特許第6872886号(P6872886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872886
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】予混合装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 1/02 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   F23N1/02 F
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-220960(P2016-220960)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-77034(P2018-77034A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】柘植 真吾
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−112130(JP,A)
【文献】 実開昭50−001930(JP,U)
【文献】 特開昭49−119235(JP,A)
【文献】 特開昭51−093441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/00 − 5/26
F23D 14/00 − 14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置に燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを送るファンの吸入側に接続されて、該ファンに供給される前記燃料ガスと前記燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置において、
前記ファンの吸入側に接合される混合通路と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃焼用空気を流入させる空気流入口と、
前記空気流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該空気流入口が前記混合通路に開口する空気開口面積を変化させる空気制御部と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃料ガスを流入させるガス流入口と、
前記空気制御部と連結されており、該空気制御部の回転移動と連動して、前記ガス流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該ガス流入口が前記混合通路に開口するガス開口面積を、前記空気開口面積との面積比を維持しながら変化させるガス制御部と
を備え、
前記ガス制御部は、前記ガス流入口との重複によって前記燃料ガスが通過可能なガス通過口を複数有し、該ガス制御部の回転移動に伴って、該ガス通過口が前記ガス流入口と重複する部分が増減することで前記ガス開口面積を変化させ、
前記複数のガス通過口のうち、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能になっており、該選択されたガス通過口に応じて、前記ガス開口面積と前記空気開口面積との面積比が異なり、
前記複数のガス通過口は、前記ガス制御部の移動方向に位置を異ならせて設けられ、
前記空気制御部は、前記空気流入口との重複によって前記燃焼用空気が通過可能な空気通過部を、前記複数のガス通過口の各々に対応させると共に該空気制御部の移動方向に位置を異ならせて複数有し、
前記ガス制御部を回転移動させる移動範囲を切り換えることによって、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能であり、該選択されたガス通過口に対応して、前記燃焼用空気を通過させる前記空気通過部が切り換わる
ことを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
燃焼装置に燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを送るファンの吸入側に接続されて、該ファンに供給される前記燃料ガスと前記燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置において、
前記ファンの吸入側に接合される混合通路と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃焼用空気を流入させる空気流入口と、
前記空気流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該空気流入口が前記混合通路に開口する空気開口面積を変化させる空気制御部と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃料ガスを流入させるガス流入口と、
前記空気制御部と連結されており、該空気制御部の回転移動と連動して、前記ガス流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該ガス流入口が前記混合通路に開口するガス開口面積を、前記空気開口面積との面積比を維持しながら変化させるガス制御部と
を備え、
前記ガス制御部は、前記ガス流入口との重複によって前記燃料ガスが通過可能なガス通過口を複数有し、該ガス制御部の回転移動に伴って、該ガス通過口が前記ガス流入口と重複する部分が増減することで前記ガス開口面積を変化させ、
前記複数のガス通過口のうち、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能になっており、該選択されたガス通過口に応じて、前記ガス開口面積と前記空気開口面積との面積比が異なり、
前記複数のガス通過口は、前記ガス制御部の移動方向に対して直交する方向に位置を異ならせて設けられており、
前記複数のガス通過口のうちの少なくとも1つを閉塞する閉塞部材を前記ガス制御部に着脱することによって、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能である
ことを特徴とする予混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを送るファンの吸入側に接続されて、ファンに供給される燃料ガスと燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを燃焼させる燃焼装置を搭載した給湯器などでは、混合ガスを燃焼装置に送るためのファンを備えたものが知られており、このファンの吸入側には、ファンに供給される燃料ガスと燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置が接続されている。ファンを回転させると、燃料ガスおよび燃焼用空気が予混合装置で所定の比率に混合されてファンに吸い込まれ、ファンの吐出側に接続された燃焼装置に混合ガスが送り込まれる。
【0003】
このような予混合装置は、ファンの吸入側に接合されて、燃料ガスと燃焼用空気とを混合させる混合通路が設けられている。この混合通路には、燃料ガスを流入させるガス流入口と、燃焼用空気を流入させる空気流入口とが開口している。そして、ファンの回転による吸引で混合通路内が負圧になると、ガス流入口から燃料ガスが流入すると共に、空気流入口から燃焼用空気が流入して混合通路内で混合されてファンに供給される。混合通路に流入する燃料ガスと燃焼用空気との比率は、混合通路に開口するガス流入口と空気流入口との開口面積比によって決まる。そのため、ガス流入口と空気流入口との開口面積比は、燃焼装置で燃焼させる混合ガス中の燃料ガスと燃焼用空気との適切な比率に合わせて設定されている。
【0004】
また、こうした予混合装置では、ガス流入口の開口面積および空気流入口の開口面積を、面積比を一定に保ちながら変化させることが可能な機構を採用し、ガス流入口の開口面積と空気流入口の開口面積とを連動して変化させることで、燃焼装置に供給する混合ガスの流量を調節する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014−502337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、燃焼装置に用いられる燃料ガスは地域などによって種類が異なることがあり、従来の予混合装置では、燃料ガスの種類の変更に対応するのが困難であるという問題があった。すなわち、燃料ガスの種類が変わると、混合ガス中の燃料ガスと燃焼用空気との適切な比率も変化するので、ガス流入口と空気流入口との開口面積比も変更する必要がある。そのため、燃料ガスの種類毎に予混合装置を用意しておき、燃料ガスの種類に応じて予混合装置自体を取り換えるなど、燃料ガスの種類の変更に対応するのは容易ではなかった。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、燃料ガスの種類の変更に容易に対応することが可能な予混合装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明の第1の予混合装置は次の構成を採用した。すなわち、
燃焼装置に燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを送るファンの吸入側に接続されて、該ファンに供給される前記燃料ガスと前記燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置において、
前記ファンの吸入側に接合される混合通路と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃焼用空気を流入させる空気流入口と、
前記空気流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該空気流入口が前記混合通路に開口する空気開口面積を変化させる空気制御部と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃料ガスを流入させるガス流入口と、
前記空気制御部と連結されており、該空気制御部の回転移動と連動して、前記ガス流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該ガス流入口が前記混合通路に開口するガス開口面積を、前記空気開口面積との面積比を維持しながら変化させるガス制御部と
を備え、
前記ガス制御部は、前記ガス流入口との重複によって前記燃料ガスが通過可能なガス通過口を複数有し、該ガス制御部の回転移動に伴って、該ガス通過口が前記ガス流入口と重複する部分が増減することで前記ガス開口面積を変化させ、
前記複数のガス通過口のうち、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能になっており、該選択されたガス通過口に応じて、前記ガス開口面積と前記空気開口面積との面積比が異なり、
前記複数のガス通過口は、前記ガス制御部の移動方向に位置を異ならせて設けられ、
前記空気制御部は、前記空気流入口との重複によって前記燃焼用空気が通過可能な空気通過部を、前記複数のガス通過口の各々に対応させると共に該空気制御部の移動方向に位置を異ならせて複数有し、
前記ガス制御部を回転移動させる移動範囲を切り換えることによって、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能であり、該選択されたガス通過口に対応して、前記燃焼用空気を通過させる前記空気通過部が切り換わる
ことを特徴とする。
【0009】
このような本発明の第1の予混合装置では、燃料ガスの種類に応じてガス開口面積と空気開口面積との面積比を変更するに当たって、ガス制御部に設けられた複数のガス通過口の中から、燃料ガスを通過させるガス通過口を選択すればよい。すなわち、燃料ガスの種類に応じてガス制御部の移動範囲を切り換えることによって、複数のガス通過口のうちの何れをガス流入口に重複させるかを選択するだけでよく、予混合装置自体を取り換える必要はないので、従来の予混合装置に比べて、燃料ガスの種類の変更に容易に対応することが可能となる。
【0010】
また、前述した課題を解決するために本発明の第2の予混合装置は次の構成を採用した。すなわち、
燃焼装置に燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを送るファンの吸入側に接続されて、該ファンに供給される前記燃料ガスと前記燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置において、
前記ファンの吸入側に接合される混合通路と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃焼用空気を流入させる空気流入口と、
前記空気流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該空気流入口が前記混合通路に開口する空気開口面積を変化させる空気制御部と、
前記混合通路に開口して、該混合通路に前記燃料ガスを流入させるガス流入口と、
前記空気制御部と連結されており、該空気制御部の回転移動と連動して、前記ガス流入口が設けられた面に沿って回転移動することで、該ガス流入口が前記混合通路に開口するガス開口面積を、前記空気開口面積との面積比を維持しながら変化させるガス制御部と
を備え、
前記ガス制御部は、前記ガス流入口との重複によって前記燃料ガスが通過可能なガス通過口を複数有し、該ガス制御部の回転移動に伴って、該ガス通過口が前記ガス流入口と重複する部分が増減することで前記ガス開口面積を変化させ、
前記複数のガス通過口のうち、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能になっており、該選択されたガス通過口に応じて、前記ガス開口面積と前記空気開口面積との面積比が異なり、
前記複数のガス通過口は、前記ガス制御部の移動方向に対して直交する方向に位置を異ならせて設けられており、
前記複数のガス通過口のうちの少なくとも1つを閉塞する閉塞部材を前記ガス制御部に着脱することによって、前記燃料ガスを通過させるガス通過口を選択可能である
ことを特徴とする。
【0011】
このような本発明の第2の予混合装置では、燃料ガスの種類に応じて複数のガス通過口のうちの何れに燃料ガスを通過させるかを、ガス制御部への閉塞部材の着脱によって選択するだけで、燃料ガスの種類の変更に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の予混合装置100を接続したファン20が用いられる燃焼装置の例として給湯器1の構成を示した説明図である。
図2】本実施例のファン20を分解した状態を示した斜視図である。
図3】本実施例の予混合装置100を、混合通路101の中心線および空気制御部103の回転の中心軸を含む平面で切断した状態を示した斜視図である。
図4】本実施例の予混合装置100で回転軸105と連動した空気制御部103およびガス制御部112の動きを示す説明図である。
図5】本実施例の予混合装置100で燃料ガスの種類の変更に対応する様子を示した説明図である。
図6】変形例の予混合装置100を分解した状態を示した斜視図である。
図7】変形例の予混合装置100で燃料ガスの種類の変更に対応する様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施例の予混合装置100を接続したファン20が用いられる燃焼装置の例として給湯器1の構成を示した説明図である。図示されるように給湯器1のハウジング2の内部には、燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを燃焼させるバーナーを内蔵した燃焼ユニット3や、燃焼ユニット3の下方に設置された熱交換器4や、燃焼ユニット3に混合ガスを送るファン20などが設けられている。
【0016】
ファン20の吸入側には、ファン20に供給される燃料ガスと燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置100が接続されており、ファン20の吐出側には、燃焼ユニット3が接続されている。予混合装置100には、燃料ガスを供給するガス供給通路11が接続されており、このガス供給通路11には、上流側から圧送される燃料ガスの圧力を大気圧に下げるゼロガバナ12や、ガス供給通路11を開閉する開閉弁(図示省略)などが設けられている。ファン20を駆動すると、ハウジング2内の空気と、ガス供給通路11のゼロガバナ12よりも下流側の燃料ガスとが、予混合装置100で所定の比率に混合されてファン20に吸い込まれ、混合ガスが燃焼ユニット3に送り込まれる。尚、本実施例のファン20の構造および予混合装置100の構造については、後ほど別図を用いて説明する。
【0017】
燃焼ユニット3では、内蔵のバーナー(図示省略)で混合ガスの燃焼が行われる。図示した例では、バーナーから下方に向けて混合ガスが噴出するようになっており、下向きに炎が形成されると共に、燃焼排気が下方の熱交換器4に送られる。熱交換器4の一端には給水通路5が接続されており、熱交換器4の他端には給湯通路6が接続されている。給水通路5を通じて供給された上水は、熱交換器4でバーナーの燃焼排気との熱交換によって加熱された後、湯となって給湯通路6に流出する。
【0018】
熱交換器4を通過した燃焼排気は、排気ダクト7を通って、ハウジング2の上部に突出した排気口8から外部に排出される。また、排気口8の外周に給気口9が設けられた二重管構造になっており、給気口9からハウジング2内に取り入れられた空気が、予混合装置100を介してファン20に吸い込まれる。
【0019】
図2は、本実施例のファン20を分解した状態を示した斜視図である。尚、図2では、ファン20の上下の配置が図1に対して反転している。図示したファン20は、遠心式のタイプであり、回転することで風を起こす羽根車30や、羽根車30を回転させる駆動モーター40や、羽根車30を収容するケーシング50などを備えている。
【0020】
羽根車30は、複数の翼片31が駆動モーター40のシャフト41に対して放射状に所定の間隔で配置されて円筒形状になっている。これらの翼片31は、シャフト41の軸方向の一端(図中の下端)が略円形の回転円板32に取り付けられており、他端(図中の上端)が環状の支持板33に取り付けられている。回転円板32は、中央で駆動モーター40のシャフト41に固定されており、駆動モーター40の駆動によってシャフト41を中心に羽根車30が回転する。
【0021】
ケーシング50は、駆動モーター40が外側(図中の下面)に固定される凹形の本体51と、この本体51に対向する凹形の蓋体52とを外縁部分で接合して形成される。本体51と蓋体52とは、間にパッキン(図示省略)を介在させることで気密性が保たれ、図示しないネジなどで固定される。
【0022】
また、ケーシング50は、シャフト41に対する半径が羽根車30の回転方向(図中の反時計回り)に大きくなる形状に周面が形成されている。この周面の半径が大きい側から接線方向に延設して送風路54が形成されており、送風路54の末端の吐出口55に燃焼ユニット3が接続される。さらに、蓋体52には、羽根車30の内側に向けて開口した吸入口53が設けられており、この吸入口53に予混合装置100が接続される。予混合装置100は、図示しないネジなどで蓋体52に固定され、間にパッキン(図示省略)を介在させることで気密性が保たれる。
【0023】
周知のように遠心式のファン20では、駆動モーター40の駆動によって羽根車30が回転すると、遠心力で羽根車30の内側から外側に気体(空気や燃料ガス)が吹き出す流れが生じる。羽根車30の外側に吹き出した気体は、ケーシング50の内周面に沿って進み、送風路54を通って吐出口55から燃焼ユニット3に送り込まれる。また、羽根車30の外側に気体が吹き出すのに伴って、羽根車30の内側には、予混合装置100から気体が吸入口53を通って吸い込まれる。
【0024】
図2には、ファン20とともに、蓋体52に固定される前の予混合装置100の外観が示されている。予混合装置100は、蓋体52の吸入口53と接合される混合通路101を備えており、本実施例の混合通路101の中心線は、駆動モーター40のシャフト41や吸入口53の中心と同一直線上に位置している。この混合通路101の側面には、ガス供給通路11が接続される接続口104が設けられており、接続口104の中心は、混合通路101の中心線に直交する直線上に位置している。
【0025】
また、本実施例の混合通路101は、吸入口53とは反対側の端部(図中の上部)が、接続口104の中心を通り混合通路101の中心線に直交する直線に対して所定の半径で湾曲した円柱面で形成されており、この円柱面には、混合通路101に燃焼用空気を流入させる矩形の空気流入口102が開口している。さらに、予混合装置100は、空気流入口102が設けられた円柱面に平行な曲面形状の空気制御部103を有し、円柱面に沿って空気制御部103が回転摺動することで空気流入口102を開閉する(空気流入口102の開口面積を変化させる)ことが可能である。この空気制御部103は、予混合装置100に取り付けられた回動モーター120の駆動によって正逆両方向に回転する。尚、図2では、空気流入口102を全開した状態を表している。
【0026】
図3は、本実施例の予混合装置100を、混合通路101の中心線および空気制御部103の回転の中心軸を含む平面で切断した状態を示した斜視図である。尚、図3では、予混合装置100に取り付けられる回動モーター120の図示を省略している。図示されるように、ガス供給通路11が接続される接続口104は、混合通路101の内部に導入された円筒形状の導入部110の端部に設けられている。導入部110の中心線は混合通路101の中心線と直交しており、この導入部110の中心線と同一直線上に、回動モーター120の駆動によって回転する回転軸105が設けられている。本実施例の空気制御部103は回転軸105と一体に形成されており、回転軸105の回転に伴い、空気制御部103が回転移動して空気流入口102の開口面積を変化させる。
【0027】
導入部110の周面には、ガス供給通路11から混合通路101に燃料ガスを流入させる矩形のガス流入口111が、ファン20の吸入口53側(図中の下方)に向けて開口している。また、導入部110の内側には、円筒形状のガス制御部112が設置されており、導入部110の内周面に沿ってガス制御部112の回転摺動が可能になっている。このガス制御部112は、接続口104とは反対側の導入部110の端部を塞ぐとともに、回転軸105に連結されている。
【0028】
また、ガス制御部112の周面には、周方向に長い矩形に形成された2つのガス通過口113a,113bが開口している。2つのガス通過口113a,113bは、回転軸105の軸方向に位置を異ならせて、導入部110のガス流入口111と重複可能に設けられており、ガス流入口111との重複によってガス通過口113a,113bを燃料ガスが通過可能である。回転軸105が回転するのに伴い、ガス制御部112が回転してガス通過口113a,113bが移動するので、ガス通過口113a,113bとガス流入口111との重複の度合が変動し、ガス流入口111の開口面積(ガス通過口113a,113bとガス流入口111との重複部分の面積)を変化させる。尚、本実施例では、2つのガス通過口113a,113bのうち、接続口104から近い側を第1ガス通過口113aと呼び、遠い側を第2ガス通過口113bと呼んで区別することがある。
【0029】
図4は、本実施例の予混合装置100で回転軸105と連動した空気制御部103およびガス制御部112の動きを示す説明図である。図では、回転軸105の軸線に垂直な平面で切断した予混合装置100の断面を表しており、まず、図4(a)には、空気流入口102およびガス流入口111を全閉した状態が示されている。前述したように本実施例の混合通路101は、ファン20の吸入口53とは反対側の端部(図中の上部)が、回転軸105の軸線を中心に湾曲した断面半円弧形の円柱面になっており、この円柱面に空気流入口102が設けられている。本実施例では、矩形に形成された空気流入口102の周方向の辺が90度分の円弧になっている。そして、円柱面と平行な曲面形状の空気制御部103は、断面が90度分の円弧形であり、この空気制御部103によって空気流入口102が覆われている。
【0030】
一方、回転軸105の軸線を中心とする円筒形状の導入部110の周面には、ファン20の吸入口53側(図中の下方)に向けて開口するガス流入口111が設けられており、矩形に形成されたガス流入口111の周方向の辺は90度分の円弧になっている。そして、導入部110の内側に設置された円筒形状のガス制御部112の周面には、ガス通過口113a,113bが設けられており、矩形に形成されたガス通過口113a,113bの周方向の辺も90度分の円弧になっているものの、ガス通過口113a,113bとガス流入口111とが重複していないので、ガス制御部112によってガス流入口111が塞がれている。尚、空気制御部103およびガス制御部112は、それぞれ対応する空気流入口102およびガス流入口111の開口面積を変更可能であれば、必ずしも全閉する必要はない。ガス流入口111を全閉しない場合でも、ガス供給通路11に設けた開閉弁(図示省略)によって燃料ガスの供給を遮断することが可能である。
【0031】
こうした空気制御部103およびガス制御部112は、回転軸105と連結されており、図中の時計回りに回転軸105が回転するのに伴い、空気制御部103は、空気流入口102が設けられた円柱面に沿って回転摺動し、空気流入口102の開口面積を増大させる。また、空気制御部103と連動して、ガス制御部112は、導入部110の内周面に沿って回転摺動し、ガス通過口113a,113bが移動することで、ガス流入口111の開口面積(ガス通過口113a,113bとガス流入口111との重複部分の面積)を増大させる。
【0032】
そして、図4(a)の状態から回転軸105が図中の時計回りに90度回転すると、図4(b)に示されるように、空気制御部103が空気流入口102を覆わなくなることで、空気流入口102が全開した状態となる。また、ガス制御部112のガス通過口113a,113bの全体がガス流入口111と重複することで、ガス流入口111が全開した状態となる。尚、図中の太線の矢印は、ファン20の吸引によって、空気流入口102を通って混合通路101に流入する燃焼用空気の流れを表しており、図中の破線の矢印は、ガス流入口111を通って混合通路101に流入する燃料ガスの流れを表している。
【0033】
このような本実施例の予混合装置100では、ガス制御部112および空気制御部103が連結された回転軸105を回転させることによって、ガス流入口111の開口面積(空気開口面積)および空気流入口102の開口面積(ガス開口面積)を、面積比を一定に保ちながら連動して変化させることが可能である。そして、ファン20の吸引によって混合通路101に流入する燃料ガスと燃焼用空気との比率は、混合通路101に開口するガス流入口111および空気流入口102の開口面積比によって決まるので、ガス流入口111および空気流入口102の開口面積比は、給湯器1で燃焼させる混合ガス中の燃料ガスと燃焼用空気との適切な比率に合わせて設定される。
【0034】
また、給湯器1では、ユーザーによって設定された出力(給湯能力)に応じて燃焼ユニット3に送る混合ガスの流量を調節する必要がある。給湯器1の出力が所定値以上に設定された場合は、予混合装置100のガス流入口111および空気流入口102を全開にし、設定された出力値に比例してファン20の回転数(吸引力)を変化させることで、ガス流入口111から吸い込まれる燃料ガスと空気流入口102から吸い込まれる燃焼用空気との混合ガスの流量を調節することができる。一方、給湯器1の出力が絞られてファン20の回転数が下限値に抑えられた場合でも、予混合装置100の回転軸105を回転させてガス流入口111の開口面積および空気流入口102の開口面積を連動して変化させることにより、混合通路101に吸い込まれる燃料ガスの流量および燃焼用空気の流量が変動するので、燃焼ユニット3に送る混合ガスの流量を調節することができる。
【0035】
ただし、給湯器1に供給される燃料ガスは地域などによって種類(組成)が異なることがあり、燃料ガスの種類が異なると、混合ガスの燃焼に適切な燃料ガスと燃焼用空気との比率も変わるので、ガス流入口111と空気流入口102との開口面積比も変更する必要がある。そのため、従来の予混合装置では、燃料ガスの種類毎に専用のものを用意しておき、燃料ガスの種類に応じて予混合装置自体を取り換えるなど、燃料ガスの種類の変更に対応するのが困難であった。そこで、本実施例の予混合装置100では、燃料ガスの種類の変更に容易に対応するために、以下のような構成を採用している。
【0036】
図5は、本実施例の予混合装置100で燃料ガスの種類の変更に対応する様子を示した説明図である。図では、混合通路101の中心線および回転軸105の軸線を含む平面で切断した予混合装置100の断面を表している。また、図5(a)には、燃料ガスAを用いる場合が示されており、図5(b)には、燃料ガスBを用いる場合が示されている。図5の例において、燃料ガスAは、燃料ガスBと比較すると、同じ量の燃焼用空気に対して混合ガスの燃焼に適切な比率となる燃料ガスの量が2倍であるものとする。すなわち、燃焼用空気の量が同じであれば、燃料ガスBの量は、燃料ガスAの量の半分でよいことになる。
【0037】
前述したように本実施例の予混合装置100では、ガス制御部112の周面に第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bが回転軸105の軸方向に位置を異ならせて設けられている。そして、燃料ガスAを用いる場合は、図5(a)に示されるように、第1ガス通過口113aとガス流入口111との重複部分、および第2ガス通過口113bとガス流入口111との重複部分を通って燃料ガスAが混合通路101に流入する。尚、図中の破線の矢印は、燃料ガスの流れを表している。
【0038】
一方、燃料ガスBを用いる場合は、図5(b)に示されるように、ガス制御部112の内側に円柱形状の閉塞部材114を取り付けることで、第2ガス通過口113bを塞いでいる。この閉塞部材114は、接続口104にガス供給通路11が接続されていない状態で、接続口104から差し込んで取り付けたり、引き抜いて外したりすることが可能であり、閉塞部材114の外周面に嵌められたオーリング115によってガス制御部112の内周面との間の気密性が保たれる。このため、燃料ガスBは、第2ガス通過口113bを通過することができず、燃料ガスBが混合通路101に流入するのは、第1ガス通過口113aとガス流入口111との重複部分からだけとなる。
【0039】
本実施例の第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bは、何れも矩形に形成されており、ガス制御部112の周方向の長さが同じであるだけでなく、回転軸105の軸方向の幅も同じになっている。これにより、図5(b)の燃料ガスBを用いる場合は、図5(a)の燃料ガスAを用いる場合に比べて、ガス流入口111の開口面積が半分になり、混合通路101に流入する燃料ガスの流量が半減する。一方、空気流入口102の開口面積は、図5(b)の場合も図5(a)の場合と変わらない。従って、燃料ガスAを用いる場合と、燃料ガスBを用いる場合とで、混合ガスの燃焼に適切な燃料ガスと燃焼用空気との比率の違いに応じて、ガス流入口111と空気流入口102との開口面積比を切り換えることができる。
【0040】
以上に説明したように、本実施例の予混合装置100では、ガス流入口111と空気流入口102との開口面積比を変更するに当たって、ガス制御部112に設けられた2つのガス通過口113a,113bのうち燃料ガスを通過させるガス通過口(2つのガス通過口113a,113bの両方、または第1ガス通過口113aのみ)を、閉塞部材114の着脱によって選択するだけでよく、予混合装置100自体を取り換える必要はないので、燃料ガスの種類の変更に容易に対応することが可能となる。
【0041】
尚、上述した実施例の第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bは、回転軸105の軸方向の幅が同じになっていたが、これは、燃料ガスAが、燃料ガスBと比較して、同じ量の燃焼用空気に対して混合ガスの燃焼に適切な比率となる燃料ガスの量が2倍であることに基づくものであり、第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bの幅は、変更を可能とする2種類の燃料ガスにおける混合ガスの燃焼に適切な燃料ガスと燃焼用空気との比率の違いに基づいて、適宜設定することができる。
【0042】
上述した本実施例の予混合装置100には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6は、変形例の予混合装置100を分解した状態を示した斜視図である。図示されるように、変形例の予混合装置100の混合通路101は、ファン20の吸入口53(図2参照)に接合される円筒形状の下流側通路101aに、吸入口53とは反対側から円筒形状の上流側通路101bをつなぎ合せて形成され、図示しないネジなどで固定される。上流側通路101bの周面には、矩形の空気流入口102が開口しており、空気流入口102の周方向の辺は90度分の円弧になっている。
【0044】
また、上流側通路101bの外周を覆う円筒形状の空気制御部103が設けられており、この空気制御部103は、混合通路101の吸入口53とは反対側(図中の上部)を塞ぐ円形の蓋板107、および混合通路101の中心線と同一直線上に位置する回転軸105と一体に形成され、上流側通路101bの外周面に沿って回転摺動することが可能になっている。尚、図6では、回転軸105を回転させる回動モーター120の図示を省略している。
【0045】
さらに、空気制御部103の周面には、矩形に切り欠かれた2つの切欠き部106a,106bが設けられている。2つの切欠き部106a,106bは、それぞれ空気制御部103の周面の90度分に相当し、空気制御部103の周方向の位置が180度異なっている。また、2つの切欠き部106a,106bは、回転軸105の軸方向の幅が互いに等しく、空気流入口102の幅よりも大きく形成されて、空気流入口102と重複可能になっており、空気流入口102との重複部分を燃焼用空気が通過可能である。
【0046】
回転軸105が回転するのに伴い、空気制御部103が回転して切欠き部106a,106bが移動するので、切欠き部106a,106bと空気流入口102との重複の度合が変動し、空気流入口102の開口面積(切欠き部106a,106bと空気流入口102との重複部分の面積)を変化させる。尚、以下では、2つの切欠き部106a,106bを、第1切欠き部106aと、第2切欠き部106bとに区別して説明することがある。
【0047】
一方、下流側通路101aの側面には、接続口104が設けられており、この接続口104は、下流側通路101aの内部に導入された導入部110と通じている。変形例の導入部110は、L字状に屈曲しており、混合通路101と中心線が直交する直交導入部110aと、混合通路101と平行で中心線が一致する円筒形状の平行導入部110bとを備えている。平行導入部110bの端部(図中の上部)は、上流側通路101bの内部に位置するようになっており、その周面に矩形のガス流入口111が開口している。変形例のガス流入口111は、空気流入口102とは反対方向に向けて開口しており、ガス流入口111の周方向の辺は90度分の円弧になっている。
【0048】
また、平行導入部110bの内側には、円筒形状のガス制御部112が平行導入部110bの内周面に沿って回転摺動することが可能に設置される。ガス制御部112は、平行導入部110bの端部を塞ぐ円形の蓋板116と一体に形成されており、蓋板116の中心から突設された凸部117を、空気制御部103と一体の蓋板107の回転軸105とは反対側の面に設けられた凹部(図示省略)に嵌め込むことで、回転軸105に連結される。
【0049】
ガス制御部112の周面には、矩形に形成された2つのガス通過口113a,113bが開口している。変形例の2つのガス通過口113a,113bは、何れも周方向の辺が90度分の円弧になっており、ガス制御部112の周方向の位置を180度異ならせて、平行導入部110bのガス流入口111と重複可能に設けられている。回転軸105が回転するのに伴い、ガス制御部112が回転してガス通過口113a,113bが移動するので、ガス通過口113a,113bとガス流入口111との重複の度合が変動し、ガス流入口111の開口面積(ガス通過口113a,113bとガス流入口111との重複部分の面積)を変化させる。尚、以下では、2つのガス通過口113a,113bを、第1ガス通過口113aと、第2ガス通過口113bとに区別して説明することがある。
【0050】
このような変形例の予混合装置100においても、前述した実施例と同様に、回動モーター120の駆動で回転軸105を回転させることによって、空気流入口102の開口面積およびガス流入口111の開口面積を連動して変化させることが可能である。そして、燃料ガスの種類の変更には、以下のようにして対応可能である。
【0051】
図7は、変形例の予混合装置100で燃料ガスの種類の変更に対応する様子を示した説明図である。図では、混合通路101の中心線を含むと共に、直交導入部110aの中心線に垂直な平面で切断した予混合装置100の断面を表している。また、図7(a)には、燃料ガスAを用いる場合が示されており、図7(b)には、燃料ガスBを用いる場合が示されている。尚、図7の例においても、前述した図5の例と同様に、燃料ガスAは、燃料ガスBと比較すると、同じ量の燃焼用空気に対して混合ガスの燃焼に適切な比率となる燃料ガスの量が2倍であるものとする。
【0052】
前述したように変形例の予混合装置100では、ガス制御部112の周面に第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bが、周方向の位置を180度異ならせて設けられている。このうち、燃料ガスAを用いる場合は、図7(a)に示されるように、第1ガス通過口113aをガス流入口111と重複させることでガス流入口111を混合通路101に開口させる。変形例の予混合装置100では、ガス通過口113a,113bおよびガス流入口111の周方向の辺が90度分の円弧になっており、回転軸105を所定の回転基準位置に対して0度から90度まで回転させることで、ガス流入口111の開口面積(第1ガス通過口113aとガス流入口111との重複部分の面積)を全閉から全開まで変化させることが可能となっている。そして、燃料ガスAは、第1ガス通過口113aとガス流入口111との重複部分を通って混合通路101に流入する。尚。図中の破線の矢印は、燃料ガスの流れを表している。
【0053】
また、空気制御部103の周面には、第1切欠き部106aおよび第2切欠き部106bが、周方向の位置を180度異ならせて設けられており、第1ガス通過口113aがガス流入口111と重複する回転軸105の回転範囲では、第1切欠き部106aが空気流入口102と重複するようになっている。そして、回転軸105を回転基準位置に対して0度から90度まで回転させると、空気流入口102の開口面積(第1切欠き部106aと空気流入口102との重複部分の面積)が全閉から全開まで変化し、燃焼用空気は、第1切欠き部106aと空気流入口102との重複部分を通って混合通路101に流入する。尚、図中の太線の矢印は、燃焼用空気の流れを表している。
【0054】
一方、燃料ガスBを用いる場合は、図7(b)に示されるように、第2ガス通過口113bをガス流入口111と重複させることでガス流入口111を混合通路101に開口させる。変形例の予混合装置100では、回転軸105を180度回転させることによって、2つのガス通過口113a,113bのうちの何れをガス流入口111と重複させるかを切り換えることができ、回転軸105を回転基準位置に対して180度から270度まで回転させることで、ガス流入口111の開口面積(第2ガス通過口113bとガス流入口111との重複部分の面積)を全閉から全開まで変化させることが可能となっている。そして、燃料ガスBは、第2ガス通過口113bとガス流入口111との重複部分を通って混合通路101に流入する。
【0055】
また、第2ガス通過口113bがガス流入口111と重複する回転軸105の回転範囲では、第2切欠き部106bが空気流入口102と重複するようになっており、回転軸105を回転基準位置に対して180度から270度まで回転させると、空気流入口102の開口面積(第2切欠き部106bと空気流入口102との重複部分の面積)が全閉から全開まで変化し、燃焼用空気は、第2切欠き部106bと空気流入口102との重複部分を通って混合通路101に流入する。
【0056】
変形例の第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bは、何れも矩形に形成されており、ガス制御部112の周方向の長さは同じ(90度の円弧)であるものの、回転軸105の軸方向の幅は、第2ガス通過口113bが第1ガス通過口113aの半分になっている。これにより、図7(b)の燃料ガスBを用いる場合は、図7(a)の燃料ガスAを用いる場合に比べて、ガス流入口111の開口面積が半分になり、混合通路101に流入する燃料ガスの流量が半減する。一方、第1切欠き部106aおよび第2切欠き部106bは、形状や寸法が同様になっており、空気流入口102の開口面積は、図7(b)の場合も、図7(a)の場合と変わらない。従って、燃料ガスAを用いる場合と、燃料ガスBを用いる場合とで、混合ガスの燃焼に適切な燃料ガスと燃焼用空気との比率の違いに応じて、ガス流入口111と空気流入口102との開口面積比を切り換えることができる。
【0057】
以上に説明したように、変形例の予混合装置100では、ガス流入口111と空気流入口102との開口面積比を変更するに当たって、ガス制御部112に設けられた2つのガス通過口113a,113bのうちの何れをガス流入口111と重複させるかを、回転軸105の回転範囲の切り換えによって選択するだけでよく、予混合装置100自体を取り換える必要はないので、燃料ガスの種類の変更に容易に対応することが可能となる。
【0058】
尚、上述した変形例の第1ガス通過口113aは、第2ガス通過口113bに比べて、回転軸105の軸方向の幅が2倍になっていたが、これは、燃料ガスAが、燃料ガスBと比較して、同じ量の燃焼用空気に対して混合ガスの燃焼に適切な比率となる燃料ガスの量が2倍であることに基づくものであり、第1ガス通過口113aおよび第2ガス通過口113bの幅は、変更を可能とする2種類の燃料ガスにおける混合ガスの燃焼に適切な燃料ガスと燃焼用空気との比率の違いに基づいて、適宜設定することができる。
【0059】
以上、本実施例および変形例の予混合装置100について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0060】
例えば、前述した実施例では、ガス制御部112の周面に回転軸105の軸方向に位置を異ならせて2つのガス通過口113a,113bが設けられていた。しかし、ガス通過口の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。3つのガス通過口113a〜113cを、回転軸105の軸方向に位置を異ならせて設けておけば、ガス制御部112の内側に閉塞部材114を取り付けない場合と、1つのガス通過口113cだけを閉塞する閉塞部材114を取り付けた場合と、2つのガス通過口113b,113cを閉塞する閉塞部材114を取り付けた場合とで、3種類の燃料ガスの変更に容易に対応することが可能となる。
【0061】
また、前述した変形例では、ガス制御部112の周面に周方向の位置を180度異ならせて2つのガス通過口113a,113bが設けられていたが、ガス通過口の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。例えば、3つのガス通過口113a〜113cを設ける場合には、次のようにしてもよい。まず、3つのガス通過口113a〜113cをガス制御部112の周方向の位置を120度ずつ異ならせて配置し、ガス通過口113a〜113cの各々に対応する切欠き部106a〜106cを、空気制御部103の周方向の位置を120度ずつ異ならせて設ける。また、ガス流入口111、ガス通過口113a〜113c、空気流入口102、および切欠き部106a〜106cを、何れも周方向の辺を60度分の円弧として、3つのガス通過口113a〜113cの回転軸105の軸方向の幅を互いに異ならせる。そして、回転軸105を120度回転させることによって、3つのガス通過口113a〜113cのうちの何れをガス流入口111と重複させるかを切り換えれば、3種類の燃料ガスの変更に容易に対応することが可能となる。
【0062】
また、前述した変形例では、ガス制御部112に2つのガス通過口113a,113bを設けると共に、空気制御部103に2つの切欠き部106a,106bを設けて、燃料ガスの種類を変更する際には、回転軸105を180度回転させることで、第1ガス通過口113aをガス流入口111と重複させる回転範囲(0度から90度)と、第2ガス通過口113bをガス流入口111と重複させる回転範囲(180度から270度)とを切り換えていた。しかし、燃料ガスの種類の変更に際して、ガス制御部112側の凸部117(図6参照)を空気制御部103側の凹部から一旦取り外して、空気制御部103に対してガス制御部112を180度反転させた後に、再び嵌め込んで連結させるようにしてもよい。こうすれば、空気制御部103に切欠き部を1つ設けるだけでよく、回転軸105の回転範囲も0度から90度に限定することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…給湯器、 2…ハウジング、 3…燃焼ユニット、
4…熱交換器、 5…給水通路、 6…給湯通路、
7…排気ダクト、 8…排気口、 9…給気口、
11…ガス供給通路、 12…ゼロガバナ、 20…ファン、
30…羽根車、 31…翼片、 32…回転円板、
33…支持板、 40…駆動モーター、 41…シャフト、
50…ケーシング、 51…本体、 52…蓋体、
53…吸入口、 54…送風路、 55…吐出口、
100…予混合装置、 101…混合通路、 102…空気流入口、
103…空気制御部、 104…接続口、 105…回転軸、
106a…第1切欠き部、 106b…第2切欠き部、 107…蓋板、
110…導入部、 111…ガス流入口、 112…ガス制御部、
113a…第1ガス通過口、 113b…第2ガス通過口、 114…閉塞部材、
115…オーリング、 116…蓋板、 117…凸部、
120…回動モーター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7