特許第6872909号(P6872909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872909
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】試料管を持ち上げるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-2421(P2017-2421)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2017-129576(P2017-129576A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年11月6日
(31)【優先権主張番号】16152356.8
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】ベアト・ヤエッギ
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−099064(JP,U)
【文献】 実開平01−142861(JP,U)
【文献】 特開2013−152214(JP,A)
【文献】 特開2000−266755(JP,A)
【文献】 特開2014−145661(JP,A)
【文献】 特表2015−503089(JP,A)
【文献】 実開平03−119433(JP,U)
【文献】 実開平03−055186(JP,U)
【文献】 特表昭58−501145(JP,A)
【文献】 特表2013−501633(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/111526(WO,A1)
【文献】 中国実用新案第201133910(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
G01N 1/00− 1/44
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料管(2)を握持するための握持要素(30)を有するホルダ(3)と、互いに平行に長手方向に延在する一対のセンタリングジョー(40)を有するセンタリングツール(4)と、駆動システム(5)と、を備える、試料管(2)を持ち上げるためのデバイスにおいて、前記ホルダ(3)が、握持された試料管(2)を持ち上げおよび降下させるために下側ホルダ位置と上側ホルダ位置との間で垂直方向に移動可能となるように支持され、前記ホルダ(3)が、前記駆動システム(5)により、少なくとも、前記下側ホルダ位置から前記上側ホルダ位置へと移動可能である、デバイスにおいて、
前記ホルダ(3)を前記上側ホルダ位置へ移動させることにより、握持された試料管(2)が前記センタリングジョー(40)の間の位置まで持ち上げられ、前記センタリングジョーは、前記持ち上げられた試料管(2)を垂直方向の中心軸を基準として中央に配置するために、前記駆動システム(5)により、前記持ち上げられた試料管(2)を基準として互いに接近するように移動可能であり、
前記駆動システム(5)が、第1の中間スライド位置および第2の中間スライド位置を介して、下側スライド位置と上側スライド位置との間を往復式に垂直方向に移動可能となるように支持される第1のスライド(50)を備え、前記第1のスライド(50)は、前記下側スライド位置と前記第1の中間スライド位置との間で移動するときに、前記ホルダ(3)を前記下側ホルダ位置から前記上側ホルダ位置へと移動させるように前記ホルダ(3)と相互作用し、また、前記第2の中間スライド位置と前記上側スライド位置との間で移動するときに、前記センタリングツール(4)を始動するように前記センタリングツール(4)と相互作用する、ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記第1の中間スライド位置が前記第2の中間スライド位置と一致するか、または前記第2の中間スライド位置の下方にあり、その結果、前記下側スライド位置と、前記一致する中間位置または前記第1の中間スライド位置との間を移動するとき、前記第1のスライド(50)は、前記下側ホルダ位置から前記上側ホルダ位置へと前記ホルダ(3)を移動させるように前記ホルダ(3)のみと相互作用するようになり、また、前記一致する中間位置または前記第2の中間スライド位置と、前記上側ホルダ位置との間で移動するとき、前記第1のスライド(50)は、前記センタリングツール(4)を始動するように前記センタリングツール(4)のみと相互作用することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
ばね式圧力ピン(53)が設けられ、前記駆動システムが前記圧力ピンを介して前記センタリングツール(4)に駆動可能に結合され、限度の力に達すると、前記駆動システム(5)から前記センタリングツールへのモーション伝達が中断されることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記駆動システム(5)が前記第1のスライド(50)を駆動するためのベルト駆動装置(52)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ホルダ(3)が、垂直方向に移動可能に支持される第2のスライド(32)を備え、具体的には、前記第1のスライド(50)および前記第2のスライド(32)が共通の誘導レール(51)に沿って誘導されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のスライド(50)および前記第2のスライド(32)が、モーション伝達のために、弾性変形可能な要素により、具体的にはばね要素(34)により結合されることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ホルダ(3)がカラム(31)を備え、前記握持要素(30)が前記カラム(31)の上側端部に設けられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記握持要素(30)が、単一の試料管(2)を保持するように適合されたキャリア(20)を握持するように適合されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
試料管(2)を握持するための握持要素(30)を有するホルダ(3)と、互いに平行に長手方向に延在する一対のセンタリングジョー(40)を有するセンタリングツール(4)と、を備える、試料管(2)を持ち上げるためのデバイスにおいて、前記ホルダ(3)が、握持された試料管(2)を持ち上げおよび降下させるために下側ホルダ位置と上側ホルダ位置との間で垂直方向に移動可能となるように支持される、デバイスにおいて、
前記ホルダ(3)がカラム(31)を備え、
前記握持要素(30)が前記カラム(31)の上側端部に設けられ、
前記握持要素(30)が、単一の試料管(2)を保持するように適合されたキャリア(20)を握持するように適合され、
前記ホルダ(3)を前記上側ホルダ位置へ移動させることにより、握持された試料管(2)が前記センタリングジョー(40)の間の位置まで持ち上げられ、前記センタリングジョーは、前記持ち上げられた試料管(2)を垂直方向の中心軸を基準として中央に配置するために、前記持ち上げられた試料管(2)を基準として互いに接近するように移動可能である、ことを特徴とするデバイス
【請求項10】
前記センタリングジョー(40)の対向する表面が凹部(41)を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記センタリングジョー(40)が、一対の枢動可能なトング(42)に、具体的には垂直面内に配置された一対の枢動可能なトング(42)に90°の角度で固く取り付けられ、前記枢動可能なトング(42)が、前記センタリングジョー(40)を互いに接近させるように垂直方向に力を加えることにより水平軸を中心として枢動可能であり、それにより、前記持ち上げられた試料管(2)が前記垂直方向の中心軸を基準として中央に配置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ホルダ(3)の上方への移動を制限するための止め具(33)が設けられることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
試料管(2)を水平面内の動作位置まで搬送するための少なくとも1つのコンベヤデバイス(70)と、前記動作位置に位置決めされた前記試料管(2)を前記水平面から持ち上げるための、請求項1から12までのいずれか一項に記載のデバイスとを備える試料取り扱いデバイス
【請求項14】
複数の分析前ステーション、分析ステーションおよび/または分析後ステーション、請求項1から12までのいずれか一項に記載のデバイス、ならびに/あるいは請求項13に記載の試料取り扱いデバイス、を備えるラボラトリオートメーションシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラボラトリオートメーションシステム内で使用するための、試料管を持ち上げるためのデバイスに関する。本発明はさらに、試料取り扱いデバイス(sample handling device)、ならびに、試料管を持ち上げるためのデバイスおよび/または試料取り扱いデバイスを備えるラボラトリオートメーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラボラトリオートメーションシステムは、複数の分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションを備え、その中で、例えば、血液、唾液、スワブ、尿、および人体から取られる他の標本などの試料が処理される。一般に、試料を含む試料管を提供することが知られている。試料管は試験管とも称される。試料を処理するために、試料管が、ラボラトリオートメーションシステムの指定されるステーションまたは動作位置に分配される。
【0003】
数本の試料管が、取り扱いのためにいわゆるラック内に配置され得る。代替的な分配システムでは、試料管は、単一の試料管を保持するための保持領域を有するいわゆるパック(puck)内に直立姿勢つまり垂直姿勢で配置される。
【0004】
一部の前処理ステップまたは処理ステップでは、トランスポートレベルまたは搬送レベルから試料管を持ち上げることが必要となる。例えば、EP2253960A1が、持ち上げられた試料管のキャップに穴を開けることを目的として、または試料管の中に吸引プローブを入れることを目的として、個別の試料管を持ち上げて中央に配置するためのデバイスを開示する。試料管を中央に配置することは、キャップに穴を開けるためのまたは吸引プローブを入れるためのデバイスに設けられる受動的な面取り表面によって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP2253960A1
【特許文献2】WO2013/064665A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、構造が単純でかつ動作が確実であるような、持ち上げられた動作位置のところで試料管を正確に配置するのを可能にする、試料管を持ち上げるためのデバイスを提供することである。本発明の別の目的は、そのようなデバイスを備える、試料取り扱いデバイスおよび/またはラボラトリオートメーションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1又は請求項9の特徴部分を有する、試料管を持ち上げるためのデバイス、請求項13の特徴部分を有する試料取り扱いデバイス、および、請求項14の特徴部分を有するラボラトリオートメーションシステムによって達成される。好適な実施形態が従属請求項で定義される。
【0008】
第1の態様によると、試料管を握持する(hold)ための握持要素を有するホルダを備える、試料管を持ち上げるためのデバイスが提供され、ここでは、ホルダが、握持される試料管を持ち上げおよび降下させるために下側ホルダ位置と上側ホルダ位置との間で垂直方向に移動可能となるように支持され、このデバイスは、互いに平行に長手方向に延在する一対のセンタリングジョー(centering jaw)を有するセンタリングツールをさらに備え、ここでは、ホルダを上側位置へ移動させることにより、握持された試料管がセンタリングジョーの間の位置まで持ち上げられ、またここでは、センタリングジョーは、持ち上げられた試料管を垂直方向の中心軸を基準として中央に配置するために、持ち上げられた試料管を基準として互いに接近するように移動可能である。
【0009】
センタリングジョーを閉じることにより、試料管が、少なくともセンタリングジョーの長手方向に対して垂直な方向において、垂直軸を基準として中央に配置される。
実施形態では、センタリングジョーの対向する表面が凹部を備える。一実施形態の凹部はV形であり、また他の実施形態では、円の弧の形態の凹部も設けられる。凹部により、ジョーを閉じるときに、センタリングジョーの長手方向に平行な方向において試料管を中央に配置することが可能となる。
【0010】
一実施形態では、ジョーが、互いに接近するためにおよび互いから離れるために、水平面内で移動させられる。好適な実施形態では、ジョーが、一対の枢動可能なトングに、具体的には垂直面内に配置される一対の枢動可能なトングに90°の角度で固く取り付けられ、ここでは、枢動可能なトングが、ジョーを互いに接近させるように垂直方向に力を加えることにより水平軸を中心として枢動可能であり、それにより、持ち上げられた試料管が垂直方向の中心軸を基準として中央に配置される。このようにして、センタリングツールを開けるかまたは閉じることにより、ジョーが垂直方向および水平方向において円形経路に沿って移動させられるようになる。
【0011】
好適な実施形態では、1つの駆動システムが提供され、ここでは、ホルダが、駆動システムにより、少なくとも、下側ホルダ位置から上側ホルダ位置へと移動可能であり、またここでは、センタリングジョーが、垂直方向の中心軸を基準として持ち上げられた試料管を中央に配置するために、駆動システムにより、持ち上げられた試料管を基準として移動可能である。一実施形態では、ホルダが駆動システムにより下側位置から上側位置へと移動させられ、重力および/または戻しばねを使用することにより下側位置に戻される。好適な実施形態では、ホルダおよびジョー両方の往復の移動が駆動システムによって行われる。
【0012】
一実施形態の駆動システムは、第1の中間スライド位置および第2の中間スライド位置を介して、下側スライド位置と上側スライド位置との間を往復式に垂直方向に移動可能となるように支持される第1のスライドを備え、ここでは、第1のスライドは、下側スライド位置と第1の中間スライド位置との間で移動するときに、ホルダを下側ホルダ位置から上側ホルダ位置へと移動させるようにホルダと相互作用し、また、第2の中間スライド位置と上側スライド位置との間で移動するときに、センタリングツールを始動するようにセンタリングツールと相互作用する。この駆動装置が、第1のスライドの垂直方向の運動を、持ち上げられた試料管に向かうセンタリングジョーの運動および持ち上げられた試料管から離れるセンタリングジョーの運動へと変換するための連結システムを備える。一実施形態では、第2の中間スライド位置は、第1の中間スライドより下側位置に近く、ここでは、試料管がその最終的な持ち上げ位置にくる前に、センタリングジョーが互いに接近し始める。
【0013】
好適な実施形態では、第1の中間スライド位置は第2の中間スライド位置と一致するか、または第2の中間位置の下方にあり、その結果、下側スライド位置と、その一致する中間位置または第1の中間位置との間を移動するとき、第1のスライドは、下側ホルダ位置から上側ホルダ位置へとホルダを移動させるようにホルダのみと相互作用するようになり、また、その一致する中間位置または第2の中間位置と、上側ホルダ位置との間で移動するとき、第1のスライドは、センタリングツールを始動するようにセンタリングツールのみと相互作用する。
【0014】
ラボラトリオートメーションシステムでは、多様な直径の試料管が処理される。したがって、センタリングジョーの運動は、小さい直径を有する試料管を中央に配置するために、および、大きい直径を有する試料管にダメージを与えるのを回避するために、ジョーを十分に閉じるのを可能にするように選択される。一実施形態では、ばね式圧力ピンが設けられ、ここでは、駆動システムが圧力ピンを介してセンタリングツールに駆動可能に結合され、限度の力に達すると、駆動システムからセンタリングツールへのモーション伝達が中断される。こうすることにより、限度の力に達したときに、センタリングジョーが互いに接近するようにそれ以上駆動されなくなり、それにより、大きい直径を有する試料管のダメージが回避される。
【0015】
駆動システムは、一実施形態で、第1のスライドを駆動するためのベルト駆動装置を備える。
ホルダは、好適な実施形態では、垂直方向に移動可能に支持される第2のスライドを備え、ここでは具体的には、第1のスライドおよび第2のスライドが共通の誘導レールに沿って誘導される。好適には、第1のスライドおよび第2のスライドは、モーション伝達のために、弾性変形可能な要素により、具体的にはばね要素により結合される。弾性変形可能な要素により、限度値に達したときにモーション伝達を中断することが可能となり、ここでは、弾性変形可能な要素が変形することにより、第1のスライドが第2のスライドに対して移動させられる。復元力は、通常の条件下で下側位置から上側位置へとホルダを移動させるときに、変形するのを回避するかまたは制限するのに十分な大きさとなるように選択される。
【0016】
好適には、ホルダの上方への移動を制限するための止め具が設けられる。具体的には第2のスライドであるホルダが止め具に当接されると、復元力よりも大きい力が弾性変形可能な要素に作用し、第1のスライドのモーションが第2のスライドに伝達されなくなる。
【0017】
いくつかの実施形態のデバイスは、少なくとも部分的に、試料管が搬送される水平面の下方に配置される。一実施形態では、ホルダがカラムを備え、ここでは、握持要素がカラムの上側端部に設けられる。
【0018】
このデバイスは、いわゆるパックである、単一の試料管を保持する試料管キャリアを使用するラボラトリオートメーションシステムに特に適する。したがって、一実施形態では、握持要素が、単一の試料管を保持するように適合されたキャリアを握持するように適合される。
【0019】
第2の態様によると、試料管を水平面内の動作位置まで搬送するための少なくとも1つのコンベヤデバイスと、動作位置に位置決めされた試料管を水平面から持ち上げるためのデバイスとを備える試料取り扱いデバイスが提供される。試料管が、例えば試料管をピペット操作するためにおよび/または試料管を第2のデバイスに受け渡すために、具体的にはパック内に配置されているときに動作位置まで移送されて動作位置において持ち上げられる。例えば、ベルトコンベヤ、スクリュコンベヤ、星形車コンベヤ、移送面と、移送面の下方に配置される動かない多数の電磁アクチュエータとを備えるコンベヤデバイス、または、それらの組合せなどの多様な種類のコンベヤデバイスが考えられ、ここでの電磁アクチュエータは試料管キャリアを移動させるように適合される。
【0020】
第3の態様によると、複数の分析前ステーション、分析ステーションおよび/または分析後ステーション、試料管を持ち上げるためのデバイス、ならびに/あるいは、試料取り扱いデバイス、を備えるラボラトリオートメーションシステムが提供される。
【0021】
以下では、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面全体を通して、同様の要素が同じ参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】試料管を持ち上げるためのデバイスの第1の実施形態を示す斜視図である。
図2】試料管を持ち上げる前の、試料管を備える図1のデバイスを示す斜視図である。
図3】試料管を持ち上げているときの、試料管を備える図1のデバイスを示す斜視図である。
図4】試料管を持ち上げて中央に配置した後の、試料管を備える図1のデバイスを示す斜視図である。
図5図1のデバイスを備える試料取り扱いデバイスを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、試料管2(図1には示されないことから、図2を参照されたい)を持ち上げるためのデバイス1を概略斜視図で示す。デバイス1が、ホルダ3、センタリングツール4、駆動システム5、およびピラー6を備える。
【0024】
ピラー6は上側要素60および下側要素62を備え、これらが、結合要素(図1に破線で示される)により定位置で固定されて接続される。上側要素60および下側要素62は、一実施形態では、結合要素として機能する分配システムのトランスポート面または土台によって定位置で固定されて接続される。他の実施形態では、結合要素が、デバイス1のための設置構成要素として機能する。別の実施形態では、上側要素および下側要素が一部品として作られる。
【0025】
センタリングツール4が、互いに平行に長手方向400に延在する一対のセンタリングジョー40を有し、ここでは、ジョー40を互いに接近させるように移動させることにより、言い換えると、センタリングジョー40を閉じることにより、センタリングジョー40の間に配置される試料管が、長手方向400に対して垂直な方向において垂直方向の中心軸を基準として中央に配置される。センタリングジョー40は、対向する表面に凹部41を備え、これにより、ジョー40を閉じるときにセンタリングジョー40の長手方向400に平行な方向においても試料管を中央に配置することが可能となる。
【0026】
描かれるセンタリングツール4は、垂直面内に配置された一対の枢動可能なトング42を備える連結システムをさらに装備し、各枢動可能なトング42は、一方の端部において、水平軸を中心としてピラー6の上側要素60まで枢動可能となるように設置されるピボットジョイント43のところにある。センタリングジョー40が枢動可能なトング42のもう一方の端部に固く取り付けられ、ここでは、センタリングジョー40が枢動可能なトング43から延在し、それらの長手方向400が垂直面に対して90°の角度である。連結システムは、垂直方向に延在して溝穴45のところで2つのトング42に取り付けられるロッド44をさらに備える。ロッド44は、上側要素60を基準として垂直方向に移動可能である。一実施形態では、上側要素60がロッド44のための誘導要素として機能する。ロッド44を上方に移動させることにより、枢動可能なトング42が互いに向かって枢動させられ、センタリングジョー40がやはり互いに接近し、センタリングジョー40の間に配置される試料管を中央に配置するために円形経路に沿って移動する。
【0027】
駆動システム5は、誘導レール51に沿って摺動可能となるようにピラー6の下側要素62に設置される第1のスライド50と、第1のスライド50を駆動するためのベルト駆動装置52とを備える。第1のスライド50は、後でより詳細に説明するように、ばね式圧力ピン53を介するモーション伝達のためにロッド44に接触する。スライド50の下側への移動が止め具55によって制限される。
【0028】
ホルダ3は、試料管2を握持するための握持要素30を有する。描かれる実施形態では、握持要素30は120°でオフセットされた3つのフィンガであり、ここでは、試料管キャリア20(図2を参照)内で保持される試料管2がフィンガの間で維持され、このキャリア20は単一の試料管2を受け取るように適合される。
【0029】
ホルダ3は、第2のスライド32と、第2のスライド32上に配置されるカラム31とをさらに備え、ここでは、握持要素30がカラム31の上側自由端部に設けられる。第2のスライド32がやはり、誘導レール51に沿って摺動可能となるようにピラー6の下側要素62に設置される。第2のスライド32を上方に移動させることにより、ホルダ3により、より具体的には握持要素30により握持された試料管2が定位置へ持ち上げられ、ここでは、試料管の上側端部がセンタリングジョー40の上方に延在し、試料管2の一部分がセンタリングジョー40の間に配置される。第2のスライド32の上方への移動が止め具33によって制限される。
【0030】
第2のスライド32は、ばね要素34を介するモーション伝達のために第1のスライド50に結合される。ばね要素34、より具体的にはその復元力は、図1に示される下側スライド位置から上方に第1のスライド50を最初に移動させるときに、ばね要素34を変形させないかまたはわずかにのみ変形させるように、かつ、第1のスライド50のモーションを第2のスライド32に移送するように、構成される。止め具33に達すると、第2のスライド32がさらに上方に移動されることが妨害され、駆動システム5が停止されない限り、ばね要素34の変形下で、第1のスライド50が第2のスライド32を基準として移動される。
【0031】
以下で、図2から図4を参照してデバイス1の動作をさらに詳細に説明する。
図2に示されるように、試料管2がキャリア20内で保持され、例えばコンベヤデバイスによりホルダ3の上方に位置決めされる。この位置で試料管2を備えるキャリア20を支持するために、支持プレートなど(図2には示されない)が設けられる。試料管2を持ち上げるために、駆動システム5が、図2に示される下側スライド位置から上方に第1のスライド50を移動させるように操作され、ここでは、図3に示されるように、第1のスライド50のモーションが第2のスライド32に移送され、試料管2が持ち上げられ、ここでは、その上側端部がセンタリングジョー40の上方に延在し、試料管2の一部分がセンタリングジョー40の間に位置決めされる。
【0032】
図4に示されるように第2のスライド32が止め具33に達すると、モーションが第2のスライド32に移送されなくなり、ばね要素34が圧縮される。第2のスライド32が制限止め具33に達するときの第1のスライド50の位置は、第1の中間スライド位置と称される。
【0033】
また、上方に移動するときに、第1のスライド50が圧力ピン53を介して最終的にロッド44に接触し、第1のスライド50のモーションがロッド44に移送され、それによりセンタリングジョー40が互いに接近する。圧力ピン53がロッド44に接触してセンタリングツール4へのモーション伝達が開始されるときの第1のスライド50の位置は、第2の中間スライド位置と称される。第1および第2の中間位置は一致してもよい。
【0034】
多様なサイズの、つまり、多様な直径および多様な長さの試料管2が取り扱われ得る。したがって、ジョー40を閉じるときに多様な直径の試料管2がダメージを受けるのを回避するために、ばね式圧力ピン53が設けられる。センタリングジョー40のところの反作用力が閾値を超えると、圧力ピン53のばねが圧縮され、第1のスライド50からロッド44へのモーション伝達が停止される。さらに、カラム31の上側端部およびひいてはキャリア20の下側支持領域と、センタリングジョー40との間の距離は、第2のスライド32が制限止め具33に達したときに短い試料管2の上側端部がセンタリングジョー40の間に配置されるような位置に達するように、選択される。図4で分かるように、平均的な長さを有する試料管2は、中央に配置するときに中央領域においてセンタリングジョー40に接触される。
【0035】
図5は、図1から図4に示されるデバイス1を備える試料取り扱いデバイス7の上面図である。図5に示される試料取り扱いデバイス7は、回転ディスク72を備えるカルーセル70を備え、ここでは、ディスク72の回転により、試料管2を保持するキャリア20(図5には示されない)または空のキャリア20が動作ステーションまで搬送され得る。ホルダ3がコンベヤの支持プレート73の下方に配置される下側位置にあり、コンベヤの上でキャリア20が摺動可能に移動させられる。図5に示されるように、支持プレート73は、デバイス1のホルダ3を、上方に移動させるときに、キャリア20に接触させるのを可能にする切欠部74を装備する。センタリングジョー40を備えるセンタリングツール4が支持プレート73の上方に配置される。
【0036】
カルーセル70の代替としてまたはカルーセル70に加えて、一実施形態の試料取り扱いデバイス7はトランスポート面を備え、ここでは、多数の電磁アクチュエータがトランスポート面の下方に動かないように配置され、またここでは、電磁アクチュエータが、上記試料管キャリア20に磁力を加えることにより、試料管2と共にまたは上記トランスポート面の上が空の状態で試料管キャリア20を移動させるように適合される。このようなシステムは例えばWO2013/064665A1に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5