【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、驚くべきことに、高い水素貯蔵容量を有するマンガン水素化物材料を見出した。上記材料の構造を維持するとともに、吸収及び脱着のサイクルの間の該材料における水素の出入りを可能にするために、比較的多量の有機残渣及び/又は金属残渣(organic and/or metal residues)は必要とされないことが見出された。その反対に、本発明者は、これらの残渣(residues)の除去が、一層高い水素収容量を可能にすることを見出した。
特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者は、上記材料が非晶質の多量体鎖を含み、その多量体鎖が、該材料における水素(H
2)の流入及び流出を可能にする一方で、また、マンガン中心が1又は複数のH
2分子と相互作用(例えばKubas相互作用)を成して、例えばMnH
x(式中、xは、例えば約2.8〜約10、例えば約3.8〜約10である)を生成することを可能にすることを理論上想定している。
【0013】
また、本発明者は、遷移金属ジアルキル錯体又は遷移金属ジアリール錯体(例えばマンガンジアルキル錯体又はマンガンジアリール錯体、例えばビス(ネオペンチル)マンガン)は、金属ハロゲン化物ジオキサン錯体(例えばジクロロマンガンジオキサン錯体、例えばMnCl
2(ジオキサン)
1.3〜1.5)とアルキルグリニャール試薬(例えば(ネオペンチル)マグネシウムクロリド)、ジアルキルマグネシウム化合物(例えばビス(ネオペンチル)マグネシウム)、又はそれらの組合せとを、エーテル溶媒(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル及びジブチルエーテル)中で反応させることにより、高収率及び高純度で調製され得ることを見出した。
とりわけ、上記反応は、一段階で(金属ハロゲン化物、例えばMnCl
2から出発して)実施することができる。本明細書に記載されるプロセスは、工業的規模の拡大に適しており、高純度の生成物を得るために多段階の精製を必要としない。
【0014】
得られた金属ジアルキル錯体又は金属ジアリール錯体(例えばビス(ネオペンチル)マンガン)の水素化により、水素と相互作用して固体状態の水素化物(例えば水素化物MnH
x、式中、xは、約2.8〜約10(例えば約3.8〜約10)であり、例えばxは、約2.8〜約3.2、約3.8〜約4.2、約4.8〜約5.2、約5.8〜約6.2、約6.8〜約7.2、約7.8〜約8.2、約8.2〜約9.2、又は約9.8〜約10.2であり、例えばMnH
3、MnH
4、MnH
5、MnH
6、MnH
7、MnH
8、MnH
9、又はMnH
10(更なる例では、xは、約3.8〜約4.2、約5.8〜約6.2、約7.8〜約8.2、又は約9.8〜約10.2であり、例えばMnH
4、MnH
6、MnH
8、MnH
10である)である)を形成するとともに、可逆的に水素を放出することができ、それにより水素貯蔵用の材料として作用する金属水素化物構造体が得られる。
本明細書に記載される金属水素化物は、室温でバルク固体(すなわち低い自燃性と低下した空気感受性とを示す)として安定であり、それは実用的な水素貯蔵のために重要な特徴である。さらに、本明細書に記載される金属水素化物の合成で使用される全ての成分は再循環することができる。
【0015】
金属水素化物
本発明の金属水素化物は、水素分子(H
2)を、水素分子が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、又は少なくとも約14%の量で、例えば約14%までの量で、例えば約2.0%〜約14.0%、約8.0%〜約12.0%の量で、又は約3.5%、約7.0%、約10.5%、約14%の量で吸収することができる。
【0016】
一実施の形態においては、本発明は、式(I):
Mn(M
2)
zH
xR
yL
n (I)
(式中
M
2は、1種又は複数種の金属(マンガン以外)であり、上記金属は総含量zを有し(例えば1種又は複数種の金属(例えばドーピング金属)、例えばリチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ベリリウム、鉄、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、及びそれらの組合せ)、
Rは、存在するならば、有機基(例えば、β−水素置換基を有さない有機アルキル基、例えばメシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル又はベンジル)であり、
Lは、ルイス塩基(例えば有機溶媒(例えばエーテル溶媒、例えばEt
2O、ジオキサン、THF)、水、H
2S、アミン、ホスフィン、硫化物、及びそれらの組合せ)であり、
nは、0〜約1(例えば約0〜約0.8、0〜約0.6、0〜約0.5、0〜約0.4、0〜約0.2、約0〜約0.1、約0〜約0.05、又は約0〜約0.01)であり、
xは、約1.5〜約10(例えば約2〜約10、約4〜約10、約6〜約10、又は約8〜約10、例えば約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、又は約10、更なる例では、約2、約4、約6、約8、又は約10)であり、
yは、0〜約0.25(例えば約0〜約0.2、約0〜約0.1、約0〜約0.05、又は約0〜約0.01)であり、かつ、
zは、0〜約1(例えば0〜約0.75、0〜約0.5、0〜約0.25、0〜約0.2、0〜約0.1、又は0〜約0.05)である)の金属水素化物に関する。
【0017】
一実施の形態においては、有機基Rは、β−水素置換基を含まない(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである)。好ましい一実施の形態においては、Rは、ネオペンチル又はメシチルである。
【0018】
一実施の形態では、zは0である。
【0019】
一実施の形態では、nは0である。
【0020】
一実施の形態では、xは約1.8〜約2.2、例えば、約2、約3.8〜約4.2、例えば、約4、約5.8〜約6.2、例えば、約6、約7.8〜約8.2、例えば、約8、又は約9.8〜約10.2、例えば、約10である。例えば、一実施の形態では、xは約1.8〜約2.2、例えば、約2である。
【0021】
別の実施の形態では、xは約2.8〜約3.2、例えば、約3、約4.8〜約5.2、例えば、約5、約6.8〜約7.2、例えば、約7又は約8.8〜約9.2、例えば、約9である。
【0022】
別の実施の形態では、xは、(i)約1.8〜約2.2、(ii)約2.2〜約2.8、(iii)約2.8〜約3.2、(iv)約3.2〜約3.8、(v)約3.8〜約4.2、(vi)約4.2〜約4.8、(vii)約4.8〜約5.2、(viii)約5.2〜約6.8、(ix)約6.8〜約7.2、(x)約7.2〜約7.8、(xi)約7.8〜約8.2、(xii)約8.2〜約8.8、(xiii)約8.8〜約9.2、(xiv)約9.2〜約9.8、及び(xv)約9.8〜約10.2からなる群から選択される。
【0023】
別の実施の形態では、xは、(i)約1.8〜約2.2、(ii)約2.8〜約3.2、(iii)約3.8〜約4.2、(iv)約4.8〜約5.2、(v)約6.8〜約7.2、(vi)約7.8〜約8.2、(vii)約8.8〜約9.2、及び(viii)約9.8〜約10.2からなる群から選択される。
【0024】
別の実施の形態では、xは、約1.8〜約2.2である。別の実施の形態では、xは、約2.8〜約3.2である。別の実施の形態では、xは、約3.8〜約4.2である。別の実施の形態では、xは、約4.8〜約5.2である。別の実施の形態では、xは、約5.8〜約6.2である。別の実施の形態では、xは、約6.8〜約7.2である。別の実施の形態では、xは、約7.8〜約8.2である。別の実施の形態では、xは、約8.8〜約9.2である。別の実施の形態では、xは、約9.8〜約10.2である。
【0025】
一実施の形態においては、xが約2より大きい場合(例えばxが約3.8より大きい場合)、上記材料は、約10bar以上の水素圧力(例えば約15bar、約20bar、約25bar、約30bar、約40bar、約50bar、約75bar、約85bar、約100bar、約125bar、若しくは約150bar又はそれより高い水素圧力)にある。
【0026】
別の実施の形態においては、本発明は、式(II):
Mn(M
2)
zH
xR
yL
n (II)
(式中
M
2は、1種又は複数種の金属(マンガン以外)であり、上記金属は総含量zを有し(例えば1種又は複数種の金属(例えばドーピング金属)、例えばリチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ベリリウム、鉄、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、及びそれらの組合せ)、
Rは、存在するならば、有機基(例えば、β−水素置換基を有さない有機アルキル基、例えばメシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル又はベンジル)であり、
Lは、ルイス塩基(例えば有機溶媒(例えばエーテル溶媒、例えばEt
2O、ジオキサン、THF)、水、H
2S、アミン、ホスフィン、硫化物、及びそれらの組合せ)であり、
nは、0〜約1(例えば約0〜約0.8、0〜約0.6、0〜約0.5、0〜約0.4、0〜約0.2、約0〜約0.1、約0〜約0.05、又は約0〜約0.01)であり、
xは、約0.1〜約2.2(例えば約1.8〜約2.2、例えば約1.9〜約2.1、約1.95〜約2.05、又は約2)であり、
yは、0〜約0.25(例えば約0〜約0.2、約0〜約0.1、約0〜約0.05、又は約0〜約0.01)であり、かつ、
zは、0〜約0.2(例えば0〜約0.1、又は0〜約0.05)である)の金属水素化物であって、
(1)水素(H
2)を、少なくとも2.0%の量で(例えば約14%までの量、例えば約2.0%〜約14.0%、約4.0%〜約14.0%、約6.0%〜約14.0%、約8.0%〜約14.0%、約10.0%〜約14.0%、又は約3.5%、約7.0%、約10.5%、約14%の量で)(水素が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して)吸収することができる、金属水素化物に関する。
【0027】
一実施の形態においては、有機基Rは、β−水素置換基を含まない(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである)。好ましい一実施の形態においては、Rは、ネオペンチル又はメシチルである。
【0028】
一実施の形態では、zは0である。
【0029】
一実施の形態では、nは0である。
【0030】
一実施の形態では、xは約2である。
【0031】
本明細書中に記載される任意の金属水素化物の一実施の形態において、yは、約0.2未満、例えば約0.1未満、約0.05未満、約0.01未満、又は約0.005未満である。一実施の形態においては、yは0である。
【0032】
本明細書中に記載される任意の水素化物の更なる実施の形態においては、Rは、存在する場合には、ポリマー基ではない。
【0033】
一実施の形態においては、上記金属水素化物は、MnH
x(ネオペンチル)
yL
nであり、その式中、L、n、x及びyは、式(I)及び(II)に関する上記実施の形態のいずれかに定義される通りである。
【0034】
別の実施の形態においては、本発明は、金属イオン(マンガン以外)を含まない、又は実質的に含まないマンガン二水素化物に関する。別の実施の形態においては、本発明は、有機残渣(有機残基、organic residue)(例えばマンガン二水素化物又はその前駆体の合成の間に使用される有機配位子又は有機溶媒)を含まない、又は実質的に含まない(free or substantially free)マンガン二水素化物に関する。
別の実施の形態においては、本発明は、金属イオン(マンガン以外)を含まない、又は実質的に含まないとともに、有機残渣(有機残基、organic residue)(例えばマンガン二水素化物又はその前駆体の合成の間に使用される有機配位子又は有機溶媒)を含まない、又は実質的に含まない(free or substantially free)マンガン二水素化物に関する。
【0035】
別の実施の形態においては、本明細書中に記載される金属水素化物のいずれかは、約5m
2/g未満、例えば約4m
2/g未満、例えば約3m
2/g未満、約2m
2/g未満、又は約1.5m
2/g未満、例えば約1.4m
2/gのブルナウアー−エメット−テラー(BET)表面積(窒素吸着によって測定)を有する。
【0036】
一実施の形態においては、本発明の金属水素化物は、MnH
1.8〜2.2R
yL
n、MnH
3.8〜4.2R
yL
n、MnH
5.8〜6.2R
yL
n、MnH
7.8〜8.2R
yL
n、又はMnH
9.8〜10.2R
yL
nであり、それらの式中、R、L及びnは、上記実施の形態のいずれかに定義される通りであり、かつyは、それぞれの場合において、独立して0〜約0.2(例えば約0〜約0.1、約0〜約0.05、約0〜約0.01、又は約0〜約0.005)である。一実施の形態においては、yは、それぞれの場合において、独立して0である。
【0037】
別の実施の形態においては、本発明の金属水素化物は、MnH
2.8〜3.2R
yL
n、MnH
4.8〜5.2R
yL
n、MnH
6.8〜7.2R
yL
n、又はMnH
8.8〜9.2R
yL
nであり、それらの式中、R、L及びnは、上記実施の形態のいずれかに定義される通りであり、かつyは、それぞれの場合において、独立して0〜約0.2(例えば約0〜約0.1、約0〜約0.05、約0〜約0.01、又は約0〜約0.005)である。一実施の形態においては、yは、それぞれの場合において、独立して0である。
【0038】
別の実施の形態において、本明細書に記載される金属水素化物のいずれかは、遷移金属を2つ以上の酸化状態(例えばMn(II)/Mn(IV))で含み得る。
【0039】
一実施の形態においては、本明細書中に記載される金属水素化物のいずれかは、水素分子(H
2)を、水素分子が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、又は少なくとも約14%の量で、例えば約14%までの量で、例えば約2.0%〜約14.0%、約8.0%〜約12.0%の量で、又は約3.5%、約7.0%、約10.5%、約14%の量で吸収することができる。
【0040】
別の実施の形態においては、上記金属水素化物は、水素分子(H
2)を、約2.0%、約2.5%、又は約3.0%から約4.0%、約4.5%、又は約5.0%までの量、例えば約3.5%の量(水素が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して)で吸収することができる。
【0041】
別の実施の形態においては、上記金属水素化物は、水素分子(H
2)を、約5.0%、約5.5%、又は約6.0%から約8.0%、約8.5%、又は約9.0%までの量、例えば約7.5%の量(水素が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して)で吸収することができる。
【0042】
別の実施の形態においては、上記金属水素化物は、水素分子(H
2)を、約8.5%、約9.0%、又は約9.5%から約10.5%、約11.0%、又は約11.5%までの量、例えば約10.5%の量(水素が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して)で吸収することができる。
【0043】
別の実施の形態においては、上記金属水素化物は、水素分子(H
2)を、約12.5%、約13.0%、又は約13.5%から約14%の量(水素が中に貯蔵されていない金属水素化物の全重量100%に対して)で吸収することができる。
【0044】
一実施の形態においては、本明細書中に記載される式(I)又は(II)の金属水素化物は、約25wt%超のMnH
x(式中、xは、本明細書中のいずれかの実施の形態に記載される通りである)、例えば約30wt%超、約40wt%超、約50wt%超、約60wt%超、約70wt%超、約75wt%超、約80wt%超、約85wt%超、約90wt%超、約95wt%超、約99wt%超、約99.5wt%超のMnH
xを含む。
【0045】
本明細書中に記載される式(I)又は(II)の金属水素化物の一実施の形態においては、該金属水素化物におけるMn−H(マンガン−水素)結合のMn−C(マンガン−炭素)結合に対する比率は、約2超:1、例えば約2.5超:1、約5超:1、約10超:1、約20超:1、約25超:1、約50超:1、約75超:1、約100超:1、約250超:1である。
【0046】
本明細書中に記載される金属水素化物のいずれかの一実施の形態においては、上記金属水素化物は、H
2と配位することができる。例えば、本明細書中に記載される金属水素化物のいずれかの一実施の形態においては、上記金属水素化物は、Kubas相互作用を介してH
2と配位することができる。
【0047】
本明細書中に記載される金属水素化物は、好ましくは、H
2が金属水素化物構造体の内外で活性結合サイトへと移動することを可能にするのに十分な微孔性を有する。
本発明は、一実施の形態において、本明細書に記載のいずれかの実施の形態の金属水素化物を含む金属水素化物貯蔵材料であって、(i)H
2が、材料及び金属水素化物の活性結合サイトへと拡散し、かつ、材料及び金属水素化物の活性結合サイトから拡散することができ、(ii)金属が、Kubas相互作用を介して、H
2と配位することができ、及び、(iii)(金属水素化物に貯蔵された水素を除いた金属水素化物の全重量100%に対して)約2.0%〜約14.0%の量でH
2を吸収することが可能となるのに十分な微孔性を有する、金属水素化物貯蔵材料に関する。
この金属水素化物貯蔵材料は、本明細書に記載の水素貯蔵システムに組み込むことができる。
【0048】
更なる別の実施の形態において、本明細書に記載の金属水素化物のいずれかは結晶性である。
【0049】
一実施の形態において、本明細書に記載の金属水素化物は、CuKα照射源(40kV、40mA)を用いたX線回折による測定において、非晶質であるか又は実質的に(substantially)非晶質である(例えば、約20%未満の結晶化度、例えば、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満又は約0.5%未満の結晶化度を有する)。
稠密充填構造を有する金属水素化物は、金属水素化物中の金属結合サイトへとH
2を拡散することができれば、体積密度が高いため、望ましい。金属水素化物の稠密充填構造によってH
2が金属結合サイトへと拡散できない場合には、金属水素化物は稠密充填構造を有さないことが好ましい。金属水素化物はゲル状又は固体状とすることができる。
【0050】
一実施の形態において、本明細書に記載の金属水素化物のいずれかは、固体(例えば、バルク固体)、例えば、室温で安定なバルク固体である。
【0051】
別の実施の形態において、本明細書に記載のあらゆる金属水素化物は、ホスフィン(例えば、トリメチルホスフィン)、エーテル、水、アルコール、アミン、硫化物、窒化物及びこれらの組合せから選択される不純物を、少量(例えば、最大で合計0.5モルまで)含んでもよい。ホスフィン(例えば、トリメチルホスフィン)、エーテル、アルコール、アミン又は硫化物の残渣(残基、residue)は、金属水素化物の合成に使用されて残るか、又は、合成中に副生成物として形成されるものである。
一実施の形態では、本発明の金属水素化物のいずれかが約10.0wt%未満、約9.0wt%未満、約9.0wt%未満、約7.5wt%未満、約5.0wt%未満、約4.0wt%未満、約3.0wt%未満、約2.0wt%未満、約1.0wt%未満、約0.75wt%未満、約0.5wt%未満、約0.4wt%未満、約0.3wt%未満、約0.25wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、約0.005wt%未満又は約0.001wt%未満のホスフィン(例えば、トリメチルホスフィン)、エーテル(例えば、Et
2O、THF、ジオキサン)、水、アルコール、アミン、硫化物若しくは窒化物の残渣(残基、residue)、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
好ましい実施の形態において、金属水素化物は、ホスフィン(例えば、トリメチルホスフィン)、エーテル、水、アルコール、アミン、硫化物若しくは窒化物の残渣(残基、residue)又はこれらの組合せを含まないか、又は、実質的含まない(free or substantially free)。加えて、不純物が存在する本発明の実施の形態においては、本明細書に記載の金属水素化物は、反応混合物中に含まれる残留水と金属アルキル種との加水分解に起因する金属水酸化物(M−OH)及び金属エーテル(M−O−M)を、少量(例えば、最大で合計0.5モルまで)含むこともできる。
【0052】
幾つかの実施の形態において、本発明の金属水素化物のいずれかは、リチウム若しくはマグネシウム又はこれらの組合せを、約10.0wt%未満含む。これらのリチウム残渣及びマグネシウム残渣(残基、residue)は、金属水素化物の合成に使用されて残るものである。例えば、本発明の金属水素化物のいずれかが約9.0wt%未満、約8.0wt%未満、約7.5wt%未満、約5.0wt%未満、約4.0wt%未満、約3.0wt%未満、約2.0wt%未満、約1.0wt%未満、約0.75wt%未満、約0.5wt%未満、約0.25wt%未満、約0.1wt%未満又は約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、約0.005wt%未満、又は約0.001wt%未満のリチウム若しくはマグネシウム又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
別の実施の形態では、本発明の金属水素化物のいずれかが約0.5wt%未満のリチウム若しくはマグネシウム、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。例えば、本発明の金属水素化物のいずれかが約0.4wt%未満、約0.3wt%未満、約0.25wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、約0.005wt%未満又は約0.001wt%未満のリチウム若しくはマグネシウム又はそれらの組合せを含んでいてもよい。好ましい実施の形態において、金属水素化物は、リチウム若しくはマグネシウム又はこれらの組合せを含まないか、又は、実質的に含まない(free or substantially free)。
【0053】
本発明の金属水素化物はハロゲンを含むことができる。例えば、金属水素化物は、ハロゲン(例えばBr
−、Cl
−又はI
−)を、約10.0wt%未満含むことができる。これらのハロゲン残渣(残基、residue)は、金属水素化物の合成に使用されて(例えば、グリニャール試薬の使用に起因して)残るものである。
例えば、本発明の金属水素化物のいずれかが約9.0wt%未満、約8.0wt%未満、約7.5wt%未満、約5.0wt%未満、約4.0wt%未満、約3.0wt%未満、約2.0wt%未満、約1.0wt%未満、約0.75wt%未満、約0.5wt%未満、約0.25wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、約0.005wt%未満、又は約0.001wt%未満のハロゲンを含んでいてもよい。好ましい実施の形態において、金属水素化物はハロゲンを含まないか、又は、実質的に含まない(free or substantially free)。
【0054】
合成
一実施の形態においては、本発明は、式(III):
MnR
xY
yL
n (III)
(式中、
Rは、有機基(例えばβ−水素置換基を有さない有機アルキル基、例えばメシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジル)であり、
Lは、ルイス塩基(例えば有機溶媒(例えばエーテル溶媒、例えばEt
2O、ジオキサン、THF)、水、H
2S、アミン、ホスフィン、硫化物、及びそれらの組合せ)であり、
nは、0〜約1(例えば0〜約0.8、0〜約0.6、0〜約0.5、0〜約0.4、0〜約0.2、0〜約0.1、0〜約0.05、又は0〜約0.01)であり、
Yは、金属(マンガン以外)であり、例えばYは、存在するのであれば、アルカリ金属(例えばNa、K、又はLi)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca、又はBe)、又はそれらの組合せであり、
xは、約1.8〜約2.2(例えば約1.9〜約2.1、約1.95〜約2.05、又は約2)であり、かつ、
yは、0〜約0.2(例えば0〜約0.1、0〜約0.05、又は0〜約0.01)である)のマンガンアルキル化合物を作製する方法に関する。
【0055】
一実施の形態においては、上記方法は、式MnX
2(ジオキサン)
z(式中、zは、約1〜約2、例えば約1.3〜約1.5である)の化合物と、アルキル化剤(例えばアルキル金属試薬、例えばアルキルアルカリ金属試薬(例えば式RYの化合物、その式中、Yは、Na、Li、又はKである)、アルキルアルカリ土類金属試薬(例えば式R
2Y又はRYX
1の化合物、その式中、Yは、Be、Ca、Mg、又はBeであり、かつX及びX
1は、それぞれ独立してハロゲン化物(例えばCl、Br、又はI、好ましくはClである)である)、又はそれらの任意の組合せ)とを、有機溶媒(例えばエーテルを含む有機溶媒、例えばEt
2O)中で反応させることを含む。
【0056】
一実施の形態においては、上記方法は、式MnX
2(ジオキサン)
z(式中、zは、約1〜約2、例えば約1.3〜約1.5である)の化合物と、式RMgX
1のアルキルマグネシウム試薬、R
2Mgのアルキルマグネシウム試薬(それらの式中、X及びX
1は、それぞれ独立して、ハロゲン化物、例えばCl、Br、又はI、好ましくはClである)、又はそれらの組合せとを、有機溶媒(例えばエーテルを含む有機溶媒、例えばEt
2O)中で反応させることを含む。
【0057】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明者は、一段階において、上記ジオキサンは、(i)ジエチルエーテル中でMnCl
2の可溶化を助け、(ii)マグネシウム塩の析出により反応を完了に促し、(iii)より反応性の高いR
2Mgを形成し、そして(iv)最終生成物中の不所望なマグネシウム塩の量を減らす作用を有することを理論上想定している。4当量のジオキサンは、反応の間にMgX
2(ジオキサン)
2として形成される全てのマグネシウムハロゲン化物塩を沈殿させるのに最適である。
【0058】
一実施の形態においては、MnX
2のジオキサン錯体は、MnX
2と過剰の(例えば4当量の)ジオキサンとを反応させることによって形成されて、MnX
2(ジオキサン)
zが得られる。別の実施の形態においては、MnX
2を、4当量を上回るジオキサンと反応させることで、MnX
2(ジオキサン)
zが形成され、それを引き続き単離し、次いで(4−z)当量のジオキサンを上記MnX
2(ジオキサン)
z錯体に添加し、それからアルキルマグネシウム試薬と反応させる。好ましい一実施の形態においては、MnX
2を、4当量のジオキサンと一緒に撹拌し、こうして形成されたMnX
2ジオキサン化合物を、in situで上記アルキルマグネシウム試薬と反応させる。
【0059】
一実施の形態においては、有機基Rは、β−水素置換基を含まない(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである)。好ましい一実施の形態においては、Rは、ネオペンチル又はメシチルである。
【0060】
一実施の形態では、yは0である。一実施の形態では、nは0である。一実施の形態では、Rはネオペンチルである。一実施の形態では、XはClである。一実施の形態では、X
1はClである。一実施の形態では、有機溶媒はジエチルエーテルである。
【0061】
一実施の形態においては、Yは、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)又はアルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウム、ベリリウム)である。
【0062】
好ましい一実施の形態においては、Rはネオペンチルであり、X及びX
1はClであり、yは0であり、かつ有機溶媒はジエチルエーテルである。好ましい一実施の形態においては、上記アルキルマグネシウム試薬は、ネオペンチルマグネシウムクロリドである。
【0063】
したがって、好ましい一実施の形態においては、本発明は、ビス(ネオペンチル)マンガン(例えば有機残渣(溶媒)(残基、residue)及び/又は他の金属(例えばマグネシウム)を含まない(free)、又は実質的に含まない(substantially free)ビス(ネオペンチル)マンガン)を作製する方法に関する。
上記方法は、MnCl
2(ジオキサン)
1.3〜1.5と、(i)ネオペンチルマグネシウムクロリド、(ii)ビス(ネオペンチル)マグネシウム、又は(iii)それらの組合せとを、ジエチルエーテル中で反応させることを含む。
【0064】
別の実施の形態においては、本発明は、マンガンジアルキル、例えばMnR
2(式中、Rは、β−水素置換基を含まない有機配位子である(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである))であって、金属イオン(マンガン以外、例えばMg又はLi)を含まない、又は実質的に含まない、マンガンジアルキルに関する。
別の実施の形態においては、本発明は、マンガンジアルキル、例えばMnR
2(式中、Rは、β−水素置換基を含まない有機配位子である(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである))であって、有機残渣(例えばマンガンジアルキルの合成の間に使用される有機溶媒)(残基、residue)を含まない、又は実質的に含まない(free or substantially free)、マンガンジアルキルに関する。
別の実施の形態においては、本発明は、金属イオン(マンガン以外、例えばMg又はLi)を含まない、又は実質的に含まない(free or substantially free)とともに、有機残渣(例えばマンガンジアルキルの合成の間に使用される有機溶媒)(残基、residue)を含まない、又は実質的に含まない(free or substantially free)マンガンジアルキルに関する。
【0065】
別の実施の形態においては、本発明は、マンガンジアルキル、例えばMnR
2(式中、Rは、β−水素置換基を含まない有機配位子である(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである))であって、約2wt%未満、例えば約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、約0.005wt%未満、又は約0.001wt%未満の金属イオン(例えばMg又はLi)を含む、マンガンジアルキルに関する。
【0066】
別の実施の形態においては、本発明は、マンガンジアルキル、例えばMnR
2(式中、Rは、β−水素置換基を含まない有機配位子である(例えばRは、メシチル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、又はベンジルである))であって、約2wt%未満、例えば約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、約0.005wt%未満、又は約0.001wt%未満の有機残渣(例えばマンガンジアルキルの合成の間に使用される有機溶媒)(残基、residue)を含む、マンガンジアルキルに関する。
【0067】
別の態様においては、本発明は、本明細書中に記載されるいずれかの実施の形態による金属水素化物(例えば水素貯蔵で使用するのに適した金属水素化物、例えば式(I)又は(II)の金属水素化物)を作製する方法に関する。したがって、更なる一実施の形態においては、本発明は、マンガン水素化物(例えば式(I)又は(II)の金属水素化物)を作製する方法であって、式(III)の化合物を水素化することを含む、方法に関する。
【0068】
例えば、上記方法は、(i)式(III)のジアルキル金属化合物を水素化することと、(ii)工程(i)の生成物に真空をかけることと、任意に、(iii)工程(ii)で得られた生成物を水素化することと、(iv)工程(iii)の生成物に真空をかけることとを必要とし得る。
【0069】
一実施の形態において、工程(i)は、工程(ii)の前に、水素化生成物を(例えば、濾過によって)単離することを更に含む。
【0070】
一実施の形態において、工程(i)の水素化は、約1bar〜約200bar、例えば、約1bar〜約150bar、約1bar〜約125bar、又は、約1bar〜約100barの水素圧力で行われる。
追加の実施の形態においては、工程(i)の水素化は、約1bar、約5bar、約10bar、約15bar、約20bar、約25bar、約30bar、約40bar、約50bar、約60bar、約70bar、約80bar、約90bar又は約100barの水素圧力で行われる。
【0071】
一実施の形態において、工程(i)は、約15℃〜約200℃、例えば、約15℃〜約100℃、約20℃〜約50℃、おおよそ周囲温度(例えば、約25℃)〜約40℃、又は、約20℃〜約30℃の温度で行われる。一実施の形態において、工程(i)は、周囲温度で行われる。一実施の形態においては、工程(i)は、周囲温度に続き100℃で行われる。
【0072】
一実施の形態において、工程(i)は溶媒を用いずに行われる。
【0073】
別の実施の形態において、工程(i)は有機溶媒(例えば、芳香族系又は非芳香族系有機溶媒)中で行われる。一実施の形態において、工程(i)は、トルエン及びテトラヒドロフランから選ばれる溶媒中で行われる。一実施の形態において、工程(i)は、ジエチルエーテル等のジアルキルエーテル溶媒中で行われる。一実施の形態において、工程(i)は、トルエン等の芳香族系溶媒中で行われる。
一実施の形態において、工程(i)は、炭化水素系溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びこれらの組合せ等の脂肪族溶媒中で行われる。一実施の形態において、工程(i)は、トルエン、ジエチルエーテル、石油エーテル及びこれらの組合せから選ばれる溶媒中で行われる。一実施の形態において、溶媒は石油エーテルである。工程(i)における溶媒は、無水溶媒であることが好ましい。
【0074】
別の実施の形態においては、工程(i)は、有機溶媒(例えば芳香族系又は非芳香族系有機溶媒)中で行われ、引き続き、有機溶媒の不存在下で更なる水素化が行われる。
【0075】
更なる一実施の形態においては、工程(i)は、金属アルキル(例えばM
2R、その式中、Rは、アルキル基、例えば上記いずれかの実施の形態に記載されるR基であり、かつM
2は、マンガン以外の金属(例えば鉄)である)を水素化することも含む。この実施の形態においては、マンガン/M
2の混合型水素化物が生成され得る。
【0076】
一実施の形態においては、工程(ii)は、約20℃〜約250℃、例えば約25℃〜約200℃、又は約25℃〜約150℃の温度で行われる。一実施の形態においては、工程(ii)は、約25℃で行われる。別の実施の形態においては、工程(ii)は、約50℃で行われる。更なる一実施の形態においては、工程(ii)は、約100℃で行われる。さらに別の実施の形態においては、工程(ii)は、約150℃で行われる。さらに別の実施の形態においては、工程(ii)は、約100℃〜約150℃で行われる。
【0077】
一実施の形態においては、工程(ii)は、約1時間〜約48時間、例えば約1時間〜約24時間、約1時間〜約10時間、約2時間〜約10時間の期間にわたり、例えば約4時間又は約8時間にわたり行われる。
【0078】
一実施の形態において、工程(iii)は、約20℃(例えば、周囲温度又は約25℃)〜約250℃、例えば、約50℃〜約200℃、約100℃〜約200℃、又は、約150℃〜約200℃の温度で行われる。一実施の形態において、工程(iii)は約150℃で行われる。別の実施の形態において、工程(iii)は約180℃で行われる。
【0079】
一実施の形態において、工程(iii)は、約1時間〜約10時間、例えば、約2時間〜約10時間、又は、約2時間〜約6時間の期間にわたり、例えば、約2時間又は約6時間にわたり行われる。
【0080】
一実施の形態において、工程(iii)の水素化は、約1bar〜約200bar、例えば、約50bar〜約170bar、約100bar〜約150bar、又は、約120bar〜約150barの水素圧力で行われる。
追加の実施の形態においは、工程(i)の水素化は、約1bar、約5bar、約10bar、約15bar、約20bar、約25bar、約30bar、約40bar、約50bar、約60bar、約70bar、約80bar、約90bar、約100bar、約120bar又は約150barの水素圧力で行われる。
【0081】
一実施の形態において、工程(iii)は溶媒を用いずに行われる。
【0082】
別の実施の形態において、工程(iii)は有機溶媒(例えば、芳香族系又は非芳香族系有機溶媒)中で行われる。一実施の形態において、工程(iii)は、トルエン及びテトラヒドロフランから選ばれる溶媒中で行われる。一実施の形態において、工程(iii)は、ジエチルエーテル等のジアルキルエーテル溶媒中で行われる。一実施の形態において、工程(iii)は、トルエン等の芳香族系溶媒中で行われる。
一実施の形態において、工程(iii)は炭化水素系溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びこれらの組合せ等の脂肪族溶媒中で行われる。一実施の形態において、工程(i)は、トルエン、ジエチルエーテル、石油エーテル及びこれらの組合せから選ばれる溶媒中で行われる。工程(iii)における溶媒は、無水溶媒であることが好ましい。
【0083】
一実施の形態において、工程(iv)は、約20℃(例えば、周囲温度又は約25℃)〜約250℃、例えば、約50℃〜約200℃、約100℃〜約200℃、又は、約150℃〜約200℃の温度で行われる。一実施の形態において、工程(iv)は約150℃で行われる。
【0084】
一実施の形態においては、工程(iv)は、約1時間〜約10時間、例えば約2時間〜約10時間、又は約2時間〜約6時間の時間にわたり、例えば約2時間又は約6時間にわたり行われる。
【0085】
好ましい一実施の形態においては、上記方法は、工程(i)〜(iv)を含む(すなわち、工程(iii)及び(iv)は任意ではなく、該方法の一部を成す)。
【0086】
別の実施の形態においては、上記方法は、更に、(v)工程(iv)の生成物を、1回又は複数回(例えば約5回以上、約10回以上、約20回以上、約30回以上、約40回以上、又は約50回以上)の追加の水素吸着−脱着サイクルに供することを含む。
【0087】
別の実施の形態においては、本発明は、金属水素化物(例えば式(I)又は(II)のマンガン水素化物)を精製する方法に関する。上記方法は、金属水素化物(例えば式(I)又は(II)のマンガン水素化物)を、1回又は複数回(例えば約5回以上、約10回以上、約20回以上、約30回以上、約40回以上、又は約50回以上)の水素吸着−脱着サイクルに供することを含む。
【0088】
一実施の形態において、水素吸着−脱着サイクルは、約1bar〜約200bar、例えば、約50bar〜約170bar、約100bar〜約150bar、又は、約120bar〜約150barの水素圧力で行われる。追加の実施の形態においては、工程(i)の水素化は、約1bar、約5bar、約10bar、約15bar、約20bar、約25bar、約30bar、約40bar、約50bar、約60bar、約70bar、約80bar、約90bar、約100bar、約120bar又は約150barの水素圧力で行われる。
【0089】
水素貯蔵
別の実施の形態においては、本発明は、水素を貯蔵する方法であって、
本明細書中に記載される実施の形態のいずれかによる金属水素化物(例えば式(I)又は(II)の金属水素化物)を準備することと、
上記金属水素化物に水素を加えることと、
水素を上記金属水素化物に配位させること(例えば上記金属水素化物によって吸収させること)と、
を含む、方法に関する。
【0090】
別の実施の形態においては、本発明は、貯蔵システム中に水素を貯蔵する方法であって、
本明細書中に記載される実施の形態のいずれかによる金属水素化物(例えば式(I)又は(II)の金属水素化物)をシステム中に準備することと、
上記貯蔵システム中で上記金属水素化物に水素を加えることと、
上記貯蔵システム中で水素を上記金属水素化物に配位させること(例えば上記金属水素化物によって吸収させること)と、
を含む、方法に関する。
【0091】
一実施の形態においては、上記水素化物は、任意に結合剤及び/又は滑沢剤(例えば無定形炭素、パラフィン、鉱油、又はポリマー、例えばセルロース若しくはポリプロピレン)又は他の材料(例えば、ペレット化プロセスを容易にするための無機化合物、例えばTiO
2、金属又は金属合金、例えばNi)を用いてペレット形に圧縮される。上記結合剤、滑沢剤及び/又は他の材料は、最終形の材料への水素供給中に不純物によって引き起こされる被毒、加水分解又はその他の有害な可能性のある反応の作用を最小限にするためにこの段階で導入され得る。
追加の添加剤(例えば多孔質カーボン、金属有機構造体(metal organic frameworks、MOFs)及び共有結合性有機構造体(covalent organic frameworks、COFs))を、本明細書中に記載される金属水素化物によって水素が吸着及び脱着される速度を促進するために添加することもできる。一実施の形態においては、上記水素化物は、ハニカム構造化支持体の巨視孔内に堆積される。
【0092】
一実施の形態において、上記貯蔵システムは、貯蔵タンク中に金属水素化物を備える水素貯蔵タンクである。この貯蔵タンクは、貯蔵タンクの壁部に、1又は複数の開口部を備えることができる。水素ガス等の流体は、この1又は複数の開口部を介して貯蔵タンクから出し入れることができる。上記システムは、1又は複数の開口部を通る流体の流路を調節する1又は複数のバルブを更に備えることができる。
この1又は複数のバルブは、1又は複数のバルブを開けて、上記1又は複数の開口部を介して貯蔵タンクから流体を流出させることにより、貯蔵タンク内部の圧力を解放するのに用いることができる。上記システムは、貯蔵タンクに水素を添加するコンプレッサー(例えば、ガスコンプレッサー)を更に備えることができる。
【0093】
追加の実施の形態において、水素を貯蔵する方法は、金属水素化物(例えば、貯蔵システム中の金属水素化物)から水素を放出させることを更に含む。一実施の形態において、貯蔵システム内の水素の圧力を低下させることにより、金属水素化物から水素を放出させる。一実施の形態においては、水素は、上記貯蔵システムの温度を変化させることによって(例えば高めることによって)金属水素化物から放出される。
【0094】
本発明は、更に別の実施の形態において、貯蔵システムと貯蔵システム内の金属水素化物とを含む、水素貯蔵システムに関し、ここで、金属水素化物は本明細書に記載の実施の形態のいずれかに包含されるものである(例えば、式(I)の金属水素化物)。
【0095】
本発明の金属水素化物は、他の用途においても、例えばそれらに制限されるものではないが、メタン吸着、圧縮天然ガス貯蔵、推進剤、電池技術、吸収剤、オレフィン重合触媒及びセンサにおいても有用であり得る。また、本発明の金属水素化物は、他の用途においても、例えばそれらに制限されるものではないが、電気自動車及び/又はハイブリッド自動車の推進、並びに電力系統に接続しながらの蓄電においても有用であり得る。
一実施の形態においては、本発明は、燃料電池と連携してエネルギーを生成するための、又は酸化剤を使用して熱を生成するための貯蔵システム(いかなる大きさであっても、定置式又は可搬式であってもよい)であって、本明細書中に記載されるいずれかの実施の形態による金属水素化物を該貯蔵システム内に含む、貯蔵システムに関する。
【0096】
推進剤は、ジェット又はロケット等の対象を動かす又は推進させるのに用いられる材料である。推進剤は、燃料と酸化剤とを含むことができる。燃料は、例えば、ガソリン、ジェット燃料又はロケット燃料とすることができる。本発明の金属水素化物を推進剤に用いる場合には、推進剤は水素を更に含む。
水素は、本発明の金属水素化物に存在する中心金属に配位することができる。一実施の形態において、水素は液体状である。好ましい実施の形態において、推進剤は、酸化剤、例えば液体酸素を更に含む。一実施の形態において、推進剤は、ジェット又はロケットを推進させるのに用いられる。別の実施の形態においては、上記推進剤は、発炎装置、例えば溶接トーチ中で酸化剤と一緒に使用される。
【0097】
電池は、貯蔵された化学エネルギーを電気エネルギーに変換する、1又は複数の電気化学セルを備える。本発明の金属水素化物は、化合物と配位し電池中にその化合物を貯蔵するのに用いることができる。好ましい実施の形態において、貯蔵される化合物は水素である。一実施の形態において、電池は、水素中に貯蔵されたエネルギーを電気エネルギーへと変換する。一実施の形態においては、本発明の金属水素化物は、発電用の燃料電池と一緒に使用される。
【0098】
吸収剤は、液体又はガスを吸収するのに用いられる材料である。本発明の金属水素化物は、液体又はガスを吸収する吸収剤として使用することができる。例えば、本発明の金属水素化物は水素を吸収するのに用いることができる。一実施の形態において、この水素は液体状である。別の実施の形態において、この水素はガス状である。
【0099】
別の実施の形態は、本発明の金属水素化物を含むオレフィン重合のための触媒システムである。この触媒システムは、担体を更に含むことができる。
【0100】
更に別の実施の形態は、本発明の触媒システムの存在下で、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)の重合又は共重合を行うことを含む方法である。
【0101】
センサは、物質を検出するか、又は、物質量を測定するのに用いられる。センサは、物質が検出されたというシグナルを与えるか、又は、物質量の測定結果を表すシグナルを与えるものである。シグナルは、観察者又は機器によって読み取られることができる。
【0102】
本発明の金属水素化物は、センサにおいて用いることができる。例えば、本発明の金属水素化物は、例えばシステム内の水素を検出するために使用することができる。一実施の形態において、本発明の金属水素化物は、システム内に存在する水素の量を測定する。一実施の形態において、上記水素は液体状である。別の実施の形態において、上記水素はガス状である。