を含んでもよい。
【0033】
前記グラフェン層を形成する段階後、前記テンプレートフォーム構造体を除去する段階をさらに含んでもよい。
【0034】
前記グラフェン層を形成する段階と、前記テンプレートフォーム構造体を除去する段階との間に、前記グラフェン層上に保護層を形成する段階と、前記テンプレートフォーム構造体を除去する段階後、前記保護層を除去する段階と、をさらに含んでもよい。
【0035】
前記複数のナノ構造体を形成する段階は、前記ナノ構造体のソースガスを利用するCVD方法によって、前記複数の気孔内に、前記複数のナノ構造体を成長させる段階を含んでもよい。
【0036】
前記グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、前記複数のナノ構造体を形成する段階は、前記グラフェンフォーム構造体と別個に、前記複数のナノ構造体を設ける段階と、所定の溶液内で、前記グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、前記複数のナノ構造体を吸着させる段階と、前記複数のナノ構造体が吸着された前記グラフェンフォーム構造体を前記溶液から取り出して熱処理する段階と、を含んでもよい。
【0037】
前記グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、前記複数のナノ構造体を形成する段階は、前記グラフェンフォーム構造体と別個に、前記複数のナノ構造体を設ける段階と、前記複数のナノ構造体と、前記グラフェンフォーム構造体とをバインダと共に混合して混合物質を形成する段階と、前記混合物質を所定の基板上に塗布して薄膜を形成する段階と、前記薄膜を熱処理する段階と、を含んでもよい。
【0038】
前記複数のナノ構造体を形成する段階は、前記グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に複数のシード要素を形成する段階と、前記複数のシード要素から、CVD方法によって、前記複数のナノ構造体を成長させる段階と、を含んでもよい。
【0039】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、ナノパーティクル構造またはナノロッド構造を有することができる。
【0040】
前記複数のナノ構造体のうち少なくとも一つは、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、インジウム(In)、SnS
2、SnO
2及びFe
2O
3のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0041】
本発明の他の側面によれば、負極、正極及び電解質を含む二次電池の製造方法において、前述の方法を利用して負極材料を形成する段階を含む二次電池の製造方法が提供される。
【0042】
前記二次電池の製造方法は、前記負極を形成する段階と、前記正極を形成する段階と、前記負極と正極との間に電解質を提供する段階と、を含み、前記負極を形成する段階は、前述の方法によって、前記負極材料を形成する段階を含んでもよい。
【0043】
前記負極を形成する段階は、負極集電体を形成する段階と、前記負極集電体に接合された負極活物質を形成する段階と、を含んでもよい。前記負極活物質は、前記負極材料を含むように形成することができる。
【0044】
前記正極を形成する段階は、正極集電体を形成する段階と、前記正極集電体に接合された正極活物質を形成する段階と、を含んでもよい。
【0045】
前記二次電池は、リチウム電池でもある。
【0046】
前記二次電池は、フレキシブル電池でもある。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、二次電池の性能を向上させることができる電極材料を具現することができる。また、本発明によれば、二次電池の充電容量を高めることができる電極材料を具現することができる。また、本発明によれば、二次電池の安定性及び耐久性を向上させることができる電極材料を具現することができる。また、本発明によれば、フレキシブル一電極材料を具現することができる。
【0048】
該電極材料を適用すれば、充電容量が大きく、安定性及び耐久性にすぐれ、電気的性能が改善された二次電池を具現することができる。該電極材料を適用すれば、フレキシブル電池を具現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態による電極材料、それを含む二次電池、及びそれらの製造方法について、添付された図面を参照して詳細に説明する。添付された図面に図示された層や領域の幅及び厚みは、明細書の明確性のために若干誇張されるように図示されている。詳細な説明全体にわたって同一参照番号は、同一構成要素を示す。
【0051】
図1は、本発明の一実施形態による電極材料を示す図面である。本実施形態による電極材料は、「複合材料(composite material or complex material)」でもある。本実施形態の電極材料は、例えば、二次電池用負極材料として使用される。
【0052】
図1を参照すれば、本実施形態による電極材料は、グラフェンフォーム構造体(graphene foam structure)100を含んでもよい。グラフェンフォーム構造体100は、相互連結されたグラフェン骨格(graphene skeletons)と、それらの間及び周囲に存在する複数の気孔と、を有することができる。複数の気孔のうち少なくとも一部は、互いに連結されている。グラフェンフォーム構造体100は、多孔性構造(porous structure)を有するといえる。複数の気孔は、約10nmないし1,000μmほどのサイズ(直径)を有することができる。例えば、複数の気孔は、数十nmないし数百μmほどのサイズ(直径)を有することができる。グラフェンフォーム構造体100の気孔率(porosity)は、約5%ないし90%ほど、例えば、約20%ないし90%ほどでもある。場合によっては、グラフェンフォーム構造体100の気孔率は、90%以上でもある。
【0053】
グラフェンフォーム構造体100は、グラフェンケージ(graphene cage)構造を含むといえる。グラフェンフォーム構造体100は、複数のグラフェンケージが相互連結された構造を有するといえる。また、グラフェンフォーム構造体100は、グラフェン(グラフェン骨格)が三次元的にネットワーク構造を形成したものと見ることもできる。グラフェンフォーム構造体100を構成するグラフェン層(グラフェン骨格)は、約300層以下(あるいは、約100層以下)のグラフェンから構成され、約100nm以下の厚みを有することができる。グラフェンフォーム構造体100を構成するグラフェン層は、ラマン分光法によって測定されるI
D/I
G比が2以下であり、I
2D/I
G比が0.5以上である炭素構造物でもある。ここで、I
Dは、ラマンスペクトルにおいて、1,300〜1,400cm
−1の波数範囲(wave number range)にあるピーク(peak)の強度であり、I
Gは、1,580〜1,620cm
−1の波数範囲にあるピークの強度であり、I
2Dは、2,700cm
−1近傍にあるピークの強度である。I
D/I
G比が2以下であり、I
2D/I
G比が0.5以上であるというのは、グラフェン層がすぐれた結晶構造を有するということを意味する。
【0054】
本実施形態による電極材料は、グラフェンフォーム構造体100の複数の気孔内に存在する複数のナノ構造体200を含んでもよい。グラフェンフォーム構造体100内に、複数のナノ構造体200が埋め込まれている(embedded)といえる。グラフェンフォーム構造体100がグラフェンケージ構造を含むという場合、グラフェンケージ構造内に、複数のナノ構造体200が埋め込まれているといえる。複数のナノ構造体200は、グラフェン骨格外側において、複数の気孔内に存在することができる。複数のナノ構造体200は、グラフェン骨格の表面に接触されてもいる。複数のナノ構造体200は、グラフェンフォーム構造体100内に、比較的均一に分散して存在することができる。複数のナノ構造体200は、ナノパーティクル構造またはナノロッド構造を有することができる。
図1には、ナノ構造体200がナノパーティクル形態である場合が図示されている。場合によっては、複数のナノ構造体200のうち一部は、ナノパーティクル形態を有し、他の一部は、ナノロッド構造を有することができる。ナノ構造体200の形態は、多様に変更される。複数のナノ構造体200は、例えば、約5nmないし200nmほどのサイズ(直径)を有することができる。場合によっては、複数のナノ構造体200のうち少なくとも一部は、200nm以上のサイズ(直径)を有することもできる。
【0055】
本実施形態による電極材料が二次電池に適用される場合、前記電極材料は、二次電池の負極(anode)材料として使用される。このとき、複数のナノ構造体200は、二次電池の充放電時イオンの吸蔵/放出が可能な物質を含んでもよい。具体的な例として、前記電極材料がリチウム電池に適用される場合、ナノ構造体200は、リチウムイオンの吸蔵/放出が可能な物質を含んでもよい。そのような物質としては、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、インジウム(In)、SnS
2、SnO
2、Fe
2O
3などが使用される。特に、シリコン(Si)の場合、リチウムイオンの吸蔵/放出特性にすぐれる。リチウム電池の充電時、リチウムイオンは、正極(cathode)から負極(anode)に移動することができるが、このとき、ナノ構造体200は、リチウムイオンを収容する役割を行う。負極によるリチウムイオンの収容は、リチウムインターカレーション(Li intercalation)またはリチウム化(lithiation)ということができる。リチウム電池の放電時、リチウムイオンは、負極から正極に移動することができるが、このとき、ナノ構造体200は、リチウムイオンを放出する役割を行う。負極によるリチウムイオンの放出は、リチウムデインターカレーション(Li deintercalation)または脱リチウム化(delithiation)ということができる。グラフェンフォーム構造体100のグラフェンも、リチウムインターカレーション及び脱リチウム化に寄与することができるが、ナノ構造体200によるリチウムインターカレーション及び脱リチウム化の比率が、グラフェンフォーム構造体100によるものよりはるかに大きくなる。従って、複数のナノ構造体200が具備されることにより、二次電池の容量が大きく増大する。
【0056】
複数のナノ構造体200が、所定のイオン(例えば、リチウムイオン)を収容する場合、ナノ構造体200の体積が増加する。言い換えれば、前記電極材料を含む二次電池が充電される場合、ナノ構造体200の体積が大きくなる。例えば、ナノ構造体200それぞれは、直径の70%ほどまでその体積が膨脹する。本発明の実施形態において、ナノ構造体200は、グラフェンフォーム構造体100の気孔内で膨脹し、ナノ構造体200の膨脹サイズは、気孔内で制御される。従って、ナノ構造体200の体積が増加しても、電極材料全体の体積、またはグラフェンフォーム構造体100全体の体積は増加しないか、あるいはほとんど増加しない。それと係わって、複数のナノ構造体200の平均サイズ(直径)は、グラフェンフォーム構造体100の複数の気孔の平均サイズ(直径)より小さい。また、前記電極材料において、グラフェンフォーム構造体100の重さに対する複数のナノ構造体200の含有量(wt%)、すなわち、グラフェンフォーム構造体100の重さと、複数のナノ構造体200の重さとを合わせた総重量において、複数のナノ構造体200が占める重さの比率は1〜50wt%ほどでもある。複数のナノ構造体200の含有量(wt%)は、例えば、3〜40wt%または5〜30wt%ほどでもある。また、複数のナノ構造体200は、複数の気孔の総体積の約80%未満を占めるように形成される。例えば、複数のナノ構造体200は、複数の気孔の総体積の約2%ないし70%ほどを占めるように形成される。その場合、ナノ構造体200の体積膨脹によるグラフェンフォーム構造体100の体積膨脹を効率的に防止/抑制することができる。
【0057】
図2は、
図1の電極材料において、複数のナノ構造体200の体積が膨脹した場合を示す図面である。前記電極材料が二次電池の負極材料として適用された場合、二次電池の充電によって、ナノ構造体200の体積が膨脹する。
【0058】
図2を参照すれば、複数のナノ構造体200aは、
図1のナノ構造体200より膨脹した大きさを有することができる。ナノ構造体200aは、所定イオン(例えば、リチウムイオン)を収容することにより(例えば、リチウム化)、その体積が増加する。本実施形態においては、グラフェンフォーム構造体100の複数の気孔内でナノ構造体200aの体積が増加し、ほぼ気孔サイズ以上には、ナノ構造体200aが膨脹しないために、ナノ構造体200aの体積が増加しても、グラフェンフォーム構造体100全体の体積は、増加しないか、あるいはほとんど増加しない。従って、ナノ構造体200aの体積膨脹による問題を防止または抑制することができる。
【0059】
図3は、比較例による電極構造(二次電池用負極構造)を示す断面図である。
【0060】
図3を参照すれば、比較例による電極構造は、負極板10、及びその上面に具備された負極材20を含んでもよい。負極板10は、Cuホイル(foil)でもある。負極板10は、15μm以下の厚みを有することができる。負極材20は、複数の炭素粒子5、及びそれぞれの炭素粒子5内に具備されたシリコン粒子1を含んでもよい。それぞれの炭素粒子5内に、複数のシリコン粒子1が具備されてもよい。シリコン粒子1は、「一次粒子」ともいい、炭素粒子5は、「二次粒子」であるともいえる。炭素粒子5は、グラファイト(graphite)でもある。図示されていないが、複数の炭素粒子5は、バインダ(図示せず)によってバインディング(binding)され、1枚のフィルム形態を有することができる。そのような負極材20は、炭素粉末、シリコン粉末、バインダ、溶媒などを混合してスラリー(slurry)を製造した後、前記スラリーを負極板10上にテープキャスティング(tape casting)することによって製造される。
【0061】
図3に図示されているような電極構造を、二次電池用負極として適用する場合、二次電池の充電時、シリコン粒子1の体積が膨脹することによって、負極全体の体積が容易に増加するために、二次電池が変形するという問題が発生してしまう。そのような体積膨脹問題によって、シリコン粒子1の含有量を約5wt%未満に制御する必要がある。そのように、体積膨脹問題によって、シリコン粒子1の含有量を増やし難いために、比較例による電極構造においては、二次電池の充電容量を改善し難い。また、シリコン粒子1の体積膨脹による二次電池の変形問題が発生するために、比較例による電極構造においては、二次電池の耐久性/安定性を確保し難い。また、比較例による電極構造においては、複数の炭素粒子5間に、コンタクト抵抗が存在するために、負極材20の上面と下面との間に、比較的大きい電気抵抗が発生する。そのような電気抵抗問題も、二次電池の性能向上を阻害する要因になる。
【0062】
しかし、本発明の実施形態によれば、
図1及び
図2で説明したように、ナノ構造体200の体積が増加しても、それらの体積膨脹は、ほとんどグラフェンフォーム構造体100の気孔内で行われるので、グラフェンフォーム構造体100の体積及び形態が維持される。また、グラフェンフォーム構造体100は、多量のナノ構造体200を収容することができる空間(すなわち、気孔)を含む。従って、本実施形態によれば、
図3で説明した比較例の場合より、はるかに多量のナノ構造体200を使用することができる。そのために、本実施形態による電極材料を適用すれば、充電容量が大きく改善され、耐久性及安定性が向上した二次電池を具現することができる。さらに、本発明の実施形態においては、グラフェンフォーム構造体100が非常にすぐれた電気伝導度を有し、抵抗がほとんどない伝導性経路(conductive path)を提供することができる。
図3の比較例においては、炭素粒子5間にコンタクト抵抗が存在するが、
図1のグラフェンフォーム構造体100は、その上面と下面との間に、連続した三次元的グラフェン骨格構造を有するために、上面と下面との間に抵抗がほとんどない電気伝導またはイオン移動が可能である。それと係わっても、本実施形態による電極材料は、優秀な電気的特性を有する二次電池の具現に有利である。
【0063】
本発明の実施形態による電極材料(負極材料)は、シート形態を有するか、あるいはパーティクル形態を有することができる。言い換えれば、
図1において、グラフェンフォーム構造体100は、シート形態またはパーティクル形態を有することができる。
図4は、
図1のグラフェンフォーム構造体100がシート形態を有する場合を示し、
図5は、
図1のグラフェンフォーム構造体100がパーティクル形態を有する場合を示す。
図4のシート形態を有する電極材料(電極構造)は、参照番号EM1で表示し、
図5のパーティクル形態を有する電極材料(電極構造)は、参照番号EM2で表示する。
図4及び
図5の電極材料EM1,EM2は、
図1を参照して説明したような微細構造を有することができる。すなわち、
図4及び
図5の電極材料(電極構造)EM1,EM2は、グラフェンフォーム構造体100、及びその内部に埋め込まれた複数のナノ構造体200を含んでもよい。
図5のように、パーティクル形態を有するグラフェンフォーム構造体100は、例えば、1μmないし500μmほど、または1μmないし100μmほどの直径を有することができる。
【0064】
図示されていないが、本発明の他の実施形態によれば、
図5のようなパーティクル形態を有する複数の電極構造EM2を利用して、1枚のフィルム構造を形成することができる。さらに具体的に説明すれば、
図5のような、パーティクル形態を有する複数の電極構造EM2を、バインダ、溶媒などと混合し、スラリーまたはペースト(paste)を製造した後、そこから、テープキャスティングのような方式で、薄膜状の電極を形成することができる。その場合にも、グラフェンフォーム構造体内に、複数のナノ構造体が埋め込まれた電極構造を得ることができる。ここで、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸(PAA)、アルジネート(alginate)などを使用することができる。薄膜状の電極内に、そのようなバインダが存在することができる。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、
図1、
図2、
図4及び
図5の実施形態において、ナノ構造体200,200aの少なくとも一部は、「ナノロッド」形態を有することができる。ナノロッドの一例が、
図6に例示的に図示されている。
【0066】
図6を参照すれば、ナノロッドNR1は、第1方向に延長された構造を有することができる。例えば、グラフェンフォーム構造体100(
図1)の気孔内で成長されるナノロッドNR1の延長方向は、ランダムに決定される。ナノロッドNR1は、その両端のうち少なくとも一端に具備された合金部a1を含んでもよい。合金部a1は、ナノロッドNR1の形成/成長のためのシード(seed)物質を含んでもよい。例えば、ナノロッドNR1がシリコン(Si)から形成される場合、合金部a1は、Au−Si合金を含んでもよい。例えば、グラフェンフォーム構造体100(
図1)の気孔内に、Au、Fe、Niのようなシード物質(触媒物質)を形成した後、そのようなシード物質(触媒物質)から、VLS(vapor-liquid-solid)方式によって、Siナノロッドを成長させることができる。その場合、Siナノロッドの少なくとも一端に、Siとシード物質との合金(例えば、Au−Si)が形成される。ナノロッドNR1の物質は、Siに限定されるものではなく、Ge、Sn、Inなど多様に変更され、それによって、合金部a1の物質も異なる。場合によっては、合金部a1が具備されないこともある。
【0067】
さらに、
図6のナノロッドNR1と類似して、
図1のナノパーティクル形態のナノ構造体200も、所定のシード物質(触媒物質)から形成されるが、その場合、シード物質(触媒物質)の一部が、ナノ構造体200内に残留される。このとき、シード物質(触媒物質)は、ナノ構造体200を構成する主要物質と合金を形成することができる。従って、
図1のナノ構造体200も、所定の合金領域を含んでもよい。しかし、ナノ構造体200の形成時、シード物質(触媒物質)の使用は、選択的なものであり、従って、合金領域を含むか否かということも選択的である。
【0068】
本発明の他の実施形態によれば、
図1の電極材料において、グラフェンフォーム構造体100内に、テンプレートフォーム構造体(template foam structure)がさらに具備される。テンプレートフォーム構造体は、グラフェンフォーム構造体100を形成するための触媒あるいはシードのような役割を行う。例えば、Ni、Cu、Fe、Co、Pt、Ru、Au、Al、Cr、Mg、Mn、Mo、Rh、Ta、Ti、W、U、V、Zrのような金属からなるテンプレートフォーム構造体を設けた後、それを触媒として利用して、テンプレートフォーム構造体の表面上に、グラフェン層を形成することによって、グラフェンフォーム構造体100を得ることができる。グラフェンフォーム構造体100を形成した後、テンプレートフォーム構造体を除去せずに維持する場合、
図1の電極材料は、グラフェンフォーム構造体100内に、テンプレートフォーム構造体を含んでもよい。その一例が、
図7に図示されている。
【0069】
図7は、本発明の他の実施形態による電極材料に使用されるフォーム構造体(foam structure)の骨格一部を切断した断面図を示している。
【0070】
図7を参照すれば、グラフェンフォーム構造体のグラフェン骨格100a内に、テンプレートフォーム構造体の金属骨格50aが具備される。テンプレートフォーム構造体の金属骨格50aは、例えば、Ni、Cu、Fe、Co、Pt、Ru、Au、Al、Cr、Mg、Mn、Mo、Rh、Ta、Ti、W、U、V、Zrなどから形成される。
図7の構造において、テンプレートフォーム構造体、すなわち、金属骨格50aを除去する場合、グラフェン骨格100aの内側は、空洞となる。その一例が
図8に図示されている。
【0071】
図8を参照すれば、グラフェン骨格100aの内部は、空洞である。言い換えれば、グラフェン骨格100a内部に、ホールH1が形成される。ホールH1は、グラフェン骨格100aの延長方向に沿って延長されている。
図1のグラフェンフォーム構造体100のグラフェン骨格が、
図8のような断面構造を有する場合、グラフェンフォーム構造体100は、ホロウ(hollow)構造を有するといえる。
図7及び
図8の断面構造は、例示的なものであり、断面の形態は、多様に変更される。
【0072】
図9は、本発明の実施形態による、電極材料に適用されるグラフェンフォーム構造体の一例及びその柔軟性(flexibility)を示す写真である。
【0073】
図9を参照すれば、(A)図面のようなシート状のグラフェンフォーム構造体は、(B)図面に示されているように、すぐれた柔軟性を有する。そのようなグラフェンフォーム構造体に、複数のナノ構造体(ナノパーティクル及び/またはナノロッド)を埋め込んだ電極材料も、優秀な柔軟性を有することができる。従って、本発明の実施形態による電極材料は、フレキシブル素子(例えば、フレキシブル二次電池)の製造のために有用に適用される。
【0074】
図10は、本発明の一実施形態によるものであり、電極材料を含む二次電池を例示的に示す断面図である。
【0075】
図10を参照すれば、本実施形態による二次電池は、負極AD10、及びそれと離隔して配置された正極CD10を含んでもよい。前記二次電池は、負極AD10と正極CD10とのイオン移動のために具備された電解質E10を含んでもよい。負極AD10と正極CD10との間には、それらを物理的に分離させながら、電解質E10の移動、あるいは電解質E10を介したイオンの移動は許容する分離膜S10がさらに具備される。場合によっては、分離膜S10は、具備されないこともある。
【0076】
負極AD10は、
図1、
図2及び
図4ないし
図9を参照して説明した本発明の実施形態による電極材料を含んでもよい。さらに具体的に説明すれば、負極AD10は、負極集電体A10、及び負極集電体A10に接合された負極活物質A20を具備することができるが、ここで、負極活物質A20が、本発明の実施形態による電極材料を含んでもよい。正極CD10は、正極集電体C10、及び正極集電体C10に接合された正極活物質C20を具備することができる。
【0077】
図10の二次電池は、例えば、リチウム電池でもある。その場合、負極集電体A10は、例えば、Cuを含み、正極集電体C10は、例えば、Alを含んでもよい。正極活物質C20は、例えば、リチウム系酸化物を含んでもよい。しかし、ここで提示した具体的な物質は、例示的なものであり、リチウム電池を構成する物質は、多様に変更される。また、本発明の実施形態による二次電池は、リチウム電池以外に、他の二次電池でもある。また、本発明の実施形態による二次電池は、堅い(rigid)電池であってもよく、フレキシブル電池であってもよい。
【0078】
図11は、本発明の他の実施形態による二次電池の構造について説明するための斜視図である。
【0079】
図11を参照すれば、本実施形態の二次電池は、負極AD11、正極CD11及び、それらの間に具備された分離膜S11を含んでもよい。負極AD11、正極CD11及び分離膜S11は、ワインディング(winding)されたり折り畳まれたりして、電池ケースCS11内に収容される。電池ケースCS11内に、電解質(図示せず)が注入され、キャップアセンブリCA11で、電池ケースCS11を密封することができる。電池ケースCS11は、円筒形、角形、ポーチ型、薄膜型など多様な形態を有することができる。前記二次電池は、リチウム電池でもあり、前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でもある。
【0080】
図12は、本発明の他の実施形態による、二次電池の構造について説明するための斜視図である。
【0081】
図12を参照すれば、本実施形態の二次電池は、負極AD12、正極CD12、及びそれらの間に具備されたゲルタイプの電解質E12を含んでもよい。電解質E12は、ポリマーでもある。図示されていないが、負極AD12と正極CD12との間に、分離膜がさらに具備される。負極AD12、正極CD12及び電解質E12などは、電池ケースCS12内に収容される。負極AD12に連結された負極端子AT12と、正極CD12に連結された正極端子CT12は、電池ケースCS12外部に露出される。電池ケースCS12は、薄膜型に図示されているが、それ以外に多様な形態を有することができる。前記二次電池は、リチウム電池でもあり、前記リチウム電池は、リチウムポリマー電池でもある。
【0082】
図11及び
図12の負極AD11,AD12は、本発明の実施形態による電極材料を含んでもよい。言い換えれば、
図1、
図2、
図4ないし
図9を参照して説明した電極材料が、
図11及び
図12の負極AD11,AD12に適用される。しかし、本発明の実施形態による二次電池の構造は、
図11及び
図12のような構造に限定されるものではなく、多様に変更される。多様な形態のフレキシブル電池、フォールダブル(foldable)電池及びストレッチャブル(stretchable)電池にも、本発明の実施形態による電極材料(負極材料)が適用される。
【0083】
以下では、本発明の実施形態による電極材料の形成方法について説明する。
【0084】
図13Aないし
図13Fは、本発明の一実施形態による、電極材料の形成方法について説明するための斜視図である。説明の便宜性のために、
図13Aないし
図13Fは、右側上部の円内に、部分断面図を含む。前記部分断面図は、フォーム構造体を構成する骨格の断面構造を示す。
【0085】
図13Aを参照すれば、テンプレートフォーム構造体TF10を設けることができる。テンプレートフォーム構造体TF10は、グラフェン成長のための触媒物質(触媒金属)を含んでもよい。例えば、テンプレートフォーム構造体TF10は、Ni、Cu、Fe、Co、Pt、Ru、Au、Al、Cr、Mg、Mn、Mo、Rh、Ta、Ti、W、U、V、Zrのような金属から形成される。具体的な例として、テンプレートフォーム構造体TF10は、Niフォーム(foam)でもある。その場合、Niフォームは、〜320g/m
2ほどの面密度(areal density)、及び〜1.2mmほどの厚みを有することができる。テンプレートフォーム構造体TF10は、全体的にシート形態またはフィルム形態を有するか、パーティクル形態を有することができる。テンプレートフォーム構造体TF10の形態は多様に変更される。
【0086】
図13Bを参照すれば、テンプレートフォーム構造体TF10の表面上に、グラフェン層を形成することによって、グラフェンフォーム構造体GF10を形成することができる。例えば、気体ソースを利用したCVD(chemical vapor deposition)方法によって、グラフェンフォーム構造体GF10を形成することができる。気体ソースは、炭素を含むガスでもある。一例として、気体ソースは、CH
4を含んでもよい。また、CH
4ガスと共に、H
2ガス及びArガスをさらに使用することができる。CVD方法は、約700℃以上の温度、例えば、約1,000℃ほどの温度で遂行することができる。気体ソース(例えば、CH
4)の供給時間によって、形成されるグラフェン層の厚みが調節され、グラフェンフォーム構造体GF10の気孔サイズが調節される。
【0087】
他の場合、グラフェンフォーム構造体GF10は、テンプレートフォーム構造体TF10の表面上に、炭素含有層を形成した後、炭素含有層を熱処理(annealing)することによって、形成することができる。炭素含有層は、グラフェン層の前駆体でもある。言い換えれば、炭素含有層は、グラフェン層を形成するための固体状の炭素ソースであるともいえる。例えば、炭素含有層は、炭素含有ポリマーや非晶質炭素(a−carbon:amorphous carbon)などから形成することができる。炭素含有ポリマーとしては、炭素を含むいかなる構造及びいかなる組成のポリマーも使用することができる。炭素含有ポリマーは、自己組み立てポリマーでもあり、自己組み立て特性がない一般的なポリマーでもある。炭素含有ポリマーは、例えば、両親媒性(amphiphilic)ポリマー、液晶ポリマー、伝導性ポリマーのうち少なくとも一つを含んでもよい。炭素含有ポリマーは、溶液工程(solution process)、気体工程(gas process)など多様な方法で、テンプレートフォーム構造体TF10の表面上に塗布される。非晶質炭素(a−carbon)の場合、例えば、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)方法によって、テンプレートフォーム構造体TF10の表面上に塗布される。このとき、テンプレートフォーム構造体TF10の骨格の間にソース物質が浸透し、テンプレートフォーム構造体TF10の内外部全体にわたって非晶質炭素層が形成される。そのように、炭素含有ポリマーや非晶質炭素(a−carbon)のような物質をテンプレートフォーム構造体TF10の表面に塗布(コーティング)して炭素含有層を形成した後、それを熱処理することによって、グラフェンフォーム構造体GF10を形成することができる。熱処理は、例えば、400〜2,000℃ほどの温度で行い、RTA(rapid thermal annealing)、レーザアニーリング(laser annealing)など多様な方法で行うことができる。熱処理は、不活性雰囲気または還元性雰囲気で行うことができる。
【0088】
図13Cを参照すれば、グラフェンフォーム構造体GF10の表面上に、保護層PL10を形成することができる。保護層PL10は、例えば、ポリマー層でもある。具体的な例として、保護層PL10は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)層でもある。その場合、PMMA溶液内にグラフェンフォーム構造体GF10を浸し、グラフェンフォーム構造体GF10の表面にPMMA溶液をコーティング(すなわち、ディップコーティング)した後、それを乾燥させることによって、PMMA層を形成することができ、それを保護層PL10として使用することができる。乾燥工程は、例えば、180℃ほどの温度で、約30分間遂行することができる。ここでは、保護層PL10の物質がPMMAである場合に該当する具体的な形成条件を提示したが、それは例示的なものに過ぎず、保護層PL10の物質及び形成条件は多様に変更される。保護層PL10は、後続するテンプレートフォーム構造体TF10の除去(エッチング)工程において、グラフェンフォーム構造体GF10を保護して支持する役割を行う。
【0089】
次に、テンプレートフォーム構造体TF10を除去する。その結果物が、
図13Dに図示されている。テンプレートフォーム構造体TF10は、所定のエッチング溶液を使用して除去することができる。例えば、HCl溶液(例えば、3M)、FeCl
3溶液、あるいはそれらの混合溶液(例えば、HCl/FeCl
3、1M/1M)を使用して、テンプレートフォーム構造体TF10を除去することができる。そのようなエッチング溶液内に、グラフェンフォーム構造体GF10と、保護層PL10が形成されたテンプレートフォーム構造体TF10とを浸し、テンプレートフォーム構造体TF10を選択的に除去(エッチング)する。そのようなエッチング工程は、約80℃の温度で、約3時間遂行することができる。しかし、エッチング溶液の種類、並びにエッチング工程の温度及び時間は異なりもする。テンプレートフォーム構造体TF10を除去することによって、グラフェンフォーム構造体GF10内に、ホールH10が形成される。言い換えれば、グラフェンフォーム構造体GF10は、ホロウ構造を有することができる。
【0090】
その後、保護層PL10を除去することによって、
図13Eに図示されているような、フリースタンディング(free-standing)グラフェンフォーム構造体GF10を得ることができる。保護層PL10の除去は、所定のエッチング溶液を利用して行うことができる。例えば、アセトンのようなエッチング溶液内に、保護層PL10が形成されたグラフェンフォーム構造体GF10を浸し、保護層PL10を選択的に除去(エッチング)する。エッチング工程は、エッチング溶液を、所定温度、例えば、約55℃の温度に加熱した状態で進めることができる。エッチング溶液の種類及びエッチング工程の条件は、多様に変更される。
【0091】
図13Eのグラフェンフォーム構造体GF10は、
図1を参照して説明したグラフェンフォーム構造体100と同一であるか、類似しているので、グラフェンフォーム構造体GF10についての詳細な説明は省略する。
【0092】
図13Aないし
図13Eにおいては、グラフェンフォーム構造体GF10の形成において、テンプレートフォーム構造体TF10の表面上に、グラフェンフォーム構造体GF10と保護層PL10とを順に形成した後、テンプレートフォーム構造体TF10と、保護層PL10とを順に除去(エッチング)する方法を図示して説明したが、そのような方法は、例示的なものであり、多様に変形される。例えば、テンプレートフォーム構造体TF10の表面に、グラフェンフォーム構造体GF10を形成した後、保護層PL10を形成していない状態で、テンプレートフォーム構造体TF10を除去することによって、フリースタンディング・グラフェンフォーム構造体GF10を形成することができる。または、テンプレートフォーム構造体TF10の表面に、グラフェンフォーム構造体GF10を形成した後、保護層PL10を形成せず、テンプレートフォーム構造体TF10も除去しない。その場合、
図7で説明したような断面構造を有するフォーム構造体を得ることができる。もし
図13Dで説明したように、テンプレートフォーム構造体TF10を除去するならば、
図8のような断面構造を有するフォーム構造体を得ることができる。
図7または
図8のような断面構造を有するグラフェンフォーム構造体GF10に対して、後続工程(
図13F)、すなわち、複数のナノ構造体の導入工程を遂行することができる。
【0093】
図13Fを参照すれば、グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS10を形成することができる。ナノ構造体NS10の物質及び特性などは、
図1のナノ構造体200と同一であるか、類似している。すなわち、複数のナノ構造体NS10は、ナノパーティクル構造またはナノロッド構造を有することができる。ここでは、ナノ構造体NS10がナノパーティクル形態を有する場合が図示されている。このとき、複数のナノ構造体NS10は、例えば、約5nmないし200nmほどのサイズ(直径)を有することができる。複数のナノ構造体NS10は、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、インジウム(In)、SnS
2、SnO
2、Fe
2O
3などを含んでもよい。
【0094】
グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS10を埋め込むには、多様な方法が利用される。例えば、ナノ構造体NS10のソースガスを利用したCVD方法によって、複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS10を成長させることができる。具体的な例として、SiH
4やSiCl
4をソースガスとして利用するCVD方法で、シリコン(Si)ナノ構造体を形成することができ、GeH
4をソースガスとして利用するCVD方法で、ゲルマニウム(Ge)ナノ構造体を形成することができる。複数のナノ構造体NS10をCVD方法で形成するにおいて、所定のシード物質を先に形成した後、シード物質から、ナノ構造体NS10を成長させることができる。しかし、シード物質の使用は、選択的である。
【0095】
グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、CVD方法で複数のSiナノパーティクルを形成する方法について、簡略に説明すれば、次の通りである。まず、AuCl
3溶液(ニトロメタン内の1mM AuCl
3)に、グラフェンフォーム構造体GF10を所定時間浸しておいて取り出して乾燥させる。それを介して、グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、複数のAuシード要素(seed element)を形成することができる。その後、反応チャンバに、グラフェンフォーム構造体GF10を入れ、N
2雰囲気下で、約800℃まで昇温させた後、SiCl
4ガス及びH
2ガスを注入し、シード要素から、Siナノパーティクルを形成することができる。結果として、グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、複数のSiナノパーティクルを形成することができる。このとき、反応時間によって、Siナノパーティクルのサイズが異なるが、例えば、10nm〜1μmの直径を有するSiナノパーティクルを形成することができる。それぞれのSiナノパーティクルには、Au−Siのような合金領域が残留される。前述の方法で、SiCl
4ガス及びH
2ガス、あるいはSiCl
4ガスの代わりに、SiH
4ガスのようなシラン(silane)ガスを使用することもできる。もしこの方法において、ソースガスとしてSiH
4ガスの代わりにGeH
4ガスを使用し、約400℃ほどの成長温度を使用すれば、Geナノパーティクルを形成することができる。Geナノパーティクルの形成において、ソースガスの種類及び成長温度の条件を除いた残りの条件は、Siナノパーティクルを形成するときと同一であるか、類似している。ここでは、Auシード要素を使用して、ナノパーティクルを形成する場合について例示的に説明したが、シード要素の物質が異なりもする。また、場合によっては、シード要素を使用せず、ナノパーティクルを形成することができる。
【0096】
図13Fに図示されているように、グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS10を形成した後、後続熱処理工程をさらに遂行することもできる。そのような後続熱処理工程を介して、グラフェンフォーム構造体GF10及び/またはナノ構造体NS10の結晶性を向上させることができ、2つの物質(グラフェンフォーム構造体GF10及びナノ構造体NS10)間のコンタクト特性も改善することができる。後続熱処理工程は、ナノ構造体NS10の融点より低い温度で遂行することができる。例えば、後続熱処理工程は、約1,400℃以下の温度で遂行する。
【0097】
本発明の他の実施形態によれば、グラフェンフォーム構造体GF10の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS10を導入する方法は、多様に変更される。言い換えれば、
図13Fを参照して説明したCVD方法以外に、他の方法を利用して、複数のナノ構造体NS10が埋め込まれたグラフェンフォーム構造体GF10を得ることができる。それについては、
図14ないし
図16を参照して説明する。
【0098】
図14は、本発明の他の実施形態によるものであり、グラフェンフォーム構造体GF11の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS11を導入する方法について説明するための図面である。
【0099】
図14を参照すれば、グラフェンフォーム構造体GF11と別個に、複数のナノ構造体NS11を設けた後、所定の溶液SS11内で、グラフェンフォーム構造体GF11の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS11を吸着させることができる。グラフェンフォーム構造体GF11の厚みが薄く、気孔サイズが比較的大きいために、複数のナノ構造体NS11は、グラフェンフォーム構造体GF11内部の気孔に良好に吸着される。次に、複数のナノ構造体NS11が吸着されたグラフェンフォーム構造体GF11を、溶液SS11から取り出し、乾燥工程及び熱処理工程を遂行することができる。乾燥工程及び熱処理工程は、例えば、約100℃ないし1,400℃の温度で遂行することができる。乾燥工程を介して、グラフェンフォーム構造体GF11に残留した溶液(溶媒)を除去することができ、熱処理工程を介して、グラフェンフォーム構造体GF11及び/またはナノ構造体NS11の結晶性を向上させ、2つの物質間のコンタクト特性を改善することができる。熱処理工程は、ナノ構造体NS11の融点より低い温度で遂行することができる。ナノ構造体NS11がSiナノパーティクルである場合、熱処理工程は、約1,400℃以下の温度で遂行することができ、ナノ構造体NS11がGeナノパーティクルである場合、熱処理工程は、約938℃以下の温度で遂行することができ、ナノ構造体NS11がSnナノパーティクルである場合、熱処理工程は、約232℃以下の温度で遂行することができる。ナノ構造体NS11の物質及びサイズなどによって、熱処理工程の温度が異なる。
【0100】
図15は、本発明の他の実施形態によるものであり、グラフェンフォーム構造体GF12の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NS12を導入する方法について説明するための図面である。
【0101】
図15を参照すれば、グラフェンフォーム構造体GF12と別個に、複数のナノ構造体NS12を設けることができる。このとき、グラフェンフォーム構造体GF12は、複数のパーティクル構造体を含んでもよい。従って、グラフェンフォーム構造体GF12は、複数のグラフェンフォームパーティクル構造体であるといえる。このとき、複数のグラフェンフォームパーティクル構造体は、例えば、1μmないし500μmほど、または1μmないし100μmほどの直径を有することができる。複数のナノ構造体NS12と、グラフェンフォーム構造体GF12とを所定のバインダBD12と共に混合し、混合物質を形成することができる。バインダBD12としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリアクリル酸(PAA)、アルジネートなどを使用することができる。所定の溶媒内で、複数のナノ構造体NS12、グラフェンフォーム構造体GF12及びバインダBD12を混合し、混合物質を形成することができ、このとき、分散剤など添加剤(additive)をさらに追加することができる。混合物質は、一種のスラリーまたはペーストであるといえる。次に、混合物質を所定の基板(例えば、負極集電体)SUB12上に塗布し、薄膜FL12を形成した後、薄膜FL12に対する熱処理工程を遂行し、本発明の実施形態による電極材料を形成することができる。薄膜FL12に対する熱処理工程を介して、グラフェンフォーム構造体GF12及び/またはナノ構造体NS12の結晶性を向上させ、2つの物質間のコンタクト特性を改善することができる。熱処理工程は、ナノ構造体NS12の融点より低い温度で遂行することができる。熱処理工程の具体的な条件は、
図14を参照して説明したところと同一であるか、類似している。ナノ構造体NS12の物質及びサイズなどによって、熱処理温度が異なる。
【0102】
図16は、本発明の他の実施形態によるものであり、グラフェンフォーム構造体GF13の複数の気孔内に、複数のナノ構造体NR13を導入する方法について説明するための図面である。便宜上、
図16では、グラフェンフォーム構造体GF13の一部領域を概略的に図示し、1つの気孔に対する工程だけ図示している。しかし、
図16の工程は、グラフェンフォーム構造体GF13の全体領域にわたり、複数の気孔で発生すると理解されなければならない。
【0103】
図16を参照すれば、グラフェンフォーム構造体GF13の気孔内に、少なくとも1つのシード要素SD13を形成することができる。シード要素SD13は、ドット形態または粒子形態を有することができる。シード要素SD13は、ナノ構造体形成のための触媒を含んでもよい。例えば、形成するナノ構造体がSiナノ構造体である場合、シード要素SD13は、Au、Fe、Niのような金属触媒でもある。具体的な例として、グラフェンフォーム構造体GF13をAuCl
3溶液に浸し、グラフェンフォーム構造体GF13の複数の気孔内部のグラフェン表面に、Au物質を吸着させることができる。それを介して、Auから形成されたシード要素SD13を形成することができる。その場合、シード要素SD13は、液状でもある。しかし、シード要素SD13の物質及び形成方法は、多様に変更される。
【0104】
次に、複数のシード要素SD13から、CVD方法で、複数のナノ構造体NR13を成長させることができる。CVD方法は、CVDに基づいたVLS方法でもある。CVD方法では、ソースガスとして、シラン系のガスを使用することができる。例えば、シラン系のガスとして、SiH
4またはSi
2H
6などを使用することができる。そのような方法によって形成されたナノ構造体NR13は、ナノロッド構造を有することができる。また、ナノ構造体NR13の両端のうち少なくとも一端に、合金部a13が具備される。合金部a13は、ナノ構造体NR13の両端のうち一端に具備されるか、両端のいずれにも具備される。シード要素SD13がAuを含み、ナノ構造体NR13がSiを含む場合、合金部a13は、Au−Si合金を含んでもよい。シード要素SD13の物質は、Auに限定されるものではなく、Fe、Niなど多様に変更され、ナノ構造体NR13の物質も、Siに限定されるものではなく、Ge、Sn、Inなど多様に変更される。それによって、合金部a13の物質も異なる。場合によっては、合金部a13が具備されないこともある。さらに、
図16において、ナノ構造体NR13がSiナノロッドである場合、Siナノロッドは、例えば、(111)配向結晶構造、(110)配向結晶構造または100配向結晶構造を有することができる。
【0105】
図13F、及び
図14ないし
図16では、グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、複数のナノ構造体を導入する多様な方法について例示的に図示して説明したが、本発明の実施形態は、それらに限定されるものではなく、それ以外に他の方法を使用することもできる。
【0106】
以上、
図13Aないし
図16を参照して説明した電極材料の形成方法は、電極材料を含む二次電池の製造に適用される。二次電池の製造方法において、第1電極を形成する段階は、前述の本発明の実施形態による電極材料を形成する段階を含んでもよい。さらに具体的に説明すれば、負極を形成する段階、正極を形成する段階、及び前記負極と正極との間に電解質を提供する段階を含む二次電池の製造方法において、前記負極を形成する段階は、前述の本発明の実施形態による電極材料(負極材料)を形成する段階を含んでもよい。前記負極を形成する段階は、負極集電体を形成する段階、及び前記負極集電体に接合された負極活物質を形成する段階を含み、前記正極を形成する段階は、正極集電体を形成する段階、及び前記正極集電体に接合された正極活物質を形成する段階を含んでもよい。ここで、前記負極活物質の形成時、本発明の実施形態による電極材料(負極材料)を適用することができる。そのように製造される二次電池の具体的な構造は、
図10ないし
図12を参照して説明したところと同一であるか、あるいはそれらから変形された多様な構造を有することができる。前記二次電池は、リチウム電池でもある。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池であってもよくリチウムポリマー電池であってもよい。また、前記二次電池は、堅い電池であってもよく、フレキシブル電池であってもよい。前記二次電池は、フォールダブル電池またはストレッチャブル電池でもある。
【0107】
以上で説明したように、本発明の実施形態によれば、グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、複数のナノ構造体が埋め込まれた電極材料を形成することができ、それを適用した二次電池を製造することができる。グラフェンフォーム構造体の複数の気孔内に、比較的多量のナノ構造体を埋め込むことができ、ナノ構造体の体積が膨脹しても、グラフェンフォーム構造体全体の体積は増加しないか、あるいはほとんど増加しない。従って、二次電池の充電容量を大きく改善することができ、安定性及び耐久性を向上させることができる。また、グラフェンフォーム構造体の優秀な電気的特性(例えば、優秀な電気伝導特性またはイオン伝導特性)は、二次電池の電気的性能を向上させる要因になる。さらに、前記電極材料は、フレキシブルな特性を有することができるので、それを適用すれば、フレキシブル素子(二次電池)を容易に具現することができる。
【0108】
以上の説明において多くの事項が具体的に記載されているが、それらは、発明の範囲を限定するものであるというよりも、具体的な実施形態の例示として解釈されなければならない。例えば、本発明が属する技術分野で当業者であるならば、
図1、
図2、
図4ないし
図9を参照して説明した電極材料の構成と、
図10ないし
図12を参照して説明した二次電池の構成は、多様に変形されるということを理解することができるであろう。また、
図13Aないし
図16を参照して説明した電極材料の形成方法、及びそれを適用した二次電池の製造方法も、多様に変更されるということを知ることができるであろう。同時に、本発明の実施形態による電極材料は、二次電池ではない他の分野において、電極、または電極ではない他の用途に適用されるということも理解することができるであろう。従って、本発明の範囲は、説明された実施形態によって決められるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想によって定められるものである。