(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記路側機情報解析部は、前記路側機から、前記路側機の位置及び前記路側機の検出範囲に関する情報である路側機情報を取得し、前記路側機情報に基づき、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定する
  請求項3に記載の車両搭載器。
  路側機情報解析部は、前記車両の予定進行経路の情報を取得し、前記予定進行経路と前記路側機情報とが関連する場合に、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続する
  請求項3または4に記載の車両搭載器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
  本開示に関わる発明者ら、つまり、本発明者らは、「背景技術」で挙げた特許文献1に記載される技術を検討し、アクセスポイントを選択して接続する技術を検討した。例えば、車両に搭載される車両搭載器は、カーナビゲーションシステムで決定された進行経路に従って、車両と共に移動する。車両及びその運転者は、進行経路及びその周辺の情報を必要とする。このため、車両搭載器は、進行経路及びその周辺に位置するアクセスポイントである路側機と接続し、当該路側機から必要な情報を取得することが望ましい。そこで、本発明者らは、アクセスポイントのうちから進行経路及びその周辺に位置するアクセスポイントを選択するように、適切なアクセスポイントへの車両搭載器等の無線端末の接続を可能にするために、以下に記載されるような技術を見出した。
 
【0013】
  本開示の一態様に係る通信システムは、道路に設置される路側機と、車両に搭載される車両搭載器とを備え、前記路側機は、前記路側機の周辺の状況を検出するセンサと、前記センサの検出結果及び前記路側機の地図情報を取得し、前記センサの前記検出結果及び前記路側機の前記地図情報から前記路側機の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記路側機の位置情報を含む情報を無線通信により同報する情報配信部と、前記センサの検出結果及び前記路側機の地図情報を取得し、前記センサの前記検出結果及び前記路側機の前記地図情報から前記路側機の周辺の情報を取得する周辺情報処理部とを有し、前記周辺情報処理部は、前記車両搭載器と前記路側機との個別の無線接続を認証し、前記車両搭載器に前記路側機の周辺の情報を送信し、前記車両搭載器は、前記情報配信部から同報される情報を無線通信により取得し、前記路側機の位置に関する情報を取得する路側機情報解析部と、前記車両搭載器と前記路側機との個別の無線接続を制御する路側機接続部と、前記周辺情報処理部から前記路側機の周辺の情報を取得する路側機情報処理部とを有し、前記路側機情報解析部は、前記路側機の位置に関する情報である路側機情報に基づき、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定し、前記路側機接続部へ無線の接続又は切断を指示する。
 
【0014】
  上記態様によると、車両搭載器は、路側機の位置に関する情報を取得し、取得した情報に基づき、路側機と車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定する。これにより、車両に無関係な位置の路側機が、無線の接続対象から除外され得る。そして、車両搭載器は、事前に路側機の位置がわからなくても、適切な路側機を選別し、選別した路側機と無線接続することができる。よって、車両搭載器は、路側機の周辺の情報を得るために、不要な路側機との無線接続を低減することができる。従って、通信システムは、車両搭載器による適切なアクセスポイントへの接続を可能にする。なお、路側機の位置に関する情報は、データ量を小さく抑えることができるため、同報されても無線網に与える負荷を低く抑えることができる。路側機の周辺の情報は、データ量が大きくなっても、車両搭載器の無線接続対象の数量が抑えられるため、良好な通信環境を確保することが可能である。
 
【0015】
  本開示の一態様に係る通信システムにおいて、前記路側機は、前記センサの前記検出結果及び前記路側機の前記地図情報から前記路側機の検出範囲に関する情報を取得するセンシング範囲取得部をさらに有し、前記情報配信部は、前記路側機の位置情報及び検出範囲に関する情報を同報し、前記路側機情報解析部は、前記路側機の位置及び検出範囲に関する情報である路側機情報に基づき、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定してもよい。
 
【0016】
  上記態様によると、車両搭載器は、路側機の位置及び検出範囲に関する情報を取得し、取得した情報に基づき、路側機と車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定する。これにより、検出範囲が車両に無関係である路側機が、無線の接続対象から除外され得る。よって、車両搭載器が無線接続する路線機の数量が、低く抑えられる。そして、車両搭載器は、より適切な路線機を選別して、無線接続をすることができる。
 
【0017】
  本開示の一態様に係る通信システムにおいて、前記路側機情報解析部は、前記車両の予定進行経路の情報を取得し、前記予定進行経路と前記路側機情報とが関連する場合に、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続してもよい。
 
【0018】
  上記態様によると、車両の予定進行経路と路側機情報とが関連する場合に、路側機と車両搭載器とが個別に無線接続される。よって、車両搭載器は、車両が走行する過程において必要な周辺の情報を有する路線機を選別し、無線接続する。従って、車両搭載器による適切なアクセスポイントへの接続が可能になる。
 
【0019】
  本開示の一態様に係る通信システムにおいて、前記情報配信部からの同報は、複数の前記路側機をアクセスポイントとするネットワークを介した無線通信であり、前記路側機と前記車両搭載器との個別の無線接続は、1つの前記路側機をアクセスポイントとするネットワークを介した無線通信であってもよい。
 
【0020】
  上記態様によると、情報配信部からの同報が使用するネットワークと、路側機と車両搭載器との個別の無線接続が使用するネットワークとが、別々にされるため、互いの干渉を抑えることができる。
 
【0021】
  本開示の一態様に係る車両搭載器は、道路に設置される路側機と無線接続することができ且つ車両に搭載される車両搭載器であって、前記路側機から同報され且つ前記路側機の位置に関する情報を含む情報を無線通信により取得する路側機情報解析部と、前記車両搭載器と前記路側機との個別の無線接続を制御する路側機接続部と、前記車両搭載器と前記路側機との個別の無線接続時に、前記路側機から前記路側機の周辺の情報を取得する路側機情報処理部とを備え、前記路側機情報解析部は、前記路側機の位置に関する情報である路側機情報に基づき、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定し、前記路側機接続部へ無線の接続又は切断を指示する。上記態様によると、本開示の一態様に係る通信システムと同様の効果が得られる。
 
【0022】
  本開示の一態様に係る車両搭載器において、前記路側機情報解析部は、前記路側機から、前記路側機の位置及び前記路側機の検出範囲に関する情報である路側機情報を取得し、前記路側機情報に基づき、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続するか否かを決定してもよい。
 
【0023】
  本開示の一態様に係る車両搭載器において、路側機情報解析部は、前記車両の予定進行経路の情報を取得し、前記予定進行経路と前記路側機情報とが関連する場合に、前記路側機と前記車両搭載器とを個別に無線接続してもよい。
 
【0024】
  本開示の一態様に係る車両搭載器において、前記路側機からの同報は、複数の前記路側機をアクセスポイントとするネットワークを介した無線通信であり、前記路側機と前記車両搭載器との個別の無線接続は、1つの前記路側機をアクセスポイントとするネットワークを介した無線通信であってもよい。
 
【0025】
  本開示の一態様に係るプログラムは、道路に設置される路側機から同報され且つ前記路側機の位置に関する情報を含む情報を無線通信により取得し、前記路側機の位置に関する情報に基づき、前記路側機との個別の無線接続をするか否かを決定し、前記決定に基づき、前記路側機へ無線の接続又は切断を実行し、前記路側機との個別の無線接続時に、前記路側機から前記路側機の周辺の情報を取得することを、コンピュータに実行させる。上記態様によると、本開示の一態様に係る通信システムと同様の効果が得られる。
 
【0026】
  なお、本開示は、システム及び装置として実現されるだけでなく、このようなシステム又は装置が備える処理手段を備える集積回路として実現されてもよく、そのシステム又は装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現されてもよく、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現されてもよく、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現されてもよい。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体又はインターネット等の通信媒体を介して配信されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD−ROM(Compact  Disc−Read  Only  Memory)等の不揮発性の記録媒体を含む。
 
【0027】
  以下、実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、並びにステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、第一、第二及び第三などの序数が、構成要素などに対して、表現上、適宜付け加えられる場合がある。
 
【0028】
  また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
 
【0029】
  [実施の形態1]
  まず、
図1及び
図2を参照して、実施の形態1に係る通信システム100の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る通信システム100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図2は、実施の形態1に係る通信システム100の適用例を示す概略図である。なお、以下の実施の形態では、通信システムにおいて、情報を発信するインフラ装置が、路側機であり、インフラ装置からの情報を受信する無線端末が、車両搭載器であるとして、説明を行う。インフラ装置は、公共サービス及び民間サービスのいずれによっても運営されてもよく、公共サービス及び民間サービスを通じて、利用者に種々の情報を提供する装置である。
 
【0030】
  図1に示すように、通信システム100は、道路の脇、上方又は下方等に配置される路側機20と、道路を走行する車両に搭載される車両搭載器10とを備える。車両搭載器10と路側機20とは、無線網30を介して互いに接続される。限定するものではないが、本実施の形態では、無線網30は、無線LANである。例えば、無線網30は、通信ライセンスが不要な無線LANであってもよく、例えば、国際標準規格であるIEEE802.11系の規格を使用するWi−Fi(登録商標)(Wireless  Fidelity)であってもよい。しかしながら、無線網30は、無線情報をブロードキャストつまり同報する無線メディアであれば、いかなる無線メディアであってもよく、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信であってもよい。
 
【0031】
  例えば、
図2を参照すると、道路Rにおいて、複数の路側機20A、20B及び20Cが、道路Rの脇に互いに間隔をあけて配置されている。路側機20A〜20Cそれぞれは、所定半径内の範囲等の所定の範囲内を走査し、所定の範囲内の状況の情報を、車両1が搭載する車両搭載器10に発信する。車両搭載器10は、路側機20A〜20Cと無線接続することによって、無線接続した路側機20A〜20Cから情報を取得する。路側機20A〜20Cが発信する情報は、道路R及びその周辺に存在する他の車両2、障害物3、歩行者4及び建物5などの位置情報等を含み得る。
 
【0032】
  図1に示すように、路側機20は、無線I/F(インタフェース)21と、センサ22と、位置情報取得部23と、位置情報配信部24と、周辺情報処理部25と、路側機周辺地図管理部26とを備える。位置情報配信部24は、情報配信部の一例である。
 
【0033】
  無線I/F21は、無線で、無線網30を介して車両搭載器10と通信する。無線I/F21は、上記通信のためのインタフェースであり、例えば無線通信回路である。
 
【0034】
  センサ22は、路側機20に搭載され、路側機20の位置情報及び周辺情報を取得する。本実施の形態では、センサ22は、例えば、レーザレンジファインダ、ミリ波センサ又は超音波測距装置等の測距センサを有し、路側機20からその周囲の物体までの距離及び物体形状等の観測値を取得する。また、センサ22は、GPS(Global  Positioning  System)受信器を有し、路側機20の緯度、経度及び高度等の位置情報を取得する。また、センサ22は、例えば、カメラ又はステレオカメラ等の撮像装置をさらに有してもよい。この場合、センサ22は、道路R上の車線、信号機及び標識等を検出し、車線、信号機及び標識の位置及び色等の情報を取得し得る。
 
【0035】
  位置情報取得部23は、路側機20が設置された位置に関する物理的な位置情報を取得する。物理的な位置情報は、2次元の位置情報であってもよく、3次元の位置情報であってもよい。位置情報取得部23は、センサ22のGPS受信器が受信する位置情報に基づき、路側機20の位置情報を取得してもよい。又は、位置情報取得部23は、センサ22の測距センサが取得する路側機20と周囲の物体との距離及び方向と、後述する路側機周辺地図管理部26が格納する路側機20の周辺の地図情報とに基づき、路側機20の地図上での位置を推定してもよい。又は、位置情報取得部23は、撮像装置のステレオカメラを用いて取得する路側機20と周囲の物体との距離及び方向と、路側機20の周辺の地図情報とに基づき、路側機20の地図上での位置を推定してもよい。位置情報取得部23又は路側機周辺地図管理部26は、路側機20の設置者によって予め設定された路側機20の位置情報を保持していてもよい。
 
【0036】
  位置情報配信部24は、位置情報取得部23で取得した路側機20の位置情報を、定期的に発信する。具体的には、位置情報配信部24は、当該位置情報を、無線ビーコンに記載して、無線I/F21を介して無線網30に同報、つまりブロードキャストする。限定するものではないが、本実施の形態では、路側機20の位置情報は、無線網30において、複数の路側機20をアクセスポイントとする広域ネットワークの一例であるESS(Extended  Service  Set)を通じて、複数の車両の車両搭載器に送られる。これにより、各車両の車両搭載器は、特別な通信ライセンスを有していなくても、各路側機20からその位置情報を取得することができる。これにより、複数の車両のうちの1つである車両1の車両搭載器10も、各路側機20から、その位置情報を取得することができる。
 
【0037】
  例えば、位置情報配信部24は、
図3に示すような無線ビーコンの一例である位置情報伝達ビーコンに、路側機20の位置情報と、当該路側機20のみをアクセスポイントとするネットワークの無線IDとを記載して同報する。なお、
図3は、位置情報配信部24によって生成されるIEEE802.11系の規格を使用する無線ビーコンの一例である。位置情報伝達ビーコンでは、路側機20の無線IDは、SSID(Service  Set  Identifier)である。このような位置情報伝達ビーコンを用いることによって、無線フレームのフレームボディに路側機20の位置情報を記載することができ、無線網30を介したブロードキャストにより位置情報の同報が可能である。そして、無線のIDであるSSIDと位置情報とがセットにされて送られるため、地図上のどの位置にどの路側機20が存在するかを車両搭載器10に知らせることが可能である。位置情報伝達ビーコンを受信することによって、車両搭載器10は、無線網30を介して路側機20と個別に接続する前に、路側機20の位置を知ることができ、詳細を後述するが、路側機20の位置に基づき、接続する路側機20を選択することができる。
 
【0038】
  なお、位置情報伝達ビーコンにおいて、フレーム制御は、MAC(Media  Access  Control)フレームの情報を示し、デュレーション/IDは、無線回線を使用する予定期間を示す。宛先アドレスは、宛先MACアドレスを示し、送信元アドレスは、送信元MACアドレス、つまり路側機20のMACアドレスを示す。BSSID(Basic  Service  Set  Identifier)は、無線セルの識別子を示し、例えば、アクセスポイントのMACアドレスを示す。シーケンス制御は、シーケンス番号を示し、例えば、パケットに付けられる通し番号を示す。フレームボディは、MACフレームのデータを示し、本実施の形態では、無線IDを示すSSIDと路側機20の位置情報とを含む。FCS(Frame  Check  Sequence)は、MACフレームの誤り訂正符号を示す。このような位置情報伝達ビーコンの情報量は、小さく抑えることができるため、ネットワークへの負荷を低く抑えることができる。
 
【0039】
  周辺情報処理部25は、路側機20の周辺の環境に関する情報を発信する。例えば、周辺情報処理部25は、路側機20の周辺の移動体及び一時的な障害物を特定し、特定した移動体及び障害物の位置に関する情報を発信する。具体的には、周辺情報処理部25は、センサ22の測距センサ及び/又は撮像装置の検知情報に基づき、物体が移動体であるか否かを特定し、移動体である場合、車両、人及び自転車等の移動体の種類を特定する。もし移動体の種類が、センサ22が受ける遮蔽やセンサ22の解像度などにより特定できない場合は、周辺情報処理部25は、単純に移動体又は物体という種別で特定してもよい。さらに、周辺情報処理部25は、特定した移動体の位置を経時的に推定し、推定した移動体の位置情報を随時発信する。周辺情報処理部25は、移動体及び障害物の位置情報を地図情報に反映し発信してもよい。
 
【0040】
  また、物体が移動体でない場合、周辺情報処理部25は、物体の位置を推定し、推定した物体の位置を、路側機周辺地図管理部26が格納する地図と照合する。周辺情報処理部25は、推定した物体の位置が、地図上の建物等の不動物体の位置に一致する場合、当該物体を地図上の不動物体と判定し、地図上の不動物体の位置に一致しない場合、一時的に設置された障害物と判定する。そして、周辺情報処理部25は、障害物の位置情報を発信する。なお、周辺情報処理部25は、センサ22の撮像装置の検知結果に基づき、障害物の種類を特定し、障害物の種類を位置情報と共に送信してもよい。
 
【0041】
  移動体及び障害物の位置の推定は、位置情報取得部23での路側機20の位置の推定と同様に、センサ22の測距センサ及び/又は撮像装置の検知情報と、後述する路側機周辺地図管理部26が格納する路側機20の周辺の地図情報とに基づき行われてもよい。周辺情報処理部25は、詳細は後述するが、路側機20と車両搭載器10との個別の無線接続が確立されている時、移動体及び障害物の位置情報を、無線I/F21及び無線網30を介して、車両搭載器10に送信する。周辺情報処理部25は、車両搭載器10からの路側機20への個別の無線接続を受け付け、車両搭載器10との無線接続を認証してもよい。
 
【0042】
  また、周辺情報処理部25は、路側機20の周辺の構造物に関する情報を発信してもよい。例えば、周辺情報処理部25は、センサ22の測距センサ及び/又は撮像装置の検知情報と、地図情報とに基づき、車道、歩道及びガードレールなどの道路構造物の位置及び寸法、並びに、車道の車線情報等の情報を発信してもよい。
 
【0043】
  路側機周辺地図管理部26は、路側機20の周辺の地図情報を格納し管理するデータベースである。地図情報は、路側機20の周辺の道路及び建物等に関する位置、寸法及び形状等を含む詳細な情報が反映された高精度地図の情報を含んでよい。道路に関する情報は、道路の車線数、停止線位置、横断歩道及び歩道の位置、自転車通行帯の位置、道路の種類、道路の制限速度、道路の事故歴等を含んでもよい。道路の種類は、一般道、自動車専用道路、高速道路等の道路構造に関する種類を含んでもよく、生活道路、市街地道路、郊外道路、山間道路等の道路環境に関する種類を含んでもよい。
 
【0044】
  車両搭載器10は、無線I/F(インタフェース)11と、路側機位置解析部12と、路側機接続部13と、路側機情報処理部14と、経路決定部15と、地図管理部16とを備える。路側機位置解析部12は、路側機情報解析部の一例である。
 
【0045】
  無線I/F11は、無線で、無線網30を介して路側機20と通信する。無線I/F11は、上記通信のためのインタフェースであり、例えば無線通信回路である。なお、無線I/F11は、複数搭載されていてもよい。
 
【0046】
  路側機位置解析部12は、無線網30において、ESS等を介して複数の路側機20から同報される情報を受信し、当該情報に含まれる路側機20の位置情報と当該路側機20の無線IDとを取得する。路側機位置解析部12は、後述する経路決定部15が決定した車両1が進む予定進行経路と、取得した各路側機20の位置情報とから、予定進行経路の周辺に位置する路側機20を選別する。予定進行経路の周辺に位置する路側機20は、例えば、予定進行経路から所定の距離内に位置する路側機20であってもよく、路側機20の検出範囲内に予定進行経路が含まれる路側機20であってもよい。
 
【0047】
  そして、路側機位置解析部12は、路側機接続部13へ選別した路側機20との無線接続を指示する。無線I/F11が複数搭載されている場合、路側機位置解析部12は、選別した路側機20の全てと車両搭載器10とを無線I/F11の搭載されている数を上限として同時に無線接続するように指示してもよく、車両1の進行に合わせて、車両1に最も近い路側機20と車両搭載器10とを無線接続するように指示してもよい。また、路側機位置解析部12は、予定進行経路と路側機20の位置との関係が無関係になった路側機20について、当該路側機20と車両搭載器10との無線接続を切断するように、路側機接続部13に指示する。
 
【0048】
  予定進行経路と路側機20の位置との関係が無関係になった路側機20は、例えば、予定進行経路から第1の所定の距離超離れた位置になった路側機20であってもよく、路側機20の検出範囲内に予定進行経路が含まれないようになった路側機20であってもよく、車両1から第2の所定の距離超離れた位置になった路側機20であってもよく、車両1から第3の所定の距離超離れた位置になった路側機20であってもよい。第1の所定の距離は、路側機20による予定進行経路の走査結果が十分に得られないような距離であってもよい。第2の所定の距離は、路側機20と車両搭載器10との無線通信が不安定になるような距離であってもよい。第3の所定の距離は、路側機20の走査半径であってもよい。車両1が進行することによって、予定進行経路が変化するため、上述のような路側機20が発生する。又は、行き先の変更等で予定進行経路が変更を受けた場合も、上述のような路側機20が発生し得る。
 
【0049】
  路側機接続部13は、路側機位置解析部12からの指示に従って、車両搭載器10と路側機20との無線網30を介した無線接続の確立及び切断を行う。限定するものではないが、本実施の形態では、車両搭載器10と路側機20との無線接続は、無線網30において、1つの路側機20のみをアクセスポイントとするネットワークの一例であるBSS(Basic  Service  Set)を用いた無線接続である。路側機接続部13は、接続すべき路側機20の無線IDであるSSIDに基づき、当該路側機20と無線接続する。路側機20と車両搭載器10との無線接続、つまり、路側機20と路側機接続部13との無線接続は、暗号化されてもよい。この場合、路側機接続部13は、SSIDに対応する暗号化キー又はセキュリティキーを路側機20に送信し、路側機20によって認証されることによって接続を確立してもよい。路側機20と路側機接続部13とは、個別に無線接続されているため、互いの間で大きなデータ量の情報が送受信されても、ネットワークの通信速度の低下が抑えられる。
 
【0050】
  路側機情報処理部14は、BSSを介して車両搭載器10と路側機20とが無線接続がされている時、路側機20から送信される情報を受信し、車両1の移動等の制御に反映する。路側機情報処理部14は、受信した情報を運転者に報知してもよい。受信する情報は、路側機20の周辺情報処理部25によって処理された情報であり、例えば、路側機20の周辺の移動体及び障害物に関する情報及びこれらの地図情報等の路側機20の外部環境情報を含んでよい。路側機情報処理部14は、路側機20に車両1の情報を送信し、車両1に対応する情報を路側機20から取得してもよい。例えば、車両1の情報は、大型車、普通車、軽自動車、二輪車及び軽車両等の車両1の形式、バス、タクシー及び一般車等の車両1の分類、車両1の車種等の情報を含んでもよい。これにより、例えば、車両1が道路を通行可能であるか否か、及び制限速度等の車両1の通行に関する情報を、路側機20から取得することが可能になる。
 
【0051】
  経路決定部15は、車両1が搭載するカーナビゲーション装置等を用いて決定された車両1が進む予定進行経路を管理する。さらに、経路決定部15は、車両1が搭載するカーナビゲーション装置等を用いて車両1の位置情報も取得し、予定進行経路と車両1の位置とを対応つけてこれらを管理する。
 
【0052】
  地図管理部16は、地図情報を格納し管理するデータベースである。地図情報は、道路及び建物等に関する位置、寸法及び形状等を含む詳細な情報が反映された高精度地図の情報を含んでよい。道路に関する情報は、道路の車線数、停止線位置、横断歩道及び歩道の位置、自転車通行帯の位置、道路の種類、道路の制限速度、道路の事故歴等を含んでもよい。道路の種類は、一般道、自動車専用道路、高速道路等の道路構造に関する種類を含んでもよく、生活道路、市街地道路、郊外道路、山間道路等の道路環境に関する種類を含んでもよい。
 
【0053】
  車両搭載器10の路側機位置解析部12、路側機接続部13、路側機情報処理部14及び経路決定部15、並びに、路側機20の位置情報取得部23、位置情報配信部24及び周辺情報処理部25による構成要素の一部又は全ては、電子回路又は集積回路等のハードウェアで実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるプログラム等のソフトウェアで実現されてもよい。例えば、上記構成要素は、CPU、RAM(Random  Access  Memory)、ROM(Read−Only  Memory)等からなるコンピュータシステム(図示せず)により構成されてもよい。上記構成要素の一部又は全部の機能は、CPUがRAMを作業用のメモリとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって達成されてもよい。プログラムは、アプリケーションとして、インターネット等の通信網を介した通信、モバイル通信規格による通信等で提供されるものであってもよい。
 
【0054】
  車両搭載器10の地図管理部16及び路側機20の路側機周辺地図管理部26は、情報を格納できればよく、半導体メモリ又はハードディスクドライブであってもよい。又は、地図管理部16及び路側機周辺地図管理部26は、車両搭載器10及び路側機20から離れた場所に配置されてもよい。地図管理部16及び路側機周辺地図管理部26は、これらと無線通信又は有線通信する図示しないサーバ装置に備えられてもよく、クラウドサーバ上に配置されてもよい。
 
【0055】
  また、車両搭載器10は、コンピュータ装置等の単独の装置として車両1に搭載されてもよく、車両1に搭載されるECU(Electric  Control  Unit:電子制御ユニット)等のコンピュータ装置に組み込まれてもよい。車両搭載器10は、電子回路又は集積回路等のハードウェアで実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるプログラム等のソフトウェアで実現されてもよい。
 
【0056】
  次に、
図4及び
図5を中心に参照して、実施の形態1に係る通信システム100の動作を説明する。
図4は、路側機20の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、車両搭載器10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
 
【0057】
  図1及び
図4を参照して、通信システム100の路側機20の動作を説明する。ステップS101において、路側機20のセンサ22は、一定の時間間隔毎に、検出を行い、検出データを取得する。例えば、センサ22は、GPS受信器が検知する路側機20の緯度、経度及高度等の位置情報を取得する。又は、センサ22は、測距センサが検知する路側機20の周囲の物体の位置情報を取得する。測距センサは、例えば、レーザレンジファインダの場合、周囲にレーザを照射し、周囲の物体に当たって反射して返ってくるレーザの反射波に基づき、路側機20に対する周囲の物体の相対的な位置を算出する。これにより、反射した位置の点の集合のデータである周囲の物体の点群データが得られる。点群データには、各点と路側機20との位置関係が含まれる。
 
【0058】
  ステップS102において、路側機20の位置情報取得部23は、センサ22の検出結果に基づき、路側機20の自己位置を取得する。位置情報取得部23は、センサ22のGPS受信器から路側機20の緯度、経度及高度等の位置情報を取得した場合、これらの情報をそのまま用いて、路側機20の自己位置を取得し、路側機周辺地図管理部26が保持する地図情報に路側機20の位置をマッピングする。位置情報取得部23は、センサ22の測距センサから路側機20の位置情報を取得した場合、周囲の物体の点群データと、事前に計測された周囲の物体の点群データとを比較して、路側機20の位置を推定する。さらに、位置情報取得部23は、推定した位置を緯度及び経度で表し、路側機周辺地図管理部26が保持する地図情報に路側機20の位置をマッピングする。
 
【0059】
  ステップS103において、路側機20の位置情報配信部24は、ステップS102において地図情報と関連つけられた路側機20の位置情報と、無線のID等の無線の情報とを無線フレームに記載して、ビーコンフレームを生成する。例えば、ビーコンフレームの一例である位置伝達情報ビーコンが、
図3に示されている。
 
【0060】
  そして、ステップS104において、位置情報配信部24は、無線I/F21を介して、無線網30へ、生成したビーコンをブロードキャストする。複数の路側機20の位置情報配信部24は、無線網30において、複数の路側機20をアクセスポイントとするネットワークに、生成したビーコンを送信する。各路側機20は、ステップS101〜S104の処理を繰り返すことによって、センサ22が検知動作をする一定時間毎に、ビーコンを生成しブロードキャストする。
 
【0061】
  図1及び
図5を参照して、通信システム100の車両搭載器10の動作を説明する。ステップS201において、車両搭載器10の路側機位置解析部12は、各路側機20からブロードキャストつまり同報されるビーコンを、無線I/F11を介して受信する。次いで、ステップS202において、路側機位置解析部12は、
図3に示すような各路側機20からのビーコンのフレームボディを解析し、当該路側機20の無線IDであるSSIDとその位置情報とを取得する。
 
【0062】
  次いで、ステップS203において、路側機位置解析部12は、地図管理部16から地図情報を取得する。さらに、ステップS204において、路側機位置解析部12は、経路決定部15から車両1の予定進行経路の情報と車両1の現在位置の情報とを取得する。路側機位置解析部12は、車両1の現在位置の情報を車載のカーナビゲーション装置から取得してもよい。そして、路側機位置解析部12は、ステップS203で取得した地図に、車両1の予定進行経路及び現在位置をマッピングする。
 
【0063】
  次いで、ステップS205において、路側機位置解析部12は、車両搭載器10が路側機20と無線接続されているか否かを判定する。この無線接続は、例えば、BSSを用いた無線接続である。路側機位置解析部12は、無線が未接続である場合(ステップS205でNO)、ステップS206に進み、無線が接続済みである場合(ステップS205でYES)、ステップS209に進む。
 
【0064】
  ステップS206では、路側機位置解析部12は、車両1の予定進行経路上に存在し且つ車両1からの距離が閾値以内の路側機20が存在するか否かを判定する。路側機20が予定進行経路上に存在することは、路側機20が予定進行経路上の道路の脇、上方又は下方に存在するような、路側機20が予定進行経路上の道路から数m以内の位置に存在する場合だけでなく、予定進行経路上の道路から上記の第1の所定の距離以内に路側機20が存在する場合を含んでもよい。路側機20が車両1から閾値以内の距離に存在することは、路側機20と車両1との安定した無線通信が確立できる上記の第2の所定の距離以内の車両1からの位置に、路側機20が存在することであってもよい。又は、路側機20が車両1から閾値以内の距離に存在することは、路側機20の検出範囲である上記の第3の所定の距離以内の車両1からの位置に、路側機20が存在することであってもよい。なお、いずれの場合も、上記閾値は、車両1の速度に応じて変えられてもよい。例えば、車両1の速度が高くなるほど、車両1と路側機20との距離の変化が大きくなるため、上記閾値は大きくされてもよい。
 
【0065】
  予定進行経路上に存在し且つ車両1からの距離が閾値以内の路側機20が存在する場合(ステップS206でYES)、路側機位置解析部12は、ステップS207に進み、車両搭載器10の路側機接続部13に、路側機20との無線接続の実施を指示する。なお、複数の路側機20が存在する場合、路側機位置解析部12は、全ての路側機20と車両搭載器10との無線接続を同時に実施するように指示してもよく、車両1に最も近い路側機20と車両搭載器10との無線接続のみを指示してもよい。路側機接続部13は、指示された路側機20との無線接続を、無線I/F11及び無線網30を介して確立する。無線接続の確立後、車両搭載器10の路側機情報処理部14は、路側機20から、路側機20の周辺の移動体及び障害物に関する情報及びこれらの地図情報等の路側機20の外部環境情報を取得し、車両搭載器10は、取得した情報を車両1の制御に反映する。
 
【0066】
  予定進行経路上に存在し且つ車両1からの距離が閾値以内の路側機20が存在しない場合(ステップS206でNO)、路側機位置解析部12は、ステップS208へ進む。そして、路側機位置解析部12は、車両搭載器10の無線接続状態を現状に維持する、つまり、無線を未接続状態のまま維持する。
 
【0067】
  ステップS209において、路側機位置解析部12は、車両搭載器10と無線接続中の路側機20の車両1からの距離が閾値以内であるか否かを判定する。この閾値は、ステップS206での閾値と同一であってもよい。上記距離が閾値以内である場合(ステップS209でYES)、路側機位置解析部12は、ステップS208へ進み、上記路側機20と車両搭載器10との無線接続を維持する。上記距離が閾値超である場合(ステップS209でNO)、路側機位置解析部12は、ステップS210へ進み、路側機接続部13に、上記路側機20と車両搭載器10との無線接続の切断を指示する。そして、路側機接続部13は、当該無線接続を切断する。
 
【0068】
  ステップS201〜S210の処理を行うことによって、車両搭載器10は、車両1が移動している状態であっても、車両1の予定進行経路上に存在し且つ車両1からの距離が閾値以内の路側機20を抽出し、抽出した路側機20と無線接続する。そして、車両搭載器10は、各路側機20の位置を事前に保持していなくても、車両1の移動に関連する路側機20と無線接続することができる。
 
【0069】
  例えば、
図2を参照すると、予定進行経路に沿って走行する車両1の車両搭載器10は、まず、路側機20Cと無線接続し、次いで、路側機20Bと無線接続する。しかしながら、車両搭載器10は、予定進行経路から離れた路側機20Aとは無線接続しない。このように、車両搭載器10は、適切なアクセスポイントである路側機20を選んで無線接続することができる。
 
【0070】
  [実施の形態2]
  実施の形態2に係る通信システム200を説明する。実施の形態2に係る通信システム200は、路側機が生成するビーコンに、路側機の位置情報だけでなく、路側機の検出範囲の情報が含まれている点で、実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
 
【0071】
  図6を参照すると、実施の形態2に係る通信システム200の路側機220は、無線I/F21と、センサ22と、位置情報取得部23と、情報配信部224と、周辺情報処理部25と、路側機周辺地図管理部26と、センシング範囲取得部227とを備える。なお、
図6は、実施の形態2に係る通信システム200の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
 
【0072】
  センシング範囲取得部227は、路側機220がセンサ22を用いて観測している範囲であるセンシング範囲(検出範囲とも呼ぶ)に関する情報を、周辺情報処理部25から取得する。また、センシング範囲取得部227は、位置情報取得部23から路側機220の位置情報を取得し、センシング範囲の位置を特定してもよく、センサ22の検知情報と地図情報とに基づき、センシング範囲の位置を推定してもよい。
 
【0073】
  センシング範囲の情報は、センサ22による路側機220からの検知半径の情報を含んでもよい。この検知半径の情報は、検知半径を有する円の領域情報であってもよく、円の領域からセンサ22が検知できない領域を除去した領域の情報であってもよい。例えば、
図7を参照すると、路側機220Aは、円領域20Aaの検出範囲を有するが、建物5の影響によって、領域20Aa5(図中、右下がりの斜線によるハッチ領域)は、センサ22によって走査できない。なお、
図7は、実施の形態2に係る通信システム200の適用例を示す概略図である。また、路側機220Bは、円領域20Baの検出範囲を有するが、建物5の影響によって、領域20Ba5(図中、右上がりの斜線によるハッチ領域)は、センサ22によって検知できない。例えば、円領域20Aaから領域20Aa5を除去した領域が、路側機220Aの検出範囲とされ、地図上にマッピングされた状態で、センシング範囲取得部227によって発信されてもよい。例えば、領域20Aa5及び20Ba5は、センサ22によって取得される周囲の物体の点群データから算出可能である。
 
【0074】
  また、センシング範囲の情報は、センサ22の検出範囲における地図に記載されるエリアの情報を含んでもよい。例えば、地図上では、エリアの情報として、車道、歩道、路側帯、自転車通行帯、駐車帯及び横断歩道等の道路に関連するエリアに対して、予めIDが割り当てられる場合がある。このIDは、共通の規則に従って付与され、エリアの種類を含み、さらに、エリアの位置情報を含んでもよい。これにより、地図とIDとを確認することによって、道路におけるエリアの種類及び位置を判別することが可能である。
 
【0075】
  また、センシング範囲の情報は、センサ22の検出範囲に関連する道路の車線に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺情報処理部25は、センサ22が、車両が走行可能な車線に影響がある領域をセンシングしているか否かを判定する。この影響は、センサ22の検出範囲に車線が含まれる直接的な影響と、センサ22の検出範囲に車線が含まれない間接的な影響とを含み得る。間接的な影響は、例えば、車線に交差する道路、車線に流入又は流出する車線等がセンサ22の検出範囲に含まれる場合に生じ得る。センサ22が上記センシングをしている場合、周辺情報処理部25は、センサ22のセンシングの影響が及ぶ車線に関して、地図上で予め付与された車線番号を抽出し、センシング範囲の情報に含めてもよい。
 
【0076】
  情報配信部224は、位置情報取得部23で取得した路側機220の位置情報と、センシング範囲取得部227で取得したセンシング範囲の情報とを、無線ビーコンに記載して、定期的に同報、つまりブロードキャストする。情報配信部224は、実施の形態1に係る位置情報配信部24と同様に、無線網30において、複数の路側機220をアクセスポイントとするネットワークの一例であるESSを通じて、情報を配信する。
 
【0077】
  また、車両搭載器210は、無線I/F11と、路側機情報解析部212と、路側機接続部13と、路側機情報処理部14と、経路決定部15と、地図管理部16とを備える。
 
【0078】
  路側機情報解析部212は、各路側機220の情報配信部224から同報される路側機220のセンシング範囲の情報及び位置情報を取得する。そして、路側機情報解析部212は、実施の形態1のように路側機220の位置に関する条件を満たし且つセンシング範囲の情報が車両1の予定進行経路に関連する路側機220のみを選別し、選別した路側機220と無線接続を行う。無線接続は、実施の形態1と同様に、1つの路側機220のみをアクセスポイントとするネットワークの一例であるBSSを用いた無線接続である。
 
【0079】
  そして、路側機情報解析部212は、路側機接続部13へ選別した路側機220との無線接続を指示する。路側機情報解析部212は、選別した路側機220の全てと車両搭載器210とを同時に無線接続するように指示してもよく、車両1の進行に合わせて、車両1に最も近い路側機220と車両搭載器210とを無線接続するように指示してもよい。また、路側機情報解析部212は、予定進行経路と路側機220の位置との関係が無関係になった路側機220について、当該路側機220と車両搭載器210との無線接続を切断するように、路側機接続部13に指示する。
 
【0080】
  なお、路側機220のセンシング範囲の情報が車両1の予定進行経路に関連することは、路側機220からの検知半径の情報に基づいて判定されてもよい。路側機220からの検知半径の情報が含む路側機220の検出範囲が、車両1の予定進行経路を含む場合、路側機情報解析部212は、上記関連が存在すると見なしてもよい。
 
【0081】
  路側機220のセンシング範囲の情報が車両1の予定進行経路に関連することは、センサ22の検出範囲における地図に記載されるエリアの情報に基づいて判定されてもよい。路側機情報解析部212は、情報配信部224から同報されるエリアの種類及び位置に基づき、当該エリアが車両1の予定進行経路に関連するか否かを判定することができる。例えば、エリアの情報が、歩道又は歩行者専用道路のみの情報である場合、路側機情報解析部212は、当該エリア又はその路側機220の位置が予定進行経路上であっても、当該路側機220を選択しない。つまり、路側機220が、予定進行経路の車道及び車道に関連するエリアの情報を含むセンシング範囲の情報を発信する場合、当該路側機220が無線接続の対象となる。
 
【0082】
  路側機220のセンシング範囲の情報が車両1の予定進行経路に関連することは、センサ22の検出範囲に関連する道路の車線に関する情報に基づいて、判定されてもよい。例えば、センシング範囲の情報が、予定進行経路の道路の車線情報を含むが、進行方向と反対方向の車線の情報のみを含む場合、路側機情報解析部212は、路側機220の位置又は検出範囲が予定進行経路上であっても、当該路側機220を選択しない。つまり、路側機220が、予定進行経路に位置し且つ進行方向が車両1の進行方向と合致する車線の情報を含むセンシング範囲の情報を発信する場合、当該路側機220が無線接続の対象となる。
 
【0083】
  よって、車両搭載器210は、路側機220の位置情報だけでなく、路側機220のセンシング範囲の情報を、無線接続する路側機220の選別の判断材料とする。これにより、例えば、建物の陰となることにより予定進行経路上に位置しても車両1の走行に有効なセンシング結果を有さない路側機220には、車両搭載器210は無線接続しない。これにより、無用な通信が削減される。
 
【0084】
  また、車両搭載器210は、
図7に示すように、センサ22によって走査できない範囲が除去された路側機220の検出範囲を取得することによって、隣り合う検出範囲が部分的に重複するように路側機220を選択することができる。つまり、選択された路側機220の検出範囲が連続する。これにより、車両搭載器210は、複数の路側機220に対して順番に、車両1と共に移動しつつ無線の接続及び切断を行っても、複数の路側機220から取得する予定進行経路に関する情報において、情報が欠落する領域の発生を抑えることができる。さらに、車両搭載器210は、ある路側機220から隣の路側機220へ無線接続を切り替える場合、情報が途切れないような必要なタイミングで無線の接続及び切断の制御を行うことができる。
 
【0085】
  [その他の変形例]
  以上、本開示の一つ又は複数の態様に係る通信システム等を説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。例えば、以下のような場合も本開示に含まれる。
 
【0086】
  (1)実施の形態1及び2に係る通信システムは、路側機と車両搭載器との間の無線通信に適用されていたが、これに限定されない。例えば、通信システムは、情報の発信側のインフラ装置と情報の受信側の端末装置との間の無線通信に適用されてもよい。端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯用コンピュータであってもよい。
 
【0087】
  (2)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、タッチパネル等から構成されるコンピュータシステム又は電子回路である。上記RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。上記マイクロプロセッサが、上記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
 
【0088】
  (3)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large  Scale  Integration:大規模集積回路)から構成されてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等を含んで構成されるコンピュータシステムである。上記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。上記マイクロプロセッサが、上記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
 
【0089】
  (4)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されてもよい。上記ICカード又は上記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。上記ICカード又は上記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記ICカード又は上記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
 
【0090】
  (5)本開示は、上記に示す処理をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってよく、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
 
【0091】
  また、本開示は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標)  Disc)、半導体メモリ等に記録したものであってもよい。また、これらの記録媒体に記録されている上記デジタル信号であってもよい。
 
【0092】
  また、本開示は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
 
【0093】
  また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
 
【0094】
  また、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記記録媒体に記録して移送することにより、又は上記プログラム又は上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
 
【0095】
  (6)上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
 
【0096】
  (7)構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
 
【0097】
  (8)ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。