特許第6872899号(P6872899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872899
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】取付部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 55/00 20060101AFI20210510BHJP
   F16B 12/18 20060101ALI20210510BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A47B55/00
   F16B12/18 A
   F16B5/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-254418(P2016-254418)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-102754(P2018-102754A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】進藤 賢司
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−314565(JP,A)
【文献】 特開2006−238930(JP,A)
【文献】 特開2008−232241(JP,A)
【文献】 特開2008−206751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B55/00〜55/06、
A47B47/00、96/06、
F16B 5/00、12/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる取付部材の取付構造であって、
前記壁面に略水平方向に延びるように取り付けられるレール体と、
該レール体の内部に摺動可能に配置され、該レール体に沿って移動可能な連結部と、
前記取付部材における前記レール体側の面から突出し、前記連結部に連結される軸部と、を有し、
前記連結部は、略円柱状であり、
前記連結部における前記取付部材側の面に配置され、前記軸部が挿入される連結孔と、
前記連結部における前記取付部材側の面において前記連結孔に隣接し、偏芯して配置され、前記取付部材側の面から進むに従って前記連結孔に近づくように延び、工具が挿入される操作孔と、を有し、
前記軸部は、前記操作孔から挿入された前記工具により操作されて前記連結部に固定され、
前記操作孔は、前記連結部の正面視左側及び右側のいずれからでも見えるように移動可能である取付部材の取付構造。
【請求項2】
前記レール体は、上下方向に離間して少なくとも2本取り付けられる請求項1に記載の取付部材の取付構造。
【請求項3】
前記取付部材は、前記2本のレール体に跨り、略鉛直方向に延びるように取り付けられる縦部材を含む請求項1又は2に記載の取付部材の取付構造。
【請求項4】
前記取付部材は、収納棚を構成する請求項1〜のいずれか1項に記載の取付部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付部材の取付構造に関し、特に、壁面等の平坦な面に取付部材を取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の壁面等に収納棚を設置する際に、壁面にレール体を取り付けて、このレール体の内部を摺動する部材と、収納棚の棚側部とを連結することが知られている。例えば、レール体内に壁面から突出する方向に延びる軸部を配置し、棚側部における軸部に向き合う面に、軸部を挿入する連結孔が設けられる。また、棚側部の側面において連結孔に直交する方向に、孔に挿入された軸部を固定するように、ドライバーを挿入して操作するための操作孔が配置される。そして、軸部を連結孔に挿入した状態で、ドライバーを操作孔に挿入して操作することにより、棚を構成する部材をレール体に取り付ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−314565号公報
【特許文献2】実開平5−83423号公報
【特許文献3】実開平6−49814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収納棚を部屋の隅に配置する場合、収納棚を設置する壁面と、この壁面に垂直な方向に延びる壁面が交わる角部での作業が必要になることがある。このような場合に、壁面側から突出する軸部を棚側部の連結孔に挿入して、連結孔に直交する側面側から軸を固定する作業を行おうとすると、収納棚を設置する壁面に垂直な壁面にぶつかってしまい、作業スペースが確保できない場合がある。このため、収納棚の左右の側壁に応じて右用及び左用の棚を構成する部材を用意する必要が生じていた。
【0005】
また、収納棚の棚側部に形成した孔に、レール体から突出する軸部を挿入して固定する場合、棚側部の取り付け位置は、レール体の位置により規定されてしまう。このため、棚側部の取り付け位置を自在に調整することは難しかった。
【0006】
本発明は、部品点数を低減し、取り付け位置の調整が可能な取付部材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、壁面(例えば、後述の壁面100)に取り付けられる取付部材(例えば、後述の収納棚10)の取付構造(例えば、後述の収納棚の取付構造1)であって、前記壁面に略水平方向に延びるように取り付けられるレール体(例えば、後述のレール体2)と、該レール体の内部に配置され、該レール体に沿って移動可能な連結部(例えば、後述の連結部3)と、前記取付部材における前記レール体側の面から突出し、前記連結部に連結される軸部(例えば、後述の軸部4)と、を有し、前記連結部は、該連結部の内部に配置され、前記軸部が連結される連結機構(例えば、後述の連結機構33)と、前記連結部における前記取付部材側の面に配置され、前記軸部が挿入される連結孔(例えば、後述の連結孔31)と、前記連結部における前記取付部材側の面において前記連結孔に隣接して配置され、前記連結機構を操作するための工具(例えば、後述のドライバー)が挿入される操作孔(例えば、後述の操作孔32)と、を有する取付部材の取付構造を提供する。
【0008】
前記操作孔は、前記連結部における前記取付部材側の面において偏芯して配置されることが好ましい。
【0009】
前記連結部は、略円柱状であることが好ましい。
【0010】
前記レール体は、上下方向に離間して少なくとも2本取り付けられることが好ましい。
【0011】
前記取付部材は、前記2本のレール体に跨り、略鉛直方向に延びるように取り付けられる縦部材(例えば、後述の棚側部11)を含むことが好ましい。
【0012】
前記取付部材は、収納棚を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品点数を低減し、取り付け位置の調整が可能な取付部材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の収納棚の取付構造を示す図である。
図2】本実施形態の収納棚の取付構造を示し、(a)図は部分斜視図であり、(b)図は(a)図の部分断面図である。
図3】本実施形態の連結部を示し、(a)図は連結部の正面図であり、(b)図は連結部を正面視左側から固定する場合、(c)図は連結部を正面視右側から固定する場合を示す。
図4】本実施形態の連結部を示し、(a)図は、収納棚の棚側部の上面とレール体の上面とが面一に配置されている状態、(b)図は、収納棚の棚側部の上面がレール体の上面より上に位置するように連結部が調整された状態を示す。
図5】他の実施形態における取付部材の取付構造を示す図である。
図6】さらに他の実施形態における取付部材の取付構造を示す図である。
図7】さらに他の実施形態における取付部材の取付構造を示す図である。
図8】さらに他の実施形態における取付部材の取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本実施形態の収納棚の取付構造1を示す図である。図2(a)は収納棚の取付構造1の部分斜視図であり、図2(b)は図2(a)の部分断面図である。
図1に示すように、収納棚の取付構造1は、壁面100と、取付部材としての収納棚10と、レール体2と、連結部3(図2参照)と、軸部4(図2参照)と、を有する。
【0016】
壁面100は、建物の室内の壁等の平らな面である。図1に示すように、壁面100の端部において、この壁面100に交差する方向に壁面102が延び、角部を形成している。
【0017】
レール体2は、壁面100に略水平方向に延びるように取り付けられる。レール体2は、上下方向に離間して少なくとも2本、壁面100に取り付けられる。図1では、レール体2は、壁面100の左右方向の一端から他端へ延びる長いレール体2aが1本と、長いレール体2aの半分の長さの短いレール体2bが長いレール体2の一方と他方側に上下方向段違いに配置されている。レール体2は、図2(a)、(b)に示すように、断面視が略コの字状で内側に溝が形成されている。
【0018】
収納棚10は、壁面100に取り付けられ、棚側部11及び棚板部12を有する。
図1に示すように、収納棚10は、長棚10a及び短棚10bを含んで構成されている。長棚10aは、壁面100の一方側に配置され、床101側から天井側まで上下方向に延びる。短棚10bは、床101から上方に離間した位置から天井側まで延びる。
【0019】
棚側部11は、図1に示すように、壁面100から突出する方向に配置される枠体で形成される。棚側部11は、2本のレール体2に跨って略鉛直方向に延びるように取り付けられる収納棚10の縦部材である。また、棚側部11は、壁面100の左右方向に離間して複数配置される。棚側部11は、長棚10aの側部に配置される上下方向に長い棚側部11aと、短棚10bの側部に配置される上下方向に短い棚側部11bとを含んで配置されている。
棚板部12は、収納棚10のうち棚側部11で区切られる区画の底面を構成する板面である。棚板部12は、棚側部11の間に板材を渡して固定することで構成される。
【0020】
軸部4は、図2(a)及び(b)に示すように、収納棚10における棚側部11のレール体2側の面に取り付けられ、棚側部11から壁面100に向かって突出する軸状の部材である。図2(b)に示すように、軸部4は、長手方向の一方側の周囲には、ねじが刻まれて棚側部11の内部に埋め込まれている。また、軸部4は、長手方向の他方側に形成される溝部41を有する。軸部4の他方側は、複数の軸の直径が大きな部分と小さな部分を有して形成されており、溝部41は、直径の大きな部分の同士の間に配置される直径の小さな部分により形成される。
【0021】
図3(a)は、連結部3の正面図である。
連結部3は、レール体2と棚側部11とを軸部4を介して連結する部材である。図3に示すように、連結部3は、正面視略円形状であり、軸部4に向き合う面を表面3a、レール体2側の面を裏面3bとする。連結部3は、本体部30と、連結孔31と、操作孔32と、連結機構33と、を有する。
【0022】
本体部30は、図2(a)及び(b)に示すように略円柱状の形状を有し、コの字状のレール体2の内部に配置されて、レール体2に沿って内部を移動する。本体部30は、略円柱状であるため、レール体内で回転することも可能である。
【0023】
連結孔31は、本体部30の表面3a(収納棚10側を向く面)に形成され、軸部4が挿入される孔である。連結孔31は、軸部4の直径に対応する径を有し、表面3a側から裏面3b側に向かって延びている。
【0024】
操作孔32は、本体部30の表面3aに、連結孔31に隣接して配置される。操作孔32は、表面3aにおいて偏芯して配置されており、連結孔31の延びる方向に対して斜めに延びている。具体的には、連結部3の表面3a側から裏面3b側へ進むに従って、連結孔31から離間した位置から連結孔31へ近づくように延びている。操作孔32には、工具としてのドライバー(図示せず)が挿入される。
【0025】
連結機構33は、連結部3の内部に配置される。具体的には、連結機構33は、操作孔32の底部、すなわち操作孔32の裏面3b側寄りに配置される螺旋状に傾斜した回転体である。図3(a)に示すように、連結機構33の上面には、連結機構33を操作するためのドライバーを受ける溝が形成されており、操作孔32の正面から視認される。連結機構33は、操作孔32にドライバーを挿入して回転させると、回転体に形成された螺旋状の突起が軸部4の溝部41に係合し、軸部4が連結部3に連結されるように構成されている。
【0026】
次に、図1図4(b)を参照して、収納棚10の取り付け方法について説明する。
図1に示すように、まず、レール体2を壁面100にねじ等で固定する。このとき、収納棚10の高さに応じて、レール体2を壁面100の下方及び上方に離間させ、少なくとも2本固定する。また、レール体2は、壁面100の裏に配置されている間柱103に壁面100を介して固定する。
【0027】
図2(a)及び(b)に示すように、レール体2の内部には、円柱状の連結部3が摺動可能に配置されている。そこで、レール体2上で棚側部11を取り付けたい位置に、連結部3を移動させる。そして、連結部3の連結孔31に棚側部11から突出する軸部4を挿入する。
【0028】
ここで、図1に示す収納棚10の左右方向中ほどにある位置に棚側部11を取り付ける場合は、どちらの側からもドライバーを操作孔32に挿入する作業スペースが確保できるが、壁面100の角の方に取り付ける場合、収納棚10を設置する壁面100に直交する側に延びる壁面102側では作業スペースが狭い。
【0029】
図3(b)は、連結部を正面視左側から固定する場合、及び図3(c)は連結部を正面視右側から固定する場合を示す。図3(b)及び(c)に示すように、連結部3はレール体2内で摺動可能であり、また、円柱状であるため、連結孔31に軸部4を挿入した状態で、操作孔32が正面視左側から見えるようにも、正面視右側から見えるようにも移動させることができる。
【0030】
この状態で、操作孔32にドライバーを差し込み、回転させる。すると、ドライバーを回転させることで操作孔32の底部に配置されている連結機構33が回転して、軸部4の溝部41に係合し、軸部4が連結機構33の回転に従って連結部3に引き寄せられるように近づき、固定される。軸部4が連結部3に固定されることに伴って、棚側部11が、レール体2に当接する。棚側部11は、摩擦の力でレール体2に対して左右方向に動くことなく固定される。
【0031】
また、図4(a)は、収納棚10の棚側部11の上面とレール体2の上面とが面一に配置されている状態、図4(b)は、収納棚10の棚側部11の上面がレール体2の上面より上に位置するように連結部3が調整された状態を示す。
図4(a)に示すように、収納棚10を構成する部品が全体的に正確に配置されている場合、レール体2の上面と棚側部11の上面とは面一になって揃っている。しかし、実際には、部品の製造公差、施工誤差、施工する壁面100に生じている歪み等の様々な要因で、わずかに部品同士の位置がずれる場合がある。このようなとき、図4(b)に示すように、操作孔32の位置を連結孔31に対して下方にずらせば、棚側部11の上面がレール体2よりもわずかに上方へ持ち上がる。また、操作孔32の位置を連結孔31に対して上方にずらせば、棚側部11の上面がレール体2よりもわずかに下方へ下がる。このように、棚側部11の位置の微調整が可能になる。
【0032】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、壁面100に取り付けられる収納棚10の取付構造1を、壁面100に略水平方向に延びるように取り付けられるレール体2と、レール体2の内部に配置され、レール体2に沿って移動可能な連結部3と、収納棚10におけるレール体2側の面から突出し、連結部3に連結される軸部4と、を含んで構成した。また、連結部3を、連結部3の内部に配置され、軸部4が連結される連結機構33と、連結部3における収納棚10側の面に配置され、軸部4が挿入される連結孔31と、連結部3における収納棚10側の面において連結孔31に隣接して配置され、連結機構33を操作するためのドライバーが挿入される操作孔32と、を含んで構成した。
本実施形態によれば、軸部4を収納棚10における棚側部11のレール体2側の面から突出させて、レール体2内の連結部3に挿入するようにした。そして、連結部3の収納棚10側の面(表面3a)に連結孔31と、連結孔31に隣接する操作孔32とを設けた。これにより、連結孔31に軸部4を挿入した状態で、作業者が壁面100及びレール体2に向かい合った位置で、操作孔32にドライバーを挿入して操作することができる。よって、壁面100の角部近くで作業スペースが狭くても、連結孔31に隣接する操作孔32にドライバーを差し込んで固定作業を行うことができる。また、壁面100の角部に収納棚10を設置する場合、左右どちらからでも作業をすることができるので、右用、左用等の部品を製造する必要がなく、部品点数を低減することができる。
また、棚側部11のレール体2側の面に設けた軸部4をレール体2の連結部に連結するように構成したので、棚側部11に取り付ける軸部4の位置を変更したり、連結部の傾きを変えることで、レール体と棚側部11との位置関係を変更することが容易になり、取り付け位置の調整が容易になる。
【0033】
操作孔32を、連結部3における収納棚10側の面において偏芯して配置させた。このため、ドライバーを連結孔31に隣接した位置から斜めに挿入することができる。また、連結部3の操作孔32の位置を変更すれば、棚側部11の左側からでも、右側からでも容易にドライバーを挿入することができる。さらに、操作孔32の位置を、連結孔31に対してやや下方に配置した状態で、ドライバーを操作して連結部3と軸部4を固定させると、棚側部11がレール体2よりも上方に持ち上がった状態で固定される。また、操作孔32の位置を、連結孔31に対してやや上方に配置した状態で、ドライバーを操作して連結部3と軸部4を固定させると、棚側部11がレール体2よりも低い位置で固定される。こうして、棚側部11の高さを微調整することができる。
【0034】
連結部3を、略円柱状に構成した。これにより、連結部3がレール体2内を容易に摺動するだけでなく、連結部3を回転させることで操作孔32の位置を変更させることができる。このため、作業者が壁面100及びレール体2に向き合った状態で、棚側部11の左側からでも右側からでも軸部4を連結部3に固定させる作業を行うことができ、上記と同様の効果を奏する。
【0035】
レール体2を、上下方向に離間して少なくとも2本取り付けた。2本以上取り付けることで、収納棚10壁面100のみで支持させて取り付けることが可能になる。よって、収納棚10を床101に直接取り付ける必要がなくなる。すなわち、床101から浮いた位置のいわゆるフロート取り付けや、吊戸式の取り付けが可能になる。また、床101に床暖房が設置されている場合でも取り付けることができる。また、リフォーム等で部屋等の間口の位置を変更することがあっても、床101にねじ穴等を形成しないで取り付けることができるため、変更に対応がしやすい。
【0036】
収納棚10を、2本のレール体2に跨り、略鉛直方向に延びるように取り付けられる縦部材である棚側部11を含んで構成した。この構成によれば、棚側部11の上下方向の任意の位置に軸部4を設けて、レール体2に対する収納棚10の高さを自在に変更することができる。収納棚10を配置する部屋等の環境的な要請に応じて、収納棚10の取り付け位置を自由に変更及び設計することができる。
【0037】
取付部材を、収納棚10により構成した。これにより、壁面100の角部等でも棚側部の設置が容易にでき、上記と同様の効果を奏する。
【0038】
次に、図5図8を参照して、他の実施形態について説明する。
図5は、取付部材として手すり5を壁面100に取り付けた部材の取付構造1Aを示す斜視図である。
図5に示す実施形態では、手すり5とレール体2とを連結する部分51に、上記説明した軸部4を配置し、この軸部4をレール体2内の連結部3と連結した。これにより、上記と同様の効果を奏することができる。
【0039】
例えばリフォームの際等に、手すり5や棚等の構造物を壁面100に取り付けようとする場合、取り付ける構造物を支持する支持部材を壁の内部に設置しなければならないため、壁面100を剥がさなくてはならなかった。しかし、レール体2は、壁面100を介して間柱103に取り付けることが可能なので、壁面100を破壊して支持部材を設置する必要がない。また、予めレール体2のみを取り付けておいたり、最初はレール体2に収納棚等を取り付けておき、手すり5の設置が必要になった時期に、手すり5に付け替えることも可能になる。
【0040】
図6は、取付部材として開口した収納ボックス6を壁面100に取り付けた部材の取付構造1Bを示す斜視図である。
図6に示す実施形態では、収納ボックス6の裏面に、上記説明した軸部4を配置し、この軸部4をレール体2内の連結部3と連結した。これにより、上記と同様の効果を奏することができる。レール体2に取り付ける取付部材の上端部が、壁面100においてレール体2の位置よりも高い位置にくる収納ボックス6であっても、収納ボックス6の裏面の軸部4の取り付け位置を変更することで、問題なく取り付けることができる。
【0041】
図7は、取付部材として化粧パネル7を壁面100に取り付けた部材の取付構造1Cを示す斜視図である。
図7に示す実施形態では、化粧パネル7の裏面に、上記説明した軸部4を配置し、この軸部4をレール体2内の連結部3と連結した。これにより、上記と同様の効果を奏することができる。また、レール体2を配置しないで化粧パネル7を取り付ける場合、化粧パネル7の固定位置は、間柱103のある位置に限定されていた。しかし、レール体2に連結部3を介して化粧パネル7を連結するようにすることで、化粧パネル7の固定位置をレール体2上で自由に位置決めすることができる。
なお、化粧パネル7としては、装飾的な模様の壁面を模したパネルや、広告パネルであってよい。また、板材を包んで内部にクッション材を詰めたもので、キッズルームやスポーツジム等に配置して衝撃を吸収する壁を構成してもよい。
【0042】
図8は、取付部材として吊り戸(アウトセット引き戸)の戸体8を壁面100に取り付けた部材の取付構造1Dを示す斜視図である。
図8に示す実施形態では、出入口の開口部104の上縁にレール体2を配置し、開口部よりもわずかに上下方向の寸法が大きな戸体8の上端側の裏面に、上記説明した軸部4を配置し、この軸部4をレール体2内の連結部3と連結した。これにより、上記と同様の効果を奏することができるとともに、容易に引き戸等の開口部の開閉装置を形成することができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、縦部材である棚側部11は枠体であるが、これに限られない。上下方向に延びる棒状の縦部材を、2本のレール体2に跨るとともに、左右方向に離間して1本ずつ配置し、この縦部材に複数の収納棚を引っ掛けるような形で取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 収納棚の取付構造(取付部材の取付構造)
2 レール体
3 連結部
4 軸部
11 棚側部(縦部材)
31 連結孔
32 操作孔
33 連結機構
100 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8