(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のような救命胴衣は、保管時にはコンパクトでありながら使用時には適正な浮力を有する使用状態に速やかになることが求められる。特許文献1に記載された空気充填構造体は、救命胴衣にも適用可能とされているが、構成材料の性状や形状等の特定により、救命胴衣としての前記適性を備えるものであるとの裏付けについては言及されていない。また、特許文献2には、発泡体を収納する外装袋体を発泡体とともに圧縮巻装状態にして保管し、使用時には巻装状態を解除して発泡体を自律膨張させるようにした救命胴衣が記載されている。この例の場合も、構成材料の性状や形状等の特定により、救命胴衣としての前記適性を備えるものであるとの裏付けについては言及されていない。本発明者等は、特許文献2で提案された技術思想を元に、救命胴衣としてのより的確な適正化を図るため、構成材料の性状や形状、さらには取扱い性等の検証を鋭意行った。
【0005】
本発明は、前記検証の結果なされたもので、軽量で嵩低くコンパクトな状態で保管でき、使用時には自律的に膨張し且つ自動的に給気がなされ、速やかに所定の形状となる新規な救命胴衣を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る救命胴衣は、連続気泡の発泡体からなる芯材と、該芯材を気密的に収納する防水性の外装袋体とを備えた救命胴衣であって、前記外装袋体は、内外間の空気の流通を規制する開閉弁を備え、前記発泡体は、JIS K6400−3に準ずる反発弾性が40%以上であり、複数の透孔を有し、前記開閉弁を開とした状態で前記芯材を前記外装袋体とともに一端部より圧縮させながら巻き込み巻装体とされ、且つ、この巻装体は解除可能な拘束部材によって巻装状態に拘束維持がなされ、前記開閉弁を開状態として前記拘束部材による拘束を解除すると、前記芯材が元の形状に自律膨張して弾性復元するとともに、この自律膨張の際に前記外装袋体内に前記開閉弁を通じて給気がなされるように構成され、前記発泡体はブロック状とされ、前記芯材は、複数の当該ブロック状発泡体が同じ材質の橋絡部を介して直状に配列されて棒状に構成されて
おり、前記発泡体は、直方体の本体層部と、前記本体層部の両面に段差状に接着一体とされた同じ材質の発泡体からなるマット状の段層部とを有した三層構造とされ、前記本体層部と前記断層部には、同心及び同径に形成された円筒状の前記透孔が設けられており、前記本体層部及び前記段層部は、前記透孔が積層方向に貫通した状態に積層されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、芯材を外装袋体とともに一端部より圧縮させながら巻き込むことが容易になされる。このとき、芯材を構成する発泡体は、複数の透孔を有しているから、巻き込む際に開閉弁より空気が排出されながら、発泡体自体の連続気泡及び透孔部の空気が排出されて、極めて嵩低い巻装体とすることができる。従って、この巻装体を、拘束部材によって巻装状態に拘束維持するようにすれば、全体がコンパクトで軽量であるから保管性及び可搬性に優れたものとなる。また、開閉弁を開とした状態で、拘束部材による拘束を解除すると、芯材を構成する発泡体がその復元弾力により元の形状に復帰しようとする。この発泡体の形状復帰に伴い、開閉弁を通じて外部より外装袋体内に給気がなされ、前記連続気泡部及び透孔部、さらには、芯材と外装袋体との間の空間部に空気が流入して、全体が膨張する。そして、開閉弁を閉とすれば、当該救命胴衣は、弾性復元した発泡体による芯材が外装袋体に気密的に収納された所定の形状に維持される。
また、発泡体がブロック状とされているから、浮力に関係する空間部が大きく確保される。さらに、複数のブロック状発泡体が同じ材質の橋絡部を介して直状に配列されて芯材が構成されるから、人体の腰部や脇下部に巻回し易く、腰部用或いは脇下用救命胴衣として好適である。
【0008】
このように、救命胴衣は、使用時には前記拘束状態を解除することによって自律的に膨張し且つ自動的に給気して、速やかに所定の形状となるから、非常時等に迅速に対応でき、従来のように、救命胴衣内に人為的に空気や炭酸ガス等の気体を供給して充満させる操作が殆ど不要であり、救命胴衣として極めて有益である。特に、発泡体は、JIS K6400−3に準ずる反発弾性が40%以上であるから、前記開閉弁の開後の前記自律膨張が速やかになされる。因みに、発泡体の反発弾性が40%未満であると、当該救命胴衣が所定の膨張状態に到達するのに時間を要し、場合によっては、充分に膨張しないために人工的な給気が必要とされる可能性も生じる。また、所定形状に達した当該救命胴衣は、発泡体の連続気泡による空間部に加え、複数の透孔部を有しているから、気密的な外装袋体内には多くの空間部分が含まれ、発泡体自体が軽量であることとも相俟って、大きな浮力が発現されて、救命胴衣としての適性を充分に備えることになる。使用後は、開閉弁を開として、前記のように巻装体にしてこの巻装状態に維持するようにすれば、再使用にも供することができる。
なお、発泡体の反発弾性が高過ぎると、巻き込みの際に巻装体にしにくくなるため、反発弾性の上限は70%である。
【0009】
本発明の救命胴衣において、前記発泡体のJIS K6400−4A法に準ずる圧縮残留歪が10%以下であるものとしても良い。
これによれば、発泡体のJIS K6400−4A法に準ずる圧縮残留歪が10%以下であるから、当該救命胴衣が長期に亘って巻装状態にされていても、巻装解除後の前記自律膨張が短時間でなされる。因みに、発泡体の圧縮残留歪が10%を超えると、当該救命胴衣が所定の膨張状態に到達せず嵩高さが不足する傾向にあり、場合によっては、充分に膨張しないために人工的な給気が必要とされる可能性も生じる。
【0010】
本発明の救命胴衣において、前記発泡体のJIS K7222に準ずる見掛け密度が22〜50kg/m
3であるものとしても良い。
これによれば、発泡体のJIS K7222に準ずる見掛け密度が22〜50kg/m
3であるから、前記反発弾性が40%以上の発泡体を容易に作製することができる。因みに、発泡体の見掛け密度が22kg/m
3未満であると、発泡体の反発弾性が低くなる傾向となり、また、発泡体の見掛け密度が50kg/m
3を超えると、前記巻装体にする際に労力を要する傾向となるために好ましくなく、また、重量が大きくなることから、救命胴衣として求められる浮力が充分に得られなくなる恐れも生じる。
【0011】
本発明の救命胴衣において、前記発泡体のJIS K6400−2D法に準ずる硬さが50〜200Nであるものとしてもよい。
これによれば、発泡体のJIS K6400−2D法に準ずる硬さが50〜200Nであるから、前記反発弾性が40%以上の発泡体を容易に作製することができる。因みに、発泡体の硬さが50N未満であると、発泡体の反発弾性が低くなる傾向となり、また、外装袋体の重量或いは硬さの影響を受けて前記自律膨張が妨げられる傾向となる。200Nを超えると、前記巻装体にする際に労力を要する傾向となるために、調製の作業性の点で好ましくない。
【0012】
本発明の救命胴衣において、前記発泡体が凹凸部を有しているものとしてもよい。
これによれば、発泡体が凹凸部を有しているので、芯材を外装袋体とともに一端部より圧縮させながら巻き込むことが一層容易になされる。このとき、芯材を構成する発泡体は、凹凸部を有しているから、巻き込む際に開閉弁より空気が排出されながら、発泡体自体の連続気泡、透孔及び凹凸部の空気が排出されて、嵩低い巻装体とすることができる。従って、この巻装体を拘束部材によって巻装状態に拘束維持するようにすれば、全体がコンパクトで軽量であるから、保管性及び可搬性に優れたものとなる。また、開閉弁を開とした状態で、拘束部材による拘束を解除すると、芯材を構成する発泡体がその復元弾力によりもとの状態に復帰しようとする。この発泡体の形状復帰に伴い、開閉弁を通じて外部より外装袋体内に給気がなされ、前記連続気泡部、透孔部、芯材と外装袋体との間の空間部に加えて、発泡体の凹凸部による空間部に空気が流入するため、全体が嵩高く膨張する。そして、開閉弁を閉とすれば、当該救命胴衣は、弾性復元した凹凸部を有する発泡体による嵩高い芯材が外装袋体に気密的に収納された所定の形状に維持される。
【0013】
本発明の救命胴衣において、前記拘束部材は、前記巻装体と略同寸に形成された筒状保管袋からなり、前記巻装体は当該保管袋に挿入された状態で前記拘束維持がなされるように構成されているものとしてもよい。
これによれば、保管袋が巻装体と同寸に形成されているから、保管袋に巻装体を挿入した状態では前記巻装状態に維持される。そして、巻装体を保管袋から取り出すと前記巻装状態の拘束が解除されるから、この拘束の解除と前記開閉弁の開状態とにより、前記自律膨張及び自動的給気が、速やかになされる。
【0014】
本発明の救命胴衣において、前記拘束部材は、タイベルトからなり、前記巻装体は当該タイベルトによって周体が締付けられた状態で前記拘束維持がなされるように構成されているものとしてもよい。
これによれば、タイベルトによる締付けによって、巻装体が巻装状態に維持される。そして、タイベルトによる締付けを解除すると前記巻装状態の拘束が解除される。この拘束の解除と前記開閉弁の開状態とにより、前記自律的膨張及び自動的給気が、速やかになされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の救命胴衣によれば、軽量で嵩低くコンパクトな状態で保管でき、使用時には自律的に膨張し且つ自動的に給気がなされ、速やか且つ的確に所定の形状となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1〜
図8は、本発明に係る救命胴衣の一実施形態を示している。本実施形態の救命胴衣1は、連続気泡の発泡体2からなる芯材3と、該芯材3を気密的に収納する防水性の外装袋体4とを備えている。外装袋体4は、内外間の空気の流通を規制する開閉弁5を備え、発泡体2は、JIS K6400−3に準ずる反発弾性が40%以上の発泡体であり、複数の透孔6…を含む凹凸部7を有している。当該救命胴衣1は、開閉弁5を開とした状態で芯材3を外装袋体4とともに一端部1aより他端部1b側に向け圧縮させながら巻き込んで巻装体10とされ、且つ、この巻装体10は解除可能な拘束部材11(11A)によって巻装状態に拘束維持がなされる。そして、開閉弁5を開状態として拘束部材11(11A)による拘束を解除すると、芯材3が元の形状に自律膨張して弾性復元するとともに、この自律膨張の際に外装袋体4内に開閉弁5を通じて給気がなされるように構成されている。
【0019】
本実施形態の救命胴衣1における芯材3は、ブロック形状とされた3つの発泡体2…からなる。救命胴衣1は、この3つの当該ブロック状発泡体2…が直状に配列されて棒状に構成され、使用者pの腰部に巻回されて用いられる腰部用救命胴衣とされる(
図7参照)。各ブロック状発泡体2は三層構造からなり、直方体のブロック状本体層部20と、この本体層部20の両面に段差状に接着一体とされた同材質の発泡体からなるマット状の段層部21,21とを有している。隣接する発泡体2,2同士は、同じ材質の発泡体からなる橋絡部22,22が本体層部20,20同士の対向面に嵌め込まれて互いに連結されている。前記複数の透孔6…は、円筒形であり、本体層部20及び段層部21,21を積層方向に貫通するように形成されている。本体層部20の側周部には、複数の切欠部61…が形成され、当該切欠部61…は、前記透孔6と同径の半円筒形とされている。段層部21の側周部には、透孔6と同心及び同径の半円筒形及び1/4円筒形の切欠部62…が形成されている。凹凸部7は、透孔6の形成部位を凹部、透孔6が形成されていない部分を凸部、段層部21自体を凸部、切欠部61,62の形成部位を凹部、切欠部61,62が形成されていない部分を凸部、として構成される。
【0020】
発泡体2は、前記反発弾性が40%以上であることに加えて、好ましくはポリウレタンフォームからなり、JIS K6400−4に準ずる圧縮残留歪が10%以下であることがより好ましく、また、JIS K7222に準ずる見掛け密度が22〜50kg/m
3であること、さらには、JIS K6400−2に準ずる硬さが50〜200Nであることも好ましい特性とされる。
【0021】
外装袋体4の構成素材としては、生地に樹脂コーティングした樹脂コーティング布が好適に用いられる。樹脂コーティング布に用いられる生地としては、例えば、6ナイロン、66ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合物、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール−ポリビニルアセテート共重合物、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を単独又は混合してなる生地が挙げられ、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂からなる生地が特に好適である。
コーティング樹脂としては、気密性がよく、高周波ウェルダー溶着が可能な樹脂を特に制限なく使用することができるが、強度と耐摩耗性の点で、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂や熱可塑性ポリウレタン樹脂が好適である。生地の厚みは0.08〜0.3mm程度、コーティング樹脂の厚みは0.07〜0.2mm程度、樹脂コーティング布の総厚みは0.15〜0.4mm程度が好ましい。樹脂コーティング布の総厚みが0.15mm未満であると、救命胴衣として要求される気密性、防水性(耐水性)が保持できなくなる傾向となる。また、総厚みが0.4mmを超えると、剛性が大きくなり後記する巻装がしにくくなる傾向となる。
【0022】
外装袋体4は、前記芯材3の周囲を前記樹脂コーティング布で被い、樹脂コーティング布の周縁部40を高周波ウェルダー溶着して芯材3を気密的に収納するように袋状に構成される。この高周波ウェルダー溶着と並行して、開閉弁5が外装袋体4の内外間の空気の流通を規制し得るように当該救命胴衣1における他端部1b側の外装袋体4に取付けられる。外装袋体4の長手方向両端部側の片側外面に、差し込みバックル8a,8b付の締付けベルト8が溶着或いは縫着等によって取付けられる。
【0023】
前記のように構成される救命胴衣1は、巻き込み方向aの始端部(一端部)1aより終端部(他端部)1bに向け巻き込んで、
図5及び
図6に示すような巻装体10とされる。この巻装体10とする要領について
図4をも参照して説明する。先ず、当該救命胴衣1を作業台等(不図示)上に棒状に伸ばして平置きし、開閉弁5を開とした状態で、芯材3を外装袋体4とともに始端部1aより、作業台上に押し付けるようにして圧縮(矢印b参照)させながら終端部1b側に向け巻き込む(矢印c参照)。この巻き込み過程で、透孔6…を含む凹凸部7による空間部及び発泡体2の連続気泡部が縮小されるようにして巻装体10が形成されてゆく。この巻装体10が形成される過程では、発泡体シート2が外装袋体4とともに圧縮され、外装袋体4内の空気が、開閉弁5より排出される。この圧縮は、発泡体シート2自体も圧縮されながら、前記空間部及び連続気泡部をなくすようになされるから、極めて嵩低い巻装体10が形成される。巻装体10が形成された後、開閉弁5が閉とされる。
【0024】
このように形成された巻装体10は、
図5或いは
図6に示すような拘束部材としての筒状保管袋11或いはタイベルト11Aによって巻装状態の拘束維持がなされる。即ち、
図5の例では、巻装体10は、当該巻装体10の外形寸法と同寸に形成された筒状保管袋11内に挿入される。巻装体10は、筒状保管袋11内に挿入された状態では、筒状保管袋11が巻装体10と同寸に形成されているから、巻装状態に拘束維持される。救命胴衣1は、巻装体10として筒状保管袋11に挿入され閉じ紐11aで開口部が閉じられた状態で保管・搬送等がなされる。また、
図6の例では、巻装体10は、2本のタイベルト11A,11Aによって周体が締付けられた状態で前記巻装状態の拘束維持がなされる。救命胴衣1は、巻装体10として2本のタイベルト11Aによって締付けられた状態で保管・搬送等がなされる。
【0025】
前記のように巻装体10として拘束維持された状態の救命胴衣1は、使用時には拘束部材としての筒状保管袋11或いはタイベルト11Aによる拘束維持の解除がなされる。即ち、
図5の例では、巻装体10が筒状保管袋11から取り出され、
図6の例ではタイベルト11Aが取り外される。このように、開閉弁5を開とした状態で、筒状保管袋11或いはタイベルト11Aによる拘束維持の解除がなされると、芯材3が発泡体2の復元弾力によりもとの形状に復帰し、これによって外装袋体4の空間部分も膨張しようとする。この外装袋体4の空間部分の膨張に伴い、前記開閉弁5を通じて、外部より外装袋体4への給気が自動的になされる。これによって、救命胴衣1の自律膨張がなされ、開閉弁5を再度閉とすることによって、救命胴衣1が使用状態とされる。特に、本実施形態の救命胴衣1では、各発泡体2…が三層構造のブロック状とされているから、救命胴衣1内へ給気して膨張した際に、救命胴衣1を嵩高くすることができる。また、本体層部20と段層部21,21には同心及び同径の透孔が形成されているから、救命胴衣1の巻装及び給気時の膨張がスムースになされる。このように使用状態とされた救命胴衣1は、各発泡体2が多くの気泡を含むことに加え、複数の透孔6…を含む凹凸部7を有しているから、気密的な外装袋体4内には多くの空間部分が含まれ、発泡体2が軽量であることとも相俟って、水に浮かせたときには、当該救命胴衣1は大きな浮力を保有することになる。使用後は、前記要領で巻装体10を形成し、筒状保管袋11或いはタイベルト11Aによって巻装状態に拘束維持して保管しておけば、繰返しの再使用が可能とされる。
【0026】
図7は本実施形態の救命胴衣1の使用例を示しており、非常時には前記要領で巻装状態を解除して、当該救命胴衣1を棒状に膨張させる。そして、使用者pは、救命胴衣1の締付けベルト8が取付けられていない面を腰部にあてがって巻回し、差し込みバックル8a,8bを結合して腰部にしっかりと締付け固定する。本実施形態の救命胴衣1は、芯材3が3つのブロック状発泡体2…を橋絡部22,22を介して直状に配列して棒状に構成されているから曲げ易く、腰部への巻回の際に腰部に好適に追従する。このように、救命胴衣1を腰部に装着した使用者pは、救命胴衣1に加わる浮力によって、水上で浮遊することができる。
なお、
図7は本実施形態の救命胴衣1を腰部用救命胴衣に適用した例を示しているが、脇下部分に巻回させる脇下用救命胴衣や、後頸部から胸部にかけて装着するベストタイプの救命胴衣にも適用可能である。また、外装袋体4に、装着部位に馴染み良く巻回し易いように適宜くびれ部を設け、或いは、使用者pに安心感を与えるために適宜位置に持ち手部を設けることも可能である。加えて、外装袋体4の形状も、デザイン性や用途に応じて適宜変更が可能である。また、開閉弁5の取付け位置は、巻き込み方向aの終端部(他端部)1b側に設けることを必須とするが、巻き込み方向の間違いを防止するために、始端部(一端部)1a側にも設けてもよい。さらに、差し込みバックル8a,8b付の締付けベルト8の取付け位置や数も、用途や使い勝手に応じて適宜変更することも可能である。
【0027】
次に、本実施形態の救命胴衣について、発泡体の特性と救命胴衣としての適性との関連について検証した結果について述べる。
<実施例1>
反発弾性50%、圧縮残留歪6.0%、見掛け密度35kg/m
3、硬さ130Nのポリウレタンフォームを
図1〜3に示すように複数の透孔を含む凹凸部を有したブロック状の形状とし、これを
図1〜3に示すように3個配列して芯材とした。この芯材を、厚み0.25mm、235dtexのナイロンからなる織布に熱可塑性ポリウレタンエラストマーをコーティングしてなる樹脂コーティング布(厚み0.35mm、重量316g/m
2)を用いて周縁部を高周波ウェルダー溶着して得た外装袋体に収納して救命胴衣を得た。
なお、芯材を構成する各ポリウレタンフォームの各寸法は、長さ360mm、幅110mm、高い部分の高さ106mm、透孔の径40mmである。
前記で得た救命胴衣を、開閉弁を開とした状態で、一端部から他端部に向けて巻き込んで巻装体を得、この巻装体を
図5に示すような筒状保管袋に入れて保管した。
<実施例2>
反発弾性40%、圧縮残留歪8.0%、見掛け密度30kg/m
3、硬さ130Nのポリウレタンフォームを芯材として用いた以外は、実施例1と同様にして、救命胴衣及び巻装体を得た。
<実施例3>
反発弾性40%、圧縮残留歪13.5%、見掛け密度30kg/m
3、硬さ50Nのポリウレタンフォームを芯材として用いた以外は、実施例1と同様にして、救命胴衣及び巻装体を得た。
<比較例>
反発弾性12%、圧縮残留歪7.5%、見掛け密度50kg/m
3、硬さ65Nのポリウレタンフォームを芯材として用いた以外は、実施例1と同様にして、救命胴衣及び巻装体を得た。
【0028】
<自律膨張性の検証>
各巻装体について、保管袋から取り出して開閉弁を開とした後、元の救命胴衣の形状に膨張するまでの経過時間を測定した。
<6ケ月保管後の復元性の検証>
各巻装体について、保管袋に収納して6ケ月保管後取出して開閉弁を開として復元させたときの救命胴衣の長手方向に直交する方向の高さ(厚さ)を計測し、初期の救命胴衣の同高さを100%として復元率を算出した。
【0029】
<検証結果及び考察>
図8は、上記の検証結果をまとめて示している。
図8における自立膨張性の欄は、元の救命胴衣の形状に膨張するまでの経過時間を示し、◎は5秒未満を、〇は5秒以上10秒未満を、×は10秒以上を、それぞれ示している。
また、6ケ月保管後の復元性の欄は、初期の救命胴衣の高さを100%としてそれぞれの復元率を算出した結果を示している。
図8に示す実施例及び比較例の結果から、反発弾性が40%以上、特に50%以上のポリウレタフォームからなる芯材を用いれば、巻装体が瞬時に自律膨張することが理解され、これにより、有事の際に、使用者は速やかに救命胴衣を装着して避難態勢をとることができ、救助者もスムースに救助態勢に入ることができる。
また、ポリウレタンフォームの圧縮残留歪が小さければ、長期間圧縮された状態で保管されても、開閉弁を開とした際には、圧縮前の救命胴衣と同等に嵩高く自律膨張することが理解され、これによって、救命胴衣が充分な浮力を保有する。
【0030】
図9は、本発明に係る救命胴衣の他の例を示している。本実施形態の救命胴衣100は、ライフジャケット形にアレンジされたもので、前開きの左右の前身頃及び後見頃の3つのパーツ101,102,103からなる。図例では、後見頃を1つのパーツ103で構成しているが、これを中央で繋ぎ合わされた2つのパーツからなるものとしても良い。この3つのそれぞれのパーツ101,102,103は、各パーツ101,102,103の形状に合うよう裁断された発泡体からなる芯材111,112,113と、これらをそれぞれ気密的に収納する防水性の外装袋体121,122,123とを備えている。また、それぞれの外装袋体121,122,123の下端部には、内外間の空気の流通を規制する開閉弁131,132,133を備えている。各芯材111,112,113を構成する発泡体は、前記例と同様に反発弾性が40%以上の好ましくはポリウレタンフォームからなり、マット状乃至はシート状で、図示を省略する複数の透孔を含む凹凸形状を有している。さらに、左右のパーツ(前身頃)101,102には、差し込みバックル141a,141b付の締付けベルト141が取付けられている。使用時には、この締付けベルト141のそれぞれが差し込みバックル141a,141bによって結合されて、左右のパーツ101,102の合わせがなされる。
【0031】
このように構成される救命胴衣100は、締付けベルト141のバックル141a,141bによる結合を解除した状態で、左右に折り畳まれ、3個の開閉弁131,132,133を開とした状態で、前記と同様にして上端部(一端部)100aから下端部(他端部)100bに向け圧縮しながら巻き込んで巻装体(不図示)とすることができる(
図4参照)。この巻装体を図示を省略する筒状保管袋に挿入し、或いは、同タイベルトで締付けて(
図5及び
図6参照)、巻装状態に拘束維持した状態で保管等がなされる。使用時には、前記と同様に、各開閉弁131,132,133を開としたうえで拘束部材としての筒状保管袋やタイベルトによる拘束を解除すると、それぞれの発泡体の復元弾力により、自律膨張して図に示すようなライフジャケット形の救命胴衣100が速やかに現出される。使用者は、この救命胴衣100を着衣し、締付けベルト141のバックル141a,141bを相互に結合すれば、速やかに避難態勢に入ることができる。
【0032】
このような救命胴衣100も、使用時には前記拘束部材による拘束を解除するだけで、所定の形状に自律膨張するから、従来のように、救命胴衣内に人為的に空気や炭酸ガス等の気体を供給して充満させる操作が殆ど不要であり、非常時等において迅速に対応でき極めて有益である。しかも、発泡体は多くの連続気泡を含むことに加え、複数の透孔を含む凹凸部を有しているから、気密的な外装袋体内には多くの空間部分が含まれ、発泡体自体が軽量であることとも相俟って、大きな浮力が身体に付与される。使用後は、開閉弁131,132,133を開として、前記のように巻装体にしてこの状態に維持するようにすれば、再使用にも供することができる。
【0033】
なお、前記実施形態において、救命胴衣の例として、主に腰部用の救命胴衣やライフジャケット形の救命胴衣を例示したが、これに限らずその他のタイプの救命胴衣にも好ましく適用される。また、発泡体が透孔を含む凹凸部を有している例について述べたが、透孔のみが形成されているものであってもよい、そして、この凹凸部の形状は、図例のものに限らず他の形状も可能である。例えば、凹部と凸部が巻き込みの際に互いに嵌り合うような形状及び位置関係となるよう構成すれば、よりコンパクトな巻装体を実現することができる。さらに、凹凸部は発泡体の全面域に広がるよう形成される波形形状の凹凸や、方形柱状やかまぼこ型の凸部と方形孔を含む凹部とからなるものであっても良い。加えて、拘束部材として、例示したような保管袋やタイベルト以外に、圧縮袋や収納容器をこれに充当させることも可能である。さらに、
図1〜
図3に示す例において、ブロック状発泡体2の本体層部20とマット状段層部21,21とを接着剤で一体として三層構造としているが、これらを成型により一体としたものであってもよい。さらに、発泡体は、内部に連続気泡に連通する複数の気泡を内包するものであってもよい。さらにまた、透孔の平面形状は円形に限らず、方形や六角形等の多角形であってもよく、これらをハニカム形状に配置したものであってもよい。