(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[再剥離型粘着剤組成物]
まず、本発明の粘着体の製造に好適に用いることができる再剥離型粘着剤組成物について説明する。
【0013】
本発明において、「再剥離型」とは、被着体に対する貼着および剥離を繰り返し行うことが可能なもののことを指す。
【0014】
再剥離型粘着剤組成物は、再剥離型の粘着体の粘着剤層の形成に用いられるものである。
【0015】
本実施形態の再剥離型粘着剤組成物は、粘着剤と、オイルを吸収する機能を有するオイル吸収材とを含むものである。そして、本実施形態の再剥離型粘着剤組成物は、オイル吸収材として多孔質体を含むものである。
【0016】
このように、オイル吸収材を含むことにより、再剥離型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層が、オイルと接触した際に、オイルを効率よく吸収、保持し、被着体との接触面におけるオイルの存在量を低下させることができる。特に、オイル吸収材として多孔質体を含むことにより、特に高い効率で、オイル吸収材の内部にオイルを取り込み、その状態を好適に保持することができる。その結果、オイルと接触した場合であっても、被着体に対する粘着力を好適に維持することができる。
【0017】
オイルとしては、例えば、炭素数が5以上の炭化水素、炭素数が5以上の脂肪酸やそのエステル化合物(グリセリン等の多価アルコールとのエステル(例えば、トリグリセリド等)等の油脂等を含む)、各種シリコーンオイル(例えば、メチコン、シクロメチコン等)等が挙げられる。
【0018】
また、オイルには、鉱物油、合成油のほか、オリーブオイル、ごま油、ホホバ油等の植物油、魚油、ラード等の動物油等も含まれる。
【0019】
再剥離型粘着剤組成物中に含まれる粘着剤としては、例えば、アクリル系、合成ゴム系、天然ゴム系等が挙げられるが、アクリル系粘着剤が好ましい。
これにより、被着体に対する粘着性をより優れたものとすることができる。
【0020】
アクリル系粘着剤は、アクリル酸、メタクリル酸(以下、これらをまとめて「(メタ)アクリル酸」とも表記する。)またはこれらのエステル化合物(アクリレート、メタクリレート(以下、これらをまとめて「メタ(アクリレート)」とも表記する。))等の(メタ)アクリル酸誘導体をモノマー成分として含む共重合体であることが好ましい。また、上記以外のモノマー成分を含むものであってもよい。
【0021】
粘着剤は、炭素数が5以上の脂肪族炭化水素基を有するモノマーを構成成分として含むものであるのが好ましい。
【0022】
これにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がより優れたものとなる。その結果、後に詳述するオイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをより好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をより優れたものとすることができる。また、粘着剤とオイル吸収材との親和性をより優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物中、粘着剤層中での不本意な組成のばらつきをより効果的に防止することができ、各部位でより安定したオイル吸収機能が発揮される。
【0023】
このように、粘着剤は、炭素数が5以上の脂肪族炭化水素基を有するモノマーを構成成分として含むものであるのが好ましいが、当該脂肪族炭化水素基の炭素数は、6以上であるのがより好ましく、8以上16以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0024】
また、前記脂肪族炭化水素基は、環状構造や分岐鎖構造を有するものであってもよいが、直鎖構造のものであるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0025】
粘着剤を構成する分子(高分子)中において前記脂肪族炭化水素基を有するモノマーの占める割合は、50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0026】
アクリル系粘着剤を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
これにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がより優れたものとなる。その結果、後に詳述するオイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをより好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をより優れたものとすることができる。また、粘着剤とオイル吸収材との親和性をより優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物中、粘着剤層中での不本意な組成のばらつきをより効果的に防止することができ、各部位でより安定したオイル吸収機能が発揮される。
【0028】
アクリル系粘着剤の分子(高分子)中における極性基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基や、これらの塩等)を有するモノマーの含有率は、十分に低いものであるのが好ましい。
【0029】
より具体的には、アクリル系粘着剤の分子(高分子)中における極性基を有するモノマーの含有率は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
【0030】
これにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がより優れたものとなる。その結果、後に詳述するオイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをより好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をより優れたものとすることができる。
なお、粘着剤としては、溶剤型、エマルジョン型のいずれを用いてもよい。
【0031】
また、再剥離型粘着剤組成物は、粘着剤として、架橋剤により架橋した架橋型粘着剤を含むものであるのが好ましい。
【0032】
これにより、粘着剤層の凝集力をより優れたものとすることができ、被着体から剥離する際の糊残りをより効果的に防止することができる。
【0033】
架橋剤としては、例えば、脂肪族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン系化合物等のポリイミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属アルコキシド、金属塩等が使用できる。より具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等やその誘導体である脂肪族イソシアネート化合物、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン等のエポキシ化合物、アルミニウム−イソプロピレート、アルミニウム−secブチレート、アルミニウムアセチルアセトナート等のアルミニウムキレート化合物や、テトライソプロピルチタネート、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタネート等のチタンキレート化合物等の金属キレート化合物等が挙げられる。
【0034】
架橋剤量は、特に限定されないが、粘着主剤のポリマー成分100質量部に対して、0.01質量部以上2.0質量部以下であるのが好ましく、0.03質量部以上1.0質量部以下であるのがより好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下であるのがさらに好ましい。
【0035】
これにより、より好適に再剥離が行えるより適切な粘着力が得られるとともに、糊残りの問題の発生をより効果的に防止することができる。
【0036】
オイル吸収材は、オイルを吸収し、粘着剤層に接触したオイルを粘着剤層の内部に取り込む機能、または、オイルを粘着剤層中に保持する機能を有するものである。
【0037】
このようなオイル吸収材を含むことにより、粘着剤層がオイルと接触した場合に粘着剤層の表面におけるオイル量を少なくすることができ、被着体との密着性(粘着力)を好適に維持することができる。
【0038】
特に、オイル吸収材として多孔質体を含む。これにより、高い効率で、オイル吸収材の内部にオイルを取り込み、その状態を好適に保持することができる。
【0039】
多孔質体の空孔率は、特に限定されないが、10体積%以上80体積%以下であるのが好ましく、15体積%以上70体積%以下であるのがより好ましい。
【0040】
これにより、より多くのオイルを吸収することができるとともに、多孔質体の機械的強度をより優れたものとすることができ、より安定的に吸収したオイルを保持することができる。
【0041】
多孔質体は、粒子状のものであるのが好ましい。
多孔質体が凝集体としての粒子状のものである場合、当該多孔質体の平均粒径(2次粒子径)は、0.1μm以上30μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
【0042】
これにより、再剥離型粘着剤組成物中における多孔質体の分散安定性や塗工性を優れたものとしつつ、形成される粘着剤層の表面における不本意な凹凸の発生をより効果的に防止することができる。
【0043】
本明細書において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指し、例えば、対象となる粒子の分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INC製TA−II型等)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
【0044】
多孔質体の構成材料としては、例えば、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ藻土、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、モンモリロナイト、カオリン等の粘土鉱物、各種ガラス、各種金属、食塩等の無機化合物、乳酸カルシウム、乳糖等の低分子有機化合物、デキストリン、加工澱粉、多孔質澱粉等の澱粉類、結晶セルロース、メチルセルロース、セルロースエーテル化合物等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0045】
特に、多孔質体は、多孔質シリカであるのが好ましい。これにより、オイルをより効率よく吸収、保持することができる。また、多孔質シリカは、熱膨張係数が小さく、また、オイルの吸収による体積変化も小さいため、粘着剤層の形状の安定性等の観点からも有利である。また、多孔質シリカは、各種多孔質体の中でも、入手が容易で、比較的安価であるため、粘着体の安定的な生産、供給や、製造コストの抑制等の観点からも有利である。
【0046】
また、多孔質体は、疎水化処理(親油化処理)等の表面処理が施されたものであってもよい。
【0047】
これにより、多孔質体とオイルとの親和性が向上し、多孔質体は、より高い効率で、オイルを吸収することができる。
【0048】
特に、多孔質体である場合、空孔の内壁面に疎水化処理が施されているのが好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0049】
疎水化処理としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で処理する方法、脂肪酸の亜鉛塩やマグネシウム塩やアルミ塩を用いた金属石鹸処理法等が挙げられる。
また、複数種の多孔質体を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
オイル吸収材として、少なくとも多孔質体を用いればよいが、さらに多孔質体以外のオイル吸収材を併用してもよい。
【0051】
多孔質体以外のオイル吸収材としては、例えば、オイルを吸収することにより膨潤・ゲル化するゲル化剤等が挙げられる。
【0052】
特に、作用メカニズムが異なる複数種のオイル吸収材を含む場合に、上記のような効果はさらに顕著なものとなる。より具体的には、例えば、オイル吸収材として、主に速やかなオイルの吸収に寄与する成分と、粘着剤層に吸収されたオイルを貯蔵する機能を有する成分(例えば、多孔質体等)とを含む場合、これらの成分の間でのオイルの移動により、速やかなオイル吸収と、長期間にわたってオイルの染みだしの防止とを、両立することができ、長期間にわたって、優れた効果が安定的に得られる。
【0053】
再剥離型粘着剤組成物中に含まれるオイル吸収材の含有率は、特に限定されないが、粘着剤100質量部に対し、0.1質量部以上50質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上30質量部以下であるのがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であるのがさらに好ましい。
【0054】
オイル吸収材の含有率が低すぎると、オイル吸収材の種類等によっては、前述したようなオイル吸収材を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、オイル吸収材の含有率が高すぎると、粘着剤の含有率が相対的に低下し、粘着剤の機能が十分に発揮されない可能性がある。
【0055】
再剥離型粘着剤組成物は、可塑剤を含むものであってもよい。
これにより、再剥離型粘着剤組成物の柔軟性、弾性をより優れたものとすることができる。また、再剥離型粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層の再剥離性をより優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物を用いて製造された粘着体(例えば、粘着フィルム)を被着体から剥離する際の手めくり感をより優れたものとすることができる。
【0056】
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル等のトリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸系ポリエステル等のポリエステル系可塑剤、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ステアリン酸ブチル等のエポキシ系可塑剤等が挙げられるが、炭素数が4以上のアルキレン基を分子内に有するものが好ましい。
【0057】
これにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がより優れたものとなる。その結果、オイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをより好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をより優れたものとすることができる。また、可塑剤とオイル吸収材との親和性や、可塑剤と粘着剤(特に、前述したような好適な化学構造を有する粘着剤)との親和性をより優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物中、粘着剤層中での不本意な組成のばらつきをより効果的に防止することができ、各部位でより安定したオイル吸収機能が発揮される。
【0058】
また、可塑剤としては、分子内に、芳香族環構造を有さないものを用いるのが好ましい。
【0059】
これにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がより優れたものとなる。その結果、オイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをより好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をより優れたものとすることができる。また、可塑剤とオイル吸収材との親和性や、可塑剤と粘着剤(特に、前述したような好適な化学構造を有する粘着剤)との親和性をより優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物中、粘着剤層中での不本意な組成のばらつきをより効果的に防止することができ、各部位でより安定したオイル吸収機能が発揮される。
【0060】
また、可塑剤が多価カルボン酸成分とアルコール成分とのエステル化合物である場合、前記アルコール成分は、炭素数が8以上のアルキル基を有するものであるのが好ましい。
【0061】
これにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がより優れたものとなる。その結果、オイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをより好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をより優れたものとすることができる。また、可塑剤とオイル吸収材との親和性や、可塑剤と粘着剤(特に、前述したような好適な化学構造を有する粘着剤)との親和性をより優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物中、粘着剤層中での不本意な組成のばらつきをより効果的に防止することができ、各部位でより安定したオイル吸収機能が発揮される。
【0062】
上記のような条件を満たす可塑剤としては、例えば、下記式(2)、下記式(3)で示される化学構造を有するもの等が挙げられる。
【0063】
【化1】
(ただし、式(2)中、mは4以上の整数、lは8以上の整数を示す。)
【0064】
【化2】
(ただし、式(3)中、lは8以上の整数を示す。)
【0065】
このような可塑剤を用いることにより、再剥離型粘着剤組成物全体(粘着剤層全体)としての親油性がさらに優れたものとなる。その結果、オイル吸収材を含むことによる効果と相まって、吸収したオイルをさらに好適に内部に保持することができ、オイルに接触した場合における粘着力の保持効果をさらに優れたものとすることができる。また、可塑剤とオイル吸収材との親和性や、可塑剤と粘着剤(特に、前述したような好適な化学構造を有する粘着剤)との親和性をさらに優れたものとすることができ、再剥離型粘着剤組成物中、粘着剤層中での不本意な組成のばらつきをさらに効果的に防止することができ、各部位でさらに安定したオイル吸収機能が発揮される。
【0066】
このような効果は、上記式(2)で示される化学構造を有する可塑剤、上記式(3)で示される化学構造を有する可塑剤のうち少なくとも一方を、前述した炭素数が5以上の脂肪族炭化水素基を有するモノマーを構成成分として含む粘着剤と併用した場合により顕著に発揮される。
【0067】
再剥離型粘着剤組成物中に含まれる可塑剤の含有率は、特に限定されないが、粘着剤100質量部に対し、1質量部以上30質量部以下であるのが好ましく、5質量部以上25質量部以下であるのがより好ましい。
【0068】
可塑剤の含有率が低すぎると、可塑剤の種類等によっては、前述したような可塑剤を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、可塑剤の含有率が高すぎると、粘着剤の含有率が相対的に低下し、粘着剤の機能が十分に発揮されない可能性がある。
【0069】
再剥離型粘着剤組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種樹脂、硬化触媒、溶媒、軟化剤、染料、顔料等の着色剤、アニリド系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、光安定剤、分散剤、レベリング剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの成分の含有量は、特に限定されないが、溶媒を除くこれらの成分全体として、10質量%を超えないことが好ましい。
【0070】
[粘着体]
次に、本発明の粘着体について説明する。
【0071】
図1は、本発明の粘着体(粘着フィルム)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。
【0072】
図1に示すように、粘着体としての粘着フィルム(再剥離型粘着フィルム)10は、基材1と、再剥離型の粘着剤層2とを備える。そして、粘着剤層2は、粘着剤と、オイルを吸収する機能を有するオイル吸収材とを含む材料で構成されたものである。そして、粘着剤層2は、オイル吸収材として多孔質体を含むものである。
【0073】
これにより、粘着フィルム10(特に、粘着剤層2)がオイルに接触した場合でも、被着体に対する十分な粘着力、再粘着性を維持することができる。
なお、本明細書において、「粘着フィルム」には粘着シート、粘着テープ及び粘着ラベルの概念が含まれるものとする。
【0074】
基材1は、粘着剤層2を支持する機能を有するものである。
基材1は、例えば、緻密体のほか、織布、不織布、紙、多孔質体、ポリプロピレンやポリエステル等の合成紙、発泡体等、いかなる形態のものであってもよい。
【0075】
基材1の構成材料は、特に限定されず、例えば、樹脂材料、金属材料、パルプ等の植物性繊維、羊毛等の動物性繊維等が挙げられるが、樹脂材料が好適に用いられる。
【0076】
基材1を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アセテート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基材1としては、例えば、気相成膜法等により形成された金属膜を備えるものを用いてもよい。金属としては、アルミニウム等が挙げられる。
【0077】
また、基材1は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、染料、顔料等の着色剤、アニリド系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、光安定剤、改質剤、防錆剤、充填剤、表面潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、重合禁止剤、架橋剤、触媒、可塑剤、レベリング剤、増粘剤、軟化剤、分散剤等が挙げられる。
【0078】
また、基材1は、単層より構成されるものであってもよいし、複数の層を備える積層体であってもよい。また、基材1は、例えば、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
【0079】
また、基材1は、粘着剤層2との密着性を高めるためのプライマー層を有していてもよい。プライマー層としては、アクリル系、オレフィン系、ポリエステル系およびポリウレタン系等が挙げられる。
【0080】
これにより、粘着剤層2と被着体との密着力に対して、基材1と粘着剤層2との密着力を、特に大きいものとすることができ、粘着フィルム10を被着体から剥離する際に粘着剤層2が基材1から剥離して被着体に残留することをより効果的に防止することができる。
【0081】
また、基材1には、例えば、酸化法や凹凸化法等による表面処理が施されていてもよい。
【0082】
上記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理(コロナ処理)、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられ、また、凹凸化法としては、例えば、ブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
【0083】
これらの表面処理法は、基材1を構成する材料に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ処理が効果および操作性等の面から好ましい。
また、プライマー処理を施すこともできる。
【0084】
基材1の厚さは、特に限定されないが、15μm以上300μm以下であるのが好ましく、20μm以上50μm以下であるのがより好ましい。
【0085】
粘着剤層2は、粘着剤とオイルを吸収する機能を有するオイル吸収材とを含む材料で構成されたものであればよいが、前述した再剥離型粘着剤組成物を用いることにより好適に形成することができる。
【0086】
粘着剤層2中に含まれるオイル吸収材の含有率は、特に限定されないが、粘着剤100質量部に対し、0.1質量部以上50質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上30質量部以下であるのがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であるのがさらに好ましい。
【0087】
オイル吸収材の含有率が低すぎると、オイル吸収材の種類等によっては、前述したようなオイル吸収材を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、オイル吸収材の含有率が高すぎると、粘着剤の含有率が相対的に低下し、粘着剤の機能が十分に発揮されない可能性がある。
【0088】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、1μm以上100μm以下であるのが好ましく、3μm以上50μm以下であるのがより好ましく、5μm以上30μm以下であるのがさらに好ましい。
【0089】
[粘着フィルムの製造方法]
次に、本発明の粘着フィルムの製造方法について説明する。
【0090】
前述したような基材1を用意する。
そして、粘着剤層2を形成する。粘着剤層2の形成方法は、特に限定されないが、用意した基材1の一方の面上に、前述した再剥離型粘着剤組成物を付与することにより好適に形成することができる。
【0091】
粘着剤層2を形成するための再剥離型粘着剤組成物の付与は、例えば、液状の再剥離型粘着剤組成物(塗工液)を、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート、バーコート等の各種塗布法により、基材1上に塗布することにより行うことができる。
塗工液の塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層2を形成することができる。
【0092】
粘着剤層2は、塗工液としての再剥離型粘着剤組成物と異なる組成を有するものであってもよい。例えば、再剥離型粘着剤組成物を塗工した後、含まれる溶媒を除去してもよいし、硬化反応、架橋反応を進行させることにより、重合度、架橋度を異なるものとしてもよい。
【0093】
また、粘着剤層2の形成に際して、再剥離型粘着剤組成物と他の成分とを混合して、塗工液を調整してもよい。例えば、粘着剤層2の形成に際して、再剥離型粘着剤組成物と溶媒とを混合してもよい。
【0094】
溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
塗工液は塗工可能なものであればよく、塗工液における固形分濃度は、特に限定されないが、20質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。
【0096】
また、粘着剤層2は、いったん剥離ライナー上に形成し、その後、基材1に貼り合せてもよい。
【0097】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、粘着体(例えば、粘着フィルム)は、基材と粘着剤層との間に、少なくとも1層の中間層を有するものであってもよい。
【0099】
また、粘着体(例えば、粘着フィルム)は、基材の粘着剤層に対向する面とは反対の面側に、少なくとも1層の被覆層を有するものであってもよい。例えば、基材の粘着剤層に対向する面とは反対の面側は、印刷層が設けられていてもよい。また、印刷層との密着性を向上させるために、印刷用コート層等が設けられていてもよい。また、粘着フィルムの表面を保護する等の機能を有するコート層が設けられていてもよい。
【0100】
また、前述した実施形態では、粘着体が、フィルム状の基材を備え、粘着体全体としてのフィルム状をなす粘着フィルムである場合について代表的に説明したが、基材の形状、粘着体の形状は、フィルム状に限らず、いかなるものであってもよい。
【実施例】
【0101】
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(23℃)、相対湿度50%において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(23℃)における数値である。
【0102】
[1]粘着フィルムの製造
(実施例1)
表1に示すようなモノマー組成を有し、重量平均分子量が80万であるアクリル系共重合体(アクリル系粘着剤)と、エポキシ系架橋剤としてのテトラッドC(三菱ガス化学社製)と、オイル吸収材(多孔質体)としての多孔質シリカ(AGCエスアイテック社製、サンスフェアH−33)と、可塑剤としての下記式(4)で示される化合物と、溶媒としてのトルエンとを混合し、塗工液としての粘着剤組成物(再剥離型粘着剤組成物)を調製した。
【0103】
【化3】
【0104】
次に、ナイフコーターを用いて、乾燥後の厚さが25μmとなるように、上記の粘着剤組成物をグラシン製の剥離ライナー(剥離紙)上に塗工した。
【0105】
その後、100℃で2分間加熱することにより、溶媒を除去し、粘着剤層を形成した。
次に、この粘着剤層に、表面にコロナ処理が施された、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルム状の基材を貼り合せ、温度23℃、相対湿度50%の条件で1週間熟成して粘着剤層を架橋させることで、剥離ライナーで粘着剤層が保護された粘着フィルムを得た。膜厚は、マイクロゲージにて測定した。
【0106】
(実施例2〜4)
粘着剤の組成、粘着剤組成物の組成、粘着フィルムの構成を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを製造した。
【0107】
(比較例1)
粘着剤の組成、粘着剤組成物の組成、粘着フィルムの構成を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを製造した。
【0108】
前記各実施例および比較例の粘着フィルムの製造に用いた粘着剤(アクリル系共重合体)のモノマー構成、粘着剤組成物の組成、粘着フィルムの構成を表1にまとめて示した。
【0109】
なお、表1中、2−エチルヘキシルアクリレートをM1、デシルアクリレートをM2、テトラデシルアクリレートをM3、ブチルアクリレートをM4、アクリル酸をM5、2−ヒドロキシエチルアクリレートをM6、テトラッド−CをT−C、多孔質体としてのシリカ(AGCエスアイテック社製、サンスフェア H−33)をOA1、多孔質体としてのシリカ(東ソー・シリカ社製、NIPSIL NS−T)をOA2、多孔質体としてのメタクリル酸メチルクロスポリマーの中空多孔質球状微粒子(松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアー MHB−R)をOA3、上記式(4)で示される化合物をP1、ポリエチレンテレフタレートをPETで示した。
【0110】
【表1】
【0111】
[2]評価
<初期粘着力(オイルと接触していない状態における粘着力)>
前記各実施例および比較例の粘着フィルム(剥離ライナーで保護された状態の粘着フィルム)を、幅25mm×縦150mmの大きさに切断し、試験片とした。
【0112】
得られた試験片から剥離ライナーを剥離し、露出した粘着剤層をポリエチレンテレフタレートフィルムに接触させ、2kgロールで1往復圧着することにより、粘着フィルム(試験片)を密着させた。
【0113】
24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定し、以下の基準に従い評価した。A評価のものが再剥離型の粘着フィルムとして最適な粘着力であり、B、C、D、Eの順で、好ましい粘着力の範囲から離れていっている。
【0114】
A:粘着力(初期粘着力)が4N/25mm以上7N/25mm未満。
B:粘着力(初期粘着力)が3N/25mm以上4N/25mm未満(ただし、Aの範囲を除く)。
C:粘着力(初期粘着力)が2N/25mm以上3N/25mm未満(ただし、AおよびBの範囲を除く)。
D:粘着力(初期粘着力)が1N/25mm以上2N/25mm未満(ただし、A、BおよびCの範囲を除く)。
E:粘着力(初期粘着力)が1N/25mm未満または7N/25mm以上。
【0115】
<オイルと接触した後における粘着力>
前記各実施例および比較例の粘着フィルム(剥離ライナーで保護された状態の粘着フィルム)を、幅25mm×縦150mmの大きさに切断し、試験片とした。
【0116】
ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、ミネラルオイル(鉱物油)とシクロメチコン(シリコーンオイル)とを含むクレンジングオイルを2g/m
2で塗布した後、前記試験片から剥離ライナーを剥離し、露出した粘着剤層を接触させ、上記と同様にして圧着した。
【0117】
24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定し、以下の基準に従い評価した。
【0118】
A:粘着力(オイル接触後粘着力)が初期粘着力の75%以上である。
B:粘着力(オイル接触後粘着力)が初期粘着力の50%以上75%未満である。
C:粘着力(オイル接触後粘着力)が初期粘着力の25%以上50%未満である。
D:粘着力(オイル接触後粘着力)が初期粘着力の10%以上25%未満である。
E:粘着力(オイル接触後粘着力)が初期粘着力の10%未満である。
これらの結果を、表2にまとめて示す。
【0119】
【表2】
【0120】
表2から明らかなように、本発明では優れた結果が得られたのに対し、比較例では満足のいく結果が得られなかった。