(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性材料により環状に形成され、形状に沿って材料ガスのガス流路が内部に形成されてあるチャンバと、該チャンバへ高周波電流を供給する高周波電源とを備えるプラズマ発生装置であって、
前記チャンバは、
環形状の一部を欠落させた本体部分と、
前記本体部分の外面に密着されており、外部から供給される冷却媒体からの熱を前記本体部分へ伝える冷却部と
を含み、
前記チャンバの本体部分は、
導電性材料にて矩形の縦断面を有し同一形状に屈曲成形された基材に夫々、各辺の中心を通る貫通孔を設けて形成された2つの分体と、
該分体の断面形状に対応する断面形状を有する絶縁体と
を含み、
前記2つの分体の端面同士を対向させ、一方の端面間に前記絶縁体、他方の端面間には導電体製のスペーサを介装して四角環状となるように接続されており、
前記冷却部は、
前記本体部分の外面に沿って密着固定させた熱伝導板と、
該熱伝導板に固着されて前記冷却媒体が内部に流れる熱伝導体製の冷却管と
を含み、
前記冷却部の熱伝導板は、前記2つの分体に亘って外面に沿い密着固定させた1つの熱伝導板を含む
ことを特徴とするプラズマ発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマ発生装置では、プラズマを発生させるためにチャンバが非常に高温になる。高エネルギーのプラズマを発生するには大電流が必要となり、更にチャンバの冷却の必要性が問題になるが特許文献1には開示がない。冷却方法については装置の大型化を許すならば大掛かりな空冷、水冷等の冷却機構を限りなく実現できるが、装置の小型化と高出力との両立が求められる。
【0006】
本発明は斯かる事情を鑑みてなされたものであり、冷却機構を備えつつ装置全体の小型化を実現するプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るプラズマ発生装置は、導電性材料により環状に形成され、形状に沿って材料ガスのガス流路が内部に形成されてあるチャンバと、該チャンバへ高周波電流を供給する高周波電源とを備えるプラズマ発生装置であって、前記チャンバは、環形状の一部を欠落させた本体部分と、前記本体部分の外面に密着されており、外部から供給される冷却媒体からの熱を前記本体部分へ伝える冷却部とを含む。
【0008】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、高周波電源から供給される高周波電流がチャンバの本体部分を流れる上、チャンバの本体部分の外面に沿う冷却部により直接的に、外部から供給される冷却媒体との熱交換を行なうから効率的にチャンバの高温化を抑制することができる。
【0009】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記冷却部は、前記本体部分の外面に沿って密着固定させた熱伝導板と、該熱伝導板に固着されて前記冷却媒体が内部に流れる熱伝導体製の冷却管とを含む。
【0010】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、本体部分に密着固定した熱伝導体板を用いることでチャンバの高温化を低コストで抑制することが可能になる。
【0011】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記本体部分の外面は平坦面を有しており、前記熱伝導板は、前記平坦面の一部又は全部に密着固定されている。
【0012】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、本体部分が用いる平坦面に熱伝導体製の板を密着固定することで実現されるから、チャンバの高温化を低コストで抑制することができる。
【0013】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記冷却部は、前記本体部分の外面に設けられ、前記冷却媒体が流れる凹部と、該凹部を覆う蓋とを含む。
【0014】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、本体部分に設けられた凹部又は本体部分に固定された熱伝導性を有する板状部材に設けた凹部に冷却媒体を流すことで本体部分を直接的に冷却するからチャンバの高温化を効率化に実現することができる。
【0015】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記チャンバの本体部分は、導電性材料にて矩形の縦断面を有し同一形状に屈曲成形された基材に夫々、各辺の中心を通る貫通孔を設けて形成された2つの分体と、該分体の断面形状に対応する断面形状を有する絶縁体とを含み、前記2つの分体の端面同士を対向させ、一方の端面間に前記絶縁体、他方の端面間には導電体製のスペーサを介装して四角環状となるように接続されており、前記冷却部の熱伝導板は、前記2つの分体に亘って外面に沿い密着固定させた1つの熱伝導板を含む。
【0016】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、2つの同一形状の分体を絶縁体及びスペーサを挟むようにして接続させた本体部分に設ける冷却部に、該2つの分体に亘る1つの熱伝導板を用いるようにすることで、装置のコンパクト化と冷却効率の向上とを実現することができる。
【0017】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記冷却部は導電性材料の部材を含み、前記チャンバの1又は複数箇所に設けられた環状の磁性コアを更に備え、該磁性コアは断面視で前記チャンバ及び前記冷却部の少なくとも一部の外側を囲って設けられている。
【0018】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、前記冷却部は導電性材料で構成され、しかも磁性コアの内側を通る。チャンバの本体部分に高周波電源からの高周波電流が供給される場合に冷却部も電流経路となるが、冷却部が磁性コアの内側を通るので、冷却部が磁性コアの内側を通らない場合に比べて漏れ磁束を低減させてインダクタンス成分を増大させることができる。
【発明の効果】
【0019】
また本開示のプラズマ発生装置による場合、高周波電源から供給される高周波電流がチャンバの本体部分を流れ、その本体部分の内側の放電空間にプラズマ電流が流れるから、環状の高周波電流及びプラズマ電流夫々の経路は近接し、略同軸である。したがって漏れ磁束を低減させることができ、結合力を強化させることができる。このように高周波電流をチャンバに直接流すとしても、チャンバの本体部分の外面に沿う冷却部を用いて効率的に冷却可能であるから大型の冷却機構を用いることなしに高温化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るプラズマ発生装置1の概要を示す説明図である。プラズマ発生装置1は、チャンバ2、磁性コア3、及び高周波電源4を備える。
【0023】
チャンバ2は、
図1に示す平面視において外形が略四角環状であり、環の縦断面は全周に亘って矩形状であり、中央に円形の孔が設けられている。チャンバ2は、一辺の中央部を適長欠落させた欠落部(
図1のハッチング部分)を有する本体部分20と、該欠落部に介装した絶縁体とを備える。本体部分20は、例えばアルミニウム等の導電性に優れた金属材料製である。なお本体部分20は、銅、鉄等の他の金属材料製であってもよく、適切な強度と導電性とを有していれば、金属以外の材料製であってもよい。絶縁体は、例えばセラミックス等の絶縁性材料によって形成されており、本体部分20と同一の縦断面を有している。本体部分20及び絶縁体に設けられた孔は、チャンバ2の内部に全周に亘って連続するガス流路29を形成している。ガス流路29は、本体部分20の相対向する2つの角部に開設されたガス入口及びガス出口により外部に連通されている。ガス流路29では、
図1にIN及びOUTで示すように、ガス入口に供給された材料ガスが内部でプラズマ化され、ガス出口から後工程へ送出されるように流れる。
【0024】
磁性コア3は、フェライト磁性体製の環状体である。磁性コア3は、本体部分20の四辺夫々の外側に填め合わせてある。なお磁性コア3は必須ではなく、またその数は
図1に示しているような4つに限られず、プラズマの発生状況に応じて適宜設計される。
【0025】
高周波電源4は、欠落部(絶縁体)を挟んで対向する本体部分20の端部の内、ガス入口側の端部に接続されている。なお本体部分20のガス出口側の端部は接地されている。高周波電源4から供給される電流は、
図1に実線の白抜き矢符で示すように、ガス入口側の端部からガス出口側の端部へ流れる。
【0026】
以上の如く構成されるプラズマ発生装置1では、高周波電源4から供給される高周波電流がチャンバ2の本体部分を周方向(トロイダル方向)に流れ、本体部分20の環の断面を周回する方向(ポロイダル方向)に沿って高周波磁界が発生する。なお磁気コア3が設けられていることで磁束の漏れが低減される。そして高周波磁界の電磁誘導の作用によって、
図1に破線の白抜き矢符で示すように、本体部分20の形状に沿って周方向に、本体部分20を流れる上述の高周波電流とは逆向きの高周波電界がチャンバ2内のガス流路29内に発生する。ガス入口からガス流路29内に供給された材料ガスは、この高周波電界によってプラズマ化され、ガス出口から送出される。このようにプラズマ発生装置1では、チャンバ2の本体部分20に流れる高周波電流を励磁電流として、誘導結合によりその本体部分20の内側のガス流路29にプラズマ電流が流れる。高周波電流及びその逆向きに流れるプラズマ電流夫々の経路は近接し、略同軸であって漏れ磁束を低減させることができ、結合力を強化させることができる。
【0027】
以下このように、漏れ磁束を低減させる構造とした上で更に高温化を防止しつつ装置全体の小型化を実現することができるチャンバ2の具体的構成について詳細に説明する。以下の説明においては、
図1に示したプラズマ発生装置1の内、磁性コア3については説明を省略している。
【0028】
図2は、実施の形態1におけるチャンバ2の外観を示す斜視図であり、
図3はチャンバ2の分解斜視図であり、
図4は、
図2中のA−B線によるチャンバ2の横断面図、
図5は
図2中のC−D線によるチャンバ2の縦断面図である。
【0029】
チャンバ2は、同一形状の分体20a,20bを絶縁体23及びスペーサ24を介して接続し、全体として四角環状をなすように構成されている。分体20a,20bは、アルミニウム等の導電性に優れた金属材料にて形成されている。分体20a,20bは、矩形の縦断面を有して屈曲成形(
図2等ではコの字(Uの字)形に形成した例を示す)した基材に、各辺の中心を通る円形断面の貫通孔を形成し、コの字の角部(
図4中に破線により示す部分)を斜めに切除して各辺の貫通孔の交差部を露出させた構成を有する。また分体20a,20bの一端部には、連結用のフランジ28が一体に形成されている。フランジ28の大きさは、分体20a,20bの縦断面の大きさと同一である。
【0030】
絶縁体23及びスペーサ24は、分体20a,20bの断面外形と同一の外形を有する等厚の板であり、夫々の中心には、分体20a,20bの孔と同径の貫通孔の形成により空洞部分231,241が設けられている。絶縁体23及びスペーサ24は、分体20a,20bと同一の断面形状を有している。絶縁体23は、例えばセラミックス等の適切な強度を有する絶縁性材料製である。スペーサ24は、分体20a,20bと同一又は異なる導電性に優れた金属材料製である。なお絶縁体23及びスペーサ24の断面形状は夫々、空洞部分231,241が分体20a,20bの空洞部分と連通するような対応する形状であればよく、寸法も含めて分体20a,20bと同一形状でなくともよい。絶縁体23及びスペーサ24同士も同一形状でなくてよい。
【0031】
チャンバ2は、分体20a,20bのフランジ28が設けられた一端部と、分体20a,20b夫々の他端部とを対向させ、対向する端面間に絶縁体23、スペーサ24を介装し、フランジ28に通した複数本の固定ボルト27により一体に接続して構成される。そして分体20a,20bの切除部分をインレットポート21、アウトレットポート22、及び2つの蓋板25により覆うことで各々管状に形成する。これによりチャンバ2は、分体20a,20bの中心の孔と絶縁体23及びスペーサ24の中心の孔とにより管状に連続するガス流路29を設けて構成される。
【0032】
このように、同一形状の分体20a,20bの一端面間で絶縁体23を介装し、他方の端面間の隙間には導電体製のスペーサ24を介装することで、
図1に示すような一部を欠落させた環状の本体部分20を容易に作製することができる。分体20a,20bを同一形状とすることにより製作コストを低減させることができる。また分体20a,20bは、平坦面を広く含む形状とすることで取扱いも容易になる。なお分体20a,20bは、相互に同一形状とし、接続して環状(四角環に限らず六角環、八角環等の多角環、又は円環、楕円環等)とすることができれば、これに限られない。分体20a,20bは、屈曲した管状の部材であれば環状に接続することが可能であり、例えば
図2〜
図5に示した例のようなコの字のみならずL字状、円弧状の形状に形成されていてもよい。更に断面外形は方形であることには限られない。
【0033】
更に、実施の形態1におけるチャンバ2では
図4に示すように、本体部分20の欠落部に対応する箇所に設けられる絶縁体23の空洞部分231に、管体26が内嵌されている。スペーサ24の空洞部分241にももう1つの管体26が内嵌されている。管体26は、十分な強度を有した絶縁性材料により形成されており、絶縁体23及びスペーサ24の長さに比べて十分に長い。分体20a,20b夫々の絶縁体23又はスペーサ24に接する端面近くの内周に設けられたOリング261が、管体26の外周に弾接されており、これにより絶縁体23及びスペーサ24の接続部分の気密性を保持している。
【0034】
蓋板25は、分体20a,20bの角部分の矩形に対応する金属製の平板である。蓋板25の一方又は両方に、中央部にガラス製の窓251が設けられている。窓251は、ガス流路29内部のプラズマ発生状態の観察を可能とする。
【0035】
インレットポート21は、分体20bの角部分の矩形に対応する金属製の平板の中央に小径のガス管210が立設されて形成されており、材料ガスが通ることが可能である。アウトレットポート22は、分体20aの角部分の矩形に対応する金属製の平板中央に大径のガス管220が立設されて形成されており、材料ガスが通ることが可能である。これにより分体20a,20b内部に構成されるガス流路29がインレットポート21のガス管210及びアウトレットポート22のガス管220を介して外部と連通する。
【0036】
チャンバ2は更に、冷却部5を含む。冷却部5は、分体20a,20bの外面に沿って夫々密着固定させた熱伝導板51と、該熱伝導板51上に夫々固着させた冷却管52とを含む。熱伝導板51及び冷却管52はいずれも、例えば銅などの熱伝導性に優れた材料製である。熱伝導板51は例えば、分体20a,20bのL字状面と略同形に形成されている。冷却管52は熱伝導板51夫々の中心線上に沿って屈曲するように配管されている。各冷却管52の一端は、分体20a,20bの外向きに夫々曲げて外側まで延ばしてあり、その延長端は、コネクタ53を介して冷却媒体の供給装置(図示せず)に接続されている。また各冷却管52の他端は、分体20a,20bの内向きに夫々曲げて内側まで延ばしてあり、その延長端はコネクタ53,53及び接続管54により相互に接続されている。これにより供給装置から供給される冷却水等の冷却媒体は、例えば分体20a側の冷却管52の外側の延長端から冷却管52内部を流れ、接続管54を介して分体20b側の冷却管52内部へ流れ、外側の延長端から再度供給装置へ戻るか又は排水される。これにより、冷却管52に接触している熱伝導板51が冷却され、熱伝導板51により材料ガスのプラズマ化によって高温化する分体20a,20bの温度上昇を抑制する。なお接続管54は、絶縁体製であることが好ましい。冷却部5は、チャンバ2の分体20a,20bにて構成される本体部分20の内周よりも内側を通る構成としてあるので、冷却部5の導電性材料の構成部材にも電流が流れることを防止するためである。本体部分20の内側を通る接続管54を含む冷却部5に電流が流れることは、チャンバ2内におけるプラズマの発生及び維持のいずれにも寄与しないし、チャンバ2のインダクタンス成分が減少する。接続管54を絶縁体製とすることにより、接続管54及びコネクタ53で接続される冷却管52と、冷却管52が夫々密着固定された分体20a側の熱伝導板51及び分体20b側の熱伝導板51とに、分体20a,20bとは別の電流経路が形成されることが回避される。
【0037】
なお分体20a側の冷却管52と20b側の冷却管52とは一本の屈曲管で構成されてもよいことは勿論である。また
図2〜
図5に示す例において、熱伝導板51夫々の中心線上に1本の冷却管52を屈曲させて配管されているが、熱伝導板51上を蛇行するように配管されてもよいし、1枚の熱伝導板51に2本以上の冷却管52が配管される構成としてもよい。更には、冷却部5は熱伝導板51を含まず、冷却管52が直接的に分体20a,20bの外面夫々に固定されるようにしてもよい。この場合、冷却管52は分体20a,20bの外面上で多くの熱交換の機会を得るべく蛇行するように構成されるか、又は複数の冷却管52が用いられるように構成されるとよい。また、
図2及び
図3に示す例では冷却部5は分体20a,20bのL字状面の一方のみに設けられているが、他方の面にも設けられていてもよい。また
図2に示す分体20a,20bは、L字状面以外にも平坦面を有しているからこれらの面(外側面及び内側面)にも熱伝導板(あるいは冷却管自体)を密着固定させ、該熱伝導板に冷却媒体が供給される冷却管を固着させるようにしてもよい。なお冷却部5を構成する熱伝導板51は、分体20a,20bの外面に沿わせ得る形状であればよい。
【0038】
このように、実施の形態1におけるチャンバ2では、冷却部5を直接的に分体20a及,20bに密着固定させるため、効率的に高温化を抑制することができる。特に分体20a,20bは、断面が矩形であってしかもコの字に成形されているために平坦面が多い。平坦面は、熱伝導板51を密着固定させることが容易であり、低コストで冷却をより効率化させることが可能である。
【0039】
更に冷却部5は、熱伝導板51及び冷却管52を含む構成とは限らない。
図6は、冷却部5の他の構成例を示す外観斜視図であり、
図7はチャンバ2の分解斜視図である。冷却部5は、分体20a,20bのL字状面に沿って密着固定された熱伝導性に優れた材料からなる熱伝導板58に形成された凹部55と、該凹部55を覆う蓋板56とを含む。凹部55は分体20a,20bの外面に直接的に形成されてもよい。
図7に示すように、熱伝導板58夫々の凹部55の外壁には外側及び内側の2箇所に孔57が設けられ、内側の孔57はコネクタ53,53及び接続管54により相互に接続されている。また外側の孔57は夫々、コネクタ53を介して冷却媒体の供給装置(図示せず)に接続されている。また凹部55には、孔57が設けられている箇所間を離隔するように内壁59が設けられており、一方の孔57から供給される冷却水等の冷却媒体に一定の流れを発生させる流路を形成している。
図6及び
図7に示す例では、冷却媒体が流れる範囲が拡大され、分体20a,20bとの熱交換の機会がより増大し、冷却効果が向上することが期待される。
【0040】
チャンバ2は更に、導電部6を含む。導電部6は、例えば銅等の導電性に優れた金属製であって、接続した分体20a,20b、即ちチャンバ2に沿って周回する細板状の導電体60を含む。導電体60の一端は、分体20bのフランジ28上に固定されている接続体64に固定されている。接続体64は導電性材料により形成されておりフランジ28の厚みと略等しい厚みを有している。そして導電体60はチャンバ2に沿うようにして、その本体部分20の外周から出ないように、分体20a,20bの冷却部5側に、冷却部5の熱伝導板51から所定の間隔を隔てて設けられている。具体的には、導電体60の他端が、分体20b側の熱伝導板51上の蓋板25寄りの位置に固定されている支持体62に支持され、中間部は分体20a側の熱伝導板51上の蓋板25寄りの位置に固定されている支持体63に支持されている。支持体62,63はいずれも絶縁性材料より形成されており、導電体60と熱伝導板51との間に所定の間隔を形成すると共に、冷却部5との電気的接触を回避する機能を発揮し、冷却管52を避けた位置に固定されている。接続体64、及び支持体62,63により固定された導電体60は、接続された分体20a,20bの環形状の中心軸方向からみて、シルエットが分体20a,20b内に収まる形状となるようにしてある。つまり実施の形態1における導電体60は、接続された分体20a,20bによって構成される本体部分20の外側面及び内側面を除く面(四角環状面)内に収まる形状である。つまり、前記環形状の中心軸方向から見たときの導電体60の外周は本体部分20の外周よりも小さく、それに加えて内周については本体部分20の内周よりも大きい。導電体60は少なくとも、前記中心軸方向から見た場合に本体部分20の外形から外側へはみ出さない範囲の大きさとすることにより、チャンバの大型化を抑制できる。更に、支持体62によって支持されている導電体60の他端は、内向きに曲げられてチャンバ2の内側に延びており、延長端の先端に接続棒61が立ち上がるように設けられている。導電体60は、チャンバ2の中央上方に位置する接続棒61から分体20bの形状に沿って分体20a側に渡り、更に分体20aの形状に沿って分体20b側に戻って該分体20bのフランジ28に接続している。
【0041】
このように構成されるチャンバ2を用いるプラズマ発生装置1では、導電部6の接続棒61に、高周波電源4を接続し、アウトレットポート22の平板部分を接地電位に接続する。高周波電源4からの電圧を印加すると、接続棒61から電流が導電体60中を
図2において反時計回りに伝わり、接続体64を介して金属製の分体20bのフランジ28から、該フランジ28が接している絶縁体23とは反対側へ流れ、分体20bの他端側からスペーサ24を介して分体20aへ伝わる。分体20aに伝わった電流はアウトレットポート22経由にて接地電位へ流れる。つまり導電体60における電流と、分体20a及び分体20b上を流れる電流とで向きは同一であり、接続棒61から接地電位まで螺旋状に流れる。このとき導電部60は、チャンバ2の本体部分20(分体20a,20b及びスペーサ24)により形成されるインダクタンス成分に対する追加のインダクタンス成分としての機能を発揮する。
【0042】
なお導電部6は必須の構成要件ではない。本開示の冷却部5は導電部6を備えない構成としたチャンバへも適用することが可能である。
【0043】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2におけるチャンバ2の外観を示す斜視図であり、
図9はチャンバ2の分解斜視図である。実施の形態2のプラズマ発生装置1は、冷却部5の構成及び磁性コア3の配設態様以外は実施の形態1と同様であるから、共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
実施の形態2における冷却部5は、熱伝導板51と、該熱伝導板51上に固着させた冷却管52とを含む。熱伝導板51及び冷却管52はいずれも、銅などの熱伝導性に優れた材料製である。実施の形態2における熱伝導板51は
図8及び
図9に示す如く、分体20a,20bの両者に渡って1枚でその外面に沿うように略C型に形成されており、分体20a,20bの外面に密着固定されている。冷却管52は熱伝導板51の中心線上に沿う一本の屈曲管により構成されている。冷却管52の両端は夫々、分体20a,20bの外向きに曲げて外側まで伸ばしてあり、その延長端は、コネクタ53を介して冷却媒体の供給装置(図示せず)へ接続されている。これにより供給装置から供給される冷却水等の冷却媒体は、例えば分体20a側の冷却管52の外側の延長端から冷却管52内部を流れてそのまま分体20b側へ流れ、分体20b側の外側の延長端から再度供給装置へ戻るか又は排水される。これにより、冷却管52に接触している熱伝導板51が冷却され、熱伝導板51により分体20a,20bの温度上昇を抑制する。
【0045】
なお実施の形態2において導電部6の分体20a側の支持体63は、熱伝導板51上に固定されるが、一本の屈曲管である冷却管52を避けるために、
図9に示す如く熱伝導板51に接する面に半円形状の切り欠きを形成してその中を冷却管52が通るようにしてある。
【0046】
実施の形態2における熱伝導板51は、実施の形態1の熱伝導板51よりも面積が大きいため、冷却面積が更に増大して冷却効果が向上する。また、実施の形態2では接続管54を不要とし、冷却水を本体部分20の内周よりも内側に通さない構成としたから、接続管54が通る空間が不要になり、本体部分20の径をより小さくしてプラズマ発生装置1全体を更に小型化することも可能である。
【0047】
また実施の形態2では、磁性コア3の配設態様を示している。磁性コア3は、単体ではコの字状に屈曲成形された2つのフェライト磁性体を接合して構成された環状体である。磁性コア3は、チャンバ2の絶縁体23及びスペーサ24夫々に対応する箇所と、分体20a,20b夫々の中途部とに設けられている。そして磁性コア3は、チャンバ2の本体部分20の断面を周回する方向(ポロイダル方向)に沿うようにして、断面視で絶縁体23及び導電体60の両者の外側を囲うように設けられている。スペーサ24の対応箇所では、磁性コア3はスペーサ24、冷却部5及び導電部6の導電体60の外側を囲うように設けられている。分体20a,20bの中途部に設けられた磁性コア3も夫々、分体20a,20b、冷却部5、及び導電体60の外側を囲うように設けられている。なお磁性コア3は、
図8及び
図9に示したような4つとする例のみならず、3つ以下、例えば1つのみであってもよい。なお磁性コア3を1つとする場合には、スペーサ24に対応する箇所に設けられるとよい。
【0048】
このようにして実施の形態2では、冷却部5に、分体20a及び分体20bの両者に渡る導電性の熱伝導板51及び冷却管52を使用した。チャンバ2の導電部6の接続棒61に、高周波電源4を接続し、アウトレットポート22の平板部分を接地電位に接続した場合、冷却部5も電流経路となる。熱伝導板51及び冷却管52は、磁性コア3の内部を通過するから、磁性コア3の内部を通る電流量を増大させ、チャンバ2全体としてのインダクタンスを増大させることができる。
【0049】
(実施の形態3)
図10及び
図11は、実施の形態3におけるチャンバ2の外観を示す斜視図であり、
図12はチャンバ2の分解斜視図である。なお実施の形態3におけるプラズマ発生装置1は、チャンバ2の具体的な形状以外の全体としての概要は実施の形態1及び2と同様である。実施の形態3のプラズマ発生装置1の磁性コア3については後述する。そして実施の形態3のチャンバ2は、導電部6を設けていない構成であるが、実施の形態1及び2のチャンバ2と共通する構成部材を備える。これらの共通する構成部材には同一の符号を付して一部詳細な説明を省略する。
【0050】
実施の形態3においてもチャンバ2は、同一形状の分体20a,20bを絶縁体23及びスペーサ24を介して接続し、全体として四角環状をなすように構成されている。実施の形態3における分体20a,20bは、コの字の角部の一方を貫通孔が露出する深さで斜めに切除してあり、他方の角部は貫通孔が露出しない程度に斜めに切除してある。分体20a,20bの両端部には、連結用のフランジ28が一体に形成されている。実施の形態3におけるフランジ28は、四角環状の中心軸方向へ端面が拡張するようにして形成されており、即ちその大きさは分体20a,20bの縦断面よりも前記中心軸方向に拡大されている。また
図10〜
図12に示す如く、浅めに切除された角部寄りのフランジ28には、中央部に矩形の切り欠きが設けられており、切り欠きの内側面が分体20a,20bのコの字状の外面と連続するようにしてある。
【0051】
絶縁体23及びスペーサ24は、分体20a,20bの断面外形、更にはフランジ28よりも大きい矩形の等厚板であり、夫々の中心には、分体20a,20bの孔と同径の貫通孔(図示せず)が形成してある。絶縁体23は、例えばセラミックス等の適切な強度を有する絶縁性材料製である。スペーサ24は、分体20a,20bと同一又は異なる導電性に優れた金属材料製であり、フランジ28の切り欠きと対応する矩形状の切り欠きを両短辺の中央部に有する。
【0052】
チャンバ2は、分体20a,20bの切り欠きが形成されたフランジ28同士を対向させてその端面間にスペーサ24を介装し、他方のフランジ28同士を対向させてその端面間に絶縁体23を介装し、フランジ28夫々に通した複数の固定ボルト27により一体に接続して構成される。そして分体20aの深めの切除部分にはアウトレットポート22が、分体20bの深めの切除部分には蓋板25が、夫々切除部分を覆うように設けられている。分体20bの浅めの切除部分にはインレットポートに対応するガス管210が、内部の貫通孔と導通するように形成されている。これによりチャンバ2は、分体20a,20bの中心の孔と絶縁体23及びスペーサ24の中心の孔とにより管状に連続するガス流路29を設けて構成される。
【0053】
チャンバ2は更に、本体部分20の四角環状面の両方に密着固定される2つの冷却部5cを含む。冷却部5cは、分体20a,20bの外面に沿って密着固定された蹄鉄形状(U字状)の熱伝導板58に形成された凹部55と、該凹部55を覆う蓋板56とを含む。熱伝導板58の中央部はフランジ28の切り欠き部分に嵌合するようにしてある。熱伝導板58の両端は、斜めに切除されて分体20bの蓋板25との境界面、及び分体20aのアウトレットポート22との境界面に沿うようにしてある。蓋板56は、凹部55との対向面に壁(図示せず)が突設されて断面がT字状になっており、この壁が内壁となって凹部55に細かな循環流路を形成するようにしてある。
図12の分解図に示すように、熱伝導板58夫々の凹部55の外壁には、その蹄鉄形状の踵部分に対応する部分(U字の角部に相当する部分)の2箇所に孔57が設けられ、接続管59を介して冷却媒体の供給装置(図示せず)に接続されている。なお
図11に示すように、分体20a側の接続管59は分体20a側へ向けて屈曲されている。本体部分20の反対側に固定された冷却部5cの屈曲された接続管59同士を接続しておくことにより、両面に固定された冷却部5c,5c間で冷却媒体の循環流路が連続するようになる。このように、冷却管52を用いずに流路を内部に形成する熱伝導板58では、冷却媒体が流れる範囲が拡大され、分体20a,20bとの熱交換の機会がより増大し、冷却効果が向上することが期待される。
【0054】
実施の形態3におけるチャンバ2を用いるプラズマ発生装置1では、分体20bの絶縁体23と接するフランジ28に高周波電源4を接続し、分体20a側のアウトレットポート22の平板部分を接地電位に接続する。高周波電源4からの電圧を印加すると、電流が分体20bのフランジ28から、該フランジ28が接している絶縁体23とは反対側へ分体20bを流れ、分体20bの他端側からスペーサ24を介して分体20aへ伝わる。分体20aに伝わった電流はアウトレットポート22経由にて接地電位へ流れる。また、電流は分体20bのフランジ28から分体20bへ流れると、その外面に接している冷却部5cの熱伝導板58へ流れ、更にアウトレットポート22側の他端経由でアウトレットポート22から接地電位へ流れる。このようにして高周波電源4から供給される高周波電流が、チャンバ2の本体部分20(分体20a,20b及びスペーサ24)及び冷却部5cを周方向(トロイダル方向)に流れ、本体部分20の環の断面を周回する方向(ポロイダル方向)に沿って高周波磁界を発生させることができる。冷却部5cの電流経路は、本体部分20に沿っているから、インダクタンス成分の増大の効果を発揮し得る。また実施の形態3では、四角環状の内周の内側の接続管54を不要とするから本体部分20の径を更に小さくしてプラズマ発生装置1をコンパクト化することができる。
【0055】
次にチャンバ2に磁性コア3を設ける場合の具体例について図面を参照して説明する。
図13は、実施の形態3におけるチャンバ2の磁性コア3の配設態様の一例を示す斜視図である。磁性コア3単体は、実施の形態2にて説明したものと同一である。実施の形態3においても磁性コア3は、チャンバ2の絶縁体23及びスペーサ24夫々に対応する箇所と、分体20a,20b夫々の中途部とに設けられている。磁性コア3は、チャンバ2の本体部分20の断面を周回する方向(ポロイダル方向)に沿うようにして、断面視で絶縁体23及び冷却部5cの両者の外側を囲うように設けられている。スペーサ24の対応箇所では、磁性コア3はスペーサ24及び冷却部5cの外側を囲うように設けられている。分体20a,20bの中途部に設けられた磁性コア3も夫々、分体20a,20b及び冷却部5cの外側を囲うように設けられている。なお磁性コア3は、
図13に示したように4つの例のみならず、3つ以下、例えば1つのみであってもよい。なお磁性コア3を1つとする場合には、スペーサ24に対応する箇所に設けられるとよい。また
図10〜13に示したように本体部分20の両面に冷却部5cを設けることで更に冷却効果が向上する。
【0056】
このようにして実施の形態3では、冷却部5cに、分体20a及び分体20bの両者に渡る導電性の熱伝導板58及び蓋板56を使用して冷却部5cも電流経路とし、更に磁性コア3の内部を通過させる構成とした。これにより、冷却効果を向上させるのみならず、磁性コア3の内側を通る電流量を増大させ、チャンバ2全体としてのインダクタンスを増大させることができる。
【0057】
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。