特許第6872888号(P6872888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械エンバイロメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6872888-タンク遮断熱構造 図000002
  • 特許6872888-タンク遮断熱構造 図000003
  • 特許6872888-タンク遮断熱構造 図000004
  • 特許6872888-タンク遮断熱構造 図000005
  • 特許6872888-タンク遮断熱構造 図000006
  • 特許6872888-タンク遮断熱構造 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872888
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】タンク遮断熱構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20210510BHJP
【FI】
   B65D90/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-223402(P2016-223402)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-79958(P2018-79958A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】畑中 聰
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0264389(US,A1)
【文献】 実開平6−24297(JP,U)
【文献】 特開平7−217791(JP,A)
【文献】 実開昭49−148515(JP,U)
【文献】 実開昭59−41285(JP,U)
【文献】 実開昭57−82671(JP,U)
【文献】 実開昭60−43590(JP,U)
【文献】 特開2005−282881(JP,A)
【文献】 実開昭55−165200(JP,U)
【文献】 特開2016−106212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00−90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯蔵するタンクを覆い、前記タンクへの入熱を遮断熱する、複数の部材に分割された遮断熱部材と、
前記遮断熱部材と前記タンクとの間に配置され、前記遮断熱部材と前記タンクとの間のスペースを確保するスペーサと、
前記遮断熱部材同士の接合部分に配置され、前記接合部分における接合面積を変更可能な接合部材と、を備え
前記スペーサは、前記遮断熱部材に接合されており、前記タンクに接合されていない、
タンク遮断熱構造。
【請求項2】
液体を貯蔵するタンクを覆い、前記タンクへの入熱を遮断熱する遮断熱部材と、
前記遮断熱部材と前記タンクとの間に配置され、前記遮断熱部材と前記タンクとの間のスペースを確保するスペーサと、
前記遮断熱部材同士の接合部分に配置され、前記接合部分における接合面積を変更可能な接合部材と、を備え、
前記遮断熱部材は一枚の部材であって、当該部材における互いに異なる位置に前記接合部材が配置され、各々の接合部材の重なり位置を調整することで、前記接合面積を調整可能であり、
前記スペーサは、前記遮断熱部材に接合されており、前記タンクに接合されていない、
タンク遮断熱構造。
【請求項3】
前記遮断熱部材はシート状に構成されている、請求項1又は2に記載のタンク遮断熱構造。
【請求項4】
前記遮断熱部材は、上端側にて荷重を支持される、請求項1〜3の何れか一項に記載のタンク遮断熱構造。
【請求項5】
前記遮断熱部材は、刃物によって加工可能な材質からなる、請求項1〜4の何れか一項に記載のタンク遮断熱構造。
【請求項6】
前記スペーサは、他の部材に対して着脱可能に構成されている、請求項1〜5の何れか一項に記載のタンク遮断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク遮断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタンク遮断熱構造として、液体を貯留するタンクを覆い、タンクへの入熱を遮断熱する遮断熱部材を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このタンク遮断熱構造では、タンクの形状及び大きさに対応するように形成された遮断熱部材をベルト等を用いてタンクに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0264389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようなタンク遮断熱構造では、タンクの形状及び大きさに対応するように遮断熱部材を形成する必要がある。すなわち、所定のタンクに用いられている遮断熱部材を形状や大きさが異なるようなタンクに用いることができないため、遮断熱部材の施工に手間がかかる場合があった。
【0005】
本発明は、施工が容易なタンク遮断熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタンク遮断熱構造は、液体を貯蔵するタンクを覆い、タンクへの入熱を遮断熱する遮断熱部材と、遮断熱部材とタンクとの間に配置され、遮断熱部材とタンクとの間のスペースを確保するスペーサと、遮断熱部材の接合部分に配置され、接合部分における接合面積を変更可能な接合部材と、を備える。
【0007】
本発明に係るタンク遮断熱構造では、タンクへの入熱を遮断熱する遮断熱部材の接合部分に接合部材が配置されている。この接合部材は、遮断熱部材の接合部分における接合面積を変更可能である。すなわち、遮断熱部材の接合部分における接合面積を小さくすれば、その分大きなタンクを覆うことができ、遮断熱部材の接合部分における接合面積を大きくすれば、その分小さなタンクを覆うことができる。また、タンクの形状に合わせて接合面積を調整することもできる。これによって、接合面積を変更するだけで、遮断熱部材をタンクの大きさや形状に合わせることができる。以上より、タンク遮断熱構造の施工が容易となる。
【0008】
本発明に係るタンク遮断熱構造において、遮断熱部材はシート状に構成されていてよい。遮断熱部材がシート状に構成されているため、施工時の取り扱いが容易であり、重量が軽いので、梁や柱などの構造物を構築する必要がない。
【0009】
本発明に係るタンク遮断熱構造において、遮断熱部材は、複数の部材に分割されていてよい。これにより、一枚あたりの部材の取り扱いが容易となる。また、複数の部材に分割されているため、タンクの形状や大きさに合わせた施工の自由度が向上する。
【0010】
本発明に係るタンク遮断熱構造において、遮断熱部材は、上端側にて荷重を支持されてよい。これにより、遮断熱部材を支持するための梁や柱などの大掛かりな支持構造を構築する必要がなくなる。
【0011】
本発明に係るタンク遮断熱構造において、スペーサは、遮断熱部材とタンクとの間に冷却媒体を流すための流路を形成し、流路の流路断面積を変更可能に構成されていてよい。これにより、タンクに合わせて冷却性能を容易に調整することができる。
【0012】
本発明に係るタンク遮断熱構造において、遮断熱部材は、刃物によって加工可能な材質からなってよい。これにより、遮断熱部材をタンクに合わせて容易に加工を行うことができるため、施工性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タンク遮断熱構造の施工を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るタンク遮断熱構造を示す概略断面図である。
図2】スペーサの配置の一例を示す図である。
図3】スペーサの接合構造を示す図である。
図4】流路の流路断面積を変更する様子を示した断面図である。
図5】遮断熱部材及び接合部材の構成の一例を示す図である。
図6】遮断熱部材及び接合部材の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1を参照して、本実施形態に係るタンク遮断熱構造1が適用された冷却装置の構成について説明する。冷却装置は、ここでは次亜塩素酸ナトリウム溶液などを保存する装置となっており、例えば水処理プラント内の薬品室等に配置されている。この冷却装置は、タンク2と、タンク遮断熱構造1と、スポットクーラー4と、を備えている。タンク2は、次亜塩素酸ナトリウム溶液などを貯蔵する槽であり、ここでは両端が閉塞された略円筒状の外形を呈している。このタンク2は、架台上に設置されている。なお、タンク2の天面には円形の点検口が設けられており、点検口付近の側面には作業者が点検口近くまで登るための梯子が設けられている。
【0017】
タンク遮断熱構造1は、遮断熱部材10と、スペーサ20と、接合部材30と、を備える。遮断熱部材10は、タンク2を覆い、タンク2への入熱を遮断熱する部材である。遮断熱部材10は、タンク2の天面2aを覆う天井部11と、タンク2の側面2bを覆う側壁部12と、を備える。遮断熱部材10の側壁部12には、下端部付近における周方向の一部に、スポットクーラー4からの冷却空気を導入するための流入口13が形成されている。また、遮断熱部材10の側壁部12には、上端部付近における周方向の一部に、冷却空気を排出するための流入口13が形成されている。スポットクーラー4は、所定温度に冷却した冷却空気を流入口13から遮断熱部材10の内側のスペースSに給気すると共に、スペースS内の気体を排出口14から吸引して回収し、再度冷却した上で冷却空気としてスペースSに給気する。
【0018】
遮断熱部材10はシート状に構成されている。ここで、シート状とは、折りたたみ、及び丸めることが可能であって、形状を変更しても元の形状に戻せるものを言う。また、遮断熱部材10は、刃物によって加工可能な材質からなるものであってよい。刃物とは、例えばハサミ、カッターナイフなどの工具である。遮断熱部材10として、例えばアルミ蒸着フィルムなどを適用することができ、遮断熱できる部材であれば特に限定されない。また、遮断熱部材10の厚みは適宜設定されればよく、使用環境や冷却対象の温度によって調整すればよい。また、遮断熱部材10は、複数の部材に分割されていてよい。なお、遮断熱部材10の具体的な分割態様は、接合部材30の説明と合わせて行う。
【0019】
遮断熱部材10は、上端側にて荷重を支持されている。すなわち、遮断熱部材10は、上述のようにシート状に構成されているので、自重を支持することが出来る程度の強度を有していない。地面に載せた場合、すなわち下端側にて荷重を支持しようとした場合、遮断熱部材10は変形してしまう。一方、遮断熱部材10は重量が軽いので、上端側にて吊り下げるようにして、支持することができる。具体的には、タンク2の天面2aで支持された天井部11が、側壁部12の上端部を支持している。
【0020】
スペーサ20は、遮断熱部材10とタンク2との間に配置され、遮断熱部材10とタンク2との間のスペースSを確保する部材である。スペーサ20は、遮断熱部材10とタンク2との間に冷却媒体を流すための流路Fを形成する。すなわち、遮断熱部材10とタンク2との間のスペースSのうち、スペーサ20で区切られる領域が流路Fとして機能する。スペーサ20は、スポットクーラー4から供給された冷却空気を整流しながら、タンク2の外面の略全域を当該冷却空気が通過するように案内する。スペーサ20は、遮断熱部材10の天井部11及び側壁部12の両方に設けられる。なお、本実施形態では、冷却媒体として冷却空気CAを例示するが、他の気体であってもよく、且つ、冷却水などの液体であってもよい。
【0021】
図2は、スペーサの配置の一例を示す図である。図2(a)は、タンク2の側面2bの半周分の領域を展開して示した図である。図2(b)は、タンク2の天面2aを上方から見た図である。図2(a)に示すように、スペーサ20A〜20Eは、それぞれ水平方向に延びるように設けられており、タンク2の側面2bの下側から上側へ向かって順に設けられている。最も下側のスペーサ20Aは、側面2bの半周分の領域の全域に亘って延びている。スペーサ20B〜20Eは、タンク2の側面2bの半周分の領域における両端部にて交互に開口部21を形成するように千鳥状に配置されている。これにより、流入口13から入り込んだ冷却空気CAは、スペーサ20Aとスペーサ20Bとの間の流路Fを水平方向に流れると共に、開口部21を通過することで上昇する。このように、冷却空気CAは、スペーサ20Bとスペーサ20Cとの間の流路F、スペーサ20Cとスペーサ20Dとの間の流路F、スペーサ20Dとスペーサ20Eとの間の流路Fを通過する。このように、冷却空気CAは、側面2bの全域を通過するように蛇行しながら上昇する。
【0022】
図2(b)に示すように、天面2aには、水平方向に互いに離間して平行をなするようにスペーサ20G,20Hが配置されている。スペーサ20Gの一方の端部は外縁部のスペーサ20Eに接続され、他方の端部は外縁部のスペーサ20Eから離間して開口部22を形成している。スペーサ20Hの一方の端部は外縁部のスペーサ20Eから離間して開口部22を形成し、他方の端部は外縁部のスペーサ20Eに接続されている。これにより、スペーサ20Eの開口部21から天面2a側に流入した冷却空気は、スペーサ20Gの開口部22及びスペーサ20Hの開口部22を通過し排出口14から排出される。ただし、スペーサ20によって構成される流路Fの構成は上述のものに限定されない。
【0023】
ここで、スポットクーラー4は、所定温度に冷却した冷却空気を流入口13からスペースSに給気すると共に、スペースS内の気体を排出口14から吸引して回収し、再度冷却した上で冷却空気CAとしてスペースSに給気する。
【0024】
このような冷却装置では、スポットクーラー4から流入口13を通してスペースSに導入された冷却空気CAは、図2に示すように(図1では破線で示す)ように、スペーサ20により画設された流路Fに従ってタンク2の周りを旋回、蛇行しながら、スペースSを上昇する。この際、冷却空気CAによりタンク2が冷却され、これにより、タンク2の内部の次亜塩素酸ナトリウム溶液が冷却される。
【0025】
ここで、次亜塩素酸ナトリウム溶液が例えば20℃以下まで冷却されると、時間経過に伴う有効塩素濃度の減少及び塩素酸の増加を良好に抑制することができ、これにより、次亜塩素酸ナトリウム溶液の保存期間の延長や、次亜塩素酸ナトリウム溶液の水道水への注入率の抑制が可能となる。その結果、次亜塩素酸ナトリウム溶液の搬入頻度の減少による運送コストの低減、次亜塩素酸ナトリウム溶液による水処理コストの低減、次亜塩素酸ナトリウム溶液に不純物として含まれる臭素酸の水道水への注入量の低減等を実現できる。
【0026】
そして、スペースSの上部に達した冷却空気CAは、排出口14からスポットクーラー4に戻され再度冷却空気とされてスペースSに給気される。このように、冷却装置では、スペースSとスポットクーラー4との間を冷却空気が循環する。
【0027】
図3を参照して、スペーサ20の接合構造について説明する。スペーサ20は、遮断熱部材10に対して、接合部材を介して接合されている。具体的には、図3(a)に示すように、外側の外面10a及び内側(すなわちタンク2側)の内面10bを有する遮断熱部材10のうち、内面10bに接合部材26が形成される。一方、外側の外面20a及び内側(すなわちタンク2側)の内面20bを有するスペーサ20のうち、内面20bに接合部材27が形成される。従って、遮断熱部材10の内面10b側の接合部材26に対してスペーサ20の接合部材27を接合することによって、遮断熱部材10の内面10bに対してスペーサ20を接合することができる。なお、スペーサ20の内面20bとタンク2との間は直接的に接合されていなくともよい。すなわち、スペーサ20付きの遮断熱部材10でタンク2を覆うことで、スペーサ20の内面20bとタンク2とが接触する。このように、スペーサ20の内面20bとタンク2とが接触することで、流路Fを通過する冷却空気CAがスペーサ20とタンク2との間から漏れることが抑制される。
【0028】
遮断熱部材10に対して接合部材27をどのように配置するかは特に限定されない。例えば、上下方向に延びるような接合部材26を配置することで、スペーサ20の上下方向の位置を適宜調整することが可能となる。また、図3(b)に示すように、スペーサ20が延びる方向に沿って接合部材27が設けられてよい。例えば、遮断熱部材10側の接合部材26が水平方向に離間するように複数箇所に設けられていた場合、水平方向に延びる接合部材27は、いずれかの位置に設けられた接合部材26と接合することができる。なお、接合部材26,27として、面ファスナー部材が採用されてよい。この場合、スペーサ20を遮断熱部材10に対して容易に着脱することができる。ただし、遮断熱部材10とスペーサ20を接合する接合部材は特に限定されず、両面テープや接着剤であってもよい。
【0029】
また、図4に示すように、スペーサ20は、流路Fの流路断面積を変更可能に構成されてよい。例えば、図4(a)に示すように、タンク2と遮断熱部材10との間のスペーサ20の数量を変更することによって、流路Fの厚みを変更し、これによって流路断面積を変更してよい。あるいは、図4(b)に示すように、タンク2と遮断熱部材10の間のスペーサ20の位置を変更することで、流路Fの幅を変更し、これによって流路断面積を変更してよい。なお、流路断面積を大きくすれば内圧が高くなり過ぎることを抑制できる。一方、流路断面積を小さくすれば、冷却空気CAの流速が上がるため、冷却能力を向上することができる。
【0030】
次に、遮断熱部材10及び接合部材30の詳細な構造について、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、遮断熱部材10及び接合部材30の構成の一例を示す図である。接合部材30は、遮断熱部材10の接合部分に配置され、接合部分における接合面積を変更可能である。なお、図5及び図6の例では、接合部材として面ファスナーを用いるものとするが、両面テープ、接着剤等を用いてもよい。遮断熱部材10は、複数の部材に分割されている。具体的には、図5に示す例では、遮断熱部材10は、天井部11及び側壁部12が周方向に複数の部材41に分割されている。部材41は、天井部11に対応する略三角形状の部分42と、側壁部12に対応する略矩形状の部分43と、を備えている。部材41では、部分42と部分43とは同一シート材によって一体的に形成されてよいが、別シート材で構成されたものを互いに着脱不能、又は着脱可能に固定してもよい。
【0031】
また、部材41の天井部11に対応する部分42は、径方向に延びる縁部42a,42bを有している。また、部分42は、タンク2に対する外側の外面42cと、内側の内面42dと、を有している。部材41の側壁部12に対応する部分43は、上下方向に延びる縁部43a、43bを有している。部分43は、タンク2に対する外側の外面43cと、内側の内面43dと、を有している。部材41は縁部42a,43a付近の領域を、隣の部材41の縁部42b,43b付近の領域に重ねることによって接合する。すなわち、それぞれの部材41の縁部42a,43a,42b,43b付近の領域が「接合部分」に該当する。
【0032】
図5(b),(c)に示すように、部材41の縁部43aには、外面43cに接合部材31が配置されている。接合部材31は、縁部43aに沿って延びるように配置されている。部材41の縁部43bには、内面43dに接合部材33が配置されている。接合部材33は、縁部43bに沿って延びるように配置されている。また、部材41の縁部42aには、外面に接合部材32が配置されている。接合部材32は、縁部42aに沿って延びるように配置されている。部材41の縁部42bには、内面に接合部材(不図示)が配置されている。この接合部材は、縁部42bに沿って延びるように配置されている。このような構成によれば、縁部42a,43aに配置された接合部材と、縁部42b,43bに配置された接合部材とを介して、隣り合う部材41同士を接合することができる。更に、接合部材同士の重なりの位置を変更することによって、部材41同士の接合面積を変更することができる。なお、図5に示す形態では、遮断熱部材10は周方向に等角度で8分割されているが、特に分割数は限定されず、且つ、等角度に分割されていなくてもよい。
【0033】
また、図6に示す例では、遮断熱部材10は、側壁部12が周方向に複数の部材47に分割されている。また、天井部11は、側壁部12から分割された部材46によって構成されている。部材46は、円形状のシート材で構成されている。部材47は、略長方形状のシート材で構成されている。
【0034】
また、天井部11に対応する部材46は、外周縁部46aを有している。また、部材46は、タンク2に対する外側の外面46bと、内側の内面46cと、を有している。側壁部12に対応する部材47は、上下方向に延びる縁部47a、47bを有し、上端側で水平方向に延びる縁部47eを有している。部材47は、タンク2に対する外側の外面47cと、内側の内面47dと、を有している。部材47は縁部47a付近の領域を、隣の部材47の縁部47b付近の領域に重ねることによって接合する。すなわち、それぞれの部材47の縁部47a,47b付近の領域が「接合部分」に該当する。部材46は外周縁部46a付近の領域を、それぞれの部材47の縁部47e付近の領域に重ねることによって接合する。すなわち、部材46の外周縁部46a付近の領域、及びそれぞれの部材47の縁部47e付近の領域が「接合部分」に該当する。
【0035】
図6(d),(e)に示すように、部材47の縁部47aには、外面47cに接合部材36が配置されている。接合部材36は、縁部47aに沿って延びるように配置されている。部材47の縁部47bには、内面47dに接合部材39が配置されている。接合部材39は、縁部47bに沿って延びるように配置されている。また、部材47の縁部47eには、外面47cに接合部材37が配置されている。接合部材37は、縁部47eに沿って延びるように配置されている。図6(c)に示すように、部材46の外周縁部46aには、内面46cに接合部材38が配置されている。この接合部材38は、外周縁部46aに沿って円を描くように配置されている。このような構成によれば、縁部47aに配置された接合部材36と、縁部47bに配置された接合部材39とを介して、隣り合う部材47同士を接合することができる。更に、接合部材同士の重なりの位置を変更することによって、部材47同士の接合面積を変更することができる。また、部材47の縁部47eに配置された接合部材37と、部材46の外周縁部46aに配置された接合部材38とを介して、部材47,46同士を接合することができる。更に、接合部材同士の重なりの位置を変更することによって、部材47,46同士の接合面積を変更することができる。なお、図6に示す形態では、遮断熱部材10の側壁部12は周方向に等角度で8分割されているが、特に分割数は限定されず、且つ、等角度に分割されていなくてもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係るタンク遮断熱構造1の作用・効果について説明する。
【0037】
本実施形態に係るタンク遮断熱構造1では、タンク2への入熱を遮断熱する遮断熱部材10の接合部分に接合部材30が配置されている。この接合部材30は、遮断熱部材10の接合部分における接合面積を変更可能である。すなわち、遮断熱部材10の接合部分における接合面積を小さくすれば、その分大きなタンク2を覆うことができ、遮断熱部材10の接合部分における接合面積を大きくすれば、その分小さなタンク2を覆うことができる。また、タンク2の形状に合わせて接合面積を調整することもできる。これによって、接合面積を変更するだけで、遮断熱部材10をタンク2の大きさや形状に合わせることができる。以上より、タンク遮断熱構造1の施工が容易となる。
【0038】
本実施形態に係るタンク遮断熱構造1において、遮断熱部材10はシート状に構成されていてよい。遮断熱部材10がシート状に構成されているため、施工時の取り扱いが容易であり、重量が軽いので、梁や柱などの構造物を構築する必要がない。例えば、遮断熱部材10を搬送するときは、小さく折りたたむことができるため、搬送が容易になる。また、施工する場合はシートを広げてタンク2を覆うだけでよいので施工が容易である。
【0039】
本実施形態に係るタンク遮断熱構造1において、遮断熱部材10は、複数の部材に分割されていている。これにより、一枚あたりの部材の取り扱いが容易となる。また、複数の部材に分割されているため、タンク2の形状や大きさに合わせた施工の自由度が向上する。例えば、一部だけ配管が突出するようなタンク2の場合、遮断熱部材10の部材同士の隙間に配管を通すことができるため、配管の形状に合わせて遮断熱部材10を加工する手間を省くことができる。
【0040】
本実施形態に係るタンク遮断熱構造に1おいて、遮断熱部材10は、上端側にて荷重を支持されている。これにより、遮断熱部材10を支持するための梁や柱などの大掛かりな支持構造を構築する必要がなくなる。
【0041】
本実施形態に係るタンク遮断熱構造1において、スペーサ20は、遮断熱部材10とタンク2との間に冷却媒体を流すための流路Fを形成し、流路Fの流路断面積を変更可能に構成されている。これにより、タンク2に合わせて冷却性能を容易に調整することができる。
【0042】
本実施形態に係るタンク遮断熱構造1において、遮断熱部材10は、刃物によって加工可能な材質からなってよい。これにより、遮断熱部材10をタンク2に合わせて容易に加工を行うことができるため、施工性を向上することができる。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図5及び図6に示す遮断熱部材10の分割態様は一例に過ぎず、あらゆる態様で分割してもよい。また、遮断熱部材10は複数の部材に分割されていたが、分割されなくてもよい。例えば、側壁部12に対応する部材が一枚のシート材であってもよい。この場合、シート材の一端側及び他端側に接合部材を配置し、当該接合部材の重なり位置を調整することで、接合面積を調整できる。
【符号の説明】
【0044】
1…タンク遮断熱構造、2…タンク、10…遮断熱部材、20…スペーサ、30…接合部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6