特許第6872933号(P6872933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許6872933-半導体装置 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872933
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20210510BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01L29/78 657A
   H01L29/78 653A
   H01L27/06 102A
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-38661(P2017-38661)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-147935(P2018-147935A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆司
(72)【発明者】
【氏名】副島 成雅
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
(72)【発明者】
【氏名】合田 健太
(72)【発明者】
【氏名】原田 峻丞
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−026279(JP,A)
【文献】 特開2003−101039(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0067033(US,A1)
【文献】 特開平08−088354(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/142331(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0340356(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104981903(CN,A)
【文献】 特開平08−236709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/8234
H01L 27/06
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
機能構造が設けられている素子部と終端耐圧構造が設けられている周辺部に区画されている半導体基板と、
前記周辺部に対応する前記半導体基板上に設けられている分離絶縁膜と、
前記素子部に対応する前記半導体基板上に設けられている表面電極と、
前記表面電極に接するとともに前記素子部から離れる方向に沿って前記分離絶縁膜上の一部に延設されているフィールドプレート電極と、
前記フィールドプレート電極上に設けられている温度センス部と、を備える半導体装置。
【請求項2】
前記温度センス部は、
前記フィールドプレート電極上に設けられている絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられている第1導電型のアノード領域と、
前記絶縁層上に設けられており、前記アノード領域に接する第2導電型のカソード領域と、を有する請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、温度センス部を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体基板上に設けられた温度センス部を備える半導体装置を開示する。温度センス部は、pnダイオードとして構成されており、pnダイオードの順方向電圧の温度依存性を利用して半導体装置の温度を検出するように構成されている。
【0003】
特許文献1は、半導体基板の電位変動によって温度センス部の温度検出精度が悪化するのを抑えるために、半導体基板と温度センス部の間に導電層を介在させる技術を開示する。導電層は、所定の電位(例えば、ソース電位)に固定される。これにより、半導体基板の電位変動に追随して温度センス部の電位が変動することが抑えられ、温度センス部の温度検出精度が安定するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−26279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、導電層を形成するための領域をチップ内に確保した上で、その導電層上に温度センス部を配置している。このため、チップ面積の増大が問題となる。本明細書は、チップ面積の増大を抑えながら、温度検出精度が安定した温度センス部を備える半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する半導体装置としては、特に限定されるものではないが、例えばダイオード、MOSFET又はIGBTが例示される。半導体装置は、半導体基板、分離絶縁膜、表面電極、フィールドプレート電極及び温度センス部を備えることができる。半導体基板は、機能構造が設けられている素子部と終端耐圧構造が設けられている周辺部に区画されている。半導体基板の材料としては、特に限定されるものではないが、シリコン、炭化珪素又は窒化物半導体が例示される。機能構造としては、特に限定されるものではないが、MOS構造が例示される。周辺耐圧構造としては、特に限定されるものではないが、ガードリング構造又はリサーフ構造が例示される。分離絶縁膜は、周辺部に対応する半導体基板上に設けられている。表面電極は、素子部に対応する半導体基板上に設けられている。フィールドプレート電極は、表面電極に接するとともに素子部から離れる方向に沿って分離絶縁膜上の一部に延設されている。温度センス部は、フィールドプレート電極上に設けられている。この半導体装置では、温度センス部がフィールドプレート電極上に設けられているので、温度センス部に対して専用の導電層を設ける必要がない。このため、チップ面積の増大が抑えられる。さらに、必要に応じて、素子部の周囲を一巡して延設されているフィールドプレート電極の全周に沿って温度センス部を形成することができ、この場合、温度センス部の検出感度が向上することができる。また、フィールドプレート電極は、表面電極に接しており、その電位が固定されている。このため、半導体基板の電位変動に追随して温度センス部の電位が変動することが抑えられ、温度センス部の温度検出精度が安定する。さらに、フィールドプレート電極が表面電極に接しているので、素子部で発生した熱が表面電極及びフィールドプレート電極を介して温度センス部に素早く伝熱される。これにより、温度センス部は、応答性良く温度を検出することができる。
【0007】
温度センス部は、絶縁層と第1導電型のアノード領域と第2導電型のカソード領域を有していてもよい。絶縁層は、フィールドプレート電極上に設けられている。アノード領域は、絶縁層上に設けられている。カソード領域は、絶縁層上に設けられており、アノード領域に接する。この温度センス部は、pnダイオードとして構成されており、pnダイオードの順方向電圧の温度依存性を利用して半導体装置の温度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】半導体装置の要部断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、半導体装置1は、シリコン単結晶からなる半導体基板10を備える。半導体基板10は、MOS構造が設けられている素子部10Aと終端耐圧構造が設けられている周辺部10Bに区画されている。周辺部10Bは、半導体基板10の表面に対して直交する方向から観測したときに(以下、「平面視したときに」という)、素子部10Aの周囲を一巡するように配置されている。なお、素子部10Aは、後述するボディ領域13が存在する範囲として特定される。このため、素子部10Aと周辺部10Bの境界は、ボディ領域13の側面の位置に対応する。
【0010】
半導体装置1は、ドレイン電極2、ソース電極3及びトレンチゲート4を備える。ドレイン電極2は、素子部10A及び周辺部10Bの双方に対応する範囲の半導体基板10の裏面に接触する。ソース電極3は、素子部10Aに対応する範囲の半導体基板10の表面に接触する。トレンチゲート4は、素子部10Aに対応する範囲の半導体基板10の表層部に形成されているゲートトレンチ内に設けられている。図1では、1つのトレンチゲート4のみが図示されているが、実際には、複数のトレンチゲート4が素子部10Aに設けられている。それらトレンチゲート4は、半導体基板10を平面視したときに、例えばストライプ状又は格子状のレイアウトを有する。なお、ソース電極3は、本明細書が開示する「表面電極」の一例である。
【0011】
半導体基板10は、n+型のドレイン領域11、n型のドリフト領域12、p+型のボディ領域13、n+型のソース領域14、p++型のボディコンタクト領域15、p型のリサーフ領域17及びn+型の終端等電位領域18を有する。
【0012】
ドレイン領域11は、素子部10A及び周辺部10Bの双方に対応する範囲の半導体基板10の裏層部に設けられている。ドレイン領域11は、半導体基板10の裏面に露出しており、ドレイン電極2にオーミック接触する。
【0013】
ドリフト領域12は、素子部10A及び周辺部10Bの双方に対応する範囲の半導体基板10内に設けられており、ドレイン領域11上に配置されている。ドリフト領域12は、素子部10Aにおいて、ドレイン領域11とボディ領域13の間に配置されて両者を隔てており、ドレイン領域11とボディ領域13に接触する。ドリフト領域12は、周辺部10Bにおいて、ドレイン領域11とリサーフ領域17の間に配置されて両者を隔てており、ドレイン領域11と終端等電位領域18の間に配置されて両者を隔てており、ドレイン領域11とリサーフ領域17と終端等電位領域18に接触する。
【0014】
ボディ領域13は、素子部10Aに対応する範囲の半導体基板10の表層部に設けられており、ドリフト領域12上に配置されている。ボディ領域13は、ドリフト領域12とソース領域14の間に配置されて両者を隔てており、ドリフト領域12とソース領域14とボディコンタクト領域15に接触する。
【0015】
ソース領域14は、素子部10Aに対応する範囲の半導体基板10の表層部に設けられており、ボディ領域13上に配置されている。ソース領域14は、トレンチゲート4の側面に接触するとともに、ボディ領域13とボディコンタクト領域15にも接触する。ソース領域14は、半導体基板10の表面に露出しており、ソース電極3にオーミック接触する。
【0016】
ボディコンタクト領域15は、素子部10Aに対応する範囲の半導体基板10の表層部に設けられており、ボディ領域13上に配置されている。ボディコンタクト領域15は、ボディ領域13とソース領域14に接触する。ボディコンタクト領域15は、半導体基板10の表面に露出しており、ソース電極3にオーミック接触する。
【0017】
トレンチゲート4は、半導体基板10の表面から深さ方向に伸びるゲートトレンチ内に設けられており、ゲート電極4a及びゲート電極4aを被覆するゲート絶縁膜4bを有する。トレンチゲート4は、ソース領域14及びボディ領域13を貫通してドリフト領域12に達する。トレンチゲート4のゲート電極4aは、ドリフト領域12とソース領域14を隔てているボディ領域13にゲート絶縁膜4bを介して対向する。このゲート電極4aが対向するボディ領域13は、チャネルが形成される領域である。このように、半導体基板10の素子部10Aには、トレンチゲート4、ドリフト領域12、ボディ領域13及びソース領域14で構成されるMOS構造が設けられている。
【0018】
リサーフ領域17は、周辺部10Bに対応する範囲の半導体基板10の表層部に設けられており、ドリフト領域12上に配置されている。リサーフ領域17は、平板状の形態を有しており、素子部10Aから離れる方向(紙面左右方向)に沿って延びており、一端がボディ領域13に接触する。リサーフ領域17の下面の深さは、ボディ領域13の下面の深さに一致する。リサーフ領域17は、平面視したときに、素子部10Aの周囲を一巡するように配置されている。
【0019】
終端等電位領域18は、周辺部10Bの終端に対応する範囲の半導体基板10の表層部に設けられており、ドリフト領域12上に配置されている。終端等電位領域18は、ドリフト領域12に接触する。終端等電位領域18は、平面視したときに、素子部10Aの周囲を一巡するように配置されている。終端等電位領域18は、半導体基板10の表面に露出しており、後述する終端電極8に接触する。
【0020】
図1に示されるように、半導体装置1はさらに、分離絶縁膜5、フィールドプレート電極6、終端電極8及び温度センス部20を備える。
【0021】
分離絶縁膜5は、周辺部10Bに対応する範囲の半導体基板10上に設けられている。分離絶縁膜5の材料は、酸化シリコンである。
【0022】
フィールドプレート電極6は、ソース電極3に接するとともに素子部10Aから離れる方向(紙面左右方向)に沿って分離絶縁膜5上の一部に延設されている。なお、フィールドプレート電極6は、ソース電極3と同一材料であり、周辺部10Bに突出しているソース電極3の一部と評価することもできる。フィールドプレート電極6は、平面視したときに、素子部10Aの周囲を一巡するように配置されている。また、フィールドプレート電極6は、平面視したときに、リサーフ領域17の範囲内に収まっている。フィールドプレート電極6の材料は、熱伝導性の良い金属であり、この例ではアルミニウムである。
【0023】
終端電極8は、周辺部10Bの終端に対応する範囲の半導体基板10の表面上に設けられている。終端電極8は、平面視したときに、素子部10Aの周囲を一巡するように配置されている。終端電極8は、終端等電位領域18に対応して配置されており、終端等電位領域18に接触する。終端電極8の電位は、ドレイン電極2と同一である。
【0024】
温度センス部20は、絶縁層22、p+型のアノード領域24及びn+型のカソード領域26を有する。アノード領域24とカソード領域26が、pnダイオードを構成する。
【0025】
絶縁層22は、フィールドプレート電極6上に設けられており、フィールドプレート電極6とアノード領域24を絶縁分離し、フィールドプレート電極6とカソード領域26を絶縁分離する。絶縁層22の材料は、酸化シリコンである。アノード領域24は、絶縁層22上に設けられており、ボロンを含むポリシリコンで形成されている。カソード領域26は、絶縁層22上に設けられており、アノード領域24に接しており、リンを含むポリシリコンで形成されている。アノード領域24とカソード領域26は、CVD技術を利用して絶縁層22上にn型のポリシリコンを堆積した後に、イオン注入技術を利用してポリシリコンにp型不純物を導入することで形成される。温度センス部20は、素子部10Aの周囲を一巡して延設されているフィールドプレート電極6の全周に沿って形成されていてもよい。あるいは、複数の温度センス部20が、フィールドプレート電極6の全周に沿って分散して配置されていてもよい。
【0026】
次に、半導体装置1の動作について説明する。ドレイン電極2に正電圧が印加され、ソース電極3に接地電圧が印加され、ゲート電極4aに正電圧が印加されると、ゲート電極4aが対向するボディ領域13にチャネルが形成され、ソース領域14、チャネル、ドリフト領域12及びドレイン領域11を経由して、ソース電極3からドレイン電極2に向かって電子が流れる。このように、ドレイン電極2からソース電極3に向けて電流が流れるモードはオンモードである。一方、ドレイン電極2に正電圧が印加され、ソース電極3に接地電圧が印加され、ゲート電極4aに接地電圧が印加されると、ゲート電極4aが対向するボディ領域13にチャネルが形成されず、電流は遮断される。このように、ドレイン電極2からソース電極3に向けて電流が流れないモードはオフモードである。半導体装置1は、オンモードとオフモードを切り換えることでスイッチング素子として動作することができる。
【0027】
次に、温度センス部20の動作を説明する。温度センス部20のアノード領域24とカソード領域26は、外部の制御部(図示省略)に接続されている。制御部は、アノード領域24にカソード領域26よりも正となる電圧を印加し、アノード領域24とカソード領域26の間に一定電流を流すように制御する。上記したように、半導体装置1がオンモードのときには、半導体基板10の素子部10Aに電流が流れるので、半導体基板10の素子部10Aでジュール熱が発生する。これにより、半導体基板10の温度が上昇する。すると、温度センス部20のpnダイオードの順方向電圧が、半導体基板10の温度に依存して変化する。制御部は、温度センス部20のpnダイオードの順方向電圧を測定し、その測定値から温度を検知する。
【0028】
半導体装置1では、温度センス部20がフィールドプレート電極6上に設けられている。フィールドプレート電極6は、ソース電極3に接しており、その電位が接地電位に固定されている。例えば、半導体装置1がスイッチング動作を行うと、半導体基板10の電位が変動する。また、ドレイン電極2にノイズが混入することがあり、この場合も半導体基板10の電位が変動する。その他、様々な理由で半導体基板10の電位が変動することがある。温度センス部20は、フィールドプレート電極6上に設けられているので、そのシールド効果により、半導体基板10の電位変動に追随して温度センス部20の電位が変動することが抑えられ、温度センス部20の温度検出精度が安定する。
【0029】
また、フィールドプレート電極6は、素子部10Aと周辺部10Bの境界近傍の電界を緩和するために設けられている。このように、電界緩和用のフィールドプレート電極6がシールド効果用の導電層を兼用することで、温度センス部20は、チップ面積を増大させることなく、半導体基板10上に搭載される。
【0030】
また、上記したように、半導体装置1がオンモードのときのジュール熱は半導体基板10の素子部10Aで発生する。このため、素子部10Aで発生したジュール熱は、ソース電極3及びフィールドプレート電極6を介して温度センス部20に素早く伝熱される。これにより、温度センス部20は、応答性良く温度を検出することができる。
【0031】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0032】
1:半導体装置
2:ドレイン電極
3:ソース電極
4:トレンチゲート
4a:ゲート電極
4b:ゲート絶縁膜
5:分離絶縁膜
6:フィールドプレート電極
8:終端電極
10:半導体基板
10A:素子部
10B:周辺部
11:ドレイン領域
12:ドリフト領域
13:ボディ領域
14:ソース領域
15:ボディコンタクト領域
17:リサーフ領域
18:終端等電位領域
20:温度センス部
22:絶縁層
24:カソード領域
26:アノード領域
図1