特許第6872968号(P6872968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872968マグネットフロータ及びその磁力調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872968
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】マグネットフロータ及びその磁力調整方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/60 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   B65H3/60 310
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-96228(P2017-96228)
(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公開番号】特開2018-193151(P2018-193151A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 浩基
(72)【発明者】
【氏名】林 巌
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−112608(JP,A)
【文献】 実開昭59−165847(JP,U)
【文献】 米国特許第05651541(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00−3/68
B21D 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載エリアに積載した複数の板材を供給ロボットによって板材加工機側へ順次供給する際に用いられ、複数の板材のうちの最上部の板材を磁力によって浮上させて分離するマグネットフロータであって、
前記積載エリアに隣接する位置に立設され、前記積載エリア側に開口部を有したフロータケースと、
前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられ、非磁性体からなり、複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有し、前記突当て部の両側に前記フロータケースの側面に接合するフランジ部がそれぞれ形成されたフロータカバーと、
前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられ、マグネットを有したフロータ本体と、
前記フロータケースに設けられ、前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構と
を備え
前記フロータカバーにおける前記突当て部の表面及び一対の前記フランジ部の表面のうち少なくともいずれかの部位に、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を可視化するための目盛が形成されてい
グネットフロータ。
【請求項2】
前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示する表示器をさらに備える請求項1に記載のマグネットフロータ。
【請求項3】
複数の板材を積載するための積載エリアに隣接する位置に立設されかつ前記積載エリア側に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられかつ非磁性体からなりかつ複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有しかつ前記突当て部の両側に前記フロータケースの側面に接合するフランジ部がそれぞれ形成されたフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられかつマグネットを有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられかつ前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構とを備えるマグネットフロータに用いられる磁力調整方法であって、
前記フロータカバーにおける前記突当て部の表面及び一対の前記フランジ部の表面のうち少なくともいずれかの部位に、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を可視化するための目盛を表示した状態で、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整する
グネットフロータの磁力調整方法。
【請求項4】
板材の板厚及び/又は長さに対応付けた目盛数が記録された記録媒体に基づいて、最上部の板材の水平方向に対する浮上角が前記対応付けた目盛数に応じた傾斜角になるように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する請求項に記載のマグネットフロータの磁力調整方法。
【請求項5】
前記マグネットフロータは、前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示する表示器をさらに備え
板材の板厚及び/又は長さに対応付けた前記フロータ本体の位置が記録された第1記録媒体に基づいて、前記表示器によって表示された前記フロータ本体の位置が前記対応付けた前記フロータ本体の位置になるように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整し、
板材の板厚及び/又は長さに対応付けた目盛数が記録された第2記録媒体に基づいて、最上部の板材の水平方向に対する浮上角が前記対応付けた目盛数に応じた傾斜角になるように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整す
求項に記載のマグネットフロータの磁力調整方法。
【請求項6】
複数の板材を積載するための積載エリアに隣接する位置に立設されかつ前記積載エリア側に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられかつ非磁性体からなりかつ複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有したフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能設けられかつマグネットを有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられかつ前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構と、前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示する表示器とを備えるマグネットフロータに用いられる磁力調整方法であって、
前記表示器によって前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示し
板材の板厚及び/又は長さに対応付けた前記フロータ本体の位置が記録された記録媒体に基づいて、前記表示器によって表示された前記フロータ本体の位置が前記対応付けた前記フロータ本体の位置になるように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整する
グネットフロータの磁力調整方法。
【請求項7】
複数の板材を積載するための積載エリアに隣接する位置に立設されかつ前記積載エリア側に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられかつ非磁性体からなりかつ複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有したフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられかつマグネットを有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられかつ前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構とを備えるマグネットフロータに用いられる磁力調整方法であって、
基準面と、前記基準面に垂直な方向に対して傾斜した傾斜面とを有したテンプレートを用い、
前記テンプレートの前記基準面を前記フロータカバーの前記突当て部に当接又は磁着させた状態で、最上部の板材が前記テンプレートの前記傾斜面に沿うように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整する
グネットフロータの磁力調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載エリアに積載した複数の板材(板金)のうちの最上部の板材を磁力によって浮上させて分離するマグネットフロータ及びその磁力調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積載エリアに積載した複数の板材を供給ロボットによってプレスブレーキ等の板材加工機(板金加工機)側へ順次供給する際には、マグネットフロータが用いられる。そして、マグネットフロータの一般的な構成は、次のようになる。
【0003】
マグネットフロータは、積載エリアに隣接する位置に立設されたフロータケースを具備しており、フロータケースは、積載エリア側(正面側)、上下方向へ延びた開口部を有している。また、フロータケースの正面側には、フロータカバーがフロータケースの開口部を覆うように設けられており、フロータカバーは、切屑等の付着を防止するために、例えば、オーステナイト系ステンレス等の非磁性体からなる。フロータカバーは、複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有しており、突当て部の両側には、フロータケースの側面に接合するフランジ部がそれぞれ形成されている。
【0004】
フロータケース内には、フロータ本体がフロータカバーの突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられており、フロータ本体は、その内部に、マグネット(永久磁石)を有している。また、フロータケースの背面側には、フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する2つの位置調整機構が上下方向に間隔を置いて設けられている。各位置調整機構は、フロータケースの背面側に設けられたナット部材と、ナット部材に螺合しかつ先端部がフロータ本体に連結したネジ部材と、ネジ部材の基端部に一体的に設けられた手動ハンドルとを有している。
【0005】
前述の構成により、積載エリアに複数の板材を積載した後に、各手動ハンドルの回転操作によって各ネジ部材を回転させて、フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する。これにより、板材の板厚及び/又は長さ(フロータカバーの突当て部の表面に垂直な方向の長さ)に応じてマグネットフロータの磁力調整、最上部の板材の水平方向に対する浮上角(浮上による最上部の板材の水平方向に対する傾斜角)を適正な角度範囲内になるように保つことができる。なお、適正な角度範囲は、供給ロボットのロボットハンドの保持性能に依存している。
【0006】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−344373号公報
【特許文献2】特開2002−336923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フロータ本体の前記接近又はする方向の位置調整(マグネットフロータの磁力調整)は、作業者の経験や勘によることが多く、作業者によってばらつきが生じ、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を適正な角度範囲内に安定的に保つことは容易ではない。そのため、最上部の板材の水平方向に対する浮上角が適正な角度範囲よりも大きくなると、供給ロボットのロボットハンドによって最上部の板材をしっかり保持できないことがある。また、最上部の板材の水平方向に対する浮上角が適正な角度範囲よりも小さくなると、供給ロボットのロボットハンドによって二枚の板材を一度に保持することがある。その結果、供給ロボットによって複数の板材を板材加工機側へ安定的に供給することは困難になるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成からなるマグネットフロータ及びその磁力調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、積載エリアに積載した複数の板材(板金)を供給ロボットによって板材加工機(板金加工機)側へ順次供給する際に用いられ、複数の板材のうちの最上部の板材を磁力によって浮上させて分離するマグネットフロータであって、前記積載エリアに隣接する位置に立設され、前記積載エリア側(正面側)に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられ、非磁性体からなり、複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有し、前記突当て部の両側に前記フロータケースの側面に接合するフランジ部がそれぞれ形成されたフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられ、マグネット(永久磁石)を有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられ、前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構とを備え、前記フロータカバーにおける前記突当て部の表面及び一対の前記フランジ部の表面のうち少なくともいずれかの部位に、最上部の板材の水平方向に対する浮上角(浮上による最上部の板材の水平方向に対する傾斜角)を可視化するための目盛が形成されているマグネットフロータである。
【0011】
本発明の第1の態様によると、前記フロータカバーにおける前記突当て部の表面及び一対の前記フランジ部の表面のうち少なくともいずれかの部位に前記目盛が形成されている。そのため、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を可視化した状態で、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することができる。これにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を適正な角度範囲内に安定的に保つことができる。
【0014】
本発明の第の態様は、複数の板材(板金)を積載するための積載エリアに隣接する位置に立設されかつ前記積載エリア側(正面側)に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられかつ非磁性体からなりかつ複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有しかつ前記突当て部の両側に前記フロータケースの側面に接合するフランジ部がそれぞれ形成されたフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられかつマグネット(永久磁石)を有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられかつ前記フロータ本体を前記接近離する方向に位置調整する位置調整機構とを備えるマグネットフロータに用いられる磁力調整方法であって、前記フロータカバーにおける前記突当て部の表面及び一対の前記フランジ部の表面のうち少なくともいずれかの部位に、最上部の板材の水平方向に対する浮上角(浮上による最上部の板材の水平方向に対する傾斜角)を可視化するための目盛を表示した状態で、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整するマグネットフロータの磁力調整方法である。
【0015】
本発明の第の態様によると、前述のように、前記フロータカバーにおける前記突当て部の表面及び一対の前記フランジ部の表面のうち少なくともいずれかの部位に前記目盛を表示した状態で、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する。換言すれば、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を可視化した状態で、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する。これにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を適正な角度範囲内に安定的に保つことができる。
【0016】
本発明の第の態様は、複数の板材(板金)を積載するための積載エリアに隣接する位置に立設されかつ前記積載エリア側(正面側)に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられかつ非磁性体からなりかつ複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有したフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能設けられかつマグネット(永久磁石)を有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられかつ前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構と、前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示する表示器とを備えるマグネットフロータに用いられる磁力調整方法であって、前記表示器によって前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示し、板材の板厚及び/又は長さに対応付けた前記フロータ本体の位置が記録された記録媒体に基づいて、前記表示器によって表示された前記フロータ本体の位置が前記対応付けた前記フロータ本体の位置になるように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整するマグネットフロータの磁力調整方法である。
【0017】
本発明の第の態様によると、前述のように、前記表示器によって前記フロータ本体の前記接近又はする方向の位置を表示しながら、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する。これにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を適正な角度範囲内に安定的に保つことができる。
【0018】
本発明の第の態様は、複数の板材(板金)を積載するための積載エリアに隣接する位置に立設されかつ前記積載エリア側(正面側)に開口部を有したフロータケースと、前記フロータケースに前記開口部を覆うように設けられかつ非磁性体からなりかつ複数の板材の端面を突当て可能な突当て部を有したフロータカバーと、前記フロータケース内に前記フロータカバーの前記突当て部の裏面に対して接近又はする方向へ移動可能に設けられかつマグネット(永久磁石)を有したフロータ本体と、前記フロータケースに設けられかつ前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する位置調整機構とを備えるマグネットフロータに用いられる磁力調整方法であって、基準面と、前記基準面に垂直な方向に対して傾斜した傾斜面とを有したテンプレートを用い、前記テンプレートの前記基準面を前記フロータカバーの前記突当て部に当接又は磁着させた状態で、最上部の板材が前記テンプレートの前記傾斜面に沿うように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整することにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整するマグネットフロータの磁力調整方法である。
【0019】
本発明の第の態様によると、前述のように、前記テンプレートの前記基準面を記フロータカバーの前記突当て部に当接又は磁着させた状態で、最上部の板材が前記テンプレートの前記傾斜面に沿うように、前記位置調整機構によって前記フロータ本体を前記接近又はする方向に位置調整する。そのため、予め、前記テンプレートの前記傾斜面の傾斜角を適正な角度範囲内に設定しておくことにより、板材の板厚及び/又は長さに応じて前記マグネットフロータの磁力調整、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を適正な角度範囲内に安定的に保つことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、最上部の板材の水平方向に対する浮上角を適正な角度範囲内に安定的に設定できるため、供給ロボットのロボットハンドによって二枚の板材を一度に保持することなく、最上部の板材をしっかり保持して、供給ロボットによって複数の板材を板材加工機側へ安定的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るマグネットフロータが積載エリアに隣接する位置に立設された様子を示す図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るマグネットフロータが積載エリアに隣接する位置に立設された様子を示す斜視図である。
図3図3は、図1におけるIII-III線に沿った拡大断面図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係るマグネットフロータの斜視図である。
図6図6は、板材の板厚及び長さに対応付けた目盛数及びフロータ本体の前後方向の位置が記録された調整表を示す図である。
図7図7(a)(b)は、本発明の第1実施形態に係る磁力調整方法を説明する図である。
図8図8(a)(b)は、本発明の第1実施形態の変形例に係るマグネットフロータの磁力調整方法を説明する図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態の変形例2に係るマグネットフロータの磁力調整方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1実施形態(変形例を含む)及び第2実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。「及び/又は」とは、2つのうちのいずれか一方と両方を含む意である。「板材の長さ方向」とは、板材の端面をフロータカバーの突当て部に突き当てた場合におけるフロータカバーの突当て部に垂直な方向の長さのことをいう。図面中、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指している。
【0024】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、積載エリアTAの後側に隣接する位置には、2つのマグネットフロータ10が立設されており、マグネットフロータ10は、積載エリアTAにパレット12を介して積載した複数の板材(板金)Wを磁力によって浮上させて分離する装置である。また、マグネットフロータ10は、積載エリアTAにパレット12を介して積載した複数の板材Wを多関節の供給ロボット14によってプレスブレーキ等の板材加工機(図示省略)側へ順次供給する際に用いられる。ここで、供給ロボット14は、板材Wを保持(吸着)するロボットハンド16を備えており、特開2016−112667号公報及び特開2012−101317号公報等に示すような公知の構成からなる。板材Wは、例えば、鉄鋼、マルテンサイト系ステンレス等の磁性体からなる。
【0025】
まず、本発明の第1実施形態に係るマグネットフロータ10の一般的な構成について説明する。
【0026】
図1図3から図5に示すように、マグネットフロータ10は、積載エリアTAの後側に隣接する位置に設置台18を介して立設されたフロータケース20を具備している。フロータケース20は、積載エリアTA側(正面側)に、上下方向へ延びた開口部20aを有しており、複数の調節レバー22によって左右方向へ位置調節可能になっている。
【0027】
フロータケース20の正面側には、フロータカバー24がフロータケース20の開口部20aを覆うように設けられており、フロータカバー24は、切屑等の付着を防止するために、例えば、オーステナイト系ステンレス等の非磁性体からなる。また、フロータカバー24は、複数の板材Wの端面(後端面)を突当て可能な突当て部24aを有している。フロータカバー24の突当て部24aの両側には、フロータケース20の幅方向(左右方向)の側面にボルト26によって接合するフランジ部24bがそれぞれ形成されている。
【0028】
フロータケース20の底面には、前後方向(フロータケース20の奥行方向)へ延びたガイドレール28が設けられている。また、フロータケース20内には、フロータ本体30が設けられており、フロータ本体30は、ガイドレール28に前後方向へ移動可能に支持されている。換言すれば、フロータケース20内には、フロータ本体30がフロータカバー24の突当て部24aの裏面に接近又はする方向である前後方向へガイドレール28を介して移動可能に設けられている。また、フロータ本体30は、その内部に、第1マグネット(第1永久磁石)32及び第2マグネット(第2永久磁石)34を有している。第1マグネット32及び第2マグネット34は、上下方向(高さ方向)に沿ってそれぞれセグメント化されており、第1マグネット32のS極と第2マグネット34のN極は、左右方向に対向している。
【0029】
フロータケース20の背面側には、フロータ本体30を前後方向(フロータカバー24の突当て部24aの裏面に接近又はする方向)に位置調整する2つの位置調整機構36が上下方向に間隔を置いて設けられている。各位置調整機構36は、フロータケース20の背面側に設けられたナット部材38と、ナット部材38に螺合しかつ先端部がフロータ本体30に連結したネジ部材40と、ネジ部材40の基端部に一体的に設けられた手動ハンドル42とを有している。なお、各位置調整機構36は、ナット部材38及びネジ部材40等を用いた構成に限るものでなく、シリンダ又はモータ等のアクチュエータ(図示省略)を用いた構成であってもよい。
【0030】
続いて、本発明の第1実施形態のマグネットフロータ10の特徴部分について説明する。
【0031】
図4及び図5に示すように、フロータカバー24における突当て部24aの表面及び一対のフランジ部24bの表面には、最上部の板材Wの水平方向に対する浮上角(浮上による最上部の板材Wの水平方向に対する傾斜角)θを可視化するための目盛Sが低出力のレーザの照射(レーザ照射による罫書き)によりそれぞれ形成されている。なお、フロータカバー24における突当て部24aの目盛S及び一対のフランジ部24bの目盛Sのいずれかを省略してもよい。換言すれば、フロータカバー24における突当て部24aの表面及び一対のフランジ部24bの表面のうちの少なくともいずれかの部位に目盛Sが形成されていればよい。低出力のレーザの照射の代わりに、切削加工によって目盛Sを形成してもよい。
【0032】
各ナット部材38には、フロータ本体30の前後方向(フロータカバー24の突当て部24aの裏面に接近又はする方向)の位置を表示する表示器としてのポジションインジケータ44が設けられている。「フロータ本体30の前後方向の位置」とは、フロータカバー24内における基準の位置から前後方向の距離のことをいう。ここで、「フロータ本体30の前後方向の位置を表示する」とは、フロータ本体30の前後方向の位置を直接的に表示することの他に、手動ハンドル42の回転数等、位置調整機構36の調整量を表示することによってフロータ本体30の前後方向の位置を間接的に表示することを含む意である。なお、表示器としてポジションインジケータ44を用いる代わりに、NC装置のディスプレイ(図示省略)を用いてもよい。
【0033】
図5及び図6に示すように、フロータケース20の上面には、調整表46が設置されている。調整表46は、板材Wの板厚及び長さに対応付けた目盛数(目盛Sの数)及びフロータ本体30の前後方向の位置が記録された記録媒体である。換言すれば、調整表46は、板材Wの板厚及び長さに対応付けた目盛数が記録された第1記録媒体と、板材Wの板厚及び長さに対応付けたフロータ本体30の前後方向の位置が記録された第2記録媒体とを合わせたものである。ここで、図6中における目盛数の値及びフロータ本体30の前後方向の位置の値は例示であり、それらの値に限定されるものではない。なお、記録媒体としての調整表46は、第1記録媒体としての第1調整表(図示省略)と、第2記録媒体としての第2調整表(図示省略)とに分かれててもよい。記憶媒体として調整表46を用いる代わりに、NC装置のメモリ(図示省略)用いてもよい。この場合には、NC装置のメモリに記録された板材Wの板厚及び長さに対応付けた目盛数及びフロータ本体30の前後方向の位置がNC装置のディスプレイによって表示されることになる。
【0034】
続いて、本発明の第1実施形態に係るマグネットフロータの磁力調整方法について図1図3図4図6、及び図7(a)(b)を参照して説明する。なお、 図7(a)は、板材Wの長さが長い場合におけるマグネットフロータ10の磁力調整を行う様子を示しており、図7(b)は、板材Wの長さが短い場合におけるマグネットフロータ10の磁力調整を行う様子を示している。
【0035】
積載エリアTAに複数の板材Wをパレット12を介して積載した後に、調整表46に基づいて、板材Wの板厚及び長さに対応付けた目盛数及びフロータ本体30の前後方向の位置を読み取る。そして、各ポジションインジケータ44によって表示されたフロータ本体30の前後方向の位置が対応付けたフロータ本体30の前後方向の位置になるように、各手動ハンドル42の回転操作によって各ネジ部材40を回転させて、フロータ本体30を前後方向に位置調整する。換言すれば、各位置調整機構36によるフロータ本体30の前後方向の1回目(最初)の位置調整を行う。
【0036】
その後、最上部の板材Wの水平方向に対する浮上角θが対応付けた目盛数に応じた傾斜角になるように、各手動ハンドル42の回転操作によって各ネジ部材40を回転させて、フロータ本体30を前後方向に位置調整する。換言すれば、フロータカバー24における突当て部24aの表面及び一対のフランジ部24bの表面に目盛Sを表示した状態で、各位置調整機構36によるフロータ本体30の前後方向の2回目(最終)の位置調整を行う。これにより、板材Wの板厚及び長さに応じてマグネットフロータ10の磁力の調整を行うことができる。
【0037】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
各ポジションインジケータ44によってフロータ本体30の前後方向の位置を表示しながら、各位置調整機構36によるフロータ本体30の前後方向の最初の位置調整を行うことができる。また、最上部の板材Wの水平方向に対する浮上角θを可視化した状態で、各位置調整機構36によるフロータ本体30の前後方向の最終の位置調整を行うことができる。これにより、フロータ本体30が鉛直方向に対して傾動することなく、板材Wの板厚及び長さに応じてマグネットフロータ10の磁力の調整を行い、最上部の板材Wの水平方向に対する浮上角θを適正な角度範囲内に安定的に保つことができる。
【0039】
従って、本発明の第1実施形態によれば、供給ロボット14のロボットハンド16によって二枚の板材Wを一度に保持することなく、最上部の板材Wをしっかり保持して、供給ロボット14によって複数の板材Wを板材加工機側へ安定的に供給することができる。
【0040】
なお、供給ロボット14のロボットハンド16の保持性能に依存する適正な角度範囲が大きい場合には、フロータカバー24における突当て部24aの表面等に目盛Sを表示した状態で、各位置調整機構36によるフロータ本体30の前後方向の位置調整を行わなくてもよい。換言すれば、各位置調整機構36によるフロータ本体30の前後方向の2回目の位置調整を省略してもよい。
【0041】
(第1実施形態の変形例)
本発明の実施形態の変形例に係るマグネットフロータの磁力調整方法について、本発明の実施形態に係るマグネットフロータの磁力調整方法と異なる点についてのみ説明する。
【0042】
図8(a)に示すように、フロータカバー24における突当て部24aの表面等に低出力のレーザの照射によって目盛Sを形成することなく、フロータカバー24における突当て部24aの表面にスケール48を貼付けることにより、フロータカバー24における突当て部24aの表面に目盛Sを表示している。また、図8(b)に示すように、レーザポインター又はプロジェクタ等の光学表示器50によってフロータカバー24における突当て部24aの表面等に目盛Sを表示している。
【0043】
そして、本発明の変形例においても、前述の本発明の第1実施形態と同様の作用及び効果を奏するものである。
【0044】
(第2実施形態)
図9に示すように、本発明の第2実施形態に係るマグネットフロータ52は、フロータカバー24の目盛S、ポジションインジケータ44、及び調整表46を省略した点を除き(図1及び図2参照)、本発明の実施形態に係るマグネットフロータ10と同様の構成を有している。なお、マグネットフロータ52における複数の構成要素のうち、マグネットフロータ10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0045】
続いて、本発明の第2実施形態に係るマグネットフロータの磁力調整方法について説明する。
【0046】
図9に示すように、本発明の第2実施形態に係るマグネットフロータの磁力調整方法においては、基準面54aと、基準面54aに垂直な方向に対して傾斜した傾斜面54bとを有したテンプレート54を用いる。そして、積載エリアTAに複数の板材Wをパレット12を介して積載した後に、テンプレート54の基準面54aをフロータカバー24の突当て部24aに当接又は磁着させる。その状態で、最上部の板材Wがテンプレート54の傾斜面54bに沿う(接触する)ように、各手動ハンドル42の回転操作によって各ネジ部材40を回転させて、フロータ本体30を前後方向の位置に位置調整する。これにより、板材Wの板厚及び長さに応じてマグネットフロータ52の磁力の調整を行うことができる。
【0047】
続いて、本発明の第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0048】
前述のように、テンプレート54の基準面54aをフロータカバー24の突当て部24aに当接又は磁着させた状態で、最上部の板材Wがテンプレート54の傾斜面54bに沿うように、各位置調整機構36によってフロータ本体30を前後方向に位置調整する。そのため、予め、テンプレート54の傾斜面54bの傾斜角αを適正な角度範囲内に設定しておくことにより、板材Wの板厚及び長さに応じてマグネットフロータ52の磁力の調整を行い、最上部の板材Wの水平方向に対する浮上角θを適正な角度範囲内に安定的に保つことができる。
【0049】
そして、本発明の第2実施形態においても、本発明の第1実施形態と同様の効果を奏するものである。
【0050】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、種々の変更を行うことにより、その他、種々の態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0051】
10 マグネットフロータ
12 パレット
14 供給ロボット
16 ロボットハンド
18 設置台
20 フロータケース
20a 開口部
24 フロータカバー
24a 突当て部
24b フランジ部
S 目盛
28 ガイドレール
30 フロータ本体
32 第1マグネット
34 第2マグネット
36 位置調整機構
38 ナット部材
40 ネジ部材
42 手動ハンドル
44 ポジションインジケータ
46 調整表
48 スケール
50 光学表示器
52 マグネットフロータ
54 テンプレート
54a 基準面
54b 傾斜面
α 傾斜面の傾斜角
TA 積載エリア
W 板材(板金)
θ 最上部の板材の水平方向に対する浮上角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9