特許第6872922号(P6872922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872922
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】三次元積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20210510BHJP
   B29C 64/371 20170101ALI20210510BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210510BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210510BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20210510BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B29C64/153
   B29C64/371
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B22F3/105
   B22F3/16
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-23511(P2017-23511)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-126985(P2018-126985A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原口 英剛
(72)【発明者】
【氏名】谷川 秀次
(72)【発明者】
【氏名】北村 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏介
(72)【発明者】
【氏名】種池 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大原 利信
【審査官】 西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−527101(JP,A)
【文献】 特開2015−078434(JP,A)
【文献】 特表2016−528374(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/208553(WO,A1)
【文献】 特開2004−277878(JP,A)
【文献】 特開2014−201068(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/034393(WO,A1)
【文献】 特開2018−127710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/153
B22F 3/105
B22F 3/16
B29C 64/371
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するためのビーム照射ユニットと、
前記粉末層上にガス流れを形成するためのガス流れ形成ユニットと、
を備え、
前記ビーム照射ユニットは、前記ガス流れの流れ方向において互いに異なる位置に設けられた複数のスキャナを含み、
前記ビーム照射ユニットを制御するコントローラを更に備え、
前記ベースプレートは、前記複数のスキャナにそれぞれ対応するように前記ガス流れの流れ方向に沿って配列された複数の造形可能領域を含み、
前記コントローラは、前記複数のスキャナによって前記造形可能領域の各々に対して前記ビームを走査するよう構成され、
前記コントローラは、前記複数のスキャナによって前記造形可能領域の各々に対して前記ビームを同時に照射する同時照射モードを実行可能に構成され、
前記コントローラは、前記同時照射モードを実行する場合に、前記複数のスキャナのうち前記流れ方向の上流側のスキャナによる前記ビームの照射位置から生じたヒュームが前記ガス流れによって下流側に流れても、下流側のスキャナのビームが当該ヒュームから影響を受けにくくなるように、前記複数の造形可能領域に対して前記流れ方向に直交する方向において互いに異なる位置に前記ビームを照射するように前記複数のスキャナを制御するよう構成された、三次元積層造形装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記同時照射モードを実行する場合に、前記複数の造形可能領域に対して前記流れ方向に直交する方向において同一位置に前記ビームを照射しないように前記複数のスキャナを制御するよう構成された、請求項1に記載の三次元積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末層にビーム(例えばレーザビーム又は電子ビーム)を照射して粉末層を選択的に固化する三次元積層造形方法が知られている。この種の三次元積層造形方法では、粉末層にビームを照射して粉末を焼結又は溶融により固化させる際に、ヒュームと呼ばれる煙状の物質がビーム照射位置から発生する。ヒュームは、粉末層が金属粉末からなる場合に顕著に発生するが、粉末層が樹脂粉末等からなる場合にも発生する。
【0003】
ヒュームがビームの経路を遮ると、ビームのエネルギー量が低下したり、ビーム形状が変形することがある。また、ビームのエネルギー量が低下すると、造形品質に影響し、強度不足や形状精度の低下生じる恐れがある。
【0004】
特許文献1には、ヒュームによるビームの遮りを防止するために、チャンバ内に入射したビームの経路から離れた位置に局所的なガス流れを形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5653358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるようにビームの経路から離れた位置に局所的なガス流れを形成したとしても、ビーム照射位置の近傍に存する発生直後のヒュームによってビームの経路が遮られると、ビームのエネルギー量が低下したり、ビーム形状が変形することがある。このため、依然として、ヒュームに起因して造形品質の低下が生じる恐れがあった。
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制可能な三次元積層造形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置は、ベースプレートと、
前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するためのビーム照射ユニットと、前記粉末層上にガス流れを形成するためのガス流れ形成ユニットと、を備え、前記ビーム照射ユニットは、前記ガス流れの流れ方向において互いに異なる位置に設けられた2台以上の複数のスキャナを含む。
【0009】
本願発明者の鋭意検討の結果、ガス流れの流れ方向における下流側からビームを照射する場合、鉛直方向に対するビームの照射角が相対的に大きい場合と比較して、鉛直方向に対するビームの照射角が相対的に小さい場合の方が、ビームがヒュームに遮られにくく、ビームに対するヒュームの影響が小さくなる傾向があることが明らかとなった。
【0010】
そこで、上記(1)に記載の三次元積層造形装置では、上記のように、ガス流れの流れ方向における互いに異なる位置に複数のスキャナを設けている。かかる構成では、一つのスキャナによってベースプレート上の造形可能領域全体を走査する場合と比較して、造形可能領域の面積をガス流れの流れ方向に分割して、ガス流れの流れ方向において一個のスキャナが走査する範囲を狭くすることができる。このため、一つのスキャナによってベースプレート上の造形可能領域全体を走査する場合と比較して、鉛直方向に対するビームの照射角を小さくすることができる。
【0011】
これにより、ビームがヒュームに遮られにくくなり、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。したがって、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0012】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の三次元積層造形装置において、前記ビーム照射ユニットを制御するコントローラを更に備え、前記ベースプレートは、前記複数のスキャナにそれぞれ対応するように前記ガス流れの流れ方向に沿って配列された複数の造形可能領域を含み、前記コントローラは、前記複数のスキャナによって前記造形可能領域の各々に対して前記ビームを走査するよう構成される。
【0013】
上記(2)に記載の三次元積層造形装置によれば、一つのスキャナによってベースプレート上の造形可能領域全体を走査する場合と比較して、コントローラの制御によって造形可能領域の面積をガス流れの流れ方向に分割して、ガス流れの流れ方向において一個のスキャナが走査する範囲を狭くすることができる。このため、一つのスキャナによってベースプレート上の造形可能領域全体を走査する場合と比較して、鉛直方向に対するビームの照射角を小さくすることができる。
【0014】
これにより、ビームがヒュームに遮られにくくなり、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。したがって、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0015】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の三次元積層造形装置において、前記コントローラは、前記複数のスキャナによって前記造形可能領域の各々に対して前記ビームを同時に照射する同時照射モードを実行可能に構成される。
【0016】
上記(3)に記載の三次元積層造形装置によれば、三次元積層造形装置における造形処理のスループットを向上することができる。なお、コントローラは、同時照射モードを実行せずに、スキャナ毎に個別のタイミングでビームの照射を実行させてもよい。すなわち、コントローラは、1つのスキャナによるビームの照射の終了後に他のスキャナにビームの照射を実行させてもよい。
【0017】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の三次元積層造形装置において、前記コントローラは、前記同時照射モードを実行する場合に、前記複数の造形可能領域に対して前記流れ方向に直交する方向において互いに異なる位置に照射するように前記スキャナを制御するよう構成される。
【0018】
上記同時照射モードを実行する場合において、複数の造形可能領域に対して、ガス流れの流れ方向に直交する方向において同一位置にビームを照射する場合ガス流れの流れ方向において上流側のスキャナによるビームの照射位置から生じたヒュームは、ガス流れによって下流側に流れて、下流側のスキャナからのビームを遮ってしまう。
【0019】
この点、上記(4)に記載の三次元積層造形装置によれば、上記のように、同時照射モードを実行する場合に、複数の造形可能領域に対して、ガス流れの流れ方向に直交する方向において互いに異なる位置にビームを照射することにより、上流側のスキャナによるビームの照射位置から生じたヒュームがガス流れによって下流側に流れても、下流側のスキャナのビームが当該ヒュームから影響を受けにくくなる。したがって、ヒューム16に起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0020】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形方法は、三次元積層造形装置のベースプレート上の粉末層にビームを照射して選択的に固化する三次元積層造形方法において、前記ベースプレート上に上流から下流に向かうガス流れを形成するステップと、第一のスキャナを通して照射するビームの位置と、第二のスキャナを通して照射するレーザの位置とが異なるように各ビームの照射位置を決定するステップと、前記第一のスキャナは、前記ベースプレート上の前記ガス流れの上流側の造形可能領域にレーザを照射するステップと、前記第二のスキャナは、前記ベースプレート上の前記ガス流れの下流側の造形可能領域にレーザを照射するステップと、を備える。
【0021】
上記(5)に記載の三次元積層造形方法によれば、第一のスキャナ及び第二のスキャナによって適切な位置から各造形可能領域にビームを照射することでビームに対するヒュームの影響を低減することができる。したがって、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0022】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の三次元積層造形方法において、前記上流側の造形可能領域と前記下流側の造形可能領域の両方にビームを照射する領域がまたがるか判定するステップと、前記第一のスキャナか前記第二のスキャナのどちらかを選択するステップと、前記上流側の造形可能領域と前記下流側の造形可能領域の両方にビームを照射する領域がまたがると判定した場合に、選択された前記スキャナが、前記上流側の造形可能領域と前記下流側の造形可能領域のうち該スキャナに対応する本来の造形可能領域に隣接する造形可能領域にレーザを照射するステップと、をさらに備える。
【0023】
上記(6)に記載の三次元積層造形方法によれば、第一のスキャナ及び第二のスキャナによって適切な位置から上流側の造形可能領域と下流側の造形可能領域とにまたがってビームを照射することでビームに対するヒュームの影響を低減することができる。なお、上記(6)において、第一のスキャナか第二のスキャナのどちらかを選択するステップで第一のスキャナが選択された場合には、上記「本来の造形可能領域」とは上流側の造形可能領域を意味し、「本来の造形可能領域に隣接する造形可能領域」とは下流側の造形可能領域を意味する。また、第一のスキャナか第二のスキャナのどちらかを選択するステップで第二のスキャナが選択された場合には、上記「本来の造形可能領域」とは下流側の造形可能領域を意味し、「本来の造形可能領域に隣接する造形可能領域」とは上流側の造形可能領域を意味する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制可能な三次元積層造形装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る三次元積層造形装置2の概略構成を示す模式図である。
図2】一実施形態に係る三次元積層造形装置2の概略構成を示す模式図である。
図3】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
図4】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
図5】比較例1に係る三次元積層造形装置の概略構成を示す模式図である。
図6】一実施形態に係る三次元積層造形装置の概略構成を示す模式図である。
図7】比較例2に係る三次元積層造形装置の概略構成を示す模式図である。
図8】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0027】
図1は、一実施形態に係る三次元積層造形装置2の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、三次元積層造形装置2は、ベースプレート4と、ベースプレート4上に形成された粉末層6を選択的に固化するように粉末層6にレーザビーム8を照射するためのレーザビーム照射ユニット10と、粉末層6上にガス流れFを形成するためのガス流れ形成ユニット12と、レーザビーム照射ユニット10及びガス流れ形成ユニット12を制御するコントローラ20とを備える。ガス流れ形成ユニット12は、例えばポンプ等によって粉末層6上に一方向のガス流れFを形成するように構成されている。
【0028】
図2に示すように、レーザビーム照射ユニット10は、ガス流れFの流れ方向において互いに異なる位置に設けられた複数のレーザスキャナ14(14A,14B)を含む。図示する例示的形態では、複数のレーザスキャナ14(14A,14B)の各々は、ガルバノミラーとして構成されている。また、ベースプレート4は、複数のレーザスキャナ14(14A,14B)にそれぞれ対応するようにガス流れFの流れ方向に沿って配列された複数の造形可能領域S1,S2を含む。
【0029】
コントローラ20は、複数のレーザスキャナ14によって造形可能領域S1,S2の各々に対してレーザビーム8を走査するよう構成されている。すなわち、レーザスキャナ14Aは、造形可能領域S1に対してのみレーザビーム8を走査し、造形可能領域S2に対してレーザビーム8を走査しない。また、レーザスキャナ14Bは、造形可能領域S2に対してのみレーザビーム8を走査し、造形可能領域S1に対してレーザビーム8を走査しない。ただし、造形可能領域S1と造形可能領域S2とは、ガス流れFの流れ方向におけるベースプレート4の中央付近において部分的にオーバーラップしていてもよい。
【0030】
本願発明者の鋭意検討の結果、ガス流れFの流れ方向における下流側からレーザビーム8を照射する場合、鉛直方向に対するレーザビーム8の照射角θが相対的に大きい場合(図4参照)と比較して、当該照射角θが相対的に小さい場合(図3参照)の方が、レーザビーム8がヒューム16に遮られにくく、レーザビーム8に対するヒューム16の影響が小さくなる傾向があることが明らかとなった。
【0031】
そこで、三次元積層造形装置2では、上述のように、ベースプレート4上の造形可能領域Sを複数の造形可能領域S1,S2に分割して、複数の造形可能領域S1,S2にそれぞれ対応して、ガス流れFの流れ方向における互いに異なる位置に複数のレーザスキャナ14(14A,14B)を設けている。
【0032】
かかる構成では、一つのレーザスキャナ14によってベースプレート上の造形可能領域S全体を走査する場合(図5参照)と比較して、図2に示すように、造形可能領域Sの面積をガス流れFの流れ方向に分割して、ガス流れFの流れ方向において一個のレーザスキャナ14が走査する範囲を狭くすることができる。このため、一つのレーザスキャナ14によってベースプレート4上の造形可能領域S全体を走査する場合(図5参照)と比較して、鉛直方向に対するレーザビーム8の照射角θを小さくすることができる。
【0033】
これにより、レーザビーム8がヒューム16に遮られにくくなり、レーザビーム8に対するヒューム16の影響を低減することができる。したがって、ヒューム16に起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0034】
一実施形態では、コントローラ20は、図2に示すように、複数のレーザスキャナ14(14A,14B)によって造形可能領域S1、S2の各々に対してレーザビーム8を同時に照射する同時照射モードを実行可能に構成されている。これにより、三次元積層造形装置2における造形処理のスループットを向上することができる。
【0035】
一実施形態では、コントローラ20は、同時照射モードを実行する場合に、図6に示すように、複数の造形可能領域S1,S2に対して、ガス流れFの流れ方向に直交する方向dにおいて互いに異なる位置PA,PBにレーザビーム8を照射するように、レーザビーム照射ユニット10を制御するよう構成されている。
【0036】
上記同時照射モードを実行する場合において、複数の造形可能領域S1,S2に対して、ガス流れFの流れ方向に直交する方向dにおいて同一位置にレーザビーム8を照射する場合(図7参照)、ガス流れFの流れ方向において上流側のレーザスキャナ14(14B)によるレーザビーム8の照射位置PBから生じたヒューム16は、ガス流れFによって下流側に流れて、レーザスキャナ14(14A)からのレーザビーム8を遮ってしまう。
【0037】
この点、上記のように、同時照射モードを実行する場合に、複数の造形可能領域S1,S2に対して、ガス流れFの流れ方向に直交する方向において互いに異なる位置PA,PBにレーザビーム8を照射することにより、図8に示すように、上流側のレーザスキャナ14(14B)によるレーザビーム8の照射位置PBから生じたヒューム16がガス流れFによって下流側に流れても、下流側のレーザスキャナ14(14A)のレーザビーム8が当該ヒューム16から影響を受けにくくなる。したがって、ヒューム16に起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0038】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、ビームとしてレーザビーム(光ビーム)を用いる形態を例示したが、ビームはこれに限らず、例えば電子ビームであってもよい。この場合、スキャナとして電子レンズが用いられる。
【符号の説明】
【0040】
2 三次元積層造形装置
4 ベースプレート
6 粉末層
8 レーザビーム
10 レーザビーム照射ユニット
12 ガス流れ形成ユニット
14(14A,14B) レーザスキャナ
16 ヒューム
20 コントローラ
100 可変容量型ターボチャージャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8