(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら実施形態の監視カメラシステム100について説明する。
図1に示すように、監視カメラシステム100は、監視カメラ11の撮像した動画データを格納する画像格納装置10と、動画データを保存するサーバ40と、遠隔通信網35を介して画像格納装置10とサーバ40との間で信号、動画データの授受を行う通信装置30と、通信ネットワーク36を介してサーバ40との間で信号、動画データ、メールの授受を行う携帯端末50とを含んでいる。以下の説明では、監視カメラシステム100は、監視カメラ11によって監視対象建物であるビルの内部の画像を撮像し、この画像に基づいて、不審者の侵入、災害の発生等、ビル内での異常発生を監視するシステムとして説明するが、監視カメラシステム100は、例えば、病院、学校、工場等他の建物にも適用可能である。
【0018】
画像格納装置10は、監視対象のビルに設置される装置で、監視対象のビルの内部の画像を撮像する複数の監視カメラ11と動画データを格納するレコーダ12とを含んでいる。レコーダ12は、監視カメラ11に接続されて監視カメラ11の撮像した動画データを格納する画像格納部13と、画像格納部13と接続されて監視カメラ11の撮像した動画データを分析してビル内に異常の発生があるかどうかを分析する画像分析部16と、画像分析部16から異常発生の信号を受けてアラーム信号を生成するアラーム信号生成部17とを含んでいる。レコーダ12は、内部に演算処理を行うCPUとデータ、プログラムを格納する記憶装置とで構成されるコンピュータであり、画像格納部13、画像分析部16、アラーム信号生成部17は、CPUがプログラムを実行することにより構成される機能ブロックである。
【0019】
レコーダ12の画像格納部13は、第1メモリ14、第2メモリ15の2つの動画データ格納領域を有している。
図2に示すように、第1メモリ14は、監視カメラ11で撮像した、1日、あるいは数日、あるいは一週間程度の長期間の動画データを更新しながら保存しておくものである。例えば、1日分の動画データを保存する場合、第1メモリ14には現時点から1日前までの動画データが保存され、それ以前の動画データは順次消去されていく。数日、一週間分の動画データを保存する場合も同様である。第1メモリ14に格納される動画データには撮像時刻が入っている。
図2に示すように、第2メモリ15は、第1メモリ14に格納された動画データの中から、ある時刻tの前後の設定時間分の短期間の動画データを1つまたは複数保存するものである。設定時間は、例えば、30秒でもよいし、1分、あるいは5分でもよい。画像格納部13は、外部から画像要求信号が入力された場合に、第1メモリ14または、第2メモリ15に格納されている動画データを外部に出力することができるよう構成されている。
【0020】
画像分析部16は、監視カメラ11が撮像した動画を分析し、異常の発生を検出する。
図3を参照しながら監視カメラ11でビルの入口ドア22を監視する場合を例に動画の分析と異常検知について簡単に説明する。
【0021】
ビルの入口ドア22が施錠されている場合、画像分析部16にはビルの入口ドア22の基準画像として
図3の(a)に示すような入口ドア22が閉じた状態の画像が格納されている。画像分析部16は、監視カメラ11から入力される画像と
図3(a)に示す基準画像とを比較して両者に差が無い場合には、異常は発生していないと判断する。一方、監視カメラ11から
図3(b)に示すように入口ドア22が開いた状態の画像が入力された場合、この画像と
図3(a)に示す基準画像とに差異が発生する。このように、監視カメラ11から入力された画像と基準画像との間に差異が発生した場合、画像分析部16は、入口ドア22に異常が発生の可能性があると判断する。
【0022】
次に、画像分析部16は、
図3(b)に示すように、入口ドア22から入って来る人を認識する。そして、その人の着用している服と予め基準画像として格納しているが警備員の制服とを比較し、その人が警備員であるかどうかを判断する。画像分析部16は、入口ドア22から入ってきた人が警備員であった場合には、入口ドア22からの侵入は発生していないと判断する。一方、入口ドア22から入ってきた人が警備員では無い場合には、入口ドア22に侵入が発生したと判断する。そして、異常が発生したことをアラーム信号生成部17に出力する。
【0023】
アラーム信号生成部17は、画像分析部16から異常発生の信号を受信すると異常発生時刻を含むアラーム信号を生成する。アラーム信号は、例えば、「侵入発生」、「1階Aゾーン」等の異常の種類と異常の発生場所等と異常発生時刻とで構成される信号である。異常の種類については、例えば、数字4ケタによる「0010」等のコードを用いるようにしてもよい。
【0024】
サーバ40は、レコーダ12の第2メモリ15に格納されている短期間の動画データ、または、レコーダ12の第1メモリ14に格納されている長時間の動画データの一部を保存する画像データ記憶部43と、監視カメラシステム100のユーザであるビルの管理者、オーナー等のメールアドレス、住所、電話番号等を格納するユーザデータ記憶部45と、画像格納装置10あるいはユーザの携帯端末50との間の信号、動画データ、メールの授受を制御すると共に、動画データから代表画像を選択し、代表画像を解析して画像特徴指標値を抽出し、抽出した画像特徴指標値により動画データを補正する演算部42と、信号、動画データ、メールの通信を行う通信部41とを含んでいる。サーバ40は、ネットワークに接続されていれば、例えば、クラウド上のサーバ装置でもよいし、監視対象のビルから離れた遠隔地にあるデータセンター等に設置したサーバ装置でもよい。
【0025】
通信装置30は、画像格納装置10の接続されているビル内のLAN回線とセキュリティの確保された遠隔通信網35を接続するゲートウェイ装置である。
【0026】
携帯端末50は、監視カメラシステム100のユーザであるビルの管理者、オーナー等が所有し、メールの送受信、動画データの受信、閲覧ができるスマートフォン、タブレット端末等である。携帯端末50は、監視対象のビルから離れた遠隔地に位置していてもよい。
【0027】
次に、
図4から
図7を参照して監視カメラシステム100の動作について説明する。
図4に示すように、監視カメラ11で撮像した動画の動画データはレコーダ12に送られる。レコーダ12は監視カメラ11から受け取った動画データを第1メモリ14に格納していく。
【0028】
図4および
図6AのステップS101に示すように、サーバ40は通信装置30に対して監視カメラ11の撮像した動画の送信を要求する信号を出力する。
図4および
図7のステップS201に示すように、通信装置30は、サーバ40からの動画要求信号を受信したら、
図7のステップS201でYESと判断して
図7のステップS202に進み、レコーダ12に対して第1メモリ14に格納してある動画データのうち、所定時間の動画データを要求する信号を出力する。所定時間は、例えば、現時点より1日前まででもよいし、現時点より12時間前まででもよい。
図4に示すように、レコーダ12は、動画を要求する信号を受信したら、通信装置30に動画データを送信する。通信装置30は、
図7のステップS203に示すように、レコーダ12から動画データを受信したら、
図7のステップS204に示すうように、レコーダ12から取得した動画データをサーバ40に送信する。
図6AのステップS102に示すように、サーバ40は、通信装置30から動画データを受信したら、画像データ記憶部43に動画データを保存する。
【0029】
次に、サーバ40の演算部42は、
図6AのステップS104に示すように、画像データ記憶部43に格納した動画データの中から画像解析を行う対象である代表画像を選択する。動画データは、多数の静止画の集合体であり、代表画像は、動画を構成する多数の静止画の中の1つの静止画である。代表画像は、例えば、レコーダ12から受信した所定時間の動画データの最後の静止画としてもよい。
【0030】
代表画像を選択したら、演算部42は、
図6AのステップS105に示すように、代表画像を解析して、代表画像の輝度の最大値と最小値で規定される画像輝度範囲と、所定の範囲での輝度のバラツキを示す輝度の局所分散値を平均した局所分散値の平均値を抽出する。画像輝度範囲は、ヒストグラム等により代表画像の輝度分布を抽出し、抽出した輝度分布の中の最小レベルと最大レベルを抽出することによって規定する。また、輝度の局所分散値の平均値は、代表画像のある画素を中心とした局所領域における輝度のバラツキ、つまり、輝度の局所分散値を抽出し、抽出した輝度の局所分散値を平均して求めてもよい。
【0031】
演算部42は、画像特徴指標値である、画像輝度範囲と、輝度の局所分散値の平均値とを抽出したら、
図6AのステップS106に進み、画像輝度範囲、輝度の局所分散値の平均値がそれぞれ所定の範囲内にあるかどうかを判断する。そして、
図6AのステップS106において、画像輝度範囲、輝度の局所分散値の平均値がそれぞれ所定の範囲内にある場合には、演算部42は、所定時間内において監視カメラ11は正常で、レコーダ12から受信した所定時間の動画データは正常であると判断して
図6AのステップS107に進み、携帯端末50から動画閲覧要求を受信するまで待機する。
【0032】
演算部42は、携帯端末50から動画閲覧要求が入力された場合、
図6AのステップS107でYESと判断して
図6AのステップS108に進み、動画データの補正が必要かどうかの確認信号を携帯端末50に送信する。そして、携帯端末50から動画データの補正要との信号を受信した場合、演算部42は、
図6AのステップS109でYESと判断して
図6BのステップS110に進む。演算部42は、
図6BのステップS110において、携帯端末50からの動画閲覧要求に含まれる閲覧したい撮像期間、例えば、閲覧を開始する撮像日時と閲覧を終了する撮像日時によって規定される期間の動画データを画像データ記憶部43から読み出し、
図6BのステップS110に示すように、読みだした動画データの中から代表画像を選択する。この場合、代表画像は、例えば、動画閲覧要求に含まれる閲覧したい撮像期間の最初の静止画、つまり、閲覧を開始する撮像日時の静止画としてもよい。
【0033】
演算部42は、代表画像を選択したら、
図6BのステップS111に進んで画像特徴指標値を抽出する。ここで、画像特徴指標値は、先に説明したように、画像輝度範囲と、輝度の局所分散値の平均値である。
【0034】
演算部42は、
図6BのステップS112に進んで動画データの補正を行う。動画データの補正は、例えば、
図6BのステップS111で抽出した画像輝度範囲データをもとに画像データ記憶部43から読み出した動画データの各フレームの輝度範囲を引き延ばしてマッピングする画像輝度範囲変換処理や、コントラスト等の画像の強調レベルを大きくする画像の強調処理や、ノイズ低減処理等である。
【0035】
また、画像格納装置10が動画データと共に、動画を撮像した際のシャッタスピード、ゲイン、露光量等の撮像設定情報を格納し、通信装置30が動画データと共に撮像設定情報をサーバ40に送信し、サーバ40の画像データ記憶部43に動画データと共に撮像設定情報が保存されている場合には、演算部42は画像特徴指標値と撮像設定情報とに基づいて動画データを補正するようにしてもよい。
【0036】
演算部42は、動画データの補正が終わったら、
図6BのステップS113に示すように、補正後の動画データを携帯端末50に送信する。携帯端末50には視認性が高い補正後の動画が表示されるので、監視対象のビルの管理者等は、監視カメラ11の撮像した画像により遠隔地から監視対象のビル内部の状況を容易に確認することができる。
【0037】
また、演算部42は、携帯端末50から動画データの補正不要との信号を受信した場合、
図6AのステップS109でNOと判断して
図6BのステップS114に進む。演算部42は、
図6BのステップS114において、携帯端末50からの動画閲覧要求に含まれる閲覧したい撮像期間、例えば、閲覧を開始する撮像日時と閲覧を終了する撮像日時によって規定される期間の動画データを画像データ記憶部43から読み出して、補正していない動画データを携帯端末50に送信する。このように、監視対象のビルの管理者等は、補正していない動画についても遠隔地から確認することができる。
【0038】
なお、監視対象のビルの管理者等は、補正していない動画を確認した後、携帯端末50から動画データの補正を要求することができる。この場合、演算部42は、
図6BのステップS110からステップS112に示すように動画データの補正を行い、
図6BのステップS113に示すように補正後の動画データを携帯端末50に送信する。
【0039】
一方、代表画像を解析した結果、画像輝度範囲、輝度の局所分散値の平均値がそれぞれ所定の範囲内になく、
図6AのステップS106でNOと判断した場合、演算部42は、所定時間内において監視カメラ11に異常が発生しており、レコーダ12から受信した所定時間の動画データには異常のあるものが含まれていると判断する。例えば、監視カメラ11が故障して動画を取得できていない場合や、監視カメラ11のレンズ等が汚れている場合等がある。この場合、監視カメラ11の点検、修理等が必要となる。そこで、演算部42は、
図6AのステップS106でNOと判断した場合には、
図6AのステップS115に進み、ユーザデータ記憶部45から監視対象ビルの管理者、あるいはオーナー等のユーザのメールアドレスを読み出し、そのメールアドレスに監視カメラ11に異常が発生したことを連絡する監視カメラ異常発生メールを送信する(
図5参照)。
【0040】
監視カメラ異常発生メールを送信したら、演算部42は、
図6AのステップS116に進み、携帯端末50から動画閲覧要求を受信するまで待機する。
【0041】
演算部42は、携帯端末50から動画閲覧要求が入力された場合、
図6AのステップS116でYESと判断して
図6AのステップS117に進む。演算部42は、
図6AのステップS117において、携帯端末50からの動画閲覧要求に含まれる閲覧したい撮像期間、例えば、閲覧を開始する撮像日時と閲覧を終了する撮像日時によって規定される期間の動画データを画像データ記憶部43から読み出し、動画データを携帯端末50に送信する。演算部42は、
図6AのステップS106でNOと判断し、所定時間内において監視カメラ11に異常が発生しており、レコーダ12から受信した所定時間の動画データには異常のあるものが含まれていると判断しているので、動画閲覧要求があった場合に、動画データの補正を行わず、画像データ記憶部43から読み出した動画データをそのまま携帯端末50に送信する。
【0042】
監視対象のビルの管理者等は、遠隔地の携帯端末50で監視カメラ11の撮像した画像を確認し、監視カメラ11の保守、点検、あるいは交換等が必要かを容易に判断することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の監視カメラシステム100は、監視カメラ11が正常か異常かを判断し、監視カメラ11が正常な場合には、動画データを補正して携帯端末50に送信するので、携帯端末50には視認性が高い補正後の動画が表示され、監視対象のビルの管理者等は、監視カメラ11の撮像した画像により監視対象のビル内部の状況を遠隔地から容易に確認することができる。また、監視カメラ11に異常が発生した場合には、携帯端末50に監視カメラ異常発生メールが送信され、補正しない動画データを携帯端末50に送信するので、監視対象のビルの管理者等は、監視カメラ11の異常の発生状況を遠隔地から容易に確認することができる。
【0044】
以上の説明では、画像格納装置10は、複数の監視カメラ11とレコーダ12とで構成されるものとして説明したが、監視カメラ11の内部にCPUとメモリを備え、これにより、画像格納部13、画像分析部16、アラーム信号生成部17の動作を行うことができるような撮像機能と画像データの格納、分析、アラーム信号生成機能とを有する監視カメラ装置によって構成してもよい。
【0045】
次に
図1に示す監視カメラシステム100の別の動作について、
図8から
図11Bを参照しながら説明する。
図8に示すように、監視カメラ11で撮像した動画データはレコーダ12に送られる。
図9のステップS301に示すように、レコーダ12は監視カメラ11から受け取った動画データを第1メモリ14に格納していく。また、
図9のステップS302に示すように、レコーダ12の画像分析部16は、先に説明したような方法で動画データと基準データとを比較、分析して異常発生の検出を行う。異常発生が検出されない場合には、レコーダ12は
図9のステップS301に戻って監視カメラ11の動画データの格納と異常発生の検出動作を繰り返し実行する。
【0046】
一方、通信装置30は、
図10のステップS401に示すようにレコーダ12に対してポーリングを行っている。ポーリングは、例えば、1回/分程度の頻度で行ってもよい。
【0047】
そして、
図9のステップS303で画像分析部16が異常発生を検出したら、画像分析部16は、異常発生を検出した信号をアラーム信号生成部17に送信する。アラーム信号生成部17は、画像分析部16から送信された信号に基づいて異常の種類と異常の発生場所等と異常発生時刻とで構成されるアラーム信号を生成する。
【0048】
レコーダ12は、アラーム信号を生成した後に、
図9のステップS305に示すように通信装置30からのポーリングを受信したら、
図9のステップS306に示すように、アラーム信号生成部17が生成したアラーム信号を通信装置30に送信する。
【0049】
通信装置30は、
図10のステップS402に示すように、レコーダ12からアラーム信号を受信したら、
図10のステップS403に進み、レコーダ12に対して記録動画データ要求信号を出力する。
【0050】
レコーダ12は、
図9のステップS307に示すように通信装置30から記録動画データ要求信号を受信するまで待機する。そして、レコーダ12は、通信装置30から記録動画データ要求信号を受信したら、第1メモリ14に格納されている動画データの内、
図2に示すように画像分析部16によって特定された異常発生時刻の前後の設定時間分の動画データを記録動画データとして第2メモリ15に書き出す。そして、レコーダ12は、
図9のステップS308に示すように、第2メモリ15に書き出した記録動画データを通信装置30に送信する。
【0051】
通信装置30は、
図10のステップS404に示すように、レコーダ12から記録動画データを受信するまで待機し、記録動画データを受信したら
図10のステップS405に進んで、サーバ40に対してアラーム信号を送信する。
【0052】
図11AのステップS501に示すように、サーバ40は、通信装置30からアラーム信号を受信するまで待機し、アラーム信号を受信したら、
図11AのステップS502に示すように、通信装置30に対して記録動画データ要求信号を送信する。
【0053】
通信装置30は、
図10のステップS406に示すように、サーバ40からの記録動画データ要求信号を受信するまで待機し、記録動画データ要求信号を受信したら
図10のステップS407に進んで記録動画データをサーバ40に送信する。
【0054】
サーバ40は、
図11AのステップS503に示すように、記録動画データを受信するまで待機し、記録動画データを受信したら、
図11AのステップS504に進み、画像データ記憶部43に記録動画データを格納、保存する。
【0055】
サーバ40は、記録動画データを画像データ記憶部43に保存したら、
図11AのステップS505に進み、ユーザデータ記憶部45から監視対象ビルの管理者、あるいはオーナー等のユーザのメールアドレスを読み出し、そのメールアドレスに異常を検出したことを連絡する異常検出連絡メールを送信する。
【0056】
携帯端末50に送信された異常検出連絡メールを監視対象のビルの管理者等のユーザが確認し、記録画像を確認したい場合には、ユーザは、携帯端末50からサーバ40にアクセスして記録動画データ要求信号を送信する。
【0057】
サーバ40は、異常検出連絡メール送信後、
図11AのステップS506に示すように、携帯端末50から記録動画データ要求信号を受信するまで待機する。記録動画データ要求信号を受信したら、サーバ40の演算部42は、
図11AのステップS507に進み、記録動画データの補正が必要かどうかの確認信号を携帯端末50に送信する。そして、携帯端末50から記録動画データの補正要との信号を受信した場合、演算部42は、
図11AのステップS508でYESと判断して
図11BのステップS509に進み代表画像を選択する。この場合、代表画像は、異常発生時刻における静止画であってもよい。
【0058】
演算部42は、代表画像を選択したら、
図11BのステップS510に進んで代表画像を解析して画像特徴指標値を抽出する。ここで、画像特徴指標値は、先に説明したように、画像輝度範囲と、輝度の局所分散値の平均値である。
【0059】
演算部42は、
図11BのステップS511に進んで記録動画データの補正を行う。記録動画データの補正は、例えば、
図11BのステップS510で抽出した画像輝度範囲データをもとに記録動画データの各フレームの輝度範囲を引き延ばしてマッピングする画像輝度範囲変換処理や、コントラスト等の画像の強調レベルを大きくする画像の強調処理や、ノイズ低減処理等である。
【0060】
また、画像格納装置10が動画データと共に動画を撮像した際のシャッタスピード、ゲイン、露光量等の撮像設定情報を格納し、通信装置30が記録動画データと共に撮像設定情報をサーバ40に送信し、サーバ40の画像データ記憶部43に記録動画データと共に撮像設定情報が保存されている場合には、演算部42は画像特徴指標値と撮像設定情報とに基づいて記録動画データを補正するようにしてもよい。
【0061】
演算部42は、記録動画データの補正が終わったら、
図11BのステップS512に示すように、補正後の記録動画データを携帯端末50に送信する。
【0062】
監視対象のビルの管理者は、サーバ40から記録動画データが送信されたら、その画像を携帯端末50のディスプレイに表示して確認する。携帯端末50には視認性が高い補正後の記録動画が表示されるので、監視対象のビルの管理者等は、監視カメラ11の撮像した画像により監視対象のビル内部の状況を遠隔地から容易に確認することができる。
【0063】
また、演算部42は、携帯端末50から記録動画データの補正不要との信号を受信した場合、
図11AのステップS508でNOと判断して
図11BのステップS513に進む。演算部42は、
図11BのステップS513において、補正していない記録動画データを携帯端末50に送信する。このように、監視対象のビルの管理者等は、補正していない記録動画についても遠隔地から確認することができる。
【0064】
なお、監視対象のビルの管理者等は、補正していない記録動画を確認した後、携帯端末50から記録動画データの補正を要求することができる。この場合、演算部42は、
図11BのステップS509からステップS511に示すように記録動画データの補正を行い、
図11BのステップS512に示すように補正後の記録動画データを携帯端末50に送信する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の監視カメラシステム100は、記録動画データを補正して携帯端末50に送信するので、携帯端末50には視認性が高い補正後の記録動画が表示され、監視対象のビルの管理者等は、監視カメラ11の撮像した画像により監視対象のビル内部の状況を遠隔地から容易に確認することができる。
【0066】
また、本実施形態の監視カメラシステム100は、監視対象のビルに設置した画像格納装置10で監視カメラ11の撮像した動画を分析して異常発生を検出するので、的確に異常の発生を検出することができる。また、監視カメラシステム100は、異常発生時刻の前後における設定時間分の動画データを記録動画データとして通信装置30からサーバ40に送信してサーバ40に格納保存するので、特許文献1に記載された従来技術の監視システムのように、監視カメラ11の撮像した動画データをサーバ40に送信してサーバ40で画像分析、異常検出を行う場合よりも通信装置30とサーバ40との間のデータ通信量を低減することができる。また、サーバ40の画像データ記憶部43には、異常発生時刻の前後における設定時間分の動画データである記録動画データを保存格納すれば足りるので、サーバ40のデータ格納保存容量を少なくすることができる。
【0067】
以上説明した実施形態の監視カメラシステム100では、記録動画データは、通信装置30から記録動画データ要求信号を受信したら、第1メモリ14に格納されている動画データの内、画像分析部16によって特定された異常発生時刻の前後の設定時間分の動画データを記録動画データとして第2メモリ15に書き出すこととして説明したがこれに限定されない。例えば、画像格納部13が画像分析部16によって異常が検出された信号を受信したら、画像分析部16によって特定された異常発生時刻の前後の設定時間分の動画データを記録動画データとして第2メモリ15に書き出すようにしてもよい。この場合、記録動画データは、
図9のステップS307でレコーダ12が通信装置30から記録動画データ要求信号を受信する前に第2メモリ15に書き出されているので、レコーダ12は、
図9のステップS307で記録動画データ要求信号を受信したら、第2メモリ15に格納されている記録動画データを通信装置30に送信する。
【0068】
次に、
図12から
図17Bを参照しながら、他の実施形態の監視カメラシステム200について説明する。監視カメラシステム200は、
図1から
図11Bを参照して説明した監視カメラシステム100の監視対象ビル内のLAN回線に侵入防止装置20を接続したものである。
図1から
図11Bを参照して説明したと同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。以下の説明では、監視対象のビルは、企業が入居するオフィスビルとして説明するが、監視カメラシステム200は、例えば、病院、学校、工場等他の種類の建物にも適用することができる。また、侵入防止装置20が監視している入口ドア22の画像を撮像するために、監視カメラ11が入口ドア22の近傍に配置されている。
【0069】
侵入防止装置20は、ビルの入口ドア22の近傍に取り付けらけれたカードリーダ21と、入口ドア22の鍵の開錠、施錠を行うドア施錠装置23と、コントローラ24とで構成されている。コントローラ24は、カードリーダ21とドア施錠装置23の信号に基づいて侵入検知を行う侵入検知部25と、侵入が発生した場合に侵入発生信号を生成する侵入発生信号生成部26とを備えている。コントローラ24は、内部に演算処理を行うCPUとデータ、プログラムを格納する記憶装置とで構成されるコンピュータであり、侵入検知部25、侵入発生信号生成部26は、CPUがプログラムを実行することにより構成される機能ブロックである。
【0070】
カードリーダ21は、監視対象のビルに入居している企業の従業員が所持しているIDカードのデータを読み取るものである。ドア施錠装置23は、コントローラ24からの指令によりビルの入口ドア22の鍵の開錠、施錠を行うものである。
【0071】
侵入防止装置20は、カードリーダ21で読み取ったIDカードのデータをコントローラ24に送信し、コントローラ24がIDカードのデータからIDカードの所持者がビル内への入室が許可されている企業の従業員と判断した場合、コントローラ24の指令によりドア施錠装置23により入口ドア22を開錠する。また、侵入防止装置20は、コントローラ24がIDカードの所持者がビル内への入室が許可されているものでない場合には、入口ドア22を開錠しない。これにより、侵入防止装置20は、入室許可を受けていない者がビル内に入室することを防止するものである。
【0072】
コントローラ24の侵入検知部25は、カードリーダ21からIDカードのデータが入力されないのに、強制的に入口ドア22の鍵が開錠された場合、あるいは、すでにビル内に入室している従業員と同一のIDカードにより他の者が入室してしまったような場合に侵入を検知する。侵入検知部25は、侵入を検知したことを侵入発生信号生成部26に出力する。
【0073】
侵入発生信号生成部26は、侵入検知部25から侵入を検知した信号を受信すると侵入発生時刻を含む侵入発生信号を生成する。侵入発生信号は、例えば、「1階第5ドアから侵入発生」等の侵入発生の場所等の情報と侵入発生時刻とで構成される信号である。
【0074】
次に、
図13から
図15を参照して監視カメラシステム200の動作について説明する。監視カメラシステム200の画像格納装置10は、監視カメラ11から動画データを取得し、随時更新しながら1日分等所定期間の動画データを第1メモリ14に格納している。
【0075】
図13に示すように、カードリーダ21、ドア施錠装置23からIDカードのデータ、入口ドア22の開閉状況のデータがコントローラ24に送られる。
図14のステップS601に示すように、コントローラ24の侵入検知部25は、IDカードのデータと入口ドア22の開閉状況のデータとから侵入発生検知を行う。侵入発生が検知されない場合には、コントローラ24は
図14のステップS601に戻ってIDカードのデータ、入口ドア22の開閉状況のデータの取得と侵入検知動作を繰り返し実行する。
【0076】
一方、通信装置30は、
図16のステップS701に示すようにコントローラ24に対してポーリングを行っている。ポーリングは、例えば、1回/分程度の頻度で行ってもよい。
【0077】
そして、
図14のステップS602で侵入検知部25が侵入発生を検知したら、侵入検知部25は、侵入発生を検知した信号を侵入発生信号生成部26に送信する。侵入発生信号生成部26は、
図14のステップS603に示すように、侵入検知部25から送信された信号に基づいて侵入発生の場所等の情報と侵入発生時刻とで構成される侵入発生信号を生成する。
【0078】
コントローラ24は、侵入発生信号を生成した後に、
図14のステップS604に示すように通信装置30からのポーリングを受信したら、
図14のステップS605に示すように、侵入発生信号生成部26が生成した侵入発生信号を通信装置30に送信する。
【0079】
通信装置30は、
図16のステップS702に示すように、コントローラ24から侵入発生信号を受信したら、
図16のステップS703に進み、レコーダ12に対して侵入発生時刻データを含む侵入記録動画データ要求信号を出力する。
【0080】
図15のステップS611に示すように、レコーダ12は、通信装置30から侵入記録動画データ要求信号を受信するまで待機する。そして、レコーダ12は、通信装置30から侵入記録動画データ要求信号を受信したら、第1メモリ14に格納されている動画データの内、侵入記録動画データ要求信号に含まれる侵入発生時刻の前後の設定時間分のデータを侵入記録動画データとして第2メモリ15に書き出す。そして、レコーダ12は、
図15のステップS612に示すように、第2メモリ15に書き出した侵入記録動画データを通信装置30に送信する。
【0081】
通信装置30は、
図16のステップS704に示すように、レコーダ12から侵入記録動画データを受信するまで待機し、侵入記録動画データを受信したら
図16のステップS705に進んで、サーバ40に対して侵入発生信号を送信する。
【0082】
図17AのステップS801に示すように、サーバ40は、通信装置30から侵入発生信号を受信するまで待機し、侵入発生信号を受信したら、
図17AのステップS802に示すように、通信装置30に対して侵入記録動画データ要求信号を送信する。
【0083】
通信装置30は、
図16のステップS706に示すように、サーバ40からの侵入記録動画データ要求信号を受信するまで待機し、侵入記録動画データ要求信号を受信したら
図16のステップS707に進んで侵入記録動画データをサーバ40に送信する。
【0084】
サーバ40は、
図17AのステップS803に示すように、侵入記録動画データを受信するまで待機し、侵入記録動画データを受信したら、
図17AのステップS804に進み、画像データ記憶部43に侵入記録動画データを格納、保存する。
【0085】
サーバ40は、侵入記録動画データを画像データ記憶部43に保存したら、
図17AのステップS805に進み、ユーザデータ記憶部45から監視対象ビルの管理者、あるいはオーナー等のユーザのメールアドレスを読み出し、そのメールアドレスに侵入発生を検知したことを連絡する侵入発生検知連絡メールを送信する。
【0086】
携帯端末50に送信された侵入発生検知連絡メールを監視対象のビルの管理者等のユーザが確認し、侵入記録画像を確認したい場合には、ユーザは、携帯端末50からサーバ40に侵入記録動画データ要求信号を送信する。
【0087】
サーバ40は、侵入発生検知連絡メール送信後、
図17AのステップS806に示すように、携帯端末50から侵入記録動画データ要求信号を受信するまで待機し、侵入記録動画データ要求信号を受信したら、サーバ40の演算部42は、
図17AのステップS807に進み、侵入記録動画データの補正が必要かどうかの確認信号を携帯端末50に送信する。そして、携帯端末50から侵入記録動画データの補正要との信号を受信した場合、演算部42は、
図17AのステップS808でYESと判断して
図17BのステップS809に進み代表画像を選択する。この場合、代表画像は、侵入発生時刻における静止画であってもよい。
【0088】
演算部42は、代表画像を選択したら、
図17BのステップS810に進んで代表画像を解析して画像特徴指標値を抽出する。ここで、画像特徴指標値は、先に説明したように、画像輝度範囲と、輝度の局所分散値の平均値である。
【0089】
演算部42は、
図17BのステップS811に進んで侵入記録動画データの補正を行う。侵入記録動画データの補正は、例えば、
図17BのステップS810で抽出した画像輝度範囲データをもとに侵入記録動画データの各フレームの輝度範囲を引き延ばしてマッピングする画像輝度範囲変換処理や、コントラスト等の画像の強調レベルを大きくする画像の強調処理や、ノイズ低減処理等である。
【0090】
また、画像格納装置10が動画データと共に動画を撮像した際のシャッタスピード、ゲイン、露光量等の撮像設定情報を格納し、通信装置30が侵入記録動画データと共に撮像設定情報をサーバ40に送信し、サーバ40の画像データ記憶部43に侵入記録動画データと共に撮像設定情報が保存されている場合には、演算部42は画像特徴指標値と撮像設定情報とに基づいて侵入記録動画データを補正するようにしてもよい。
【0091】
演算部42は、侵入記録動画データの補正が終わったら、
図17BのステップS812に示すように、補正後の侵入記録動画データを携帯端末50に送信する。
【0092】
監視対象のビルの管理者は、サーバ40から侵入記録動画データが送信されたら、その画像を携帯端末50のディスプレイに表示して確認する。携帯端末50には視認性が高い補正後の侵入記録動画が表示されるので、監視カメラ11の撮像した画像により監視対象のビル内部の状況を遠隔地から容易に確認することができる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の監視カメラシステム200は、侵入記録動画データを補正して携帯端末50に送信するので、携帯端末50には視認性が高い補正後の侵入記録動画が表示され、監視カメラ11の撮像した画像により監視対象のビル内部の状況を遠隔地から容易に確認することができる。
【0094】
また、演算部42は、携帯端末50から侵入記録動画データの補正不要との信号を受信した場合、
図17AのステップS808でNOと判断して
図17BのステップS813に進む。演算部42は、
図17BのステップS813において、補正していない侵入記録動画データを携帯端末50に送信する。このように、監視対象のビルの管理者等は、補正していない侵入記録動画についても遠隔地から確認することができる。
【0095】
なお、監視対象のビルの管理者等は、補正していない侵入記録動画を確認した後、携帯端末50から侵入記録動画データの補正を要求することができる。この場合、演算部42は、
図17BのステップS809からステップS811に示すように侵入記録動画データの補正を行い、
図17BのステップS812に示すように補正後の侵入記録動画データを携帯端末50に送信する。
【0096】
また、本実施形態の監視カメラシステム200は、先に説明した監視カメラシステム100と同様の作用、効果に加え、侵入防止装置20によって侵入発生を検知して侵入発生時刻の前後の動画を侵入記録動画データとしてサーバ40に送信、格納するので、例えば、深夜に警備員の制服を着た他者が監視対象のビルに侵入した場合のように、画像格納装置10では異常の検出が困難な場合でも、的確に侵入発生を検出し、侵入発生時刻の前後の動画データを記録として格納し、監視カメラシステム200のユーザに提供することができる。
【0097】
以上説明した監視カメラシステム200では、レコーダ12は通信装置30から侵入記録動画データ要求信号を受信したら、第1メモリ14に格納されている動画データの内、侵入記録動画データ要求信号に含まれる侵入発生時刻の前後の設定時間分の動画データを侵入記録動画データとして第2メモリ15に書き出すこととして説明したがこれに限定されない。例えば、レコーダ12はコントローラ24からビル内のLANを通して侵入発生信号を受信可能とし、コントローラ24からの侵入発生信号を受信したら、第1メモリ14に格納されている動画データの内の侵入発生時刻の前後の設定時間分の動画データを侵入記録動画データとして第2メモリ15に書き出すようにしてもよい。この場合、侵入記録動画データは、
図15のステップS611でレコーダ12が通信装置30から侵入記録動画データ要求信号を受信する前に第2メモリ15に書き出されているので、レコーダ12は、
図15のステップS611で侵入記録動画データ要求信号を受信したら、第2メモリ15に格納されている侵入記録動画データを通信装置30に送信する。
【0098】
以上の説明では、監視カメラシステム200は、侵入防止装置20によって侵入発生を検知して侵入発生時刻の前後の動画を侵入記録動画データとしてサーバ40に送信、格納することとして説明したが、
図7から
図11Bを参照して説明した監視カメラシステム100の動作と同様、画像格納装置10で監視カメラ11の撮像した動画を分析して異常発生を検出し、異常発生時刻の前後における設定時間分の動画データを記録動画データとしてサーバ40に送信、保存してもよい。