(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボルトは、前記接合金具が破壊されるか若しくは前記扁平柱から前記接合金具が脱落する上下方向の力、又は前記梁側接合金具が破壊されるか若しくは前記横架部材から前記梁側接合金具が脱落する上下方向の力より小さい引張力で降伏点応力に達するものであることを特徴とする請求項3に記載の柱梁接合構造。
一対の前記横架部材の互いに対向する面のそれぞれに固定された一対の前記梁側接合金具は、前記横架部材の上部及び下部で互いに連結されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の柱梁接合構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のラーメン構造では、多層階の建築物等において複数の階層に連続する通し柱を用いることができるが、これに接合する梁は通し柱の両側に連続する梁とすることができない。また、特許文献2に記載のラーメン構造では、柱上に架け渡される梁は柱の位置を越えて連続する構造とすることができるが、多層階の建築物等において複数の階層に連続する通し柱とすることができない。
【0006】
一方、特許文献3に記載の骨組み構造では、柱の両側に連続する梁を柱の中間部に接合して、通し柱と連続梁とを接合した構造とすることができる。しかし、木製の柱と木製の梁とを接合する構造は、柱の側面と梁の側面とを重ね合わせ、ボルトで締め付けて接合するものとなっている。このような構造では、地震時等に水平方向の力が作用したときに、柱と梁との接合部に大きな曲げモーメントが作用し、ボルトに大きなせん断力が生じる。このため、大型の木造建築物等には適していない。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、木製の柱の中間部分に、この柱の両側方に連続する木製の梁を簡単な構造で強固に結合し、曲げモーメントの伝達が可能とした柱梁接合構造を提供すること、及びこの柱梁接合構造によって柱と梁とを接合したラーメン構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、
水平断面の形状が長方形となった木製の扁平柱と、 前記水平断面の長辺方向に沿って配置され、前記扁平柱の両側から該扁平柱を挟むように接合された一対の横架部材からなる木製の梁と、 前記扁平柱の水平断面の短辺を含む2つの側面にそれぞれ固定された接合金具と、を有し、 一対の前記横架部材のそれぞれは、前記扁平柱に対して該横架部材の軸線方向の変位が拘束されるとともに、前記接合金具を介して前記扁平柱に上下方向の変位が拘束されており、 前記接合金具は、一対の前記横架部材間で、該横架部材の上面の高さから下面の高さまでの範囲に固定されている柱梁接合構造を提供する。
【0009】
この柱梁接合構造では、梁は扁平な柱の断面の長辺方向に離れた2つの位置で上下方向の変位が拘束されるものとなっているので、扁平柱に対して梁の角度変化が拘束される。つまり、離れた2つの位置で互いに反対方向に作用する上下方向の力によって梁と扁平柱のとの間で曲げモーメントの伝達が可能となる。したがって、木製の扁平柱の中間部分で、該扁平柱の両側へ伸びる梁と該扁平柱とを接合し、これらの間で曲げモーメントの伝達が可能となったラーメン構造とすることができる。特に扁平柱を複数の階層に及ぶ通し柱にすることができ、該扁平柱に複数層の梁を接合して多層のラーメン構造とすることも可能となる。また、梁は扁平な柱の断面の長辺方向に離れた2つの位置で上下方向の変位が拘束されるものとなっているので、小さな拘束力で接合部に作用する大きな曲げモーメントに耐え得るものとなる。つまり、離隔する2つの点で梁の上下方向の変位を拘束することによって曲げモーメントを扁平柱に伝達する構造となっており、簡単な構造で大きな曲げモーメントに抵抗することが可能となる。
また、この柱梁接合構造では、接合金具が梁を構成する一対の横架部材の間に収まり、梁が屋内で露出する構造としても接合金具が目立つことはなく、屋内の仕上がりを良好なものとすることができる。また、梁の上方又は下方から接合金具等の点検や補修を容易に行うことが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明は、
水平断面の形状が長方形となった木製の扁平柱と、 前記水平断面の長辺方向に沿って配置され、前記扁平柱の両側から該扁平柱を挟むように接合された一対の横架部材からなる木製の梁と、 前記扁平柱の水平断面の短辺を含む2つの側面にそれぞれ固定された接合金具と、を有し、 一対の前記横架部材のそれぞれは、前記扁平柱に対して該横架部材の軸線方向の変位が拘束されるとともに、前記接合金具を介して前記扁平柱に上下方向の変位が拘束されており、 前記扁平柱の水平断面の長辺を含む2つの側面に、梁支持凸部が設けられ、 前記横架部材は該梁支持凸部に載せ掛けて支持されている柱梁接合構造を提供する。
【0011】
この柱梁接合構造では、梁に作用する鉛直方向の荷重の大部分が梁支持凸部によって支持される。これにより、接合金具は、主に扁平柱と梁との間の角度変化を拘束するものとして機能し、接合金具に作用する負荷が小さく抑えられる。したがって、接合金具及びこれを介して扁平柱と梁とを結合する構造を簡単なものとすることが可能となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、
水平断面の形状が長方形となった木製の扁平柱と、 前記水平断面の長辺方向に沿って配置され、前記扁平柱の両側から該扁平柱を挟むように接合された一対の横架部材からなる木製の梁と、 前記扁平柱の水平断面の短辺を含む2つの側面にそれぞれ固定された接合金具と、を有し、 一対の前記横架部材のそれぞれは、前記扁平柱に対して該横架部材の軸線方向の変位が拘束されるとともに、前記接合金具を介して前記扁平柱に上下方向の変位が拘束されており、 一対の前記横架部材の互いに対向する面のそれぞれに固定された一対の梁側接合金具を有し、 該梁側接合金具と前記扁平柱に固定された前記接合金具とが、鉛直方向に軸線を有するボルトによって連結されている柱梁接合構造を提供する。
【0013】
この柱梁接合構造では、梁の上方又は下方からボルトを差し入れて梁側接合金具と扁平柱に固定された接合金具とを結合することができ、作業性が良好となる。また、点検や補修、特にボルトを交換することを容易に行うことができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の柱梁接合構造において、 前記ボルトは、前記接合金具が破壊されるか若しくは前記扁平柱から前記接合金具が脱落する上下方向の力、又は前記梁側接合金具が破壊されるか若しくは前記横架部材から前記梁側接合金具が脱落する上下方向の力より小さい引張力で降伏点応力に達するものとする。
【0015】
この柱梁接合構造では、扁平柱と梁との間に、相互間の角度を変化しようとする大きな力が作用したときに、ボルトが降伏することによって扁平柱に固定された接合金具及び梁側接合金具の破壊又は脱落を回避することができる。したがって、地震等の大きな負荷が作用した後の復旧は、ボルトを交換することによって可能となり、簡単かつ迅速に行うことができる。また、地震動によって繰り返し負荷が作用するときには、降伏したボルトの塑性変形によって震動のエネルギーが吸収され、震動を抑制するとともに震動の減衰を促進することが可能となる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3又は請求項4に記載の柱梁接合構造において、 一対の前記横架部材の互いに対向する面のそれぞれに固定された一対の前記梁側接合金具は、前記横架部材の上部及び下部で互いに連結されているものとする。
【0017】
この柱梁接合構造では、一対の梁側接合金具を介して一対の横架部材が扁平柱に連結され、この部分で一対の横架部材はほぼ一定の間隔が維持されるので、一対の横架部材からなる梁のねじり変形及び一対の横架部材の間隔の変動を抑制することが可能となる。また、一対の梁側接合金具を連結することにより、扁平柱に固定された接合金具の負荷を低減することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、
水平断面の形状が長方形となった木製の扁平柱と、 前記水平断面の長辺方向に沿って配置され、前記扁平柱の両側から該扁平柱を挟むように接合された一対の横架部材からなる木製の梁と、 前記扁平柱の水平断面の短辺を含む2つの側面にそれぞれ固定された接合金具と、を有し、 一対の前記横架部材のそれぞれは、前記扁平柱に対して該横架部材の軸線方向の変位が拘束されるとともに、前記接合金具を介して前記扁平柱に上下方向の変位が拘束されており、 前記扁平柱に固定され、前記横架部材を前記扁平柱に接合する位置及び姿勢で仮支持する仮支持金具を有する柱梁接合構造を提供する。
【0019】
この柱梁接合構造では、横架部材を扁平柱の側面に当接して接合しようとするときに、横架部材を所定の位置及び姿勢に仮支持するために仮支持金具を用いることができる。そして、このように横架部材を仮支持した状態で横架部材と扁平柱との接合作業を行うことができ、作業の効率化が可能となる。
【0020】
請求項7に係る発明は、
水平断面の形状が長方形となった木製の扁平柱と、 前記水平断面の長辺方向に沿って配置され、前記扁平柱の両側から該扁平柱を挟むように接合された一対の横架部材からなる木製の梁と、 前記扁平柱の水平断面の短辺を含む2つの側面にそれぞれ固定された接合金具と、を有し、 一対の前記横架部材のそれぞれは、前記扁平柱に対して該横架部材の軸線方向の変位が拘束されるとともに、前記接合金具を介して前記扁平柱に上下方向の変位が拘束されており、 前記横架部材は、前記扁平柱の側面に当接される範囲のほぼ中央に、端面が対向してせん断力の伝達が可能に接続された接続部を有する柱梁接合構造を提供する。
【0021】
この柱梁接合構造を、
図12(a)に示すようにラーメン構造体における扁平柱と梁との接合部に適用すると、地震等の水平力が作用して扁平柱が傾いたときに、接合部で接続された横架部材には、
図12(b)に示すようにせん断力が作用し、
図12(c)に示すように曲げモーメントが作用する。このようなせん断力の分布及び曲げモーメントの分布は、横架部材に接続部がないラーメン構造体とほぼ同じ分布となる。つまり、横架部材が接続された位置で曲げモーメントはほとんど生じておらず、接続部がせん断力の伝達を可能とするものであれば、水平力が作用したときの断面力分布は、接続部がないときとほぼ等しくなる。したがって、本請求項に係る接合構造では、扁平柱と横架部材とでラーメン構造体を形成するときの接合構造として採用したときに、地震等の水平力に対して扁平柱と横架部材からなる梁との間で曲げモーメントが伝達され、梁が扁平柱との接合部で接続されていても、ラーメン構造体は水平力に対して大きな耐力を有するものとなる。そして、接続部を設けることによって梁が軸線方向に長いラーメン構造体を形成することが可能となる。
【0022】
請求項8に係る発明は、 複数の木製の柱と、これらの柱に掛け渡される木製の梁と、を有し、 前記柱の少なくとも一つは、水平断面が長方形で前記梁の軸線方向に長辺を有する扁平柱であり、 前記梁は、前記扁平柱の両側から該扁平柱を挟むように接合された一対の横架部材からなり、 前記扁平柱と前記梁とを接合する構造が、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の柱梁接合構造であるラーメン構造体を提供するものである。
【0023】
このラーメン構造体では、木製の扁平柱の中間部分で、該扁平柱の両側へ連続する連続梁と該扁平柱とを接合し、これらの間で曲げモーメントの伝達が可能なラーメン構造とすることができる。そして、扁平柱を梁と接合した位置より上方に連続する構造とすることができ、扁平柱を複数の階層に及ぶ通し柱にすることができる。したがって、該扁平柱に複数層の梁を接合して多層のラーメン構造とすることも可能となる。また、梁は扁平な柱の断面の長辺方向に離れた位置で上下方向の変位が拘束されるものとなっているので、接合部に作用する大きな曲げモーメントに耐え得るラーメン構造体とすることができる。
【0024】
また、このラーメン構造体では、柱勝ち構造のラーメン構造体で生じる次のような問題点を回避することができる。
図15(a)に示すように、柱勝ち構造であって多径間にわたるラーメン構造体では、
図15(b)に示すように、水平方向の力が作用してラーメン構造体に変形が生じたときに、柱101に突き当てて接合された梁102と該柱101との間に隙間が生じる。このような変形によって床材や内装材に損傷が生じるおそれがある。また、梁高が大きいと梁102と柱101との間の角度が変化することによって隣接する柱101a,101b間の間隔が変動し、二次応力が生じることがある。これらに対し、本請求項に係るラーメン構造体では、扁平柱と梁との接合部で扁平柱と梁との双方が連続するものであり、上記のような不都合は生じないものとなる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の柱梁接合構造では、木製の扁平な柱の中間部分に、この扁平柱の両側方に連続する木製の梁を、簡単な構造で強固に接合して曲げモーメントの伝達が可能な構造とすることができる。また、扁平な柱の中間部分に連続梁を曲げモーメントの伝達が可能に接合して強固なラーメン構造体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る柱梁接合構造及びラーメン構造体を適用した木造建築構造躯体を示す概略斜視図である。
この構造躯体は、木製の柱と木製の梁とを曲げモーメントの伝達が可能に接合したラーメン構造体を複数組み合わせて主要部が構成されている。ラーメン構造体は、
図1中に示す水平に設定したX軸に沿った方向に梁を有するX方向ラーメン構造体群1と、X軸と直角で水平に設定したY軸に沿った方向に梁を有するY方向ラーメン構造体群2とを含むものである。
【0028】
X方向ラーメン構造体群1に含まれる第1のX方向ラーメン構造体11と第2のX方向ラーメン構造体12とは所定の間隔をあけて対向するように設けられ、これらのX方向ラーメン構造体11,12が有するX方向梁31,32の上に4つの主径間梁33がY軸方向に架け渡されている。
Y方向ラーメン構造体群2に含まれる4つのY方向ラーメン構造体21は、第2のX方向ラーメン構造体12の背面側つまり第1のX方向ラーメン構造体11が設けられた側と反対側に配列して設けられている。そして、それぞれのY方向ラーメン構造体21は、Y方向梁41の軸線がX方向ラーメン構造体11,12の複数の柱32間又は柱32が設けられた範囲の外側を通過する位置に設けられている。
Y方向ラーメン構造体21が有するY方向梁41は、第2のX方向ラーメン構造体12が有するX方向梁31−2の上で、主径間梁33と端面を突き合わせ、軸力の伝達が可能となるように接続されている。
【0029】
第1のX方向ラーメン構造体11と第2のX方向ラーメン構造体12とが有する柱は、水平な断面の形状がX方向梁31の軸線方向に長く、これと直角方向に短い扁平な長方形となった扁平柱32である。X方向梁31は扁平柱32を両側から挟み込むように接合される一対の横架部材31a,31bからなるものであり、それぞれの横架部材31a,31bは、断面の形状が上下方向に長く、横方向に短い長方形となっている。X方向梁31は上記扁平柱32の中間部分に接合され、相互間で曲げモーメントの伝達が可能とするものであり、これによってラーメン構造体として機能するものとなっている。
一方、Y方向ラーメン構造体21も同様に扁平柱42と一対の横架部材41a,41bからなるY方向梁41とが、扁平柱42の中間部分で曲げモーメントの伝達が可能に接合されたものである。
【0030】
上記主径間梁33は、一対の横架部材33a,33bからなるものであり、それぞれの横架部材33a,33bは、断面の形状が上下方向に長く、横方向に短い長方形となっている。これらの横架部材33a,33bは、Y方向梁41を構成する横架部材41a,41bと同じ幅を有し、幅方向に同じ間隔に保持されたものであるが、第1のX方向ラーメン構造体11のX方向梁31−1と第2のX方向ラーメン構造体12のX方向梁31−2との間では梁高が拡大され、広く設定された第1のX方向ラーメン構造体11と第2のX方向ラーメン構造体12との間に架け渡されて、これらの主径間梁33上に作用する荷重を支持することができるものとなっている。
【0031】
上記主径間梁33はY方向梁41と同一の軸線上にあって、軸線方向の力を伝達することが可能に接合されるとともに、これらと直角方向に配置されるX方向梁31と交差し、互いに接合されている。これによりX方向梁31と接続されたY方向梁41及び主径間梁33とが格子状に接合され、水平方向に広がりを有する水平方向構造体を形成している。この水平方向構造体を、X方向ラーメン構造体11,12の扁平柱32及びY方向ラーメン構造体21の扁平柱42が支持するものとなっており、これらの扁平柱32,42は、X方向梁31とY方向梁41又は主径間梁33との接合位置から外れた位置で支持するものとなっている。
また、主径間梁33、X方向梁31又はY方向梁41の上には、床材として機能する面部材(図示しない)が固定され、水平方向に広がりを有する上記水平方向構造体の変形を拘束するものとなっている。
【0032】
次に、本発明の一実施形態であって、上記X方向ラーメン構造体11,12の扁平柱32とX方向梁31との接合構造について説明する。なお、Y方向ラーメン構造体21の扁平柱42とY方向梁41との接合構造については、詳細な説明を省略するが同様に接合されるものであって、本発明の一実施形態である。また、上記X方向ラーメン構造体11,12及びY方向ラーメン構造体21は、本発明に係るラーメン構造体の一実施形態である。
【0033】
上記扁平柱32と一対の横架部材31a,31bからなるX方向梁31との接合は、
図2に示すように、扁平柱32の断面の長辺を含む側面(以下、長辺方向側面32a)に一対の横架部材31a,31bが扁平柱32を挟み込むように当接して接合されたものである。そして、扁平柱32の長辺方向側面32aで該横架部材31a,31bが支持されるとともに、扁平柱32の断面の短辺を含む側面(以下、短辺方向側面32b)に固定された柱側接合金具51を介して横架部材31a,31bの扁平柱32に対する上下方向の相対的な変位が拘束されるものである。
【0034】
図3は、X方向梁31を接合する前の扁平柱32の状態を示す概略斜視図であり、
図4は、X方向梁31を構成する横架部材31a,31bの扁平柱32と接合される前の状態を示す概略斜視図である。
図3に示すように扁平柱32には、長辺方向側面32aの幅方向における中央部であって横架部材31a,31bが当接される領域の下部に梁支持凸部52が設けられている。この梁支持凸部52は、金属からなる矩形断面の棒状部材が扁平柱32を貫通して2つの長辺方向側面32aから端部が突き出したものである。また、上記梁支持凸部52の上方であって横架部材31a,31bが当接される領域の上部には、仮支持金具として機能する受け金物53が取り付けられている。受け金物53は扁平柱32に固定され、長辺方向側面32aより張り出した位置で上方に向けて立ち上げられた受け板53aを備えている。
【0035】
また、扁平柱の短辺方向側面32bには、接合されるX方向梁31の上面の高さから下面の高さまでの範囲内に柱側接合金具51が固定されている。柱側接合金具51は、扁平柱32に取り付けるためのプレート51aと、このプレートから突き出すように固定された連結用ブロック51bとを備えている。
プレート51aは扁平柱32にねじ込まれるビス、釘又はラグスクリュー等を挿通するための複数の小孔がプレートのほぼ全域に分布して設けられている。
連結用ブロック51bは、プレート51aの両側縁に沿った位置で上下方向のほぼ中央部に設けられている。すなわち扁平柱32に接合される一対の横架部材31a,31bの互いに対向する面と近接した位置に、それぞれ設けられている。それぞれの連結用ブロック51bは、鉛直方向に貫通するボルト孔51cを備えており、このボルト孔の内周面には雌ネジが形成されて、上方と下方との双方からボルトをねじ込むことができるものとなっている。
【0036】
一方、X方向梁31を構成する横架部材31a,31bには、
図4に示すように、扁平柱32と当接される領域の下部であって長辺方向側面32aの幅方向における中央部に、切り欠き凹部62が形成されている。この切り欠き凹部62には、扁平柱32に設けられた梁支持凸部52が入り込み、横架部材31a,31bを下側から支持するものとなっている。そして、横架部材31a,31bがこれらの軸線方向に相対的に移動するのを拘束するものである。
【0037】
また、扁平柱31が当接される領域の中央上部には、掛け金物63が取り付けられている。掛け金物63は、横架部材31a,31bの扁平柱32と当接する面に凹部68を設け、この凹部内に固定されている。そして、横架部材31a,31bの扁平柱32に当接される面に沿って上部から下方に突き出した掛け板63aを備えている。掛け板63aは扁平柱32に固定された受け金物53が有する受け板53aと掛け合わすことができるものである。つまり、受け板53aが掛け板63aを下側から抱え込むように保持するものとなっている。
【0038】
また、一対の横架部材31a,32bの互いに対向する側面の、扁平柱32の2つの短辺方向側面32bと隣接する位置には、梁側接合金具61がそれぞれ取り付けられている。この梁側接合金具61は、横架部材31a,31bに取り付けるためのプレート61aと、このプレート61aから突出するように固定された孔あきブロック61bとを備えている。
プレート61aは、柱側接合金具のプレート51aと同様に、扁平柱32にねじ込まれるビス、釘又はラグスクリュー等を挿通するための複数の小孔がプレート61aのほぼ全域に分布して設けられている。
【0039】
孔あきブロック61bは、プレート61aの幅方向のほぼ中央であって上下に2つが間隔をあけて設けられ、扁平柱32の短辺方向側面32bと近接する位置に突き出している。この位置は、扁平柱32に固定された柱側接合金具51の連結用ブロック51bが突き出している位置の直上及び直下となっている。この孔あきブロック61bには上下方向に貫通孔61cが形成されており、この貫通孔61cは扁平柱32に取り付けられた柱側接合金具51の連結用ブロック51bに設けられたボルト孔51cと軸線が一致する位置に設けられたものである。
【0040】
このような扁平柱32と一対の横架部材31a,31bからなるX方向梁31とは次のように接合される。
X方向梁31を構成するそれぞれの横架部材31a,31bは、扁平柱32の両側からそれぞれ長辺方向側面32aに当接し、
図5に示すように扁平柱32に設けられた梁支持凸部52が横架部材31a,31bの切り欠き凹部62に嵌まり込むように上方から該支持凸部52に載せ掛ける。これと同時に扁平柱32に固定されている受け金物53の受け板53aが横架部材31a,31bに固定されている掛け金物63の掛け板63aを抱え込むように掛け合わされる。これにより、横架部材31a,31bは梁支持凸部52によって支持されるとともに横架部材31a,31bの上部は受け金物53と掛け金物63とによって扁平柱32に当接する位置に保持され、横架部材31a,31bの側面が扁平柱32の長辺方向側面32aと対向した姿勢に維持される。ただし、このとき横架部材31a,31bは梁支持凸部52の軸線周り回転が拘束されたものではない。
【0041】
横架部材31a,31bが梁支持凸部52及び受け金物53と掛け金物63とによって保持された状態で、
図6に示すように横架部材31a,31bに固定された梁側接合金具61と扁平柱32に固定された柱側接合金具51とが連結される。
横架部材31a,31bが梁支持凸部等によって支持され、横架部材31a,31bの側面が扁平柱の長辺方向側面32aに当接された状態では、
図6中の一点鎖線で示すように梁側接合金具61の2つの孔あきブロック61bに設けられた鉛直方向の貫通孔61cと、柱側接合金具51の連結用ブロック51bに設けられたボルト孔51cとの中心線がほぼ一致するものとなる。したがって、上方から連結プレート64及びワッシャ65を装着して上側ボルト66を上側の孔あきブロックの貫通孔61cに挿通し、先端部を連結用ブロックのボルト孔51cにねじ込むことができる。一方、下方からも下側ボルト67を連結プレート64及びワッシャ65を装着して下側の孔あきブロックの貫通孔61cに挿通し、先端部を連結用ブロックのボルト孔51cにねじ込むことができる。そして、上側ボルト66と下側ボルト67との双方を締め付けることによって
図7に示すように扁平柱32と梁31を構成する2つの横架部材31a,31bとが接合される。
【0042】
上記連結プレート64は、長方形の鋼プレートであって、長辺方向の両端部にボルト66,67を挿通することができる孔が設けられている。これらの孔にボルト66,67を挿通して連結用ブロックのボルト孔51cにねじ込むことによって一対の梁側接合金具51が連結プレート64によって連結されるものである。
【0043】
なお、上記接合工程においては、梁支持凸部と仮支持金具として機能する受け金物及び掛け金物とによって横架部材を仮支持するものとしているが、受け金物と掛け金物とによって横架部材を仮支持するものであってもよい。
【0044】
このように接合された扁平柱32と2つの横架部材31a,31bからなる梁31とは、次のように2つの離れた位置で上下方向の相対的な変位が拘束されるものとなる。
梁側接合金具61及び柱側接合金具51を介して連結された位置でX方向梁31が扁平柱32に対して下方へ変位しようとするときには、扁平柱32に固定されている連結用ブロック51bと横架部材31a,31bに固定されている下側の孔あきブロック61bとが下側ボルト67によって連結されていることにより、X方向梁31の下方への相対的な変位が拘束される。一方、X方向梁31が扁平柱32に対して上方へ変位しようとするときには、扁平柱32に固定されている連結用ブロック51bと横架部材31a,31bに固定されている上側の孔あきブロック61bとが上側ボルト66によって連結されていることにより、X方向梁31の上方への相対的な変位が拘束される。
【0045】
なお、上記の接合構造において、上側ボルト66と下側ボルト67とに代えて一本の長いボルトとこのボルトにねじり合わされるナットとを用いるものであってもよい。このようなボルトとナットとを用いるときには、上方から連結プレート64及びワッシャ65を装着してボルトを上側の孔あきブロック61bの貫通孔61cに挿通し、連結用ブロック51bのボルト孔51cにねじ込む。さらに、このボルトを深くねじ込んでボルト孔51cを貫通させ、下側の孔あきブロック61bの貫通孔61cを貫通させる。そして、下方からワッシャ65及び連結プレート64を装着してナットをねじり合わせ、締め付けることによってX方向梁31と扁平柱32とを接合することができる。
【0046】
このようにX方向梁31が扁平柱32の断面の長辺にほぼ相当する距離を隔てた2つの位置で上下方向の変位が拘束されることにより、X方向梁31と扁平柱32との間の相互間で曲げモーメントの伝達が可能となる。そして、X方向梁31と扁平柱32との間で曲げモーメントの伝達が可能となることにより、これらの扁平柱32とX方向梁31とがラーメン構造体を構成するものとなる。
【0047】
また、このようにX方向梁31と扁平柱32とが接合されたラーメン構造体11,12では、扁平柱31の両側に連続するX方向梁31を扁平柱31の中間部分に接合することとができ、X方向梁31を連続梁とするとともに扁平柱32を複数の階層に連続する通し柱とすることができる。したがって、
図8に示すように複数の通し柱34に対して上下に複数の梁35,36を接合することによって多層のラーメン構造体とすることができ、これらを組み合わせることによって全方向の水平力に対して多層のラーメン構造で抵抗する木造建築構造躯体とすることができる。
【0048】
以上に説明した柱梁接合構造では、扁平柱32が梁31と接合される位置より上方へ連続するものであり、梁31は扁平柱32と接合される位置の両側に連続したものであるが、本発明の柱梁接合構造は、
図9に示すような態様で適用することができる。
図9(a)に示す柱梁接合構造は、扁平柱37の上端部に、該扁平柱37の両側に連続する連続梁38を接合するものである。このような部分においても、
図2から
図7に示す構成を採用して曲げモーメントの伝達が可能に接合することができる。また、
図9(b)に示すように扁平柱37は梁38と接合される位置の上方にまで連続する通し柱とし、この扁平柱37に梁38の端部を接合するときに適用することもできる。このときには梁38の端部を梁側接合金具が取り付け可能となる程度に扁平柱37の短辺方向側面37aより突き出して接合するのが望ましい。さらに、
図9(c)に示すように扁平柱37の上端部と梁38の端部とを接合するときに適用することもできる。
【0049】
以上に説明した柱梁接合構造は、扁平柱と連続梁とを接合するものであったが、本発明の柱梁接合構造は、梁が扁平柱の両側に伸びるように配置されて他端側が他の柱等によって支持される構造に適用したときに、梁が扁平柱に当接されている部分のほぼ中央で、該梁に接続部を設けることができる。
図10は、梁91を構成する横架部材91a−1,91a−2,91b−1,91b−2が扁平柱との接合部で接続された柱梁接合構造の例を示す概略側面図及び概略平面図である。また、
図11は横架部材91aの接続部90の構造を示す分解斜視図である。
この接合構造では、横架部材91a−1,91a−2,91b−1,91b−2が扁平柱92の長辺方向側面のほぼ中央で端面を対向させ、せん断力の伝達が可能に接続されている。
接続された横架部材91a−1,91a−2の端部には、
図11に示すようにそれぞれ端面から軸線方向へ所定の範囲に上下方向のスリット91cが設けられており、このスリット91cに鋼板からなる連結プレート93が挿入されている。この連結プレート93には複数のピン孔93aが形成されている。そして、横架部材91a−1,91a−2には連結プレートのピン孔93aと対応する位置に両側面間で水平方向に貫通する貫通孔91dが形成されており、この貫通孔91d及び連結プレートのピン孔93aを貫通するようにドリフトピン94が挿入されている。これにより、互いに接続される横架部材91a−1,91a−2間では連結プレート93を介してせん断力が伝達されるとともに、横架部材が連続するものに比べて低減はされるが曲げモーメントも伝達されるものとなっている。
【0050】
接続される横架部材91a−1,91a−2の端面と底面との隅角部には、矩形の切り欠き91eが設けられ、扁平柱92から突き出すように設けられた一つの梁支持凸部95に両側から載せ掛けるように双方の横架部材91a−1,91a−2が支持されるものとなっている。
また、それぞれの横架部材91a−1,91a−2の扁平柱に当接される側面には掛け金物96が取り付けられている。そして、扁平柱92の対応する位置には受け金物97が取り付けられている。これらの掛け金物96及び受け金物97は、
図3及び
図4に示すものと同じ構造を有するものであるが、幅方向の寸法は縮小されている。
【0051】
一方、扁平柱92の短辺方向側面に固定された柱側接合金具98、
図11に示すように横架部材91a,91bに固定された梁側接合金具99及び柱側接合金具と梁側接合金具とを連結する機構は、
図6及び
図7に示すものと同じものを用いることができる。
なお、
図11には示していない横架部材91b−1,91b−2についても同様の構造によって接続され、同様に扁平柱92と接合される。
【0052】
上記横架部材91a,91bを扁平柱に接合する工程は、次にように行うことができる。
扁平柱92には梁支持凸部95及び受け金物97を取り付けておき、接続する一方の横架部材91a−1には連結プレート93をスリット91cに挿入し、ドリフトピン94によって固定しておく。この横架部材91a−1の端部に設けられた切り欠き91eを梁支持凸部95に嵌め合わせるように横架部材91a−1を梁支持凸部95に載せ掛けるとともに、掛け金物を96を受け金物97に掛け合わせて横架部材91a−1を仮支持する。そして、接続する他方の横架部材91a−2を梁支持凸部95に載せ掛けるとともに、端部に設けられたスリット91cに、すでに仮支持された横架部材91a−1に装着された連結プレート93を挿入し、掛け金物96を受け金物97に掛け合わせる。後から梁支持凸部95に載せ掛けた横架部材91a−2には、側面から貫通孔91dにドリフトピン94を挿入し、連結プレート93と該横架部材91a−2とを結合する。その後、扁平柱92に取り付けられた柱側接合金具98と横架部材91a,91bに固定された梁側接合金具99とは、
図6及び
図7に示す接合構造と同様にして連結する。
なお、掛け金物96は接合される横架部材の一方、すなわち先に架設される横架部材にのみ設け、扁平柱92にはこの掛け金物と対応する受け金物のみを設けるものであってもよい。
【0053】
このような接合構造は、
図12(a)に示すように扁平柱92の両側に伸びた梁91の端部が他の柱100a,100bによって支持されるラーメン構造体としたときに、地震等の水平力Hによるせん断力及び曲げモーメントの分布は、
図12(b)及び
図12(c)に示すものとなる。
扁平柱92の短辺方向側面の位置、つまり扁平柱92に対して上下方向の相対的な変位が拘束された位置間では大きなせん断力が作用し、このせん断力が接続部90を越えて接続した横架部材間で伝達される。一方、曲げモーメントは上下方向の相対的な変位が拘束される位置間で正負が反転し、接続部90の位置でほとんど曲げモーメントが生じないものとなる。したがって、接続部90は曲げモーメントの伝達が生じない構造であっても、水平力Hが作用したときには、横架部材が接続部のない連続するものであるラーメン構造体と同様に挙動し、水平力Hに対して有効に抵抗するものとなる。
【0054】
以上に説明した柱梁接合構造を採用したラーメン構造体は、
図1に示すようにX方向ラーメン構造体及びY方向ラーメン構造体として配置し、木造建築構造躯体を形成することができるが、他の接合構造と混在するように用いることもできる。例えば
図13に示す木造建築構造躯体は、X方向ラーメン構造体73のX方向梁74と扁平柱75との接合には本発明の柱梁接合構造を適用するが、Y方向ラーメン構造体70のY方向梁71と扁平柱72との接合は、いわゆる梁勝ち構造としたものである。このようなY方向梁71と柱72との接合には、柱の端部に軸線方向にスクリュー部材(図示しない)をねじ込むとともにY方向梁71の接合部には鉛直方向にスクリュー部材(図示しない)をねじ込んでおき、接合金具等を介してこれらのスクリュー部材を連結する構造を採用することができる。
また、
図14に示す木造建築構造躯体のように、本発明を適用したX方向ラーメン構造体86とともに、Y方向の構造体としては、ラーメン構造とせずに耐力壁82を用いた耐力構造体とするものであってもよい。上記耐力壁は2つの柱84,84の間に面部材85を固定したものである
【0055】
以上に説明した柱梁接合構造及びラーメン構造体は、いずれも本発明の実施の形態であって、扁平柱と梁との接合構造における詳細な構成等について、本発明の範囲内で適宜に設計して適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1:X方向ラーメン構造体群, 2:Y方向ラーメン構造体群,
11,12:X方向ラーメン構造体,21:Y方向ラーメン構造体,
31:X方向梁, 31a,31b:X方向梁を構成する一対の横架部材, 32:X方向梁を支持する扁平柱, 32a:扁平柱の長辺方向側面, 32b:扁平柱の短辺方向側面, 33:主径間梁, 33a,33b:主径間梁を構成する一対の横架部材, 34:通し柱, 35,36:梁, 37:扁平柱, 38:梁,
41:Y方向梁, 41a,41b:Y方向梁を構成する一対の横架部材, 42:Y方向梁を支持する扁平柱,
51:柱側接合金具, 51a:柱側接合金具のプレート, 51b:連結用ブロック,
51c:ネジ孔, 52:梁支持凸部, 53:受け金物, 53a:受け板,
61:梁側接合金具, 61a:梁側接合金具のプレート, 61b:孔あきブロック,
61c:貫通孔, 62:切り欠き部, 63:掛け金物, 63a:掛け板, 64:連結プレート, 65:ワッシャ, 66:上側ボルト, 67:下側ボルト, 68
:凹部,
70:Y方向ラーメン構造体, 71:Y方向梁、 72:柱, 73:X方向ラーメン構造体, 74:X方向梁, 75:扁平柱, 76:主径間梁、
81:Y方向耐力構造体, 82:耐力壁, 83:Y方向梁、 84柱, 85:面部材, 86:X方向ラーメン構造体
90:接続部, 91:梁, 91a,91b:梁を構成する横架部材, 91c:スリット, 91d:貫通孔, 91e:切り欠き, 92:扁平柱, 93:連結プレート, 93a:ピン孔, 94:ドリフトピン, 95:梁支持凸部, 96:掛け金物,
97:受け金物, 98:柱側接合金具, 99:梁側接合金具, 100:柱