(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、上記のような補強材はスチールやステンレス等の金属で構成される。すなわち、上記特許文献1の構成では、上下左右の全ての框材の中空部に補強材を挿入しているため、建具が火災等の火炎や熱を受けた際の防火強度を確保できる。ところが、この構成では全ての框材に補強材を挿入しているため、障子の重量が増加し、さらに補強材の追加分のコストや工数が増加するといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、コストや重量の増加を抑えつつ、防火性能を確保することができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建具は、上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記戸先框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の板厚よりも厚い第2中空部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、当該建具は、召合せ框の第1中空部に補強材を挿入しているため、開口枠による支持のない召合せ框での防火強度を確保できる。さらに建具は、戸先框の第2中空部を形成する壁部のうちの少なくとも室外側壁部の板厚を召合せ框の中空部を形成する壁部の板厚よりも厚く設定している。つまり戸先框は厚肉構造を有する。これにより、戸先框は、中空部に補強材を挿入しなくても或いは軽量且つ薄肉の最小限の補強材を挿入するだけで十分な防火強度を確保できる。従って、当該建具では、框体やこれを用いた障子のコストや重量の増加を抑えつつ、防火性能を確保することができる。
【0009】
本発明に係る建具において、前記戸先框の第2中空部は、前記面材を保持する開口溝の一部を形成する開口側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の板厚よりも厚い構成であってもよい。そうすると、当該建具は、戸先框での面材の保持に対する防火強度を一層高めることができる。
【0010】
本発明に係る建具において、前記戸先框の第2中空部には、補強材が挿入されていない構成であってもよい。そうすると、框体や障子のコストや重量を一層低減できる。
【0011】
本発明に係る建具において、前記上框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の板厚よりも厚い第3中空部が設けられ、前記下框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の板厚よりも厚い第4中空部が設けられた構成であってもよい。そうすると、当該建具は、上框及び下框についても厚肉構造となる。これにより、上框及び下框は、その第3、第4中空部に補強材を挿入しなくても或いは軽量且つ薄肉の最小限の補強材を挿入するだけで十分な防火強度を確保できる。
【0012】
本発明に係る建具において、前記上框の第3中空部及び前記下框の第4中空部には、補強材が挿入されていない構成であってもよい。そうすると、框体や障子のコストや重量を一層低減できる。
【0013】
本発明に係る建具において、前記召合せ框には、前記第1中空部の室内側に並んで第5中空部が設けられると共に、前記第1中空部の一壁部が前記面材を保持する開口溝を形成しており、前記第5中空部には、補強材が挿入されていない構成であってもよい。そうすると、当該建具は面材を保持する開口溝を形成する室外側の第1中空部に十分な防火強度を確保できる。一方、当該建具は防火強度等に対する影響が少ない室内側の第5中空部には補強材を挿入しないことで、強度とコスト、重量とのバランスを図ることができる。
【0014】
本発明に係る建具において、前記開口枠の上枠は、前記障子側となる内側見込み面の反対側に中空部を有する構成であってもよい。そうすると、当該建具は、火炎、熱或いは日射の影響を中空部で緩和することができ、障子を支持する上枠の内側見込み面側に損傷を生じることを抑制できる。
【0015】
本発明に係る建具において、前記上枠は、前記内側見込み面に前記障子を案内するレールが突出形成されており、前記中空部の内部は、前記レールの延長線上に設けられた支柱壁によって複数の空間に仕切られた構成であってもよい。そうすると、当該建具は、火災時等の障子の熱伸びを支柱壁によって抑えることができる。その結果、上枠と障子の間に隙間が発生しにくくなり、防火強度が一層向上する。
【0016】
本発明に係る建具は、上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された中空部が設けられ、前記上框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の中空部を形成する壁部の板厚よりも厚い中空部が設けられていることを特徴とする。このような構成によれば、上框は、中空部に補強材を挿入しなくても或いは軽量且つ薄肉の最小限の補強材を挿入するだけで十分な防火強度を確保できる。従って、当該建具では、框体やこれを用いた障子のコストや重量の増加を抑えつつ、防火性能を確保することができる。
【0017】
本発明に係る建具は、上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された中空部が設けられ、前記下框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の中空部を形成する壁部の板厚よりも厚い中空部が設けられていることを特徴とする。このような構成によれば、下框は、中空部に補強材を挿入しなくても或いは軽量且つ薄肉の最小限の補強材を挿入するだけで十分な防火強度を確保できる。従って、当該建具では、框体やこれを用いた障子のコストや重量の増加を抑えつつ、防火性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、框体やこれを用いた障子のコストや重量の増加を抑えつつ、防火性能を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る建具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る建具10の縦断面図である。
図2は、
図1に示す建具10の横断面図である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、建具10は、建物躯体の開口部に固定される開口枠12と、開口枠12の開口部13にスライド可能に配設された左右一対の障子14,15とを備える。本実施形態では、障子14,15をスライドさせることにより開口枠12の内側の開口部13を開閉可能な引違い窓の建具10を例示する。障子14,15は一方が開口枠12にはめ殺され、他方のみがスライドする片引き窓でもよい。障子の設置枚数は適宜変更可能である。
【0023】
開口枠12は、上枠12aと、下枠12bと、左右の縦枠12c,12dとを四周枠組みすることで矩形の開口部を形成したものである。開口枠12は、室外側に配設される金属枠材16と、室内側に配設される樹脂枠材18とを組み合わせた複合構造の枠体である。金属枠材16は、アルミニウム等の金属の押出形材である。樹脂枠材18は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂の押出形材である。
【0024】
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向(図中に矢印Zで示す方向)をいい、見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠12c,12d等の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠12a及び下枠12b等の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。開口枠12の内側(内周)とは障子14が配置される開口部13側の部分をいい、開口枠12の外側(外周)とは開口部13側とは反対側の部分をいう。
【0025】
上枠12aは、金属枠材16の金属上枠16aに樹脂枠材18の樹脂上枠18aを装着したものである。下枠12bは、金属枠材16の金属下枠16bに樹脂枠材18の樹脂下枠18b及び樹脂下枠カバー18cを装着したものである。縦枠12c,12dは、それぞれ金属枠材16の金属縦枠16c,16dに樹脂枠材18の樹脂縦枠18c,18dを装着したものである。開口枠12は、くぎやねじ等の固定具20を用いて建物躯体に固定される。
【0026】
図1に示すように、上枠12aの内側見込み面21には、レール22,23が見込み方向に並んで突出形成されている。レール22は、外障子となる室外側の障子14をスライド可能に案内するガイド条である。レール23は、内障子となる室内側の障子15をスライド可能に案内するガイド条である。レール22,23は上枠12aの長手方向全長に亘って延在し、内向きに突出している。レール22,23間であって障子14,15の召合せ部分に対応する位置には、室内外の気密性を保持するための風止板24が設けられている。内側見込み面21には、風止板24の見付け方向側部となる位置に熱膨張性部材25が設けられている。熱膨張性部材25は、例えば加熱されると発泡して膨張する黒鉛等の加熱発泡材である。
【0027】
金属上枠16aは、内側見込み面21の反対側に中空部26を有する。中空部26は、金属上枠16aの室外側端部からレール23付近まで見込み方向に延在するように設けられている。中空部26の内部は、室外側のレール22の延長線上に設けられた支柱壁26aによって2室に仕切られている。つまり支柱壁26aとレール22は、見込み方向位置が一致している。
【0028】
下枠12bの内側見込み面には、レール28,29が見込み方向に並んで突出形成されている。レール28は、障子14をスライド可能に案内するガイド条である。レール29は、障子15をスライド可能に案内するガイド条である。レール28,29は下枠12bの長手方向全長に亘って延在し、内向きに突出している。下枠12bにも風止板24及び熱膨張性部材25が設けられている。
【0029】
下枠12bの金属下枠16bには、中空部30が設けられている。中空部30は、金属下枠16bの室外側端部からレール29付近まで見込み方向に延在するように設けられている。中空部30には、補強材31が挿入されている。補強材31は、例えば中空部30の全長の半分より少し長い長さである。補強材31は、ステンレスやスチール等の不燃性又は難燃性を有する金属板を略コ字状に屈曲形成したものである。補強材31は、
図1中でコ字の上辺となる内側板部31aがねじ35によって金属下枠16bに締結固定されている。
【0030】
補強材31は、
図1中でコ字の下辺となる外側板部31bの下面(外面)に、見込み方向に並んだ2つの突起37を有する。室外側の突起37は、外側板部31bと上下方向の板部との角部に設けられている。室内側の突起37は、外側板部31bの略中央に設けられている。
図1に示すように、本実施形態の場合、下枠12bの金属下枠16bの中空部30の外側見込み面(下面)を形成する壁部41には、室内側に向かって上方に傾斜した傾斜面41aを設けている。このため、中空部30への挿入時に補強材31が
図1中で反時計方向に転んでねじ35の締結作業の作業性が低下することがある。また外側板部31bは、その室内側端部と傾斜面41aとの間の隙間よりも室外側端部と壁部41との間の隙間が大きい。このため、外側板部31bはその室内側端部に壁部41(傾斜面41a)からの荷重が集中し、また室外側端部付近の変形量が室内側端部付近の変形量よりも大きくなり、補強材31の変形や下枠12bの転びや変形を生じる懸念がある。そこで、本実施形態では、補強材31の外側板部31bに突起37を設け、補強材31や下枠12bの変形等の不具合の発生を防止している。突起37の設置数や設置位置は適宜変更可能である。
【0031】
補強材31は、外側板部31bの内面に2層の熱膨張性部材25が設けられている。補強材31の内面に設ける熱膨張性部材25は、1層又は3層以上でもよい。
【0032】
図2に示すように、縦枠12cの内側見込み面には、閉じた障子14に対応する位置にヒレ部32が突出形成されている。縦枠12dの見込み面には、閉じた障子15に対応する位置にヒレ部33が突出形成されている。ヒレ部32,33は、縦枠12c,12dの長手方向全長に亘って延在し、内向きに突出している。
【0033】
図1及び
図2に示すように、開口枠12の室外側端部には、網戸装置34が設けられている。網戸装置34は、枠状に構成した網戸框34aの内側開口部に網34bを保持したものである。網戸装置34は、開口枠12の開口部13にスライド可能に配設されている。
【0034】
図1及び
図2に示すように、室外側の障子14は、四周を囲む框体36となる上框36a、下框36b、戸先框36c及び召合せ框36dと、内側に配置される面材38とを框組みして構成したものである。
【0035】
面材38は、スペーサ39を介して一対のガラス板38a,38bを間隔を隔てて対面配置した2層の複層ガラスである。本実施形態の場合、室外側に配置されるガラス板38aは厚板ガラス、網入りガラス又は耐熱強化ガラスとし、室内側に配置されるガラス板38bは薄板のフロートガラスとしている。
【0036】
框体36は、室外側に配設される金属框材40と、室内側に配設される樹脂框材42とを組み合わせた複合構造である。金属框材40はアルミニウム等の金属の押出形材である。樹脂框材42は塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂の押出形材である。
【0037】
上框36aは、金属框材40の金属上框40aの室内側見付け面に樹脂框材42の樹脂上框42aを装着したものである。下框36bは、金属框材40の金属下框40bの室内側見付け面に樹脂框材42の樹脂下框42bを装着したものである。戸先框36cは、金属框材40の金属戸先框40cの室内側見付け面に樹脂框材42の樹脂戸先框42cを装着したものである。召合せ框36dは、金属框材40の金属召合せ框40dで構成されている。
【0038】
面材38は、上縁部が金属上框40aと樹脂上框42aとの間に保持され、下縁部が金属下框40bと樹脂下框42bとの間に保持される。面材38は、さらに戸先側縁部が金属戸先框40cと樹脂戸先框42cとの間に保持され、召合せ側縁部が金属召合せ框40dに保持される。
【0039】
図1に示すように、上框36aは、レール22が摺動可能に挿入されるガイド溝44を外側見込み面に有し、面材38が配置される開口溝46を内側見込み面に有する。ガイド溝44及び開口溝46は上框36aの全長に亘って延在している。ガイド溝44と開口溝46の間には中空部48が形成されている。ガイド溝44及び中空部48は、金属上框40aに形成されている。開口溝46は、金属上框40aと樹脂上框42aとで構成されている。面材38は、開口溝46内でガスケットを介して挟み込み保持される。
【0040】
下框36bは、レール28が挿入されるガイド溝50を外側見込み面に有し、面材38が配置される開口溝52を内側見込み面に有する。ガイド溝50及び開口溝52は下框36bの全長に亘って延在している。ガイド溝50と開口溝52の間には中空部54が形成されている。ガイド溝50及び中空部54は、金属下框40bに形成されている。開口溝52は、金属下框40bと樹脂下框42bとで構成されている。面材38は、開口溝52内でガスケットを介して挟み込み保持される。
【0041】
金属下框40bには戸車56が配設されている。戸車56は、レール28の先端面上を転動することにより、障子14を開口枠12に対して円滑にスライド移動させるローラである。戸車56は、その大部分が中空部54内に配置される。戸車56は、その下側外周縁部が中空部54の下壁に形成された切欠部を通ってガイド溝50内に配置され、レール28の先端面に転動可能に当接する。
【0042】
図2に示すように、戸先框36cは、保持溝58を外側見込み面に有し、面材38が配置される開口溝60を内側見込み面に有する。保持溝58及び開口溝60は戸先框36cの全長に亘って延在している。保持溝58と開口溝60の間には中空部62が形成されている。保持溝58及び中空部62は、金属戸先框40cに形成されている。開口溝60は、金属戸先框40cと樹脂戸先框42cとで構成されている。面材38は、開口溝60内でガスケットを介して挟み込み保持される。保持溝58は、障子14が閉じられた状態で縦枠12cのヒレ部32が挿入される部分である。
【0043】
召合せ框36dは、面材38が配置される開口溝64を内側見込み面に有する。開口溝64は召合せ框36dの全長に亘って延在している。開口溝64の外側には中空部66が形成されている。中空部66及び開口溝64は、金属召合せ框40dに形成されている。面材38は、開口溝64内でガスケットを介して挟み込み保持される。
【0044】
中空部66には補強材68が略全長に亘って挿入されている。補強材68は、ステンレスやスチール等の金属板を略コ字状に屈曲形成したものである。補強材68は、不燃性又は難燃性を有する材質であれば金属以外であってもよい。補強材68は、室内側が開口する向きで配置されている。
【0045】
図1及び
図2に示すように、室内側の障子15は、上枠12aのレール23と下枠12bのレール29との間で室外側の障子14に対して引違いにスライド可能である。この障子15は、障子14の召合せ框36dと構成の異なる召合せ框36eを有する以外はほとんど同一構造となっている。そこで、障子15については、召合せ框36eの構成について具体的に説明し、その他の構成要素については障子14と同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
召合せ框36eは、金属框材40の金属召合せ框40eの室内側見付け面に樹脂框材42の樹脂召合せ框42eを装着したものである。召合せ框36eは、面材38が配置される開口溝70を内側見込み面に有する。開口溝70は召合せ框36eの全長に亘って延在している。開口溝70の外側には中空部72が形成され、中空部72の室内側には中空部73が並んで形成されている。中空部72はその内側見込み面となる壁部が開口溝70を形成している。また、中空部73はその室外側見付け面の一部が開口溝70を形成している。中空部72,73は、金属召合せ框40eに形成されている。面材38は、開口溝70内でガスケットを介して挟み込み支持される。
【0047】
室外側の中空部72には補強材76が略全長に亘って挿入されている。補強材76は、補強材68と同様にステンレスやスチール等の金属板を略コ字状に屈曲形成したものであり、不燃性又は難燃性を有する材質であれば金属以外であってもよい。補強材76は、室内側が開口する向きで配置されている。
【0048】
なお、障子15の召合せ框36eと障子14の召合せ框36dとの間はクレセント78によってロック可能であり、これにより障子14,15が閉状態に保持される。障子15の戸先框36cの保持溝58は、障子15が閉じられた状態で縦枠12dのヒレ部33が挿入される部分である。
【0049】
次に、障子14,15の框体36の具体的な構成を説明する。
【0050】
図3(A)は、上枠12a及び障子14の上框36aの周辺を拡大した縦断面図であり、
図3(B)は、下枠12b及び障子14の下框36bの周辺を拡大した縦断面図である。
図4(A)は、縦枠12c及び障子14の戸先框36cの周辺を拡大した横断面図であり、
図4(B)は、各障子14,15の召合せ框36d,36eの周辺を拡大した横断面図である。
【0051】
図3(A)に示すように、障子14の上框36aは、ガイド溝44の室内側内面に全長に亘る熱膨張性部材25を設けている。開口溝46には、断面略L字状の脱落防止金具80が設けられている。脱落防止金具80は、ねじ81で金属上框40aに締結固定されている。脱落防止金具80は、火災時に樹脂上框42aが溶融或いは焼失した際に面材38を保持し、その脱落を防止するための金具である。脱落防止金具80は、例えば断面略コ字状の形状であってもよい。脱落防止金具80の底部表面室内側端部には、脱落防止金具80の全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。なお、障子15の上框36aについても、
図3(A)に示す障子14の上框36aと同様な構成であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図3(B)に示すように、障子14の下框36bは、ガイド溝50の室内側内面に全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。中空部54の室外側内面には、戸車56に対応する長さの熱膨張性部材25が設けられている。開口溝52には、上框36aのものと同様な脱落防止金具80が設けられている。脱落防止金具80の底部表面室内側端部には、脱落防止金具80の全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。脱落防止金具80の底部表面室外側端部には、セッティングブロック83(
図1参照)に対応する長さの熱膨張性部材25が設けられている。なお、障子15の下框36bについても、
図3(B)に示す障子14の下框36bと同様な構成であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
図4(A)に示すように、障子14の戸先框36cは、保持溝58の底部に略全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。中空部62の室内外側内面には、その上下端部に対して所定長さの熱膨張性部材25がそれぞれ設けられている。開口溝60には、断面略コ字状の脱落防止金具82が設けられている。脱落防止金具82は、ねじ81で金属戸先框40cに締結固定されている。脱落防止金具82は、火災時に樹脂戸先框42cが溶融或いは焼失した際に面材38を保持し、その脱落を防止するための金具である。脱落防止金具82の底部表面室内側端部には、脱落防止金具82の全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。なお、障子15の戸先框36cについても、
図4(A)に示す障子14の戸先框36cと同様な構成であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
図4(B)に示すように、障子14の召合せ框36dは、室内側見付け面に所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。中空部66に挿入された補強材68は、コ字状の底部の室内側面に所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。中空部66の室外側内面には、補強材68の側部となる位置、つまり召合せ框36dの端部となる位置に所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。中空部66の室内側内面には、所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。開口溝64には、戸先框36cのものと同様な断面略コ字状の脱落防止金具82が設けられている。脱落防止金具82は、開口溝64の底壁を通したねじ81によって補強材68に締結固定されている。脱落防止金具82は、例えば断面略L字状の形状であってもよい。脱落防止金具82の底部表面室内側端部には、脱落防止金具82の全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。開口溝64の室内側内面には、所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。
【0055】
障子15の召合せ框36eは、室外側見付け面に全長に亘る熱膨張性部材25が設けられている。補強材76は、金属召合せ框36eに対してねじ81で締結固定されている。室外側の中空部72の室内側内面には、補強材76の側部となる位置、つまり召合せ框36eの端部となる位置に熱膨張性部材25が設けられている。中空部72の室内側内面、つまり中空部72,73間を仕切る壁部77には、所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。
【0056】
図3(A)〜
図4(B)に示すように、召合せ框36d,36eの中空部66,72には補強材68,76を設けているが、他の框36a,36b,36cの中空部48,54,62には補強材が挿入されていない。すなわち、当該建具10では、開口枠12によって支持されない召合せ框36d,36eについては、十分な防火強度と耐風圧強度等に対する強度を確保するため補強材を挿入している。一方、開口枠12によって支持される他の框36a,36b,36cについては、一部の壁部を厚肉構造とすることで十分な防火強度を確保している。
【0057】
具体的には、上框36aは、少なくとも中空部48の室外側見付け面84aを形成する金属上框40aの室外側壁部84が厚肉構造となっている(
図3(A)参照)。なお、上框36aでは、開口溝46の底部見込み面を形成する底壁部85と、ガイド溝44の底部見込み面を形成する底壁部86についても厚肉構造となっている。本実施形態では、室外側壁部84と底壁部85,86の板厚を同一に設定しており、それぞれ板厚t1となっている。つまり、中空部48を形成する3方の壁部84〜86が厚肉の板厚t1を有する。
【0058】
下框36bは、少なくとも室外側見付け面88aを形成する金属下框40bの室外側壁部88が厚肉構造となっている(
図3(B)参照)。なお、下框36bでは、開口溝52の底部見込み面を形成する底壁部89についても厚肉構造としてもよい。しかしながら、本実施形態では底壁部89にビスホールを設けているため、この底壁部89については厚肉構造としていない。室外側壁部88は、上框36aの室外側壁部84と同一の板厚t1となっている。本実施形態では、金属下框40bの室内側壁部90についても板厚t1の厚肉構造としている。つまり、中空部54を形成する2方の壁部88,90が厚肉の板厚t1を有する。
【0059】
戸先框36cは、少なくとも室外側見付け面92aを形成する金属戸先框40cの室外側壁部92が厚肉構造となっている(
図4(A)参照)。なお、戸先框36cでは、開口溝60の底部見込み面を形成する底壁部93についても厚肉構造となっている。本実施形態では、室外側壁部92と底壁部93の板厚を同一に設定しており、それぞれ上框36aの室外側壁部84と同一の板厚t1となっている。つまり、中空部62を形成する2方の壁部92,93が厚肉の板厚t1を有する。
【0060】
障子14の召合せ框36dは、その防火強度及び耐風圧強度等を担保するため、中空部66に補強材68を挿入している。そこで、中空部66を形成する各壁部は、板厚t1より薄肉の板厚t2となっている(
図4(B)参照)。換言すれば、召合せ框36dは、補強材68が挿入されるため、金属召合せ框40dを厚肉に形成する必要がない。具体的には、召合せ框36dは、中空部66の室外側見付け面71aを形成する壁部71の肉厚が薄い板厚t2とされている。さらに召合せ框36dは、中空部66の開口溝64側の内側見込み面を形成する壁部75、中空部66の外側見込み面を形成する壁部79、及び室内側見付け面を形成する壁部87の肉厚も薄い板厚t2となっている。但し、本実施形態では、タイト材を設けるポケット状凹部を形成する壁部87については、一部が板厚t2よりも厚肉となっている。
【0061】
障子15の召合せ框36eは、その防火強度及び耐風圧強度等を担保するため、室外側の中空部72に補強材76を挿入している(
図4(B)参照)。そこで、中空部72を形成する各壁部は、板厚t1より薄肉の板厚t2となっている。換言すれば、召合せ框36eは、補強材76が挿入されるため、金属召合せ框40eを厚肉に形成する必要がない。具体的には、召合せ框36eは、中空部72の開口溝70側の内側見込み面を形成する壁部91、中空部72の外側見込み面を形成する壁部96、及び壁部77の肉厚が薄い板厚t2となっている。但し、本実施形態では、熱膨張性部材25を設けるポケット状凹部を形成する室外側壁部94については、一部が板厚t2よりも厚肉となっている。
【0062】
一方、補強材が挿入されない室内側の中空部73は、金属召合せ框40eの室内側見付け面95aを形成する室内側壁部95が厚肉の板厚t3となっている。中空部73の他の3方の壁部は、薄肉の板厚t2となっている。なお、室内側の中空部73は、室外側の中空部72に補強材76を挿入しており、また面材38の保持に直接的に関係しないため、薄肉構造で構成可能である。しかしながら、建具10が室内側から火炎や熱を受けた場合の中空部72での防火性能を高めるため、室内側壁部95を厚肉の板厚t3としている。
【0063】
この場合、本実施形態に係る建具10では、召合せ框36d(36e)の金属召合せ框40d(40e)には、内部に補強材68(76)が挿入された中空部(第1中空部)66(72)が設けられ、戸先框36cの金属戸先框40cには、少なくとも室外側見付け面92aを形成する室外側壁部92の板厚t1が、召合せ框36d(36e)の中空部66(72)を形成する壁部71,75,79,87(77,91,96)の板厚t2よりも厚い中空部(第2中空部)62が設けられている。
【0064】
すなわち、建具10が火炎や熱を受けた場合の面材38の保持には、縦框である戸先框36c及び召合せ框36d(36e)の防火強度が重要となる。この点、建具10は、召合せ框36d(36e)の中空部66(72)に補強材68(76)を挿入している。これにより、建具10は開口枠12による支持のない召合せ框36d(36e)での防火強度を確保できる。さらに建具10は、戸先框36cの中空部62を形成する壁部のうちの少なくとも室外側壁部92の板厚t1を召合せ框36d(36e)の中空部66(72)を形成する壁部の板厚t2よりも厚く設定している。つまり戸先框36cは厚肉構造を有する。これにより、戸先框36cは、中空部62に補強材を挿入しなくても或いは軽量且つ薄肉の最小限の補強材を挿入するだけで十分な防火強度を確保できる。従って、建具10では、框体36(障子14,15)のコストや重量の増加を抑えつつ、防火性能を確保することができる。さらに戸先框36cを厚肉構造としたことで、戸先框36cに対する熱膨張性部材25の設置数を低減でき、コストを一層低減できる。
【0065】
なお、中空部66の壁部71,75,79,87の肉厚は、このうち1以上の壁部が薄肉の板厚t2で形成されていれば重量やコストの低減効果が得られ、中空部72の壁部77,91,96についても同様である。また、例えば壁部87のように一部が厚肉になっている部分もあるが、一部に厚肉部分があった場合であっても壁部87の大部分が薄肉で構成されていれば重量やコストの増加は限定的となり、十分な効果を得ることができる場合もある。
【0066】
建具10では、戸先框36cの中空部62は、面材38を保持する開口溝60を形成する開口側壁部となる底壁部93の板厚t1が、召合せ框36d(36e)の中空部66(72)を形成する壁部71,75,79,87(77,91,96)の板厚t2よりも厚い。これにより、建具10は、戸先框36cでの面材38の保持に対する防火強度を一層高めることができる。
【0067】
上記の通り、建具10では、戸先框36cを厚肉構造としているため、その中空部62には、補強材を挿入しなくても十分な防火強度を確保できる。このため、建具10は大幅な低コスト化と軽量化が可能となる。
【0068】
建具10では、上框36aの金属上框40aには、少なくとも室外側見付け面84aを形成する室外側壁部84の板厚t1が、召合せ框36d(36e)の中空部66(72)を形成する壁部71,75,79,87(77,91,96)の板厚t2よりも厚い中空部(第3中空部)48が設けられている。また、下框36bの金属下框40bには、少なくとも室外側見付け面88aを形成する室外側壁部88の板厚t1が、召合せ框36d(36e)の中空部66(72)を形成する壁部71,75,79,87(77,91,96)の板厚t2よりも厚い中空部(第4中空部)54が設けられている。このように建具10は、上框36a及び下框36bについても厚肉構造を有する。これにより、上框36a及び下框36bは、中空部48,54に補強材を挿入しなくても或いは軽量且つ薄肉の最小限の補強材を挿入するだけで十分な防火強度を確保できる。従って、建具10では、框体36(障子14,15)のコストや重量の増加を一層抑えつつ、防火性能を確保することができる。さらに上框36a及び下框36bを厚肉構造としたことで、上框36a及び下框36bに対する熱膨張性部材25の設置数を低減でき、コストを一層低減できる。なお、このような厚肉構造は、必ずしも上框36a、下框36b及び戸先框36cの全てに設けなくてもよく、その防火仕様等に応じて1以上の框36a〜36cにもうければよい。
【0069】
建具10では、召合せ框36eの金属召合せ框40eには、室外側の中空部(第1中空部)72の室内側に並んで中空部(第5中空部)73が設けられる。そして、中空部72の一壁部が面材38を保持する開口溝70を形成する一方、中空部73には、補強材が挿入されていない。すなわち、建具10の内障子となる障子15では、室外側の中空部72が面材38を保持する開口溝70を形成するため、十分な防火強度を必要とする。またこの中空部72は外障子となる障子14との召合せ部にもなるため、耐風圧等に対する強度も必要となる。一方、室内側の中空部73は防火強度等に対する影響は少ない。そこで、建具10では、室外側の中空部72に補強材76を挿入する一方、室内側の中空部73には補強材を挿入せず、強度とコスト、重量とのバランスを図っている。
【0070】
建具10では、開口枠12の上枠12aは、障子14,15側となる内側見込み面21の反対側に中空部26を有する。すなわち中空部26が上枠12aの断熱構造部を形成する。これにより、建具10は、火炎、熱或いは日射の影響を中空部26で緩和することができ、障子14,15を支持する上枠12aの内側見込み面21側に損傷を生じることを抑制できる。また火災時に上枠12aが口開きを生じ、障子14,15が脱落することを防止できる。
【0071】
この場合、上枠12aは、その内側見込み面21に障子14を案内するレール22が突出形成されており、中空部26の内部は、レール22の延長線上に設けられた支柱壁26aによって仕切られている。このように上枠12aは、レール22の延長線上に支柱壁26aを有するため、火災時等の障子14の熱伸びを支柱壁26aによって抑えることができる。その結果、上枠12aと室外側の障子14の間に隙間が発生しにくくなり、防火強度が一層向上する。
【0072】
召合せ框36eでは、室外側の中空部72に挿入したコ字状の補強材76を室内側の中空部73との間を仕切る壁部77側に開口する向きで配置している。これにより室外側から火炎や熱を受けた際にこれを補強材76の底部で確実に防ぐことができる。
【0073】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0074】
上記実施形態では、2枚の障子14,15を引違い可能に構成した引違い窓を例示したが、建具10は例えば一方の障子15を開口枠12に嵌め殺した片引き窓で構成されてもよい。また建具10は、3枚以上の障子をスライド可能に設けた引戸で構成されてもよく、この場合は左右両端側の障子の中間となる障子は戸先框を持たない構成となる。
【0075】
上記実施形態では、開口枠12及び框体36をアルミニウムと樹脂の複合構造とした複合サッシを例示したが、当該建具10は開口枠12及び框体36をアルミニウム単独で構成したアルミサッシ等にも適用可能である。