(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872939
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ガス警報器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20210510BHJP
G08B 21/16 20060101ALI20210510BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B21/16
G08B17/10 H
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-44924(P2017-44924)
(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-147436(P2018-147436A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松村 圭祐
【審査官】
山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−326359(JP,A)
【文献】
実公昭43−019208(JP,Y1)
【文献】
特開2005−063469(JP,A)
【文献】
特開2005−292968(JP,A)
【文献】
実開昭59−115688(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00−21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象とするガスを検出するガス検出部と、前記ガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する警報制御部とを筐体の内部に備え、
前記筐体の外部と内部との間でのガスの流通を許容して、前記筐体の外部に存在するガスが前記筐体の内部の前記ガス検出部に到達できるようにする通気孔が前記筐体に設けられているガス警報器であって、
前記筐体の背面が設置場所となる壁面に相対して設置された状態で、前記通気孔が前記壁面に沿った方向に向かって前記筐体から開口し、及び、前記筐体内に電力を供給するための電源コードが前記通気孔の開口方向と同じ方向に前記筐体内から引き出され、
前記筐体には、前記通気孔の開口方向と同じ方向に前記筐体の表面から突出する突出部が設けられ、
前記突出部は前記電源コードよりも固い材料で形成され、
前記電源コードは、前記突出部に装着されているガス警報器。
【請求項2】
前記警報制御部で決定された警報を含む情報を表示する表示部が前記筐体の前面に設けられ、
前記筐体の形状は、前記筐体の前面から見て矩形であり、
前記筐体の背面が前記壁面に相対して設置された状態で、前記筐体の前面に対して水平方向に隣接する前記筐体の側面で前記通気孔が開口し、及び、当該筐体の側面から前記電源コードが引き出されている請求項1に記載のガス警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象とするガスを検出するガス検出部と、ガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する警報制御部とを筐体の内部に備え、筐体の外部と内部との間でのガスの流通を許容して、筐体の外部に存在するガスが筐体の内部のガス検出部に到達できるようにする通気孔が筐体に設けられているガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検出対象とするガスを検出するガス検出部としてのガス検知部(2)及びCO検知部(3)と、ガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する警報制御部(4)などとを筐体の内部に備えるガス警報器が記載されている。ガス警報器に対する電力の供給は、筐体内に電力を供給するための電源コードの先端に設けられる電源プラグ(13)を商用電源に対して接続することで行われる。使用者が視認し易い筐体前面には、警報制御部で決定された警報を含む情報を表示する表示部(10)が設けられている。
【0003】
また、特許文献1の
図5に記載されているように、筐体の上端部には、ネジなどに引っ掛けるための引掛部が設けられている。そして、壁面にネジなどを取り付けておき、表示部が設けられている筐体の前面を表に向け、筐体の背面が設置場所となる壁面に相対した状態で引掛孔をそのネジに引っ掛けることで、壁面に対するガス警報器の設置を行える。電源コードは筐体内から下方に向けて、即ち、筐体の底面から引き出されている。そして、ガス警報器を壁面に対して設置した後、電源コードの先端に設けられる電源プラグを電気コンセントに装着すれば、ガス警報器に対する電力の供給が行われる。
【0004】
尚、特許文献1には記載されていないが、検出対象とするガスは、筐体の前面に設けられた通気孔から筐体内に侵入して、筐体内に設けられたガス検出部で検出されると思われる。
このような通気孔には別の形状もある。例えば、特許文献2に記載のガス警報器では、通気孔(20)は筐体の前面と側面とに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−230728号公報
【特許文献2】特開2010−160823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
都市ガスやプロパンガスなどのガス漏れが発生した場合、或いは、不完全燃焼によって一酸化炭素が発生した場合、それらのガスは、ガス警報器が設置されている壁面に沿って流れることがある。そのような場合、特許文献2のガス警報器のように、筐体の側面に通気孔を設けておけば、壁面に沿って流れるガスが筐体内に侵入し易くなることを期待できる。
【0007】
例えば、
図5は、特許文献2に記載されているのと類似のガス警報器20が壁面W1に設置された状態を示す比較例の図である。図示は省略するが、ガス警報器20は、筐体21の内部に、検出対象とするガスを検出するガス検出部と、そのガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する警報制御部とを備える。加えて、警報制御部で決定された警報を含む情報を表示する表示部22が筐体21の前面21aに設けられている。筐体内に電力を供給するための電源コード25は、筐体21の底面から下方に引き出されている。電源コード25の先端に設けられる電源プラグ26が電気コンセントに接続されると、電力が電源コード25を通って筐体21内に供給される。筐体1内に電力が供給されている間は電源用ランプ2aが点灯する。
【0008】
図5に示す例では、ガス警報器20は、一酸化炭素(CO)を検出できるガス検出部と、都市ガスなどを検出できるガス検出部とを筐体21の内部に備えている。そして、設定値以上の濃度のCOが検出されると警報制御部は表示部22bを点灯又は点滅表示させ、設定値以上の濃度の都市ガスが検出されると警報制御部は表示部22cを点灯又は点滅表示させて、使用者に警報を発する。更に、警報制御部が、筐体の内部に設けられたスピーカから、音孔28を通して筐体21の外部に音声を出力させて、COの発生やガス漏れなどへの警報を発する。
【0009】
図5に示すガス警報器20には、筐体21の外部と内部との間でのガスの流通を許容して、筐体21の外部に存在するガスが筐体21の内部のガス検出部に到達できるようにする通気孔27が筐体21に設けられている。具体的には、通気孔27は、筐体21の前面21aに設けられた通気孔27bと、筐体21の側面21fに設けられた通気孔27aとで構成される。このような構成を採用することで、筐体21の前面21a側から向かってくるガスを通気孔27bを通して筐体21内のガス検出部に良好に導くことができ、且つ、壁面W1に沿って流れるガスを通気孔27aを通して筐体21内のガス検出部に良好に導くことができる。
【0010】
但し、ガス警報器20の設置方法によっては、筐体21内へのガスの侵入が阻害されることもある。
図6は、同様のガス警報器20が壁面W1に設置された別の状態を示す比較例の図である。図示するように、設置者がガス警報器20を部屋の角に設置した場合、筐体21の背面21bが壁面W1と相対して装着され、筐体21の側面21fがそれとは別の壁面W2と相対して装着される。このような設置が行われると、側面21fに設けられた通気孔27aが壁面W2によって覆い隠されるため、ガスが通気孔27aを通して筐体21内のガス検出部に導かれ難くなる。その結果、ガス警報器20によるガスの検出性能が低くなる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体内に設けられるガス検出部へ検出対象とするガスを良好に導くことができるガス警報器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、検出対象とするガスを検出するガス検出部と、前記ガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する警報制御部とを筐体の内部に備え、
前記筐体の外部と内部との間でのガスの流通を許容して、前記筐体の外部に存在するガスが前記筐体の内部の前記ガス検出部に到達できるようにする通気孔が前記筐体に設けられているガス警報器であって、
前記筐体の背面が設置場所となる壁面に相対して設置された状態で、前記通気孔が前記壁面に沿った方向に向かって前記筐体から開口し、及び、前記筐体内に電力を供給するための電源コードが前記通気孔の開口方向と同じ方向に前記筐体内から引き出され
、
前記筐体には、前記通気孔の開口方向と同じ方向に前記筐体の表面から突出する突出部が設けられ、
前記突出部は前記電源コードよりも固い材料で形成され、
前記電源コードは、前記突出部に装着されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、筐体に設けられた通気孔が開口している方向には、電源コードも筐体から引き出されている。つまり、設置場所となる壁面に対して筐体の背面を相対して設置するとき、部屋の角などでその壁面とは別の壁面に対して通気孔の開口部分が相対するように筐体を設置しようとすると、筐体から電源コードが引き出された部分も上記別の壁面に対して押し付けることになる。言い換えると、筐体と上記別の壁面との間には電源コードが挟まれる。そして、電源コードが引き出された部分の存在が邪魔になって、筐体と上記別の壁面との間には隙間が生じる。その結果、筐体に形成されている通気孔の開口部分と上記別の壁面との間にも、その電源コードの存在によって隙間が生じるため、通気孔が上記別の壁面によって完全に覆われることを回避できる。
従って、筐体内に設けられるガス検出部へ検出対象とするガスを良好に導くことができるガス警報器を提供できる。
加えて、上記特徴構成によれば、通気孔の開口方向と同じ方向に筐体から引き出された電源コードは、それと同じ方向に筐体の表面から突出し、電源コードよりも固い材料で形成される突出部に装着される。つまり、電源コードが筐体から突出した状態は突出部によって補強されている。そのため、上記別の壁面に対して通気孔の開口部分が相対するように筐体を設置しようとすると、突出部で補強されている、筐体から電源コードが引き出された部分も上記別の壁面に対して押し付けることになる。言い換えると、突出部で補強されている、電源コードが引き出された部分の存在が邪魔になって、筐体と上記別の壁面との間には隙間が生じる。その結果、筐体に形成されている通気孔の開口部分と上記別の壁面との間にも、突出部で補強されている電源コードの存在によって隙間が生じるため、通気孔が上記別の壁面によって完全に覆われることを回避できる。
【0014】
本発明に係るガス警報器の別の特徴構成は、前記警報制御部で決定された警報を含む情報を表示する表示部が前記筐体の前面に設けられ、
前記筐体の形状は、前記筐体の前面から見て矩形であり、
前記筐体の背面が前記壁面に相対して設置された状態で、前記筐体の前面に対して水平方向に隣接する前記筐体の側面で前記通気孔が開口し、及び、当該筐体の側面から前記電源コードが引き出されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、通気孔が開口している側面と、電源コードが引き出されている側面とが同じである。つまり、設置場所となる壁面に対して筐体の背面を相対して設置するとき、部屋の角などでその壁面とは別の壁面に対して通気孔の開口部分が設けられている筐体の側面を押し付けようとしても、筐体の側面と上記別の壁面との間には電源コードが挟まれる。その結果、側面と上記別の壁面との間に存在する電源コードの存在により、側面全体を上記別の壁面に密着させることはできないため、側面に設けられている通気孔が上記別の壁面によって完全に覆われることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】第1実施形態のガス警報器の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態のガス警報器の設置状態を示す図である。
【
図5】比較例のガス警報器の設置状態を示す図である。
【
図6】比較例のガス警報器の設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係るガス警報器10について説明する。
図1はガス警報器10の斜視図である。
図2はガス警報器10の構成を示す図である。ガス警報器10は、検出対象とするガスを検出するガス検出部13と、ガス検出部13の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する警報制御部12a(制御部12)とを筐体1の内部に備える。加えて、本実施形態のガス警報器10には、警報制御部12aで決定された警報を含む情報を表示する表示部2が筐体1の前面1aに設けられ、及び、筐体1の外部と内部との間でのガスの流通を許容して、筐体1の外部に存在するガスが筐体1の内部のガス検出部13に到達できるようにする通気孔7(7a、7b)が筐体1に設けられている。本実施形態では、筐体1の形状は、筐体1の前面1aから見て矩形である。通気孔7のうち、通気孔7aは筐体1の側面1fに形成され、通気孔7bは筐体1の前面1aに形成されている。
【0020】
筐体1の内部には受電部11も設けられる。受電部11は、筐体1内に電力を供給するための電源コード5に接続される。電源コード5の先端に設けられる電源プラグ6が電気コンセントに接続されると、電力が電源コード5を通って受電部11に供給される。受電部11は、変圧回路や定電圧回路や交流から直流への電力変換回路などを用いて実現される。そして、受電部11に供給された電力が筐体1内の各部で消費される。例えば、電源コード5から受電部11へ交流電力が供給される場合、受電部11では例えば交流から直流への電力変換や変圧などが行われた上で筐体1内の各部に電力が供給される。或いは、電源コード5から受電部11へ直流電力が供給される場合、受電部11では例えば変圧などが行われた上で筐体1内の各部に電力が供給される。
【0021】
筐体1の内部には音声出力部15も設けられる。音声出力部15は、音声を出力できるスピーカなどを用いて実現される。制御部12(警報制御部12a)の制御によって音声出力部15から出力された音声は、筐体1の前面1aに設けられた音孔8を通して筐体1の外部に放出される。
【0022】
本実施形態のガス警報器10が検出対象とするガスは、一酸化炭素(CO)及び都市ガス(メタン)である。よって、ガス検出部13は、一酸化炭素(CO)を検出できるガスセンサと、都市ガスを検出できるガスセンサとを有している。ガス検出部13の検出結果は警報制御部12aに伝達される。
【0023】
本実施形態では、表示部2は、電源用ランプ2a及びCO用ランプ2b及びガス用ランプ2cの3個のランプを有する。筐体1の前面1aにおいて、電源ランプの上には「電源」という文字が記載され、CO用ランプ2bの上には「CO」という文字が記載され、ガス用ランプ2cの上には「ガス」という文字が記載されている。その結果、使用者はどのランプが何の情報を表しているのかを知ることができる。各ランプはLEDなどを用いて実現され、制御部12(警報制御部12a)による制御に従って動作する。例えば、制御部12は、筐体1内に電力が供給されている間は電源用ランプ2aを点灯させるが、電力が供給されていない間は電源用ランプ2aを消灯させることはできない。
【0024】
警報制御部12aは、ガス検出部13の検出結果に基づいて、所定値以上の濃度のCOが検出されたと判定するとCO用ランプ2bを点灯又は点滅させるといった警報表示を行わせ、所定値未満の濃度のCOしか検出されていなければCO用ランプ2bを消灯させる。更に、警報制御部12aは、CO濃度の異常を知らせるための音声を音声出力部15から出力させてもよい。
警報制御部12aは、ガス検出部13の検出結果に基づいて、所定値以上の濃度のメタンが検出されたと判定するとガス用ランプ2cを点灯又は点滅させるといった警報表示を行わせ、所定値未満の濃度のメタンしか検出されていなければガス用ランプ2cを消灯させる。更に、警報制御部12aは、ガス(メタン)濃度の異常を知らせるための音声を音声出力部15から出力させてもよい。
【0025】
筐体1の天面1cにはネジ孔を有する引掛部4が設けられている。特に、引掛部4は、天面1cと背面1bとの境界近傍に設けられている。従って、通常であれば、本実施形態のガス警報器10は、壁面に設けられているネジなどの突起に引掛部4のネジ孔が引掛けられた状態、即ち、筐体1の背面1bが設置場所となる壁面に相対した状態で設置される。
【0026】
上述のように、筐体1の前面1aには、表示部2で表示される警報内容を使用者に認識させるための文字又は記号が記載される。例えば、筐体1の前面1aにおいて、電源ランプの上には「電源」という文字が記載され、CO用ランプ2bの上には「CO」という文字が記載され、ガス用ランプ2cの上には「ガス」という文字が記載されている。従って、筐体1の前面1aが使用者から見やすいように表を向き、且つ、それらの文字が上下方向に正しく向くようにガス警報器10は設置されるはずであり、筐体1の前面1aが壁面に対して相対してそれらの文字が見えなくなるような設置は行われないはずである。
つまり、筐体1の前面1aに記載されている文字又は記号は、筐体1の背面1bを壁面に相対して設置するときの筐体1の適切な姿勢を示す設置姿勢明示部として機能する。
【0027】
図3は、ガス警報器10の設置状態を示す図である。筐体1の背面1bが設置場所となる壁面W1に相対して設置された状態で、通気孔7aが壁面W1に沿った方向に向かって筐体1から開口し、及び、筐体1内に電力を供給するための電源コード5が通気孔7aの開口方向と同じ方向に筐体1内から引き出されている。つまり、
図6に示した比較例のように、壁面W1と水平方向に直交する壁面W2に対して通気孔7aの開口部分が相対するように筐体1を壁面W1に対して設置しようとすると、筐体1から電源コード5が引き出された部分が、壁面W2とは別の壁面W2に対して押し付けることになる。言い換えると、筐体1と壁面W2との間には電源コード5が挟まれる。そして、電源コード5が引き出された部分の存在が邪魔になって、筐体1と壁面W2との間には隙間が生じる。その結果、筐体1に形成されている通気孔7aの開口部分と壁面W2との間にも、その電源コード5の存在によって隙間が生じるため、通気孔7aが壁面W2によって完全に覆われることを回避できる。
【0028】
特に、本実施形態では、筐体1の形状は、筐体1の前面1aから見て矩形であり、筐体1の背面1bが壁面W1に相対して設置された状態で、筐体1の前面1aに対して水平方向に隣接する筐体1の側面1fで通気孔7が開口し、及び、その筐体1の側面1fから電源コード5が引き出されている。このように、通気孔7が設けられているのと同じ側面1fから電源コード5が引き出されている。つまり、通気孔7aが開口している平坦な側面1fと、電源コード5が引き出されている平坦な側面1fとが同じである。そのため、筐体1の背面1bを壁面W1に対して設置するとき、その側面1fを壁面W2に対して押し付けようとしても、筐体1の側面1fと壁面W2との間には電源コード5が挟まれる。その結果、側面1fと壁面W2との間に存在する電源コード5の存在により、側面1fの全体を壁面W2に密着させることはできないため、通気孔7aが壁面W2によって完全に覆われることを回避できる。
【0029】
<第2実施形態>
第2実施形態のガス警報器10は、筐体1からの電源コード5の引き出し態様が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のガス警報器10について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0030】
図4は、第2実施形態のガス警報器10の斜視図である。図示するように、筐体1には、通気孔7aの開口方向と同じ方向に筐体1の表面から突出する突出部9が設けられ、電源コード5はその突出部9に装着されている。突出部9は、筐体1と一体で形成されていても良く、筐体1と別に形成された後で筐体1に装着されたものでもよい。例えば、突出部9は管状であり、その中空部分に電源コード5が挿通された構成を採用できる。突出部9は柔軟性のある材料であっても良いが、電源コード5よりも固い材料であることが好ましい。突出部9が電源コード5よりも固い材料の場合、電源コード5が筐体1から突出した状態が突出部9によって良好に補強されるからである。
【0031】
図4に示した例では、突出部9は筐体1の側面1fから水平方向に延びている。そして、電源コード5が突出部9によって介添えされることで、筐体1から引き出された電源コード5が、少なくとも一定以上の長さだけその引き出し方向(即ち、水平方向)に延びた上で、鉛直下方に垂れ下がる。つまり、通気孔7aが形成されている筐体1の側面1fからは、突出部9及び電源コード5が通気孔7aの開口方向の前方に向けて延びており、電源コード5が筐体1から突出した状態は突出部9によって補強されている。そのため、
図6の比較例に示したのと同様に壁面W2に対して通気孔7aの開口部分が相対するように筐体1を壁面W1に対して設置しようとすると、突出部9で補強されている、筐体1から電源コード5が引き出された部分も壁面W2に対して押し付けることになる。言い換えると、突出部9で補強されている、電源コード5が引き出された部分の存在が邪魔になって、筐体1と壁面W2との間には隙間が生じる。その結果、筐体1に形成されている通気孔7aの開口部分と壁面W2との間にも、突出部9で補強されている電源コード5の存在によって隙間が生じるため、通気孔7aが壁面W2によって完全に覆われることを回避できる。そして、側面1fに設けられている通気孔7aは壁面W2によって覆い隠されることなく、通気孔7を通って筐体1の外部から内部へガスが入り易くなる。
【0032】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明のガス警報器の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、ガス警報器の筐体1の形状は上記実施形態で説明した具体例には限定されず、適宜変更可能である。また、筐体1の側面1fからの突出部9の突出長さも上記実施形態で説明した具体例には限定されず、適宜変更可能である。
【0033】
<2>
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、筐体内に設けられるガス検出部へ検出対象とするガスを良好に導くことができるガス警報器に利用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 :筐体
1a :前面
1b :背面
1f :側面
2 :表示部
5 :電源コード
7 :通気孔
7a :通気孔
9 :突出部
10 :ガス警報器
12 :制御部
12a :警報制御部
13 :ガス検出部
W1 :壁面
W2 :壁面